初心者でもわかる!資産運用と保険の教科書|賢い選び方と失敗しない実践ステップ

初心者でもわかる!資産運用と保険の教科書|賢い選び方と失敗しない実践ステップ

資産形成や将来への備えを考えたとき、多くの人が直面するのが「資産運用」と「保険」のバランスです。

「将来のためにお金を増やしたいけれど、万が一のときの保障も必要ではないか?」

「貯蓄型の保険に入れば、保障もついてお金も増えるから一石二鳥なのではないか?」

このように考える方は非常に多いですが、実は「保険による資産運用」には、特有のメリットと見落としがちなデメリット(コストや流動性の低さなど)が存在します。

本記事では、初心者の方でも体系的に理解できるよう、資産運用における保険の役割、メリット・デメリット、目的別の投資スタイルや戦略、そして正しい知識を持つことの重要性について徹底的に解説します。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

第1章:資産運用と保険の「概要」と基礎知識

まずは、資産運用と保険の基本的な仕組みと、両者の本質的な違いについて整理していきましょう。ここを正しく理解することが、すべての資産形成の土台となります。

1-1. 資産運用とは何か?

資産運用とは、自分が持っているお金(資産)を現金や預貯金としてただ置いておくのではなく、株式、債券、投資信託、不動産などの「金融商品・実物資産」に投じることで、効率的に資産を増やしていく行為を指します。

現代において資産運用が必要とされる主な理由は以下の3点です。

  • 低金利環境: 銀行に預けていてもお金がほとんど増えないため。

  • インフレ(物価上昇)対策: モノの価値が上がると、現金の価値は相対的に目減りします。資産運用によって物価上昇以上のリターンを目指す必要があります。

  • 長寿化(人生100年時代): 引退後の生活期間が長くなり、公的年金だけでは不足する生活資金を自助努力で準備しなければならないため。

1-2. 保険とは何か?

保険の本質は「相互扶助(助け合い)」です。

万が一の死亡、大きな病気やケガ、火災、自動車事故など、個人の力では経済的に対処しきれない「発生確率は低いが、発生したときの損失が甚大なリスク」に対して、多くの人が少しずつお金(保険料)を出し合い、実際にトラブルに遭った人へまとまったお金(保険金・給付金)を支払う仕組みです。

したがって、保険の第一義的な目的は「リスクの補填(保障)」であり、「お金を増やすこと」ではありません。

1-3. 「貯蓄型保険」が資産運用の選択肢になる理由

保険の中には、掛け捨て(保障期間が終わったらお金が戻らないタイプ)ではなく、満期を迎えたときや途中で解約したときにまとまったお金が戻ってくる「貯蓄型保険(積立型保険)」が存在します。

貯蓄型保険では、支払った保険料の一部が将来の保険金や返戻金(へんれいきん)のために積み立てられ、保険会社によって運用されます。これが「保険で資産運用ができる」と言われる理由です。

主な貯蓄型保険の種類

  • 終身保険: 保障が一生涯続き、途中で解約した場合には「解約返戻金」が受け取れる保険。

  • 養老保険: 保険期間があらかじめ決まっており、期間中に死亡した場合は死亡保険金、満期まで生存していた場合は同額の満期保険金が受け取れる保険。

  • 個人年金保険: 老後の資金準備を目的とし、現役時代に保険料を積み立て、一定年齢から年金形式でお金を受け取る保険。

  • 学資保険(こども保険): 子どもの教育資金(大学入学資金など)を準備するための保険。

  • 変額保険 / 外貨建て保険: 運用の成果(株や債券の実績)によって受け取るお金が変動する保険(変額)、または日本円より金利の高い米ドルや豪ドルなどで運用する保険(外貨建て)。

1-4. 資産運用と保険の「本質的な違い」比較表

項目純粋な資産運用(NISA・iDeCo・株式等)保険による資産運用(貯蓄型保険)
主たる目的効率的にお金を「増やす」こと万が一の「保障」+副次的な「貯蓄」
保障機能なし(自分の資産額が上限)あり(加入直後でも契約額の保障が発動)
コスト(手数料)目に見えやすく、比較的低い(特にネット証券)保険会社の経費(事業費)などが不透明かつ高め
流動性(引き出しやすさ)高い(NISA等は数日で現金化可能)低い(早期解約は元本割れのリスク大)
税制優遇NISA(運用益非課税)、iDeCo(全額所得控除など)生命保険料控除(所得税・住民税の一定額減税)

