今日はテンバガーについて勉強するよ!
ハンバーガー10個のことかな!
テンバガー、、、投資家ならだれもがあこがれるこの言葉。
株式を購入してから株価が10倍に上がる株を指す言葉です。「10倍株」ともいいますね。
「バガー(bagger)」とは野球の「塁打」のこと。なので、テンバガーは直訳すると「10塁打」。野球には4塁打(ホームラン)までしかありませんが、株式の世界にはこんな派手な成績を残す銘柄があるのです。
テンバガーはもともと、米国ウォール街の証券マンたちが使う言葉でしたが、個人投資家を指南する世界的な名著『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド出版)で著者が紹介したのが日本に広がるきっかけとなったと言われています。
ピーター・リンチ氏は自身の会社の投資ファンドを資産規模2,000万ドルから140億ドルにまで増やし、「世界ナンバーワンファンドマネージャー」と呼ばれた伝説の人物。
狭い意味では1年で10倍に急騰する株を指すこともありますが、この記事ではリンチ氏にならい、数年~長期で10倍になる株も含めてテンバガーと呼ぶことにします。
株価が10倍になるような銘柄はいったいどこにあるのでしょうか。
「日本には約3,800社もの上場企業があるのに、そんな銘柄見つけられるはずがない!」と思ったあなた。たしかにテンバガーになる銘柄にお目にかかるのはかなり難しいような気がしますよね。
でも、短期ですぐにサヨナラしてしまっているだけで、実は保有し続ければテンバガーになる銘柄はけっこうたくさんあるものなのです。
ではどうやってテンバガーとなりそうな銘柄を見つけたらいいのでしょう。
それにはまず、過去に10倍以上になった銘柄を分析して、それらにどんな特徴があったか、どんな条件のとき10倍に伸びるのかを知らないといけません。
そこでこの記事では、テンバガーの特徴や条件、見つけ方を投資初心者の人でも理解できるよう、わかりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、投資初心者のあなたでも、
- テンバガーの特徴がわかる
- テンバガーとなる条件がわかる
- テンバガー銘柄の見つけ方・探し方がわかる
- テンバガー投資の注意点とデメリットがわかる
- テンバガー候補を自分で探して投資判断できるようになる
ことを目標に、書き進めてまいります。
記事執筆に際しては、わたしたちの運営する投資スクール「グローバルファイナンシャルスクール(GFS)」が監修。
テンバガーに関するスクールの講義動画(下の画像)や無料投資セミナー「投資の達人になる投資講座」の内容、客観的なデータをふまえて特徴や見つけ方を探ります。
内容をしっかりと頭に入れて、あなたも夢の「テンバガー」を手にしましょう!
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
第1章 テンバガーの3つの特徴(データ編)
ここでは直近のテンバガー達成銘柄の分析をもとに、次の3つの特徴を説明していきます。
- 業種別ではIT系銘柄が全体の35%超と圧倒的
- 全体の7割が時価総額50億円未満、8割が100億円未満の小型株
- 株価800円以下の低位株
まずは直近のテンバガーのデータから。
以下の表は会社四季報がまとめた、2017年から2021年までの約4年の株価の上昇率ランキングです。
上昇率1,000%以上が株価10倍以上なので、上位10位までがテンバガー達成銘柄ですね。
出典:四季報オンライン「『10倍株』が続出する直近4年間の株価上昇率ランキング」より
1位のベイカレントはIT系の経営戦略やビジネスプロセスを支援し、システムインテグレーションを手がけるコンサルティング会社です。株価上昇率は驚異の2700%(27倍)超。
2位のレーザーテックは日本を代表する半導体検査装置メーカーです。世界的な半導体不足によってここ数年、業容を一気に急拡大したことで知られています。
3位のラクスは中小企業向けにクラウド上から管理システムなどのソフトサービスを提供する、いわゆる「SaaS(サーズ)」事業を手がける会社。テレビCMなどでおなじみの経費精算システム「楽楽精算」などが近年一気にヒットしています。
こうしてみると、IT(情報技術)関連が上位に目立つような気がしますが実際どうなのでしょうか。
テンバガーの特徴その1ーー業種別ではIT系銘柄が全体の35%超と圧倒的
上の例は4年という短期のデータなので判断しにくいですが、もっと長期でみると、IT関連企業の優位性がはっきりと見て取れます。
下記は投資家向け雑誌「日経マネー」の記事で紹介された、テンバガーの業種別内訳のグラフです。
出典:日経マネー「実は日本株の25%が10倍高 発掘する4つのポイントは」より(日経新聞に転載)
最も多いのは情報通信の18%、ついでサービスの17%で、この2つで全体の36%近くを占めています。
いずれも近年の企業の情報化(DX=デジタルトランスフォーメーション)の波に乗ったIT系の企業が上位となっているようです。
それにしても驚くのは、この946という全体の銘柄数。
この数は、2008年に株価が大暴落したリーマン・ショック以降に最安値から価格が10倍以上に上昇したことがある銘柄だそうです。
確かに暴落の底から数えたら大きく値上げした銘柄は多いのでしょうけど、それにしても1,000近くあるというのはびっくりですよね。
全上場企業のおよそ4つに1つがテンバガーになった勘定で、記事には「実は日本株はテンバガーの宝庫だ」と書かれています。
この946銘柄のうち40%は20倍以上になっていて、「テンバガー達成してから買ってもさらに10倍になった」そうです。
中には100倍になった企業も47銘柄(全体の5%)あったのだとか。すごい!
100万円投資してたらそれだけで1億円だね!
一生分のチロルチョコが買えちゃう!
