「株式投資でよく聞く『ファンダメンタルズ』って何のこと?」
「ファンダメンタルズ分析って効果あるの?やらなきゃいけないの?」
投資をしているとこんな疑問を持つことも多いのではないでしょうか。
「ファンダメンタルズ」とは、経済や経営の状況を表す「経済指標」のことです。
株式投資では、この「ファンダメンタルズ」を使って投資先を選ぶ「ファンダメンタルズ分析」という分析方法がよく利用されます。
「ファンダメンタルズ分析」とは、投資先の企業について「将来性はどうか」「収益力はあるか」といった企業価値を測る方法です。
ファンダメンタルズ分析をすることで、業績不振の会社に投資をしたり、倒産直前の会社に投資したりといった投資の失敗を避けることができます。
ファンダメンタルズ分析を優良な投資先を選ぶ手法のひとつとして、ぜひ把握しておくことをおすすめします。
本文では、「ファンダメンタルズ分析」の内容や必要性、メリット・デメリットを紹介します。
▼この記事で分かること
- 株のファンダメンタルズ分析とは
- ファンダメンタルズ分析の必要性
- ファンダメンタルズ分析のメリット
- ファンダメンタルズ分析のデメリット
- ファンダメンタルズ分析をするべき人
- ファンダメンタルズ分析のやり方
- ファンダメンタルズ分析をする場合の注意点
最後まで読むことで、特にファンダメンタルズ分析をやるべき人も分かります。ファンダメンタルズ分析には欠点もあり利用の際に気を付けるべき点もあるため、ぜひ最後まで、目を通してみてください。
なお、以下の記事で株式投資の勉強について網羅的に紹介していますので、投資初心者の方はこちらもぜひ参考にしてみてください。
【投資の勉強】初心者はこの記事だけ読めばOK!基礎知識が身につく完全ロードマップ
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
株のファンダメンタルズとは?
冒頭でも触れましたが、「ファンダメンタルズ」とは「経済指標」のことです。
株式投資ではこの「ファンダメンタルズ」を使って「ファンダメンタルズ分析」という企業の投資価値を測る分析を行います。
ここでは、ファンダメンタルズ分析では、実際にどのような「ファンダメンタルズ(指標)」を使い、どのような「企業価値」を測っているのかを具体的に解説していきます。
1-1.株におけるファンダメンタルズとは企業の財務指標のこと
「ファンダメンタルズ」とは、「経済の基礎的条件」と翻訳され、国や企業の経済状態を表す指標のことを指します。
例えば、国のファンダメンタルズは、経済成長率、物価上昇率、財政収支といった指標をいい、企業のファンダメンタルズズは、売上高や純資産といった業績や資産、負債などの財務指標をいいます。
特に株価投資において「ファンダメンタルズ」は、各投資先企業の売上高や純資産などの財務指標のことを指します。
あるいは、ファンダメンタルズという言葉で、「ファンダメンタルズ分析」のことを指す場合もあります。
1-2.ファンダメンタルズ分析とは企業の財務状況を分析すること
「ファンダメンタルズ分析」とは株式投資の銘柄選びに使われる分析方法です。
「ファンダメンタルズ分析」は売上高や営業利益といった企業財務の基礎データから、その企業に成長性があるか、倒産しないか、収益性はあるかといった企業価値を探る方法です。
企業価値が高く将来株価が上がると判断できた場合は、投資価値があるとして投資対象にします。
株式投資において「ファンダメンタルズ分析」とよく比較される分析手法に「テクニカル分析」という方法があります。
「テクニカル分析」とは、銘柄の株価や売買実績(出来高)をグラフ化したチャートからパターンを分析し、将来の値動きを予測する分析手法のことです。
「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の大きな違いは、分析に使う対象が財務データか株価データかという点です。
1-3. ファンダメンタルズ分析で使われる指標の具体例
ファンダメンタルズ分析に使われる具体的な指標について紹介します。
1-3-1. ファンダメンタルズ分析に使うデータは企業の決算短信や有価証券報告書に記載のデータ
ファンダメンタルズ分析で使用する指標は、企業が「決算短信」や「有価証券報告書」で公表する下記財務諸表上にあるデータがもととなっています。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
