
高齢化と家族の変化で「見守り」が身近なサービスに
少子高齢化や単身世帯の増加、家族の遠距離化などを背景に、「見守りサービス」への需要が高まっている。かつては家族や近所の人が直接様子を確認することが一般的だったが、共働き世帯の増加や地域コミュニティーの変化によって、従来型の見守りだけでは対応しにくくなっている。そこで注目されるのが、警備会社による緊急対応型のサービスや、IoT・センサーを活用したデジタル型の見守りである。ALSOKやセコム、ソルクシーズなどは、それぞれの強みを生かして見守り市場に参入している。高齢者の安心を支えるだけでなく、離れて暮らす家族の不安を軽減するサービスとして、見守りは令和の社会に欠かせない存在になりつつある。
| コード | 企業名 | 主な見守り関連サービス・事業 |
|---|---|---|
| 2331 | ALSOK(綜合警備保障) | HOME ALSOK みまもりサポート、みまもりタグ |
| 9735 | セコム | セコム・ホームセキュリティ、セコムみまもりホン、ココセコム |
| 9740 | セントラル警備保障 | 高齢者向け見守り・ホームセキュリティ |
| 7965 | 象印マホービン | みまもりほっとライン |
| 4284 | ソルクシーズ | 見守り支援システム「いまイルモ」 |
| 7522 | ワタミ | ワタミの宅食「みまもりサービス」 |
「見守りサービス」とは何か?令和の今、需要が高まる理由と市場を取り巻く環境
「見守りサービス」と聞くと、離れて暮らす高齢の親の安否を確認するサービスを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、令和の時代における見守りサービスは、それだけにとどまらない。高齢者の安否確認から、子どもの位置情報、防犯、介護、認知症対策、住宅管理、さらにはIoTやAIを活用した生活状況の把握まで、その範囲は大きく広がっている。
背景にあるのが、少子高齢化と世帯構造の変化である。内閣府の「令和8年版高齢社会白書」でも、一人暮らしの高齢者を取り巻く環境や、社会とのつながりの重要性が取り上げられている。高齢者だけでなく、家族や地域による支援が難しくなるなか、見守りは「あると便利なサービス」から、家族だけでは支えきれない生活を補完する社会インフラへと役割を広げつつある。
見守りサービスを簡単に説明すれば、「離れて暮らす人や、日常生活で支援が必要な人の状態を確認し、異常があった場合に家族や第三者へ知らせるサービス」である。代表的なのは高齢者向けサービスだ。自宅に設置したセンサーが人の動きを検知したり、電気ポットなどの家電の利用状況を家族に通知したり、一定時間動きがなければ警備会社などに連絡したりする仕組みがある。警備会社の場合は、異常を検知した際にスタッフが現場へ駆けつけるサービスも提供されている。
一方、最近ではスマートフォンやGPSを利用した見守りも一般化している。子どもにGPS端末を持たせ、保護者が位置情報を確認するサービスはその代表例である。警察庁も子どもの登下校時の安全確保を重要な防犯対策として位置付けており、地域による見守り活動とデジタル技術を組み合わせることで、安全確保の選択肢は広がっている。
現在の見守り需要で特に大きいのが、高齢者の安否確認である。なかでも「離れて暮らす親をどう見守るか」という問題は、多くの家庭にとって身近なテーマになっている。子ども世代が都市部で働き、親が地方で暮らすという家族構成は珍しくない。以前であれば、近所の人や親族が日常的に様子を確認するケースも多かったが、人口減少や地域コミュニティーの希薄化によって、それが難しくなっている。
さらに、単身高齢者の増加も見守り需要を押し上げる要因である。内閣府の高齢社会白書では、一人暮らしの高齢者が増加していることが示されている。家族と同居していれば異変に気付いてもらえる可能性があるが、一人暮らしでは体調の急変や転倒、認知機能の低下などに周囲が気付きにくい。そのため、離れて暮らす家族に代わって日常生活を確認する仕組みへのニーズが高まっている。
