65歳からの資産運用は必要か?やるべき理由と最適な方法について

多くの方は、定年後の生活に向けて何らかの方法で貯蓄をしていることと思います。そして、一般的に「老後資金として2,000万円は必要」などと言われていることから、おおよそ2,000万円を目安に貯蓄しているなんて方もいるでしょう。しかし、本当に2,000万円で足りるのかどうか? については、はっきりしないところです。

何せ個々の生活スタイルによってかかる費用はまちまちです。2,000万円で足りる方もいれば、全然足りない場合もあると思います。そして昨今では、老後資金が足りないから、定年後から改めて資産運用を始めるなんて方も増えているのだそう。

そこで今回は、65歳からの資産運用について、その必要性や最適な方法について詳しく紹介していきます。

資産運用に興味がある方へ
私たちグローバルファイナンシャルスクール(GFS)では、学校では教えてもらえなかったお金のことがわかる無料コンテンツをご用意しています。

65歳から資産運用を始める主な理由

頑張って定年まで貯蓄してきたのに、定年後、たった数年で貯蓄が足りなくなる可能性が出てきてしまったなんて場合、働く以外の手段は「資産運用を始める」ほかにないでしょう。

しかし定年後の場合、年金以外に定期収入がないケースが主。つまり、失敗すると取り返しがつかない事態を招くことも考えられます。

それでもなお、資産運用をすべき理由とは何なのでしょうか? 詳しく解説していきます。

①年金だけに頼ると老後資金だけで賄うのが難しいから

SBIエステートファイナンスが60歳から65歳を対象に行った「老後破産」についてのアンケート調査によると、『将来年金のみで家計収支はプラスになるか?』という質問に対し、80%以上の方が『ならない』と答えています。アンケートの母数が約400人と少ないため、全ての方に当てはまるとは言い難いのですが、それでも大多数が年金だけでは生活していけないと答えているのは紛れもない事実であり、かなり衝撃的な結果と言えるでしょう

とは言え、年金は社会保障制度であり、生活の一助を賄うレベルのセーフティーネットに他なりません。つまり、年金に100%委ねるのはお門違いと考えて相違ないのです。定年後も継続して働けるなら問題ないと思いますが、それにも限界があると思います。

そこで最も役立つ手段こそが資産運用と言っても過言ではないのです。

②思わぬインフレによって生活資金が圧迫される可能性があるから

将来の生活について、いくら細かくシミュレーションしていたとしても、突発的な状況の変化によって計画が大幅に狂う可能性があるあたりは否めません。例えば、思わぬインフレによって物価が急騰してしまったとしたらどうでしょう? 

2024年時点では未曾有の円高から円安にシフトしている状況において、多くの方は固定費の試算に頭を抱えている方が多いと思います。

そうなると、せっかくシミュレーションした結果も正確性を失います。そこで例えば、インフレの影響を受けにくい「外貨預金」やインフレによって業績の上昇が見込める株式銘柄を保有していた場合、そこまで不安視することはなくなるでしょう。

③そもそも老後資金は2,000万円あっても足りない可能性が高い?

まず、なぜ「老後資金は最低2,000万円必要」と言われるようになったのか? きっかけは2019年6月に金融庁の「市場ワーキング・グループ」という金融審議会が公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書です。

具体的に言うと、報告書内に書かれた「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万5,000円であり、不足額の総額は単純計算で老後30年では約2,000万円を貯蓄から取り崩す必要がある」という部分をマスコミ各社がクローズアップし、やがて社会問題として大きくなっていったのです。

しかし問題は、この報告書に足りない部分についてです。何とそれら報告書の数値には『住宅の改修費』『車の買い替え』『子どもの結婚費用やお祝い』『医療・介護費用』などの支出が加味されていません。つまり、2,000万円では足りないのは明白という訳です。しかも、インフレによって固定費が余計にかかるケースも想定されていないため、2,000万円を目標に貯蓄を進めていた層にとっては不安が募るのは間違いありません。もしある程度具体的な老後資金を知りたいという場合は・・・

用意しておきたい老後資金=「老後の年間不足額(老後の年間支出-老後の年間収入)」×「老後の年数」+「医療費・介護費(1人あたり500万円)」

上記の公式を使って算出することをおすすめします。あくまで予算なので、ぴったりとはいかないと思いますが、細かいことを考えず、大まかにひたすら2,000万円を目標に貯蓄するよりも現実的です。

以下の記事では、本当に必要な老後資金についてさらに詳しく解説しています。

65歳からの資産運用に最適な資産運用方法は?

年金+貯蓄分だけでは心許ない場合、やはり資産運用は必須と言えます。しかし、手段が投資である以上、ノンリスクというわけにはいきません。できるだけ大きなリスクを避け、安全に資産を運用していくにはどうすれば良いのか? ここでは、65歳から資産運用を始める上で最適な方法についていくつか紹介していきます。

①NISAを活用してバランスファンドに積立投資

まず、60代からでもNISAは使えるのか? という疑問を覚える方もいるかもしれないので、あらかじめ解説しておくと、NISAは18歳以上であれば年齢に上限なく利用することができます

ただし、60代を過ぎてから利用する場合に気を付けるべきことは「長期積立を行う場合、運用年数を充分に確保できない点」です。そこでおすすめなのがNISAを使い、バランスファンドに積み立てていく方法です。そもそもバランスファンドは中長期向けの運用商品と言われていますが、比較的値動きが小さく、リスクを抑えた形で運用できる点が魅力です。

ただし、値動きの異なる複数の資産を組み合わせている以上、利益の幅もある程度抑えられてしまうあたり、きちんと認識し、必要額が担保できるどうかをしっかりとシミュレーションした上で運用を考えるべきです。

<こちらの記事もチェック>
新NISAは何歳までに始めるべき? 