決算短信では四半期ごとに、有価証券報告書ではデータは年1回更新されます。
1-3-2. ファンダメンタルズは「成長性」「収益性」「安全性」「割安・割高」といった分析する目的別に分類される
ファンダメンタルズ分析で使用されるファンダメンタルズ(指標)は、目的別に下記のように分けられます。
ファンダメンタルズ分析では、多くの指標を使って
- 「成長性」:企業に成長性があるかどうかを判断する
- 「収益性」:企業に収益力があるかどうかを判断する
- 「安全性」:企業に事業継続性があるかどうか、倒産しないかどうかを判断する
- 「割安・割高性」:企業価値に対して株価が割安か割高か
といったさまざまな角度から企業価値を分析します。
1-3-3. ファンダメンタルズの主要指標一覧
ファンダメンタルズ分析の主要指標を一覧にまとめると下記の通りです。
【ファンダメンタルズ分析に使用する主要指標一覧】
■成長性を測る指標
EPS(一株当たり利益率) | 1株当たりで会社がどれだけの利益をあげているかを判断する指標 |
BPS(一株当たり純資産) | 1株当たり純資産がどのくらいあるかを示す指標 |
総資本増加率 | 前期に比べて資本が増加しているかどうかを見る指標 |
財務キャッシュフロー | 銀行からの借入や返済などの資金の流れを表す指標 |
投資キャッシュフロー | 投資のための資金の流れを表す指標 |
■収益性を測る指標
売上高営業利益率 | 売上高に対する営業利益の割合 |
売上高経常利益率 | 売上高に対する経常利益の割合 |
ROE(自己資本利益率) | 自己資本に対する純利益の割合 |
ROA(純資産利益率) | 総資産に対する純利益の割合 |
■安全性を測る指標
自己資本比率 | 純資産に対する自己資本の割合 |
流動比率 | 流動資産を流動負債で割った値 |
財務キャッシュフロー | 銀行からの借入や返済などの資金の流れを表す指標 |
営業キャッシュフロー | 営業活動による資金の流れを表す指標 |
■株価の割安・割高を測る
PER(株価収益率) | 1株当たり純利益に対する株価の割合 |
PBR(株価純資産倍率) | 1株当たり純資産に対する株価の割合 |
配当利回り | 株価に対する1株当たり配当金の割合 |
なお、それぞれの指標の見方・使い方については「6-1. 指標の見方・使い方」を参照してください。
株でファンダメンタルズ分析ってやったほうが良いの?
ファンダメンタルズ分析は、多くの指標を確認する手間がかかるうえ「効果がない」と言われてしまうこともあるため、「ファンダメンタルズ分析って本当にやったほうが良いの?」と思う人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、投資先を選ぶときにはファンダメンタルズ分析をすることをおすすめします。特に中長期の株式投資において、ファンダメンタルズ分析はやるべきと言えます。
ではなぜファンダメンタルズ分析でやるべきなのかを以下の点で解説していきます。
- ファンダメンタルズ分析は何に使うのか
- ファンダメンタルズ分析はいつ使うのか
では具体的に上記の2点を見ていきましょう
2-1.ファンダメンタルズ分析は何を買うかという投資先選びに使う
ファンダメンタルズ分析は、何を買うかという投資先を選ぶときに有効な分析方法です。投資先を選ぶ際にはぜひ活用しましょう。
株式投資とは本来、今後成長し続けると期待される企業に投資し、その後成長に見合った株価になったところで利益を得るという投資方法です。銘柄選びをする際に、投資しようとしている企業が今後成長し続けるかどうかを判断できる方法が、ファンダメンタルズ分析です。
ファンダメンタルズ分析をすることで、「この企業は収益を伸ばしていきそうか」「万が一倒産した場合にはどれくらい回収できそうか」といったことを知ることができます。
ファンダメンタルズ分析は投資先を選ぶ際に使うべき分析方法と言えます。
株初心者でも上がりやすい株を見つける10の項目 の記事で、成長しやすい株を見つけるポイントを紹介していますので、参考にしてみましょう。
2-2.ファンダメンタルズ分析は長期投資の際に有効な選定方法
ファンダメンタルズ分析は特に中長期投資の際に有効な選定方法と言えます。
中長期投資で利益を上げるためには、特に企業が今後順調に成長していくかといった「将来性」や今後倒産する危険性はないかといった「安全性」を確認することが大切です。このため、ファンダメンタルズ分析を行うことが重要と言えます。
中長期投資をする際には特にファンダメンタルズ分析を行うようにしましょう。
