ジュニアNISA廃止後に代わりとなる手段はあるの?

2024年1月から施行された「新NISA制度」は、ご存知の通りNISA制度を改変・刷新したものです。大幅な変更点の一つに「ジュニアNISAの廃止」があり、これまで利用していたユーザーからは悲喜交々といった反応が多く見られました。

そして、これまでジュニアNISAを利用していたユーザーが頭を抱えるのは「代替え案をどうしよう?」という一点であり、制度改変からだいぶ経った今でもどうしたら良いか分からず、結局口座を放置したままという方も少なくないはずです。そこで今回は、ジュニアNISAの代替え案についてを中心に解説していきます。

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監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、「会社四季報」編集長との共同セミナーに講師として登壇(東京証券取引所主催)するなど、著書に講演依頼、メディア出演も多数。「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

ジュニアNISA廃止後、教育資金の準備はどうしたらよい?

冒頭でも解説したように、NISA制度の刷新と共に姿を消してしまったジュニアNISAですが、それを目的に口座を開き、つみたてをしていた方々にとっては、正に青天の霹靂という状況だったのではないでしょうか。

そこで思うのは二つの点であり、まず「なぜ廃止したのか?」そして「これからどうすればよいのか?」に尽きると思います。そこで同章では、ジュニアNISAが廃止となった理由や、口座の処理方法などについてまとめていきます。

ジュニアNISAが廃止した理由

子供や孫のため、ジュニアNISAを利用して一生懸命つみたてしていた方にとっては、ショック以外の何物でもなかったと思います。では一体、なぜジュニアNISAは無くなってしまったのか? 

その理由は・・・「不人気だったから」です。え?そんな理由なの? と驚いた方もいると思いますが、実はそういうことで、2023年3月時点のNISA口座の利用状況(金融庁発表)によると、一般NISAは1,090万4,260口座、つみたてNISAが783万1,060口座だったことに対し、ジュニアNISAは98万7,296口座に止まりました。

積極的に利用していた方もいると思いますが、ここまで少ないと継続していく意味がなく、運営側も仕方なく廃止した格好でしょう。ユーザーが集まらなかった要因は、恐らく子供が満18歳になるまで引き出すことができないといった利便性の低さにあったのではないか? と推測します。

ジュニアNISAで保有している口座はどうするべき?

ジュニアNISAは2023年12月中でその役割を終え、以降は取引不能になります。

しかし取引に使っていた口座を金融庁が強制的に消去することなどできるはずもなく、同サービスのみ利用していたユーザーの中には、手をつけることなく放置している方も少なくないのでは? 

では一体どうすれば良いのかというと

⚫︎払い出す

⚫︎相変わらずそのままにする

上記のどちらかしか選択肢はありません。

ちなみに、新NISA施行時に発表されたジュニアNISA廃止後のルールについて、以下のようなアナウンスがありました。

2024年1月1日以降は、ジュニアNISA口座、課税ジュニアNISA口座(株式などの売却代金や配当金・分配金等を管理するための口座)および継続管理勘定で受けとった配当金や売買益等を、年齢にかかわらず非課税で払出すことができます。

金融庁HPより引用)

つまり、制度自体が無くなるため、18歳になっていなくても非課税で払い出すことが可能というわけです。

そしてもう一方の「そのまま」についてですが、実はそれにも期限があります。口座開設者が未成年の場合、保有商品は継続管理勘定に(自動的に)移管され、1月1日時点で18歳である年の前年末(12月31日)まで引き続き保有できるということです。

新NISAにはジュニアNISAの後継制度はある?

ジュニアNISAユーザーの多くが知りたいであろうことがこの「後継制度について」でしょう。結論から言ってしまうと「ジュニアNISAの後継となるような未成年者(18歳未満)向けの非課税制度はありません」つまり、その他の手段は自力で最適なものを探すしかないということです。そう言われても、一体どうすれば良いか・・・と頭を抱える方は、次章をお読み飛ばしなく。

ジュニアNISAの代わりになる手段とは?

