東京湾埋め立ての歴史をたどる――ごみ処理からリサイクルまで支える環境企業群

東京湾の埋め立てから見る、ごみ処理と資源循環の現在地

東京湾の埋め立ては、都市の発展と増え続ける廃棄物をどう処理するかという、日本の大都市が長年向き合ってきた課題を象徴している。東京都では現在も中央防波堤外側埋立処分場や新海面処分場で廃棄物の最終処分が行われているが、最終処分場は限られた資源であり、いつまでも埋め立てを続けられるわけではない。東京都も、廃棄物の減量や資源化を進めながら、残された廃棄物を適正に処分することを重要な課題としている。

こうした「埋め立てに頼り続けない社会」への転換を支えているのが、廃棄物処理や資源循環を担う企業群である。ミダックホールディングスは、産業廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分までを一貫して手掛け、焼却や破砕、水処理などを通じて廃棄物の減量・減容化・無害化を進めている。 TREホールディングスも、建設・解体現場から出る廃棄物を収集し、選別や破砕、圧縮などの中間処理を行ったうえで、再資源化できるものをリサイクルし、残ったものを最終処分する一貫体制を構築している。

さらに、大栄環境は収集運搬、中間処理、再資源化、最終処分までを幅広く展開し、廃棄物から新たな資源やエネルギーを生み出す取り組みを進めている。 東京湾の埋め立ての歴史を入り口に、こうした企業の事業を見ていくと、ごみ処理が単なる「廃棄物の処分」ではなく、都市活動を支える環境インフラであり、資源循環を実現する重要な産業へと変化していることが分かる。

証券コード企業名主な関連分野ごみ処理・資源循環との関係
9247TREホールディングス廃棄物処理・リサイクル・最終処分建設系廃棄物の処理、資源リサイクル、最終処分などを幅広く展開
9336大栄環境廃棄物処理・最終処分・再資源化収集運搬、中間処理、最終処分、再資源化まで幅広く展開
9793ダイセキ産業廃棄物処理・リサイクル廃油・汚泥などの産業廃棄物を処理・再資源化
6564ミダックホールディングス廃棄物処理・最終処分収集運搬、中間処理、最終処分を一貫して展開
7004カナデビアごみ焼却・発電・環境プラントごみ焼却発電施設などを手掛け、廃棄物の減容化やエネルギー回収を支える
5698エンビプロ・ホールディングス資源リサイクル金属、プラスチック、電池などのリサイクルを通じて廃棄物を資源化
5714DOWAホールディングス廃棄物処理・金属リサイクル環境・リサイクル事業で廃棄物処理や金属資源の回収・再資源化を展開

東京湾の埋め立て、その歴史をたどる――「海を陸に変える」都市東京の150年

東京の街を地図で眺めると、銀座、日本橋、築地、月島、豊洲、お台場、有明、臨海副都心など、現在では東京を代表するエリアの中に、かつて海だった場所が数多く存在することに気づく。東京湾の埋め立ては、単なる土地造成ではない。江戸から続く都市の拡大、近代化、物流網の整備、高度経済成長、そして増え続けるごみの処理という、東京が抱えてきた課題と密接に結びついている。東京都港湾局によれば、東京港の埋め立ては徳川家康が江戸に入った頃から始まり、明治以降に本格化。明治39年(1906年)からの隅田川口改良工事などを経て、現在までに約5,858ヘクタールの埋立地が造成された。これは千代田区、中央区、港区、新宿区を合わせた面積に匹敵する規模である。

東京湾の埋め立ての原点をたどると、江戸時代初期に行き着く。徳川家康が江戸の都市整備を進める中で、当時の駿河台付近にあった「神田山」を切り崩し、その土砂を使って日比谷入江を埋め立てたとされる。当時の日比谷は海が入り込んだ浅瀬であり、現在の皇居周辺から銀座、新橋方面にかけての地形は、現代とは大きく異なっていた。神田山の土砂を利用した埋め立てによって土地を生み出し、さらに日本橋浜町から新橋方面にも造成が進められた。東京という巨大都市は、最初から現在の姿だったわけではなく、海を陸地へと変える大規模な都市改造の上に形成されたのである。

