「投資って確定申告が必要なのかな?」
「投資で確定申告が必要な場合って、どんなとき?」
このようにお考えではないですか?
結論から言うと、投資の場合は確定申告が不要なケースと必要なケース、その他に確定申告をするとお得なケースがあります。以下がその具体的な内容です。
確定申告が必要になるかどうかについては、証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」で資産運用しているかどうかがカギとなります。特定口座(源泉徴収あり)で運用している場合は原則として確定申告は不要です。
「自分が特定口座かどうか分からない!」という場合は、まずはご自身で運用されている証券口座を確認してみてください。
原則として特定口座(源泉徴収なし)で運用している場合には確定申告は不要ですが、状況によっては必要となったり、確定申告をすると得なケースもあります。そこでこの記事では、投資で確定申告が必要なケースなど以下の内容について詳しく解説していきます。
- 投資で確定申告が不要な3つのケース
- 投資で確定申告が必要な2つのケース
- 投資で確定申告をするとお得な3つのケース
- 確定申告で必要なもの
- 証券口座は「特定口座(源泉徴収あり)」がおすすめ!
この記事をお読みいただくことで、投資における確定申告について網羅できるかと思います。ぜひこの記事を参考に、資産運用の理解を深めていただければ幸いです。
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
投資で確定申告が不要な3つのケース
それではまずは、投資で確定申告が不要な3つのケースから解説します。実は、投資で利益を出しても確定申告が不要なケースの方が多いのが現状です。その理由は、多くの人が以下の3つのいずれかを満たしているからです。
それぞれ見ていきましょう。
証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で資産運用している
まずは、証券口座の開設の際「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している場合です。この場合は、金融機関が税金の計算を行い、源泉徴収という形で利益から天引きされて振り込まれる形となります。
ここで、証券口座の種類を一覧表にしてみましょう。
証券口座には「特定口座(源泉徴収あり)」と「特定口座(源泉徴収なし)」と「一般口座」の3つがあります。口座を開設する際にどの口座にするか選択する項目があるかと思います。
その際に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している場合には、原則として自分で確定申告を行う必要はありません。
「自分がどの口座にしているか分からない!」という場合は、ぜひ調べてみてください。
ただし、原則として確定申告は必要ないですが、確定申告をした方がお得な場合もあります。詳しくは第三章「3.投資で確定申告をするとお得な3つのケース」を参考にしてみてください。
NISA(新NISA)口座で資産運用している
NISA(新NISA)など小額投資非課税制度を利用している場合、利益は非課税になりますので確定申告の必要はありません。
NISA(新NISA)とは、毎年一定金額以内で購入した金融商品に関しては非課税になるという制度です。2024年からNISAから新NISAに制度が切り替わります。新NISAは、これまでのNISAと同様で毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品からの利益が非課税になる制度です。
以下は新NISA内容をまとめてあります。
新NISA制度 | |||
成長投資枠 | つみたて投資枠 | ||
年間非課税枠 | 合計枠 | 360万円 | |
各枠 | 240万円 | 120万円 | |
非課税となる期間 | 無期限 | ||
対象商品 | 上場株式・投資信託など※1 | 積立・分散投資に適した一定の | |
口座開設期間 | 無期限 |
※1 ①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外
NISA枠を利用してどれだけ大きな利益を得たとしても非課税となるため、確定申告は不要です。
投資で得た利益が20万円以下
投資で得た利益が20万円以下の場合も非課税となるため、確定申告の必要はありません。
給与を一か所から受けている場合で、副業や投資などで年間所得が20万円を超える場合には、原則として確定申告が必要となります。逆に言えば、投資で得た利益が20万円以下の場合は確定申告はそもそも必要がないのです。
この場合は特定口座(源泉徴収なし)は一般口座かに関わらず、確定申告を行う必要はありません。
投資で確定申告が必要な2つのケース
投資で確定申告が必要なケースは、以下の2つです。
それぞれ見ていきましょう。特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で資産運用している
