- 投資信託を始めたいけど選び方が分からない
- 自分にあった投資信託の選び方が知りたい
- 失敗しない投資信託の選び方を知りたい
- 投資家はどんな投資信託を選んでいるのか知りたい
など、投資信託の選び方に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
それもそのはず。日本に存在する公募投資信託だけでも5,861本存在しています(2024年7月末※)。その中から自分に合ったベストな投資信託や、将来利益を生み出してくれる投資信託を選ぶのは至難の技と言えます。 ※投資信託協会 統計データ
しかし、投資信託を選ぶ際にチェックするべき項目を理解することで、投資信託選びに失敗することを避けることができ、資産を増やす可能性のある投資信託へ投資をすることができます。
実際に私は現在10コの投資信託に投資をしていますが、現在全ての投資信託で含み益となっています(2021年10月時点)。
含み益とは
利益は確定していないものの、今現在での評価はプラスになっているもの。実際に売却するまでは損益が確定しないためこのような表現を使う。
そこで、この記事では数種類の投資信託に長期間投資をしている私が
- 投資信託を選ぶ際に必ずチェックするべきポイント
- 投資初心者が選ぶべき投資信託
- 選んではいけない投資信託
- 投資家オススメの投資信託
について詳しく解説していきます。この記事を読み終わる頃にはどの投資信託に投資をしたらいいのか、選べるようになっているでしょう。
まずはプロ厳選の投資信託が知りたい!という方はこちらをクリック!してください。
なお、下記の記事では、今さら聞けない投資信託の基礎知識、保有中に知っておくべきこと、出口戦略までを網羅的に解説しています。投資信託の選び方を知りたい初心者はもちろん、投資で利益を出したい人全員に必要な知識がわかります。
【投資の勉強】初心者はこれだけでOK!何からどんな方法でするべきかを完全理解
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
投資信託の選び方7つの手順
投資信託を選ぶ際にこれだけは外していけないポイント、選び方の手順をこれからお伝えしていきます。
手順を7つ用意しました。これらの手順を踏むことで、あなたにあった投資信託が選べるようになります。
- 投資先を選ぶ前に資産の種類を選ぶ
- 複数の証券会社で投資先を探す
- 投資先と投資対象を決める
- 投資先の資産規模を確認する
- 運用実績を見て将来性を見極める
- 3つの手数料をチェックする
- 信託期間が無期限の投資先を選ぶ
それぞれ詳しく解説していきます。
Step1 投資先を選ぶ前に資産の種類を選ぶ
まず、投資信託を選ぶ前に大事なポイントについてお話します。
いきなり特定の投資商品を選ぶのではなく、まずは大まかな資産の種類(資産クラス)を選ぶようにしましょう。
資産の種類には「国内株式」「国内債券」「国内不動産」「外国株式」「外国債券」「外国不動産」などがあります。
※外国は先進国と新興国で分けて考えることもあります。
なぜ資産クラスを先に選ぶのかというと、それぞれリスクとリターンが異なってくるからです。下記グラフは、各資産の過去の年間リターンリスクを表したものです。
画像出典:インデックス ドライバー
投資における「リスク」とは、振れ幅のことになりますので、例えば国内株式であれば、プラス61.93%〜マイナス46.48のリスクがあるということになります。
自分が選んだ投資先のリスクを把握しておくことは、投資をする上で重要となってきます。
ご自身がどれくらいリスクを取れるのか、投資に対する考えを今一度考えてみましょう。下記のグラフにて、リスク許容度と資産クラスの関係性をまとめてみたので参考にしてみてください。
Step2 商品数が多く手数料の安い金融機関で投資先を探す
資産の種類を決めたら、Step2では商品数が多く、手数料の安い金融機関で投資先を探すようにしましょう。
なぜなら、金融機関によって扱っている投資商品や手数料が違います。ひとつの窓口に絞って投資商品を選ぶと、最適な投資先を選ぶことができません。
例えば、アメリカの株価指数S&P500と同じ値動きを目指す投資信託があります。
S&P500とは
