株式投資の主要指標を一覧で解説

株式投資を始めるにあたって、どの銘柄を選ぶか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そんな時に役立つのが、株価や企業の財務状況を示す様々な指標です。この記事では、初心者の方でも理解しやすいよう主要な指標を一覧表にして一つ一つ解説していきます。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

 

株式投資でよく使われる基本指標

株式投資において、銘柄選びの判断材料となる様々な指標があります。これらの指標を理解し、使いこなすことで、より精度の高い投資判断を行うことができます。下記にファンダメンタルズ分析とテクニカル分析でよく使われる指標のまとめで解説をしています。

 

ファンダメンタル分析指標

PER(株価収益率)

1株あたりの利益に対して株価が何倍になっているかを示す指標。低いほど割安と判断されることが多いですが、業種によって適正なPERは異なります。

PBR(株価純資産倍率)

1株あたりの純資産に対して株価が何倍になっているかを示す指標。1倍を下回ると純資産以下で株を購入できるため、割安と判断されることが多いです。

ROE(自己資本利益率)

自己資本に対する当期純利益の割合を示す指標。高いほど効率的に利益を生み出していることを意味します。

EPS(一株当たり利益)

1株あたりにどれだけの利益が生み出されているかを示す指標。EPSが増加傾向にある場合は、企業の成長が期待できます。

BPS(一株当たり純資産)

1株あたりの純資産額を示す指標。BPSが増加傾向にある場合は、企業の財務体質が改善している可能性があります。

ROA(純資産利益率)

総資産に対する当期純利益の割合を示す指標。ROEと同様に、高いほど効率的に利益を生み出していることを意味します。

配当性向

当期純利益のうち、どれだけの割合を配当に回しているかを示す指標。高いほど株主への還元意識が高いと考えられます。

配当利回り

1株あたり年間配当額を株価で割った割合を示す指標。高いほど高配当であることを意味します。

自己資本比率

自己資本が総資産に占める割合を示す指標。高いほど自己資金で経営している割合が高く、財務体質が安定していると考えられます。

流動比率、当座比率

短期的な支払い能力を示す指標。これらの比率が低い場合は、短期的な資金繰りが厳しくなる可能性があります。

固定比率

固定資産が総資産に占める割合を示す指標。高い場合は、設備投資に多く資金を投じており、事業拡大を目指している可能性があります。

負債比率

負債が総資産に占める割合を示す指標。高い場合は、借金が多いことを意味し、財務リスクが高いと考えられます。

テクニカル分析指標

移動平均線

一定期間の株価の平均値を線で結んだもの。短期、中期、長期の移動平均線を比較することで、株価のトレンドや支持線・抵抗線を判断します。

MACD

移動平均線から算出される指標で、株価の勢いやトレンド転換点を把握するのに役立ちます。

RSI

株価の値動きが過熱状態にあるか、それとも売られすぎの状態にあるかを判断する指標です。

ローソク足

1日の高値、安値、始値、終値を図形化したもので、株価の動きを視覚的に捉えることができます。

これらの指標を単独で判断するのではなく、複数の指標を組み合わせることで、より総合的な分析を行うことが重要です。また、企業の業績や業界の動向、経済状況など、様々な要因を考慮しながら投資判断を行うようにしましょう。

 

株式投資の基礎知識

株式投資を行う上で指標の他に最低限知っておいてほしいファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の知識についてまとめました。

ファンダメンタルズ分析とは?

企業の本質的な価値を評価し、投資判断を行うための分析手法です。企業の財務状況、事業内容、業界の動向、経済状況など、様々な要素を総合的に分析することで、その企業の将来性を評価します。

ファンダメンタルズ分析でよく用いられる資料

◆財務諸表 
・貸借対照表(B/S): 企業の資産、負債、純資産の状況を一覧にしたもの。
・損益計算書(P/L): 企業の収益と費用を一覧にしたもの。
・キャッシュフロー計算書(C/F): 企業のお金の動き(現金の増減)を一覧にしたもの。

これらの財務諸表を分析することで、企業の収益力、財務体質、将来の成長性などを評価できます。

貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書については下記に記事でもそれぞれ詳しく解説していますのでさらに勉強したい場合はこちらもお読みください。

貸借対照表とは何か?わかりやすく完全解説

損益計算書とは?見方を初心者にわかりやすく解説!

キャッシュフロー計算書とは?初心者にもわかりやすく解説

業界分析・経済状況を把握する

ファンダメンタルズ分析において、企業を取り巻く環境を分析することで、企業の将来性をより深く理解することができます。

業界分析

業界分析とは、特定の業界の現状や将来性を多角的に分析することで、その業界に属する企業の強みや弱み、そして今後の成長可能性を評価する作業です。

業界の成長性を見ることで、その業界が今後拡大していくのか、それとも縮小していくのかという大まかな方向性を把握できます。例えば、再生可能エネルギー業界は環境意識の高まりとともに成長が期待できる一方、従来型の石炭火力発電業界は衰退傾向にあると言えるでしょう。

競合状況の分析では、その業界で競合他社がどのような製品やサービスを提供しているのか、それぞれの市場シェアはどの程度なのか、そして自社製品との差別化ポイントはあるのかなどを詳しく調べます。競合他社との比較を通じて、自社の強みと弱みを明確にし、競争優位性を築くための戦略を立てることができます。