江戸時代には、その後も隅田川河口周辺などで埋め立てが進められた。寛永年間以降には隅田川河口の小島などが徐々に埋め立てられ、越中島地域などが形成された。また、火災によって生じた瓦礫を処分するため、現在の江東区東陽付近の海面を埋め立てることも行われた。つまり東京湾の埋め立てには、都市開発だけでなく「不要になったものを処分しながら新しい土地をつくる」という側面も、早くから存在していたのである。

幕末から明治になると、東京湾の埋め立ては新たな段階に入る。近代国家として発展する日本にとって、港湾機能の強化は重要な課題だった。明治時代には隅田川口改良工事が始まり、東京港の整備とともに月島や芝浦などの埋め立ても進められた。港の水深を確保するための浚渫工事で発生した土砂が、佃島、月島、勝どきなどの造成にも利用された。現在では高層マンションが立ち並ぶ月島や勝どきも、その成り立ちをたどれば東京湾の港湾整備と埋め立て事業につながっている。

明治以降の東京では、人口増加と産業発展によって都市そのものが急速に膨張した。東京港の埋め立ても計画的に進められ、芝浦、東雲、東品川などに新たな土地が生まれた。東京都港湾局によれば、現在のように計画的な造成が始まったのは明治30年代で、明治39年からの第1期隅田川口改良工事を皮切りに、第2期、第3期工事や河川改修事業などによって約640ヘクタールの埋立地が造成された。その後も東京港修築事業や京浜運河開削事業などによって埋め立ては続いたが、戦争によって一部の工事は中断された。

戦後になると、東京湾の埋め立てはさらに大規模化する。高度経済成長によって東京の人口と産業が急増し、港湾施設、工場、物流拠点などに対する土地需要が拡大したからだ。一方で、都市化が進むほど深刻になったのが、ごみの処理問題だった。東京では人口増加と生活水準の向上に伴って廃棄物が増え、内陸部だけでは処分する場所が足りなくなった。そこで海面を利用した埋め立てが、ごみ処理の重要な手段となっていった。

その象徴となったのが「夢の島」である。東京湾埋立14号地は、もともと飛行場建設の構想などを背景に造成された土地で、戦後には海水浴場として「夢の島」と呼ばれた。しかし1957年、ここでごみの埋め立てが始まる。高度経済成長期の東京から大量のごみが運び込まれ、夢の島はやがて「ごみの島」として知られるようになった。特に1965年にはハエが大量発生し、大きな社会問題となった。薬剤散布などでは対応しきれず、最終的には関係機関が協力して駆除する事態にまで発展した。

この「夢の島問題」は、東京のごみ処理政策を転換させる大きな出来事となった。ごみを海に埋め続ければよいという考え方には限界があり、衛生面や環境面での対策が不可欠になったからである。1965年からは若洲の15号地でも埋め立てが始まり、その後、中央防波堤内側埋立処分場、中央防波堤外側埋立処分場へと処分場は移っていった。東京都によると、中央防波堤内側では1973年から埋め立てが始まり、以前とは比較にならないほど環境保全対策が求められるようになった。

さらに東京では、単純にごみを埋め立てるのではなく、焼却によってごみを減容する方向へと政策が進んだ。清掃工場や粗大ごみ破砕処理施設などの中間処理施設が整備され、最終処分場に送られるごみの量を減らす取り組みが進められた。現在の東京では、焼却灰の一部をセメント原料化したり、スラグなどとして再利用したりすることで、埋め立て量を削減する取り組みも行われている。

現在の東京湾では、中央防波堤外側埋立処分場と新海面処分場が、ごみの最終処分を担っている。東京都の資料によれば、中央防波堤外側埋立処分場は約199ヘクタール、新海面処分場は約480ヘクタールの規模を持つ。新海面処分場は1996年度から整備が始まり、東京湾における廃棄物処分の「最後の埋立処分場」として位置付けられている。

