仮想通貨は半減期にどうなる?仕組みと買いどきをわかりやすく解説

 

仮想通貨の「半減期」って何?

持ってる仮想通貨が突然半分に減っちゃうの?

ーーいえいえ、そんなことはありません。

仮想通貨の半減期とは、供給を制限することで価値を高める大事な役割を果たす仕組みです。

このイベントは仮想通貨の投資家に大いに注目され、わりと長めのスパンで価格にも影響を与えます。

でもシステム的な話や影響の度合いなどはなかなか理解しにくい面がありますよね。

そこで本記事では、お金と投資の学校GFS(グローバルファイナンシャルスクール)監修のもと、数年前から10種類以上の仮想通貨に投資してきた筆者が投資家の観点から、

  1. 仮想通貨の半減期の仕組み
  2. 仮想通貨の半減期が注目される理由
  3. 仮想通貨の過去の半減期前後の変化(ビットコインを例に)
  4. 主な仮想通貨の直近の半減期と次の半減期
  5. 半減期を仮想通貨投資に役立てるには
  6. 半減期のない仮想通貨

という内容で、初心者にもわかりやすく「半減期」の基本を解説していきます。

すでに購入して保有している人も、これから投資しようという人も、知識として知っておきたい人も、これさえ知っておけば大丈夫という内容を網羅しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

★注意★日本では法定通貨と混同しないよう、公的には「暗号資産(crypto-asset=クリプトアセット)」と呼びますが、この記事では人口に膾炙した「仮想通貨」の呼称で統一しています。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

第1章 仮想通貨の半減期の仕組み

まずは簡単に半減期の仕組みについて基本を解説していきます。

すでにある程度知っているという方も、おさらいの意味で読んでおいてください。

1-1 仮想通貨の半減期とは

仮想通貨の半減期とは、「マイニング(採掘)」の報酬として得られる仮想通貨の量が半分になる時期のことを指します。

例えば、ビットコインの場合、約4年ごとにこの半減期が訪れます。

半減期は、仮想通貨のプログラムに組み込まれた重要な仕組みの1つです。

マイニングとは
仮想通貨を成り立たせるブロックチェーンでは、仮想通貨の送金などの取引を誰かが承認することで取引履歴をブロックチェーン上に記録します。この仮想通貨の取引の内容を確定させ、改ざんできないようにする作業をマイニングといいます。マイニングには膨大な量の計算処理が必要で、巨大コンピュータとそれを維持する莫大な消費電力コストがかかりますので、これを成功させたマイナー(採掘者)が報酬として新たなコインを受け取ることができるのです。このマイニングの仕組みは、「作業」によって承認されることから、「PoW(Proof of Work)」とも呼ばれます。

1-2 仮想通貨に半減期がある理由

半減期はなぜあるのでしょうか。

その主な目的は、仮想通貨の供給量を制限することで「インフレーション(=通貨膨張)」を抑制することにあります。

ビットコインを例にとると、発行上限が2100万枚と定められています。半減期を設けることで、その都度発行量が減少し、希少価値を創出するように設計されています。

埋蔵量が有限の金の価値が、長期的に維持され、価格が向上するのと同じような効果が半減期には期待されています。

 