規制環境は、企業の事業活動に大きな影響を与える要因の一つです。業界によっては、政府の規制が厳しく、新規参入が難しかったり、既存企業の事業活動が制限されたりすることもあります。規制の変化は、企業の収益や成長に大きな影響を与えるため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。

技術革新は、業界の競争環境を大きく変える可能性があります。新しい技術の登場によって、既存の製品やサービスが陳腐化したり、新たな市場が開拓されたりするケースも少なくありません。技術革新への対応は、企業の存続と成長に不可欠です。

 

経済状況

経済状況は、企業の経営活動に大きな影響を与えます。企業は、単独の組織として存在しているのではなく、社会という大きな経済システムの中に組み込まれており、そのシステムの動きに大きく左右されるからです。

GDP成長率は、国全体の経済活動の活発さを示す指標です。GDPが大きく伸びている時期は、企業の売上も増加しやすく、投資家にとっては魅力的な環境となります。しかし、逆にGDPが縮小している時期は、企業の業績も悪化しやすく、投資には注意が必要となります。

金利は、企業が資金を調達する際の費用を決定する重要な要素です。金利が上昇すると、企業はより高いコストで資金を調達しなければならなくなり、利益率が低下する可能性があります。一方で、銀行などの金融機関は、金利上昇によって収益が増加する可能性があります。

為替は、特に輸出入企業の業績に大きな影響を与えます。自国通貨が外国通貨に対して上昇すると、輸出企業の製品は海外で高くなってしまい、輸出が減少する可能性があります。逆に、輸入企業にとっては、輸入コストが低下し、収益が改善する可能性があります。

インフレ率は、物価の上昇率を示す指標です。インフレが進むと、企業は原材料や人件費などのコストが増加し、収益が圧迫される可能性があります。また、消費者も購買意欲が低下し、企業の売上も減少する可能性があります。

このように、経済状況は、企業の業績に様々な形で影響を与えます。投資をする際には、これらの経済指標をしっかりと分析し、企業の将来性を評価することが重要です。

まとめると、経済状況は企業の経営環境を大きく左右する要素であり、GDP成長率、金利、為替、インフレ率といった指標も分析することで、企業の将来性をより深く理解することができます。

下記の記事ではファンダメンタルズ分析について解説しています。さらに詳しく知りたい人は合わせてお読みください。

株のファンダメンタルズ分析とは?必要性や方法をわかりやすく説明

テクニカル分析とは?

テクニカル分析とは、過去の株価の動きをチャートで視覚化し、そこから将来の株価の動きを予測しようとする分析手法です。株価は、企業の業績だけでなく、投資家の心理や市場の需給関係など、様々な要因によって変動します。テクニカル分析では、これらの要因が複雑に絡み合って形成された過去の株価の動きにこそ、将来の株価を予測するためのヒントが隠されていると考えています。

ローソク足チャートの見方 

ローソク足チャートは、株価の始値、高値、安値、終値を視覚的に表したものです。ローソク足一つ一つが、ある期間(1日など)の株価の動きを表しており、複数のローソク足を繋げることで、株価の推移をより詳細に把握することができます。

・陽線と陰線:終値が始値より高いものを陽線、低いものを陰線といいます。陽線は買いが優勢だったことを、陰線は売りが優勢だったことを示唆します。

・ひげ:上ひげは高値と終値(陽線の場合)または始値(陰線の場合)の差、下ひげは安値と始値(陽線の場合)または終値(陰線の場合)の差を表します。ひげの長さによって、その日の株価の動きがどの程度活発だったかなどを推測することができます。

ローソク足チャートは、単体で見ると意味が分かりづらいですが、複数のローソク足を組み合わせることで、様々なパターンが現れます。これらのパターンから、株価のトレンドや転換点などを読み解くことができます。

下記の記事にはローソク足についてさらに解説しています。ローソク足について詳しく勉強したいかたはこちらもお読みください。

初心者が損をしないためのローソク足の見方12の視点

トレンドライン、サポートライン、レジスタンスライン

・トレンドライン:株価の動きを線で結んだもので、上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場などを把握できます。
・サポートライン:株価が下落してきたときに支えとなる水準。このラインを下回ると、さらに下落する可能性が高くなります。
・レジスタンスライン:株価が上昇してきたときに抵抗となる水準。このラインを上回ると、さらに上昇する可能性が高くなります。

これらのラインは、過去の株価の動きから導き出されるものであり、将来の株価の動きを予測する上で重要な参考資料となります。

テクニカル分析の注意点

・過去のデータに基づくテクニカル分析は、それに基づいて将来を予測するため、必ずしも将来の株価の動きを正確に予測できるわけではありません。
・テクニカル分析だけでなく、ファンダメンタル分析なども合わせて行うことで、より確度の高い投資判断を行うことができます。
・ 市場環境は常に変化しているため、過去のデータが必ずしも将来に当てはまるとは限りません。

テクニカル分析は、株式投資において非常に重要なツールの一つですが、あくまでも一つの参考資料として活用することが大切です。 

 

まとめ

株式投資の指標や基本的な分析知識について学ぶことできたでしょうか。投資を始めるときには勉強することが必ず必要です。そうすると大きな失敗を回避することも可能だから私たちも日々勉強しています。もっと踏み込んだ投資知識の勉強をしたい場合はよろしければ今無料のオンラインの『投資の達人講座』という講座があります。投資について無料で学べるのでお気軽に受講してみてください。
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