こうして振り返ると、東京湾の埋め立てには大きく三つの顔があったことが分かる。第一は、江戸時代から続く都市開発としての埋め立て。第二は、近代化・工業化・物流拠点整備を支える土地造成としての埋め立て。そして第三が、増え続けるごみを処分するための埋め立てである。これらは別々の事業に見えるが、「限られた都市空間をどう使うか」という東京の根本的な問題でつながっている。

そして現在、東京湾の埋め立ては新たな局面を迎えている。かつては海を埋め立てて土地を増やすことが都市発展の象徴だった。しかし今は、埋め立てることのできる場所そのものが限られている。だからこそ、ごみを出さない、資源として再利用する、焼却して減容する、焼却灰を資源化する、といった循環型社会への転換が重要になっている。東京湾の埋立地の歴史は、単に「海を陸地に変えてきた歴史」ではない。それは、人口が増え、産業が発展し、消費が拡大する都市が、その副作用ともいえる大量の廃棄物とどう向き合ってきたかを映す歴史でもある。江戸時代の銀座や日本橋から、月島、豊洲、お台場、そして中央防波堤へ。東京湾に生まれた土地をたどることは、東京という都市が成長してきた軌跡をたどることにほかならない。これからは「どれだけ新しい土地をつくれるか」だけでなく、「限られた土地をどう使い、どれだけごみを埋め立てずに済ませるか」が、東京湾の未来を考えるうえでより重要なテーマになっていくだろう。

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ごみを「捨てる」から「資源として循環させる」へ――TREホールディングスが担う静脈産業の未来

東京湾の埋め立ての歴史を振り返ると、都市の発展とごみ処理は切っても切れない関係にあることが分かる。江戸時代から都市開発のための埋め立てが進み、高度経済成長期には大量消費社会の到来によって廃棄物が急増した。東京湾には夢の島や中央防波堤などの埋立地が形成され、都市から出るごみを受け入れてきた。しかし、海を埋め立て続ける方法には当然ながら限界がある。現在は「どこに捨てるか」ではなく、「いかに捨てる量を減らし、資源として循環させるか」が重要になっている。こうした時代の変化を象徴する企業の一つが、東証プライム市場に上場するTREホールディングスである。

TREホールディングスは2021年10月、タケエイとリバーの経営統合を背景に誕生した企業グループである。現在は「廃棄物処理・再資源化事業」「資源リサイクル事業」「再生可能エネルギー事業」を中核に、環境コンサルティングや環境エンジニアリングなども展開している。企業自身が「国内最大の静脈産業プラットフォーム」を目指している点も特徴的だ。

「静脈産業」とは、製品やサービスを生み出して消費者へ届ける「動脈産業」に対し、使用済み製品や廃棄物を回収し、処理・再資源化する産業を指す。これまで日本では、経済成長や製造業の発展を支える動脈産業に注目が集まりやすかった。一方で、モノを大量に生産・消費すれば、必ず廃棄物が発生する。資源価格の上昇や環境問題、最終処分場の不足などを考えれば、これからは静脈産業の重要性が一段と高まると考えられる。

TREホールディングスの強みの一つは、廃棄物を単純に処分するのではなく、資源として再び社会に戻す事業を幅広く展開していることだ。建設現場などから発生する廃棄物の処理やリサイクル、金属スクラップの回収・再資源化、自動車リサイクルなど、さまざまな領域で資源循環に関わっている。特に都市開発やインフラ更新が進めば、建物の解体などによって大量の廃棄物が発生するため、解体から収集、選別、処理、再資源化までを効率的に行う仕組みの価値は高い。

東京湾の埋め立てと比較すると、TREホールディングスが担う役割は分かりやすい。かつての大量廃棄社会では、発生したごみを焼却したり、そのまま埋め立てたりすることが重要だった。しかし、現在は資源循環という考え方が広がり、廃棄物の中から再利用できる資源を取り出し、可能な限り最終処分量を減らす方向へと社会が変化している。つまり、埋め立て地へ運ばれる前の段階で、どれだけ資源として回収できるかが重要になっているのである。