テンバガーの特徴その2ーー全体の7割が時価総額50億円未満、8割が100億円未満の小型株
テンバガーとなる銘柄の特徴の2つ目は、企業の規模の大きさがかなり小さいことです。
上記で紹介した記事から、もうひとつのデータを紹介しましょう。
リーマンショック後にテンバガーを達成した946銘柄の、最安値のときの時価総額の内訳です。
出典:日経マネー「実は日本株の25%が10倍高 発掘する4つのポイントは」より(日経新聞に転載)
このデータによると、株価が最安値だったときの時価総額は、全体の約7割が50億円未満、全体の8割が100億円未満という数字でした。
投資初心者の方は、50億、100億と聞いても数字が大きすぎてよくわからないかもしれませんが、これらは時価総額の中でもかなり小さい規模のグループです。
時価総額は「株価×発行株式数」で求められるもので、企業の事業規模を示す数字です。
日本取引所グループが公表している「業種別時価総額表」(2022年8月末現在)から3区分の市場の時価総額平均を求めると、
- プライム市場(1,835社)ーー平均3,500億円
- スタンダード市場(1,446社)ーー平均153億円
- グロース市場(481社)ーー平均144億円
上場企業計(約3,800社)ーー平均1,973億円
となりました。
時価総額が最も大きいのはトヨタ自動車で、約32兆円(2022年9月現在)あります。
上場企業全体の平均は1,900億円なので、時価総額が50億円、100億円というのは企業としてまだ「かけ出し」の部類です。
目安として、上位100銘柄を大型株、次の400銘柄を中型株と言い、残りは全部小型株と分類されますので、時価総額が数百億の企業はすべて小型株ということになります。
テンバガーの特徴その3ーー株価800円以下の低位株
テンバガーになる銘柄の8割が時価総額100億円以下の小型株ということがわかれば、その平均株価もだいたいわかります。
証券取引所グループが算出する「統計月報」(2022年8月末)によれば、上場企業の株価の平均は、以下の通り(グロース市場は算出なし)。
加重株価平均(円) | 単純株価平均(円) | |
プライム市場 | 2,406.50 | 2,519.45 |
スタンダード市場 | 800.32 | 1,359.36 |
単純平均と加重平均をごくおおざっぱに説明すると、
- 単純株価平均ーー該当する上場企業の株価をすべて足して企業数で割って算出した平均価格。
- 加重株価平均ーー該当する企業の時価総額をすべて足して全発行株式数で割って算出した平均価格。
となります。
1社の株価が数万円もするのに時価総額が小さい(発行株式数が少ない)場合や、その反対に株価は安いのに時価総額が大きい(発行株式数が多い)場合も、単純平均だとそれが考慮されず価格の大きい値がさ株に平均はひっぱられてしまいますが、加重平均はこの弊害が少なく、最も多い価格帯に近い平均価格が反映されます。
前項で、スタンダード市場の時価総額平均は153億円ということでしたので、時価総額100億円未満はこの市場の加重株価平均以下、つまりほぼ800円以下の銘柄が多くを占めると推定できます。
株価が1,000円以下の銘柄を「低位株」と言って株価水準が低いグループに分類される傾向があるので、これからテンバガーに化ける銘柄の特徴は「株価800円以下の低位株」と仮定することができると思います。
投資の知識を勉強することで、銘柄選びの判断軸が持てるようになったという方は私たちの運営する投資スクールGFSの生徒さんにも多くいらっしゃいます。
生徒さんの体験談を紹介しますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。。
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第2章 テンバガーを見つける7つの条件
第1章ではデータからわかるテンバガー銘柄の3つの特徴を書いてきました。
これを踏まえ、第2章ではテンバガー候補を見つけるための以下の7つの条件を探っていきます。
- 時価総額100億円以下の小型株であること
- 株価800円以下の低位株であること
- 株式上場から10年以内の新興企業であること
- 自己資本比率50%以上であること
- 売上高や利益の伸び率、利益率が2ケタ以上あること
- PER・PSRが低く、株価が割安であること
- 社長が創業者であり、株式の役員保有比率が30%以上あること
以下、ひとつひとつ細かく中身を検証していきましょう。
テンバガーを見つける条件その1ーー時価総額100億円以下の小型株であること
まず、前章のデータから「時価総額100億円以下」の企業を絞っていく必要がありそうです。
時価総額は「株価×発行株式数」で表されると説明しました。
つまり、発行株式数を増やさないという前提なら、株価が10倍になるには時価総額も10倍にならないといけません。
仮に時価総額50億円、株価500円の銘柄がテンバガー(株価5,000円)になるとしたら、それは時価総額が500億円になるということです。
上場企業の平均時価総額は2,000億円近いので、10倍になってやっと平均的な企業となるには、時価総額は200億円以下である必要があります。
ちなみにわたしたちグローバルファイナンシャルスクールでは、大きく株価が成長する銘柄を探すときの目標として株価成長率(リターン)を年換算50%以上としています。
500円の株価ならその50%(250円)上昇の750円、1,000円の株価なら1,500円以上になる投資先を探そうということです。
この際、時価総額の目安は「500億円以下」としています。
第1章で示したデータやこれらの平均値などから逆算すると、テンバガー候補は時価総額100億円以下、大きくともまだ200億円以下の銘柄を探す必要がありそうです。
テンバガーを見つける条件その2ーー株価800円以下の低位株であること
同じく第1章のデータから、テンバガー候補は「株価800円以下の低位株」が条件として浮上します。
株価の高さは必ずしも時価総額の高さに比例するわけではありませんが、実際に上場している企業の平均を考えると、自動的に800円以下の低位株がテンバガー候補ということになります。
日本株の取引きは原則100株単位ですので、株価が1万円や2万円もする小型株は購入時に100万円、200万円かかり、流動性が悪くなるため、投資にも向きません。
なので800円以下というのはとても成長株として妥当な株価ではないでしょうか。
こうした低位株を自己資金に合わせて少しずつ買い増していくのが投資初心者にとってもちょうどいいと思います。
テンバガーを見つける条件その3ーー株式上場から10年以内の新興企業であること
小型の成長株は株式市場に上場するため、業績面での実績と今後の成長、株式発行数、株主数、監査体制の整備等々、幹事・副幹事となる証券会社の指導のもと、様々な条件をそろえねばなりません。
また上場後は、当然株式の公開により投資家から調達する巨大な資金を基に事業を拡大させ、四半期に一度公表する決算、年に一度開く株主総会でそれを明らかにしていく義務が生じます。