ただし、ファンダメンタルズ分析は、短期投資においてはあまり効果を発揮できません。短期的な株価の変動には、企業価値よりも、その時の経済情勢や流行に大きく左右されるからです。短期投資の場合には、下記に紹介するテクニカル分析を使うようにしましょう。
テクニカル分析で確認された株価のトレンドは短期的な相場に反映されやすいため、「テクニカル分析は短期投資において効果を発揮する分析方法」と言われています。
ファンダメンタルズ分析の効果が現れにくい短期投資の場合には、テクニカル分析を使うようにしましょう。
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ファンダメンタルズ分析のメリット
ファンダメンタルズ分析が、銘柄選びの際や中長期投資の場合に重要であることをお伝えしました。
ここではさらに、ファンダメンタルズ分析のメリットについて紹介します。
銘柄選びの際には、メリットを十分に生かして、ファンダメンタルズ分析を行うようにしましょう。
3-1. 中長期投資に効果がある
ファンダメンタルズ分析は、中長期投資に効果がある分析方法です。
株価は短期的にはそのときの経済情勢や人気で短期的に上下しますが、長期的には優良企業であればその企業に見合った株価に収束していくと考えられています。
ファンダメンタルズ分析であれば、企業の本質的価値を把握し優良企業を見つけることができ、中長期にわたって投資することで利益を上げることが期待されます。
このためファンダメンタルズ分析は、中長期投資に効果があると言えます。
3-2. 決算発表前後に株価が動くことを予測してリスク管理ができる
ファンダメンタルズ分析では、決算発表前後に株価が動くことに注意してリスク管理をすることができます。
実際のところ、ファンダメンタルズ分析で使う「売上高」「純利益」などの最新の指標が公表される決算日前後には、株価が動く傾向があります。発表された値で業績がよくなったことが分かれば株価が好転したり、悪くなったことが分かれば下落に転じたりします。
ファンダメンタルズが公表される前後は株価が動くことが予想されるため、決算日前後は売買を控えるなど、短期的な変動の影響を避けるといったリスク管理が可能となります。
3-3. 株価が割安なのか割高なのかを判断できる
ファンダメンタルズ分析は、企業の本質的な価値を把握できるため、株価がその企業の価値に比べて割安なのか割高なのかを判断することができます。
株価の推移だけを見ていても、その株価がその銘柄にとって割安な価格か割高な価格かどうかは分かりません。しかし、ファンダメンタルズ分析では、企業価値と株価を比較し割安か割高かを把握することができます。
適性価格より低く割安な場合は、今後、適性価格へと株価が上昇することが期待できるため、投資先として望ましいと判断できます。
このようにファンダメンタルズ分析では、株価が割安か割高か判断できるため、株式投資に役立ちます。
ファンダメンタルズ分析のデメリット
ファンダメンタルズ分析にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
ファンダメンタルズ分析の欠点もよく理解して、欠点は他の方法で補うようにしましょう。
4-1. 短期投資に向いていない
ファンダメンタルズ分析は、短期投資に向いていない点がデメリットと言えます。
ファンダメンタルズ分析で企業価値が高いと判断できても、その価値がすぐに株価に反映されるとは限りません。
株価は、その時期の経済情勢を反映して動くこともあるため、企業の価値が高くても経済環境の悪さで株価が下がることもあります。
ファンダメンタルズ分析の結果は、短期的な株価の変動には現れにくいため、短期投資での効果は低いと言えます。
4-2. 分析に手間がかかる
ファンダメンタルズ分析は、分析に手間がかかることもデメリットと言えます。
ファンダメンタルズ分析に使うデータは、各会社が発表している有価証券報告書や決算短信が出典となっています。出典からデータを取る場合は相当な手間がかかります。また多くの指標を確認しなければならないため、確認の手間や時間もかかります。
ファンダメンタルズ分析は手間と時間がかかるため、証券会社のサイトや投資情報サイトの指標検索ツールを利用するなど、手間を省くツールを活用するようにしましょう。
4-3. 機関投資家などプロの投資家に比べて情報の量やスピードにハンデがある
機関投資家などプロの投資家に比べて情報の量や情報を入手するスピードにハンデがあることもデメリットです。