第2章:保険で資産運用をする際の「メリット」と「デメリット」

保険を活用した資産形成には、独自の強みがある一方で、純粋な投資信託や株式投資に比べて劣る部分もあります。これらを天秤にかけて検討することが極めて重要です。

2-1. メリット

① 保障と貯蓄をワンストップで準備できる

最大のメリットは、「万が一の事態への備え」と「将来のための資金積立」を一つの契約で同時に行える点です。例えば、投資信託を始めたばかりの時期に万が一のことがあっても、それまでに積み立てた金額しか遺族に残りません。しかし、終身保険であれば、加入直後に万が一のことがあっても、数千万円といったまとまった死亡保険金が遺族に支払われます。

② 強制的な貯蓄効果(貯金が苦手な人向け)

毎月指定の銀行口座やクレジットカードから自動的に保険料が引き落とされるため、手元にあるとお金を使ってしまう人でも、半強制的に資産形成を進めることができます。また、手軽に引き出せない仕組みが、逆に「使わずに守り切る」ための盾となります。

③ 税制上の優遇措置(生命保険料控除)

支払った保険料に応じて、所得税や住民税の負担を軽減できる「生命保険料控除」が利用できます。

一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つの枠があり、所得の多い人ほど一定の節税効果を実感しやすくなります。

④ 相続税対策としての有用性

死亡保険金には「$500\text{万円} \times \text{法定相続人の数}$」という相続税の非課税枠が設けられています。現金のまま遺族に相続させるよりも、生命保険という形に変えておくことで、残された家族の税負担を減らし、さらに葬儀費用などの当面の現金を迅速に遺族へ届けることができます。

2-2. デマリット(注意すべき弱点)

① 運用効率(利回り)が低い

保険料のすべてが運用に回るわけではありません。支払った保険料からは、保険会社の運営費や営業マンの人件費、万が一の際の保障費用(これらを「付加保険料」や「関係費」と呼びます)が差し引かれます。残ったお金(純保険料)だけが運用に回るため、同じ市場環境で運用したとしても、NISAなどで直接投資信託を買う場合に比べて、手元に残るお金(利回り)は大幅に低くなる傾向があります。

② 途中解約による元本割れリスク(流動性の低さ)

貯蓄型保険は、原則として数十年の長期継続を前提とした設計になっています。契約から数年〜十数年の間にまとまったお金が必要になり、途中で解約(中途解約)した場合、戻ってくる「解約返戻金」は、それまで支払った保険料の総額を大きく下回る(元本割れする)可能性が極めて高いです。

③ インフレ(物価上昇)に弱い(固定金利型の場合)

契約時に将来受け取る保険金や返戻金が固定されている「定額型(円建て)」の保険の場合、将来インフレが起こってモノの値段が2倍になっても、受け取れるお金は変わりません。実質的な購買力が低下してしまう「インフレリスク」に対して無防備になります。

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第3章:保険を使った資産運用で「気をつけること(注意点)」

多くの人が保険での資産運用で後悔するのは、契約時の確認不足や、保険の本質を見誤っていることが原因です。トラブルを避けるために必ず頭に入れておくべき注意点を解説します。

3-1. 「手数料」の不透明性と開示の壁

投資信託であれば、目論見書(もくろみしょ)に「信託報酬:年率0.1%」などと明確にコストが記載されています。

しかし、多くの保険商品では、自分が支払った保険料のうち「いくらが保障や経費に消え、いくらが積立に回っているのか」という詳細な内訳(手数料率)が非開示になっていることが一般的です。

「思ったよりお金が増えない」と感じる背景には、この見えない手数料(初期費用や維持管理費用)の存在があります。

3-2. 外貨建て保険の「為替リスク」と「為替手数料」

「日本の金利は低いが、米ドル建てなら高利回り!」というセールストークで人気の外貨建て保険ですが、以下の点に強い警戒が必要です。

  • 為替変動リスク: 運用そのものが米ドルでプラスになっていても、受け取る時に「歴史的な円高」になっていれば、日本円に直したときに大損(元本割れ)することがあります。

