「二人とも働いてるけど、結婚したら、夫婦の家計はどう管理していけばいいかな」
「今はそれぞれ管理してて、夫婦全体の家計管理ができていない…」
「夫婦全体で家計管理していきたいけど、どうしたらいいのかな」
上記のようにお考えだったあなたへ。共働き夫婦で家計管理をしていくなら、共通口座を持つことをおすすめします。
共通口座を持つことで、家計の全体像の把握が容易になり、無駄遣いにも気づきやすい、などメリットを受けることができます。
自分一人だけなら、自分の口座一つで全て収支管理していればもちろん問題はありません。しかし、結婚して夫婦生活が始まれば、共有して使うものや消費するものが当然増えてくるので、今まで通りに、お互いがそれぞれの口座だけでお金を全て管理しようとしても、どうしても限界が出てきます。
夫婦生活で、すり合わせておくといい事柄はたくさんありますが、中でも「お金に関すること」や「お金の価値観」のすり合わせは、パートナーとの信頼関係を長く続けていくためにとても重要です。
その点で、定期的にパートナーと「お金の話をするきっかけ作り」にもなるので、共通口座での家計管理を検討すると良いです。
ここで
「具体的に、共通口座を活用してどう管理したらいいの?」
「共通口座を持つことで気をつけた方がいいポイントは?」
「共通口座におすすめの銀行があれば知りたい!
と考えた方もいるでしょう。
そこで、本記事では、共働き夫婦で共通口座を持って家計管理をするメリットを改めてお伝えするとともに、共通口座を持った場合の管理の仕方や注意点、おすすめの銀行などを紹介していきます。
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監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
なぜ夫婦の共通口座を持つことがいいのか
まず簡単に「そもそも共通口座とは何か」を説明しておきます。
共通口座とは「夫婦で共同で使うお金や家計の管理をするにあたり、夫婦で一緒に使う口座」を全般的に言ったもので、「共通口座」という専用の口座があるという訳ではありません。
「どちらか一方の名義で銀行口座を新しく作り、それを夫婦の共通口座として使う」と言ったような文脈でイメージすると、わかりやすいです。
共通口座のイメージができたところで、改めて、共働き夫婦の共通口座をもつメリットをお話したいと思います。
冒頭でも少し触れましたが、共通口座を持つメリットは以下の点となります。
- 家計管理をシンプルにできる
- 家計の「全体像」が把握しやすくなる
- 無駄遣いに気付きやすい
- 公平性を担保しやすい
一つずつ解説していきます。
1-1. 家計管理をシンプルにできる
メリットの1つ目は「家計管理をシンプルにできること」です。
冒頭でもお伝えしたとおり、夫婦で生活となると、食費や光熱費など、基本的に一緒に負担する支出項目が増えることとなります。これらの一緒に負担する支出全てについて「どちらがどのくらいの割合で負担する」などと、細かく分けて管理するのは、とても大変です。
毎回、夫婦の支出があるたびに、このような手間をかけて家計管理をすると考えると、継続も難しくなり、管理も曖昧になってしまいます。
家計管理を曖昧にしていると、気づいた時にはお金が足りなくなっていた、となってしまう可能性もゼロではありません。家計管理は継続が大切です。そして継続するためにはなるべく容易に管理ができるようにしておくことが必要です。
「どちらがどのくらい使ったか」と管理するより「夫婦でどのくらい使ったか」とすることで、シンプルにわかりやすく、家計管理をすることができます。共通口座の活用は、そのようなシンプルな家計管理をしたい際に、有用といえます。
1-2. 家計の全体像を把握しやすくなる
メリットの2つ目は、家計の全体像を把握しやすくなる、ということです。
個人の支出と夫婦の支出を一緒の口座で管理している場合、いざ夫婦の家計としてどのくらい支出があるのか、を把握しようとした時、項目を一つ一つ確認し、個人の支出なのか夫婦の支出なのかを判断して別途記録をしていくことが必要となってきます。
これも大きな手間であり、なおかつ、計算間違いなどをする原因にもなります。
そこで、夫婦の共通口座を作成・活用し、家計管理を行います。
そうすることで、「夫婦の生活費としてどのくらい支出があったのか」という家計の全体像が、その口座を一目するだけで把握できるようになり、上記のような手間や煩雑さを無くすことができます。
1-3. 無駄遣いに気付きやすい
メリットの3つ目は無駄遣いに気がつきやすくなることです。
お金を管理するにも、自分一人の目だけだと、無駄な支出があったとしても気が付かずにそのままになってしまうこともあります。また、自分一人では無駄と思っていなくても、パートナーにしてみたら過剰な支出と感じることもあるでしょう。
共通口座を作って、夫婦二人で支出を見れるようにしておくことで、単純に確認する目が2倍になるので、無駄遣いがあれば気が付きやすくなりますし、冒頭でもお話しした通り支出の多少について話し合うなど、お金の価値観をすり合わせるきっかけにすることもできます。