そのため、上場から数年が最も企業として成長する時期となることが多いです。
もちろん、経営方針や業態・業務の変化、新規事業への取り組みなどで老舗の中小企業が一気に売り上げを伸ばすということもありますが、それは上場から一定期間を経て、主事業が軌道に乗ってから、あるいは上場からある程度の期間を経て、別の成長戦略を模索するようになってからでしょう。
つまり、テンバガー候補を探すなら、まずは企業が十分な資金を市場から調達し、成長のおぜん立てができる上場間もない時期が有望ということです。
下の表は、過去10年(2012~2022年)に最安値からの株価が10倍になり、かつ現在(2022年9月)も株価10倍以上を維持している企業125社の上場年の年代を分類したものです。
上場年月 | 1940年代 | 1950年代 | 1960年代 | 1970年代 | 1980年代 | 1990年代 | 2000年代 | 2010年代 |
テンバガー銘柄数 | 1 | 1 | 2 | 4 | 0 | 13 | 73 | 31 |
出典:会社四季報オンラインの「スクリーニング」で検索後、独自に分類
過去10年でテンバガーになった企業なので、上場年月はその前の10年が最も多く、さらに直近10年が続き、過去20年で100社以上、全体の83%を占めます。
このことから、今から10年でテンバガーを狙うには、直近10年以内に上場した企業、広げるとしても20年以内に絞ったほうがいいでしょう。
日本の上場企業は約3,800社ありますが、この「上場20年以内」で約1,800社に、「10年以内」で約1,000社に絞ることができます。
テンバガーを見つける条件その4ーー自己資本比率50%以上であること
成長企業を見つける上で、「自己資本比率」の数値はとても大事です。
自己資本比率とは簡単にいうと、その企業の事業にかかわるすべての資産のうち、借入金以外(負債)で調達した資金の割合を指します(下図参照)。
自己資本とは、創業者が出資した資金や株式市場から調達した資金を合わせた「資本金」と事業で得た利益の剰余金など、すぐに返済する必要のないお金のこと。
資産に占めるこの自己資本の比率が高いほど、財務が健全で、自由度の高い経営が可能になります。
逆にこの数値が低いということは、銀行からの借り入れが多く、利息を含めた債務の返済負担が重くのしかかってきて、経営が厳しくなっていきます。
銀行から資金を借りない場合、会社は株式発行数を増やしてそれを第三者に譲渡することで新たな資金を調達しますが、これは1株あたりの価値が小さくなる(希薄化)ため、既存の株主が嫌い、株価は下落してしまいます。
このことから、テンバガーとなるような成長企業は、自己資本比率が高いのがふつうです。
以下の表は前項で紹介したテンバガー企業125銘柄の自己資本比率別の分類です。
自己資本比率 | 20%未満 | 20~29% | 30~39% | 40~49% | 50~59% | 60~69% | 70~79% | 80~89% | 90%以上 |
テンバガー銘柄数 | 7 | 8 | 19 | 17 | 15 | 24 | 26 | 6 | 2 |
これを見ると、60~80%あたりがボリュームゾーンであることがわかります。
成長する企業を探す際の目安としては、自己資本比率50%以上、最低でも40%以上が理想とされます。
この表で言えば、50%以上の銘柄数は73社あり全体の58%、40%以上は90社で全体の72%を占めます。
自己資本比率は事業規模が大きくなることで徐々に下がっていくのがふつうなので、ここでテンバガーになった企業もすでに下げている可能性があります。
個々の事業内容によっては最初から自己資本比率が小さいこともあるし、借金が多くてもそれ以上に業績が好調ならこだわる必要はないですが、これからテンバガー候補を探すなら、原則としてやはり50%以上の企業を候補にしたほうがいいでしょう。
テンバガーを見つける条件その5ーー売上高や利益の伸び率、利益率が2ケタ以上あること
ここまでの条件をまとめると、
- 時価総額100億円以下
- 株価800円以下
- 上場10年以内
- 自己資本比率50%以上
この4つが抽出できました。
この条件で銘柄を抽出(スクリーニング)すると、対象候補は117銘柄に絞ることができます(2022年9月末現在)。
ここからさらに事業内容などを分析して投資先を絞っていく必要があります。でも上場企業が約3,800社あることを考えると、だいぶ数が減って気が楽ですよね。
ここから先は、一般的に企業の成長に共通する条件を考えて調査分析していく必要があります。
視点としてまず挙げられるのが、
①事業やサービスに革新性があるか、②時流に乗っているか、③他の企業にマネされない「深い堀」があるか
です。
事業内容が時流に乗っている企業は売り上げを伸ばしやすく、株価も成長しやすいということになります。
第1章で、テンバガーに多い業種としてIT関連を挙げましたが、これは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化などかなり関連事業の裾野が広いことがあげられます。
クライアントの課題を発見し、それを解決する自社のシステムを購入してもらい、保守点検まで手掛けるようなワンストップ型の最先端ソリューション企業は強いですよね。
モノ作りには原材料費、製造費、販売経費、運送費、在庫管理費など様々なコストがかかりますが、ネット上のクラウドサービスなどはそのあたりの経費がかからない分、利益率が非常に高くなります。
利益率が高いということは、稼いだお金を事業拡大投資に回す速度も速くなるため、必然的に成長も早くなります。
温暖化防止、脱炭素など環境関連のテーマがある事業は国が事業を支援してくれるため、時流に乗って売り上げを伸ばしやすいです。
電気自動車や再生可能エネルギーにかかわるシステムや半導体、電池の開発製造、希少鉱物の産出など、こちらもワンテーマながら裾野が広い分野です。
これらは企業を相手にする「BtoB」事業ですが、個人消費者を相手にする「BtoC」事業もまた、革新的な事業形態・サービスが次々と生まれており、利用顧客数や店舗数などが一気に増えることでテンバガーを達成している企業が多くあります。
また、他の企業にマネができない「深い堀」があることも大事です。英語ではこれを「ワイドモート」といい、成長企業に投資するときに非常に大事な要素となります。
現代では、先進的な技術や特許のあるサービス、地の利などがそれにあたるでしょうか。
堀がないと資本力のある大企業などにすぐまねされ、競争が激化して市場が「レッドオーシャン」となってしまいます。
深い堀があれば新たに攻め入られたときにも城を守ることができ、「ブルーオーシャン」で独占的に利益を稼ぐことが可能です。
消費者の隠れた需要をいちはやくとらえ、他にまねのできないサービスを提供できる企業はそれだけで勝ち組となります。
堀ってあのお城のお堀と一緒かな?