  • 二重の手数料: 円を外貨に換える時、外貨を円に戻す時の双方で「為替手数料(両替コスト)」が発生します。

3-3. 変額保険の「元本保証なし」という現実

変額保険は、集めた保険料を投資信託(特別勘定)で運用する仕組みです。

株価が上がれば将来もらえるお金は増えますが、世界的な株価暴落などが起きれば、解約返戻金が大幅に元本を割り込むリスクがあります(※死亡保険金については最低保証があるものが一般的ですが、解約返戻金には最低保証がないものがほとんどです)。

これは保険という名前を借りた「実質的な投資」であることを自覚しなければなりません。

3-4. 「低解約返戻金型」の罠

「通常の終身保険より保険料が安い」という理由で勧められるのが「低解約返戻金型終身保険」です。

これは、保険料を払い込んでいる期間中に解約すると、返戻金が通常の7割程度に抑えられる代わりに、保険料が安く設定されている商品です。

払込期間(例:20年間、60歳までなど)を完全に完走できれば高い返戻率が期待できますが、人生の途中で失業や減収、急な出費があり、払込を継続できなくなって解約した瞬間に、大きな損失が確定します。

第4章:目的から投資のスタイルや戦略を決める

資産形成で最も大切なのは、便利な道具(金融商品)を闇雲に選ぶことではなく、「何のために(目的)」「いつまでに(時期)」「いくら必要なのか(目標額)」を明確にし、それに最適な手段を割り当てることです。

4-1. ライフプランニングと資金の3分類

家計のお金は、その使う時期と目的に応じて大きく3つに分類(色分け)することができます。

[家計の資金]
  ├① 短期資金(使う予定のあるお金、生活防衛資金) ── 銀行預金(流動性最優先)
  ├② 中期資金(3〜10年後に使う教育資金や住宅頭金) ── 国債・堅実な積立・一部保険
  └③ 長期資金(10年〜数十年後の老後資金・資産承継)─ NISA・iDeCo・変額/終身保険

 

  1. 短期資金(今すぐ〜3年以内に使うお金、および生活防衛資金):

    病気での休職や急な家電の買い替え、直近の結婚費用など。これは絶対に減らしてはならないため、「銀行預金(普通預金・定期預金)」で確保します。

  2. 中期資金(3年〜10年程度先に使う予定が決まっているお金):

    子どもの高校・大学の入学金、住宅の購入頭金など。ある程度の確実性が求められるため、「個人向け国債」や「安全性の高い貯蓄型保険(学資保険など)」、あるいは慎重な投資信託の積立が候補になります。

  3. 長期資金(10年、20年以上先に使う、または残すためのお金):

    老後の生活資金、子どもの将来のための資産、自身の死亡後の遺族への資産承継など。時間の味方(複利効果)を得られるため、「NISA」「iDeCo」を用いた株式・投資信託での運用や、長期の「変額保険」「外貨建て保険」が選択肢に入ります。

4-2. 目的別・最適な金融商品の組み合わせ(ポートフォリオ)戦略

ケースA:【子どもが生まれたばかり】教育資金を準備したい

  • 目的: 18年後に大学進学費用として300万〜500万円を確実に用意する。

  • 戦略: * アプローチ1(確実性重視): 「学資保険」や「低解約返戻金型終身保険(円建て)」。親(契約者)に万が一のことがあった場合に以後の保険料の払込が免除され、学資金だけは予定通りもらえるという「保障機能」を重視する場合に有効。

    • アプローチ2(効率性重視): 「NISA(つみたて投資枠)」で全世界株式(オール・カントリー)や米国株(S&P500)の投資信託を積み立てる。現在のインフレ環境を考えると、円建ての保険では教育費の高騰についていけないリスクがあるため、株式の成長力を取り入れる。

    • ハイブリッド戦略(推奨): 児童手当などは堅実に貯金または学資保険に回し、それとは別の余剰資金でNISAでの運用を並行する。

ケースB:【30代〜40代】老後資金を20年〜30年かけて作りたい

  • 目的: 退職後の公的年金の不足分を補うための資産形成。

  • 戦略: * 最優先すべきは「iDeCo(個人型確定拠出年金)」および「NISA」です。なぜなら、iDeCoは掛け金が全額所得控除になり、NISAは運用益がすべて非課税になるという、国が用意した最大の「税制優遇」があるからです。

    • 保険(個人年金保険や変額保険)を老後資金のメインに据えるのは、iDeCoやNISAの投資枠をすべて使い切った後の「次の選択肢」とするのが合理的です。

ケースC:【50代〜60代】自分が死んだ後の家族にお金を残したい(資産承継)