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している企業の中から代表的な500社を選出し、その銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数である。引用出典:Wikipedia
同じゴールを目指す投資信託ですが、その種類は多くあります。下記はその一部です。
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- iFree S&P500インデックス
- つみたて米国株式(S&P500)
金融機関によって、S&P500関連の投資信託をいくつも扱っているところもあれば、ひとつしか扱っていない所もあります。この先に話すコストや純資産総額の違いで運用成果に影響があるので、より多くの選択をできるよう、商品数の多い金融機関を使って最適な投資信託を探すようにしましょう。
SBI証券や楽天証券といったネット証券は商品数も多くコストも安いので、そのような証券会社を利用することをオススメします。
Step3 投資先と投資対象を決める
大まかな資産クラスが決まれば、次は「投資先と投資対象」です。
どの分野に投資をするのか、その中身(具体的な投資先)はどんなものなのか知る必要があります。
一般的に物を購入する際、それがどんな物なのか理解して購入していますよね。得体の知れない物にお金を消費する人はあまりいないと思います。
それは投資にも同じことが言えます。何に投資をしているのか分からないのは問題外です。まずはしっかりと投資先や投資対象が何なのか確認するようにしましょう。
例えば、資産クラスを「外国株式」の中の米国株式に決めたとします。さらに選んだ米国株式の中から、投資先を選んでいくわけです。仮に、S&P500を選んだとしましょう。対象の投資信託(S&P500)の具体的な投資対象を確認していくわけです。
先ほど、S&P500に連動する投資信託は数種類あると述べました。それらの中から最適な投資先を見つけるポイントは以下の4つです。
- 純資産総額
- 運用実績
- 手数料
- 信託期間
このあと順に説明していきます。
一般的に投資信託は下記の図のようなパッケージになっているものがほとんどです。投資先はどこなのか、どんな銘柄に投資をしているのか必ず確認するようにしましょう。
投資先や投資対象の確認の方法は、各投資信託の目論見書にて確認することができます。
では人気の投資先「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の目論見書を例に、投資先や投資対象が何なのか確認してみましょう。なお、目論見書は証券会社の各投資先の詳細ページにあります。
下記画像は目論見書の一部です。
まずは投資先から。下記画像より投資先は「米国株式のS&P500インデックスファンド」に投資をするということが分かります。
※インデックスファンドの詳しい内容は次の章で解説します。
では次に具体的な投資対象を見てみましょう。下記画像より、この投資信託で主に購入・運用されている株式銘柄を知ることができます。
皆さんもよく知っているであろう、アップルやマイクロソフト、アマゾンと言った米国の大企業に投資をしているのが分かりますね。
米国株への投資信託を詳しく解説した記事もありますので、参考にしてみてください。
Step4 投資先の資産規模を確認する
投資先が決まったら次にするべきことは、対象の投資信託の資産規模を確認することです。
具体的には「純資産総額」の推移をチェックすることになります。純資産総額とは、その投資信託に集まった資金の総額のことをいいます。この純資産総額が最低でも50億円以上、できれば100億円以上の投資信託を選ぶようにしましょう。
さらに、純資産総額が右肩上がりで推移していることが好ましいといえます。なぜなら、順調に伸びているということは投資家から注目されていて多くの投資家がその投資信託に投資をしていると言えるからです。
逆に、純資産総額が減少し続けた場合、繰上償還のリスクが伴います。繰上償還とは、あらかじめ決められた満期日(償還予定日)を待たずに、強制的に償還されてしまうことです。要は、投資している投資信託が解散になってしまい、せっかくの長期運用がストップしてしまうことになってしまうのです。
純資産総額は目論見書で確認することが可能です。
右側に純資産総額が記載されています。右肩上がりに推移しているかは赤い点線で囲んだ箇所にて確認することが可能です。こちらの例ですと、順調に右肩上がりなのが確認できます。