見守りサービスの大きな変化が、デジタル技術の活用である。従来型の見守りでは、家族や地域住民、介護職員などが直接訪問して確認する必要があった。しかし、人手不足が深刻になるなか、すべての高齢者を人の手だけで見守るのは難しい。そこで、センサー、スマートフォン、GPS、通信機器、AIなどを組み合わせた仕組みが注目されている。
例えば、部屋にセンサーを設置して一定時間動きがなければ通知する、冷蔵庫や電気ポットなどの利用状況から普段と違う生活パターンを検知する、GPSによって外出先を確認する、スマートスピーカーを通じて声をかける、といった方法である。内閣府の令和8年版高齢社会白書でも、スマートスピーカーを活用した高齢者の見守りやオンライン診療の事例が紹介されている。
こうしたデジタル型の見守りには、見守られる側の負担が小さいというメリットがある。カメラによる常時監視にはプライバシーへの抵抗感がある一方、センサーや家電の利用状況などを利用する方式なら、比較的自然な形で生活状況を把握できる。今後はAIの進化によって、「異常が起きてから知らせる」のではなく、「普段と違う」という変化を早期に発見する方向へ進むことも期待される。
もっとも、見守り需要は高齢者だけではない。共働き世帯の増加によって、子どもの登下校や習い事への移動を確認したいというニーズも存在する。GPS端末やスマートフォンを利用すれば、保護者が子どもの現在地を確認できる。保護者が仕事中で子どもの帰宅を直接確認できない場合でも、位置情報サービスを活用することで安心感を得られる。
また、防犯という観点でも見守りサービスは重要である。子ども、高齢者に加えて、認知症の人や一人暮らしの人など、外出時の安全確認が必要な人は多い。位置情報を把握できる端末や、異常時に連絡できる通信機器などは、家族の不安を軽減する手段となる。
介護との関係も見逃せない。見守りは、必ずしも要介護状態になった人だけが必要とするものではない。「まだ本格的な介護サービスを利用するほどではないが、一人暮らしには少し不安がある」という高齢者に対するサービスとしても重要性を増している。
例えば、毎日の食事を届けながら安否を確認する宅食サービスは、その典型である。単なる食品配送ではなく、人が自宅まで訪問すること自体が見守りになる。センサーでは分からない「今日は少し元気がない」「いつもと様子が違う」といった変化を、人が感じ取れる可能性もある。このため、今後の見守り市場では、デジタルと人によるサービスが競合するのではなく、両者を組み合わせる形が重要になるだろう。
住宅市場との関係も強まっている。単身高齢者が増えると、高齢者が安心して暮らせる住まいをどう確保するかという問題も大きくなる。賃貸住宅では、大家側が孤独死などへの不安から高齢者の入居に慎重になるケースもある。そこで、入居後の見守りや生活支援を組み合わせることで、高齢者と住宅所有者双方の不安を減らす仕組みが求められている。
さらに、身元保証や入院・入所手続き、死後事務などまで含めた「高齢者等終身サポート」への需要も拡大している。単身高齢者が増えることで、家族が担ってきた役割を民間サービスや地域社会が補完する必要性が高まっているからだ。見守りはこうしたサービスの入口としても機能する可能性がある。
今後の見守りサービスに求められるのは、単純な安否確認から一歩進んだ機能である。「倒れてから通知する」のではなく、「最近、生活リズムが変わった」「外出が減った」「普段と違う行動が増えた」といった変化を把握し、早期に家族や介護事業者へ知らせることが重要になる。
その実現には、IoT、AI、クラウド、通信技術などが欠かせない。ただし、技術だけで見守りが完結するわけではない。異常を検知した後に誰が対応するのかという点も重要である。通知を受けても家族が遠方にいれば、すぐに駆けつけることはできない。そのため、警備会社、介護事業者、自治体、宅配事業者、地域住民などとの連携が、今後の市場拡大のカギになると考えられる。