また、建設廃棄物はTREホールディングスを考えるうえで重要なテーマである。日本では高度経済成長期に建設された住宅、ビル、道路、橋梁などの老朽化が進み、今後は建て替えや解体、改修が増えることが予想される。こうした動きは新しい建物を造る建設会社だけでなく、既存構造物を解体し、発生した廃棄物を適切に処理する企業にもビジネス機会をもたらす。都市のスクラップ・アンド・ビルドが進むほど、静脈産業の役割は大きくなる。

さらに、資源価格の動向もリサイクル企業にとって重要である。鉄やアルミ、銅などの金属は、そのまま廃棄するのではなく、回収・選別して再び原料として利用できる。天然資源を新たに採掘するよりも、既に社会に存在している資源を回収して再利用する「都市鉱山」の考え方が注目されるなか、金属スクラップなどを扱うリサイクル企業の存在感は高まりやすい。資源価格が上昇すればリサイクルの経済性が高まる一方、価格下落時には収益環境が悪化する可能性もあり、資源市況は事業を見る際の重要なポイントとなる。

TREホールディングスは、再生可能エネルギーにも取り組んでいる。廃棄物処理とエネルギーには密接な関係があり、廃棄物処理施設などから生まれるエネルギーを有効利用することで、廃棄物を単なる「処理対象」から「エネルギー資源」へと転換できる。資源循環と再生可能エネルギーを組み合わせることで、廃棄物処理を起点とした環境価値をさらに高めることが期待される。

今後の成長を考えるうえでは、企業や自治体による環境対応の強化も追い風となる可能性がある。脱炭素やサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けて、企業には製品の製造段階だけでなく、使用後の処理まで含めた環境負荷の低減が求められるようになっている。廃棄物を適正に処理し、再資源化率を高めることは、企業の環境対応そのものにつながる。TREホールディングスのように、廃棄物処理から資源リサイクルまで幅広く手掛ける企業には、こうした社会的要請を取り込む余地がある。

一方で、静脈産業には課題もある。廃棄物の種類は非常に多く、素材ごとに適切な処理方法が異なる。また、廃棄物を回収して選別するには設備や人員が必要であり、処理施設の維持・更新にもコストがかかる。さらに、リサイクルした資源を販売する場合には、鉄や非鉄金属などの市況にも左右される。環境に貢献する事業であっても、安定した収益を確保するためには、高度な処理技術や効率的な物流網、設備投資などが不可欠である。

それでも、TREホールディングスが属する市場には構造的な需要が存在する。人間が生活し、企業が活動し、建物やインフラが老朽化する限り、廃棄物は発生するからだ。むしろ日本では人口減少が進む一方、老朽インフラの更新や都市再開発が課題となっており、「廃棄物をどう処理するか」という問題はなくなるどころか、処理の高度化が求められる段階に入っている。

東京湾の埋め立てが象徴するのは、限られた土地に増え続ける廃棄物をどう受け止めるかという都市社会の課題である。夢の島などの歴史を経て、現在は最終処分場を確保するだけでなく、廃棄物そのものを減らし、資源として循環させることが重視されている。その意味で、TREホールディングスは「ごみ処理企業」という一言では表せない。廃棄物を回収し、選別し、再資源化し、場合によってはエネルギーとして活用することで、都市の活動を裏側から支える環境インフラ企業なのである。

これから循環型社会が本格化すれば、「大量に作って、大量に使って、最後に捨てる」という経済から、「使い終わったものを資源として次につなぐ」経済への転換が進むことになる。そのとき重要になるのは、製品を作る企業だけではなく、使用済み製品や廃棄物を回収し、再び経済活動へ戻す企業である。TREホールディングスは、その静脈側を担う企業グループとして、資源循環の進展とともに存在感を高める可能性を持つ。東京湾を埋め立てて廃棄物を処理してきた時代から、廃棄物そのものを資源として循環させる時代へ。TREホールディングスの事業は、日本のごみ処理と資源循環の変化を映す存在として、今後も注目される。

