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株式投資に役立つROEとは?初心者がマスターするべき見方・使い方・注意点を解説

「株式投資でROEという指標を見るけど、ROEって何のこと?」
「ROEって何のために使うの?必要なの?」

株式投資を始めたばかりだとこんな疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。

ROEとは「自己資本利益率(Return On Equity)」といい、主に株主が投資した資本で会社がどれだけ利益を上げているかを示します。会社の経営の効率性を示す指標です。

ROE(自己資本利益率)とは?

ROEは数値が高いほど、投資家が投資した額に対して効率的に利益を上げていると言えるため、投資家が注目する指標です。

ROEは投資判断に役立つため、見方・使い方をマスターしてぜひ活用するようにしましょう。

特にROEは長期投資に有効で、下記のような人は使うことをおすすめします。

ただし、利用の際にはいくつかの注意点があるため、正しい利用方法を把握するようにしましょう。

株初心者の方向けに、株の正しい知識や成功するポイントを解説している記事もあるので、気になる方は参考にしてみてください。
初心者でもできる!株式投資で成果をだせるようになるための王道の方法

▼この記事で分かること

  • ROEとは
  • ROEは長期投資のために重要な指標
  • ROEの見方・使い方
  • ROEを使って株の取り引きをするべき人
  • ROEを使う上での注意点
  • ROEと併せて使うべき指標

最後まで読むことで、ROEと併せて使うべき補完的な指標も分かるため、ぜひ最後まで目を通し、銘柄選びに役立ててください。

なお、下記の記事では「企業分析」「銘柄の選び方」「出口戦略」など株式投資で利益を出すために必要な知識を基礎から実践までステップ形式で紹介しています。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

1. ROE(自己資本利益率)とは会社の稼ぐ力を測る株の指標

冒頭でも紹介しましたが、ROEとは、自己資本利益率といい、会社が自己資本でどれくらいの利益を上げたか測る指標です。

ここでは、ROEの基本的な意味を紹介します。

ROEは、投資先選びに重要な指標でもあるため、ぜひ内容を正確に把握しておくようにしましょう。

ROE(自己資本利益率:Return On Equity)とは、会社の自己資本でどれだけの利益をあげたか、その割合を%で表したものです。

自己資本とは、資本金など株主から集めた資金のことです。返済義務のある借入金や社債といった「他人資本」と区別して、返済義務がないため「自己資本」と呼びます。

ROEは、株式投資の視点から見ると、投資した金額に対して企業がどれくらい稼ぐことができるかという企業の稼ぐ力を測る指標と言えます。

ROEが高いほど投資した資金を使って効率的に稼いでいることを示すため、経営効率が高く、投資価値が高いと考えられます。

2. ROEの計算方法

ROEを計算する際には、次の2パターンで計算することができます。

具体例は下記の通りです。イメージを掴むために確認してみましょう。

2-1. ROEの計算例

上で述べた通り、ROEは、まず下記の計算式で表すことができます。

ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本の合計 ×100

この計算式に従って具体的な事例で比べてみると以下のようになります。

<ROEの例>
A社 自己資本100億円 当期純利益5億円
B社 自己資本100億円 当期純利益10億円
の場合、ROEは次の通りです。

A社のROE = 当期純利益 5億円 ÷ 自己資本100億円 × 100 = 5%
B社のROE = 当期純利益10億円 ÷ 自己資本100億円 × 100 = 10%

同じ自己資本でも利益割合の大きいB社の方がROEが高くなり、経営効率がいいことになります。

2-2. ROEはEPSやBPSでも計算できる

ROEなどと併せて利用される投資指標にEPS(一株当たり純利益)とBPS(一株当たり純資産)があります。

(用語補足)

  • EPS(一株当たり純利益):一株当たり純利益がどれくらいあるかを示す。EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数。
  • BPS(一株当たり純資産):一株当たり純資産がどのくらいあるかを示す。BPS=純資産 ÷ 発行済株式総数

ROEは、EPSとBPSを使って次のような式で、簡単に計算することもできます。

EPSとBPSが分かっている場合は、ROEは下記のように計算できます。

<ROEの例>
A社 EPS(1株当たり純利益)30円 BPS(1株当たり純資産)1000円
B社 EPS(1株当たり純利益)100円 BPS(1株当たり純資産)1000円
の場合、ROEは次の通りです。

A社のROE = EPS 30円 ÷ BPS 1000円 × 100 = 3%
B社のROE = EPS 100円 ÷ BPS 1000円 × 100 = 10%

