地方公務員こそ不動産投資すべき!理由と注意点を解説

「不動産投資に興味があるけど、地方公務員でもできる?」
「公務員は不動産投資に有利と聞いたけど、実際どうなんだろう」
「地方公務員が不動産投資をするなら、どんなことに注意すればいい」

この記事を読んでいるあなたは、上記のような悩みを持っているのではないでしょうか。 

上手に運用することで長期で安定した不労所得が得られる不動産投資。 家賃収入だけではなく、不動産の値段が買った時以上に高くなれば大きな売却益を狙える魅力もあります。

この点から、不動産投資を検討している人も多いと思います。 しかし、公務員と言うと 通常は副業が禁止されているはずです。
すると、 この不動産投資が副業に当たるのかどうか疑問、と不安に思う方もいるかもしれません。

結論から言うと、公務員の方でも不動産投資をする事は可能です。特に地方公務員の方は、 不動産投資にとても向いているので、 ぜひ検討すべきといえます。

なぜ上記のように言えるのか気になる方もいるでしょう。また、不動産投資が可能だったとしても、なんとなく怖いイメージがあって、注意すべき点などを事前にしっかり確認したいという気持ちもあるかもしれません。

そこで本記事では、  地方公務員が不動産投資に向いていると言える理由や、不動産投資を行う上でどのような点に注意したら良いか、と言う部分 について解説していきます。

ぜひ最後まで読み進めてみてください。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

不動産投資は公務員でもできる副業

冒頭でもお伝えしたとおり、公務員の方でも不動産投資を行うことは可能です。どのような規定になっているか、はじめに簡単に確認しておきましょう。

・公務員の副業規定 

公務員の副業に関する規定は、国家公務員法で以下のように決まっています。

・国家公務員法第103条(私企業からの隔離)
営利を目的とする私企業の経営、兼職の禁止

・国家公務員法第104条(他の事業又は事務の関与制限)
非営利の事業団体で事業に従事する場合は、内閣総理大臣およびその職員の所轄庁の長の許可が必要

このとおり、営利目的で会社を経営することや兼職することは原則禁止されています。また、非営利団体への従事だとしても許可が必要と定められているのです。

これらは国家公務員向けの法律ですが、地方公務員の副業規定も上記に準ずることになります。

また、さらに地方公務員法でも個別で以下のとおり定められています。

・地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)
任命権者の許可なしに営利企業を経営してはならない。また事務も禁止とする。

地方公務員の任命権者とは、簡単に言えば市長や知事等のイメージです。許可があれば可能ということですが、現職の方であればこのハードルの高さがお分かりなのではないでしょうか。

これらのことから「地方公務員の副業は原則認められない。または難しい」というのが基本認識となります。

・人事院規則の規定 

副業が難しいことは前項でわかりましたが、では不動産投資が副業、つまり営利目的に該当するのか、という部分が疑問に残るところです。

その点について、国の行政機関である人事院が派出したで、具体的に以下のように定められています。

・独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。

・独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

・不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合。

(人事院規則14―8 (営利企業の役員等との兼業 )の運用について より抜粋)

つまり、上記で定められている範囲内であれば、不動産投資が営利目的にならないため、副業に当たることはない、との認識になるのです。副業でなければ通常の資産運用の範囲となるため、もちろん許可などは不要となります。

国家公務員法と同様、この人事院規則については地方公務員も準ずるところとなるため、地方公務員でも一定の範囲内であれば許可不要で不動産投資が可能、との認識ができるのです。

なお、不動産投資が可能なケースについては、改めて第3章で解説しますので、ぜひこのまま読み進めてみてください。

地方公務員が不動産に向いている理由

前章で、地方公務員でも不動産投資が可能なことはわかりました。

では、なぜこの不動産投資が「地方公務員こそ向いている」と言えるのでしょうか。以下、理由を一つずつ解説していきます。

・与信が通りやすい 

まず一つ目に与信が通りやすい、と言うことが挙げられます。

不動産投資をしようと思ったら、もちろんキャッシュで購入することも可能ですが、金融機関でローンを組むケースが一般的です。

この時に組むのは「住宅ローン」ではなく、不動産投資のための「事業ローン」というものになり、審査や基準がより厳しいものとなっています。借りる人の年収や勤務先の信用力など、細かくチェックされ判断されるのです。

