ナスダック100の利回りは?過去30年までの平均利回りを解説

初心者でも始めやすい投資信託。

特に特定の株価指数をベンチマークとするインデックス型の投資信託(インデックスファンド)については、投資初心者の人も始めやすく、興味を持っている方も多いのではないかと思います。
インデックスファンドの中でも「S&P500」「全世界株式(オールカントリー)」をベンチマークとしたファンドが、特に有名・人気ですね。

これらが人気なのは、そのベンチマークのパフォーマンス良く、高い利回りが期待できることに起因します。

投資をするのであれば、当然「できるだけ利回りの高い投資先を選びたい」と、当然考えるでしょう。そのような目線で投資先を探し、上記のインデックスファンドに辿り着く方が多いと思います。

ただ、この記事を読んでいるあなたは、「ナスダック100の方が利回りが高い」という情報を目にし、実際どのくらいパフォーマンスが良く、利回りが高いのか気になっているのではないかと思います。

結論として、ナスダック100の利回りは、確かに過去30年のデータを振り返ると他の指標よりも高い利回りが期待できる結果となっています。

では実際、どの程度のパフォーマンスが出ているのでしょうか。

以降、本記事では、ナスダック100の過去30年までの平均利回りと、他の主要な指標との比較や、ナスダック100を投資先に選ぶ際の注意点について、解説していきます。

ぜひ最後まで読み進めてみてください。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、「会社四季報」編集長との共同セミナーに講師として登壇(東京証券取引所主催)するなど、著書に講演依頼、メディア出演も多数。「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

ナスダック100とは 

改めて、ナスダック100とはどのようなものか確認していきましょう。

定義

ナスダック100とは、米国の株式市場であるNASDAQ(ナスダック)に上場している3000以上の銘柄の中で、金融株を除く、流動性が高く時価総額の大きい上位100銘柄で構成される株価指数のことです。

1985年1月31日の値を125として、「時価総額加重平均」という方法で算出されます。

【時価総額加重平均】

対象となる全銘柄の時価総額を合計して、基準日の時価総額合計で割って算出する方法。
現在の時価総額が、過去の時価総額と比較して、どの程度成長したのかを把握できます。

ナスダック100=採用銘柄の時価総額合計/基準日の時価総額合計(125)

特徴

ナスダックは、成長性の高い新興企業向けの株式市場であり、上場している企業は、ハイテク関連やIT関連の割合が高いです。AppleやMicrosoft、AmazonやGoogleなど、世界的にも有名な企業がこのナスダック市場に上場しています。

そのため、ナスダック100に採用されている銘柄もハイテク・IT業界の割合が多く、特に金融系が除かれていることから、業界動向を反映しやすいと言われています。

(2024年6月28日現在・SBI-SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックス・ファンド「月次レポート」から抜粋)

 

また、時価総額の大きい順に100銘柄が選ばれているので、特に時価総額の大きい銘柄の値動きに影響を受ける、という特徴があります。

(2024年6月28日現在・SBI-SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックス・ファンド「月次レポート」から抜粋)

ナスダック100の利回り 

ナスダック100の内容や特徴を理解したところで、次はどの程度の利回りなのかを確認していきます。
本章では、世界中のインデックスを掲載している「Myインデックス」の情報を元に進めていくこととします。

直近半年の利回り

まず、ナスダック100の直近半年の累計利回りを確認すると、2024年6月時点では以下の内容となっています。

利回り=リターンの部分をみてみると、3ヶ月で+7.8%、6ヶ月で+ 17%とのパフォーマンスとなっています。

これらは累積リターン(過去3ヶ月で7.8%、過去6ヶ月で17%資産が増加)なので、年利回りに換算して考えると、約30%以上となります。パフォーマンスとしてはかなり高い結果になっていると言えます。 

