
暑い夏こそ気になる「ニオイ」、芳香剤・消臭剤市場に注目
暑さや湿気が厳しい夏は、汗や体臭、衣類の生乾き臭、トイレ、生ゴミ、ペットなど、日常生活のさまざまな場面でニオイが気になりやすい。こうした悩みを手軽に解決してくれるのが芳香剤・消臭剤である。近年は、単純に嫌なニオイを消すだけでなく、香水のような香りを楽しめる商品や、インテリアになじむデザイン、衣類やクローゼットなど用途を細分化した商品も増えている。今回は、人気の芳香剤・消臭剤を紹介するとともに、小林製薬、エステー、花王といった関連する上場企業に注目。身近な生活用品を切り口に、各社の商品戦略や市場の最新動向を探っていく。
| 企業名 | 証券コード | 市場 | 芳香剤・関連ブランド/事業 | 関連度 |
|---|---|---|---|---|
| エステー | 4951 | 東証プライム | 「消臭力」「SHALDAN」「脱臭炭」など | ★★★★★ |
| 小林製薬 | 4967 | 東証プライム | 「消臭元」「Sawaday」など芳香・消臭剤 | ★★★★★ |
| 花王 | 4452 | 東証プライム | 「リセッシュ」など消臭・芳香関連商品 | ★★★★☆ |
| ライオン | 4912 | 東証プライム | 「ソフラン」など衣類用消臭・香り関連商品 | ★★★☆☆ |
| アース製薬 | 4985 | 東証プライム | 「お部屋のスッキーリ!」「消臭ピレパラアース」など | ★★★★☆ |
| 高砂香料工業 | 4914 | 東証プライム | 香料・フレーバーなど、芳香剤メーカーへの原料供給 | ★★★☆☆ |
| 順位 | 商品・ブランド | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 消臭元 ZERO 無香料 | 小林製薬 | 無香料タイプの定番。ニオイを香りで隠さず消臭 |
| 2位 | サワデー 香るStick | 小林製薬 | スティックタイプで香りを楽しむ芳香剤 |
| 3位 | お部屋の消臭力 | エステー | 部屋用の定番消臭芳香剤。香りの種類も豊富 |
| 4位 | 消臭力 Premium Aroma | エステー | 高級感のある香りを楽しめるシリーズ |
| 5位 | 消臭元 SAVON | 小林製薬 | せっけん系の清潔感ある香りが特徴 |
芳香剤・消臭剤の人気ベスト5!暑い夏のニオイ対策で注目集まる定番商品と最新トレンド
汗や湿気、生ゴミ、トイレ、玄関、衣類など、夏になると普段以上に気になるのが「ニオイ」である。2026年の夏も厳しい暑さが続くなか、芳香剤・消臭剤は単にイヤなニオイを消すだけの商品から、「心地よい香りで空間を演出する」商品へと進化している。実際、2026年8月時点でも、室内用、トイレ用、衣類用、車用など用途別の商品が数多く販売されており、選択肢はますます広がっている。2025年10~12月のTrue DataのID-POSデータをもとにした「室内用芳香・消臭・防臭剤」の購入個数ランキングでは、小林製薬とエステーの商品が上位を占めており、両社のブランド力の強さがうかがえる。
ここでは、同ランキングをベースに、現在の市場で人気を集める芳香剤・消臭剤のベスト5を紹介したい。なお、ランキングは「室内用芳香・消臭・防臭剤」の購入個数を基準にしたもので、トイレ用や衣類用などを含むすべての芳香・消臭剤市場の総合ランキングではない点には注意したい。
第5位は、小林製薬の「消臭元 SAVON」である。せっけんをイメージした清潔感のある香りが特徴で、強い香りで空間を覆うというより、日常生活になじみやすい香りを求める層に支持されている。小林製薬は「消臭元」だけでなく「サワデー」や「無香空間」など、芳香・消臭分野で幅広いブランドを持つ企業である。同社は現在も芳香消臭剤を主要な製品カテゴリーの一つとして展開しており、身近なニオイ対策市場で存在感を維持している。
