「今まで貯金だけやってきたけど、このまま続けていれば良いのかな」
「今後のために、色々我慢してたくさん貯金しておくべきだろうか」
「貯金だけだと後悔するって聞いたけど、なぜだろう」
このように思ったあなたへ。
結論からお伝えすると、貯金しすぎは後悔に繋がる可能性がとても高いです。
貯金は、確かにある程度は必要ですし「お金が少なくて困ることはあっても、たくさんあることで困ることはないだろう」と考える人も多いはず。
「後悔するって具体的に、どういうことだろう?」
「なぜ使わずに貯金しすぎることが、後悔に繋がるの?」
「どうすれば後悔せずに貯金ができる?」
という疑問が出てくるのではないかと思います。
そこで本記事では、貯金しすぎると後悔に繋がる3つの理由と、上手なお金の使い方について解説していきます。
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監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
貯金しすぎが後悔に繋がる3つの理由
貯金をしすぎると後悔する、と言える理由に、以下の3つがあります。
・「今しかできない経験」を逃す
・インフレによって、貯金の価値が目減りする
・お金の使い方のバランス感覚を失う
次で一つずつ解説していきます
1-1 今しかできない経験を逃す
後悔する理由の一つ目として、「今しかできない経験を逃してしまう」ということがあります。
つまり、やりたいことや興味のあることを我慢して貯金を優先するあまり、「やっぱりあの時、やっておけばよかったな」と、後から思ってしまうことです。
「やりたいことはいつからでもやればいい」という考え方もあり、確かにそれも真実ではあります。
しかし、例えばライフステージが進んで環境が変わることもあれば、年齢を重ねれば体力などにも当然変化が起こります。
また、例えばワーキングホリデー制度に「30歳以下」と年齢制限があるように、法令や制度の内容によって、年齢や期限が決められているものもあります。
すると、「やりたいけど、今となっては、実際には難しい」という状況になってしまうことは十分ありますし、経験する年代が違えば、得られる学びも変わってきます。
私たち自身や、私たちを取り巻く環境は、1分1秒、目まぐるしく変化をしていて、過ぎてしまうと返ってくることはありません。
このように、過度な貯金を理由に、今しかできない経験を諦めたり我慢したりすることで、結局後から挑戦できず、機会損失になってしまい、後悔する、というケースが多いです。
「貯金をしつつも、機会損失で後悔をしないためにどうすればいいか」と思った方は、おすすめの貯金法を、3-1で解説しているので、ぜひ読み進めてください。
1-2 インフレによって貯金の価値が目減りする
貯金しすぎると後悔する理由の2つ目に「インフレによって貯金の価値が目減りする」ということがあります。
インフレとは、簡単にいうとモノやサービスの値段が上がることを指します。
インフレになることで、「企業の売上が増加→社員の給料が増加→消費が活発になる→企業の売上がさらに増加」というサイクルを生むことができるとされています。
そのため、現在、日本では景気拡大のため、毎年2%の物価上昇を目標に、インフレ政策が進められ、どんどんモノやサービスの値段が上がっています。
そのような中、資産運用などをせず、ひたすら貯金だけをしていた場合、どうなるでしょうか。
その場合、貯金額自体は減ることはありませんが、増えることもありません。
ですが、モノの値段は上がっているので、以前に比べて購入できる量は当然少なくなります。
つまり、いくらお金があっても、貯金だけでは「実質的なお金の価値」は、どんどん下がり、買いたいものが、同じ値段で買えなくなる、という状況になってしまいます。
こういう状況になってから
「貯金だけではなく、もっと早くから資産運用などを検討していればよかった」
と、貯金のしすぎが後悔に繋がるケースも多いです。
上記の通り、こうした後悔をしないためには早くから資産運用を考え、実施することが必要となってきます。
詳しくは3-2で解説しています。
1-3 お金の使い方のバランス感覚を失う
「貯金ばかりしていて、お金の使い方がよくわからなくなってしまった」
というのも、貯金し過ぎて後悔する理由として、挙げられます。
「〇〇が欲しいからお金を貯める」といったように、本来貯金は、何か目標とするものを得るための「手段」です。
しかし、特段目標や目的もなく、ただ貯金に集中していると、いざ何かにお金を使った時に
「せっかく貯めてきたお金、この使い方で合っていたのかな」