令和の見守りサービスは、単なる監視サービスではない。高齢者本人にとっては「住み慣れた自宅で暮らし続けるための安心」、家族にとっては「離れていても親の状況を把握できる安心」、社会にとっては「限られた人手で高齢者や子どもの安全を支える仕組み」という役割を持つ。
少子高齢化、単身世帯の増加、共働き世帯の増加、地域コミュニティーの変化、人手不足、介護負担の増大――これらは見守りサービスの需要を押し上げる要因となる。特に今後は、センサーやGPSだけではなく、AIやIoT、通信、警備、介護、宅食などを組み合わせた複合型サービスが増えていくだろう。
見守りは「何かあったときのため」のサービスから、「何もない日常を維持するため」のサービスへと変化している。家族だけで高齢者や子どもの安全を支えることが難しくなるなか、テクノロジーと人の力を組み合わせた見守りサービスは、これからの日本社会において、安心を支える重要なインフラの一つになっていくと考えられる。
ALSOKの「みまもりサポート」に注目 高齢化社会で広がる「見守り」の役割
少子高齢化や単身世帯の増加を背景に、「見守りサービス」への関心が高まっている。離れて暮らす親の安否を確認したい、万一のときにはすぐに対応してほしい、できるだけ長く住み慣れた自宅で暮らしてほしい――。こうした家族のニーズに応えるサービスの一つが、綜合警備保障(ALSOK)の「HOME ALSOK みまもりサポート」である。
警備会社といえば、防犯や現金輸送などのイメージが強い。しかし、社会の変化とともに警備会社の役割は広がっている。現在では、犯罪や火災などの「万一」に備えるだけでなく、高齢者の生活を支える「日常の安心」も重要な事業領域となっている。ALSOKの「みまもりサポート」は、こうした事業領域の広がりを象徴するサービスといえる。
「HOME ALSOK みまもりサポート」は、高齢者の自宅に設置した機器などを通じて、緊急時の通報や安否確認を支援するサービスである。体調が急変した場合や転倒した場合などに、本人が緊急ボタンを押すことでALSOKへ通報できる。状況に応じてガードマンが現場へ駆けつける仕組みも用意されている。
高齢者本人にとって大きいのは、「何かあったときに助けを呼べる」という安心感である。特に一人暮らしの場合、転倒や体調急変が起きても、自分で電話をかけることが難しいケースがある。専用機器を利用して簡単な操作で助けを求められることは、日常生活における安心につながる。
一方、サービスの価値は高齢者本人だけにとどまらない。離れて暮らす家族にとっても、親の生活を見守る手段となるからだ。
かつては、子どもが親の家に頻繁に電話をしたり、定期的に帰省したりすることで安否を確認するケースが多かった。しかし、現代では仕事や子育てなどで頻繁に帰省することが難しい。親と子が同じ地域に住んでいるとは限らず、東京と地方、あるいは日本国内の遠隔地で暮らすケースも珍しくない。
こうした「家族は心配しているが、毎日直接確認することはできない」というギャップを埋めるのが、見守りサービスである。家族による見守りを完全に代替するのではなく、家族の目が届かない時間や距離を補完する役割を担っている。
ALSOKの強みは、単に異常を検知して知らせるだけではない。警備会社として長年培ってきた「異常が発生した後の対応力」を持っていることが特徴である。センサーや通信機器によって異常を把握できても、その後に誰が現場へ行くのかという問題は残る。家族が遠方に住んでいる場合、すぐに駆けつけることは難しい。
そこで、警備会社のネットワークを活用して、必要に応じてガードマンが現場へ駆けつけるという仕組みが意味を持つ。見守りサービスにおいて重要なのは「知らせること」だけではなく、「知らせた後に対応できること」だからである。