3. ROE(自己資本利益率)は長期投資をする場合に特に必要

ROEの意味を紹介しましたが、株式投資をする際にはROE以外にもROA、PERなどさまざまな指標があります。

そのなかで、ROEが何のために必要なのか、どの程度確認する必要があるのか気になりますよね。

結論をいうと、ROEは、ファンダメンタルズ分析に使われる指標のひとつで、株式投資においては注目度の高い指標と言えます。

特に長期投資を行う場合などには活用した方がよい指標です。

株式投資の際に銘柄を探す方法としては、株価の値動きを予測する「テクニカル分析」と企業の本質的な価値を探る「ファンダメンタル分析」の2つの方法があります。

<用語補足>

  • テクニカル分析:株価のデータやチャートなどから株価や相場を予測する方法。短期的な将来の株価の動きを予測して利益を得る。
  • ファンダメンタルズ分析:企業の業績や財務状況から「企業の価値」を見る方法。企業の価値より割安な株があれば、投資をし将来適性な価格になった際に利益を得る。

ファンダメンタルズ分析は、企業の財務データを使って、企業の収益力や成長力といった企業の価値を測る方法です。そして、企業の価値が現状の株価に比べて高い、あるいは今後高くなると判断された銘柄に対して、将来株価があがると見込んで投資する手法です。

このファンダメンタルズ分析において、ROEは、企業の「経営効率性」あるいは「収益力」を測ることのできる代表的な指標と言えます。

ROEは、株主の投資した投資額に対して企業がどれくらいの利益をあげるかという、投資効果をダイレクトに測ることができる指標のため、国内外の投資家が注目している指標です。

難点としては、ROEは短期の相場には反映されにくく、短期投資の判断には使用しにくい点です。しかし、長期的な視点で価値の高い企業に投資をしたい場合の判断に向いています。

ROEは長期投資に活用することがおすすめです。

ファンダメンタルズ分析を詳しく解説している記事もありますので、より具体的に活用方法を知りたい方はご覧ください。

4. ROEの見方・使い方

ROEが長期投資に有効な指標であることが把握できたことと思います。

ここでは、実際にROEを使う際の見方・使い方について解説します。ROE特有の数値の目安や使い方があるため、正確に把握しておくようにしましょう。

ROEの見方・使い方の主なポイントは下記の通りです。

  • ROEは証券会社の銘柄紹介のサイトや投資情報サイトで簡単に見ることができる
  • ROEの数値の目安は8~10%
  • ROEは業界ごとに水準が異なるため同業他社で比較する
  • ROEが変動した場合、理由(純利益と自己資本の変動)を確認する
  • ROEの具体例

それでは具体的に見ていきましょう。

4-1. ROEは証券会社の銘柄紹介のサイトや投資情報サイトで簡単に見ることができる

ROEは証券会社の銘柄検索画面、株式・投資情報サイトで閲覧・検索することができます。

ROEを計算するための自己資本・純利益のデータは、企業の財務諸表の数値がおおもとのデータですが、各証券会社や情報サイトでまとめて確認ができるため、これらのサイトを活用するようにしましょう。

個別銘柄ごとの紹介ページで確認できたり、高ROEランキング・低ROEランキングといったようなランキング形式の一覧で確認できたりします。

<ROEが閲覧できるサイトの例>

業種別の比較や他の指標と組み合わせての比較がしやすいサイトも多いため、自分の利用しやすいサイトを選んで活用するようにしましょう。

4-2. ROEの数値の目安は8~10%

ROEの数値の目安は8~10%と言われているため、この数値を基準とするようにしましょう。

実際のところ、一般社団法人生命保険協会が投資家に行った調査においても、「長期的に望ましいと思うROEの水準」として回答が多かったのは8%もしくは10%でした。

参考:一般社団法人生命保険協会「生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取組について」

「ROE10%以上が望ましい」とする投資家が48%と最多で、次いで「ROE8%以上を望ましい」とする投資家が22%と多くなっています。ROEの水準として、8%や10%が目安とされていることが分かります。

この目安を踏まえて、日本企業の場合、

  • ROEが10%以上であると優良
  • ROE20%以上であるとかなり優良

と判断されます。

ROEを見る際には8~10%を基準とするようにしましょう。

4-3. ROEは業界ごとに水準が異なるため同業他社で比較する

ROEは、業界ごとに水準が異なるため、ROEを見る時は同業他社で比較するようにしましょう。

業界ごとのROEの水準は下記の通りです。

【業種別ROE(自己資本利益率)】

2022年

2021年

(全産業)