Step5 運用実績を見て将来性を見極める
次に、過去の運用実績を確認しましょう。
運用実績を確認する目的は、今後も伸びる可能性があるのか確認するためです。過去の実績を見て右肩上がりの投資先に投資することをオススメします。
例えば、日本、アメリカ、中国の主要な指数を比較してみましょう。青が日本の日経平均株価、黄色がアメリカのダウ平均株価、水色が中国の上海総合指数の過去の上昇率の推移です。
画像出典:GoogleFinance
グラフを見ても分かる通り、アメリカの成長率は著しく、日本や中国と比べ物にならないほど伸びています。もちろん、今後もその成長を保証することはできませんが、成長性のある投資先に投資をすることで、私たちの資産も増加していくことが見込めます。
運用実績も目論見書で確認することができます。先程の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の目論見書を例に、運用実績をみてみましょう。
グラフを見る限り、右肩上がりに上がっていますので、この投資信託に投資をするのは問題ないと判断することができます。
Step6 3つの手数料をチェックする
投資先と運用実績を確認したら、次は手数料をチェックするようにしましょう。
投資信託には3つの手数料が存在します。
“投資信託3つの手数料”
- 購入時(販売手数料)手数料の目安:購入金額の1〜3%
- 運用中(信託報酬)手数料の目安:0.2〜2%
- 売却時(信託財産留保額)手数料の目安:0.1〜0.5%
どんなに成績のいい投資信託を選んでも、手数料が高ければリターンも目減りしてしまいます。手数料はできるだけ安い投資信託を選ぶようにしましょう。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の目論見書を使って手数料を確認してみましょう。
この投資信託は、購入時と売却時(信託財産留保額)の手数料がゼロです。さらに、運用中にかかる信託報酬も約0.09%と安い手数料となっています。
さらに、ファンドの純資産残高に応じて手数料が変わることも明記されています。このファンドに投資する人が増え、純資産額が増えると手数料が安くなる仕組みであると理解できます。
このように、最近ではノーロードと言われる購入時の手数料が無料の投資信託が増えています。手数料はわずかな金額と思われがちですが、チリも積もれば山となり、将来の運用結果に影響を与えてしまいます。
実際に、手数料が違うと手元に残るお金にどれくらい変化があるのかシミュレーションしてみましょう。
前提条件として、毎月3万円の積立投資を年率5%、20年間運用したとします。手数料0.09%と手数料2%の2パターンでみていきます。
画像を見てもらうと分かるとおり、20年後の総額は、
- 手数料0.09%の場合:1,210万円
- 手数料2%の場合:983万円
になり、227万円も差が出てしまいました。20年間毎月1万円無駄にしているようなものです。
もちろん投資商品によって投資対象もリターンも違いますので、一概には言えませんが、手数料が少し変わるだけで手元に残るお金に変化がでることを分かってもらえたと思います。
Step7 信託期間が無期限の投資先を選ぶ
最後に必ずチェックするべきポイントは信託期間です。
信託期間はできるだけ「無期限」のものを選ぶようにしましょう。
信託期間とは、投資信託の運用がスタートしてから、運用が終了する「償還日」までの期間です。信託期間「無期限」を選ぶ理由は、投資した投資信託が途中で運用終了してしまうことを避けるためです。
長期投資目的で行った投資信託が数年後に終了してしまわないためにも、信託期間はチェックするようにしましょう。こちらも目論見書にて確認することができます。
こちらのファンド(投資先)の場合、設定日が2018年7月3日(運用開始日のこと)です。そして償還日が無期限となっています。無期限ということは、期間の定めがないため、長期で運用することが可能ということになります。
累計63万人以上が受講している人気講座です。
投資初心者が選ぶべき投資信託はインデックスファンド
先程の章では、投資信託を選ぶ際の4つのポイントをお伝えしました。しかし、この記事を見てくださっている方の中には
投資初心者が選ぶべき投資信託をもう少し具体的に教えて欲しい!