また、ALSOKは警備サービスを全国規模で展開していることから、見守りを単独のサービスとしてではなく、ホームセキュリティーや防犯、災害対策などと組み合わせて提供できる点も強みとなる。高齢者の家庭では、防犯だけでなく、火災や急病、住宅内での事故など複数のリスクが存在する。それらを一つのサービス体系でカバーできれば、利用者にとっての利便性も高まる。
高齢化が進む日本では、こうしたサービスの潜在需要は大きい。内閣府の高齢社会白書でも、高齢者人口や一人暮らしの高齢者を取り巻く課題が重要なテーマとなっている。高齢者が増えるだけでなく、家族と同居しない高齢者が増えていることが、見守り需要を押し上げる要因となっている。
特に注目されるのが、地方に暮らす高齢者である。地方では人口減少が進み、地域コミュニティーの担い手も減少している。以前なら近所の住民が自然に声をかけたり、異変に気付いたりすることができた地域でも、人口減少によってそうした関係が維持しにくくなっている。
その結果、「家族」「地域」「民間サービス」を組み合わせた見守り体制が重要になっている。ALSOKのような民間企業が提供するサービスは、こうした社会構造の変化を補完する存在といえる。
さらに、見守りサービスは介護との関係でも重要性を増している。高齢者の生活を支える方法は、介護施設に入居することだけではない。できるだけ長く自宅で暮らしたいと考える人も多く、在宅生活を支える仕組みの充実が求められている。
見守りサービスは、その在宅生活を支える「安心」の部分を担う。介護そのものを提供するわけではなくても、緊急時の連絡や安否確認ができれば、高齢者本人や家族が感じる不安を軽減できる。
ここにALSOKが警備会社から「生活の安心を提供する会社」へと事業領域を広げる意味がある。防犯という従来の警備需要だけでなく、高齢者の見守り、介護、防災など、人々の日常生活に存在するさまざまなリスクを対象にすることで、新しい需要を取り込むことができる。
今後は、こうした見守りサービスにIoTやAIなどのデジタル技術がさらに組み込まれる可能性もある。例えば、室内のセンサーから得られる情報を分析し、普段とは異なる生活パターンを検知する仕組みなどである。
重要なのは、異常が起きてから対応するだけではなく、「普段と違う」という変化を早期に把握することである。外出が極端に減った、生活リズムが変わった、一定時間動きがないといった情報を活用できれば、事故や体調悪化の早期発見につながる可能性がある。
一方で、見守りサービスの普及にはプライバシーへの配慮も欠かせない。高齢者の生活状況を把握するサービスだからこそ、どのような情報を取得するのか、誰がその情報を見るのか、どのように管理するのかといった点が重要になる。利用者本人がサービスの仕組みを理解し、納得したうえで利用できる環境づくりが求められる。
また、見守りサービスを導入すればすべての問題が解決するわけではない。異常を知らせる仕組みと、実際に対応する人や組織との連携があって初めてサービスとしての価値が生まれる。ALSOKのように、異常発生時の駆けつけまで含めてサービスを提供できる企業は、この点で存在感を発揮しやすい。
ALSOKにとって「みまもりサポート」は、高齢化という社会課題を事業機会につなげるサービスの一つである。警備という既存事業との親和性が高く、ホームセキュリティーや防犯といった従来のサービスから、介護や生活支援に近い領域へ事業を広げる役割も持つ。
日本では今後も高齢化が進み、家族だけで高齢者を支えることが難しくなる場面が増えていくと考えられる。働き方や家族構成も変化し、「親の近くに住んで毎日様子を見る」という従来型の家族による見守りが難しくなっているからだ。
そうした社会で求められるのは、家族の代わりになるサービスではなく、家族の「手が届かない部分」を補完するサービスである。「HOME ALSOK みまもりサポート」は、まさにその需要を捉えたサービスといえる。