第2章 仮想通貨の半減期が注目される理由

ここではなぜ仮想通貨の半減期が注目されるのか、その理由をもう少し細かく見ていきます。

2-1 供給量の制御と希少性の向上

前章で書いた通り、半減期の最も直接的な影響は、新たに発行される仮想通貨の量が半減することです。

ビットコインの場合、2024年4月の半減期によりマイナー(採掘者)の報酬は6.25BTCから3.125BTCに減少しました。

これによりマイナーが減り、マイニング報酬分の仮想通貨発行が減ることで、全体の供給量が過剰にならないように制御されるのです。

供給量が減り総発行量が意識され、希少性が高まっていくことが半減期が注目される理由の1つでしょう。

2-2 価格上昇の期待

上の項で説明した通り、供給量の減少は希少性を向上させます。これが仮想通貨の価格上昇につながります。

工業などに利用価値の高い珍しい鉱物、埋蔵量が限られる金などは、希少性が高いゆえに購入者(需要)が供給を上回り、価格が急騰します。

これと同じ状況が仮想通貨の半減期によってつくられるわけです。

実際に過去の半減期後、ビットコインの価格は上昇傾向が見られるため、投資家の間で半減期は価格上昇の好機ととらえられるようになりました。

2-3 マイナー保有の通貨が市場流出

半減期によりマイニング報酬が減少すると、一部のマイナーは採算が取れなくなって廃業し、保有する仮想通貨を放出(売却)する可能性があります。

このため、短期的には下値圧力がかかり、価格が下落することもあります。

仮想通貨を短期売買する短期トレーダーにとっても半減期は注目のイベントとなるのです。

 

第3章 仮想通貨の過去の半減期前後の変化

ここからはビットコインを例に、実際に半減期をはさんでどのような値動きになったのかをチャートで検証していきましょう。

チャートは週足で、赤い縦線が半減期とされる月のはじめを示します。

期間は半減期の前の半年、そして半減期後に上昇していったんの高値に達するまでの半年~1年ほどのスパンをとっています。

3-1 ビットコイン2016年7月半減期のチャート

2016年7月の半減期では、数ヶ月前からゆるやかに価格の上昇が始まっています。

そして3週前から2週後あたりまで半減期をはさんで短期でやや下落が続き、半減期2~3ヶ月すぎたあたりから本格的な上昇トレンド入り、その年の12月のピークまで大きく上昇しました。

3-2 ビットコイン2020年5月半減期のチャート

2020年5月の半減期では、2か月前ごろから直前まで価格がゆるやかに上昇。

その後値動きの乏しいレンジ相場がじりじりと続き、5か月すぎたあたりから上昇トレンドに転じました。

上昇トレンドは半年ほど続き、半減期から数えてほぼ1年後の翌4月ごろのピークまで大きな上昇を見せました。

3-3 ビットコイン2024年4月半減期のチャート

2024年4月に完了した最新の半減期では、数か月前から大きな上昇を見せました。

しかし半減期の1ヶ月前から価格の上昇が止まり、ときおり大きく下げながら同じ価格帯で上下するレンジ相場が半年ほど続きました。

その後、10月ごろから上昇トレンドに転じ、年末まで一気に上昇しています。

ただし、半減期の前と後に大きく上げた要因はほかにも考えられます。

年前半の上昇はビットコインのETFが当局に認められて多数上場したこと。

年後半の上昇は仮想通貨の確保・普及に前向きな米国のトランプ氏が大統領選で勝利したことです。

 

第4章 主な仮想通貨の直近の半減期と次の半減期

次回の半減期の時期がわかっている主な仮想通貨を下記の表にまとめました。

基本的にビットコインとそれに準拠する仮想通貨ですので、4年後に半減期が訪れます。

保有している方、これから買う予定の方は頭の片隅に入れておいてください。

半減期のある主な仮想通貨直近の半減期次回の半減期
ビットコイン(BTC)2024年4月2028年頃
ライトコイン(LTC)2023年8月2027年頃
ビットコインキャッシュ(BCH)2024年4月2028年頃

 

