不動産投資というとたくさんの資金が必要だと思う人もいるでしょう。確かに自己資金10万円のみで物件の所有をする不動産投資はできる確率が低くなりますが、10万円からやそれ以下の資金からでも不動産投資は可能です。
本記事では少額から行える不動産投資について解説します。資金が少ないけど不動産投資をやってみたいという方はぜひお読みくださいませ。
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監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
自己資金10万円のみでの物件所有ができる確率は低め
10万円からでも不動産投資は可能です。しかし自己資金10万円のみで購入できる物件があれば可能ですが、多くの場合、10万円で所有できる不動産は少ないでしょう。その場合、自己資金の10万円以外はローンを組むという方法で不動産の購入が可能になります。自己資金10万円のみでローンを組む場合は、下記の条件に当てはまることが最低限必要です。
・会社員、士業、公務員
・年収500万円以上(400万円台も可能性あり)
・勤続年数3年以上
・借り入れなし(ある場合ローン額が減る)
その他としては物件の所有は叶わないですが、別の方法で自己資金10万円で不動産投資を行えるやり方もあります。それは次の章で解説します。
10万円でできる不動産投資
10万円という少額から始められる不動産投資にはいくつかの方法があります。これらの方法は、直接物件を購入するのではなく、間接的に不動産に投資する形で、リスクが少なく不動産市場に参加しますすることが可能です。以下に代表的な投資手法を紹介します。
- REIT
- 不動産小口化商品(匿名組合型)
- 不動産小口化商品(任意組合型)
それぞれ解説していきます。
REIT
REITとは「Real Estate Investment Trust」の略です。日本語では「不動産投資信託」ともいわれます。簡単にいえば、不動産を証券化して小分けで買えるようにしたものです。
リートのメリットはなんと言っても、東証などの証券取引所に上場していることでしょう。上場するためには、証券取引所が求める審査基準や監査基準を満たしている必要があります。決算書などの資料も開示されているため、投資家への透明性があります。また、上場されているということは「たくさんの投資家に開かれている」ことなので、流動性が高いことも大きな魅力です。
REITのメリットとデメリットは下記です。
【メリット】
・証券取引所に上場している安心感がある
・安定的に高い利回りを達成できる商品がある
・比較的低い金額から投資ができる
・流通量が多いので、いつでも売買できる
【デメリット】
・大きな値上がりやリターンは期待できない
・市場の動向しだいで、価格下落のリスクがある
流動性が高いということは いざというときすぐに現金化できます。リートの代表的とも言える「東証リート指数」は、ここ10年ぐらいずっと年利3%ぐらいをキープしています。リートは安定配当が欲しい人に向いてます。
不動産小口化商品(匿名組合型)
次にご紹介するのが「不動産小口化商品」(「不動産クラウドファンディング」ともいう)です。「1万円から投資できる」という意味でも、少額不動産投資の代表的な商品かもしれません。
まずはメリット・デメリットです。
【メリット】
・1万円〜など低額から投資ができる
・ある程度の流通量がある
・案件ごとなので、リートと違い投資対象を選べる
・元本割れしにくい仕組みを取り入れている
【デメリット】
・運用会社の信用リスクがある
・大きなリターンは期待できない
・節税には向かない(節税に関しては「任意組合型」を参照)
・市場の動向しだいで、価格下落のリスクがある
では、不動産小口化商品(匿名組合型)の仕組みも見てみましょう。
匿名組合型では、個人の投資家は、「匿名組合」という不動産投資のための事業体に出資をして、配当や売却益を得ていきます。投資家がお金と引き替えに得るのは、不動産事業の1口オーナー権であり、不動産の所有権ではありません。不動産の所有と管理は、あくまでも事業体が行います。
このような形式を取ることで、
・登記などの面倒を省略できる
・1万円〜 の低い金額から投資に参加できる
・プロジェクト期間が数ヶ月〜 などの短いものもある
などのメリットが生まれてきます。この参加ハードルの低さから「不動産クラウドファンディング」と呼ばれたりしています。ここまでは、リートとも似ていますね。匿名組合型のもうひとつの特徴は、ほとんどの商品で「劣後出資」と「優先出資」という2つの出資形態が用意されていることです。
これは、事業者の出資を「劣後」、投資家の出資を「優先」と分けることで、売却時の分配する順位に優劣をつけるシステムです。こうすることで売却時、投資家の元本を「優先的に返済」することが可能になります。つまり投資家の元本割れが起きにくい仕組みなのです。以下の図も参考にしてください。
ただし、劣後出資と優先出資の割合には注意しておきましょう。なぜかというと売却損のカバーをしてくれる劣後出資ですが、割合が少なければそれだけでは損をカバーできないこともあるからです。つまり売却で大損が出てしまうと、個人投資家の「優先出資」分も減ってしまう恐れがあります。あまりに劣後出資の割合が低いと、元本割れのリスクが高まるということです。
不動産小口化商品(任意組合型)
最後にご紹介するのは、「任意組合型」です。
匿名組合型と間違えてしまいそうですが、2つの商品には明確な違いがあります。
まずはメリット・デメリットを見ていきましょう。
【メリット】
・不動産の所有権がある(共有持分)
・相続税などの節税対策として使える
・案件ごとなので、リートと違い投資対象を選べる
・安定した利回りを達成できる商品もある
【デメリット】
・好きな時に売買しずらい(流動性が低い)
・匿名組合よりも金額が大きい(100万円〜など)
・市場の動向しだいで、価格下落のリスクがある
「任意組合型」は節税思考の投資家向き