警備会社の役割は、犯罪から人や財産を守ることだけではなくなりつつある。高齢者が安心して暮らし、離れて暮らす家族も安心できる環境をつくることも、これからの「安全・安心」の重要なテーマとなる。高齢化、単身世帯の増加、人手不足という社会環境を考えれば、ALSOKの「みまもりサポート」のような見守りサービスは、今後ますます身近な存在になっていくだろう。
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セコムと「見守りサービス」――高齢化社会で広がる「安心を届ける」ビジネス
少子高齢化や単身世帯の増加を背景に、「見守りサービス」への需要が高まっている。かつて見守りといえば、家族が電話をしたり、近所の人が様子を確認したりすることが中心だった。しかし、家族構成や働き方が変化した現在では、家族だけで高齢者や子どもの安全を確認することが難しくなっている。そこで注目されているのが、警備会社などが提供する民間の見守りサービスである。
その代表格の一つがセコムである。セコムはホームセキュリティーをはじめ、防犯、火災監視、救急対応など幅広いサービスを展開しており、こうした既存の安全・安心の仕組みを高齢者の見守りにも活用している。セコムにとって見守りは、警備サービスの延長線上にあるだけでなく、高齢化という社会構造の変化を取り込む事業領域でもある。
セコムの高齢者向けサービスでは、離れて暮らす家族に代わって、日常生活の安心を支える仕組みが用意されている。例えば「セコム・ホームセキュリティ」では、親の見守りを意識したサービスが提供されており、急病やけがなどの緊急時に通報できる仕組みや、必要に応じてセコムが対応する体制が整えられている。
見守りサービスの大きな特徴は、「何かあったとき」に備えられることである。一人暮らしの高齢者の場合、突然体調を崩したり、転倒したりしても、近くに助けを求められる人がいるとは限らない。電話をかけることさえ難しい状況も想定される。そのため、簡単な操作で緊急事態を知らせられる仕組みは、本人にとって大きな安心となる。
そして、こうしたサービスは高齢者本人だけでなく、その家族にとっても重要な意味を持つ。親が地方に住み、子どもが都市部で暮らしているケースでは、毎日のように様子を見に行くことは難しい。電話だけでは「本当に大丈夫なのか」と不安が残る一方、毎日確認することも現実的ではない。そこで、警備会社による見守りサービスが、家族と親の間をつなぐ役割を果たす。
セコムの強みは、単に異常を知らせる機器を提供するだけではない点にある。警備会社として長年培ってきた監視・通報・緊急対応のノウハウを持っているため、異常を検知した後の対応まで含めてサービスを設計できる。見守りにおいて重要なのは「知らせる」ことだけではなく、「知らせた後に誰が対応するのか」という部分である。
例えば、センサーが異常を検知して家族に通知したとしても、家族が遠方に住んでいればすぐに現場へ向かうことはできない。その点、警備会社が現場対応まで担える仕組みは、デジタル機器だけでは実現しにくい価値を持つ。セコムが全国規模で展開してきた警備ネットワークは、見守り事業においても重要な基盤となる。
見守り市場が注目される最大の理由の一つが、高齢者の単身世帯の増加である。内閣府の高齢社会白書でも、一人暮らしの高齢者が増加していることが示されている。高齢者人口そのものが増えるだけでなく、家族と同居しない高齢者が増えることで、「誰が日常生活を確認するのか」という問題が大きくなっている。
以前は、同じ地域に暮らす親族や近所の住民が高齢者の様子を自然に確認することも少なくなかった。しかし、人口減少や都市への人口集中などによって地域コミュニティーは変化している。さらに、子ども世代も仕事や子育てを抱えており、親の見守りに十分な時間を割くことが難しい。こうした社会環境が、民間の見守りサービスに新たな需要を生み出している。