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ミダックホールディングス――「捨てる場所」を支えるごみ処理企業から循環型社会の担い手へ

私たちが日々出しているごみや、企業活動によって発生する産業廃棄物は、最終的にどこへ運ばれているのか。家庭ごみであれば自治体の焼却施設などが中心となるが、工場や建設現場などから発生する産業廃棄物については、民間の廃棄物処理企業が重要な役割を担っている。その中で注目される上場企業の一つがミダックホールディングスである。東京湾の埋め立ての歴史を振り返ると、都市の発展とともに増加した廃棄物をどのように処理し、最終処分するのかという問題が常に存在してきた。限られた土地を利用して埋め立てるだけでは限界がある現在、廃棄物を適正に処理し、可能なものは資源として循環させ、最後に残るものだけを安全に処分する仕組みが求められている。ミダックホールディングスは、まさにこの「静脈産業」を担う企業である。

ミダックホールディングスは、廃棄物処理を中核事業とする企業グループであり、産業廃棄物の収集運搬、中間処理、最終処分などを展開している。廃棄物処理というと「ごみを捨てる仕事」というイメージを持たれやすいが、実際には排出された廃棄物を種類や性状に応じて適切に分類し、無害化・減量化・資源化したうえで、最終的に処分するという高度なプロセスが必要となる。特に産業廃棄物は、一般家庭から出るごみとは異なり、工場や建設現場などからさまざまな種類の廃棄物が発生するため、専門的な処理技術や許認可、施設運営能力が欠かせない。

ミダックホールディングスを見るうえで重要なのが「最終処分」である。廃棄物処理には、リサイクルなどによって資源として再利用できるもの、焼却などによって減量・安定化できるもの、そして最終的にそれ以上の処理が難しく、適切に埋め立てる必要があるものがある。最終処分場は、こうした廃棄物の最後の受け皿となる。つまり、どれだけ資源循環が進んだとしても、現時点ではすべての廃棄物を完全に資源化することは難しく、最終処分場は依然として社会に不可欠なインフラなのである。

この点は、東京湾の埋め立ての歴史ともつながっている。東京では都市化や人口増加に伴って大量の廃棄物が発生し、埋め立てによって最終処分を行う仕組みが整備されてきた。夢の島などはその象徴であり、戦後の大量消費社会を支える一方、最終処分場には限りがあることも明らかにした。現在の東京23区では中央防波堤外側埋立処分場や新海面処分場などが重要な役割を担っているが、最終処分場を無限に拡大することはできない。だからこそ、廃棄物をできるだけ減量・資源化し、それでも残るものを安全に処分することが重要になっている。

ミダックホールディングスの事業は、こうした社会的な課題と密接に関係している。同社の強みの一つは、廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分まで、廃棄物処理の各段階を幅広く手掛けている点にある。廃棄物を排出する企業にとっては、単に処理施設を持っているだけではなく、排出された廃棄物を適切に収集し、種類に応じた処理を行い、最終的な処分まで責任を持って対応できることが重要である。廃棄物処理を一連の流れとして捉えることで、安定した処理体制を構築することが可能になる。

また、廃棄物処理施設には高い安全性と信頼性が求められる。産業廃棄物の中には、取り扱いを誤れば環境への影響が懸念されるものもある。そのため、適正処理や環境保全に関する厳格な管理が必要となる。処理施設を長期間にわたって安定的に運営するノウハウは、単純に設備を新設すれば獲得できるものではない。地域社会との信頼関係や法令を遵守した運営実績なども、廃棄物処理企業にとって重要な競争力となる。

一方で、廃棄物処理業界を取り巻く環境は変化している。従来は「いかに安全に処分するか」が大きなテーマだったが、現在では「いかに廃棄物を資源として循環させるか」という視点が加わっている。脱炭素やサーキュラーエコノミーへの関心が高まる中、企業には廃棄物の排出量削減だけでなく、リサイクルや再資源化を進めることも求められている。こうした社会の変化は、廃棄物処理企業にとって事業領域を広げる機会にもなる。