と思っている方もいると思います。
そこで、この章ではさらに具体的に投資信託の選び方をお伝えしていきます。
結論を言いますと、投資の経験があまりない方が選ぶべき投資信託の種類はインデックスファンドになります。
冒頭で投資信託の数は約6,000本あるとお伝えしましたが、大まかに分類すると「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に分けることができます。
「インデックスファンド」や「アクティブファンド」という言葉は、投資初心者にとっては馴染みのない言葉だと思います。しかし投資信託を選ぶ上では重要な項目になってきます。
「インデックスファンド」や「アクティブファンド」の意味、なぜ「インデックスファンド」がオススメなのか、詳しく解説していきます。
インデックスファンドとは
インデックスファンドとは、ある特定の指数を目標(ベンチマークと言います)とし、同じ値動きを目指す投資信託のことです。
ですので、インデックスファンドの投資信託を選ぶということは、指数を選ぶと考えてもらえると分かりやすいです。
市場には、様々な指数が存在します。皆さんの身近なもので言うと「日経平均株価」や「ダウ平均株価」がそれに該当します。
日経平均株価とは、東証一部上場の日本を代表する225社の平均株価になります。このように、主な225社の平均値をとることで、日本を代表する企業の株価全体の動きを示しています。これら指数と同じ値動きを目指すのがインデックスファンドになります。
インデックスファンドは、投資家から集めた資金をベンチマークとほぼ同じ銘柄に分散して投資をしているので、少額でも分散投資が可能です。
例えば、日経平均株価をベンチマークとするインデックスファンドに投資をした場合、225社に投資をしていることと同じということになります。自分の資金で225社の株を購入するとなると莫大な資金が必要になりますがインデックスファンドの場合、少額で分散投資をすることができるのです。
また、運用担当者(ファンドマネージャー)は指数に連動する銘柄を選べばいいので手間がかかりません。そのため、インデックスファンドのコストは安く抑えられています。
インデックスファンドのメリット・デメリットは下記の通りです。
アクティブファンドとは
アクティブファンドとは、先ほどお伝えした「指数(ベンチマーク )」を上回ることを目指す投資信託のことです。
プロのファンドマネージャーと呼ばれる方達が、独自の投資判断に基づいて、銘柄選定をしています。指数を上回ることを目指しているので、言い換えればインデックスファンドより良い成果を出すことを目標としています。
良い成果をだすためにファンドマネージャーは様々な情報収集を行わなければいけません。その点、決められた指数と同じ銘柄を揃えるインデックスファンドと比較すると、ファンドマネージャーの人件費(コスト)が大きくかかってしまいます。なのでアクティブファンドはインデックスファンドよりも運用時のコスト(信託報酬)が高めに設定されています。
アクティブファンドのメリット・デメリットは下記の図を参照ください。
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない3つの理由
この章の冒頭で、投資初心者が選ぶべきファンドは「インデックスファンド」とお話ししました。
しかし、この様に思う方もいるのではないでしょうか。
アクティブファンドはインデックスファンドより良い運用成績を目指すものだから、アクティブファンドの方がいいんじゃないの?