第4位は、エステーの「お部屋の消臭力 Premium Aroma アーバンリュクス」。ここで注目したいのが、近年の芳香剤市場で「消臭性能」だけでなく「香りの質」が重視されるようになっている点である。以前の芳香剤は、トイレや玄関などのイヤなニオイを消すことが主目的だった。しかし現在は、リビングや寝室など、人が長時間過ごす場所に置く商品として、インテリアとの相性や香水のような上質な香りが求められるようになった。エステーが「Premium Aroma」シリーズを展開していることは、この市場変化を象徴している。
第3位には、エステーの「お部屋の消臭力 寝室用アロマカモミール」が入った。寝室という用途に特化している点が特徴で、単純な消臭から「過ごす場所に合わせて香りを選ぶ」という使い方への変化を感じさせる商品である。リビングには爽やかな香り、玄関には清潔感のある香り、寝室には落ち着いた香りというように、部屋ごとに異なる商品を使い分けるスタイルも定着してきた。
第2位は、小林製薬の「サワデー 香るStick パルファムノアール 詰替」である。スティックタイプの芳香剤は、液体を入れたボトルにスティックを挿して香りを広げる仕組みで、見た目にもこだわった商品が多い。従来型の置き型芳香剤と比較すると、インテリアの一部として置きやすいことも人気の理由といえる。香りを楽しみながら部屋を演出したいというニーズを取り込んだ商品であり、芳香剤が「生活用品」から「香りのインテリア」へと広がっていることを示す存在だ。
そして第1位は、小林製薬の「消臭元 ZERO 無香料 詰替」である。ランキングでは、香りを付けるタイプではなく「無香料」がトップになったことが興味深い。芳香剤市場というと、華やかな香りの商品が人気というイメージがあるが、実際には「香りでごまかさず、ニオイそのものを抑えたい」という需要も根強い。特に料理や生ゴミ、ペット、タバコなど、複数の生活臭が混ざる家庭では、別の香りを重ねることを避けたいというニーズもある。消臭と芳香は同じカテゴリーに入っていても、消費者が求める価値は必ずしも同じではないのである。
一方、2026年に入ってからの市場を見ると、商品開発の方向性にはさらに変化が出ている。エステーは2026年4月、「消臭力 Premium Aroma」から数量限定の「アンダー ザ シー」を発売した。玄関・リビング用、トイレ用、スティックタイプを展開し、爽やかなライムやウォータリーな清涼感を意識した香りとしている。スティックタイプではフレグランスオイルを濃密に配合し、香水瓶を思わせるガラス容器を採用するなど、機能性だけではなくデザイン性も打ち出している。
さらにエステーは2026年秋に向け、「消臭力Épure(エピュア)」という新ラインも投入する。20代後半~30代の共働き女性をメインターゲットに、生活空間になじむシンプルなデザインと上質な香りを提案。イノセントフローラル、ザ・ティーラウンジ、ピースフルウッドの3種類を用意し、高純度リサイクルガラスを容器に採用している。従来の「ニオイを消す商品」という芳香剤のイメージから、インテリアやライフスタイルに合わせて選ぶ商品へと進化させようとしていることが分かる。
また、2026年の夏は室内だけでなく、衣類や車内などのニオイ対策にも注目が集まっている。猛暑になると汗をかく機会が増え、衣類や寝具、車内などにもニオイがこもりやすくなる。エステーは2026年2月にドライタイプの衣類用消臭スプレー「消臭力 NOTE 衣類用スプレー」を発売し、7月には「消臭力 NOTE クローゼット用」からペパーミント&ベルガモットの香りを投入するなど、空間だけでなく衣類周辺へと商品領域を広げている。
トイレ用についても人気は高い。2025年の販売動向を見ると、エステーの「トイレの消臭力スプレーアクアソープ」が売上シェア1位となり、無香料タイプやラベンダーの香りなど同ブランドの商品が上位を占めた。小林製薬の「トイレの消臭元」やP&Gの「ファブリーズトイレ用」、アース製薬の「トイレのスッキーリ!」なども上位に入っており、用途別に各社がしのぎを削っている。