また、見守りサービスは介護との関係でも重要性を増している。高齢者が一人暮らしを続けるためには、介護サービスだけでなく、防犯、緊急対応、生活支援などさまざまな仕組みが必要になる。見守りサービスはその中でも比較的導入しやすく、介護が必要になる前段階から利用できる点が特徴である。
つまり、見守りサービスは「介護を受ける人のため」だけのサービスではない。「元気に暮らしているものの、一人暮らしには少し不安がある」という高齢者にとっても意味がある。本人が自宅での生活を続けたいと考えたとき、その安心を支える仕組みとして見守りサービスの役割は大きくなる。
セコムはこうした需要を、従来のホームセキュリティーと組み合わせることで取り込むことができる。高齢者の家庭では、体調急変だけでなく、火災や侵入などさまざまなリスクが存在する。防犯と見守りを一体化することで、「高齢者の生活を総合的に守る」というサービスへ発展させることが可能になる。
さらに、今後はデジタル技術の進化も見守りサービスの形を変えていく可能性がある。センサーや通信機器、スマートフォンなどを活用すれば、家族が離れた場所から高齢者の生活状況を確認できる。AIを活用すれば、単純な異常検知だけでなく、「普段と違う生活パターン」を把握することも可能になるだろう。
例えば、普段は毎日外出している人が何日も外出していない、一定時間以上室内で動きがない、生活リズムが大きく変化したといった情報を検知できれば、体調不良などの兆候を早期に発見できる可能性がある。見守りサービスは「事故が起きてから対応する」仕組みから、「異変を早期に発見する」仕組みへ進化する余地を持っている。
一方で、見守りサービスの普及にはプライバシーへの配慮も欠かせない。高齢者の生活状況を把握する以上、どのような情報を取得し、誰がその情報を確認するのかという問題がある。特にカメラなどを利用する場合には、監視されているという心理的な抵抗感も考えられる。そのため、利用者のプライバシーを尊重しながら、必要な情報だけを取得するサービス設計が重要になる。
また、デジタル技術だけで見守りを完結させることにも限界がある。異常を検知した後、実際に誰が対応するのかという問題が残るからだ。ここでセコムのような警備会社の存在価値が高まる。センサーや通信によって異常を把握する「デジタル」と、必要な場合に人が現場へ向かう「リアル」を組み合わせられることが、警備会社型の見守りサービスの強みとなる。
今後の市場では、見守りサービス単体ではなく、介護、医療、住宅、宅食、防犯などとの連携も進む可能性がある。例えば、見守りによって異変を検知した後、家族や警備会社だけでなく、介護事業者や医療機関などにつなげることができれば、より包括的な高齢者支援につながる。
セコムにとって見守りサービスは、社会課題を事業機会に変える意味でも重要である。防犯需要だけを対象とするのではなく、「安全に暮らしたい」「家族を安心させたい」という幅広い需要を取り込むことで、警備会社としての事業領域をさらに広げられるからだ。
高齢化が進む日本では、今後も「離れて暮らす親をどう見守るか」という問題が大きくなる。家族がすべてを担うのではなく、テクノロジーや民間サービスを活用して支える時代になっている。セコムの見守りサービスは、その変化を象徴する存在の一つといえる。
警備会社の役割は、犯罪や火災から人を守ることだけではなくなっている。高齢者が住み慣れた自宅で安心して暮らし、離れて暮らす家族も安心できる環境を提供することも、現代の「安全・安心」の重要なテーマとなっている。少子高齢化、単身世帯の増加、家族の遠距離化、人手不足という社会環境を考えれば、セコムのような企業が提供する見守りサービスは、今後さらに存在感を高めていく可能性がある。
ソルクシーズと「いまイルモ」――IoTで変わる高齢者見守り、広がる安心のカタチ
