老後不安やライフイベントに向けた資産の拡充を目的に、資産運用に対して前向きな方が増えています。野村アセットマネジメントの調査によると、投資家の割合は年々増えており、2022年は推計3,844万人、2024年になると推計3,976万人、実に国民の38%が何らかの投資を使って資産運用を始めているという結果が出ています。
引用元:「投資信託に関する意識調査2024」
しかし、投資に対する経験や素養の無い初心者層が、ある日突然資産運用を始めよう!と決めたところで、その多くが壁に当たることになります。それこそ『一体何をすればいいの?』ということであり、とりあえず証券会社を決め、口座を開いたところで一旦動きが止まってしまう方が多いと思います。
そこで、投資初心者が資産運用を始める際に知っておくことややるべきことについてまとめていきます。明日からでもすぐに資産運用を始めたいと考えている方は是非最後までお読み飛ばしのないように。
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監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
投資初心者におすすめの資産運用
初心者が陥る最初の難所と言えるのが「一体何に手を出せば良いのか?」についてです。投資信託や株式投資、さらには不動産投資もあれば債券投資など、個々の特徴や特性を知らないと、どの商品を選べば良いのかなど、まずわかるはずはありません。
そこで同章では、投資信託・株式投資・債券投資の3つにフォーカスし、初心者がそれらを始める際に知っておくべきことや、個々の特徴について紹介していきます。
投資信託
投資信託とは、『投資家から集めた資金をまとめ、専門家が国内・国外の株式や債券などに投資・運用する商品のこと』です。つまり、ユーザーがやるべきことは資金の準備とファンドのチョイスのみ。仕組みに加え、知っておくべき点は「2つの利益」についてです。簡単にまとめると・・・
<投資信託で得られる利益の種類>
⚫︎分配金(インカムゲイン)
・普通分配金ー運用によって得られた利益(=元本を上回った分)。課税対象となる
・元本払戻金ー個別元本を下回る部分から支払われる分配金。ただし、払い戻された元本払戻金の額だけ基準価額(個別元本)は減少。結果、運用資金が減ることになる
⚫︎売却益(キャピタルゲイン)
売却した際に、購入時より基準価額が上がっていた場合、その分が利益となる
利益について知ることで、投資信託の仕組みが何となくお分かりいただけたと思います。では一体、なぜ投資信託が初心者におすすめなのか? その具体的な理由について紹介すると・・・
<初心者に投資信託をすすめる理由>
⚫︎分散投資ができる
ファンドとは、言わば様々な金融商品の集合体。つまり一つのファンドに投資することで、自然と分散投資ができていることになる。分散することでリスクを抑え、安定したリターンを目指すことができる。
⚫︎少額から始められる
1万円程度の少額で購入できるプランもあれば、1,000円ないし100円といったさらに低い金額で投資することも可能。少額投資ができる点においては、投資の入り口として最適だが、自身で運用する訳ではないので、投資の仕組みを知るための手段として活用するのは悪くない
⚫︎運用する手間がない
良くも悪くも人任せであり、ユーザーはあらかじめ開示された運用方針やリスクについてなどの情報からファンドを選ぶのみ。市況や世界情勢、そして投資に関する細かく深い知識を要さないため、初心者にはうってつけと言える
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株式投資
スタンダードな投資と言えば株式です。難解なイメージを持っている方もいるかもしれませんが、仕組みは非常にシンプルなもの。企業に出資という形で投資し、その見返りとして企業の利益の一部を配当として受け取ることができたり、企業価値の向上を株価の値上がりとして享受することができるといった仕組みです。では利益についてまとめると・・・
<株式投資で得られる利益の種類>
⚫︎配当金
保有している株数に応じて、企業が利益の一部を株主に還元するために支払われるもの。例えば、配当金が100円の株式を100株保有している場合、10,000円の配当金が得られることになる。しかし、配当金は必ず出るものではない
⚫︎株主優待
企業によっては、株主に対するボーナス的な意味合いで株主優待を提供しており、その内容は自社商品やサービスなど様々。配当金と同様、株式を保有しているだけで株主優待を受ける権利が発生する
配当金や株主優待は必ずもらえるものではないため、株式投資における利益の主はキャピタルゲインということになります。しかし株式投資は、まとまった投資資金を要する場合(単元未満で購入できない銘柄もある)や、元本保証がない点など、リスクがあるあたりは否めません。
では一体、初心者が株式投資を始める利点とは何か?