機関投資家などプロの投資家もファンダメンタルズ分析を行っています。ただし機関投資家等の場合は、ファンダメンタルズ分析をするためのシステムが整っており、分析用のデータも企業が発表すればすぐに使いやすい形で入手でき分析できるケースがほとんどです。
また、機関投資家は、一般の人では入手しにくい業界事情などの情報もまめにチェックをしています。
一般の個人投資家は情報を入手する体制が、機関投資家やプロの投資家ほど整っていないため、情報量やスピードにハンデがあると言えます。
ファンダメンタルズ分析をするべき人
ファンダメンタルズ分析にはメリット・デメリットがあることをご紹介しました。
ファンダメンタルズ分析のメリット・デメリットを踏まえたうえで、ファンダメンタルズ分析をおすすめしたい人は、次のような人です。
以下で詳しく解説していきます。
5-1. 中長期投資で結果を出したい人
中長期投資で結果を出したい人には、ファンダメンタルズ分析をおすすめします。
中長期投資をする際には、今後企業が継続して収益を上げていけるかどうかといった「収益性」や投資先の会社が潰れないかどうかといった「安全性」などを把握しておく必要があります。
高い価値を持つ企業を把握するためにも、中長期投資をする人は、ファンダメンタルズ分析をするようにしましょう。
5-2. 経済情勢に敏感で企業・経営に興味がある人
経済情勢に敏感で、企業や経営に興味がある人は、ファンダメンタルズ分析をすることがおすすめです。
経済情勢に敏感で、企業や経営に関心がある人は、成長率や利益率といった経済指標を使い慣れており、比較的負担なくファンダメンタルズ分析を使いこなすことができると言えます。
経済情報を使い慣れていて経営に興味がある人は、ファンダメンタルズ分析を効果的に使いこなせるケースが多いため、ファンダメンタルズ分析の利用をおすすめします。
5-3. 根拠をもって堅実な投資をしたい人
はやりや好き嫌いで株を買うといった運に任せた投資をするよりも、データに基づくなどの根拠をもって堅実な投資をしたい人は、ファンダメンタルズ分析をすることがおすすめです。
ファンダメンタルズ分析は機関投資家やプロの投資家も実践している企業価値を測る分析手法です。広く活用され定評のある分析方法でもあるため、分析結果などの裏付けをもって投資をしたい人は、ファンダメンタルズ分析をおすすめします。
ファンダメンタルズ分析のやり方
ここでは、ファンダメンタルズ分析をやってみたいという人のために、ファンダメンタルズ分析を実際に行うときのやり方を解説します。
下記の点について順に見ていきましょう。
- ファンダメンタルズ分析の指標の見方・使い方
- 指標をどこで見るか
6-1. ファンダメンタルズ分析の指標の見方・使い方
ファンダメンタルズ分析で使う主な指標の見方・使い方について見ていきましょう。
ファンダメンタルズ分析では、指標を使って下記のように多方面から企業価値を測り投資をするかどうか総合的に判断します。
【ファンダメンタルズ分析で測る企業価値】
- 企業の成長性
- 企業の収益性
- 企業の安全性
- 株価の割安・割高
指標の見方・使い方を上記目的別に詳しく解説していきます。
■成長性を測る指標
EPS(一株当たり利益率) | 1株当たりで会社がどれだけの利益をあげているかを判断する指標。 |
過去の推移を見て上昇傾向であれば成長性があると判断できる。 | |
BPS(一株当たり純資産) | 1株当たり純資産がどのくらいあるかを示す指標 |
過去の推移を見て上昇傾向であれば成長性があると判断できる。 | |
総資本増加率 | 前期に比べて資本が増加しているかどうかを見る指標 |
増加傾向にあると成長していると判断できる。 | |
財務キャッシュフロー/ | 財務CF:借入や返済などの資金の流れを表す指標 |
財務CFと投資CFは併せて使い、借入金が多くても(財務CFがプラスでも)、設備投資のために資金が流出している(投資CFがマイナス)のであれば、将来を見越した設備投資のための借入のため成長性があると判断される。 |
投資先の企業が今後も成長するかどうかといった「成長性を見る指標」としては、「EPS(一株当たり利益率)」「BPS(一株当たり純資産)」「総資本増加率」「財務キャッシュフロー」の4つがあります。
「EPS(一株当たり利益率)」「BPS(一株当たり純資産)」「総資本増加率」は、過去数年の推移を見て、上昇傾向にあれば、成長性が高いと判断します。