人によってはかなり通りづらい審査ですが、勤務先の信用力の高さや収入の安定さから、公務員ならば事業ローンでも比較的審査に通りやすいと言われています。

現職の方はなかなかお気づきになれない部分かもしれません。しかし、この事業用ローン審査というのは本当に狭き門で、ある程度のステータスがないとほぼ通りません。それほど厳しいのです。公務員の方であればこの審査が通りやすいというのは、とてつもなく大きなアドバンテージだと、ぜひお考えいただくと良いです。

・長期での運用に適している 

不動産投資が長期での運用に適しているのも、理由の一つです。

地方公務員という職業をお選びになったのは、概ねその地に足をつけて長く安定して働きたいという思いもあってのことではないかと思います。

実は不動産投資も同じような部分があり、一度に大きな利益をとりにいくよりは、長期的な運用を前提に、家賃収入をコツコツと積み上げながら資産形成に繋げていくもの、という特徴があります。

地方公務員として働くことにプラスして不動産投資での運用を行うことで、長期にわたる収入と投資の両輪を築き、より効率よく資産形成を進めていくことができます

・収入を増やせる  

もう一つ、「収入を増やすことができる」というのも大きな理由です。

公務員というと「安定していて、民間よりも給与が高め」などと言われることがあると思います。確かにその言葉に一定の真実はあると言えるでしょう。しかし、現状の公務員の給料体系には、頑張った分だけ給与が上がる、成果を出した分だけ報酬がもらえるという、いわゆるインセンティブのようなものがありません。つまりそれは、給料や年収の上限がある程度決まってしまっている、ということです。

また、地方公務員の場合、地方間の格差がかなり激しいこともあります。例えば同じ「自治体職員」といっても、都心などと比べると、均年収が約40%程度も低い自治体があるというから驚きです。

もちろん給料で不自由するということはないかもしれませんが、ライフデザインやライフプランの幅をもっと広げたいと思った場合、やはり収入の影響は大きいと言えます。

しかし、1章でも触れたとおり、公務員は基本的に副業が禁止されているため、収入を増やそうと思ってもかなり方法が限られることになるでしょう。

そのような中でもOKとされている不動産投資は、地方公務員が収入をさらに増やすための手段として、非常に有効であると言えます。

地方公務員でも不動産投資ができるケース 

ここまでで、地方公務員が不動産投資に向いていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

ではここで、1章でも触れた「公務員の不動産投資が営利目的に当たらない範囲」という部分について、改めて本章で確認していきます。

・5棟10室未満の建物であること

人事院規則では、建物の規模について「独立家屋の数が5棟以上」そして「独立的に区画された一の部分の数が10室以上」の場合、不動産投資が営利目的として副業に該当するとされています。

つまり、賃貸物件への投資を行う場合、「5棟10室未満」の建物であれば、不動産投資の範囲に収まることとなります。

「4棟9室まで」と言い換えることもできるので、この規模を超えない範囲での投資を検討すると良いです。

・年間投資利益が500万未満であること

不動産投資から得られる収益について「合計額が年額500万円以上」となる場合、営利目的に該当すると規定されています。つまり、収益が500万円未満であれば、不動産投資が可能であるということです。

ここで注意すべき点が2つあります。

1つは「合計額」という点です。例えば不動産を複数所有していた場合は、その合計の収益が500万円を超えないことが条件となります。

2つ目は「収益」の定義です。ここでの収益は、収入全体から維持費や経費を引いた所得ではなく、単純に「収入全体」を指す事になるので、覚えておきましょう。

・管理業務を全て委託すること

不動産投資を開始した後は、物件の管理や修繕、家賃徴収などの管理業務を継続的に行っていくことが必須です。通常はご自身でも行うことができますが、公務員が不動産投資を行う場合は、管理業務を外部に委託することが条件となります。