直近過去1〜5年の年率平均利回り

次に過去1〜5年の年率平均利回りを見てみます。

直近1年の利回りが29.7%と、かなり良いパフォーマンスとなっていますが、3年の年率平均利回りが10%と、相対的に低くなっています。

これは過去3年、つまり2021年7月〜2024年6月の期間での計算なので、おそらくコロナ禍での株価下落の影響が含まれているためと推察できます。しかし、それでも平均して毎年10%のリターンという結果が出ているので、他のインデックスや金融商品と比較しても、悪い数字ではありません。

また、さらに過去に遡った5年の年率平均利回りは+20.4%となっているので、コロナショックの下落の影響もそこまで感じさせない内容と言えます。

直近過去10〜30年の年率平均利回り 

最後に、過去10〜30年の年率平均利回りを見てみます。

それぞれ年率平均利回りは、10年で17.3%15年で18.6%20年で13.5%30年で14.1%となっています。
期間が長くなるほど、パフォーマンスのブレが修正され、一定の範囲に収束していくことが読み取れます。

「10年と15年」「20年と30年」を比較した時に、後者のパフォーマンスが少し下がっているような印象を受けますが、おそらくこれは2008年のリーマンショックが計算範囲に入ったことによる影響と考えられます。

以上、ナスダック100の利回りを確認してきましたが、特に直近1年程度では約30%と、かなり高いパフォーマンスを出せていると言えます。しかし切り取る期間によっては、10%程度になることもあり、かなりブレも出やすいということが推察できます。

ナスダック100と他の指標の利回り比較

前章で確認したナスダック100の利回りですが、他の指標と比べるとどの程度パフォーマンスに差があると言えるのでしょうか。
本章で、主要な指標のパフォーマンスと比較していこうと思います。

比較する指標としては、以下をピックアップしてみました。

  • ナスダック総合 

  • S&P500 
  • 全世界株式(MSCI ACWI)
  • 日経平均 

一つずつみていきます。

ナスダック総合 

ナスダック100は、1章でお伝えしたとおり、ナスダック市場に上場する企業のうち、金融株を除く時価総額上位100銘柄で構成される株価指数ですが、ナスダック総合は、米ナスダック市場に上場する全銘柄で構成される株価指数です。
1971年2月5日の水準を100とし、時価総額加重平均で算出されます。

利回りの比較は以下の通りです。

ナスダック100と比べると、全体的に利回り自体はナスダック総合の方が若干低いと言えますが、構成銘柄数も多いため、ブレ幅も抑えられていると推定できます。

S&P500 

S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している米国株式市場の株価指数のひとつで、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している代表的な500銘柄で構成されています。
1957年3月4日より算出が開始され、1941年から1943年における平均指数を10として、時価総額加重平均によって計算されます。

ナスダック100との利回りの比較は以下の通りです。

利回りだけでみると、S&P500よりもナスダック100の方が高いパフォーマンスを出せています。
しかし、ブレ幅という点で見ると、S&P500の方が比較的安定したパフォーマンスになっていると言えます。

なお、以下の記事でS&P500とナスダック100を詳細に比較し、解説しているので、ぜひこちらも目を通していただくと理解が深まると思います

全世界株式(MSCI ACWI) 

全世界株式(オールカントリーワールドインデックス:MSCI ACWI)はアメリカの「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社」が公表している株価指数で、先進国と新興国、それぞれ20カ国程度の中の大型株と中型株、2900以上の銘柄で構成されています。

世界全体の株価動向を知るのに広く利用されていますが、構成のうち約60%がアメリカの企業となっているので、アメリカの経済動向も強く影響する指数です。

(出典:「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」目論見書より)

ナスダック100との利回りの比較は以下の通りです。

全世界株式は、アメリカの比率が多いとはいえ、世界2900以上の銘柄に分散しているので、全体を通してブレが少なく、かなり安定したパフォーマンスとなっていると言えますが、利回りだけで確認した場合は、ナスダック100のパフォーマンスが圧倒的に高い結果となっています。

日経平均

日経平均は、日本経済新聞社が公表している日本の代表的な株価指数で、東京証券取引所プライム市場上場銘柄のうち、選定された225銘柄から構成されています。

1949年5月より算出開始され、採用銘柄の株価を全て合計し、銘柄数で割る「単純平均株価」方式で計算されるため、株価が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすいという特徴があります。