特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で資産運用をしている場合は、確定申告が必要となります。
特定口座(源泉徴収なし)で資産運用をしている場合、証券会社が作成した「年間取引報告書」を元に自分で確定申告を行うこととなります。
一般口座の場合は証券会社が「年間取引報告書」を作成してくれないため、年間の取引を自分で集計しなければなりません。
またいずれの場合でも、やはり利益が20万円以下の場合は確定申告をする必要はありません。
証券口座は原則として、「特定口座(源泉徴収あり)」がおすすめです。資産運用で利益が出た場合に、源泉徴収してくれるので投資家にとって手間が省けるためです。
この後説明しますが、複数の証券会社に口座を持っているなど確定申告を自分で行う必要があるなど特定の場合に「特定口座(源泉徴収なし)」を選んだ方がいいこともあります。しかし、そのような特別な理由がないのであれば、原則として「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しておくと良いでしょう。
ちなみに、現在「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」で運用している場合でも、後から「特定口座(源泉徴収あり)に変更が可能です。
証券口座の種類に関して詳しくは「特定口座と一般口座の違いとは?メリット・デメリットを徹底比較!」でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産投資などで利益を得た場合
不動産投資など、証券会社を通さない投資で20万円以上の利益を得た場合は確定申告が必要となります。
またここでは投資による利益に関して解説していますが、副業などで収入を得た場合にも、その金額が20万円以上であれば投資の利益に関わらず確定申告が必要となる点も注意しておきましょう。
投資で確定申告をするとお得な3つのケース
それではここからは、投資で確定申告をするとお得な3つのケースについて解説します。確定申告義務はないものの、確定申告を行うことで利益が出たり節税になる可能性があるケースです。
それぞれ見ていきましょう。
資産運用で損失が出た場合
まずは、資産運用で損失が出た場合は確定申告を行うことで税金を抑えることが可能です。その方法を「損益通算」といいます。
損益通算とは、赤字の所得を黒字の所得から差し引いて相殺することです。例えば、2022年の譲渡損失が100万円だったとして、配当所得として30万円の利益があった場合は、実際は以下のように相殺されます。
譲渡損失(100万円)- 配当所得(30万円)= 70万円の損失 |
「特定口座(源泉徴収あり)」で資産運用をしていた場合、利益から約20%をかけた税金が源泉徴収されて振り込まれます。つまりこの場合は約6万円が源泉徴収されてしまうということです。
確定申告を行えばこれらの損益は相殺され、源泉徴収された約6万円の還付が受けられます。
これは複数の証券口座で資産運用をしていた場合にも当てはまります。A社の証券口座で利益がでてしまい、B社の証券口座で損失を出した場合は確定申告を行うことで相殺されます。
※ただしNISAの場合損益通算ができないのでご注意ください。
繰越控除を受けたい場合
確定申告を行うことで繰越控除を得られる場合があります。繰越控除とは譲渡損が出てしまった場合でその年に控除しきれなかった損失を、翌年以降に繰り越すことができる制度です。最大3年間繰り越すことができるのが特徴です。
例えば2020年に100万円の損失を出してしまった場合で以下の表をご覧ください。
2020年に100万円の損失を出しても、翌年に20万円利益を得ることで相殺され、2021年の損失は80万円として繰り越されます。同じように翌2022年に40万円の利益を出すことで相殺され、2023年には40万円繰り越されます。
2023年に50万円の利益を上げると最終的に10万円が課税対象となります。
確定申告を行わなければ100万円の損失として確定し、その後の利益に対して税金がかかってしまいますが、繰越控除を受けることで損失分を3年間にわたって相殺することで節税となるのです。
注意点としては、繰越を行っている最中は必ず確定申告が必要となる点です。
配当控除対象の場合
配当控除対象の場合も、確定申告を行うことで還付を受けられる可能性があります。国内株式の配当金を受け取る際に、「総合課税」を選択した場合などがこの対象にあたります。
通常、国内株式の配当金は法人税を引かれた後に分配されますが、ここからさらに所得税や住民税が課税されてしまうことがあります。配当控除はこの二重課税を防ぐ目的があります。
そのため国内株式の配当金で「総合課税」を選択しておけば節税できる可能性があります。(ただし、配当の損益計算ができなくなります。)
配当控除の対象には細かな決まりがあるため、自分が対象者かどうかを確認して行うようにしましょう。
投資の確定申告を行う方法
