投資信託の手数料はいつ引かれるのか?手数料をおさえる2つのコツ

投資信託を始める時に気になるポイントの一つが手数料です。手数料は運用にかかるコストとして不可避なものですが、そのタイミングや金額を正しく理解しておかないと、投資リターンに大きく影響を与えることがあります。

この記事では、投資信託の手数料がいつ引かれるのか、その仕組みを解説し、手数料をできるだけ抑えるための2つのコツについても詳しくご紹介します。手数料を賢く管理することで、投資のパフォーマンスを最大化しましょう。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

投資信託の手数料が引かれるタイミング

投資信託には買う時の販売手数料、持っている間つまり運用中に発生する信託報酬、投資信託を売る時または償還される時に発生する信託財産留保額の3種類の手数料があります。

手数料が引かれるタイミングは、それぞれ下記のようになっています。

販売手数料

初回購入時に支払う

信託報酬

日割り計算で毎日支払う

信託財産留保額

換金時に解約代金から引かれる

販売手数料は投資信託を購入するときに一度だけ投資家が支払います。投資信託を販売する金融機関に投資家が直接支払う仕組みになっています。購入時手数料、買付手数料、お申し込み手数料などとも呼ばれています。

信託報酬は投資信託を持っている間、毎日支払う手数料です。運用管理費用とも呼ばれます。投資信託の運用・管理の報酬として投資信託を保有している間、毎日信託財産(投資家から集めたお金をまとめたもの)から差し引かれています

信託報酬は、投資信託の運営に関わる会社である、下記3箇所に配分されます。

  • 委託会社:運用・調査、受託会社への運用指図、基準価額の算出、目論見書や法定資料作成費用など
  • 販売会社:交付運用報告書等各種書の送付、顧客口座の管理、購入後の情報提供費用など
  • 受託会社:投資信託の財産の保管・管理、委託会社からの運用指図の実行費用など

信託財産留保額は投資信託を売却または解約するときに支払う手数料です。換気時に解約代金から信託財産留保額が差し引かれます。換金時に支払う現金を用意する事務手続きの費用として投資家に負担をさせるという仕組みになっています。

 

販売手数料、信託報酬、信託財産留保額の目安と計算方法

投資信託を購入・運用する際には、いくつかの手数料が発生します。それぞれの手数料がどのように計算されるかを理解しておくことは、コストを管理しておくうえで重要です。

この章では、販売手数料、信託報酬、信託財産留保額の目安と具体的な計算方法について解説します。これらのコストを把握することで、最終的なリターンを向上させるための適切なファンド選びが可能になります。

販売手数料

販売手数料はだいたい1%〜3%ほど発生します。例えば100万円分投資信託を購入して、販売手数料が2%だとすると販売手数料は2万円です。投資信託の運用は、購入金額から販売手数料を引いた残りの金額でスタートします。先ほどの例ですと購入金額100万円から手数料2万円を差し引いた98万円から運用がはじまります。

信託報酬

信託報酬はだいたい0.5%〜2.5%ほど発生します。計算方法は年間の信託報酬率に基づいて計算されます。そして毎日その日の純資産総額から引かれています。例えば純資産総額が100万円で信託報酬が2%とします。計算すると下記のようになります。

100万円☓0.02÷365日=約54.79円

この場合、1日あたり54.79円が純資産総額から差し引かれていきます。

信託財産留保額

信託財産留保額はだいたい0.3%前後ほど発生します。計算式は下記のようになります。

解約金額☓信託財産留保額率

例えば解約金額が100万円で、信託財産留保額率が0.3%とします。計算すると以下のようになります。

100万円☓0.003=3,000円

この場合3,000円が差し引かれて手元に残るお金が97万円となります。手数料の割合として一番大きく占めるのは信託報酬になります。毎日差し引かれていますので、年間で換算すると数万円から数十万円となることもあります。

できればコストを抑えたいと誰でも思いますよね。ですから次の章では手数料を抑えるコツをお伝えします。

 

投資信託の手数料をおさえる2つのコツ

投資信託を運用する上で手数料は避けられませんが、手数料を抑えることでリターンを最大化することが可能です。手数料が高いと、運用益が目減りするため、できる限りコストを抑えることが長期投資の成功の鍵となります。

この章では、投資信託の手数料をおさえるための下記2つの具体的なコツについて解説します。これらのポイントを押さえることで、無駄なコストを減らし、より効率的に資産を増やすことができるでしょう。

  • 販売手数料と信託財産留保額は無料の投資信託を選ぶ
  • 信託報酬は0.5%以下の投資信託を選ぶ

 

販売手数料と信託財産留保額は無料の投資信託を選ぶ

    販売手数料は購入時に一度だけ支払いますが、できれば無いほうがよいですよね。投資信託の販売手数料はノーロードと呼ばれている無料の投資信託があります。ノーロードファンドを選べば販売手数料のコストは0円に削減が可能です。証券会社ごとに取扱が違いますので、できれば銘柄数が多い証券会社を選ぶと良いでしょう。

    解約または売却するときに発生する信託財産留保額も無料の投資信託があります。該当する銘柄の目論見書を見ると記載があるので確認してみてください。例えば下記は全世界株式の目論見書なのですが、販売(購入時)手数料と信託財産留保額の手数料はありません。との記載があります。

    出典:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)目論見書

     

    信託報酬は0.5%以下の投資信託を選ぶ

    信託報酬は残念ながら無料の投資信託がありません。私たちの代わりにプロの投資家が運用してくれているので、手数料を支払うのは仕方ありません。しかし少しでもコストを抑えるために手数料が0.5%以下の商品を選びましょう。

    そんな商品あるの?と思う人もいるでしょう。探せばあります。例えば下記はS&P500の目論見書に記載があるのですが、信託報酬は0.09372%となっています。

     

    出典:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)目論見書

     

    アクティブファンドとインデックスファンドのコストの違い
    投資信託にはインデックス運用とアクティブ運用と呼ばれるファンドの種類があります。インデックスファンドというのは、特定の指数に連動した値動きをするファンドを指します。アクティブファンドというのは特定の指数以上の値動きを目指すファンドのことです。

    インデックスファンドのほうが手数料が安いのですが、その理由としては先程も申し上げたように、特定の指数に連動する値動きを目指しているので、アクティブファンドに比べると運用スタイルがシンプルで運用にかかるコストや手間が少なく済むからです。

    アクティブファンドは特定の指数以上の値動きを目指す、つまりインデックスファンド以上の利益を目指すため、プロの投資家が積極的に銘柄を選定し、市場を上回るリターンを目指す運用手法をとります。そのため、人件費やリサーチ費用、取引手数料などのコストが増加し、手数料が高くなる傾向があります。

    アクティブファンドはコストも高めですし、リスクも高くなります。そして長期的にみるとアクティブファンドはインデックスファンドに比べて、運用成績が低いという結果も出ています。詳しくは【これさえ読めばわかる】現役投資家が教える投資信託の選び方という記事で解説していますので、こちらもお読みください。

    基本的に投資信託は、筆者はリスクもコストも低めなインデックスファンドをおすすめします。

    まとめ

    投資信託の手数料が引かれるタイミングや目安の金額について知っていただけたでしょうか。投資信託も投資で元本保証がなく、コストも発生してしまうとなると、リターンに影響してきますので、できるだけコストは抑えたいものです。そのためにはこういった知識を得ることが大切で、ある程度の勉強も必要です。

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