投機と投資の違いとは|着実に資産を増やしたい場合はどっちをやるべき?

老後資金の準備のために投資をはじめてみようと思っているけれど、投資はギャンブルという何となく怖いイメージを持っているから、はじめにくいという方もいるのではないでしょうか。

筆者も投資はギャンブルだからやるものではないと思っていました。しかし、投資と投機(ギャンブル含む)、この2つは別々の物でしっかりと違いを理解すれば、投資が怖いものではなくなります。

この考え方は弊社が運営する投資スクール(GFS)的考え方になりますが、結論から申し上げると、投機とは機会にお金を投じること、投資とは将来の利益を見込んでお金を投じることを指します。詳しい説明は後の章で述べますが、投機に当てはまる手法と投資に当てはまる手法を、先に知りたい方は下記の表に一覧でまとめていますので、ご確認ください。

投機ギャンブル投資
FXパチンコ
仮想通貨競馬・競輪不動産
先物取引宝くじ債券
デイトレード麻雀
ルーレット
ポーカーなど

この記事では投機と投資について下記の点を詳しく解説していきます。

  • 投機と投資の違い
  • 投機と投資のメリット・デメリット
  • 初心者には投機ではなく投資をオススメする理由
  • 投機と投資に向いている人・向いていない人

この記事を読むと、投機と投資の違いを正しく知ることができ、どちらをやるべきか自分でしっかり判断ができるようになります。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

投機と投資の違い

投機と投資の違いは、投機は機会にお金を投じること、投資は将来の利益を見込んで資産にお金を投じることを指します。それぞれ詳しく説明していきます。

投機とは機会にお金を投じること

投機とは、機会にお金を投じることです。機会とは、運やタイミングを狙い、短期的な価格の変動を予測して取引をすることです。

投機には以下の種類があります。

投機の種類

  • FX
  • 仮想通貨
  • 先物取引
  • デイトレード

上記に共通するのは、タイミングを見計らって売買をする必要があること、利益を得られるかどうか運にも左右される所です。短期で利益を得られる可能性もある分、リスクもとても高くなります。

そして投機は価値より価格に注目される取引ともいえます。なぜなら日々の価格の変動で取引がされるからです。

例えば金延べ棒を5kgもっていたとします。来年になったら、2本(10kg)に成長するでしょうか。金の価格は変わっても、金の価値そのものは変わらないですよね。金そのものが利益を生み出す努力をするわけでもありません。つまり金を持っているだけでは、利益は生み出さないし、価値も大きくならないのです

しかし金の価格は日々変動しています。タイミングと運が良ければ、買った時の価格より高く売ることができます。反対にタイミングが悪いと買った時の価格より、低い金額で売ることになることもあります。これは金が金そのももの価値ではなく価格の変化だけに注目されている取引であるということがわかります。

投機とギャンブルの違い

投機とギャンブルは一見同じように見えますが、違いがあります。投機は勝つ人も負ける人もいるゼロサムゲームです。勝つか負けるかなので、5対5の確率です。その点、ギャンブルは胴元が儲かる仕組みになっていること、期待値がマイナスになっています。要は勝つ可能性が限りなく低いということになります。

期待値とは掛け金に対して戻ってくる見込み金額のことです。

ギャンブルの種類は主に下記です。

  • パチンコ
  • 競馬、競艇
  • 宝くじ
  • 麻雀
  • ルーレット
  • ポーカー など

下記は期待値などの一覧表です。
例えば宝くじを1万円分買うとすると、返ってくる金額は4,500円です。筆者は最近宝くじを6,000円分購入しましたが、600円しか返ってきませんでした。確かに1等などが当たれば、賭けた分の採算が取れる可能性もあります。しかし基本的には、ギャンブルは勝負をすればするほど損をする仕組みになっています。

ギャンブルを全否定はしませんが、やるとしても一か八かの勝負をするのはオススメできません。仕組を理解した上で、無くなっても良いくらいの金額を遊びでやってみる、買ってみる、くらいにしておくのが、賢明かもしれません。

投資とは将来の利益を見込んで資産にお金を投じること

投資とは将来の利益を見込んで資産にお金を投じることです。資産とは、債券、不動産のことです。
しかし投じた金額以上の利益が必ず戻ってくるということではないので、リスクも理解した上で長期的な目線で投資をするかどうかの判断が必要です。