消費者にとっては、目的に応じて商品を選ぶことがポイントになる。部屋全体の生活臭を抑えたいなら置き型、すぐにニオイを消したいならスプレー、香りをインテリアとして楽しみたいならスティックタイプ、ニオイそのものを残したくないなら無香料タイプが選択肢になる。2026年8月現在も、専門媒体では置き型消臭剤やトイレ用消臭剤、衣類用消臭スプレーなどの比較記事が相次いで更新されており、消費者の選択肢は非常に多い。
芳香剤・消臭剤市場を企業という視点から見ると、特に注目されるのが小林製薬とエステーである。今回の室内用ランキングでは小林製薬が1位、2位、5位、エステーが3位、4位に入り、上位5商品のすべてを両社が占めた。 つまり、身近なドラッグストアやスーパーで何気なく購入している芳香剤の背後には、長年にわたって香りや消臭技術を磨いてきた上場企業の競争がある。
今後は、単純な「消臭力の強さ」だけでなく、香りの質、デザイン、持続性、環境への配慮、用途別の細分化などが商品選びの重要なポイントになりそうだ。特に猛暑や湿度の上昇によってニオイ対策需要が高まりやすい夏場は、芳香剤・消臭剤の存在感が増す時期である。無香料で徹底的にニオイを抑えるのか、好みの香りで空間を彩るのか。2026年の芳香剤・消臭剤市場は、こうした二つのニーズを取り込みながら、さらに多様化していきそうである。
小林製薬と芳香剤・消臭剤――「消臭元」30周年で進化するニオイ対策の現在地
暑さが本格化する夏は、汗や生ゴミ、トイレ、靴、ペットなど、日常生活のさまざまな場面で「ニオイ」が気になりやすい季節である。特に2026年は猛暑が続き、室内の換気やニオイ対策への関心も高まりやすい。こうした身近な悩みに応える商品として定着しているのが芳香剤・消臭剤であり、その代表的な企業の一つが小林製薬である。同社は「消臭元」「Sawaday」「無香空間」など幅広いブランドを展開し、芳香・消臭分野で長年にわたり存在感を発揮してきた。
なかでも「消臭元」は、2025年に発売30周年を迎え、2026年には大幅なリニューアルが行われた。1995年10月に誕生して以来、家庭のニオイに向き合ってきたブランドであり、現在ではトイレ用、お部屋用、無香料、香り重視、ペット用、車用など、用途や生活シーンに合わせて多様な商品をそろえている。小林製薬によれば、2026年3月5日から発売された新しい「トイレの消臭元」「お部屋の消臭元」では、消臭フィルターをデコボコ加工に変更し、ニオイの吸着力を高めたほか、消臭成分や処方も見直している。新たに「アップル&ミント」「エアリーガーデン」の香りも加わった。
このリニューアルで注目したいのが、芳香剤に求められる価値が「香り」だけではなく、「消臭性能」そのものへと広がっている点である。芳香剤という言葉からは、部屋に好みの香りを漂わせる商品をイメージしやすい。しかし、消費者が本当に解決したいのは、料理、汗、トイレ、ゴミなどから発生する不快なニオイであるケースも多い。そこで小林製薬は、香りを楽しむ商品と、香りを付けずにニオイを消す商品を並行して強化している。
その象徴が「消臭元ZERO」である。2024年に登場した無香料タイプの「消臭元ZERO」は、化学的に消臭できる悪臭の種類が同社の無香料エアゾールで最も多いことを特徴としている。そして2026年3月には、「消臭元ZEROスプレー無香料」を発売した。小林製薬の調査では、家庭内のニオイに悩む人の89.3%が「今すぐに消したい」という即時性を求めているという。そこで、置き型タイプで日常的なニオイに対応しながら、突発的なニオイにはスプレーを使う「二段構え」の消臭スタイルを提案している。
一方で、すべての消費者が「無香料」を求めているわけではない。芳香剤市場では、香水やアロマのように香りそのものを楽しみたいという需要も根強い。小林製薬が展開する「Sawaday 香るStick」は、そのニーズを取り込んだ代表的な商品である。スティックから香りを広げるタイプで、トイレの消臭剤という従来型のイメージを超え、リビングや玄関などの空間を香りで演出する商品へとカテゴリーを広げている。小林製薬の現在の製品ラインアップでも、「Sawaday 香るStick」「Sawaday 香るStick グランパルファム」「Sawaday 香るStick パルファム」「Sawaday 香るStick La Bouquet」など、多彩なシリーズが並ぶ。