と、考えてしまい、疑問や罪悪感を覚えてしまう、というケースが少なくありません。
また、貯金に注力しすぎるあまり、本来手段であるはずの貯金がいつの間にか目的・目標になってしまい、本来必要である支出に対しても、「さらに減らしたい」や、「お金や貯金以外に何も価値を見いだせない」などと思って、「結局お金を使うことなく、我慢だけになってしまった」と、後悔に繋がってしまうこともあります。
お金には、欲しいものを手にいれるための「交換券」としての性質があります。
つまり、何かと交換して初めて価値が手に入るのです。
貯金だけしていても「交換券がたくさんある」というだけで、何かに交換しなければ、その価値も埋もれたままになってしまいます。
こうした後悔をしたくない!という方は、この後の3-3や4章で貯金の考え方や、お金の使い方を解説しているので、ぜひ読み進めてみて欲しいです。
貯金額の目安の考え方
前章までの内容で、貯金しすぎても後悔に繋がる、ということはわかりました。
ここで
「では、貯金はしなくてもいいのか」
「全て運用に回した方がいいのか」
など、思った方もいるのではないでしょうか。
答えはNOです。貯金しすぎが後悔に繋がる可能性があるとはいえ、ある程度の貯金はあった方が良いです。
理由としては、「不測の事態への対応のため」です。
病気や怪我、勤務先の倒産などで収入が得られなくなってしまったり、災害などで財産が打撃を受けたりなど、いつ何時、何が起こるかはわかりません。
こういった不測の事態のために、公的でも民間でも、保険や保障が用意されているものはありますが、実際に保障を受けるための手続きに時間がかかり、その間、全く収入なく過ごさなければならない、ということも少なくありません。
そのため「何かあってもしばらくは生活できそう」という程度の貯金は、やはり必要と言えます。これを生活防衛資金といいます。
ここで
「では、具体的にどのくらい生活防衛資金があればいいのか」という疑問が出てくるかと思います。
迷う方は、「生活費の半年程度」を目安にするといいです。
理由として、先述の保険や保障を受けるにあたって、半年程度見込んでおけば、手続きが完了できるからです。
総務省実施の家計調査によると、一月あたりの消費支出は総世帯ベースで「247,322円」であるとされています。
上記の数字を参考に半年程度と考えれば「150万円程度」が目安と言えます。
この家計の支出については、個々の世帯状況によってもちろん変わってくるので、実際の金額については、ぜひご自身の家計の支出状況を元に、計算してみてください。
後悔しない貯蓄術:3つのポイント
前章の内容で、ある程度の生活防衛資金は貯金をしておくべき、ということが理解できたと思います。
ここで、
「生活防衛資金はしっかり用意しておこうと思うけど、それ以上のお金について、後悔しないように貯めていくにはどうすればいいの?」
と迷う方もいると思います。
そこで、後悔しない貯蓄術についてポイントを3つ、お伝えしていきます。
3-1 ライフプランを作り、使う目的と貯める目標を設定する
ポイントの一つ目は、ライフプランを作成し、使う目的と貯める目標を設定することです。
目標や目的を明確にすることで、計画性を持って貯金をすることができます。
また、ここで設定する目標は、長期的に達成したい内容はもちろん、「今どのような経験をしたいか」という時間軸の短いものでもOKです。
目標の例として、「マイホームの頭金」や「子の教育資金に」などの長期的な内容でも、「来年に海外に旅行にいきたい」や「3ヶ月後に趣味の道具を新調したい」など、短期的なものでも良いです。
1-1でお伝えしたとおり、世界が目まぐるしく変化していく中、「今しかできない経験」は貴重です。
また1-3でお伝えしたとおり、お金は使うことで初めて価値が顕在化します。
目標に「どのような経験をするか」にフォーカスしたものを設定することで、機会損失による後悔を避けることにも繋がります。
ぜひこのポイントを意識して、
・「何のためにお金を貯めるのか。自分がやりたいことや、目指す生き方はどのようなものか」を言語化する
・言語化したことについて「いつまでにどのくらい必要なのか」と設定してみる。
とのステップで、考えてみてください。
3-2 資産運用や投資をしておく
ポイントの2つ目は資産運用や投資をすること、です。
資産運用をしておくことで、1-2でお話ししたインフレによる物価の上昇に対応することができます。
例えば3-1で設定した目標が長期的である場合や、「今のところ、大きな支出の見込みはないけれど、今後何か行動が必要となった時に、お金の面で余裕を持てるようにしておきたい」などのように、時間軸が長いほどインフレの影響を受けやすくなるので、「資産運用でお金を増やしておく」という考えが必須になってきます。
