株式投資をしていると、ニュースなどで「株の調整」という言葉をよく見聞きすると思います。
皆さんは「株の調整」とはどういうことなのか、知っていますか?
「株の調整」とは、簡単にいうと、上昇(下落)し続けた株がその動きを止め、一休みしている状態のことをいいます。
株も一休みするんだね〜。
休まないと、疲れちゃうもんね!
実はこの「株の調整」、今後の株価動向を知る上で非常に参考になるだけでなく、投資タイミングとしても利用されることがあるので、投資家の間ではとても注目されているんです。
どこに注目すればいいか、私も知りた〜〜い!
この記事では、証券ディーラーを15年勤めた元プロで個人投資家の筆者が、「株の調整」とは何か?という基本的なことだけでなく、「株の調整の種類」や「投資タイミング」としての利用方法まで、「株の調整」にかかわる様々なことを解説しています。
・株の調整とは?
・株の調整はこの2パターン
・株の調整はこう使え!調整をトレードに生かすテクニック3選!
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
株価の調整とは?
「株の調整」とは、簡単にいうと、上昇(下落)し続けた株がその動きを止め、一休みしている状態のことをいいます。
ところで株は、なぜ上昇(下落)を続けたあと「調整」をするのでしょうか。
それは、株が上昇(下落)を続けると、トレンドと反対の動き(上昇中なら「利益確定の売りや空売り」、下落中なら「リバウンド狙いの買い」)が多く出てくるようになるからなのです。
少し考察してみましょう。
株が上昇(下落)を始めると、そのトレンドに乗ろうとする動きが強くなり、相場に勢いがつくようになります。
しかし、その相場の勢いが強くなりすぎると、トレンドと反対の動きが多く出てくるようになります。
トレンドと反対の動きが出ることによって、トレンドに乗った相場の勢いにブレーキがかかることになるのですが、まさにこのブレーキがかかり相場が一休みしている状態が「株が調整」をしている状態になるのです。
さて、この「株の調整」ですが、大きく2パターンに分けて考えることができます。
次章で「株の調整」の2パターンについて解説していこうと思います。
株の調整は「値幅調整」「日柄調整」の2パターン
株の調整方法は、大きく2パターンに分けて考えられています。
1つは「値幅調整」と呼ばれるもので、もう1つは「日柄(ひがら)調整」と呼ばれるものです。
1つずつ見ていこうと思います。
2-1. 値幅調整
値幅調整とは、株価が大きく上昇し過熱感が出た後に、過熱感が冷める水準まで株価が下がることによって調整することをいいます。
値幅調整は、株価の上昇幅の大きさに比例して大きく、また急激に起こる傾向がありますので、その動きに巻き込まれないよう注意が必要です。
また値幅調整は、調整とトレンド転換を見極めることが難しいので、上昇(下落)していた株が下がったからといって、すぐに買わない方が良いかもしれません。
値幅調整をしているように見える株を買う時は、株が反発の動きを見せて、下落が「調整」であったことを確認してから買った方が良いと思います。
2-2. 日柄調整
日柄調整とは、株価が大きく上昇(下落)した後に株価が大きく下げることなく、株価がある一定の範囲(レンジ)で横ばいに推移をしながら、日にちをかけて調整することをいいます。
日柄調整は、値幅調整に比べると株価の動きが緩やかで、落ち着いて対応することが可能です。
日柄調整の期間は一定ではなく、期間が長いほど「調整」が終わりを迎える時がわかりやすいため、投資家の注目を集めやすくなります。
日柄調整は投資家の注目が集まりやすいこともあり、調整が完了し株価に動きが出ると、株価は動いた方向にしばらく動く傾向があるので、気をつけるようにしましょう。
2.テクニックさえ覚えれば株に知識は不要
3.投資のプロでなくても年利50%は可能
株の調整はこう使え!調整をトレードに生かすテクニック3選!