9.10

9.36

水産・農林業

9.40

9.66

鉱業

13.28

5.96

建設業

8.83

8.22

食料品

8.30

8.93

繊維製品

4.11

5.52

パルプ・紙

1.09

7.50

化学

8.38

10.19

医薬品

7.52

7.33

石油・石炭製品

9.24

21.94

ゴム製品

9.20

13.13

ガラス・土石製品

4.38

8.96

鉄鋼

12.40

14.11

非鉄金属

7.28

12.04

金属製品

5.72

6.98

機械

9.49

8.92

電気機器

10.02

11.39

輸送用機器

7.60

8.49

精密機器

14.01

12.70

その他製品

10.98

12.93

電気・ガス業

-0.39

1.83

陸運業

7.35

1.55

海運業

49.17

82.39

空運業

7.75

-17.79

倉庫・運輸関連業

8.54

7.51

情報・通信業

7.39

5.76

卸売業

14.8

14.27

小売業

8.46

8.15

不動産業

9.26

8.95

サービス業

6.05

6.71

銀行業

5.26

5.04

証券、商品先物取引業

4.26

11.40

保険業

4.85

8.36

その他金融業

8.35

9.37

参考:日本取引所グループ「決算短信集計」2022年度
※データは、2022年度(2022年4月~2023年3月)決算短信集計の連結ベース

例えば、建設業の場合はROEは9%前後ですが、銀行業の場合のROEは5%台です。

ROE5%の建設業の会社の場合は同業種内で比較するとROEの水準は低い(経営効率は悪い)と言えます。一方で、ROE6%の銀行業の場合は、同業種内でのROEの水準は高く、経営効率はよいと言えます。

このように、同じROE5%でも、業界によって判断が異なってしまうため、同業種内で比較するようにしましょう。

また、ROEは、年度ごとの純利益の水準で多少前後することがあります。比較する際には、同じ時期の同業種のROEと比較するようにしましょう。

4-3. ROEが大きく変動した場合は理由(純利益と自己資本の変動)を確認する

ROEの水準が急激に上がったり下がったりした場合は、その理由を確認するようにしましょう。

ROEは、純利益と自己資本との割合で計算されるため、ROEが高くなる理由には、

  • 純利益が高くなった場合
  • 自己資本が減った場合

とが考えられます。

自己資本が減っていても、例えば借入金など他人資本を増やして成果をあげた場合には、必ずしも経営効率が良いとは言えません。

こうしたケースがあるため、ROEの数値が一時的に高くなっている場合には、純資産の変動によるものか、自己資本の変動によるものか確認して判断するようにしましょう。

4-4. 【実例】自動車業界のROE比較

実際のROEのデータを見てみましょう。

例えば自動車メーカーのROEを見てみると下記の通りです。

【自動車メーカーのROE比較】

順位

証券コード

名称

直近
(2020年度)

2019年度

2018年度

1

7203

トヨタ自動車

10.21

10.28

9.64

7269

スズキ

9.22

9.32

13.29

7267

ホンダ

7.69

5.6

7.53

7270

SUBARU

4.38

9.2

9.36

5

7261

マツダ

-2.69

1.01

5.26

7201

日産自動車

-11.2

-14.33

5.97

7

7211

三菱自動車

-48.78

-3.14

16.08

2022年4月時点で確認できる最新期(2020年度)のROEの高い順に並べてみました。

自動車メーカーは、「3-3. ROEは業界ごとに水準が異なるため同業他社で比較する」では輸送用機器に該当します。輸送用機器のROEの平均水準は、2022年度は7.60、2021年度は8.49でした。

トヨタ自動車などは、輸送用機器の平均水準より高い10%前後です。高水準で安定的に推移しているため、経営効率が高いと言えます。一方の、三菱自動車は、3期連続で、ROEが低下の一途をたどっているため注意が必要といえます。

5. ROEを使って株の取引をするべき人

ROEの見方・使い方を把握できたと思います。

ROEについては、長期投資に活用すべきことは先にも述べましたが、特に下記に当てはまる人は、ROEを使って株の取り引きをすることをおすすめします。

理由を具体的に見ていきましょう。

5-1. 一時的な株価の動向に振り回されず長期的視点で利益を上げたい人

一時的な株価の動向に振り回されずに長期的な視点で利益を上げたい人は、ROEを使って銘柄分析をすることをおすすめします。

ROEが安定的に業界平均以上の高い水準で推移しているような銘柄は、経営効率がよいため長期投資に向いている銘柄と言えます。反対にROEが業界水準を下回っていたり、ROEの変動が激しかったりする銘柄の場合は、投資資本に対して安定的に稼ぐ企業とは言えないため、長期投資では避けた方がよいと言えます。