  • 目的: 自分が死亡した際、残された配偶者や子どもが困らないようにする、あるいは相続税を減らす。

  • 戦略:

    • このケースにおいて、保険は「最強のツール」となります。NISAや投資信託は、本人が死亡すると口座が凍結され、遺産分割協議が調うまで引き出せなくなります。

    • 一方、生命保険(終身保険)の死亡保険金は「受取人固有の財産」となるため、手続き後数日から1週間程度でまとまった現金が受取人の口座に振り込まれます。葬儀費用や当面の生活費として、NISAでは代替できない圧倒的な強みを発揮します。

4-3. 「保障と投資の分離」という黄金原則

現代のファイナンシャルプランニングにおいて、最も合理的とされる考え方が「保障と投資(運用)を完全に分けて管理する」という戦略です。

【保障と投資の分離モデル】

  • 保障の部分: 割安な「掛け捨て型の保険(定期保険や収入保障保険)」で必要最低限の大きな保障を確保する。

  • 投資の部分: 保険を掛け捨てにして浮いたお金を、「NISA」や「iDeCo」を活用してコストの低い投資信託で運用する。

なぜ分けた方が効率が良いのか?

具体的な数字のイメージで比較してみましょう。

  • パターン①(一体型): 貯蓄型終身保険に毎月「3万円」支払う。

    • → 3万円の中から保険会社の経費や死亡保障のコストが引かれ、実際に運用に回るのは約2万円。30年後の返戻率は105%〜110%程度(元本に対して微増)。

  • パターン②(分離型): 掛け捨ての死亡保険(月3,000円)に入り、残りの「2万7,000円」をNISAで投資信託(期待リターン年率4%〜5%)に回す。

    • → 保障額はパターン①と同等以上を確保しつつ、2万7,000円の大部分が超低コストで世界経済の成長に投資されるため、30年後の資産総額はパターン①を大きく凌駕する可能性が極めて高い。

このように、純粋にお金を増やす効率(利回り)だけを追い求めるのであれば、「保険で運用する」のではなく、「保険は掛け捨て、運用はNISA」とする方が圧倒的に有利になります。

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第5章:資産運用における「知識」の重要性

「よく分からないから、プロである保険の営業マンや銀行の窓口の人にお任せしよう」

この思考こそが、資産運用で失敗する最大の原因です。金融の世界における「知識の格差」は、そのまま「資産の格差」に直結します。

5-1. 情報の非対称性と「利益相反」を理解する

金融商品を販売する側(保険会社、代理店、銀行など)は、ボランティアではありません。彼らは商品を販売し、「手数料(販売手数料や維持手数料)」を得ることで成り立つビジネスです。

ここで重要なのは、「販売員が最も儲かる商品(手数料が高い商品)」と「あなたにとって最も優れた商品(コストが低く効率が良い商品)」は、しばしば真逆であるという事実です。

  • 投資信託のインデックスファンド(NISAで買える優良商品):手数料が非常に低いため、販売員へのバック(コミッション)がほとんどない。

  • 貯蓄型保険や外貨建て保険:手数料が高く設定されているため、販売側へのコミッションが大きい。

あなた自身に知識がないと、相手の営業トーク(「元本保証」「高い金利」「節税になります」)の裏にあるコストやリスクを見抜くことができず、相手にとって都合の良い商品を買わされてしまうことになります。

5-2. 自分で学ぶべき「最低限のマネーリテラシー」

資産運用と保険を検討する上で、私たちが身につけるべき知識は決して複雑な数式ではありません。以下の4つの概念を理解するだけで、騙される確率は劇的に下がります。

① 複利効果(ふくりこうか)

得られた利息や運用益を再び元本に組み入れて再投資することで、雪だるま式に資産が増えていく仕組み。期間が長くなればなるほど、その効果は爆発的になります。保険の中途解約はこの複利の連鎖を断ち切る行為です。

② 機会損失(きかいそんしつ)

「元本保証だから安心」という理由で、利回り0.5%の保険に30年間お金をロック(拘束)してしまったとします。もし、そのお金をNISAで年4%で運用できていたら得られたはずの「将来の利益」を失っていることになります。この「得られたはずの利益を逃すリスク」を機会損失と呼びます。