それでは最後に、投資で確定申告を行う方法について解説します。確定申告は主に以下の方法で行います。
- 会計ソフトを活用して書類を作成して提出
- 国税庁の確定申告書作成コーナーから書類を作成して提出
- 手書きで書類を作成して提出
- 税理士に依頼する
この中で最も一般的な方法は、確定申告を簡単に行えるソフト(会計ソフト・確定申告ソフト)を活用する方法です。会計ソフトを活用すれば、難しい知識や手間を感じることなくスムーズに書類を作成することが可能です。時間もかからずに行えるため最も一般的と言えるでしょう。ただし、会計ソフトを導入するコストがかかります。
国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」を活用することでコストをかけずに確定申告を行う方法もあります。ただし、この場合は手作業で集計を行うため手間がかかってしまいます。自分で行うよりはスムーズですが、会計ソフトを活用することに比べると難易度が上がります。
最も簡単な方法は、税理士に依頼することです。確定申告に関わる業務をすべて委託するので手間は全くかかりません。ただし、当然ですがコストも最も高くなります。
書類を作成したら、後は税務署に提出します。提出方法は以下の方法で行います。
- 書類を直接持参する
- e-Taxを利用
- 郵送
投資が会社にバレたくない場合は、確定申告を行う際に「普通徴収」を選択しておきましょう。
投資や副業など、本業以外で利益が上がることが会社にバレるケースとして最も一般的なのが、住民税が大幅に増えてしまうことです。それを避けることができれば、会社にバレることなく投資で利益を得ることが可能です。
そのためには確定申告で、住民税の納付方法を「特別徴収」ではなく自分で支払う「普通徴収」に変更しておきましょう。
投資が会社にバレたくない…という人には「投資は副業にあたるのか?OKな理由と会社にバレたくない場合の対処法」でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。
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今回の記事では投資で確定申告が不要なパターンを紹介しましたが、そもそも投資で利益が出なければ確定申告は必要ありません。しかし皆さんが投資をする目的は「お金を増やしたい」からだと思います。弊社では、お金の増やし方を無料で学べるセミナーをご用意していますので、興味のある方は下記リンクよりご参加ください。
投資の確定申告に関するQ&A
ここでは投資の確定申告に関する疑問にお答えします。
- 投資は確定申告が必要ですか?
- 株で20万円以下儲けたら確定申告は必要ですか?
- 積立NISAは確定申告が必要ですか?
投資は確定申告が必要ですか?
不要なケースと必要なケース、また申告したほうがお得なケースがあります。それぞれケースごとの詳細が下記です。
不要なケース
・証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で投資をしている
・NISA口座で投資をしている
・投資で出た利益が20万円以下
必要なケース
・証券会社の特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で投資をしている
・不動産投資で利益を得た場合
確定申告をすると得になるケース
・投資で損が出た場合
・繰越控除を受けたい場合
・配当控除がある場合
株で20万円以下儲けたら確定申告は必要ですか?
利益が20万円以下でしたら確定申告は不要です。特定口座(源泉徴収なし)、一般口座かに関わらず、確定申告を行う必要はありません。
しかし副業などでも利益が出ていて、投資の利益と合わせて利益が20万円超える場合は確定申告が必要ですので、ご注意ください。
基本的に何か特別な事情がない限り、証券口座は特定口座(源泉徴収あり)を開設するほうが良いでしょう。一般口座はメリットがほとんどありません。
また現在特定口座(源泉徴収なし)、一般口座にしてしまっている場合でもあとから口座を変更することは可能ですので、証券会社に確認をしてみてください。
積立NISAは確定申告が必要ですか?
積立NISAは非課税枠ですので、確定申告は必要ありません。新NISAも同様です。しかし損をした場合、NISAは繰越控除は使えないので、その点はご注意ください。
まとめ
以上この記事では、投資で確定申告が必要なケースなど以下の内容について詳しく解説してきました。
- 投資で確定申告が不要な3つのケース
- 投資で確定申告が必要な2つのケース
- 投資で確定申告をするとお得な3つのケース
- 確定申告で必要なもの
- 証券口座は「特定口座(源泉徴収あり)」がおすすめ!
この記事をお読みいただくことで、投資における確定申告について網羅できたかと思います。ぜひこの記事を参考に、資産運用の理解を深めていただければ幸いです。
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