1-4. 公平性を担保しやすい
メリットの4つ目は、夫婦間で公平性を担保しやすくなることです。
共働きであれば、夫婦間で収入に差があるというケースも少なくありません。収入に差があるのに、生活にかかる支出が同じであれば、当然、夫婦といえど不公平感が出てきます。
収入差があるなら、支出もその差に応じた負担にできた方がよいと考える方が多いのではないでしょうか。
共通口座を作り、例えば「お互い収入の10%を入金する」というルールを作って管理しておけば「収入差に応じた家計負担」を自動的に作り出すことができ、公平性を担保することに繋がります。
夫婦間の信頼関係を長く続けていくためにも、このような管理の仕方は有効と言えます。
共通口座を使った、夫婦の家計管理術
前章で、夫婦の共通口座をもつことのメリットが理解できたところで、次に「具体的にどのように共通口座で家計管理をしていけば良いか」について解説します。
① 生活費用の口座を作り、毎月お互いに定額を入金
第1章の中でも触れましたが、まず共通で使うための銀行口座を新たに一つ作成し、食費や光熱費など、夫婦の生活費や一緒に使うものについてはその口座から支出する、というように使います。
生活費の中で、例えば光熱費など、口座引落で支払っている項目があれば、引落先を共通口座に設定すると、管理しやすくなるのでおすすめです。
共通口座への入金については、夫婦それぞれ、毎月決めた金額を自動振替設定などを利用して、入金するようにしておくと良いです。勤務先に依頼し、給料の一部を共通口座へ振り分けて入金してもらうように依頼する方法も良いでしょう。
なお、金額については、1-4で触れたように、収入差がある場合は「収入の⚪️%」という形で決めておくと、夫婦間の公平性を担保できるので、事前にどのようなルールにするか、しっかり話し合っておくと良いです。
② 生活費用の口座とは別口座で貯蓄を行う
夫婦の家計の「収支」の管理については前項目でお話ししたところとなりますが、合わせて「貯蓄」のことも考えていきましょう。
ライフステージが進むにつれ、マイホームの購入や子供の教育資金、転職や引っ越しなど、まとまったお金が必要となるタイミングも出てきます。それらに備え、貯蓄を検討しておくことは重要です。
貯蓄をしていく際は、収支の共通口座の中で貯めていくのではなく、別の口座を使って貯めていくことが良いです。理由としては「貯蓄があって余裕に感じてしまい、つい支出が多くなってしまった」という状況を防ぐためです。
有事の際にすぐ使えるように、生活費の半年分程度の生活防衛資金を共通口座に残したら、それ以外の預金は夫婦の貯蓄用口座で管理しましょう。
夫婦共通の貯蓄用口座を新たに作成して管理してもよいですし、夫婦それぞれの個人の口座で管理する方法でも構いません。いずれにせよ、共通口座に残したままにするのではなく、貯蓄用の別口座で管理することが重要です。
夫婦の共通口座を持つ上での注意点
前章で実際に共通口座を作成した際、家計管理にどのように活用すると良いかをお伝えしました。
「早速始めよう!」と言ったところですが、共通口座を持つ上での注意点もあります。
夫婦で話し合い、注意点があることを理解した上で、共通口座での管理を行うと良いです。
具体的には
- そもそも何を共通の支出とするかをしっかり話し合う
- 口座名義は手続き面も踏まえて決める
- 離別での金銭トラブルや、死別での口座凍結に注意する
の3つです。1つずつ説明します。
3-1. そもそも何を共通支出とするかをしっかり話し合う
1つ目は、共通口座で管理する項目を何にするかしっかり決めることです。
例えば、「生活費」と一言にいっても、人によって何を生活費とするか、どの程度の支出が妥当かなど、感覚や価値観は異なります。
これは夫婦間でも同様です。一方が「生活費だから」と思って共通口座から出すべきと思っても、その認識が必ずしも一致しているとは言えません。この辺りをしっかり決めておかないとトラブルの元になりやすいです。
また反対に、例えば夫婦共通で楽しむための娯楽のお金など、生活費でなくても二人が納得していれば、共通口座の支出とすることも、もちろん問題ありません。
家計管理の長続きのコツでもあるので、事前の支出項目決めを、パートナーとしっかり話し合っておくと良いでしょう。
3-2. 口座名義は手続き面も踏まえて決める
2つ目は、共通口座を作成する際の口座名義についてです。
1章の冒頭で少しお伝えしましたが、「夫婦の共通口座」といっても、実際の銀行口座は連名などでは作れないため「どちらか一方の名義で作成し、共通口座として使う」という流れになります。
その際、迷うのが「夫婦どちらの名義で作成すべきか」という部分かと思います。
結論として、今後の手続き面を踏まえて、どちらの名義で作成するか決めると良いです。
例えば、カードや通帳の紛失、情報の変更など、銀行で手続きが必要となった場合、基本、本人が行う必要があります。