そうそう!城内まで簡単に攻め込まれない(マネされない)強みが企業には必要なんだ
成長性の高い企業、利益率の高い企業は業績の数字に必ず表れてきます。
基本的には
- 売上高の伸び率
- 営業利益(本業の利益)の伸び率
- 売上高に占める営業利益の割合(=営業利益率)
に注目するといいでしょう。これらが将来にわたって高く続く企業は、急成長しやすいです。
売上高と営業利益の伸びは事業の順調な成長を示します。
営業利益率の高さは、売り上げのうちどれくらい利益を獲得できるのか、事業の効率性が示されます。
業種によってこの数字の平均値や意味は違ってきますが、テンバガーをめざす企業ならいずれの指標とも最低20%以上はほしいところ。
ただ、事業内容によっては利益率が低くて当然の業種もあります。
たとえば原材料コストがかかる製造業や、薄利多売が基本の小売業などは、営業利益率10%でもかなり優秀なほうかもしれません。
ですので、同じ業界の中での稼ぐ力を他社と比較して検討するようにしましょう。
また成長途上の企業は設備投資や広告費などで最終利益が赤字になることも少なくないですが、これが黒字化したり、配当を出すようになると一気に株価が上昇します。
こうした将来にわたって稼げる銘柄を他の投資家に先回りして買い付けていくことがかなり大事ながポイントです。
テンバガーを見つける条件その6ーーPER・PSRが低く、株価が割安であること
事業の成長性や利益率の高さはもちろん大前提の上で、その銘柄の「割安度」も小型成長株投資にとって重要な指標になります。
有望な銘柄の場合、すでにたくさんの投資家に目を付けられ、業績に比べて株価がすでに割高になってしまっていることがあります。
一方、事業自体は順調なのに、相場環境が悪化して株価が下落し株価が割安のまま放置されていたりすると、何かのきっかけにそこから株価がリバウンドして急騰しやすくなります。
米国の不動産バブルがはじけて金融不安が広がった「リーマンショック」、全世界にコロナウイルスの感染者がまん延した「コロナショック」などは、国の財政・金融政策などの追い風もあり、底値から株価が急騰した企業が目立ちました。
こうした、株価が事業の成長度・順調度に比べて安い株や高すぎない株を「バリュー株」といい、投資対象とする大きな根拠になります。
世界一の投資家、ウォーレン・バフェット氏は、このバリュー株を見つけて長期保有することで、個人資産10兆円を超す巨大な資産をつくりました。
バリュー株かどうかを計る方法はいくつかありますが、中でも小型成長株の割安度をはかる代表的な指標は、「PER」と「PSR」の2つでしょう。
PER(Price Ernings Ratio)とは
「株価収益率(倍率)」のこと。計算式は「株価÷1株あたり利益」で、株価がひと株あたりの利益の何倍になっているかを計る指標です。大型株225社の平均株価である「日経平均」のPER平均が14倍程度なので、これより大きいと割高、小さいと割安と判断されたりします。これがすでに高い企業は期待先行で買われている可能性があるので要注意。一方で、売り上げや利益の成長度がPERより高ければ株価はどんどん伸びます。
PSR(Price to Sales Ratio)とは
「株価売上高倍率」のこと。計算式は「時価総額÷年間売上高」で、時価総額が年間の売上高の何倍になっているかを計る指標です。まだ利益が十分出ていなかったり赤字だったりする若い企業の場合、PERでは真の価値は計れないため、こちらの指標が使われることがあります。全業種の中央値は0.6倍前後で、PSR20倍以上であれば割高、0.5倍以下であれば割安と言われます。ただし、利益率が高い銘柄ほど割高に見え、利益率が低い銘柄ほど割安と見えてしまうので注意が必要です。
急成長する会社の場合、これらの指標があてはまらないことも多々ありますが、投資家が企業の割安度を知る重要な指標ですので、ぜひこの機会に覚えて目安としましょう。
これ以外にも割安度を測る様々な指標がありますが、テンバガーを探すための指標としては細かくなりすぎるため、ここでは割愛します。
テンバガーを見つける条件その7ーー社長が創業者であり、株式の役員保有比率が30%以上あること
自己資本比率のところで説明した通り、企業の成長には経営の健全性と自由度が必要です。
その際、どれだけ経営者に自由度があるか、言い換えればどれだけ決定権があるかは非常に重要です。強い決定権を持っていれば、事業の成長速度がぐっと高まるからです。
大きくなりすぎた企業やトップがサラリーマン社長の場合、とかく決定が遅くなるものですが、その点、トップが創業者なら、ある程度自分の決めた方向性でどんどんスピード経営が図れます。
その裏付けとなるのが、株式の保有利率です。
創業者はふつう一番株式数を保有する大株主であり、経営会議や株主総会でも最も決定権があるほか、稼げば稼ぐほど自分の利益になりますから、サラリーマン社長とはモチベーションが異なるわけです。もちろん自分が起こした事業なので、責任もあり、情熱も愛情もありますよね。
わたしたちグローバルファイナンシャルスクール(GFS)では、自己資本比率とは別に、社長やほかの経営陣が持っている株式の割合(=「役員保有比率」)も重要な指標と考えて教えています。
その際の目安となる「役員保有比率」は30%以上を理想としています。
役員保有比率は一般のスクリーニングツールでは調べるのが大変なので、会社四季報などを参照するとよいでしょう。
ちなみにグローバルファイナンシャルスクールには生徒専用のスクリーニングツール「GFSの眼」があり、役員保有比率も簡単に抽出できます(下記画像参照)。
経営陣の決定権について触れましたが、もちろんこれは経営陣が経営者として優秀であることが前提です。