ナスダック100との利回りの比較は以下の通りです。

日経平均は直近の利回りがかなり高く、算出期間が長くなるほど利回りが低くなる傾向が読み込めます。特に、1990年代に発生したバブル崩壊の影響が強く出ていると推察される30年のデータでは、年平均利回りが約2%となっており、投資効率としても残念ながら低めな数字となっています。

ナスダック100を選ぶなら注意すること 

前章で各主要指標とナスダック100を比較してみましたが、「総じて、ナスダック100の方が利回りが高い」という事に気が付いたと思います。
冒頭でも言及した通り、投資するのであれば、もちろん「利回りが高い方がいい」と、誰しもが考えますよね。

であれば、「一番利回りが高いのだから、ナスダック100に全力で投資していれば良い」という結論になりそうですが、実はそうとも限りません。ナスダック100にも注意すべき点があります

確かに過去データを見る限り、利回りが一番高いのはナスダック100でした。
これ自体、今後の投資先を選ぶ上で、もちろん参考になる情報ではありますが、そうは言ってもあくまで過去の結果。今後の利回りやリターンを約束するものではありません。

そのため、ナスダック100が、そもそもどういう注意点をはらんでいるものなのかを正しく理解した上で選ばないと、場合によっては大きく損をすることにも繋がってしまいます。そのような状況にならないため、ナスダック100を投資先に選ぶ場合、どのような注意点があるか、しっかり把握しておきましょう。

リスクも高い 

まず、一つ目に注意すべき点としては「リスクの高さ」です。

リスクとはパフォーマンスのブレ幅のことです。前章の比較表の「リスク」という項目を改めて確認していただくとわかるように、リターンも総じて高いですが、実はリスクが一番高いのもナスダック100なのです。

ブレ幅が大きい、とは「不確実性が高い」ということを意味します。つまり、リーマンショックやコロナショックのような混乱はもちろん、金利や経済動向にも敏感に反応し、悪いニュースがあれば大きく下落する可能性があり、その下落幅も大きくなりやすいのです。

ナスダック100をポートフォリオに入れる場合、過去データでは全てプラスのパフォーマンスとなっていましたが、今後の米国経済状況の悪化や予期しない金融ショック発生などの影響で、大きく下がる可能性もある、ということを前提として検討する事が必要です。

分散効果が弱い 

注意すべき点の2つ目として、分散効果が弱い、ということがあります。


前章で比較した指数の中で、構成銘柄数が一番少ないのもナスダック100でした。構成銘柄数が少ないということは、それだけ集中投資の要素が強いということを意味します。

つまり、一つの企業の動向に大きく左右されてしまう可能性が高いです。また、業種もハイテク・ITに偏っているため、他の業種が上昇していても、ハイテク・IT業界が下落してしまえば、その下落に大きく巻き込まれてしまう、という面もあります。この点を理解しておくことが必要です。

短期売買には向かない 

3つ目として、短期売買には向かない、ということも注意点として把握しておく必要があります。

第2章でナスダック100の利回りを確認しましたが、1〜5年など、算定期間が短い間では特にブレ幅が大きいことが顕著に現れます。つまり短期的な値動きがかなり激しいのです。

全体的にリスクが高めなのは先述のとおりですが、時間を味方につけることで、ある程度のリスク軽減には繋がります。そのため、ナスダック100を選ぶのであれば、短期間で考えるのではなく、時間軸をより長めにした投資戦略を考えておく方が良いと言えます。

まとめ

いかがでしたか。「利回りの高い投資先を探していた」という方にとって、ナスダック100の実績はかなり魅力的に見えたのではないかと思います。

もちろん過去データも大いに参考になる情報ではありますが、それだけを頼りに決めるのではなく、注意すべき点も踏まえた上で、検討するのが望ましいです。

本記事の内容が、今後の資産運用の参考として、お役に立ちましたら幸いです。

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