リスク軽減に最適なはずなのに・・・分散投資に孕むデメリットとは?

より安全な投資手法として、ビギナートレーダーに推奨されることの多い『分散投資』。簡単に言うと、投資先と資金を分散させて運用することでリスクを抑え、安定したリターンが見込めるという投資テクニックのことです。

しかし、そのメリットばかりが取り上げられる一方で「デメリットはないのか?」と疑問を持っている方も少なくないと思います。何せ投資に絶対はない訳で、どれだけリスクヘッジしても、工夫も虚しく損失を出してしまうことも十分にあり得るからです。ここでは、分散投資に孕むデメリットについてをメインに、良い点や分散投資の効果・効率を上げる手法について紹介していきます。

分散投資に潜む4つのデメリット

『卵を一つのカゴに盛ると、落とした時に全て割れてしまう恐れがある一方で、一つのカゴに一個ずつ卵を入れるとそのリスクを抑えることができる』つまり、特定の金融商品に一点集中するよりも、いくつかの商品に散らして投資する方がリスクを抑えることができる。

分散投資の仕組みとメリットを大まかに言うならそういうことです。しかし、本当にリスク軽減に効果があるのでしょうか? さらに、あまり聞かれないデメリットはあるのか? 簡単に紹介すると・・・

①管理するのがとても大変

②資産の流動性リスクが大きくなる

③短期的な効果が薄い

④コストがかかってしまう

デメリットは以上の4点になります。では、個々に詳しく見ていきましょう。

①管理するのがとても大変

単純なことかもしれませんが、分散投資は資産を複数の投資先に分散して運用する手法です。つまり、投資した銘柄分だけ管理しなければならなくなります。つまり、ほったらかしたままにしておくと、利益が出ている絶好のタイミングで売却できないなんてことも起こる得るということです。

とは言え、株式投資や投資信託の場合はその程度の手間で済みますが、不動産や保険商品を運用している場合はもう少し厄介で、状況を確認するために担当の営業マンへマメに連絡する必要があるため、物件を分けていくつも分散すると、かなり手間がかかってしまいます。金融商品であれ、現物資産であれ、管理する時間的余裕がないと中々手を出しにくい手法と言えるでしょう。

②資産の流動性リスクが大きくなる

言わずもがなですが、金融商品を手放すタイミングは「価値が上がった時」です。今が売り時なのかもしれないと思うタイミングが訪れたら、迷わず売却手続きを考えるもの。しかし、金融商品は売り注文を出せばすぐに買い手が見つかる訳とは言えません。

つまり、買い手が現れなければ理想的なリターンは得られず、結果として価格を下げて手放すという羽目になってしまったなんてこともあるでしょう。比較的価格変動リスクが低い国債などの商品を選ぶのも手だと思いますが、いくつかの商品を分散して保持するのであれば、少なからず流動性リスクを抱えることになるのは念頭におくべきです。

③短期的な効果が薄い

いきなり結論を言ってしまうと、分散投資は短期で大きく稼ぐことが難しく、どちらかと言うと長期間かけて運用益を獲得する方が適した手法だと言われています。

さらに、投資をしていると価格が上下する度に一喜一憂し、今売ってしまわないと元本割れしてしまうかもしれないなどと都度不安になり、気もそぞろになってしまうものです。しかし、短期的に価格が上下したとしても、10年や20年といったスパンで見ると結果的に大きく値を上げているものも多くあります。そもそも分散することで得られるリターンは一点集中投資よりも少ないのは明白で、時間をかけてコツコツ運用益を出していかないと意味がありません。

④コストがかかってしまう

金融商品を売買する際は、金融機関が個々に設定した手数料がかかります。一般的に対面よりもネットの方が安いとされていますが、取引ごとに手数料が発生するコースや、月額制のものなど、コースによっても様々です。また、投資信託の場合だと以下3種の手数料がかかります。

⚫︎販売手数料・・・購入額の数%が販売手数料として徴収される。ノーロード型なら販売手数料はかからない

⚫︎信託報酬・・・保有資産の額に応じて一定率徴収される。保有期間中の運用費や保管管理費といった意味合いがある

⚫︎信託財産留保額・・・商品によって換金時に換金代金から徴収されるもの。徴収額が投資信託に留保される

つまり、購入する商品がどれであれ、保有している分だけ手数料がかかってしまいます。必要経費として割り切ることができても、実費としてかかってしまう以上、手数料で赤字になってしまっては本末転倒です。確固たる運用計画がないと、多数商品への分散は自身の首を絞めてしまいかねません。

分散投資の3大メリット

前章では分散投資のデメリットについて解説していきましたが、何も全否定するつもりはありません。リスクヘッジとして有効であることは確かだからこそ、多くの有識者が勧め、多くのトレーダーが実践しているのです。そこで同章では、分散投資が持つ「具体的なメリット」についてフォーカスしていきます。良し悪しの両側面を知り、自身に向いているのかどうか、しっかり考えてみることをおすすめします。そして、主なメリットとして挙げられるのは以下の3点です。