「財務キャッシュフロー」は単体で判断せずに、投資のための入出金を表す「投資キャッシュフロー」と併せて判断します。
「財務キャッシュフロー」は銀行から借入をした場合はプラス、返済をするとマイナスになります。「投資キャッシュフロー」は資産を売却して利益があるとプラスになり、投資のためにお金を使うとマイナスになります。
「財務キャッシュフロー」でプラスの状態(銀行からの借入が増えている状態)で、「投資キャッシュフロー」がマイナスの状態(投資にお金を使った状態)の場合は、先行投資をしているという意味で、事業は成長していると判断されます。
■収益性を測る指標
売上高営業利益率 | 売上高に対する営業利益の割合 |
本業の業績を表す営業利益が大きい場合は本業がうまくいっていることを意味する。業界ごとに水準が異なる。目安として5~10%であれば優良と判断される。 | |
売上高経常利益率 | 売上高に対する経常利益の割合 |
経常利益は、本業と本業以外の収益を含めた総合的な収益力を表すため、経常利益率が高いほど収益力が高い企業と言える。業界ごとに水準が異なり、目安として20%あれば優良と判断される。 | |
ROE(自己資本利益率) | 自己資本に対する純利益の割合 |
10%を上回ると優良と判断される。 | |
ROA(純資産利益率) | 総資産に対する純利益の割合 |
5%を上回ると優良と判断される |
投資先の企業に稼ぐ力があるかどうかといった「収益性を見る指標」としては、「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」「ROE(自己資本利益率)」「ROA(純資産利益率)」の4つがあります。
それぞれの指標には目安となる基準値があります。
- 「売上高営業利益率」:目安として5~10%以上あれば優良と判断
- 「売上高経常利益率」:目安として20%以上あれば優良と判断
- 「ROE(自己資本利益率)」:目安として10%以上あれば優良と判断
- 「ROA(純資産利益率)」:目安として5%以上あれば優良と判断
ただし、業界によって若干水準が異なるため、同業他社とも比較するようにしましょう。高い方が優良と判断されます。
ROEについては、「株の投資に役立つROEとは?使い方と3つの注意点を解説」で詳しく解説しています。
■安全性を測る指標
自己資本比率 | 純資産に対する自己資本の割合 |
全産業平均は約40%。業種ごとに水準が異なる。20%~50%程度あれば問題はなく、50%を上回れば安全性が高いと判断 | |
流動比率 | 流動資産を流動負債で割った値 |
短期的な支払能力を表し、150%以上であると優良と判断される。 | |
財務キャッシュフロー/ | 財務CF:借入や返済などの資金の流れを表す指標 |
財務CFと営業CFは併せて使い、借入金が多く(財務CFがプラスで)、営業による現金収入が少ない(営業CFが低い、あるいはマイナス)場合は、資金繰りが危ういと分かる。 |
投資先に倒産の危険性はないかなどといった「安全性を見る指標」としては、「自己資本比率」「流動比率」「財務キャッシュフロー」「営業キャッシュフロー」の4つがあります。
「自己資本比率」と「流動比率」には下記のように基準値を目安に判断します。
- 「自己資本比率」:20~50%であれば安全、50%を上回るとかなり安全性が高いと判断
- 「流動比率」:150%以上であると安全と判断
ただし、業界によって若干水準が異なるため、同業他社とも比較するようにしましょう。数値は高い方が安全性が高いと言えます。
「財務キャッシュフロー」と「営業キャッシュフロー」は併せて使います。
「財務キャッシュフロー」は銀行から借入をした場合はプラス、返済をするとマイナスになります。「営業キャッシュフロー」は商品の仕入れや販売などの営業活動における資金流入を表し、営業活動における資金に余裕があるとプラスになり、余裕がない場合はマイナスとなります。
「財務キャッシュフロー」でプラスの状態(銀行からの借入が増えている状態)で、「営業キャッシュフロー」がマイナスの状態(営業資金が枯渇している)の場合は、資金繰りが危ないことを示し、危険性が高いと判断されます。
■株価の割安・割高を測る指標
PER(株価収益率) | 1株当たり純利益に対する株価の割合を示す。 |
値が高いほど割高、低いほど割安と判断される。 | |
PBR(株価純資産倍率) | 1株当たり純資産に対する株価の割合を示す |
値が1であれば適性価格、1より高いと割高、1より低いほど割安と判断される。 | |