と。確かに、株式指標より運用成績が良ければそのアクティブファンドに投資する価値はあります。
しかし、そのような投資先を見つけるのは至難の技です。それが投資初心者となると尚更難しい、ほとんど無理と言っても過言ではありません。
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由は3つあります。
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない3つの理由
- 信託報酬(運用時のコスト)が高いから
- 投資家の期待が運用方法に影響を与えているから
- 運用資金が大きくなると、中小型銘柄に投資ができないから
それぞれ詳しく解説していく前に、実際にアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないのか、過去の運用成績をみてみましょう。
アクティブファンド VS インデックスファンド 運用成績比較
まず、日経平均株価と日本株式に投資するアクティブ・ファンドの運用成績を比較してみましょう。
下記グラフ
- 緑の線:日経平均株価
- 赤の線:アクティブファンド(企業価値性超小型ファンド)
- 青の線:アクティブファンド(新世代成長株ファンド)
になっています。
2016年9月時点を100とした場合のそれぞれの推移になっています。
図を見てもらうと分かる通り、平均的に日経平均株価の方がパフォーマンスが高いのが分かります。そして長期になるとその差が開いていっていることも確認することができます。
わざわざ高い信託報酬(手数料)を払っているにも関わらず、このような結果になってしまいました。
では、日本株ではなく、成長の著しい米国はどうなのでしょうか。
アメリカを代表する株式指数 S&P500インデックスと米国のアクティブファンドを比べてみましょう。
S&P500を下回ったアクティブ・ファンドの割合は
- 期間1年で見た場合: 64.49%
- 期間3年で見た場合: 78.98%
- 期間5年で見た場合: 82.14%
- 期間10年で見た場合: 85.14%
- 期間15年で見た場合: 91.62%
という結果でした。どの期間を見ても、株式指数を上回るアクティブ・ファンドは圧倒的に少なく、⻑期になればなるほど、その格差は大きくなることが分かります。15年間という長期スパンで見ると、9割以上のアクティブファンドがインデックスファンドに負けています。
このような結果になってしまうのには、冒頭にお伝えした3つの理由があります。
- 信託報酬(運用時のコスト)が高い
- 投資家の期待が影響している
- 運用資金が大きくなると、中小型銘柄に投資ができない
それぞれ解説していきます。
理由その①信託報酬(運用時のコスト)が高い
まず1つ目は信託報酬の差が挙げられます。一般的に、インデックスファンドの信託報酬は0.5%を下回るものがほとんどですが、アクティブファンドの場合1.5%を上回ることがほとんどです。
1章の「手数料」のところでもお伝えしたように、少しの手数料の差が、将来受け取る運用成績に大きな差をもたらします。長期間で見るとインデックスファンドが圧勝となる理由がここにあります。
理由その②投資家の期待が運用方法に影響を与えているから
アクティブファンドは投資家から預かった資金を、プロのファンドマネージャーが投資先を選んで投資をしています。投資家は高い手数料を払ってでもそのプロにお願いしていますから、1年や3年と言った比較的短い期間での結果を求めてしまいがちです。そのため、運用担当者(ファンドマネージャー)はどうしても目先の成果を求めてしまいます。
そうなると、5年先や10年先を見据えた投資をすることができなくなってしまいます。ファンドマネージャーの運用レベルや判断が結果に大きく関わってしまいます。
理由その③運用資金が大きくなると、中小型株に投資ができなくなる
ファンドの運用資金が大きくなると、投資先が限定されてしまいます。
特に、現在割安で今後成長が見込める中小型銘柄に投資をできなくなってしまいます。なぜなら、そのような企業は時価総額が小さいことがほとんどなので、規模が大きくなりすぎたアクティブファンドが投資をすると、中小型の企業を買収することになってしまうからです。
選んではいけない投資信託3選
前章では、選ぶべき投資信託の種類は「インデックスファンド」であること、そしてその理由をお伝えしましたが、ここでは選んではいけない投資信託を紹介していきたいと思います。
大切な資産を減らさないためにも、気をつけるべき投資信託の種類をみていきましょう。
・ブル・べア型の投資信託
・毎月配当金ありの投資信託
それぞれ詳しく解説していきます。
純資産総額が減少している投資信託
第1章の「投資先の資産規模を確認する」の項目でお伝えしましたが、大切なことなので再度お伝えしたいと思います。
純資資産額が減少している投資信託への投資はしてはいけません。