長期投資に適した銘柄かどうかを判断することができるため、長期投資にはROEを活用するとよいでしょう。

5-2. 根拠をもって堅実に投資先を選びたい人

直感や流行に基づくのでなく、根拠を持って堅実に投資先を選びたい人もROEを活用することをおすすめします。

ROEの活用を含めた「ファンダメンタルズ分析」は、企業の実績データに基づき企業の価値を測って投資をする方法です。

むやみに投資するよりも過去のデータに基づいた推計で勝率を上げることができるため、堅実な投資をしたい人は、ROEを活用するようにしましょう。

5-3. 隠れた優良銘柄を見つけたい人

隠れた優良銘柄を見つけたい人も、ROEを使って銘柄探しをすることをおすすめします。

ROEを、株価が割安であるかどうかを判断する指標(PERなど)と併せて使うことで、経営効率がよいのにまだ市場から評価されていない銘柄(株価が割安な銘柄)を見つけることができます。

ROEは優良な投資先を探す際に役立つ指標のため、ぜひ活用するようにしましょう。

6. ROEを使う上での注意点

ROEを活用すべき人について紹介しました。しかし、ROEを活用する際には注意しなければならない点があります。

それは次の3点です。

【ROEを使う上での注意点】

  • ROEは現在よりも今後高くなる可能性のあるものを選ぶ
  • 現在の株価も確認する
  • ROAと併せて使う

詳しい内容は次の通りです。

6-1. ROEは現在よりも将来的に高くなる可能性のあるものを選ぶ

ROEを使う際には、数値だけを見て判断するのでなく、下記の情報源などを確認して、今後高くなる可能性があるかどうかを考えて選ぶようにしましょう。

〈確認したい情報源>

  • 企業のニュースリリース
       新製品のリリース情報、製品のマイナーチェンジ情報、企業再編の情報などを確認する。
  • 投資・企業情報サイトのニュース
       企業の起こした事故・トラブルについてのニュース、業界の景気などを確認する。

ROEは、自己資本と純利益という過去の実績データに基づいて計算するものです。投資には、できるだけ先の状況を知る必要があるため、企業の将来の業績に関係しそうなニュースを上記の情報源から把握し将来的に高い利益が見込めるかどうか判断するようにしましょう。一方で、事故やトラブルなどの赤字になりそうな事情を抱えている企業は避けることが賢明です。

6-2. 現在の株価も確認する

ROEを使う際には、現在の株価も併せて確認するようにしましょう。

なぜなら、ROEは株価とは関係なく計算される指標のため、ROEの数値がよくてもすでに株価が高値圏になっているケースがあるからです。

すでに株価が割高になっている場合、ROEが高くても今後さらに株価が上がる可能性はありません。

投資判断をする際には、ROEだけで判断するのでなく、現在の株価を確認し株価が高止まりしていないかどうか、割高になっていないかなど確認するようにしましょう。

6-3. ROAと併せて使う

経営の効率性を見る時は、ROEと併せてROAも見るようにしましょう。

ROEが自己資本に対する利益の割合を示すのに対して、ROAは自己資本に加えて借入金などの他人資本を含めた総資産に対しての利益の割合を示します。

ROAを見る理由は、ROEが高くても必ずしも収益性が高いとは言えない場合があるからです。例えば、もともと借入金が多くて自己資本の小さい会社などのケースです。

そうした場合は、ROEとROAと比べてみて、ROAとROEの大きさに隔たりがないかどうか確認しましょう。かなり値が違う場合には、他人資本(借入金など)が多いことが分かります。

例えば下記の例を見比べてみてください。

【例】
A社 当期純利益 100万円 自己資本20万円 他人資本80万円 総資産100万円
B社 当期純利益 100万円 自己資本80万円 他人資本20万円 総資産100万円
のケース。

A社 ROE = 100万円 ÷ 20万円 = 5
   ROA = 100万円 ÷ 100万円 = 1
B社 ROE = 100万円 ÷ 80万円 = 1.25
   ROA = 100万円 ÷ 100万円 = 1

自己資本が小さく他人資本の大きいA社の場合は、ROEとROAは5対1もの差があります。

ROEで銘柄を選ぶ際には、ROAを併せて使うようにしましょう。 

7. 欠点を補うためにも他の主要指標と合わせて使う

ROEは、長期投資をしたい場合や堅実な銘柄選びをしたい場合に役立つとお伝えしました。しかし、ROEは、万能な指標ではありません。

長期投資において株を選ぶ際に検討したい点は、経営の効率性だけではないからです。

投資先を選ぶ際には、経営の効率性以外にも収益性や安全性などといった点を考慮しなければなりません。しかし、ROEではそうした判断はできないため、補完的に他の指標と組み合わせて使うようにしましょう。