配当利回り | 株価に対する1株当たり配当金の割合を示す |
低ければ割高、高ければ割安となります。 |
投資先企業の株価について「割安か割高かを測る指標」としては、「PER(株価収益率)」「PBR(株価純資産倍率)」「配当利回り」の3つがあります。
- 「PER(株価収益率)」は高いほど割高と言えます。
- 「PBR(株価純資産倍率)」は1であれば適性価格、1より高い場合は割高、1より小さい場合は割安と判断されます。
- 「配当利回り」は低ければ割高、高ければ割安と判断されます。
以下の記事で、PERとPBRについて詳しく解説していますので、より具体的な内容を知りたい方は参考にしてみてください。
株の割高・割安はPERとPBRで分かる!指標の使い方と注意点
6-2. 決算書など公表資料で確認する場合
ファンダメンタルズ分析に使う数値の最新値を公表後いち早く確認したい場合は、決算書などの公表資料を直接確認するようにしましょう。
決算書のデータは下記ホームページで確認できます。
決算短信はまず日本証券取引所の「TDnet」で、有価証券報告書は「EDINET」で確認できます。決算短信と有価証券報告書は、「TDnet」や「EDINET」に掲載されてまもなく企業のホームページでも確認ができます。
ただし、決算書で直接確認する場合は、時系列で2期分と短い期間しか確認できないというデメリットもあります。このため、過去3期以上の推移を確認したい場合は、証券会社や投資情報サイトなどを活用するようにしましょう。
6-3. 証券会社のサイト・投資情報サイトなどを使う場合
ファンダメンタルズ分析の指標は、証券会社のサイトや投資情報サイトでも確認することができます。
例えばよく利用されるサイトとしては下記のようなものがあります。
証券会社のサイトや投資情報サイトの良いところは、各指標の過去の推移を簡単に見ることができたり、指標ごとの他社比較がしやすかったりするなど、便利な機能が使えるところです。
指標のアップデートは、日本証券取引所「TDnet」や金融庁「EDINET」で発表されたデータを元にメンテナンスを行うため、「TDnet」や「EDINET」より若干遅れます。とはいえ数時間程度の遅れで更新されるところがほとんどです。
例えば、日本経済新聞「株式」などでは、主な指標ごとのランキングを見ることができる上、各銘柄について指標を時系列で確認することもできます。データの更新も発表日に比較的早く更新されます。
閲覧できる過去データの範囲や機能の便利さなどはサイトによって異なるため、自分の使いやすいサイトを選んで使うようにしましょう。
ファンダメンタルズ分析を行う場合の注意点
最後にファンダメンタルズ分析を行う場合の注意点を解説します。
中長期投資や銘柄選びにはファンダメンタルズ分析が大切だとお伝えしましたが、ファンダメンタルズ分析の結果だけに頼ると失敗することもあるため注意しましょう。
例えば、ファンダメンタルズ分析で、企業価値が高いと判断され長期で保有した場合でも、株価が上がらず下がり続ける場合があります。
株価が強い下落トレンドにある場合は、ファンダメンタルズ分析の結果にこだわりすぎずに、株価のトレンドに従うことをおすすめします。そのまま保持し続けずに売却することを検討しましょう。
企業価値が高いのに株価が下落傾向にある銘柄では、機関投資家などプロの投資家がその株を買っていないケースが想定されます。
企業価値が高いのに機関投資家が買っていないということは、その企業にファンダメンタルズ分析では確認できなかった不安要素がある可能性があります。例えば、その会社に将来大きな損失を招きかねない内在している問題を抱えているなどといったケースです。
「4-3. 機関投資家などプロの投資家に比べて情報の量やスピードにハンデがある」で述べた通り、個人投資家は機関投資家などに比べて情報量にハンデがあるため、こうした場合には注意が必要です。
ファンダメンタルズ分析で銘柄を選ぶ際や選んだ後も、ファンダメンタルズ分析の結果だけにこだわらず、株価のトレンドにも注意するようにしましょう。
なお、ファンダメンタルズ分析など銘柄選びについてさらに深く学びたい場合には、投資のプロから効率的に学ぶことをおすすめします。
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株のファンダメンタルズに関するQ&A
ここでは株のファンダメンタルズに関する疑問についてお答えします。
- 株のファンダメンタルズとは何ですか?