投資は投機と違い、価値が注目されています。株式、債券、不動産に投資をする場合、投資家は人のオーナーになります。

例えばトヨタ自動車に株式投資をするとします。そうすると投資家はトヨタ自動車という会社のオーナー=人のオーナーになるということです。

トヨタ自動車には現在約37万人の従業員がいます。(2022年11月現在)全従業員が仮に1日8時間働いたとすると、総労働時間は約296万時間になります。これだけの人が日々、自動車を製造し、販売して、利益を生み出しているのです。つまり利益を生む行為が価値を生みだしていることになるのです。

まとめると投機は自ら成長することがなく、人が価値を生み出すことがない、投資は人が価値を生み出しているということです。

注意!株式投資も短期トレード投資をすると投機になりうる

株式投資も短期トレード投資をすると投機になりうる可能性があります。なぜなら短期間で売買をするからです。短期トレードの一つとされるイナゴ投資というものがあります。イナゴ投資とは、株価に影響がありそうな情報が出た時に、短期間で売買を繰り返すことを指します。

イナゴされた銘柄は、短期間で急上昇したあと、急激に下落し、塔のようなチャートの形になることから、イナゴタワーと呼ばれます。

出典:金融情報サイト【イナゴタワー】

しっかりと勉強をせずに、ネットや他人からの情報だけで買ってしまう人もいます。イナゴ投資に巻き込まれてしまった結果、含み益が短期間でマイナスになったり、破産するほどの借金を抱えたりする人もいるので注意が必要です。

投機と投資のメリット・デメリット

次に投機と投資のメリットとデメリットについてお話します。

投機のメリット

  • 運やタイミングが良ければ儲けられる

投機のデメリット

  • 運やタイミングが悪ければ損をする
  • 常に値動きを気にしなければならない
  • 元本保証がない

投資のメリット

  • みんな利益が出る可能性がある
  • インフレ対策になる

投資のデメリット

  • 元本保証がない
  • 短期で儲けるのは難しい

投機のメリット

運やタイミングが良ければ短期で儲けられる

投機は運やタイミングよく価格の変動が予測できれば、短期で儲けられる可能性も0ではないといえます。しかしリスクも高いので、オススメはできません。

投機のデメリット

運やタイミングが悪ければ損をする

投機は価格変動の運やタイミングが悪ければ損をする可能性が高いです。なぜなら価格の変動は誰も予測できないからです。うまくいけばすぐに2倍3倍になることもありますが、最悪の場合は、かなりの借金を背負う可能性もあります。

常に値動きを気にしていなければならない

投機は常に値動きを気にして取引のスタンバイをしていなければなりません。常に価格が変動しているので、売買のタイミングをパソコンの前でいつも伺っていなかればならないからです。外貨の取引などになりますと、取引所の時間が日本時間の場合、夜中や朝方だったりするので、毎日そのような時間に待ち構えるのが難しい人もいます。

元本保証がない

投機は元本保証がありません。投機の場合は最悪の場合、借金を背負う可能性も0ではありません。

投資のメリット

投資をした人はみんな利益が出る可能性がある

投資は投資をした人全員に利益が与えられる可能性があります。なぜなら成長する見込みのある企業にお金を投じているので、投資をした企業が成長すれば、企業の価値が上がり企業が利益を得られるからです。

その利益の恩恵を投資家は得ることが可能なのです。

インフレ対策になる

投資はインフレ対策になります。投資は物価の値上がり以上のリターンを狙うことも可能だからです。インフレは現金の価値が減ることですので、投資をうまく利用して対策することが大事です。

投資のデメリット

元本保証がない

投資は貯金と違って元本が保証されていません。投資方法や商品選びを気をつけることで、元本割れのリスク少なくすることも可能です。

短期で儲けるのは難しい

投資は投機と違って短期で儲けるのは難しいです。投資は将来有望な投資先へ投資をするため、成長するまでに時間がかかる場合があります。じっくり長期的に待つ必要があるため、短期間で利益を出すのは難しいと言えます。

前章でも説明したイナゴ投資をすれば短期で儲けられる可能性も0ではありませんが、オススメはできません。

投資のメリット・デメリットについてさらに詳しくは、投資の意味をわかりやすく徹底解説!初心者が投資で失敗しないコツも教えますの2章で解説していますので、そちらもぜひお読みくださいませ。

初心者には投資をオススメする3つの理由

初心者には投機よりも投資をオススメします。その理由は下記3つです。

  • 投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性がある
  • 常に値動きを気にしなくて良い
  • 商品選びによってリスクをできるだけ抑えることができる