少子高齢化や単身世帯の増加を背景に、家族だけでは支えきれない「見守り」を民間サービスで補う動きが広がっている。かつての見守りといえば、家族が電話をしたり、近所の人が訪問したりすることが中心だった。しかし現在は、センサーや通信、クラウドなどのデジタル技術を活用し、離れた場所から生活状況を把握する仕組みが登場している。
こうした「デジタル見守り」の代表的なサービスの一つが、ソルクシーズが展開する「いまイルモ」である。ソルクシーズは金融系システム開発などを手掛けるIT企業だが、IoTを活用した見守りサービスにも取り組んでいる。IT企業が見守りという社会課題に取り組む背景には、高齢化とテクノロジーの融合という大きな市場環境の変化がある。
「いまイルモ」は、室内に設置したセンサーなどを通じて、高齢者らの生活状況を見守ることを目的としたシステムである。人の動きや温度、湿度、照度などの情報を取得し、離れた場所にいる家族などが生活状況を確認できる仕組みを採用している。カメラによって映像を常時確認するタイプではなく、センサーから得られる情報を活用する点が特徴となっている。
見守りサービスにおいて重要なのは、「監視」と「見守り」の違いである。高齢者の生活を守るためとはいえ、四六時中カメラで生活を撮影されることに抵抗を感じる人は少なくない。本人のプライバシーを尊重しながら、異変があったときには家族が気付ける仕組みが求められている。
センサーを利用する方式であれば、生活の細かな映像を確認する必要がない。例えば、人の動きがあるか、室温がどの程度なのか、普段と比べて生活パターンに変化がないかといった情報から、離れて暮らす家族が状況を把握できる。これは、高齢者本人のプライバシーと家族の安心を両立させる手段の一つとなる。
こうしたサービスの需要が高まる最大の背景は、高齢者の単身世帯が増えていることだ。日本では高齢化が進む一方、子ども世代が親と同居するケースは減少している。子どもが都市部で働き、親が地方で一人暮らしを続けるといった家族構成も珍しくない。
電話やメールだけであれば、親が元気にしているかどうかを正確に判断するのは難しい。本人が「元気だ」と答えていても、実際には体調が悪化している可能性がある。また、体調急変や転倒などが起きた場合には、そもそも電話に出られないことも考えられる。
そこで、本人が何か特別な操作をしなくても、日常生活の情報から状況を把握できる見守りサービスに意味が生まれる。「いまイルモ」のようなサービスは、家族が直接訪問できない時間や距離を補完する存在として期待される。
見守りサービスの価値は、「何か起きたことを知らせる」だけではない。普段の生活を継続的に把握することで、「いつもと違う」という変化に気付ける可能性がある点も大きい。
例えば、普段は朝から活動している人が、ある日だけ長時間動いていない。いつも一定の生活リズムだった人の行動が大きく変化した。室温が異常に高くなっている――。こうした情報を家族が把握できれば、電話をかけたり、近隣の人に様子を見てもらったりするきっかけになる。
つまり、デジタル見守りは、家族の「気付き」を支援するサービスでもある。すべてを自動的に判断してくれるわけではないが、離れて暮らす家族が異変を察知するための情報を提供することができる。
ここには、ソルクシーズがIT企業であることの強みも表れている。見守りサービスは、単純にセンサーを設置するだけでは成立しない。センサーから取得したデータを通信し、クラウド上で管理し、必要な人が確認できるようにするためには、システム開発やデータ処理などのIT技術が必要になる。
IoTとは、さまざまなモノをインターネットにつなげ、情報を収集・活用する仕組みである。見守りは、そのIoTが社会生活の中で活用される分かりやすい分野の一つといえる。
さらに今後は、AIとの組み合わせによって見守りサービスの価値が高まる可能性もある。現在の見守りでは、人がデータを確認して異変に気付く場面も多いが、AIを活用すれば、過去の生活パターンと比較して異常度を判定するといった仕組みも考えられる。
