インドは、急速な経済成長と若い労働力によって、世界中の投資家から注目を集める国の一つです。しかし、確かに「インド株はやめとけ」という声もあります。本記事では、インド株が投資において敬遠されがちな理由と、実際に投資する際に検討できるインド株関連の商品について投資の判断材料として、インド市場の特徴やリスクを把握しておきましょう。
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
インド株はやめとけといわれる3つの理由
株価の成長もしていることで注目されるインド株ですが、やめとけという声もあります。この章でインド株はやめとけといわれる下記3つの理由について解説します。
- 個別株はADRでしか買えない
- コストが高い
- 情報収集がしづらい
個別株はADRでしか買えない
現在インド株を直接買える証券会社は日本にありません。しかしADR(米国預託証券)を利用して購入が可能です。ADRとは米国で発行される預託証券です。米国以外の国で設立された企業が株式を保有してそれを裏づけとされています。ADRそのものは厳密には株式とはいえませんが、株式とほぼ同じ効果を得ることが可能です。
コストが高い
インド株は売買、保有の間で手数料が発生してコストが高めなので、やめておけといわれるのでしょう。例えば投資信託の場合、インド株のインデックスファンドとS&P500のインデックスファンドの信託報酬で比べてみましょう。
銘柄 | 信託報酬 |
---|---|
楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンド | 0.308% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372% |
インド株のインデックスの場合は0.3%以上、S&P500のインデックスは0.1%以下となります。長期保有することを考えるとコストはなるべく低いほうが受け取る利益が変わってきます。
先ほど説明したADRの場合は委託手数料やSEC Fee(米国現地証券取引所手数料)も発生します。そしてADR、インデックスファンド、どの取引にもインド株の場合キャピタルゲイン税が発生します。保有年数によって税率が変わります。
キャピタルゲイン税 | |
---|---|
保有期間1年未満 | 20% |
保有期間1年以上 | 12.5% |
NISA口座で購入の場合にはキャピタルゲイン税は発生しないので、インド株の投資信託を購入したい人はNISA口座を利用すると良いでしょう。
情報収集がしづらい
インドの企業は詳細な情報やレポートの公開が少ない場合があるため情報収集がしづらいということでインド株はやめておけという声が上がるのでしょう。日本のネットで出ている情報や、インドの企業を独自に調べるなどしないと情報を得るのは難しいと考えられます。
インド株のメリット
インド株はやめておけといわれても投資を行いたい人はいるでしょう。次はインド株へ投資する下記の3つのメリットについて解説します。
- インドはGDP世界一になると予想されている
- 資産が分散できる
- インド株の投資信託が増えてきている
インドはGDP世界一になると予想されている
2023年にインドは中国の人口を抜き世界一の人口になっています。そしてインドは若年層が多く今後の経済成長が期待されています。そして人口増加に合わせて経済成長も右肩上がりになっています。インド株が上がったことからも考えるとこれからも成長をしていくと考えて良いでしょう。
資産が分散できる
インドは新興国なので、資産の分散先として考えることができます。アメリカや日本、インドとそれぞれの株を持ちポートフォリオを組むことで、下落のリスク分散にもなると考えられます。
インド株の投資信託が増えてきている
インド株が右肩上がりになっていることで、インド株が注目されています。そのおかげでインド株の投資信託が増えました。増えたことにより今後競争化されることも考えますと手数料も低くなってくる可能性も0ではありません。投資信託であれば個別株よりは下落のリスクを抑えられるのでまずは投資信託からはじめて様子をみるのも良いでしょう。
気軽に買える5つのインド株投資商品
インド株のメリットや、やめとけと言われる理由について解説してきました。この章ではインド株の投資商品を5つご紹介します。
- SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(サクっとインド株式)
- iFreeNEXTインド株インデックスファンド
- 楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンド
- NF・インド株ETF
- iシェアーズ・コア S&P BSE SENSEX インディアETF
・SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(サクっとインド株式)
SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(サクっとインド株式)は2023年9月から運用を開始しました。S&P BSE SENSEXインデックスへの連動を目指しています。信託報酬は年0.4638%と比較的安めになっています。こちらのファンドは設立から105日で純資産を400億円突破しています。つまり注目されているし、期待している投資家も多いことが伺えます。
iFreeNEXTインド株インデックスファンド
iFreeNEXT インド株インデックスは、2023年3月から運用を開始しました。Nifty50指数への連動を目指したファンドです。純資産は1,500億円以上を突破しています。信託報酬は年0.473%となり、先述したSBIのファンドより少し高めとなっています。
楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンド
楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンドは2024年4月から運用を開始しました。Nifty50指数に連動する投資成果を目指します。純資産総額はまだ200億円程度ですが、信託報酬は年0.308%とご紹介したインデックスファンドの中では一番安いので、これからさらに注目されるのではないでしょうか。
NF・インド株ETF
NF・インド株ETFは2009年11月から運用を開始しました。Nifty50指数をベンチマークとした基準価額の変動率がNifty50指数に一致することを目指しています。Nifty50事態はインドルピーベースで計算されていますが、こちらを購入した投資家に対しては日本円換算したあとのNifty50指数の値動きに合わせた運用成果を目標に設定しています。為替リスクの影響を受けやすいです。信託報酬は年1.045%となっていて紹介している銘柄の中では一番高い設定となっています。
iシェアーズ・コア S&P BSE SENSEX インディアETF
・iシェアーズ・コア S&P BSE SENSEX インディアETFは2016年10月から運用を開始しました。BSE SENSEX Indexをベンチマークとしています。インドの主要企業30社へ分散投資が可能です。信託報酬は年0.35%でNF・インド株ETFよりはかなり安く設定されています。
インド株投資を行うときの2つの注意点
インド株の銘柄もわかったところで、投資をしてみようかなと思われた人もいるのではないでしょうか。投資を積極的にオススメはしませんが、もしもインド株投資を行う場合は下記の2点に注意して行うと失敗を防ぐことが可能でしょう。
- 長期目線で投資を行うこと
- インド株だけに集中投資をしない
長期目線で投資を行うこと
インドはまだまだこれから成長していくとみられている国ですから、短期間で自分がほしい利益を得られると思わないほうが良いでしょう。インデックスファンドならなおさら長期目線で投資をするのが大事です。短期的な株価に惑わされずに長い目でインド株に投資をしていきましょう。
インド株だけに集中投資をしない
インド株のパフォーマンスが最近良いからといって、インド株のみに1点集中で投資をするのは絶対にやめましょう。なぜならインドは新興国なので政治や経済の影響を受けやすく、株価も乱高下しやすいからです。ポートフォリオの割合としては、全体の10%〜20%くらいの割合が理想です。
まとめ
インド株はやめとけといわれる理由やメリットについてわかっていただけたでしょうか。インド株に投資をしたくなった方もいると思うのですが、しっかりと勉強をして知識を付けてから投資をすることをオススメします。本記事の最後章の注意点は特に理解した上でインド株への投資をしていただければと思います。
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