それぞれ解説していきます。

投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性がある

投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性があります。なぜなら投資は将来の利益を見込んでお金を投じることですので、成長する可能性のある投資先を、分析し、時間をかけて、探すからです。投機と同じく元本保証はありませんが、分析をし、しっかり上がりそうな投資先に投資をすることで元本割れのリスクをできるだけ抑えることが可能です。

常に値動きを気にしなくて良い

投資は投機のように常に値動きを気にしなくて大丈夫です。なぜなら投機ではなく投資であれば、短期決戦ではなく、あらかじめ中長期目線で価値が上がるであろう投資先に投資をしているはずだからです。投資も毎日値動きがありますが、分析をして長期的にみて上がりそうと思った投資先に投資をしているのなら、1分1秒の値動きを気にする必要がありません。つまり短期決戦で投資をしているということでしたら、それは投資ではなく投機です。

商品選びによってリスクをできるだけ抑えることができる

投資はしっかりと商品を選ぶことによってリスクをできるだけ抑えることができます。なぜなら成長の見込みのある所へ投資をしているのなら、投資先が成長し続けている限りリスクに晒せれる確率が低いからです。

投機と投資に向いている人・向いてない人

最後に投機と投資にそれぞれ向いている、向いていない人について下記にまとめました。どんな人なのかそれぞれ解説していきます。

投機に向いている人

  • 常に値動きの監視ができる人
  • 借金を抱えるリスクをとってでもリターンを求めたい人

投機に向いていない人

  • 資産運用に時間をかけられない人
  • 余剰資金がない人

投資に向いている人

  • 真面目で堅実な人
  • 他人の意見に流されない人

投資に向いていない人

  • 短期で利益を求める人
  • 勉強が嫌いな人

投機に向いている人

常に値動きの監視ができる人

常に値動きの監視ができる人は投機に向いているといえます。なぜなら投機は毎秒毎分ごとに常に値動きが変化するため、パソコンの前で構えて、タイミングを狙わないと利益を出すのが難しいからです。外貨取引の場合は、取引時間が日本時間の場合、夜中や朝方だったりするので、その時間にも対応できる時間に余裕のある人が向いているといえます。

借金を抱えるリスクをとってでもリターンを求めたい覚悟のある人

借金を抱えても良いという覚悟のある人は、投機に向いているといえます。なぜなら投機は基本的にハイリスク・ハイリターンですので、取引の結果しだいでは、大きな損失を出し、お金を失い借金を背負う可能性もあるからです。

投機に向いていない人

資産運用に時間をかけられない人

少しの手間で利益を得たい人は投機に向いていません。なぜなら先程向いている人で常に値動きの監視ができる人の説明をしましたが、ここの手間をかけられないと投機でリターンを得るのは難しいからです。

余剰資金が全くない人

余剰資金が全くない人は投機に向いていません。なぜなら投機はハイリスク・ハイリターンなので、生活費や直近で使うはずの貯金を投機してしまうと、生活にも精神的にも余裕がなくなってしまう可能性があるからです。

投機は基本的にオススメしていませんが、生活費や直近で使うはずの貯金とは別に、無くなっても良いくらいの余剰資金かつマイナスになる可能性も理解した上で行いましょう。

投資に向いている人

真面目で堅実な人

真面目で堅実な人は投資に向いています。なぜなら中長期目線で投資先を選定し、しっかりと勉強して、リスクも理解した上で投資を行うので、目先の利益の増減に踊らされることなく着実に投資を行えるからです。

他人の意見に流されない人

他人の意見に流されない人は投資に向いています。なぜなら他人の意見を聞いても、自分でしっかりと考えてから、判断することができるからです。投資をするのかしないのか、利益を確定するのかしないのかなど結局最後は自分で判断しなければなりません。それができずに他人の意見を鵜呑みにするのは、投資には向いていないと考えられますし、損をする確率も高くなる可能性があります。

投資に向いていない人

短期で利益を求める人

短期で利益を求める人は投資に向いていません。なぜなら投資は将来の利益を見込み中長期目線で行うからです。短期で利益を求める場合は、リスクも高いので投機に該当します。

勉強が嫌いな人

勉強が嫌いな人は投資に向いていません。なぜなら投資を行う上で、投資の知識はもちろん、投資先の会社についての勉強も必須と言っても過言ではないからです。投資の知識を身につけなければ投資先をどのような基準で探せばいいのかわかりませんし、投資先の会社のことを何も知らずに投資をした場合、万が一のリスク(例えば株価が急に下がるなど)を回避することも難しくなります