なぜなら純資産総額が減少し続けた場合、繰上償還のリスクが伴ってしまうからです。繰上償還とは、あらかじめ決められた満期日(償還予定日)を待たずに、強制的に償還されてしまうことです。要は、投資している投資信託が解散になってしまい、せっかくの長期運用がストップしてしまうことになります。
長期間運用をしたいと思っていても、強制的に投資ができなくなるのは避けたいですよね。そうならないためにも、純資産総額の推移は確認しておくようにしましょう。確認の方法は第1章「投資先の資産規模を確認する」の項目に記載しています。
ブル・ベア型の投資信託
投資信託を選ぶ際に「ブル」や「ベア」といった言葉が入っている投資信託をみたことがある方も多いのではないでしょうか。
下記の図は、SBI証券の投資信託「販売金額人気ランキング」になります。分類に注目してください。2位と4位に「ブルベア」と入っています。
ランキング上位に入っていることは、きっといい商品に違いない!投資する価値がある!と思ってしまってしませんか。しかしブルベア型の投資信託は注意が必要です。
まず「ブル」と「ベア」の意味から説明していきたいと思います。
「ブル」とは雄牛という意味で、角を下から上へ突き上げる仕草から「上昇相場」示します。
「ベア」とは熊という意味で、熊が前足をおろす仕草から「下落相場」を示します。
ベンチマークとなる株式指標と同じ動きをするのが「ブル」逆の動きをするのが「ベア」です。
ブルベア型の投資信託は、レバレッジをかけているので、大きな損失がでてしまう場合があります。
レバレッジとは
てこの原理のこと。その意味は小さな力で大きなものを動かすことができる仕組みを指します。
要は、借入を利用することで、自己資金のリターン(収益)を高める効果が期待できます。借金をして投資をすることになるのでリスクが大きくなるデメリットも存在します。
ブル・ベア型投資信託は、通常のインデックス・ファンドに比べて何倍も大きな値動きをする仕組みになっています。
例えば、4.3倍ブルであれば、通常の上昇より4.3倍されることになります。株式市場が2%上昇した場合、インデックス・ファンドであれば同じく2%程度上昇することが予想されますが、ブル型投資信託の基準価額は「2%×4.3=8.6%」程度上昇することが見込まれます。しかし株式市場が2%下落した場合、このブル型投資信託の基準価額は「▲2%×4.3%=▲8.6%」程度も下落することが見込まれます。
具体的な例でいうと、コロナショックで株価が40%下がった場合、4.3倍もマイナスがかかるので、元本が吹き飛んで借金を背負うことになります。
大きな損失を出さないためにも、このような投資信託には手を出さないようにしましょう。
毎月配当金ありの投資信託
毎月配当がもらえるのであれば、投資をしていることを実感できるし嬉しいですよね。
しかし毎月分配金ありの投資信託も注意が必要です。その理由は以下の2つです。
- 資産の増え方が緩やかになってしまう
- 投資元本が減ってしまう恐れがある
資産を積極的に増やしていきたいのであれば、投資ででた利益は分配金として受け取らずに、再投資に回すようにしましょう。投資で出た利益を投資元本にプラスして再投資することで、新たな利益が生み出され、膨らんでいく「複利の効果」を利用して資産を増やしていくことをオススメします。
投資で出た利益を受け取る場合(単利)と、再投資に回す場合(複利)とでどれくらい運用結果に差があるかは、こちらの記事「図でわかる複利の凄さ!複利効果を発揮するために必要な2つのこと」で詳しく解説しています。参考にしてみてください。
毎月配当金ありの投資信託の場合、毎月必ず配当を出さなければいけません。運用がうまくいっていれば問題ありませんが、運用がうまくいっていない場合、配当金はどこからまかなわれているか知っておく必要があります。
運用がうまくいっていない時の配当金は、実は投資元本からでています。投資元本を削って配当金を出しているのです。これを「特別分配金」と言います。
投資元本が減ると相対的にリターンも減ってしまうことになります。
資金を増やそうと思って始めた投資が、逆に資産を減らす結果になってしまいます。
毎月分配型の投資信託は選択しないようにしましょう。
下記記事では、投資信託選びに失敗しない方法を記載していますので、気になる方はチェックしてみてください。
「投資信託の失敗実例と回避方法-投資する前に知っておくべき3つのこと」
投資家11人に聞いた!オススメの投資信託ベスト3
これまで
- 投資信託の選び方手順
- 投資初心者が選ぶべき投資信託はインデックスファンド
- 選んではいけない投資信託
について詳しく解説してきましたが、投資家が実際に選んでいる投資信託はどれなのか気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで、弊社に所属する投資家11人にオススメの投資信託を教えてもらいました!