②「毎月分配型」の投資信託を購入

そもそも「毎月分配型」の投資信託とは何か? というと、その名のごとく運用によって得た利益を毎月投資家に還元してくれるファンドのことです。つまりメリットは「毎月定期的に分配金を受け取ることができるため、現金収入が安定する」という点に尽きます。何より、分配金は純資産の中から支払われるので、分配する回数が増えるほど純資産は目減りしていくのです。

つまり、中長期には向かないため、65歳から短期で運用する商品としては非常に向いていると言えます。

③取り崩しながら運用を続ける

取り崩しながら運用するということは、つまり定年を迎えた段階で全ての資金を引き出すのではなく、必要な分だけ少額ずつ引き出しながら、残している分で運用していくというスタイルを指します。例えば、毎月一定額を取り崩すのも良いですし、資産から数%ずつ取り崩すという一定の比率で落としていくなど、様々なやり方があります。

一例になりますが、老後に必要な額は平均34万円(夫婦二人世帯の場合)という結果が出ており、年金+取り崩し分で約34万円になる形で取り崩していけば、毎月の資金に困ることは無くなる上に、資産寿命を伸ばしながら運用していくことが叶うのです。

言うなれば細く長く資産を確保していくための手段と言えます。

65歳からの資産運用でやってはいけない5つのこと

引退後も資産運用を続ける場合、言うまでもありませんが、リスクを負うべきではありません。とは言え前記したように、大なり小なり投資にはリスクがつきものですから、最適な手段を講じるためには、想定リスクの重さを考えて運用方法を決めるべきです。そこで最後にまとめたのは『老後の資産運用においてやってはいけないこと』です。全5つピックアップしたNG行為は、どれも絶対にやってはいけない手法になります。ぜひ参考にしてみてください。

①短期間でやめてしまう

大事なのは「続けること」です。ハイリスクな商品に投資をして「負け逃げ」するのは言語道断ですが、低リスクな商品に分散し、安定的な運用を心がけていたにも関わらず、ほんの短い期間でやめてしまっては、逆に損をしてしまうこともあります。65歳ともなると、長期でじっくり運用していこうとは中々考えられないかもしれませんが、生活費の不足分を賄うことができる手段と割り切り、できるだけ長く続けるべきです。

年齢に関係なく、ビギナー投資家の中にも損失を恐れるあまり、少しでも値を下げた時点で即売却してしまうという方もいると思います。しかし、売却を繰り返していては、損失ばかりが積み上がり、それに加えて手数料まで取られるとなれば本末転倒です。長い目で見る余裕を持って運用していくことが大事だと言えます。

②ハイリスクな投機に手を出す

よくある例として挙げられるのは、FXやバイナリーオプションなどへの投資です。残された時間が少ないという焦りからか、短期間で大きな利益を出そうという意識が高まり、それらのようなハイリスクな商品に手を出してしまいがちになるもの。しかし、もしそこで大きな負債を負ってしまったら、取り返しのつかない事態になってしまうことは明白です。資産寿命を縮めているようなものなので、低リスクかつ安定的な運用が見込める手段に徹底することが大事です。

③退職金の全てを投資にあてがう

そんな人、本当にいるの? と思われるかもしれません。しかし、大きなお金を目の前にすると、それをさらに大きく増やしたいと思うのは、人の性と言っても過言ではないでしょう。もしかすると、定年後に残った資金では、明らかに老後資金として不足していると分かった上でのギャンブルとして、一括投資に回す方もいるかもしれません。

もちろん、それは絶対にやるべきではありませんし、手を出した時点で全て失くすと思った方が良いでしょう。まずは焦らず、現状より少しでも資産が増える確率の高い商品にコツコツ分散・積立していくのが最良の手段です。

④節税効果を目的とした投資

ここで言う節税効果とは、NISAにおける非課税とはニュアンスが異なり、例えば不動産投資などでよく見かける「大きな節税効果が期待できます」と言った煽り広告のそれが近いと言えます。

不動産投資などにおける節税効果は、現役で働いていてある程度本業の収入がある方なら効果も見込めるかもしれませんが、定年後で年金収入のみの方となると、さほど意味があるとは言えません。くれぐれも美味しい話に乗らず、資産運用を続けるならごく安定的な手段に留めるのが吉です。

⑤美味い投資話に乗る

前項の話と少し似た部分がありますが、高齢者は投資詐欺のターゲットにされやすいのは言わずもがなです。なぜなら、退職金や老後用の貯蓄など、ある程度まとまった資金を持っている可能性が高いからに他なりません。

例えば「絶対安全」「ラクに稼げる」「リスクなし」「元本保証」といった謳い文句を冠した投資話の多くは、大抵詐欺だったりするものです。何十年も頑張って貯めてきた大事な資産を、そんなところに持って行かれてしまうことがないよう、くれぐれも美味い話には乗らないよう、注意しなければなりません。

 

 

記事一覧はこちら

コメント