さらに2026年は、季節に合わせた香りの提案も目立っている。7月23日から数量限定で発売されたのが、キンモクセイとギンモクセイをテーマにした商品群である。「トイレ/お部屋の消臭元 キンモクセイの香り」や「消臭元パルファム キンモクセイ/ギンモクセイ」に加え、「Sawaday 香るStick パルファム キンモクセイ/ギンモクセイ」も展開している。特にギンモクセイでは、プラムやムスク、ウッディなどを組み合わせた香調や、フルーティー、ミュゲ、ムスクを調和させた香りを提案しており、単なる「消臭剤」ではなく、香水に近い感覚で香りを選ぶ市場を意識していることが分かる。
また、香りの好みが細分化するなかで、「清潔感」をテーマにした商品も存在感を高めている。2026年4月に発売された「消臭元SAVON 心はなやぐ優雅なホワイトソープ」は、洗いたてのような清潔感を意識した香りを特徴とする。SAVONシリーズは2023年に登場し、簡単に詰め替えできる仕様も支持を集めてきたという。2026年にはホワイトソープの香りを追加し、「流行を超えて愛されるクラシックな清潔感」を打ち出している。
小林製薬の芳香・消臭事業を考えるうえで、もう一つ見逃せないのが「無香空間」である。名前の通り香りで覆い隠すのではなく、無香料でニオイ対策をしたい消費者に向けたブランドで、現在も同社の芳香・消臭・脱臭剤カテゴリーを支える存在となっている。2026年には無香空間のウェブ動画も展開されており、長年の定番商品でありながら、継続的に情報発信が行われている。
消費者にとって小林製薬の商品を選ぶメリットは、ニオイの発生場所や目的に合わせて細かく選べる点にある。部屋全体なら「お部屋の消臭元」、トイレなら「トイレの消臭元」、香りを楽しみたいなら「Sawaday 香るStick」、香りを残したくないなら「消臭元ZERO」や「無香空間」、外出先で手軽に使いたいなら「1滴消臭元」という具合である。「1滴消臭元」は20mLの商品で、トイレ使用後などにたった1滴を落として消臭するタイプであり、家庭だけでなく外出先でも使える手軽さが特徴だ。
2026年8月現在の小林製薬を見ると、芳香剤・消臭剤は単なる生活雑貨ではなく、暮らしの快適性を高めるための重要な商品カテゴリーになっていることが分かる。高気密化した住宅では空気がこもりやすく、在宅時間が長くなれば生活臭を意識する機会も増える。さらに夏場は高温多湿によって汗や生ゴミなどのニオイが気になりやすく、消臭需要が高まりやすい。
「消臭元」が30周年を迎えたことも、ブランドの強さを示す象徴的な出来事である。30年間、家庭のニオイに向き合いながら、フィルター、消臭成分、香り、容器、用途などを改良してきた。そして現在は、無香料で徹底的に消臭する方向と、香水のような香りを楽しむ方向の両方へ進化している。
芳香剤・消臭剤という身近な商品を通じて見ると、小林製薬の強みは「ニオイ」という日常的な困りごとを細かく分析し、生活シーンごとに商品を提案してきた点にある。今後も猛暑や住宅環境の変化、香りに対する価値観の多様化などを背景に、消臭性能だけでなく、香り、デザイン、使いやすさ、環境への配慮などを含めた競争が激しくなるだろう。2026年の「消臭元」30周年は、長年の定番ブランドが新たなニオイ対策市場へ踏み出す節目として、芳香剤・消臭剤業界を考えるうえでも注目される動きである。
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エステーと芳香剤・消臭剤――「消臭力」を軸に進化するニオイ対策市場の現在地
暑さと湿気が厳しくなる夏は、汗や生ゴミ、トイレ、靴、衣類など、日常生活のさまざまな場所でニオイが気になりやすい季節である。芳香剤・消臭剤は、こうした身近な悩みを手軽に解決する生活用品として定着しているが、その市場では近年、「ただニオイを消す」だけではない商品が増えている。消臭性能に加え、香りの質やデザイン、使う場所との相性、さらには環境への配慮まで、消費者が求める価値は多様化している。そんな芳香剤・消臭剤市場を代表する企業の一つがエステーである。
