ここ数年、投資に積極的でなかった日本人が投資を積極的にやるようになってきました。
そんな中、投資商品として一番身近なものは投資信託ではないでしょうか?
会社勤めの人などは、確定拠出年金の運用商品で投資信託を利用している人もいるでしょうし、預貯金などある程度まとまった金融資産をお持ちだと、金融機関から投資信託を進められることもあると思います。
投資というと、投資商品を「安く買って、高く売る」ものなので、タイミングを見計らって上手に買ったり売ったりしなくてはいけないと思っている人も多いと思います。
しかし、投資信託は、基本的にタイミングを見計らって売買をする投資商品ではないということを知っておいてほしいのです。
投資信託がタイミングを見計らって売買する投資商品ではない理由は、以下の通りです。
- タイミングをはかって売買するのに向いてない
- 効率が悪い
- ファンドマネージャーがいる
特に中長期の資産運用を目的として投資信託の購入を考えている人は、タイミングをはかって投資信託を購入する必要はありません。
投資信託を購入される際に重要なのは、タイミングを図ることではなく、ご自身がイメージする運用成果が期待できる商品を選ぶことが重要になります。
この記事では、なぜ投資信託はタイミングをはかって買うものではないのか、投資信託はどのように、またどのような投資信託を購入すれば良いのかを解説していきます。
最後に、どうしても投資信託を短期的な運用目的で購入したい人向けの投資信託の紹介もしています。
投資信託の購入を考えている人には、参考になると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
1章 投資信託をタイミングで買ってはいけない3つの理由
冒頭にもお話しましたが、投資信託をタイミングで買ってはいけない理由は次の3つです。
- タイミングをはかって売買するのに向いてない
- 効率が悪い
- ファンドマネージャーがいる
ひとつずつ説明していきます。
1-1 タイミングをはかって売買するのに向いてない
投資信託は、タイミングをはかって売買するのに向いていません。
投資信託は注文を発注してもその日の相場が終わった後に買い付け(売りつけ)ることになるので、いくらで売買できたか、正確にわかりません。
海外資産に投資をする投資信託に至っては、いつが購入日(売却日)なのかもわかりにくいため、注意が必要です。
基準価額決定、約定確認のタイミング
■国内に投資する投資信託
お申込受付日の基準価額で約定します。
出典:楽天証券
■海外に投資する投資信託
お申込受付日の翌営業日の基準価額で約定します。
出典:楽天証券
■海外休場日の場合
海外休場日(ファンド休業日)の場合、翌営業日扱いでお申込み可能です。ただし、祝日の変更に伴い、取引日が変更される場合があります。
出典:楽天証券
以上のことを踏まえると投資信託、特に海外に投資する投資信託は、タイミングをはかって売買するのに向いていないことがおわかりいただけると思います。
1-2 効率が悪い
投資信託は、タイミングをはかって買っても投資効率がよくありません。
投資信託はリスクを分散して長期的に資産を運用する目的の商品が多いので、株や先物取引と比べ値動きが小さく、タイミングを見計らって売買をしても効率よく利益をあげることができません。
タイミングを見計らって投資信託を買っても、同じタイミングで買った株と同期間(期間が短ければ短いほど)のパフォーマンスを比べた時、投資信託のパフォーマンスは明らかに見劣りします。
タイミングを見計らって儲けたいのであれば、投資効率の低い投資信託ではなく、株を買うことをオススメします。
1-3 ファンドマネージャーがいる
ファンドマネージャーがいる投資信託に関しては、タイミングを図る意味がありません。
ファンドマネージャーとは、投資信託の運用方針を決め、皆さんから集めたお金を運用してくれる人で、専ら市場平均よりも大きな運用成果を目標とする、アクティブファンドの運用担当者のことを言います。
運用方針を決めるとは、どの資産をどの程度いつ購入するかを決めるということです。
つまり、運用資産を買うタイミングは、ファンドマネージャーが決めているので、投資信託にお金を預けている人がタイミングをはかっても仕方がありません。
投資信託(特にアクティブファンド)はタイミングをはかって買うものではないということが言えます。
2章 それでも投資信託をタイミングで買いたいなら
前章で、投資信託はタイミングをはかって買うものではない金融商品であるということを、理由を示しながら説明してきました。
それでもやはり、投資信託を株と同じような感覚で、タイミングをはかって買いたいのであれば、株式相場が暴落した後に投資信託を買うことをオススメします。
特に、有事(戦争・震災・疫病)により短期的に株式相場が暴落した後は、比較的早急に株式相場が回復する傾向にあり、投資をするタイミングとしてはチャンスと言えます。
株式相場の暴落時に投資信託を買う方法については、以下の記事に紹介していますので、ご興味がある方は読んでみてください。
株式暴落後にタイミングをはかって投資信託の売買をする場合は、ETF(上場投資信託)が向いています。
次章では、ETFとは何か、またなぜタイミングをはかって買うのにETFが向いているのかを解説します。
3章 タイミングをはかって購入するならETF
ETFとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウ等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種で、株式市場が開いている時間であれば、自由に売買をすることができます。