特に建設分野では、今後も廃棄物処理需要が発生すると考えられる。日本では高度経済成長期に整備された建物やインフラの老朽化が進み、建て替えや解体、改修が必要になっている。建物を壊せば、コンクリート、木材、金属、プラスチックなど大量の廃棄物が発生する。これらを適切に分別し、再利用可能なものを資源として回収し、残ったものを適切に処理することが求められる。都市の再開発やインフラ更新が進むほど、廃棄物処理を担う企業の役割も大きくなる。

さらに、人口減少という日本特有の問題も、廃棄物処理業界に影響を与える。人口が減れば長期的には家庭から出るごみの量が減少する可能性がある一方、老朽化した社会インフラの更新や産業構造の変化によって、産業廃棄物の処理需要が発生する可能性がある。また、廃棄物処理業界そのものでも人手不足が課題となるため、収集運搬や施設運営の効率化、設備の高度化などが重要になる。

投資という観点からミダックホールディングスを見る場合、単なる「ごみ処理銘柄」ではなく、社会に不可欠な環境インフラ企業として考えることができる。廃棄物は景気動向によって発生量が変動するものの、人間の生活や企業活動が続く限りゼロにはならない。さらに、最終処分場には立地や許認可などの制約があり、誰でも簡単に参入できるわけではない。こうした事業特性は、廃棄物処理企業の重要なポイントとなる。

もちろん、廃棄物処理企業には設備投資負担、環境規制、資源価格、処理量の変動などのリスクもある。特に最終処分場は長期的な視点で運営する必要があり、環境への影響を抑えながら安定稼働させることが不可欠だ。また、循環型社会の進展によってリサイクル率が高まれば、従来型の最終処分量が減少する可能性もある。そのため、単に処分場を拡大するだけではなく、資源化や中間処理などを含めた総合的な廃棄物処理能力を高めることが、今後の競争力につながると考えられる。

東京湾の埋め立ての歴史が示すのは、「増え続けるごみをどこに持っていくのか」という都市社会の難題である。かつては埋め立て地を造成することで問題に対応してきたが、土地には限りがある。現在は、廃棄物を減らし、焼却や中間処理によって容積を減らし、再資源化できるものを循環させ、最後に残った廃棄物を安全に処分するという多段階の仕組みが必要になっている。

ミダックホールディングスは、この複雑な廃棄物処理システムを支える企業の一つである。ごみを「捨てる」という言葉だけでは見えにくいが、その裏側には収集、運搬、選別、処理、再資源化、最終処分という巨大な産業が存在する。東京湾の埋め立てが「ごみを受け入れる場所」の重要性を示してきたとすれば、現在のミダックホールディングスをはじめとする環境企業は、「ごみを適正に処理し、できるだけ資源として循環させ、最後に残ったものを安全に処分する仕組み」を支えている。大量廃棄の時代から循環型社会へ。ごみを取り巻く価値観が変わる中で、廃棄物処理企業の役割もまた変化している。ミダックホールディングスは、その変化を捉えるうえで注目したい上場企業の一つである。

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大栄環境――「埋め立てる」から「資源として循環させる」へ、ごみ処理の未来を支える環境インフラ企業

東京湾の埋め立ての歴史を振り返ると、都市の発展とごみ処理が密接に結び付いてきたことが分かる。人口が増え、消費活動が活発になるほど廃棄物は増加する。一方、最終的にごみを受け入れる埋立地には限りがある。そのため現在では、発生した廃棄物をそのまま埋め立てるのではなく、収集、選別、焼却、再資源化などを通じて可能な限り減量し、最後に残ったものだけを適切に最終処分することが求められている。こうした「ごみの出口」から「資源循環の入口」へと変化する廃棄物処理産業で存在感を高めているのが、大栄環境である。

大栄環境は1979年設立の環境関連企業で、2022年12月14日に東京証券取引所プライム市場へ上場した。証券コードは9336である。同社グループは廃棄物処理・資源循環を中心に、土壌浄化、施設建設・運営管理、コンサルティング、エネルギー創造など幅広い環境関連事業を展開している。廃棄物については、一般廃棄物と産業廃棄物の収集運搬から中間処理、再資源化、最終処分までをワンストップで対応できる体制を構築している点が大きな特徴である。