根拠として、同じく人事院規則にて以下の規定がされていることによります。

不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。

(1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。

(2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。

(3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

(人事院規則14―8 (営利企業の役員等との兼業 )の運用について より抜粋)

いわゆる「職務専念」や「信用失墜行為の禁止」などの原則から求められている部分です。こちらも覚えておきましょう。

地方公務員が不動産投資をする際の注意点

公務員でも不動産投資ができることを知って、前向きに検討したいと考えた人もいるでしょう。

不動産投資は確かに魅力的であり、特に地方公務員であれば長期運用などの観点から親和性も高いものではありますが、注意すべきことも存在します。

具体的には以下の4点です。

  • 法令や規則を遵守する

  • レバレッジをかけすぎない
  • 毎年の確定申告を忘れずに行う
  • 物件や不動産管理会社選びに時間をかける

一つずつ、説明していきます。

・法令や規則を遵守する 

一つ目は、法令遵守が大前提であることです。

これまでにも解説してきたとおり、 公務員が行う副業や不動産投資は、各種法令により定義等が詳細に規定されています。組織の信用維持や職務専念などの観点もあわせ、これらの法令から逸脱することのないよう注意が必要です。

また、例えば各自治体や組織ごとに、さらに細かく規定されている場合もあります。不動産投資を行う前に、詳細に確認することが必須です。

・レバレッジをかけすぎない

 第2章でお伝えした通り、ローンを組む際、公務員は審査が通りやすいメリットがあります。

しかし、だからといって返済能力を超えるほどの借入をすべきではありません。毎月の返済によって収入が極端に圧迫されてしまったり、 収入を超えるようなことになってしまうと、本末転倒です。

不動産投資をするにあたっては、まず現在の家計の内容をしっかり把握し、どの程度であれば適切な借入額と言えるか、慎重に検討することが大切です。

・ 毎年の確定申告を忘れずに行う 

不動産所得(収入全体から経費を差し引いた分)が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。

また、不動産投資をやるメリットの1つとして「節税」がありますが、このメリットを受けるためにも、確定申告は必須となります。 

確定申告は正直かなり手間がかかるものです。税理士などに委託することもできますが、その分費用も発生します。

不動産投資をやる以上、申告を出さなければならないケースがほとんどですので、あらかじめこういった手間や費用がかかることは理解しておきましょう。

・物件や不動産管理会社選びに時間をかける 

不動産投資で大事なのは、もちろん物件選びです。収益が出にくい物件を購入してしまえば、せっかく不動産投資をしたのに損失が拡大してしまうこともあります。安易な選択は非常に危険なので、時間をかけて慎重に選ぶことをお勧めします。

また、上記と同じくらい大切なのが、不動産会社や管理会社の選定です。

例えば、
・物件の良い点も悪い点も真摯にわかりやすく説明してくれるか
・豊富な選択肢を用意してくれるか
・空室が出た際の入居者募集なども迅速に行ってくれるか

と言った部分は、投資成果自体に大きく影響する部分と言えます。

また、管理業務についても、委託先の業者の立ち振る舞いや維持管理のレベルが低ければ、入居者の満足度が下がって退去に繋がってしまうこともあるでしょう。

不動産投資は長期的に行う資産運用です。付き合っていく業者とも長い関係を築いていくことになります。物件自体はさることながら、不動産会社や管理会社選びも時間をかけて慎重に行うと良いです。

まとめ

いかがでしたか。

副業禁止の公務員でもできる不動産投資は、資産運用として十分一つの手段になり得ます。地方公務員であれば、なおさら親和性が高い投資手段です。

中には「興味があるが不安」という方もいるかもしれません。
しかし、家計の把握や慎重な物件・業者選びをすることで、大きく失敗してしまうリスクをできるだけ押さえることも可能です。

不動産投資をご検討中の地方公務員のあなたへ、本記事の内容が参考になれば幸いです。

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