なぜ投資信託をタイミングをはかって購入する場合、ETFをオススメするかというと、以下の2つの理由からです。
- 自由に売買できる
- 株価指数に連動している
ひとつずつ見ていきます。
ETFは自由に売買できる
タイミングをはかって投資信託を売買する場合、ETFの利用をオススメするひとつ目の理由は、ETFは株式市場が開いている時間であれば、自由に売買をすることができるからです。
株式市場が開いている限り、何回でも売買が出来るので、タイミングを間違えたと思った時は、何回でもやり直すことができます。
やり直しができるということは、良いタイミングで投資信託を買うことができる可能性が高まるということなので、タイミングをはかって売買するならば、ETFがオススメです。
株価指数に連動している
タイミングをはかって投資信託を売買する場合、ETFの利用をオススメする二つ目の理由は、ETFは株価指数に連動した動きをするので、個別の株を買うよりもタイミングをはかって買うことが簡単だからです。
2章で、投資信託をタイミングよく買うなら株式相場が暴落後が良いと説明しましたが、株式相場が暴落した後、どの個別株を買えばいいか判断することは難しいです。
最悪、株式相場が上昇しても全く上昇しない株を買ってしまうこともありえます。
株価指数に連動したETFを買っておけば、少なくとも株式相場と同様のパフォーマンスを期待することができます。
以上のことから、タイミングをはかって投資信託を売買したい場合は、普通の投資信託ではなく、このETFを利用することをオススメします。
ETFのこと(メリット・デメリットなど)をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。
これから投資信託を始めようと考えている方は、ぜひご覧ください。
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投資信託のタイミングについてのQ&A
ここでは投資信託のタイミングについての疑問にお答えします。
- 投資信託を一括で買うタイミングはいつですか?
- 投資信託で2倍になるまで何年かかりますか?
投資信託を一括で買うタイミングはいつですか?
そもそも投資信託はタイミングをはかって売買するのは向いていません。なぜならその日の相場が終わったタイミングでの買付けまたは売付けになるからです。投資信託は個別株のように常に値動きがあるわけではありません。
そしてファンドマネージャーがいるので運用資産を買うタイミングはファンドマネージャーが決めています。以上のことから投資信託をタイミングはかってか売買する意味がないと考えています。
しかしそれでもタイミングをはかりたい場合は以下のポイントを考えることが重要です。
1. 市場の状況を見る
投資信託を一括で購入する際には、現在の市場状況をよく分析することが大切です。市場が高値圏にある場合は、リスクが高くなるため、タイミングを慎重に判断する必要があります。一方、市場が一時的な調整を受けている際には、一括購入のチャンスとなることもあります。
2. 景気サイクルを理解する
経済は景気の拡大期と縮小期を繰り返します。景気拡大期の初期段階や市場が底を打ったと予想されるタイミングで購入することが理想的です。特に、長期的な視点で投資する場合は、景気サイクルの底で一括購入することで、利益を最大化できる可能性があります。
3. 金利動向を確認する
金利の動向も重要な指標です。金利が上昇する局面では株価が下落する傾向があり、そのようなタイミングで投資信託を一括購入することで、安値で買うチャンスとなることがあります。逆に、金利が低下する局面では株価が上昇する可能性が高くなります。
4. ドルコスト平均法との比較
一括購入は、購入タイミングが大きなリスクとなります。これに対して、定期的に一定額を投資するドルコスト平均法は、市場の時間のリスクを分散する方法です。市場の動向が読みにくい場合や、リスクを分散したい場合には、ドルコスト平均法の方が適していることもあります。
投資信託で2倍になるまで何年かかりますか?
投資信託が2倍になるまでにかかる年数は、「72の法則」という式を使って計算できます。
「72の法則」とは、投資の年平均利回りで元本が何年で2倍になるかを簡単に計算する方法です。具体的には、72をリターン率で割ることで、2倍になるまでの年数を求めます。
計算例
* リターン率が3%の場合:
72 ÷ 3 = 24年・この場合、投資信託が2倍になるまで約24年かかります。
* リターン率が5%の場合:
72 ÷ 5 = 14.4年・リターン率が5%であれば、約14.4年で2倍になります。
* リターン率が7%の場合:
72 ÷ 7 = 10.3年・リターン率が7%であれば、約10.3年で2倍になります。
計算した例からリターン率が3%であれば、投資信託が2倍になるまでに約24年かかることがわかります。
まとめ
投資信託をタイミングで買ってはいけない3つの理由
- タイミングをはかって売買するのに向いてない。
- 効率が悪い
- ファンドマネージャーがいる
それでも投資信託をタイミングで買いたいなら
- 株式相場の暴落後
タイミングをはかって購入するならETF
自由に売買できる
株価指数に連動している
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