株式、投資信託、債券、不動産など、さまざまな金融商品があり、どういったもので資産運用や投資を行っていくかによりますが、適切に運用を行うことで、インフレの目標とされている「毎年2%」を超える運用成果を出すことは、十分可能です。
生活防衛資金が確保でき、今後の目標も定めることができたら、ぜひ資産運用でお金を増やしながら貯めることを意識してみてください。
注意点としては、資産運用や投資にはリスクが伴うので、「来月〇〇に使いたい!」や「来年の⚫️⚫︎のために貯めている」など、時間軸が短い場合は、運用や投資に回すことは避けた方が良いです。
短い時間で運用成果をあげようとするほど、リスクが高くなり、損をする可能性も高まるためです。
直近1〜3年程度などで、明確に使用時期や使用用途が決まっている資金については、貯金のまま保有しておくことを検討するのが良いでしょう。
また、長期的な視点であったとしても、インフレに負けないようにするためには、「投資に関する正しい知識」を持って適切に運用することが必要です。
不安な方は、投資や資産運用について、正しい知識を一度学んでから、始めてみるといいでしょう。
3-3 予定外の支出もある程度想定し、適切な対策をする
ポイントの3つ目は「予定外の支出を想定し、対策をする」ということです。
つまり、「どんな事態になった時に、どれくらいお金が必要か」そして「その事態が発生した時にどのような行動をとるか」をあらかじめ考えておくのです。
一見「予定外の事態なのだから、想像できない」と思ってしまいがちです。
もちろん、全てを想定しその発生可能性や対応を考える、ということは難しく限界はありますが、ある程度は読むことは可能です。
例えば「冠婚葬祭」などは、予定外の支出といえますが、一回で大体どの程度の支出となるかは想像がつきます。
「このくらいなら一旦生活防衛資金から支出し、次の月に補填しよう」など、対策を決めておくことで、行動もしやすくなります。
また、自分のお金だけで賄えない、大きな怪我や災害などについては、必要な分の保険に加入する、などで備えておくことが可能です。
お金をたくさん貯めてしまう理由の一つに「不安だから」というものがあります。
ここで「どのような事態が起こり得て、どのような対策が取れるのか」を考えられる範囲でも明確にしておけると、不安の払拭に繋がり「心配から、無意味に過度にお金を貯める」ということを防ぐことができます。
事前に支出があること自体を想定しておくことで、1-3でお伝えした「お金のバランス感覚」を保つことにも繋がるので、ぜひこのポイントも意識してみてください。
後悔しないお金の使い方:4つのヒント
ここまで、後悔しないお金の「貯め方」についてお伝えしてきました。
さらに後悔しないようにするには「使い方」にもフォーカスすることが重要です。
1-3でもお伝えしたように、お金には「使うことで始めて価値が生まれる」という面があります。
しかしだからと言って「何にでもとにかく使えばいいか」というと、そうではありません。
安易にお金を使った結果、見合う価値を得られないと「お金を使わなければよかった」と後悔し、お金を使うことが怖くなって、結局貯めるだけになってしまう、ということもあります。
あなたが貯めてきたお金は、仕事など、色々な苦労の末に得てきたものだと思います。
せっかく苦労して得た大切なお金ですから、使うにしても、自分にとって「価値がある」と思えるものに使いたい、と考えますよね。
ここで
「後悔はしたくないけど、どういう使い方をしたらいいか迷う」
「どんなことを大事にしていれば、後悔しにくいのか」
と思った方もいるでしょう。
そんなあなたへ、後悔しないお金の使い方のヒントを4つ、お伝えします。
4-1 経験
一つ目は「経験」です。
1-1でもお伝えしている通り、経験には「今しかできないもの」や「今の感覚のうちに経験しておいた方がいいもの」があります。
モノは壊れたりなくなったりすることがありますが、経験は自分の記憶に永続的に残ります。
そして、経験によって
・視野が広がり、新たな価値観を得られる
・新たな人との出会いがある
など、得られるメリットも大きいです。
「自分はどのような経験をしたいか」という点で、お金の使い方を考えてみると良いです。
4-2 健康
2つ目は「健康」です。
例えば
・体にいい食材を選ぶ
・睡眠の質を上げるアイテムを買う
・体を動かすためにジムを利用する
・予防やメンテナンスの観点で、定期的に医療機関にいく
といったような使い方が挙げられます。