状況判断もできず、需要動向もわからずに借金を重ねてイケイケで事業を拡大するだけでは、いずれ自滅するだけですから、経営陣には事業をいかに効率よく適切に回すかの能力も問われます。
そのあたりは投資初心者には判断しにくいところですが、これまでの経営者の発言や経営方針などを読み込み、多くの企業の動向や同業他社の方針と比較することで、こうしたことも判断できるようになっていきます。
そのためには、自分がその企業のオーナーであるという意識を持ち、経営陣が信頼できるかどうか、事業を任せておけるかどうかを考えることも大事です。
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第3章 テンバガー候補の見つけ方・探し方
ここまでテンバガーになる銘柄の特徴と条件を見てきましたが、こうした特徴や条件を持つ企業をどのように見つけたらいいでしょうか。
この章では、テンバガーの実際の見つけ方・探し方を考えていきましょう。
- 身の回りで目についた店舗、サービス、商品などから見つける
- ニュースやCMなどで気になった企業の中から見つける
- 「会社四季報」やスクリーニングツールで調べて見つける
以下、それぞれ詳しく説明していきます。
テンバガー候補の見つけ方その1ーー身の回りで目についた店舗、サービス、商品などから見つける
一番最初にテンバガーを日本に広めた『ピーターリンチの株で勝つ』という投資本を紹介しましたが、この中で著者のピーター・リンチは、
「テンバガーを見つけるには、まず自分の家の近くから始めることだ。裏庭になければ、商店街や、職場である。(中略)成功の最初の兆しは地域の至るところで見つけることができるはずだ」と書いています。
たとえばこんな経験をしたことがないでしょうか。
- できたばかりの店舗に長蛇の列ができている。
- スーパーでもう一度買いたいと思った商品がいつも売り切れ入荷待ちになっている。
- 便利なサービスを見つけいつの間にかどっぷり課金して利用している。
- 会社の出入り業者を変えたらサービスが格段によかった。
等々、、、
こうした状況や場面に出合ったら、ぼーっとしていてはダメ。
著者のリンチは「『こいつはいいぞ、株の方はどうなっているんだ』と思うチャンスが年に2、3回、あるいはそれ以上あるはずだ」と記しています。
この「株はどうなっている?」と常に考えることが思わぬテンバガー銘柄の発見につながります。
たとえば100円ショップでおなじみのセリア(証券コード2782)。
近所にできたお店にふらっと入った奥さんから、こんな情報を聞いたとします。
こんど駅前にできた100円ショップ、セリアっていうんだけど、安いのにけっこうかわいいグッズがたくさんあって女性客でにぎわってたよ。わたしもファンになっちゃった!
ここであなたが「安物買いの銭失いにならないようにしろよ」なんてくだらない小言を言っててはいけません。
へー、ダイソーは知ってたけど、その名前ははじめて聞くなあ。会社が上場してるか調べてみよう!
と、自分では知らない情報を教えてくれたことに感謝すべき。
そして調べた結果、店舗がどんどん増え、売り上げも利益も右肩上がり、なのに株価はまだ安いことがわかり、株式を買ったとします。
下はセリアの長期チャート。
奥さんから話を聞いたのが2012年4月(左の縦線)で、株価は600円ジャスト。ここで30万円投資して500株買ったとします。
(注意:セリアの株はのちに2分割されますが、話をわかりやすくするため、分割調整後の株価で計算しています)
すると5年後の2017年8月に株価は6,000円に到達。見事テンバガーを達成です!投資した30万円が300万円の資産に!
奥さんに宝石の1つでも買ってあげたくなるかもしれませんw
今はネット検索で会社の情報や株価がすぐ調べられる時代です。
いい商品や店舗の情報を聞きつけたら、その製造会社なり運営会社はどこかをつきとめ、検索窓に「(企業名) 株価」と入力する。
すると、ファイナンス系のページ案内がでてきて、会社の概要や株価チャートなどが簡単に見つかります。
無料でチャートや会社概要、業績を調べるならおすすめは、
が日本では双璧でしょう。ほかには
あたり(名前をクリックすると当該ページに飛びます)。
ほかにもご自身の口座を開設している証券会社でももちろん調べることができます。
通常こうした観察による有望株の発見は、ウォール街のアナリストより素人の方が速いとP・リンチ氏は書いています。
証券会社や機関投資家は、資金が大きすぎるため、こうした小規模な新興企業を相手に売買ができないからです。
そこに個人投資家の勝機があるわけです。
目にする商品やサービスから、だれよりも早く有望な銘柄を発掘する。これが「テンバガー探し」のだいご味でもありますね。
テンバガー候補の見つけ方その2ーーニュースやCMなどで気になった企業の中から見つける
身近なところに見つけられなくても、毎日テレビやラジオ、SNSでチェックしているニュースやその合間のCMなどがヒントになることもあります。
よく知られるのは、テレビ東京系の情報番組。
- 作家の村上龍と女優の小池栄子が司会を務める「ガイアの夜明け」
- 投資家向けの朝のニュース番組「モーサテ(モーニングサテライト)」
- 夜のニュース番組「WBS(ワールドビジネスサテライト)」
あたりは、投資家によく見られていて、番組内で取り上げらる企業の株価が翌朝急騰することも多々あります。
また最近よくテレビCMを見るなあというサービスや商品の会社を調べてみると、もうすでに株価が上がっていたなんてことも少なくありません。
高い広告料を払ってまでCMを打つのは、事業が軌道に乗っている証拠であり、知名度をここから一気に高めて業績を伸ばす前触れです。