勉強が嫌いな人は投資に向いていませんが、たとえ今投資に関する知識がなくても、一から始めることはできます。なぜなら、投資に関しては学力や学歴は一切関係ないからです。

初心者の方でもわかりやすく解説している記事があるので、少しでも投資に関心のある方はぜひご覧ください。

お金の勉強法はこの記事だけ見ればOK!初心者がやるべき手順を解説

そのままやればOK!知識0から投資で成功するための勉強ロードマップ

投資と投機の違いについてのQ&A

ここでは投資と投機の違いについての質問にお答えします。

  • 投機はギャンブルと同じですか?
  • 投資はギャンブルですか?
  • 投機のメリットとデメリットはなんですか?

投機はギャンブルと同じですか?

投機は機会にお金を投じることです。投機は勝つ人、負ける人もいるゼロサムゲームです。ギャンブルは胴元が勝つ仕組みになっていることで、期待値がマイナスです。つまり勝つ可能性が限りなく低いということです。

・勝つか負けるか
・短期で売買を繰り返す
・一発で当てに行く
・勝つためにリスクを大きく取る
・短期の価格変動に大きく振り回される

などが当てはまる場合は投機であると考えても良いでしょう。
投機の種類としては
* FX
* 仮想通貨
* 先物取引
* デイトレード
* 金
などです。

ギャンブルは
* パチンコ
* 競馬、競艇
* 宝くじ
* 麻雀
* ルーレット
* ポーカー
などを指します。

投資はギャンブルですか?

投資はギャンブルには該当しないと考えます。なぜなら将来の利益を見込んで資産にお金を投じることが投資だからです。
資産とは株や債券、不動産を指します。しかし必ず利益が返ってくるとは限りませんので、リスクも理解した上で投資をします。
投資家は人のオーナーになります。人が社会に価値を提供し、利益を生み出すのです。そして成長していきます。つまり投資家は会社のオーナーになるのと同じようなものです。

しかし株式投資も短期のトレードを行う場合、投機になりうる可能性はありますので、しっかりと勉強をして株式投資は行いましょう。

投機のメリットとデメリットはなんですか?

投機のメリット
・ 運やタイミングが良ければ儲けられる

運やタイミングよく価格を予想できれば、儲けること可能性は0ではありません。しかしリスクは非常に高いことを理解した上でやるべきです。


投機のデメリット
・運やタイミングが悪ければ損をする

運やタイミングが悪ければあっという間に損をします。価格の変動は誰も予測ができないからです。


・ 常に値動きを気にしなければならない

投機は値動きがあったらすぐに取引をしないと、すぐに損をする可能性があります。そのため、いつでも取引できるように備えておかなければなりません。


・ 元本保証がない

投機は元本保証がありません。投資も元本保証がないことは同じなのですが、現物取引であれば借金を背負うことはありません。信用取引は借金をする可能性がありますので、注意して投資も行いましょう。

まとめ

投機と投資についての違いについて解説しました。両方のメリットやデメリットを理解した上で、どちらを行うかは自分の意思で決めましょう。最後にこの記事の要点をまとめておきますので、ぜひ復習に役立ててください。

投機と投資の違い

投機とは機械にお金を投じること

投資とは将来の利益を見込んで資産にお金を投じること

投機と投資のメリットとデメリット

投機のメリット

  • 運やタイミングが良ければ儲けられる
  • 短期で利益を得られる可能性がある

投機のデメリット

  • 運やタイミングが悪ければ損をする
  • 常に値動きを気にしなければならない

投資のメリット

  • 少額から始められる
  • インフレ対策になる

投資のデメリット

  • 元本保証がない
  • 短期で儲けるのは難しい

初心者には投資をオススメする3つの理由

  • 投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性がある
  • 常に値動きを気にしなくて良い
  • 商品選びによってリスクをできるだけ抑えることができる

投機と投資に向いている人、向いていない人

投機に向いている人

  • 常に値動きの監視ができる人
  • 借金を抱えても良いという覚悟のある人

投機に向いていない人

  • 資産運用として少しの手間でやりたい人
  • 余剰資金がない人

投資に向いている人

  • 真面目で堅実な人
  • 他人の意見に流されない人

投資に向いていない人

  • 短期で利益を求める人
  • 勉強が嫌いな人
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