第5章 半減期を仮想通貨投資に役立てるには

ここでは過去の半減期の傾向からどんな仮想通貨の取引きが成り立つのか、仮説として考えていきたいと思います。

あくまで仮説ですので、実際の投資・取引きについては自己の考え、自己の責任のもとで行ってください。

5-1 上がりやすいのは「半減期」から半年~1年後

過去の半減期の傾向から、半減期から数えて半年から1年の間に価格が上昇しやすい傾向が見られます。

半減期はその価値を裏付けるものでもあり、今後も価格上昇の機運を高めるイベントになると予測できます。

ただし、将来も同じような値動きをする保証はありません。あくまで過去の動きと現在の情勢から今はそう予測できるということです。

5-2 半減期の影響は100日後から現れる

半減期の影響は通常は100日後あたりから現れ始めると言われます。

これはマイニングの報酬減によって廃業するマイナー(採掘者)が増え、保有する仮想通貨が市場に放出(売却)される時期と半減期との間にタイムラグがあるためです。

とはいえ、100日後から明確に価格上昇が始まるわけでもなく、半年後あたりから一気に上昇トレンドに乗る傾向が見られます。

なので、半減期を投資に活かすなら、

  1. 人々が半減期を意識する前に仕込んでおく
  2. 半減期後のレンジ相場のときに購入する
  3. 半減期後、半年ほどすぎて上昇し始めたら買う

という戦略が考えられます。いずれも長期保有するのが前提です。

半減期前後のレンジ相場のときに売買トレードするという手もありますが、値動きが激しい仮想通貨でのトレードは難易度が高すぎるのでおすすめできません。

5-3 分散投資という選択肢も

上項で紹介してきた戦略はあくまで過去の値動きに沿ったものです。

でもこうした傾向は投資家に学習されますので、次回以降はまったく役に立たない可能性もあります。

すでに2024年4月の半減期の値動きは過去のものと違っているようにも見えます。

また、当然ながら半減期以外の要素によっても価格は動きます。

そもそも仮想通貨の価格変動は非常に大きく、一日のうちに平気で10%上がったり、10%下落したりもします。

10%上がった翌日に10%下がる、なんていう値動きもざらにあります。

このボラティリティ(価格変動幅)に耐えられない人は、一度にたくさん購入せず、定期的に時間分散を図りながら買うのがいいでしょう。

取引所によっては、一定額を毎月購入する積立投資のサービスもありますので、これを使うのも一つの選択肢です。

 

第6章 半減期のない仮想通貨

主要な仮想通貨でもビットコインの半減期のようなシステムを持たないものもあります。

それらは半減期とは別の方法で価格の安定性を図っているようです。

イーサリアム(ETH)

イーサリアムには半減期がなく、発行上限も設定されていません。

イーサリアムもかつてはマイニングによって供給を増やしていましたが、現在は「ステーキング」方式に転換しています。

ステーキングとは、一定の期間、一定の量の仮想通貨を保有することで、ネットワークに貢献していると見なして報酬を与える仕組みです。

これにより半減期のような極端な方法をとらずに供給量を制御し、価格を安定させています。

マイニング(PoW)とステーキング(PoS)

マイニングによる報酬の仕組みを「PoW(Proof of Work)」と呼ぶと第一章で説明しましたが、ステーキングによる報酬の仕組みは「PoS(Proof of Stake)」と呼ばれます。どちらもブロックチェーンの保全のために必要な仕組みですが、巨大な演算処理作業とそれに伴う消費電力が必要なPoWと違い、PoSは保有しているだけでよく、だれでも参加でき、電力消費もかからないエコな仕組みとして多くの仮想通貨で採用されています。

リップル(XRP)

リップルも半減期を持たない仮想通貨の一つです。

発行上限は約1000億XRPと決められており、すでにその全量が発行済みです。

そしてこの発行済みリップルの半分を運営母体であるリップル社が保有しており、それを一度にたくさん市場に供給しないよう制限(ロックアップ)することで、価格の安定を図っています。

 

まとめ

仮想通貨の半減期についてその仕組みや理由などを見てきました。

供給量の制御の面、それに伴う価格への影響面から、半減期は投資家にとって重要なイベントであることは間違いありません。

過去の傾向から半減期前後に価格が上昇することも確認できました。

仮想通貨の値動きは非常に激しく、また今後の半減期に同じ傾向があてはまるとは限りませんので、そのあたりのリスクを十分に考慮の上で投資に役立てていただきたいと思います。

 

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