多くの人がそのCM目にして話題になるころには、もう株価は高値圏となっているでしょうが、印象的なCMを見かけて間もないころならまだお値ごろかもしれません。
「どこの企業だろう、上場しているかな」と常にアンテナを張っておくことが、お宝銘柄に出くわすチャンスを高めるのです。
ただし、「最近メディアでよく見かけるようになった」「話題になっている」というだけではテンバガーにはなりません。
継続して事業が成長し続けられるかをよく吟味して、投資判断をしてください。
下記の記事では、株初心者が成功するためのポイントや陥りがちな失敗例を紹介していますので、これから株を始める方には参考になるかもしれません。
テンバガー候補の見つけ方その3ーー「会社四季報」やスクリーニングツールで調べて見つける
先ほどから何度か四季報オンラインを例示していますが、これは会社四季報を出版している東洋経済新報社が運営するネット版の四季報ページです。
「会社四季報」は日本の上場企業約3,800社分の情報をすべて収めた、日本株投資の必須アイテムです。
これをテンバガー銘柄発掘に活用するには、巻頭の様々なランキング(営業利益率や営業利益増額率、業績進捗率など)で業績が順調な銘柄を見つけ、銘柄の当該ページに飛んで詳細を確認するという使い方があります。
また銘柄のページは業種別に古い純に分類されているため、IT関連だけをざっと見たり、新規上場企業をまとめて見るときなど、辞典的に使うのに便利です。
街で見かけた店舗の会社やCMで気になっているあの会社を索引で探し、詳細を見るのもいいでしょう。
見方を覚えるまでは慣れるのが大変ですが、ここには銘柄ごとの業務内容や担当記者の寸評、四半期ごとの業績や来期の予想、PER、時価総額、自己資本比率などの各種指標などの情報がぎっしり詰まっており、一覧性に富んでいるのが特徴です。
一方、オンラインは、辞書のように細かい文字の書籍版と違い、活字を大きくして見ることができます。
また投資家向けのニュースやコラムなども充実していて、相場の状況やトレンド、最新の四季報の読みどころなども教えてくれます。
このオンライン版で一番紹介したいのが「スクリーニングツール」です。
スクリーニングとは、条件を入力することでそれに合う対象を絞っていく機能のこと。「ふるい分け」と訳すのが一番わかりやすいかもしれません。
このツールを使って、テンバガーの条件を入力していった結果、3,800社が100社ちょっとに絞られたという話を先にしました。
四季報オンラインのスクリーニングは、入力できる条件が960項目にもおよびます。
出てきた結果を気になる順番にそのまま四季報で調べていく、という便利な機能です。
ただし、この四季報のスクリーニングを使うには有料会員にならないといけません(プレミアムプラン税込月5500円)。
以下のサイトなら、無料で日本株のスクリーニングができます。
条件を入力するスクリーニングとしてはとても使いやすく、非常に優れたツールですのでぜひ使ってみてください。
先にも書いたとおり、わたしたちグローバルファイナンシャルスクールのサービスにも、生徒専用のスクリーニングツール「GFSの眼」がついています。
投資スクールでこれだけの機能を備えたスクリーニングツールを持っているところはほかになく、生徒からも大好評です。
人気講師おすすめのスクリーニング条件などをそのままクリックすることで、いちいち条件を入れずに有望銘柄を探すことも可能です(画面下)。
また、有望銘柄の探し方については無料の投資セミナー「GFSの無料特別講座」でも紹介しています。
こちらも30万人が受講している大人気セミナーです。ページ下の申し込みバナーをクリックすると公式の申し込みページに飛びます。ぜひこの機会に受講してみてください。
口座を開いている各証券会社のページにもスクリーニングがあるよ!
便利だよね!
テンバガー候補を見つけたらすべきこと
身近なところやテレビなどでいい銘柄を見つけても、すぐに買ってはいけません。
まずは1、2章で書いてきたテンバガーの条件に合うかどうかを必ずチェックすること。
商品やサービスが魅力的で、規模的に条件に合っても、実際の売り上げや利益の伸びがいまいちではテンバガーにはなりません。
すでに人気になってしまって、実力以上に株価が上がりすぎているということもありますので、そこはじっくり考える必要があります。
また、数値を示せるような「定量情報」だけでは投資判断は十分ではありません。
投資をするなら、数字に表れない「定性情報」にも目を配る必要があります。
たとえば、実際の製品やサービスの内容、経営者の人となり、その会社のふんいきや働きやすさ、社員の満足度などです。
まずはその企業のホームページを訪ねて、トップのあいさつなどを読んでみましょう。
次に同サイトの「IRコーナー」(投資家向けの情報を集めたページ)に行き、
- 投資家向けの説明資料
- 四半期ごとの決算短信
- 長期計画
- 各種発表資料
などを必ず読み込んでください。数字はもちろん、数字以外のところがいろいろと見えてきます。
いい銘柄を発見すると一刻も早く投資したくなり、冷静な判断ができなくなります。
そういうときは、一歩離れて、外からの客観的な意見も調べてみましょう。
社名を検索したり、「社名・社長名+インタビュー」で検索すると、過去に経済紙誌に掲載された会社の紹介やインタビューなどが出てきます。
また、証券会社の当該銘柄のページにいくと、アナリストがその会社について分析したレポートが掲載していることがあります。
こうしたものを参考に、いろいろな角度から会社を調べてから投資するかどうか判断することがとても大事です。
いいの見つけたと思ってもすぐ買っちゃダメなんだね!
ふんいきで買っちゃうと失敗しちゃうよ!