本人以外が手続きを行おうとする場合、別途用意しないといけない書類が増えて、手続きに手間がかかったり、場合によっては「本人以外不可」とされてしまうケースもあります。
共通口座を作成する際は、これらのことを踏まえて、「何かあった時、手続きに容易に行ける方の名義で作る」などと考えると良いでしょう。
3-3. 離別での金銭トラブルや、死別での口座凍結に注意する
3つ目は離別や死別の際、トラブルになる可能性があることです。
もし離婚した場合「共通口座内に残ったお金をどう分けるか」などがトラブルになることがあります。
また、名義人が死亡した場合、銀行側がそれを把握すると口座が凍結されてしまい、相続手続きが完了するまでその口座を使用できない、ということも起こり得えます。
上記のことを、はじめから起こる前提で強く想像しておく、ということまでは不要と言えますが、トラブルが発生することがある、ということ自体は理解しておくと良いでしょう。
夫婦の共通口座におすすめな銀行4選
ここまで、夫婦の共通口座の管理や注意点についてお伝えしてきました。
最後に、夫婦の共通口座を作る際におすすめの銀行口座4つをご紹介します。
4-1. 代理人カード(家族カード)が作成できる銀行
夫婦の共通口座を作成するなら「代理人カード(家族カード)」が作成できるところがおすすめです。
代理人カードとは、本人のカードとは別に、生計を共にする親族を使用者として発行するカードのことを言います。
これがあることで夫婦のどちらも、共通口座のキャッシュカードを持ち、ATMなどで入出金ができるようになります。
代理人カードは作成できるという銀行が多いですが、銀行によって取扱がないこともあるので、代理人カードを持って管理したい、という場合は事前に確認すると良いです。
代理人カードが作成できる銀行の中で、おすすめは以下の2つです。
ゆうちょ銀行
- 三井住友
それぞれ、おすすめポイントを簡単にお伝えします。
4-1-1. ゆうちょ銀行
1つ目はゆうちょ銀行です。おすすめの理由としては、圧倒的に店舗数が多いことです。
全国に支店があり、街中などでもATMが多数設置されています。また、コンビニATMなどでも使用可能なので、非常に使い勝手が良いです。
出入金にかかる手数料も、ゆうちょ銀行ATM使用時は0円なので、コスト面でもお得に使えます。
4-1-2. 三井住友銀行
2つ目は三井住友銀行です。
同銀行内の振込手数料が無料なので、「個人の方で三井住友口座を使っている」という場合は、共通口座に入金する際のコストを抑えることができます。
また、「かぞくのおさいふ」という自社の家計簿アプリがあり、夫婦の家計管理もしやすい環境を整えていることなどがおすすめポイントです。
4-2. 手数料が安く使い勝手の良いネット銀行
ネット系の銀行も、共通口座作成におすすめです。
ネット銀行の場合、4-1で紹介した代理人カードの作成ができないとしているところが多いですが、申し込みがオンラインで完結したり、出入金や振込の手数料も比較的安いなどの利点も多いので、共通口座の選択肢となります。
ネット銀行でおすすめなのは以下の2つです。
楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
こちらも、簡単におすすめポイントをお伝えしていきます。
4-2-1. 楽天銀行
1つ目は楽天銀行です。
ランクに応じて、出金の手数料が一定回数無料となります。
共通口座で家計管理する場合、食費などの生活費の支払いのため、夫婦それぞれが共通口座からATM出金をする機会もあるので、手数料のコストを抑えることに繋がります。
また、楽天ポイントも貯めることができるので、楽天経済圏で買い物などすることがある方はよりおすすめの口座と言えます。
4-2-2. 住信SBIネット銀行
2つ目は住信SBIネット銀行です。
スマホアプリの使いやすさに定評があり、残高照会や振込なども、操作、手続きが簡単に行えます。
また、開設した口座の中で、目的別に資金を分けて管理できる「目的別口座」や、自動かつ手数料無料で目的別口座へ資金を振り分ける「定額自動振替サービス」を利用することで、貯蓄用に別の口座を作成せずとも、お得に貯蓄管理ができることもおすすめポイントです。
まとめ
いかがでしたか。お金や家計のことは、少々人に話しづらい面があり、夫婦間であっても例外でないこともあります。
しかし、これから夫婦で過ごしていくのであれば、お金についてしっかり話し合い、夫婦の全体の家計をお互いで管理しあっていくことが重要です。共働き夫婦の場合、よりしっかり話し合っておくことで「相手がいくら使っていくら貯めてるか、実は全然知らない」ということがなくなるので、「実は家計全体で見たら赤字だった」や「目標の貯金額まで全然到達できない」という状況を回避し、よりよくお金を使ったり貯めていくことができます。
今後の夫婦の家計管理に悩んでいる、という方へ、本記事が参考になりましたら幸いです。
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