重要なのは、単純な「動いた・動いていない」という情報から、より高度な「普段と違う」を検知することである。例えば、毎日決まった時間に起きていた人の活動開始時間が大きくずれた場合や、外出が急激に減った場合など、生活パターンの変化を検知できれば、体調変化の早期発見につながる可能性がある。
もちろん、こうした技術には課題もある。高齢者の生活データを扱う以上、プライバシーや情報管理への配慮は欠かせない。また、センサーが異常を検知したからといって、必ずしも病気や事故が起きているとは限らない。誤検知への対応や、異常が発生した際に誰が現場を確認するのかという体制も重要になる。
この点では、IoT型の見守りサービスと警備会社などのリアルな対応サービスを組み合わせる余地も大きい。センサーが異常を検知し、その情報を家族や警備会社などに通知し、必要に応じて人が現場へ向かう。デジタルとリアルを組み合わせることで、より実効性の高い見守り体制を構築できる。
また、見守りサービスの対象は高齢者だけに限定されない。子どもの見守りや、介護施設、医療・福祉施設などでもIoTの活用余地はある。さらに、今後は一人暮らしの高齢者だけでなく、日中は一人で過ごす人や、家族が遠距離に暮らしている家庭などにも需要が広がる可能性がある。
見守りサービス市場の拡大を後押しするのが、人手不足である。介護や福祉の現場では人材確保が大きな課題となっており、すべてを人手だけで支えることは難しくなっている。だからこそ、センサーやAIなどを活用して、人が対応すべき場面を効率的に絞り込むことが重要になる。
「すべてを機械に任せる」のではなく、「機械が人を支援する」という考え方が、今後の見守りでは重要になるだろう。異常がない時間帯はセンサーが生活状況を把握し、異常の可能性が高まった場合に家族やスタッフへ知らせる。こうした仕組みは、人手不足を補いながら安全を確保する方法として期待できる。
ソルクシーズにとって、「いまイルモ」は単なる一つのIoTサービスではなく、IT技術を社会課題の解決につなげる事業の一例でもある。金融系システムなどを手掛けてきたIT企業が、高齢化という日本社会の大きな課題に対してIoT技術を活用することで、新たな事業領域を開拓している。
今後、日本では高齢者の増加に加え、単身世帯の増加、家族の遠距離化、地域コミュニティーの変化などが進むとみられる。こうした環境では、「誰かがそばにいて見守る」という従来型の仕組みだけでは対応が難しくなる。
その穴を埋める存在として、センサー、通信、クラウド、AIなどを組み合わせたデジタル見守りへの期待は高まっていくと考えられる。
見守りとは、単に高齢者の安否を確認することではない。「その人がいつもの生活を続けられているか」を確認し、異変があれば早期に気付くための仕組みである。ソルクシーズの「いまイルモ」は、こうした見守りのデジタル化を象徴するサービスの一つといえる。
高齢化と人手不足という二つの社会課題が同時に進む日本において、テクノロジーを活用した見守りの重要性は今後さらに高まるだろう。家族だけでは届かない距離をIoTでつなぎ、必要なときには人が支える――。そんな新しい見守りの形が広がれば、離れて暮らす家族の安心と、高齢者が住み慣れた場所で暮らし続けるための環境づくりの両方に貢献することが期待される。
まとめ:人とテクノロジーで支える「令和の見守り」
見守りサービスは、単に高齢者の安否を確認するだけのものではない。警備会社による駆けつけ、IoTセンサーによる生活状況の把握、宅食を通じた訪問など、その形は多様化している。今後はAIやIoTの進化によって、「異常が起きてから対応する」だけでなく、「普段と違う変化を早期に発見する」サービスへと進化していく可能性もある。一方で、デジタル技術だけですべてを解決するのではなく、家族や地域、警備、介護などを組み合わせることも重要だ。高齢化や人手不足が進む日本において、人とテクノロジーの力を組み合わせた見守りは、これからの暮らしを支える重要な社会インフラになっていくだろう。