第4章 テンバガーを狙う投資の注意点・デメリット
テンバガー候補を探して有望な銘柄を見つけ、投資をすると決めた場合、知っておいてほしい注意点がいくつかあります。
「将来の10倍株候補を見つけた」と喜び勇んで投資すると、予期せぬ値動きなどで面食らうことにもなりますので、デメリットについてもぜひ覚えておいてください。
テンバガー投資のデメリット
- 値動きが激しい(リスクが大きい)
- 売買数が少ない(流動性が小さい)
- 話題の銘柄に安易に飛びつくと大けがをする
以下、詳細を解説していきます。
テンバガー投資のデメリットその1ーー値動きが激しい(リスクが大きい)
時価総額の小さい小型成長株は、豊富な資金力を持つ投資家が多めの売買注文をするだけで、上下に激しく値が動きます。
投資の世界では、価格が上にも下にも触れることを「リスク」と呼びますが、そのリスクが非常に大きいのが小型株の特徴です。
リスク(振れ幅)が大きいからこそ、リターンも大きくなるのです。
そのため、急に下落して損失になることも多くあります。
テンバガーは長期投資で狙うので、あまり日々の値動きを気にしすぎてはいけませんが、人によっては含み損が耐えられないという人もいるでしょう。
事前にどこまで損失を許容できるか、それを超えたらスパッと損切りするなど、ルールを決めておく必要があります。
テンバガー投資のデメリットその2ーー売買数が少ない(流動性が小さい)
上記内容とも関係しますが、低位株で放置されているような株の場合、1日の売買高がとても少ないことが多いです。
当たり前の話ですが、株式は売り手がいてはじめて買うことができ、買い手がいてはじめて売ることができます。
売買する人や株式数が少ないと、自分の好きな価格で取引できない可能性があります。
これを「流動性が小さい」などと言います。
たとえばまとめて500株購入しようと思っても、100株ずつ違う価格でしか売り手がいなければ、現在価格よりも高い値段で100株ずつ買い上げていかなければなりません。
逆に、すぐに500株を売却したいと思っても、今度は買い手が十分おらず、100株ごとに値段を下げて売らなければならないこともあります。
こうしたことを念頭に置き、まずは日々の変動に一喜一憂してすぐに売買しようとしないことが大事です。
テンバガーになるころには参加するプレーヤーも増え、流動性は高くなっているでしょう。
また望まない価格で売買したくないときはきちんと希望価格で取引する「指値(さしね)注文」をしましょう。
テンバガー投資のデメリットその3ーー話題の銘柄に安易に飛びつくと大けがをする
テレビ番組などで紹介され話題となった銘柄は、多くのほかの投資家も見ている分、買い注文が急増することがあります。
買い注文は通常、「いくらでもいい」という「成り行き注文」が「指値注文」より優先され、注文を出した順に約定していきます。
この際、売り手が出している指値価格をどんどん買い上げていく形で成り行き注文が約定していくことになりますので、もしあなたの注文がほかの人より遅かった場合、かなり値がつり上がってから約定する可能性があります。
このように急に人気になる銘柄の場合、場が始まって価格は急騰しますが、それを見て「空売り」を仕掛けてくる人や買った株をすぐに売って利確しようという人も大勢出てきます。
すると価格は下落し始め、高値でつかまされたあなたの株はみるみるうちに含み損が増えていきます。
売りは売りを呼び、似たような状況の人が次から次に売ることで、価格はどかんと急落します。
ここでうろたえて売ると(狼狽売り)、損切りとなって大きなマイナスをこうむることになります。
また損切りしなくとも、次に株価が上がってくるまでに相当な時間を要する場合、ずっと含み損を抱えて持ち続けなくてはならなくなります(塩漬け株といいます)。
話題になった銘柄に安易に飛びつくと、このように短時間で大きく損切りさせられたり、大きな含み損を長く抱えてしまう可能性があります。
10倍になる銘柄を狙うのに、一日の相場の上げ下げを気にしたり、買い遅れなどを気にする必要はありません。
いい銘柄だと思っても、すぐに飛びつかず、翌日~数日後、値動きが穏やかになるのを待ってから買うようにしましょう。
テンバガー投資のデメリットその4ーー急騰狙いのバイオ・ゲーム株は危険
テンバガーというと、投資初心者がつい手を出したくなる銘柄として、
- 創薬バイオ企業
- ゲーム開発企業
が挙げられます。これらの企業は、何かヒット製品を1つ出すと株価が一気に急騰するため、投資初心者に人気になりやすい。
でも、これらはテンバガーを狙うにはあまりにリスクが大きすぎ、資金の乏しいうちは手を出すのはやめておくのが無難です。
オススメできない理由は以下の通り。
- ゲームも薬も開発に膨大な資金と歳月が必要で、万年赤字である企業が多い。
- 資金調達のために新株を何度も発行し、結果的に既存の株式の価値を下げられる(希薄化する)。
- ヒットを生んでもそれが将来にわたって売上高を伸ばすとは限らず、すぐにまた赤字に戻る。
- すぐに大金を手にしたい投資家が信用取引(借金)で買っている割合が高く、株価が上がってもすぐ返済売りされてしまう。
- 同じ理由で、大口の機関投資家などから空売りを仕掛けられやすい。
難病を治療する新薬や世界的な大ヒットゲームを創り出すことはとても夢がありますが、一方でこれらは小型株の中でも相当にリスクが高いのがふつうです。
応援してそのヒットの恩恵にあずかりたい気持ちもあるのでしょうが、成功するのはほんのひとにぎり。
何年も株価が上がらない、あるいは下がり続ける可能性を考えたら、資金の乏しい投資初心者には逆にまったく向かないと考えるべきでしょう。
また、現物が急騰したからといって、それを担保に信用取引を利用して同じ株を買い増すのは絶対にやめてください。
現物と信用で同じ株を買うことを「信用二階建て」と言いますが、何かの理由でこの会社が暴落または倒産したとき、資産を失うだけでは済まず、大きな借金を背負って人生が大きく狂うことになります。
仮にそこまでではなくとも、現物の価格が下がることでこれまで信用買いできていた担保が足らなくなり、追加で証拠金が求められることになります。これを「追証=おいしょう」といいます。
創薬バイオやゲーム株はこの信用買いで一攫千金を狙う投資家が多いため、ひとたび急落するとこの「追証」が発生しやすく、株の投げ売りがさらに加速する原因にもなります。
テンバガーを狙うなら、まずはきちんと条件通りに売り上げ・利益を伸ばしている堅実な銘柄を買い、長く保有して資産を増やしていくこと。
投資資金は失敗してゼロになってもいい余裕資金を使い、リスクの大きさを念頭に置いて現物で少しずつ買うようにしましょう。
テンバガーに関するよくある疑問とその回答
最後にテンバガーに関する疑問についてお答えします。
今回取り上げるのは以下の3つです。
- テンバガー候補をスクリーニングする条件を教えてください。
- テンバガーと新NISAの関係は?
- 株価が100倍になることをなんと言いますか?
それでは、早速見ていきましょう。
テンバガー候補をスクリーニングする条件を教えてください。
まずは本記事の2章でも取り上げたテンバガーを見つける7つの条件を、そのままスクリーニングの条件として採用されるのがおすすめです。
あらためて、7つの条件を下記に記します。
- ①時価総額100億円以下
- ②株価800円以下
- ③上場10年以内の新興企業
- ④自己資本比率50%以上
- ⑤売上高や利益の伸び率、利益率が2ケタ以上
- ⑥PER・PSRが低く、株価が割安
- ⑦社長が創業者、かつ株式の役員保有比率が30%以上ある
使用するツールは有料のものが便利ではありますが、少し手間をかければ無料のツールを活用することでも上記条件に当てはまる銘柄を見つけることができます。
ぜひ実際に手を動かしながら探してみましょう。
テンバガーと新NISAの関係は?