- 株のファンダメンタルズ分析のやり方は?
- ファンダメンタルとテクニカルの違いは何ですか?
株のファンダメンタルとは何ですか?
「ファンダメンタルズ」とは、経済や経営の状況を示す「経済指標」のことです。
株式投資では、この「ファンダメンタルズ」を利用して投資先を選ぶ「ファンダメンタルズ分析」という手法がよく使われます。「ファンダメンタルズ分析」とは、投資先の企業の将来性や収益力などの企業価値を評価する方法です。
ファンダメンタルズ分析を行うことで、業績不振の企業や倒産寸前の企業への投資など、投資の失敗を回避することができます。ファンダメンタルズ分析は、企業の財務諸表を詳しく検討し、売上高や利益率、負債の状況、キャッシュフローなどのデータを抽出して企業の経営状況や成長性を評価します。
さらに、業界の動向やマクロ経済指標を考慮することで、総合的な判断が可能となります。
ファンダメンタルズ分析を活用することで、市場の変動に左右されず、長期的な視点で安定した投資が可能となります。高いリターンを得るためには、成長が期待される企業や割安と判断される株式を見つけることが重要です。ファンダメンタルズ分析は、投資の基本として習得しておくべき重要なスキルです。
株のファンダメンタルズ分析のやり方は?
ファンダメンタルズ分析のやり方は下記の3つを使って分析します。
・決算書など公表資料
・ 証券会社のサイト、投資情報サイト
分析の指標を使う場合は下記4つの指標をみていきます。
- 企業の成長性
- 企業の収益性
- 企業の安全性
- 株価の割安・割高
企業の成長性を測る指標は
・EPS(一株当たり利益率)
・BPS(一株当たり純資産)
・総資本増加率
・財務キャッシュフロー/投資キャッシュフロー
があります。
企業の収益性をを測る指標は
・売上高営業利益率
・売上高経常利益率
・ROE(自己資本利益率)
・ROA(純資産利益率)
があります。
企業の安全性を測る指標は
・自己資本比率
・流動比率
・財務キャッシュフロー/営業キャッシュフロー
があります。
株価の割安、割高を測る指標は
・PER(株価収益率)
・PBR(株価純資産倍率)
・配当利回り
があります。
決算書などの公表資料を使う場合、決算書のデータは下記のホームページで確認できます。
- 日本証券取引所「TDnet」:決算短信の確認が可能
- 金融庁「EDINET」:有価証券報告書の確認が可能
- 各上場企業のホームページ:決算短信と有価証券報告書の確認が可能
証券会社のサイト、投資情報サイトを使う場合、下記サイトを利用する人が多いです。
- Yahoo!ファイナンス
- 日本経済新聞「株式」
- 四季報オンライン
すべての情報を調べるのは時間もかかり、大変かと思います。自分が一番みやすいサイトや資料、指標を使うと良いでしょう。
ファンダメンタルとテクニカルの違いは何ですか?
「テクニカル分析」とは、過去の株価や出来高などのデータを用いてパターンを見つけ、将来の値動きを予測する手法です。一方、「ファンダメンタルズ分析」とは、財務データなどを用いて企業の実態を分析する方法です。
まとめ
株式投資におけるファンダメンタルズ分析について紹介しました。
ファンダメンタルズ分析とは、企業のファンダメンタルズを用いて企業価値を測る分析方法です。
ファンダメンタルズ分析は、投資先を選ぶときに役立ち、特に中長期投資の銘柄選びに効果的と言えます。
ただしファンダメンタルズ分析には下記のようなメリット・デメリットがあります。
ファンダメンタルズ分析のメリットやデメリットを踏まえると、下記のような人にはファンダメンタルズ分析がおすすめと言えます。
ただし、ファンダメンタルズ分析だけに頼りすぎると失敗することもあるため、ファンダメンタルズ分析だけでなく株価のトレンドにも注意するようにしましょう。
以上の情報をぜひ、優良銘柄選びのために役立ててください。
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