任意組合型が匿名組合と決定的に違うのは、不動産の所有権は、出資者たる投資家のものである点です。もちろん口数に合わせての共有持分になります。不動産の保守管理は、取りまとめる事業者が行いますが、不動産の所有権があるので不動産投資で得られる節税メリットがあります。
小口化商品を使った贈与税や相続税対策については、1章でも解説しているので気になる方は読み返してみましょう。
遺産分割手段として活用する人も
任意組合型の小口化商品を遺産相続時の分割の手段として活用する人も多いようです。土地のままでは簡単に分割ができませんが、任意組合型なら不動産のメリットを享受しつつも、公平に家族に分配できるというわけです。任意組合型のその他の仕組みは2の「匿名組合型」とあまり変わりはないですが、登記をされているために売買がしづらく、基本的にはプロジェクトの年数分ずっと保持するつもりでいるほうが良いでしょう。
このように、長期間手放せない可能性があることは任意組合型のデメリットです。登記に名前が載らないので「匿名」登記がある方が「任意」と覚えておくと良いでしょう。
10万円からの不動産投資のメリット・デメリット
前章では10万円から行える投資について説明してきました。次に10万円から不動産投資ができるとはいえ、メリット・デメリットはあります。ここでは不動産投資のメリットとデメリットについてお伝えします。
メリット
少額から不動産投資ができる
リスクを分散できる
デメリット
元本割れのリスクがある
すぐに資産形成ができない
メリット
・少額から不動産投資ができる
少額不動産投資は、その名が示すように、少額から投資ができます。
例えば、後に紹介する不動産小口化商品であれば1万円〜投資ができます。もちろん少額で投資ができるのは、不動産を小口化してみんなで出資(共同出資)をするからではありますが、それでもこの少額不動産投資の参入のしやすさは魅力的ではないでしょうか。参入のしやすさは=「リスク分散」の観点からも重要です。
なぜなら、市場で売り買いする投資家がたくさんいればいるほど、流動性は上がり、赤字の物件を抱え続ける等のリスクも減るのです。このように、少額で不動産に投資できることは大きなメリットとなるのです。
・リスクを分散できる
先程も申し上げた通り、10万円からやその他少額からの不動産投資は、リスクの分散ができます。少額でいろんな不動産に投資ができるので、1つの不動産にもしも何かあってもカバーができるからです。例えば数千万円の不動産を1件だけの所有で、しかもローンを抱えているとなればたちまち不安になりませんか?
デメリット
・元本割れのリスクがある
10万円からの不動産投資だとしても、投資であることに変わりはないので元本割れの可能性は0ではありません。そして株価と同じで不動産価格も市況に左右されます。例えば、リートは証券取引所に上場しているので、市場が開く平日は取引価格が常に上下します。
しかし、元本割れを回避する方法の一つとしては、例えば戸建てであれば、物件を売らずに持っておき、長期間配当だけをもらい続けることができれば、やがては元本を回収できます。このように元本割れを防ぐことも可能なのです。
・大きな資産形成ができない
10万円からの不動産投資や少額不動産投資は、「少額」という特性上、大きな資産構築がしにくいタイプの投資です。これを簡単に説明できる公式があります。それが、下記です。
投資リターン = 投資元本(円) x 利回り(%)
となります。見ると分かる通り、たとえ、利回りが20%だったとしても、投資元本が10万円なら利益は2万円しか稼げません。お小遣いとしては良いですが、大きな資産構築にはならないのです。
逆に、利回りが2%でも1億円を運用すれば、リターンは200万円です。このように、投資においては利回りの良さだけでなく、総合的にあなたの人生設計に合っているかを考えましょう。
REIT、不動産小口化商品(匿名組合型)も現物不動産と比較すると節税メリットがありません。しかしREITに関してはNISAが使えるので、NISA口座で売買する場合には利益に課される税金は発生しません。
また不動産小口化商品の匿名組合型ではなく任意組合型は相続税や贈与税の節税になる場合があります。
10万円から不動産投資を行う場合の注意点
10万円から不動産投資を行う場合、少額だからといって軽く考えるのはやめましょう。ですのでこの章では10万円から不動産投資を行う場合の下記2点の注意点について解説していきます。
余剰資金で行うこと
長期目線で行うこと
余剰資金で行うこと
10万円からという比較的少額の投資金額からだとしても、必ず余剰資金で投資をはじめてください。なぜならこれまでも解説している通り、損や元本割れの可能性があるからです。余剰資金というのは、例えば病気になって働けなくなったり、不足の事態で収入が途絶えてしまう場合などのために、3ヶ月から半年分くらいを目処に最低限貯めておく費用のことです。
生活防衛資金がない状態の10万円で投資をするのはおすすめできません。生活を圧迫するような状況での投資は、正常な投資判断が行えず、損をする確率がさらに高まるからです。
長期目線で行うこと
10万円からという少額の投資だとしても長期目線で行うようにしましょう。短期ですと基本的には元本割れの確率が高かったり、すぐに資産が増えることが少ないからです。REITなどは流動性が高めなので、万が一現金が必要な場合などは換金がしやすいです。少額からそして分散して投資を行い長期で資産を増やしていきましょう。
まとめ
10万円からでも不動産投資ができるということがわかっていただけたかと思います。少額といえど投資には変わりはないので、しっかりと勉強してから望むことが大切です。弊社のスクールでは不動産関連の勉強も可能です。
まずはお試しで今無料で投資の勉強ができる『GFS監修 投資の達人講座』の受講を考えてみてください。こちらは投資についてわかりやすい内容になっています。
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