廃棄物処理というと、単純に「ごみを捨てる仕事」と考えられがちだ。しかし実際には、排出された廃棄物の種類や性質を把握し、適切な方法で選別・破砕・焼却・再資源化し、最後に処理が難しいものを最終処分するという複雑な工程が必要になる。大栄環境は、この一連の工程を幅広く手掛けることで、廃棄物を単なる「不要物」としてではなく、再び社会で利用できる資源として捉えている。

同社の事業規模を見ると、その広がりが分かる。2026年4月時点で、選別・破砕・再資源化施設の総許可能力は1日当たり57,360トン、焼却・焙焼施設の総焼却処理能力は1日当たり2,412トンとなっている。また、2025年3月期の再資源化量は年間103.22万トンに達する。廃棄物を受け入れて処理するだけでなく、そこから新たな資源を生み出すことが、同社の事業の大きな柱になっている。

中でも注目されるのが、最終処分場である。大栄環境グループは2026年6月時点で、最終処分場の総設置許可容量が4,627.8万立方メートルに達している。再資源化が難しい廃棄物については、8地域で供用中の最終処分場において適正な埋め立てを行っている。つまり大栄環境は、東京湾の埋め立ての歴史を考えるうえで重要な「最終処分」という機能を、民間企業として担っているのである。

もっとも、同社が目指しているのは、単純に最終処分場へ廃棄物を送り続けることではない。むしろ最終処分場を有限の資源と捉え、再資源化を進めることで埋め立て量を減らす方向に事業を進めている。中期経営計画「D-Plan 2028」では、再資源化品の供給量を拡大するとともに、最終処分場の残容量を確保し、2031年3月期には残容量15,000千立方メートル以上を目指す方針を掲げている。

ここには、東京湾の埋め立てが示してきた問題との共通点がある。都市が発展すれば廃棄物が発生する。しかし、埋め立てる土地には限界がある。だからこそ、処分場を増やすだけではなく、そもそも埋め立てる廃棄物を減らさなければならない。大栄環境が掲げる資源循環の高度化は、まさにこの課題への一つの答えといえる。

例えば建設リサイクルでは、建設現場から発生するコンクリートや石膏ボードなどを選別し、再利用可能な資源へと生まれ変わらせている。がれき類は路盤材などの土木資材として再利用され、石膏ボードは再び原料として利用されるほか、地盤改良材にも活用される。都市の再開発や老朽化した建物・インフラの更新が進めば、建設系廃棄物の処理需要は今後も発生する。そのため、解体から資源化までを担う環境企業の役割は大きい。

プラスチックのリサイクルも重要なテーマである。大栄環境では、廃プラスチックを原料とした再生プラスチックパレットやペレットの製造、RPFの生産などに取り組んでいる。RPFは廃プラスチックなどを原料とする固形燃料であり、化石燃料の代替として利用される。廃プラスチックをそのまま処分するのではなく、マテリアル、ケミカル、サーマルという複数の方法で循環させる取り組みは、循環型社会の実現に向けた重要な動きである。

また、焼却施設では廃棄物を処理するだけでなく、焼却時に発生する熱を利用した発電にも取り組んでいる。これは、ごみを「処分する対象」から「エネルギーを生み出す資源」として捉える考え方である。もちろん廃棄物の焼却そのものが脱炭素になるわけではないが、必要な廃棄物処理の工程で発生する熱を有効利用することには、エネルギー効率を高める意味がある。大栄環境は廃棄物処理と資源・エネルギー創出を組み合わせることで、環境負荷の低減を目指している。

さらに、同社は自動車リサイクルや小型家電リサイクルにも取り組んでいる。使用済みの小型家電から銅やアルミ、レアメタルなどの有用金属を回収することは、いわゆる「都市鉱山」の活用につながる。地中から新たに資源を採掘するだけでなく、すでに社会に存在する製品から資源を取り出して再利用することで、資源循環の可能性は広がる。