ここまでは、「株の調整」について、また「株の調整」パターンについて解説してきました。
ここからは、「株の調整」を利用した株のトレードテクニックを紹介していこうと思います。ぜひ参考にしてみてください。
3-1. 日柄調整後のブレイクで追撃買い
1つ目のトレードテクニックは、日柄調整が終了し調整期間の上値(下値)をブレイクしたタイミングで株を買う(売る)方法です。
これは日柄調整が完了した後、株価が調整レンジを上下どちらかに抜けると、株価は動いた方向にしばらく動く傾向があるということを利用したトレードテクニックになります。
特に相場全体が強い時にこの方法は有効で、売買のタイミングもわかりやすいため、投資初心者でも使いやすいトレードテクニックとして認識されています。
3-2. 日柄調整中のレンジで売買
2つ目のトレードテクニックは、日柄調整している株をレンジの下値で買いレンジの上値で売ることで、レンジの値幅を取りに行くトレードテクニックです。
このトレードテクニックを使う場合、日柄調整のレンジの値幅が大きいほど1回の取引で儲かる金額は大きくなります。
また、日柄調整の期間が長いほどトレードチャンスの回数は増えるので、日柄調整の期間中に意外なほど利益を積み上げていくこともできるかもしれません。
ただ、このトレードテクニックには1つ注意点があります。
それは、レンジの下値で買う時は、レンジの下値から株価が反発したタイミングで買うように心がけて欲しいということです。
3-1でも触れましたが、日柄調整が終了して株価が一方向に動いた場合、株価はしばらくその方向に動く傾向があります。
下値の反発を確認せず株を買うと、株価がレンジを下抜けた時に思いもよらない損をしてしまうかもしれません。
このトレードテクニックは、下値から株価が反発したタイミングで使用するよう心がけましょう。
3-1、3-2については、それぞれ単独でトレードテクニックを使用することもできますが、日柄調整が煮詰まってきたタイミングで併用して使用することもあります。
例えば、3-2のタイミングで買い、さらに3-1の上値をブレイクするタイミングで追加で買う(買い増し)ことによって、より大きな利益を求める手段として併用します。
ただ、この場合はリスクが大きくなりますので、よりリスクコントロールが重要になりますので、ご自身の投資スキルがある程度備わったと判断できるようになってから挑戦するようにしましょう!
3-3. 移動平均線と株価の離れすぎ(乖離)を狙う!
3つ目のトレードテクニックは、※移動平均線と株価の離れすぎ(乖離)を利用したトレードテクニックです。
※移動平均線:一定期間の株価の終値の平均値をグラフ化した線。相場のトレンドを図る手がかり。
5日、25日、200日など様々な期間の移動平均線がある。
株価が移動平均線からどれくらい離れて(乖離)いるか、数値化したものを移動平均乖離率(%)と言いますが、この移動平均乖離率を使ったトレードテクニックです。
一般的に株価が5日移動平均線から±10%、25日移動平均線から±15〜20%以上離れると、それぞれの移動平均線に株価が向かう(反転)と言われています。
このトレードテクニックはこの株価の習性を利用したものです。
例えば、下のチャートのように25日移動平均線が1000円の時に、株価が移動平均線から20%下に離れた800円程度で買い、株価が25日移動平均線まで調整したら売却するというものです。
どの移動平均線、乖離率を使うかは様々ですが、買う(売る)値段がはっきりとわかるので、トレードは比較的簡単にできると思います。
ただ、相場全体が非常に強い(弱い)時は、株価が移動平均線から大きく乖離を続けることもありますので、注意は必要です。
以上、株の調整をトレードに活かすテクニックを3つ紹介しました。
3-1、3-2は日柄調整を、3-3は値幅調整を利用したトレードテクニックでした。
ここで紹介した3トレードの難易度は、順を追うごとに高くなっていきます。
もし皆さんが、ここで紹介したトレードテクニックを実践で試してみたいと思ったら、3-1のトレードテクニックを使うところから挑戦してみると良いと思います。
私の経験上、大怪我をすることが少なく「株の調整」をトレードに活かせると思うからです。
ただし、トレードをする際にリスク管理だけは怠らないよう、くれぐれもご注意ください!
株の調整に関するQ&A
ここでは株の調整に関する疑問についてお答えします。
・株の調整に入るとどうなりますか?
株の調整に入るとどうなりますか?
株の「調整に入る」とは、株価が上昇し続けたが、動きを止めて一休みすることを指します。これは、急激な上昇後に利益確定売りが出たり、市場全体の過熱感が和らいだりすることで起こる現象です。調整は、株価の健全な動きの一部と考えられており、下記のような要素が関与することがあります。
・投資家心理の変化
株価が上昇を続けると、投資家心理は高揚し、買いの勢いが強くなります。しかし、上昇が続くと、いつか下落するのではないかという不安から、利益確定のために売却する投資家が増えてきます。一時的に株価が下落することがあります。
・過熱感の緩和
市場全体が過熱しすぎていると感じた投資家がポジションを減らすことで、株価が調整することがあります。これにより、バブルのリスクが軽減されます。
・経済指標やニュースの影響
経済指標の発表や企業の業績発表、政治・経済のニュースなどが株価に影響を与えることがあります。これらの要因により、投資家の心理が変化し、調整が起こることがあります。
・テクニカル分析
株価が特定のテクニカル指標(例:移動平均線、RSIなど)で過買い状態にあると判断された場合、調整が予測されることがあります。
まとめ
株価の調整とは?
簡単にいうと、上昇(下落)し続けた株がその動きを止め、一休みしている状態のこと
株の調整はこの2パターン
- 値幅調整
- 日柄調整
株の調整はこう使え!調整をトレードに生かすテクニック3選!
- 調整後のブレイクで追撃買い
- 調整中の下値で押し目買い
- 調整狙いの逆張り勝負!
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