③ 実質利回りと表面利回り

外貨建て保険などで「積立利率3%!」と大きく書かれていても、それはあなたが支払った「保険料全体」にかかるわけではありません。前述の通り、経費を引いた後の「一部の金額」に対してかかる利率です。実際の支払総額と将来の受取総額から計算した「実質的な利回り(内部収益率:IRR)」がいくらになるのかを確認する癖をつけましょう。

④ 公的保障(社会保険)の充実度

民間保険を検討する前に、私たちはすでに世界最高峰の保険に加入しています。それが「日本の公的医療保険・年金制度」です。

  • 高額療養費制度: 病気やケガで大手術をして100万円の医療費がかかっても、個人の自己負担は一般的な所得であれば月額8万〜9万円程度に抑えられます。

  • 遺族年金: 働いている現役世代(特に厚生年金加入者)に万が一のことがあった場合、残された家族には国から遺族年金が支給されます。

  • 傷病手当金: 病気で長期間働けなくなった場合、給与の約3分の2が最長1年6ヶ月間支給されます。

これらの公的保障を知っていれば、民間の生命保険や医療保険で「何千万円もの過剰な保障」をつける必要がないことに気づけます。不足する分だけをピンポイントで補うのが、正しい保険の入り方です。

第6章:初心者向け・失敗しないためのステップバイステップ実践ガイド

最後に、これから資産運用や保険の見直しを始める初心者のための具体的な実践手順を解説します。

ステップ1:現状の家計の「見える化」と生活防衛資金の確保

まずは毎月の収支を把握し、最低でも生活費の3ヶ月〜6ヶ月分(ひとり暮らしなら50万〜100万円、ファミリーなら150万〜200万円程度)を、銀行の普通預金に「生活防衛資金」として確保します。これが貯まるまでは、投資も貯蓄型保険も始めてはいけません。

ステップ2:自分に必要な「本当の保障額(必要保障額)」を計算する

自分が今、死亡したり働けなくなったりした場合に、家族にいくら遺さなければならないかを計算します。

必要保障額 = (将来必要な遺族の生活費 + 子どもの教育費) – (遺族年金 + 現在の貯金額 + 配偶者の収入)

独身の方であれば、お葬式代(200万円程度)があれば十分なことが多く、高額な死亡保険は不要です。

ステップ3:保障は「掛け捨て」で最安のものを探す

ステップ2で導き出した必要保障額をカバーするため、ネット生保などの「掛け捨て型死亡保険(定期保険や収入保障保険)」に加入します。ネット生保は人件費がかからないため、大手の対面型保険に比べて保険料が半額以下になることも珍しくありません。

ステップ4:資産運用は「NISA」からスタートする

保障を安く確保して浮いたお金を使い、証券口座(SBI証券や楽天証券などのネット証券がコスト最安で推奨されます)を開設します。

まずは「NISA(少額投資非課税制度)」のつみたて投資枠を使い、低コストな全世界株式(オール・カントリー)などのインデックスファンドを、毎月1万円でも5,000円でも良いので、コツコツと積み立て始めます。

ステップ5:保険での運用を検討するのは「最後」

NISAやiDeCoの上限額まで投資枠を使い切っており、それでもなお「将来の相続税対策をしたい」「確実な受取人を指定して現金を遺したい」「所得税の生命保険料控除の枠を使い切って少しでも節税したい」という明確な目的が生まれた段階で、初めて「貯蓄型保険」の加入を比較・検討してください。

結論:あなた自身の「人生の羅針盤」を持つために

資産運用も保険も、あなたの人生を豊かにし、安心をもたらすための「手段」に過ぎません。

  • お金を効率的に増やしたいなら、コストが低く自由度の高い「NISA」や「iDeCo」を選ぶ。

  • 万が一の時の大きなリスクをヘッジしたいなら、コストの安い「掛け捨て保険」を契約する。

  • 自分が亡くなった後の家族への確実な資金承継や税金対策を行いたいなら、「貯蓄型保険(終身保険)」を活用する。

このように、それぞれの強みを理解し、役割を明確に分担させることが、現代の資産形成における最も賢明なアプローチです。

誰かに言われた通りに契約するのではなく、この記事で学んだ体系的な知識を武器に、ご自身のライフプランに最適な戦略を選び取ってください。一歩を踏み出すその知識こそが、あなたの未来の資産を守る最大の盾となります。

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