エステーといえば「消臭力」のブランドを思い浮かべる人も多いだろう。同社は「消臭力」を中心に、部屋用、トイレ用、車用、衣類用など、さまざまなニオイ対策商品を展開している。特に国内の消臭芳香剤市場では高いシェアを持ち、2025年の国内消臭芳香剤市場において、エステーの「消臭力」などのブランドが大きな存在感を示している。同社によると、2025年の国内消臭芳香剤市場における同社シェアは31%で、1位となっている。(st-c.co.jp)
「消臭力」の強みは、用途の幅広さにある。部屋に置くタイプだけでなく、トイレ用、スプレータイプ、車用などを取りそろえており、「どこで、どんなニオイを消したいのか」という生活者の具体的な悩みに対応している。例えば、部屋の生活臭を継続的に抑えたい場合には置き型タイプ、トイレを使用した直後のニオイにはスプレータイプ、車内には車用というように使い分けができる。こうした「用途別」の商品展開は、消臭剤を生活のさまざまな場面に浸透させるうえで大きな役割を果たしてきた。
一方で、芳香剤市場では「消臭力の強さ」だけではなく、「どんな香りを楽しむか」という価値も重要になっている。エステーが力を入れているのが「消臭力 Premium Aroma」シリーズだ。2026年4月には数量限定の「アンダー ザ シー」を発売し、玄関・リビング用、トイレ用、スティックタイプを展開した。ライムやウォータリーな清涼感を意識した香りで、暑い季節に合う爽やかな印象を打ち出している。スティックタイプではフレグランスオイルを濃密に配合し、容器にもガラス素材を採用するなど、香りとデザインの両面でプレミアム感を演出している。
この動きは、芳香剤そのものの位置付けが変化していることを示している。かつてはトイレや玄関に置いて不快なニオイを抑える「消臭用品」というイメージが強かったが、現在ではリビングや寝室など、人が長く過ごす空間を心地よくする「香りのアイテム」としての役割も強くなっている。特にスティックタイプは、ボトル自体がインテリアになりやすく、香水やアロマオイルに近い感覚で選ばれるケースもある。エステーは「消臭力」を単なる消臭ブランドにとどめず、「香りを楽しむ」という市場へ広げようとしているのである。
2026年秋には、さらに新しいブランド「消臭力Épure(エピュア)」を投入する。20代後半から30代の共働き女性をメインターゲットとし、生活空間になじむシンプルなデザインと上質な香りを特徴としている。香りは「イノセントフローラル」「ザ・ティーラウンジ」「ピースフルウッド」の3種類を展開し、容器には高純度リサイクルガラスを採用する。従来型の消臭剤とは異なる、インテリア性を重視した商品設計となっており、今後の芳香剤市場を占う商品としても興味深い。
エステーの新商品戦略を見ていると、「ニオイを消す」から「空間をデザインする」へという市場の変化が見えてくる。住宅やインテリアへの関心が高まるなか、消臭剤だけが生活感のあるデザインでは、置き場所を選んでしまう。そこで、リビングの棚や玄関、洗面所などに置いても違和感のないデザインの商品が求められるようになっている。芳香剤を隠すのではなく、あえて見せるという発想への転換である。
さらに、2026年の夏に注目したいのが衣類やクローゼット周辺のニオイ対策である。エステーは2026年2月にドライタイプの衣類用消臭スプレー「消臭力 NOTE 衣類用スプレー」を発売し、7月には「消臭力 NOTE クローゼット用」にペパーミント&ベルガモットの香りを追加した。暑い季節は汗をかきやすく、衣類や寝具、クローゼットなどにニオイがこもりやすい。従来の「部屋」「トイレ」「車」という市場だけでなく、衣類や収納空間へ消臭ニーズを広げている点は注目される。
消費者にとっても、エステーの商品を選ぶ際には「何を目的に使うのか」を考えることがポイントになる。部屋の生活臭を継続的に抑えたいなら置き型、急なニオイをすぐに消したいならスプレー、香りを楽しみたいならPremium Aromaのスティックタイプ、衣類やクローゼットならNOTEシリーズというように、用途に合わせて選択肢が用意されている。芳香剤・消臭剤は比較的手軽に購入できる商品だからこそ、生活シーンに合わせた使い分けがしやすい。