何か行動するにも、健康であることは一番ベースとなりますし、海外で「健康である人ほど人生の幸福度が高い」という研究結果も報告されています。
このように、健康維持のためにお金を使うことは、大変価値があると言えるので、後悔に繋がりにくいです。
4-3 時間
3つ目は「時間」です。
誰にでも平等に与えられている「時間」ですが、特徴として
・有限
・不可逆(過ぎたら返ってこない)
という2点があります。
限りある時間を有効に使いたい、と思った時「お金を使って時間を買う」ということも、選択肢として有効です。
例えば、
・タクシーや新幹線などを利用し、移動時間を減らす
・家事や仕事の時短に繋がるアイテムを購入する
など、他のことに有効活用できる時間が増える、というものにお金を使うことは非常に有意義です。
時間は、一度過ぎてしまうと、2度と返ってくることはありません。
そんな大切な時間を守るためのお金の使い方であれば、後悔には繋がりにくいと言えます。
4-4 自己投資
4つ目は自己投資です。
4-1の経験や4-2の健康も、自己投資の一つと言えますが、ここでは「学習やスキル、情報の取得のためにお金を使う」という視点でお話しします。
つまり
・新しいスキルを身につけたり、今あるスキルをさらに磨くために学校に通う
・知識や情報を得るため本や情報誌を買う
といったように、知識やスキルを高めるためにお金を使うのです。
モノは一度使ったら無くなってしまったり、誰かに奪われたりすることもありますが、知識やスキルは一度身につけてしまえば、誰からも奪われることなく一生自分の武器として使うことができます。
このように「一生続く価値」であれば、お金を使っても後悔に繋がりにくいと言えます。
なお、3-2でお伝えした、資産運用の正しい知識について、しっかり勉強して知識を身につけておくと、その知識でお金を増やすことに活かすことができるので、自己投資の一つとして良いと言えます。
まとめ
最後に、これまでのことをまとめていきます。
1.貯金しすぎが後悔に繋がる3つの理由
1-1 今しかできない経験を逃す
環境が変化する中、「今しかできない経験」もたくさんある。お金のために経験を我慢してしまうことで、機会損失に繋がる。
1-2 インフレによって貯金の価値が目減りする
インフレによって物価が上がり、貯金しているだけだと、同じ金額でも帰るものが少なくなってしまう。
1-3 お金の使い方のバランス感覚を失う
本来手段であるはずの貯金が目的化し、本来必要なはずの支出も削ったり、お金を使うことに疑問や罪悪感をも血、結局使えなくなる。
2.貯金額の目安の考え方
生活防衛資金として、ある程度は貯金として手元にあった方がいい。
目安としては、6ヶ月程度。
統計データでは150万円ほどで算出されるが、ここの家計事情に合った額を設定するといい。
3.後悔しない貯蓄術:3つのポイント
3-1 ライフプランを作り、使う目的と貯める目標を設定する
目標や目的を明確にすることで、計画性を持って貯金をすることができる。
目標は長期的でも、短期的でもいい。
3-2 資産運用や投資をしておく
インフレによる物価の上昇に対応することができる。
正しい知識で適切に運用すれば、インフレ上昇以上の運用成果を出すことは可能。
短期的な目標の場合は、運用しない選択も必要。
3-3 予定外の支出もある程度想定し、適切な対策をする
「どんな事態になった時に、どれくらいお金が必要か」そして「その事態が発生した時にどのような行動をとるか」をあらかじめ考えておく。
不安が払拭され、「過度にお金が必要」という意識を無くすことができる。
4.後悔しないお金の使い方:4つのヒント
4-1 経験
視野が広がり、新たな価値観を得られる。
新たな人との出会いがある。
など、得られるメリットも大きい。
4-2 健康
健康と人生の幸福度は相関性が高いという研究結果もあり、
健康のためにお金を使うことは、大変価値があると言える。
4-3 時間
タクシーや新幹線などを利用し、移動時間を減らす
家事や仕事の時短に繋がるアイテムを購入する
など、有限かつ不可逆な「時間」を有効に使うため「お金を使って時間を買う」ということも、選択肢として有効。
4-4 自己投資
ここでは「学習やスキル、情報の取得のためにお金を使う」という意味。
知識やスキルは一度身につけてしまえば、一生自分の武器として残る。
いかがでしたか。
貯金しすぎで後悔したくない人や、すでに少し後悔してしまっている人へ、ぜひ本記事の内容が参考になれば、幸いです。
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