その結果がこちらです。
それぞれの理由がこちらです。
“1位:eMAXIS SLIM S&P500”
- 世界一の投資家バフェットさんが自分の死後の遺産運用の大半をこれに託したほど、成長力のある指数に連動しているから。厳しい基準で銘柄の入れ替えがなされており、世界最強のアクティブファンドという意見もあります。
- S&P500は、やはり鉄板。安定右肩上がり。1つは取り入れておくべき商品。
- 信託報酬の安さ。アクティブ運用しなくても、銘柄入れ替えしてくれているので、SP500で良いのではとも思います。
- まずはアメリカのS&P500は長期投資対象として有力なため。また手数料が非常に安い。
“2位:eMAXIS NASDAQ100”
- 米国の主要ハイテク企業が多く、成長力はS&P500以上。ただしリスクも大きいため、S&P500投信より比率を少なめに投資した方がいいと思います。
- テクノロジーファンドのほうが伸び率がS&P500よりも高い。
- 米国のハイテク系大企業に投資ができるため、より成長性に期待できるため。ネックはS&P500や全米株式と比べると手数料が高め。
“3位:eMAXIS SLIM 全世界株式”
- 信託報酬の安さ。コスパ。
- 日本株は個別株でやっているので、それ以外の世界ということで。手数料も安いので。
投資家が選ぶオススメ投資信託とその理由を、ご自身の投資信託選びの参考にしてみてください。
※特定の投資商品を勧めているわけではありません。あくまで投資は自己責任になります。
投資信託を選ぶ際に最も重要なこと
投資信託を選ぶ際に最も重要なことは「学び」です。
この記事では投資信託の選び方をお伝えしてきましたが、投資信託の選び方にはいくつかポイントがあることを知っていただけたと思います。投資信託(プロに運用を任せる)と言えども投資に変わりはありません。
投資信託で失敗しないためにも、資産を増やしていける投資信託を選ぶためにも、ちゃんとした「人」や「場所」から教えてもらう時間が必要です。
弊社の運営するGlobal Financial School(グローバルファイナンシャルスクール)では、「投資信託の達人コース」というものも用意されていますので、効率よく投資信託をマスターすることが可能です。
“「投資信託の達人コース」の目標”
このコースでは投資信託の判断基準をより実践的に学習し、主にインデックス・ファンドを中心にご自分で投資信託の判断ができるようになっていただくことが目標です!
このコースの学習にかかる時間は8時間46分(1本あたり約25〜30分)計20本の講義動画をご用意しています。GFSでオススメする「2倍速」で再生すると半分の時間で視聴できます。
さらに投資信託を極めたい方は、コース以外の動画を視聴することも可能です。現在Global Financial School では投資信託に関連する講義が135本あります。
ご自身が疑問に思うところ、解消したいところを視聴することで、極限まで失敗することを減らした投資信託を選ぶことができます。一流の講師陣が分かりやすく解説していますので、投資初心者の人も理解することが可能です。また、これらの動画は24時間いつでも視聴することができます。
GFSでは、オンラインで視聴できる無料体験講座も実施していますので、興味のある方はぜひご参加ください。
今なら無料セミナーの特典として「投資信託 完全攻略ガイド」もプレゼントしています!
今回この記事では載せられなかった更に詳しい内容が40ページ以上にわたり投資信託の選び方が記載されていますので、気になる方はぜひ無料のセミナーに参加をし「投資信託完全攻略ガイド」を受け取ってください。
投資信託の選び方に関するQ&A
ここでは投資信託の選び方疑問にお答えします。
- 投資信託を選ぶときに何をチェックすればいいですか?
投資信託を選ぶときに何をチェックすればいいですか?