①リスク軽減効果がある

②時間はかかるが安定的な運用が見込める

③売買のタイミングを見極める必要がない

①リスク軽減効果がある

分散投資において分散するのは「資産」「地域」「時間」の3つです。株式で例えるなら、「資産」は銘柄の種類であり、一方がダメでも、その他の保有商品で利益を守ることが主目的となります。ちなみに投資家の中には、株式のみならず、不動産や債権など、別カテゴリの商品を複数持つというスタイルで分散している方も目立ちます。

そして「地域」は、天災や動乱によるリスクを軽減させるため、国や地域が異なる商品を複数購入することです。さらに「時間」は投資を始めるタイミングで資金の全てを投じるのではなく、時期を分けて投資することを指します。値動きの激しい商品に投資する場合などは非常に有効です。結果、それら3つを分散することにより、リスクを大幅に軽減できる可能性が高まると言う訳です。

②時間はかかるが安定的な運用が見込める

リスクをかわしながら、薄い利益をコツコツ積み上げる。つまり、より安全・安定的な資産運用が叶う。それこそが分散投資を推奨する大義名分です。しかし中には、利益が薄く稼いだ実感が得られない。もしくは時間がかかるわりに、ちゃんとリスクも負うのが解せない。という意見もあります。

しかし、投資に絶対はなく、さらにリスクゼロで運用できる確率などゼロに近いのは明白です。効率が悪いと言われたらそれまでですが、時間がかかっても、確固たる利益を獲得できる可能性が高いなら、分散投資を選ばない手はないと思います。何にせよ、一点集中よりもリスクを軽減できるのは明白です。

③売買のタイミングを見極める必要がない

買うタイミングを分けることで「最も高い時に資金を全て投じることがない」。同様に、売るタイミングも分けると「最も安い時に全て手放すことがない」

つまり、値動きによって思考・行動が左右されることがないため、売買のタイミングを見極める必要がありません。忙しい方や初心者などにとっては非常に大きなメリットと言えるでしょう。

分散投資する際のおすすめ手法4選

どんな商品を使って分散投資するのかは個人の自由ですが、肝心なのは具体的にやるべきことや注意点についてでしょう。ここでは「正しい分散投資」を確立するために、何をして、どこに注意するべきか? について詳しく解説していきます。明日から早速分散投資を始めようと考えている方はぜひ以下の4点を理解し、実践してみることをおすすめします。

①ゴールを決めてポートフォリオを作成する

②リスク・リターンを加味して分散する

③年齢に応じて銘柄を選んで分散する

④手軽に分散できる投資信託を選ぶ

①ゴールを決めてポートフォリオを作成する

ポートフォリオとは、運用する金融商品を組み合わせ、一目で自身が何をどの程度保有しているのかがわかる指標のようなものです。分散投資をする上で、自身がどの商品・銘柄に投資しているのかを把握しておくために欠かせないものだと思います。

そして、ポートフォリオを組む際に意識すべきことは、自身のリスク許容度に沿った商品や、ゴールに据えた目標資産に到達する可能性のある商品が選択できているかどうかです。

②リスク・リターンを加味して分散する

これまで解説したように、分散投資は闇雲に多くの商品へ投資することではありません。例えば、似た性質の商品ばかりを組み合わせたポートフォリオにしたところで、動きが似てしまったら意味がありません。

比較的リスクの高い商品ばかりを集めてしまうと、期待リターンは高くとも、その分負うリスクも高くなることになるのです。ハイリスクな株式ばかりでポートフォリオを構成するのではなく、ローリターンでもリスクの低い債権なども組み込んで、バランスよく分散していくのが良いでしょう。

③年齢に応じて銘柄を選んで分散する

当然のことながら、投資を始める年齢によって、選ぶべき金融商品は異なります。例えば、20代の方は老後までの時間が多分にあるため、ローリターンな商品をポートフォリオに多く組み込んで、微増でも低リスクで運用することができます。

一方、40、50代の中高年にさしかかると、できるだけ短時間で十分な老後資金を蓄える必要に駆られるでしょう。その場合はローリスクな商品だけだと時間的に間に合わなくなる可能性が高い為、ミドルリスクな商品でも、ある程度のリターンが見込めるものを組み込む必要があります。

④手軽に分散できる投資信託を選ぶ

投資初心者の場合は、いきなり個別株を分散して購入するよりも、少額から分散投資できる投資信託がおすすめです。中でも、税制優遇を受けられる私的年金制度「iDeCo」や、少額で長期積立・分散ができるNISAなどが良いでしょう。

もちろん都度ポートフォリオを見直す必要はありますが、都度チャートと睨めっこすることなく、リスクを抑えながら長期でコツコツ積み上げていきたい方は、自身の目標やスタイルに合うファンドを探し、投資してみることをおすすめします。

まとめ

分散投資に潜む4つのデメリット

管理するのがとても大変

②資産の流動性リスクが大きくなる

③短期的な効果が薄い

④コストがかかってしまう

分散投資の3大メリット

リスク軽減効果がある

時間はかかるが安定的な運用が見込める 

売買のタイミングを見極める必要がない

分散投資する際のおすすめ手法4選

①ゴールを決めてポートフォリオを作成する

②リスク・リターンを加味して分散する

③年齢に応じて銘柄を選んで分散する

④手軽に分散できる投資信託を選ぶ

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