後継制度なく終わってしまったジュニアNISAですが、その主目的は「子や孫のための投資」です。年間非課税枠80万円で運用できたため、不人気とは言え一定のニーズはあったはず。しかし廃止されてしまった以上、その代わりとなる手段を講じなければなりません。では一体、他にどんな手段で代用できるのでしょうか?

①新NISA

NISAもジュニアNISAも非課税額など細かい差異はあるものの、基本的には同じ制度です。年間非課税額を把握しておけば、別段難しいことはないでしょう。ただし気をつけなければならないのは「子供や孫の名義で口座を開設することができない点」に尽きます。

新NISA制度を利用することができるのは、18歳以上限定。つまり、親や祖父祖母名義でNISAを始め、出た利益を子供や孫に譲渡するという流れになります。

新NISAの制度に関して詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

②学資保険

そもそも学資保険とは簡単に言うと「子どもの教育資金の準備を目的とした貯蓄型の保険」のことです。子どもの入学や進学にあわせて教育資金・満期保険金を受け取ることができるため、教育費を管理しやすいという点で広く利用されています。

月々の平均積立額は、貯蓄型で1万円~1万5,000円程度。受取金額を200万円〜250万円と設定するケースが多いようです。そして学資保険はどの商品を選んでも同じではなく、返戻率を基準に選ぶのがセオリーです。

返戻率(%)=給付金受取総額÷保険料支払総額×100

という計算式で返戻率を算出し、結果が100%以上なら返戻率は高いと判断し、選択肢に入れるべきですが、100%を下回るようなら元本割れ、つまり支払った額よりも受取額が低くなる商品であるという判断ができます。

③定期預金

最も利率が良い手段は投資であり、ここで言うなら新NISAなのかもしれません。しかし新NISAは投資ですし、学資保険も元本割れの可能性がある時点でノーリスクではないと言えるでしょう。つまり、最も安全な手段こそ『定期預金』なのです

とは言え「増やす」という感覚よりも「貯める」方が強く、現時点(2024年7月時点)で最も良い金利はauじぶん銀行の「0.55%」であり、それって本当に高いの? と首を傾げる方が多いと思います。

例えば投資の場合、どれだけ低くとも年利3%はあるもの。0.55 %と比べたら・・・リスクが無い点が最大のウリであると携えておくべきです。

定期預金の金利や銀行の選び方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ジュニアNISAにまつわるQ&A

流石にジュニアNISAが廃止になったことを知らない方は少ないのでは?と思いますが、廃止後にどうしたら良いのか分からず、放置したままという方は多いでしょう。

そこで最後に、ジュニアNISAにまつわるQ&Aをまとめました。

ジュニアNISAで保有していた商品は、新NISAに引き継ぎできますか?

まず結論から言うと「引き継ぐことはできません」。ジュニアNISA口座で保有していた銘柄を引き続き非課税で保有したい場合には、一旦売却を行い、新NISA口座で新たに買い直す必要があることを覚えておきましょう。

しかし、ジュニアNISAの口座主が18歳以上になった時点で口座を残している場合、ロールオーバーこそできないものの、自動的に新NISA口座を開設できるそうです。

ジュニアNISAの残高は引き出せますか? 引き出せた場合の税金はどうなりますか?

2024年1月1日以降、満18歳になっていなくても引き出すことは可能です。もちろん18歳未満の場合はそのままでも問題ありませんが、新規の取引はできません。

あくまで保有しておく程度しかできないため、引くべきタイミングで口座を空けてしまうのが良いでしょう。そして、引き出した場合の税金は「非課税」になります。

ジュニアNISAで売却した株を再購入することはできますか?

ジュニアNISA閉鎖前ならもちろん可能でしたが、2024年以降、ジュニアNISA口座で新規の取引はできません

もし同じ銘柄を購入するなら、普通の証券口座か新NISA口座を開設し、そこで取引するべきでしょう。前記の質問にも同じことが言えますが、ジュニアNISAは既に廃止された仕組みなので、そこで新たに取引をすることはできないことを覚えておきましょう。

 

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