米国株に投資する際、得られた利益には税金がかかりますが、どれくらいの税金を徴収する必要があるのか、また確定申告が必要かどうかは、投資家にとって重要なポイントです。確定申告を行うことで税金を軽減できるケースもあります。
米国株への投資を検討している方や、すでに投資を行っている方にとって、税金対策は利益を最大化するために重要ですので、ぜひ一緒に勉強していきましょう。
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
米国株の税金の種類
米国株取引をやりたいけれど税金はどのくらいかかるのか、または種類があるのか気になるかと思います。米国株の税金の種類としては下記の2つで解説していきます。
- 譲渡益課税
- 配当課税
譲渡益課税
米国株の売却益にかかる税金が譲渡益課税になります。税率は20.315%で、内訳は所得税15.315%・住民税5%となります。
例えば100万円の利益があるとすると203,150円の税金が差し引かれて、手残りは796,850円ということになります。譲渡益課税は国内のみで発生する税金になります。
配当課税
米国株の配当金にかかる税金が配当課税になります。配当課税は米国と日本両方で課税されます。つまり二重課税ということです。
日本の税率は20.315%、米国の税率は10%です。しかし米国分の課税に関しては確定申告の外国税額控除により、一定の範囲内で所得税や住民税から控除することが可能です。外国税額控除については次の章で詳しく解説します。
米国株の税金と確定申告
米国株の税金の種類や税率について前章では説明しました。この章では米国株の税金と確定申告の関係について下記3つのパターンを解説していきます。
- 確定申告をしないと損をするケース
- 確定申告をしないといけないケース
- 確定申告をしなくて良いケース
確定申告をしないと損をするケース
確定申告をしないと損をするケースは3つのパターンがあってそれぞれ説明していきます。
・特定口座(源泉徴収あり)で米国株の配当益があるケース
先ほど申し上げたように米国株の配当金には日本の税率は20.315%、米国の税率は10%が課税されます。二重に課税されるので、確定申告の外国税額控除により、一定の範囲内で所得税や住民税から控除することが可能です。しかし外国税額控除には控除の限度額があります。
所得税の控除限度額=該当年の所得税額(該当年の国外所得額÷該当年の所得総額)
これが計算式です。
また、外国税額控除の申請するときは、以下①②が必要になってくるため、ご注意ください。
①外国税額控除に関する明細書(居住者用)
②外国所得税を課されたことを証する書類
・特定口座(源泉徴収あり、なし両方)で、米国株の年間収支がマイナス、日本株の年間収支がプラスのケース
米国株の年間収支がマイナスで、日本株の年間収支がプラスで、課税金額を減らしたい場合、確定申告で損益通算を行うと、税金を減らせるかもしれません。
例えば米国株の年間収支マイナス50万円と日本株の年間収支プラス50万円を足した場合、儲けは0円になることから、課税がありません。これを損益通算といって課税が0になります。
・特定口座(源泉徴収あり、なし両方)で、米国株の年間収支がマイナスのケース
米国株の年間収支がマイナスの場合、3年間損失繰越ができるので翌年以降にプラス収支であれば、税金が控除されます。しかし損失繰越の場合、翌年以降も確定申告が必要になるため金額によっては確定申告の作業の手間や時間をかけるほどかは状況によって変わるでしょう。
確定申告をしないといけないケース
次に確定申告をしないといけないケースは2つあってそれぞれ解説していきます。
・特定口座(源泉徴収なし)で譲渡益がある場合
特定口座(源泉徴収なし)で米国株の譲渡益がある場合、確定申告が必要です。しかし、配当金は、配当金支払時に原則的に税金は徴収されています。
・一般口座で譲渡益、配当益が出ている場合
一般口座とは、投資家が自分で損益の計算をして確定申告を行う必要がある口座です。特定口座、源泉徴収ありで、譲渡益が出ている場合は申告は不要ですが、一般口座で譲渡益がでている場合は確定申告が必要です。
確定申告をしなくて良いケース
・特定口座(源泉徴収あり)で譲渡益がある場合
この場合、証券会社が納税義務者に代わって、源泉徴収などをしているため、原則的には確定申告は不要です。しかし、先ほど説明したように、前年以前の損失と損失繰越をしたい、配当益もでている、他の口座(日本株など)と損益通算をしたい場合は確定申告をしたほうが税金の負担が減ります。
・NISA口座で譲渡益がある場合
NISA口座は、利益に対して課税されない口座なので、譲渡益と配当金がある場合も制度上、非課税になります。
米国株の確定申告について簡単に解説しました。知らないと損をする可能性があるので、米国株を行う方は、勉強しておくのがオススメです。米国株の確定申告については↓↓
下記記事にさらに詳しく説明されているので良かったらご覧ください。
NISAは投資利益の節税のみ
先ほどNISA口座は利益に課される税金は非課税であるとお伝えしましたが、注意点もあるので下記2つを説明させていただきます。
- 外国税額控除は適用されない
- 損益通算&繰越控除も対象外
外国税額控除は適用されない
外国税額控除は米国株に適用されますが、NISA口座内での取引には適用されません。NISAがそもそも非課税口座なので、NISA口座内での米国株取引は譲渡益に課税はありません。ただし配当金には米国の10%の課税があります。
課税に関して表にまとめると下記のようになります。
米国での課税 | 日本での課税 | ||||
NISA口座 | 売却益 | 0% | 0% | ||
配当・分配金 | 10% | 0% | |||
課税口座 | 売却益 | 0% | 20.315% | ||
配当・分配金 | 10% | 20.315% |
NISA口座内での取引は配当・分配金への課税は把握しておくと良いでしょう。
損益通算&繰越控除も対象外
NISA口座ないでの取引で損が出たとしても、損益通算はできません。繰越控除もできないのでご注意ください。売却益に対して非課税という措置を取っているためだと考えられます。
まとめ
米国株の税金について勉強できたでしょうか。払わなくても良い税金を支払わず済めばそれに越したことはないと思います。投資家としてしっかり利益を出している人たちは手間がかかりそうなことでも地道に行っています。投資を行うなら税金の知識も勉強しておくのがオススメです。
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