投資未経験者にとって、「投資」と言えば株式投資を思い浮かべる方が多いと思います。ゆえに、いざ投資を始めようと思い立った際、利用する制度こそNISAやiDeCoであっても、購入する商品は株式に関連したものを選ぶ方が多いのではないでしょうか? しかし、株式投資はある程度知識がないと、中々上手くいかないもの。そこで今回は、『株式投資の始め方』についてフォーカス。これから株式投資を始める方は必読です。
目次
株を始める際に必ずやるべき3つのこと
証券口座さえ開けば、いつでも取引可能。確かにそうなのですが、ある程度の知識すら持ち得ていないビギナー層は、準備すべきものや踏むべき工程が他にもいくつかあります。そこでまずは株式投資を始める前にやるべきことについてまとめてみました。
①株式の仕組みについて学ぶ
学ぶべきことは山ほどありますが、まず確実に把握しておくべきなのは「仕組み」についてです。そもそも株式とは、企業が資金を調達するために発行する有価証券のことで、つまり出資者=株主ということになります。わかりやすく図でまとめると以下のような流れになります。
上記のように株式を購入する際は、証券会社・証券取引所を介す流れになっています。では個々の明確な役割とは何か? というと、まず「証券取引所」とは、会社の株を売買、証券会社は顧客から注文を受けて証券取引所に発注する役割を持っており、一方「証券会社」はその注文を仲介する、いわば窓口の役割を担っています。つまり、当然ですが株式を発行している企業と直接売買のやり取りする訳ではなありません。
株式投資の全容を知るまではいかずとも、売買の流れについてはあらかじめ把握しておくべきと言えるでしょう。
②投資資金を用意する
投資を始めるなら、やはり「資金の準備」も欠かせません。とは言え、借金などをして無理矢理用意するのはNG。生活費にかからない余剰分を投資に回すのが一般的です。家計簿をつけて無駄をあぶり出し、その分を投資資金として利用するのがおすすめですが、もし余裕がない場合は、所得を増やすべく副業を始めるなどの手段を講じ、家計外の余裕ができてから投資を始めるかどうかを考えてみるべきです。
とは言え気になるのは、「いくらくらいかかるのか?」についてです。生活を脅かすほどの高額を要するものなのか? と問われたら、それは購入する銘柄によると言っておきます。もちろん、有名かつ人気の企業となると、ひと株で数千円程度かかるところも少なくありません。
しかし、多少名の知れた企業でもひと株数百円程度で購入できるところも多く、選び方によっては低予算でも十分購入することができるでしょう。でも、数百円で購入できるなら、家計を圧迫する程度でもないのでは? と思われる方もいると思いますが、株式は「100株単位の取引が原則」となっていることを覚えておくべきです。
つまり、ひと株100円の株式を購入する場合は、×100で10,000円かかる計算になります。ちなみに、証券会社によっては、100株単位ではなく、1株単位で購入できるサービスを提供しているところがあり、その場合は前記したひと株100円の株式を100株ではなく1株で購入することができます。
確かにお得な制度ですが、株価の低い銘柄を購入しても中々利益には結びつかず、多くはひと株で数千円かかる株式を単元未満、購入するケースが主。では一体、株式投資を始めるには、どの程度の資金を用意すれば良いのか? というと、大体数千円〜数万円程度は準備しておけば問題ないと言えるでしょう。
③証券口座を開く
株式の仕組みや資金の準備ができたら、次は証券口座の開設に着手しましょう。とは言え、大して難しいことはなく、やるべきことは以下の通りです。
<証券口座開設までの流れ>
①実店舗・ネット・電話で口座開設申込書を請求
②申込書に必要事項を記入し、別途必要となる書類(保険証や免許証のコピーなど)を添えて提出
③到着後に審査開始。問題がなければ口座開設完了
店舗・ネット・電話の手段の中で、最も高効率なのは「ネット」です。必要書類のデータさえ用意しておけば、ものの数分で手続きを完了させることができます。しかし、どの手段であっても審査の時間は平等にかかりますが、証券会社によってまちまちです。
例えば、SBI証券の場合、審査完了までにかかる日数は「10日前後」とアナウンスされていることに対し、GMOクリック証券の場合は「2営業日後」となっています。証券会社個々でそこまで審査の時間に差が出る理由は分かりかねますが、少しでも早く始めたいという方は、証券会社のHPで審査に要する時間を調べてみることをおすすめします。
さらに、口座を開設する際に気にするべきは審査にかかる時間だけではありません。最初だからこそ受けられるキャンペーン特典にも注目するべきです。現金や買い物で使えるポイントがもらえるほか、最近では指定金額分の「株式」をプレゼントしてくれるとこもあります。特典の内容を重視して決めるのもアリだと思いますので、口座を開設する際は少しでも多くの証券会社を候補に入れるのがベターです。
株式投資の4つのメリットを知ろう
なぜ人は株式投資をするのか? 単純に利益を得たいからと言ってしまえばそれまでですが、具体的には他の投資よりも『メリットが多いから』だと思います。つまり、誰もが知っているように、購入した価格と売却した価格の差額を利益として得られるだけではないということです。そこで同章では、株式投資における4つのメリットにフォーカスして紹介していきます。
①値上がり益
株式投資における最大の魅力と言えるのがこの「値上がり益」です。その名の通り、株価の値上がりによって得られる利益を指し、例えば1万円の株式が2万円に上がったら、1万円の利益を得ることができ、それが値上がり益となります。つまり、「売った値段ー買った値段=値上がり益」という訳です。ちなみに別称で『キャピタルゲイン』と呼ばれています。