例えば、下記のような指標を併用することがおすすめです。

■株価の割安・割高感を見る指標

指標名

内容・見方

PER(株価収益率)

「企業の収益」に対する株価の割安・割高感を示す指標。低い方が割安。

PBR(株価純資産倍率)

「企業の純資産」に対する株価の割安・割高感を示す指標。

株の割高・割安はPERとPBRで分かる!指標の使い方と注意点」では、この指標の使い方をより詳しく解説しています。

■企業の将来性・成長性を見る指標

指標名

内容・見方

EPS(一株あたり純利益)

1株に対して会社の純利益がどのくらい出ているかを表す。数年間の推移を見て上昇していれば、成長企業と判断できる。

■企業の安全性を見る指標

指標名

内容・見方

BPS(一株当たり純資産)

1株に対して会社の純資産がいくらあるかを表す。一株当たり純資産は、会社が解散した場合、株主のもとに残る価値になるため「1株当たり解散価値」とも呼ばれる。高いほど純資産が多く負債が少ないため、安全性が高いと判断される。

投資先を選ぶ際には、一つの指標に頼らず、さまざまな指標を見比べて「将来性」「安全性」「割安感」などの点について多面的に考えることが大切です。

投資を成功させるためには、こうした銘柄選びの分析力を養うことも大切です。さらに投資について学びたい場合には、投資のプロから学ぶ機会を持つとよいでしょう。

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株のROEに関するQ&A

ここでは株のROEに関する疑問についてお答えします。

  • ROEが10パーセントの企業は良いですか?
  • ROEが高いと何がいいですか?
  • ROEが高いか低い どっちがいい?

ROEが10パーセントの企業は良いですか?

ROEの目安は8%〜10%と言われています。10%以上であると優良、20%以上あるとかなり優良であるとされています。しかしその評価は業界特性、資本構造、持続可能性、成長率などを総合的に考慮する必要があります。

ROEが高いと何がいいですか? 

ROEが高いと良いことは下記5つとなります。

1. 効率的な資本利用
高いROEは、企業が株主から提供された資本を効率的に利用して利益を上げていることを示します。これは、企業が少ない資本で多くの利益を生み出していることを意味し、資本効率の高さを示します 。
2. 投資家にとっての魅力
高いROEは企業の収益性が高いことを示し、投資家にとって魅力的です。収益性の高い企業は、株主への配当金や株価の上昇を通じてリターンを提供する可能性が高いため、投資家の注目を集めやすいです 。
3. 企業の競争力
高いROEは、企業が競争力を持っていることを示す場合があります。資本を効率的に活用し、高い利益を上げることができる企業は、市場での競争において優位に立つことができます 。
4. 成長の持続可能性
高いROEを維持できる企業は、持続的な成長を実現しやすいです。企業が稼いだ利益を再投資することで、さらに高い収益を生み出し、成長を続けることができます 。
5. 財務の健全性
高いROEは企業の財務健全性を示すこともあります。企業が自己資本を効率的に活用していることから、健全な財務管理が行われていると考えられます。ただし、過剰な負債に依存している場合は注意が必要です 。

ROEは高いか低いどっちがいい?

ROE(自己資本利益率)が高いか低いかは、企業の効率性や収益性を評価する重要な指標ですが、その評価には文脈が重要です。一般的には、ROEは高い方が良いとされていますが、必ずしも一概には言えない場合もあります。

高いROEは、企業が効率的に高い利益を出していることを示しますが、過剰な負債がある場合にも生じます。経環境の変動に対する耐性が低くなることがあります。

低いROEは企業が保守的な財務制政策をしていて、低い負債率を維持している可能性があります。これにより安定した経営を期待できます。しかし収益性が低い可能性もあるので、それだけで判断はしないほうが良いでしょう。

まとめ

ROE(自己資本利益率)とは、会社が自己資本でどれくらいの利益を上げたか測る指標です。

ROEは、ファンダメンタルズ分析に使われる指標のひとつで、特に長期投資を行う場合などには活用した方がよい指標です。

ROEは特に次のようなタイプの人は積極的に使うことがおすすめです。

さらに、ROEを使う際のポイントは下記の通りです。

  • ROEの数値の目安は8~10%
  • ROEは業界ごとに水準が異なるため同業他社で比較する
  • ROEが変動した場合、理由(純利益と自己資本の変動)を確認する

ROEを利用する際には、株価やROAやPER・PBRなど他のセグメント指標と併せて利用するようにしてください。

これらの情報をぜひ将来に向けての堅実な資産形成のために役立ててください。

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