投資信託を選ぶときは下記の7つの項目をチェックして選びましょう。
①投資先を選ぶ前に資産の種類を選ぶ
まずは大まかな資産の種類を選びましょう。資産の種類には「国内株式」「国内債券」「国内不動産」「外国株式」「先進国」「新興国」「外国債券」「外国不動産」などがあります。そして自分がどのくらいのリスクを取れるのか考えてみましょう。リスクとリターンがともに小さいのは「国内債券」、リスクとリターンが共に中くらいなのが「先進国債券」「バランス(複合型資産)」「新興国債券」、リスクとリターンが共に大きいのが「国内、海外株式」、「国内、海外リート」です。
②商品数が多く手数料の安い金融機関で投資先を探す
商品数が多く手数料の安い金融機関で投資先を探しましょう。なぜなら金融機関によって扱っている商品数や手数料が異なるからです。
SBI証券や楽天証券といったネット証券は商品数も多くコストも安いので、そのような証券会社を利用することをオススメします。
③投資先と投資対象を決める
①で大まかな資産の種類を決められたと思うので投資先と投資対象を選びましょう。外国株式を選んで米国株を選んだとします。そしてさらに投資先を選びます。この場合投資信託でS&P500を選んだとします。このS&P500の投資対象や投資先を目論見書で確認して、投資するかどうか決めましょう。
④投資先の資産規模を確認する
投資先が決まったら投資規模を確認しましょう。投資信託の場合、「純資産総額」をチェックします。この純資産総額が最低でも50億円以上、できれば100億円以上の投資信託を選ぶようにしましょう。なぜなら投資家から注目がされていると安定して運用されているからです。純資産総額が極端に少ない商品を選ぶと、投資している投資信託が解散になる繰上償還になりかねません。そうすると長期運用がストップしてしまいます。
⑤運用実績を確認する
次に運用実績を確認しましょう。過去の実績をみて右肩上がりの投資先に投資をしましょう。先程の④で説明したように繰上償還のリスクヘッジのためでもあります。運用実績は目論見書で確認できます。
⑥手数料を確認する
手数料を確認しましょう。投資信託の手数料は購入時、運用中、売却時に発生します。購入時の手数料はノーロードと呼ばれ無料の投資信託もあります。そして売却時の手数料も無料の場合がありますので目論見書でしっかりチェックしましょう。運用中の手数料はどうしても発生してしまいますので、できるだけ低いものを選ぶようにしましょう。
例えば毎月3万円の積立投資を年率5%、20年間運用したとします。手数料0.09%と手数料2%の2パターンでみてみます。20年後の総額は下記のようになります。
手数料0.09%の場合:1,210万円
手数料2%の場合:983万円
227万円もの差が出るので、手数料を甘く見てはいけないことがわかると思います。
⑦信託期間を確認する
最後に信託期間を確認しましょう。できるだけ無期限のものを選ぶようにしましょう。長期投資目的ではじめた投資がわずか数年くらいで終わりにならないようにするためです。こちらも目論見書から確認ができます。
まとめ
今回の記事では、投資信託の選び方についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
本日の内容をまとめましたの、ぜひ投資信託選びの参考にしてみてください。
- Step1 投資先を選ぶ前に資産の種類を選ぶ
- Step2 商品数が多く手数料の安い金融機関で投資先を探す
- Step3 投資先と投資対象を決める
- Step4 投資先の資産規模を確認する
- Step5 運用実績
- Step6 手数料
- Step7 信託期間
- インデックスファンドとは
→指数と同じ値動きを目指す投資信託 - アクティブファンドとは
→指数以上の値動きを目指す投資信託 - アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない3つの理由
→信託報酬(運用時のコスト)が高いから
→投資家の期待が運用方法に影響を与えているから
→運用資金が大きくなると、中小型銘柄に投資ができないから
- 純資産総額が減少している投資信託
- ブル・ベア型の投資信託
- 毎月配当金ありの投資信託
- eMAXIS SLIM S&P500
- eMAXIS NASDAQ100
- eMAXIS SLIM 全世界株式
- 投資信託を選ぶ際に最も重要なことは「学び」
- グローバルファイナンシャルスクールでは「投資信託の達人コース」で投資信託をマスターできる
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