また、芳香剤市場では「無香料」と「香り付き」の両方に需要があることも重要である。香りで空間を演出したい人がいる一方、料理やペットなどのニオイを香りで覆いたくない人もいる。エステーは強い香りを楽しむ商品だけでなく、消臭を重視する商品も展開しており、幅広い消費者ニーズに対応している。これは芳香剤と消臭剤が一つのカテゴリーにまとめられながらも、実際には異なる価値観を持つ市場であることを示している。
エステーは2026年3月期において、エアケア事業の売上高が216億円となり、全社売上高の45%を占めている。エアケアは同社の主力事業であり、「消臭力」を中心とした芳香・消臭商品が企業の成長を支える重要な存在となっている。
今後の芳香剤・消臭剤市場では、消臭性能、香り、デザイン、持続性、環境対応など、複数の価値をどのように組み合わせるかが競争のポイントになりそうだ。エステーが「消臭力」を長年の定番ブランドとして維持しながら、「Premium Aroma」や「Épure」「NOTE」といった新しい提案を積極的に展開していることは、その変化を象徴している。
身近なドラッグストアやスーパーで手軽に購入できる芳香剤・消臭剤だが、その背後では消費者の生活スタイルや香りへの価値観の変化を捉えた商品開発競争が繰り広げられている。2026年の夏は特に暑さと湿気によるニオイ対策が重要になるだけに、「消臭力」をはじめとするエステーの商品群は、日々の暮らしを快適にする身近な存在として、改めて注目されそうである。
花王と芳香剤・消臭剤――「リセッシュ」から見る消臭市場の進化と香りの新潮流
暑さと湿気が厳しい夏になると、汗や衣類、寝具、部屋干しなど、身の回りのさまざまな「ニオイ」が気になりやすくなる。特に2026年の夏は、気温の上昇によって消臭対策への関心が一段と高まりやすい。芳香剤・消臭剤市場では、単に嫌なニオイを抑えるだけでなく、衣類や空間を快適に保つ機能、好みの香りを楽しむ価値など、商品の役割が広がっている。こうした市場で存在感を発揮しているのが花王である。同社は「リセッシュ」をはじめ、衣類・布製品の消臭、空間のニオイ対策、洗濯時の香りなど、幅広い領域で商品を展開している。
花王の消臭関連商品を代表するブランドが「リセッシュ」である。リセッシュは衣類や布製品などに使用する消臭スプレーとして知られており、外出後の衣類、ソファ、カーペット、布団など、洗濯が難しいものを手軽にケアできる点が特徴だ。消臭剤というと、トイレや玄関などに置いて空間のニオイを抑える商品を思い浮かべる人も多いが、リセッシュは「ニオイの付着した布製品」という別の需要を開拓してきた。
花王は2026年にもリセッシュの商品展開を続けており、消臭だけでなく香りや衣類ケアといった複数の価値を組み合わせている。汗や体臭、料理臭、タバコ臭など、生活のなかで衣類に付着するニオイは一度つくとなかなか取りにくい。毎回洗濯できない衣類や大型の布製品も多いため、スプレーするだけで手軽にケアできる商品には一定の需要がある。特に暑い季節には、外出から帰宅した際の衣類や寝具などに使用する機会も増えるだろう。
消臭剤市場の特徴は、「ニオイを消す」という目的が同じでも、ニオイの発生場所によって求められる商品が異なる点にある。例えば、エステーや小林製薬が強みを持つ置き型の室内用・トイレ用消臭剤は、空間に継続的に作用することが重視される。一方、花王のリセッシュは、衣類や布製品に直接使用できる点が大きな特徴である。つまり花王は、芳香剤・消臭剤市場のなかでも「布製品の消臭」という領域を軸に独自のポジションを築いてきたといえる。
そして近年の消臭市場で見逃せないのが、消臭と香りを両立させたいという需要である。消費者のなかには、嫌なニオイを消したうえで、ほのかに心地よい香りを残したいという人も少なくない。香水のように強い香りを求める人がいる一方で、「清潔感のある香り」「洗いたてのような香り」など、生活空間や衣類になじむ香りを好む人も多い。花王はこうした需要に対して、洗剤や柔軟剤などの香り商品とも組み合わせながら、トータルで衣類のニオイや香りをケアする提案を行っている。