こうした事業の背景には、企業や自治体を取り巻く環境意識の変化もある。企業には廃棄物の適正処理だけでなく、資源の有効利用や温室効果ガス削減への対応も求められるようになった。自治体にとっても、ごみ処理は住民生活を維持するために不可欠でありながら、施設の老朽化、人手不足、財政負担などの問題を抱えている。大栄環境は自治体から委託を受けた一般廃棄物処理にも取り組んでおり、公民連携によって地域の廃棄物処理を支えることも成長戦略の一つとしている。

一方で、廃棄物処理業界には課題もある。処理施設や最終処分場の建設・維持には大規模な設備投資が必要であり、環境規制への対応も欠かせない。また、リサイクルによって生み出された資源は市況の影響を受ける場合がある。廃棄物の量を増やすことだけが成長につながるわけではなく、再資源化率を高めながら処分場の価値を維持するという、相反する要素を両立させる必要がある。

だからこそ、大栄環境の中長期的な成長を考えるうえでは「どれだけごみを受け入れられるか」だけでなく、「受け入れたごみからどれだけ資源を生み出せるか」が重要になる。同社も、資源循環システムの高度化によって再資源化品の動脈市場への供給を拡大し、最終処分場へ送る量を抑えながら処理能力を有効活用する方向を打ち出している。

東京湾の埋め立ては、都市が成長するために「ごみの行き先」を確保する必要があった時代を象徴している。しかし、これからの社会では、単に最終処分場を確保するだけでは十分ではない。ごみを収集し、分別し、資源を回収し、エネルギーとして利用し、それでも残ったものだけを最終処分するという循環の仕組みが不可欠になる。

大栄環境は、まさにその仕組みを幅広く担う企業である。収集運搬から中間処理、再資源化、焼却、最終処分までを一貫して手掛ける事業モデルは、廃棄物処理を「ごみの後始末」から「資源循環を支える産業」へと変えていく可能性を持つ。東京湾の埋め立ての歴史が「ごみをどこに捨てるか」という問題を示しているとすれば、大栄環境が取り組む資源循環は、「ごみをいかに減らし、どのように次の価値へ変えるか」という現代的な課題への対応といえる。大量廃棄の時代から循環型社会へ。ごみ処理を取り巻く産業構造が変わる中で、大栄環境の存在感は今後さらに高まる可能性がある。

まとめ:埋め立てから循環へ――ごみ処理企業の役割は変わる

東京湾の埋め立ては、都市から大量に排出される廃棄物を最終的に受け入れる場所を確保するという、いわば「ごみの出口」の役割を果たしてきた。しかし、最終処分場には容量の限界があり、環境への配慮も欠かせない。そこで現在求められているのは、廃棄物をただ埋め立てるのではなく、収集、選別、焼却、減量化、再資源化を進め、どうしても処理できないものだけを最終処分する仕組みである。

ミダックホールディングスは収集運搬から中間処理、最終処分までの一貫体制を構築し、複数の最終処分場を運営している。 TREホールディングスは建設系廃棄物を中心に再資源化と最終処分を組み合わせ、さらに金属スクラップや使用済み製品のリサイクルなどにも事業領域を広げている。 大栄環境も、廃棄物処理から再資源化、最終処分までを幅広く手掛け、焼却時の廃熱利用やリサイクル製品の製造など、廃棄物を資源やエネルギーとして活用する取り組みを進めている。

つまり、かつてのごみ処理が「どこに埋めるか」という問題を中心としていたとすれば、現在は「埋め立てる前に、どれだけ減らし、資源として戻せるか」という段階へ移っている。東京湾の埋め立ての歴史は、都市が発展するほど廃棄物処理の仕組みが重要になることを示している。そしてミダックホールディングス、TREホールディングス、大栄環境といった企業は、その裏側で廃棄物を適正に処理し、資源循環を支える環境インフラ企業として存在感を高めている。大量廃棄から循環型社会へ――「ごみ」の価値が変わるなか、廃棄物処理企業の役割もまた大きく変化している。

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