<初心者に株式投資をすすめる理由>
⚫︎高いリターンが期待できる
株式投資における最大の魅力は、やはりどの投資よりも高いリターンが見込める傾向がある点。しかし、短期的に高いリターンを狙うなら、それなりにまとまった資金が必要になり、かつそれに対するリスクに備えておく必要もある
⚫︎少額で購入できるケースもある
株式投資にある程度の資金を要する理由は、基本的に100株単位で購入することになっているからだが、単元未満株やミニ株なら100株以下の単位で購入できる。しかし、証券会社によって購入できる銘柄が異なるため、あらかじめ調べておくべき
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債券投資
債券投資とは何か? 簡単に言うと債券の購入を通じて、発行体に資金を提供することです。発行体はその見返りとして、満期までの期間、決められた利子の支払います。言ってしまえば地方公共団体などにお金を貸す行為と考えればわかりやすいでしょうか。
そんな債券投資で得られる利益とは・・・
<債券投資で得られる利益の種類>
⚫︎利子
借金である以上、利子を受ける権利は当然発生する。年間の支払い回数は債券の種類によって異なるが、債券を満期である償還日まで保有し続けることで、投資家は定期的に利子を受け取ることができる
⚫︎キャピタルゲイン
いわゆる売却益を受け取ることもできる。当然のことながら、購入額よりも債券価格が低い場合、売却すると損失を出すことになる
⚫︎償還差益
債券の価格が額面金額よりも安いときに購入し、満期に額面金額を受け取ることで生じる差益のこと。逆に、債券を額面金額より高い価格で取得・保有し、額面金額で償還された場合、取得価格と額面金額の差額は損失となり、償還差損という
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資産運用を始める前に準備しておくべき3つのこと
前章では、おすすめの投資商品について紹介しましたが、ここではそれらを始める前に準備しておくことについてフォーカスしていきます。そもそも何からやれば良いかわからないという層のために、段階的に紹介していきますので、ぜひ実践してみて下さい。
①余裕資金を確保する
投資は無理に始めるものではなく、あくまで余裕分を使うのが鉄則です。収入を増やす、はたまた節約するなどで、余裕資金を作るところから始めるべきで、無理・無謀な節約はもちろん、借金をしてまで始めてしまうと、万が一損失を出した際に自分の首を絞める結果になりかねません。
まずやるべきなのは、毎月の収入と支出を正しく把握し、余裕があれば節約し、余剰分を作っていくことでしょう。例えば、スマホの契約をMVMOに変える、サブスクの契約数を減らす、オール電化に変えるなどを講じるのがおすすめです。
②目標金額を決める(目的も含む)
投資を始める際、必ずやるべきことは目標・目的を決めることです。老後資金をいくら作りたい、マイホームの頭金を作りたいなど、資産運用を始めるにはそれなりの理由があり、かつ目標金額があるものです。その金額に到達するためには、年利⚫︎%の商品にいくら投資していけば何年で目標額に届くのか? をシミュレーターなどで算出し、その通りに運用していくというのがベストです。
③最低限の投資知識を蓄える
ビギナーが投資を始める際、誰もがぶつかる壁が「投資の知識がない」という点です。証券会社に口座を開いたものの、専門用語がわからず、購入するまでに至らないなんてこともあると思います。とは言え、学習するのは大変ですし、お金もかかります。何より、勉強する時間がないという悩みをお持ちの方も多いでしょう。
そんな方におすすめなのが『投資の達人講座』です。こちらの講座は、まず完全無料である点、そしてビギナーが知っておくべき投資に対する考え方ややるべきことを学ぶことができます。概念的な内容はもちろん、具体的に何をすべきか?についてまで言及。
まさに資産運用初心者のための講座なので、未視聴の方はぜひ一度体験してみることを強くおすすめします。
投資初心者が活用すべき制度(サービス)
最後にご紹介するのは、昨今のトレンドにもなっている「非課税サービス」についてです。ビギナーの中にはNISAやiDeCoのことを投資商品なのか? と勘違いしている方も多いと思いますが、それらは「サービス」であり、やることは投資そのものです。ここでは、NISAとiDeCo、二大非課税サービスの基本的な情報とメリットについて紹介していきます。
NISA
簡単に言うと、NISAとは投資で得た利益を「非課税」で受け取ることができるというサービスです。一般的に投資で得た利益には約20%課税され、その残りを受け取ることができるのですが、NISAを利用することで一定額までは課税されることなく受け取ることができます。抑えておくべきポイントは大きく分けて3つあり・・・
<NISAの3大ポイント>
①非課税口座は1人1口座までしか開設できない
②NISAの投資枠は生涯1,800万円・年間360万円(つみたて投資枠:120万円・成長投資枠:240万円)
③NISAの投資枠は売却すると翌年消化分が復活する
ちなみに、つみたて投資枠では一定の条件を満たした投資信託しか購入できず、買付方法は「積立投資のみ」となります。
一方、成長投資枠では、国内株式・海外株式・投資信託を購入できますが、個々に条件があるため、選択時には注意事項をよく確認しておくことをおすすめします。
ちなみに、成長投資枠の買付方法は積立・一括、どちらも可となっています。
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iDeCo
よく聞く名前だけど、一体どんなサービスなのか? というと、「個人型確定拠出年金」のことであり、つまり『年金制度』になります。しかし、公的年金と違い、加入は任意で、かつ加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てを自身で行う必要があり、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができるというものです。
国が老後資金作りの一環として始めたサービスであり、積み立てた資金は60歳以降に分割または一括で受け取ることができます。尚、原則として60歳前に受け取ることができません。加入するメリットは・・・
<iDeCoを始めるメリット>
①運用収益が非課税になる
②掛金の全額が所得税控除の対象になるため、所得税と住民税が軽減される
③退職金または年金として受け取る際も控除が適用
以上です。ちなみに、iDeCoは運営管理機関が提示する運用商品(3~35商品、ただし、令和5年4月末までは35商品を超えている場合あり)の中から、運用していく商品を自分で決める必要があります。つまり、ある程度の金融リテラシーを携えておいた方が良いでしょう。
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