花王の強みは、消臭剤単体ではなく、洗濯用洗剤、柔軟剤、衣料用漂白剤、衣類ケア用品など、生活者の「洗う」「仕上げる」「香らせる」「消臭する」という一連の行動に関わる商品を幅広く持っていることだ。消臭スプレーだけでなく、洗濯の段階からニオイを抑えるという発想を取り入れられるのは、総合日用品メーカーならではの強みである。
特に夏場は、汗や皮脂が衣類に付着しやすく、洗濯物を室内に干す機会も増える。高温多湿な環境では生乾き臭も発生しやすく、消費者にとって「ニオイ」は衣類ケアの大きな課題になる。そのため、消臭スプレーだけでなく、洗濯洗剤や柔軟剤などを組み合わせたニオイ対策への需要が見込まれる。花王にとって消臭市場は、単独の商品カテゴリーではなく、洗濯・衣類ケア事業との相乗効果を期待できる領域でもある。
また、消費者の価値観の変化も市場に影響している。以前は「消臭=嫌なニオイをなくす」という機能性が最重要だったが、現在は「清潔に見せたい」「心地よい香りにしたい」「外出先でも手軽にケアしたい」といった感覚的な価値も重視されている。衣類を着る前、外出後、食事の後、来客前など、使用するタイミングも多様化している。消臭剤は「臭くなったら使うもの」から、「ニオイを予防し、快適な状態を維持するためのアイテム」へと変化しているのである。
花王という企業を考えるうえでは、こうした消臭関連商品を単なる生活雑貨として見るのではなく、同社が持つ幅広い日用品事業とのつながりに注目したい。花王は洗剤、柔軟剤、ヘアケア、スキンケア、衛生用品など多様なカテゴリーを持つため、消臭という一つのニーズを起点に複数の商品へ接点を広げることができる。例えば、衣類のニオイ対策を考える消費者は、洗剤や柔軟剤、漂白剤、消臭スプレーなどにも関心を持ちやすい。こうした商品間の相乗効果は、総合日用品メーカーの大きな強みである。
一方で、芳香剤・消臭剤市場は競争が激しい。小林製薬の「消臭元」、エステーの「消臭力」、P&Gの「ファブリーズ」など、強力なブランドが数多く存在する。特に室内用の置き型消臭剤ではエステーや小林製薬が高い存在感を持つ。そのため花王は、リセッシュを軸に「衣類・布製品の消臭」という得意領域をさらに深掘りし、洗濯関連商品との連携によって独自性を高めることが重要になる。
今後の消臭市場では、消臭性能だけでなく、香り、持続性、使いやすさ、用途別の細分化、環境への配慮などが重要なテーマとなるだろう。特に暑さが厳しくなる日本の夏では、汗臭や生乾き臭などへの対策需要は根強い。さらに在宅勤務やライフスタイルの多様化によって、自宅で過ごす時間が長くなれば、部屋や寝具、衣類など身の回りのニオイを意識する機会も増える。
芳香剤・消臭剤という身近な商品を入り口に花王を見ると、「リセッシュ」に代表される消臭用品だけでなく、洗濯、衣類ケア、香りなど、生活者の快適さに関わる幅広い事業とのつながりが見えてくる。嫌なニオイを消すだけでなく、清潔で心地よい暮らしをつくる――。消臭市場のニーズがその方向へ進むほど、総合日用品メーカーである花王の持つ商品群との相性は高まっていきそうだ。2026年の夏も、暑さや湿気によるニオイ対策が注目されるなか、「リセッシュ」をはじめとする花王の消臭関連商品は、毎日の暮らしを支える身近な存在として改めて注目されるだろう。
まとめ――「消す」から「楽しむ」へ、進化する芳香剤・消臭剤
芳香剤・消臭剤市場では、従来の「嫌なニオイを消す」という機能に加え、「好きな香りを楽しむ」「空間をおしゃれに演出する」「衣類や寝室など場所ごとに使い分ける」といった新たなニーズが広がっている。小林製薬は「消臭元」や「Sawaday」、エステーは「消臭力」、花王は「リセッシュ」を中心に、それぞれ異なる強みを生かして市場を開拓している。特に2026年は猛暑によるニオイ対策需要が見込まれる一方、香りやデザイン、環境への配慮なども商品選びの重要なポイントになりそうだ。毎日の暮らしに欠かせない身近な商品だからこそ、今後も各社の商品開発と市場競争から目が離せない。