まず、テンバガーと新NISAは全く異なる性質のもので直接的な関係はありません。
テンバガーは株価10倍を達成した株の通称で、新NISAは2024年にリニューアルされた少額投資非課税制度のことを指します。
よって、両者に何か関係性があるわけではないのですが、新NISAの成長投資枠を使って、テンバガーの可能性がある銘柄を保有することは、十分にメリットがある戦略です。
仮に狙いが当たって利益が出た場合、利益は1200万円までが非課税となります。
ただ、新NISAの成長投資枠の年間投資枠は240万円です。
1年間に購入できる枠に上限がある点には注意しましょう。
なお、これから投資を始める人にとって、年間240万円の成長投資枠は十分な金額と思います。
NISA制度のメリットをしっかり享受しつつ、テンバガーを狙う戦略を立ててみてはいかがでしょうか?
株価が100倍になる株のことをなんと言いますか?
あくまでも一般的な呼び方ではありませんが、一部では株価100倍を達成した株のことをハンドレッドバガーと呼ばれているそうです。
ちなみに、株価100倍を達成した銘柄で有名なものとしては、ヤフー(4689、現LINEヤフー)が挙げられます。
※当時ニュースなどでも大きく取り上げられたので、印象に残っている方も多いと思います。
他にも、ユニクロを運営しているファーストリテイリング(9983)も、達成に20年の歳月を要しましたが、ハンドレッドバガーに数えられます。
当然のことながら、テンバガーに比べハンドレッドバガーは、そうそう現れるものではないので、狙って当てるという性質のものではないことを留意してください。
ただ、もしも「これは」という企業を見つけたら、その時はまずは少額でもいいので投資してみるといいかもしれません。
ひょっとしたら、それは、千載一遇のチャンスになる可能性があります。
まとめ 夢のテンバガーのために正しい投資知識を
「テンバガー候補とその見つけ方」いかがだったでしょうか。
- テンバガーの特徴その1ーー業種別ではIT系銘柄が全体の35%超と圧倒的
- テンバガーの特徴その2ーー全体の7割が時価総額50億円未満、8割が100億円未満の小型株
- テンバガーの特徴その3ーー株価800円以下の低位株
重要ポイントを抜き出すなら、
- テンバガーになる銘柄には特徴があり、これを探すためには最初にテンバガーになる銘柄の条件を覚えておこう。
- ご近所や職場、テレビ番組などで話題の会社を常にチェックする習慣を持とう。探したら必ずテンバガーの条件に照らし合わせよう。
- テンバガーとなる小型株は流動性が小さく、リスクも大きいと理解して、話題の銘柄に安易に飛び乗るのはやめておこう。
という感じでしょうか。
この記事では取り上げませんでしたが、米国株にも相当値上がりした銘柄がゴロゴロしています。
代表的なのは、GAFAの名で知られるGoogle(社名はアルファベット)、Apple、Facebook(現社名はメタプラットフォームズ)、Amazonなど。
時価総額世界トップ10に名を連ねる超大型となっており、これらをまだ安いうちに買っておけば、テンバガーどころか何百倍、何千倍になりました。
たとえば日本でもおなじみのECサイト、Amazon。下は約20年の長期チャートです。
筆者がAmazonを「便利だなあ」と思ってここで本を買い始めたのが2003年ごろ。このときの株価は1株16ドル弱ほど(2022年に株式20分割しているため、チャートでは調整後の0.78ドルになっています)でした。
そこから7年後の2010年10月、見事にテンバガー達成!さらに地球規模で顧客が増えるに従って株価は急上昇し、もし現在まで保有していたら176ドル(分割前換算3,520ドル)になり、ざっと225倍になりました。
もし仮に16ドルのときに100株買っていたとしたら、1,600ドルの投資が36万ドルに!
為替も購入当時よりかなり円安に振れていますので、買った当時が1ドル115円、現在が1ドル145円で計算すると、18万4,000円がざっと5,000万円超にふくらんだことになります。
ただ、これらの銘柄を無名の時代に探して購入するのは、日本人にはハードルが高すぎます。
日本株とは条件がかなり異なってくるほか、資料を英語で読み込まなければならなかったり、せっかくいい企業を見つけても小さな会社は日本の証券会社では株式が買えなかったりします。
それでも買ってみたい人、英語のIRや資料が読み込める人は、挑戦してみてもいいと思います。
グローバルファイナンシャルスクールで上級編の講師をしている個人投資家エル氏の『米国株投資で1億円』(ダイヤモンド社)は参考文献としてとてもオススメです(タイトルか表紙画像をクリックするとAmazonページに飛びます)。
日本の小型株投資の名著も紹介しておきましょう。
これもGFSで上級編講師をつとめる個人投資家、堀哲也氏のロングセラー『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』(日本実業出版社)です。
上の本も含めたオススメの投資本の紹介記事もあわせて参考にしてみてください。
テンバガー探しはとても大変ですが、その銘柄探しには小型株投資の基礎がつまっていて投資知識としてもかなり有益です。
見聞きするいろいろな銘柄を調べて、ぜひノウハウを身に着けてほしいと思います
その際、独断におちいらず、実際に成功した個人投資家のノウハウをきちんと学んでみることが大切です。
グローバルファイナンシャルスクールには2万人を超える生徒が在籍し、2000以上の講義動画を好きなときに視聴して自由に投資の勉強をしています。
その中にはテンバガー探しの講義や、成功した投資家たちによる小型株投資の講義もいろいろあり、ノウハウをおしげもなく披露しています。
興味のある方は、まずは投資の基本が無料で学べる下記の『投資の達人になる投資講座』を受講してみてください。
投資の勉強方法もアプローチも人ぞれぞれです。
でも何も勉強せずに投資で成功することはまず不可能です。
しっかり投資の基礎を身に着けて、あなたも夢のテンバガーを手にしましょう!
欲張りすぎて失敗しないようにね!
あたしはダブルバーガーでおなかいっぱい!
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