一方、株価は上がるだけでなく当然「下がる」こともあります。そして、購入した価格を割り、より下がってしまうと当然「損失」を出してしまうことに。意地になって「上がるまで待つ」という方もいるかも知れませんが、どれだけ待っても下がるばかりで損失幅が伸びるだけという場合は「損切り」を覚悟すべきです。
損失を大きくしないための自爆スイッチと言えますが、時にはそういった判断を下すことも大事で、投資における最大の「負け要因」は損切りができないことまで言われています。自滅行為とは分かりながらも、損失を大きくしない火消し行為とも言えるため、その判断を『いつ・どのタイミングで』下すことができるか?はとても重要なのです。
参考記事→元証券ディーラー直伝!初心者でも真似できる損切りルールのつくり方
②配当金
配当金とは、企業が株主に配る言わば「ボーナス」と考えて相違ないでしょう。つまり配当金は企業が利益を上げた場合に出る可能性があり、例えば100株保有していた場合、ひと株につき30円の配当金が出たとすると、100×30=3,000円の配当金を受け取ることができるという訳です。ただし、企業が黒字の場合は必ず配当金が出る訳ではなく、業績によって配当金が出るかどうか、はたまたどの程度配当金が出るのかは大きく異なります。
③経営参加権を得られる
当然の権利ですが、株主は企業の経営に参加する権利を持つことができます。ただし、直接ではなくあくまで間接的に経営に参加できるということです。つまり株主総会に出席し、企業経営に関する重要事項に次いで、承認・非承認を選択することができます。もちろん多数決となるので、すべての事案を思いの通りに動かすことはできませんが、間接的でも経営に参加していることには間違いありません。
④株主優待
値上がり益に次いで株式投資の大きな魅力と言われているのが、この「株主優待」の存在です。簡単に言うと、株主優待とは企業が株主に対して主に自社の商品やサービスを無償で提供することで、商品券や割引券などの金券や、商品そのものをもらえるケースが多いようです。しかしながら、すべての企業が株主優待制度を提供しているわけではありません。企業によっては株主優待制度がないところもあれば、中には「制度自体を止めてしまった」ところも少なくないようです。
株式投資の3つのリスクを知ろう
投資である以上、株式投資にもリスクがあります。その豊富なメリットばかりに目が行きがちですが、その分リスクも多めです。ここでは、これから株式投資を始める方々があらかじめ知っておくべき「3つのリスク」について紹介していきます。
①価格変動リスク
簡単に言うと、景気や社会情勢の変化、さらには企業の業績の悪化などの要因によって株価が上昇したり下落したりすることです。
②信用リスク
投資した会社が将来も存続しているか確実ではないこと。つまり、経営破綻などによって企業が倒産してしまう可能性があるというリスクのことを指します。
③流動性リスク
流動性とは経済学において「交換のしやすさ」を指します。株式で言うなら、「取引のしやすさ」を指し、つまり取引しにくい状態に陥るリスクのことです。つまり、取引量が少ない銘柄などの場合、その希少性から売買が難しくなるというのも流動性リスクに入ります。
初心者でも挑戦しやすい株式投資を始める方法
投資を始める理由の多くは、老後やイベントに向けた資金の充実だと思います。しかし、それら目的のために、ビギナーがいきなり株式投資から始めるのはやや敷居が高い気がしてなりません。そこで最後にご紹介するのは、初心者でも気軽に株式投資を始める方法についてです。少しでも低リスクで始めたい方はぜひ参考にしてみてください。
①NISA・iDeCoを利用する
これから投資を始める方にとって、NISA・iDeCoの両サービスの利用は絶対に検討すべきです。そもそもそれらのサービスについてよく知らないという方もいると思いますので、簡単に紹介すると・・・
⚫︎NISAとは
NISAとは、少額投資非課税制度のことであり、つまり出た利益に税金をかけることなく得られるというお得な仕組みです。例えばNISAを利用しない投資で10万円の利益が出たとしたら、収益の20%課税されるため、受け取ることができるのは8万円となってしまいます。しかしNISAを利用すれば、課税されないため、10万円をそのまま受けとることができるのです。
⚫︎iDeCoとは
個人型確定拠出年金の別称であるiDeCoは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せされる年金制度の一つです。ただし、積立方法は、加入者自身で掛け金を出して金融商品を運用します。そして得た利益は60歳以降に一括または分割で受け取ることができます。同制度のメリットは「税金が安くなる」点。掛け金の全額が所得控除の対象になるため、年末調整や確定申告することで所得税や住民税の負担が減るのです。
NISAは大きなライフイベントに向けた貯蓄手段として、はたまたiDeCoは老後資金を蓄えるための手段として使い分けるのが良いでしょう。それら制度を介さず、株式投資を始めるよりメリットはかなり大きいので、積極的に利用することをおすすめします。
②単元未満株を購入する
全国の証券取引所において、株式の売買単位は100株で統一されています。つまり、ひと株1,000円の場合は100株×1,000円=10万円かかりますが、単元未満株なら1株から購入が可能。100株単位だと購入が難しい人気銘柄も、単元未満株なら気軽に購入できる点が大きなメリットと言えるでしょう。しかし、保有株数が少ない分、利益もまたそれに比例することをお忘れなく。
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