【図でわかる】株の窓埋めとは?窓埋めを利用した3つの売買戦略

皆さんは「窓埋め」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

株をやっていると「窓埋め」という言葉は、いずれ耳にする事になるくらい有名な現象です。

まだ聞いたことがない人は、「窓埋め」とはいったい何のことだろうと思うでしょう。聞いたことがある人でも、「窓埋め」とはどういうことを言い、またどの様な意味があるのかを正確に把握している人は少ないと思います。

kabuyo-r.png カブよ

株の「窓埋め」?ぜんぜんイメージわかないよ〜

 

では「窓埋め」の前に、まず株の「窓」について説明しておきましょう。

株の「窓」とは、連続したローソク足などのチャート(ヒゲ含む)が重ならない空白(箇所)のことです。

そうなると・・・。もうお分かりですね。株の「窓埋め」とは、この「窓」と言われるチャート上の空白を「埋める」ことをいうのです。

株の窓埋め

株で「窓」が現れると、相場の流れに変化があった、何か個別の材料が出た、相場の勢いが急速に増した、等のことが明確にわかります。

その「窓」が「埋まった」時は、「窓」を作った材料(流れ)が終わったことを示唆していることもあるので、「窓埋め」は昔から株の売買シグナルとして、注目をされてきました。

この記事では、「窓埋め」とはどういうことか、「窓埋め」するとどうなるのかなどを解説していくとともに、代表的な「窓埋め」戦略も紹介していこうと思います。

「窓埋め」の理解を深め、株式相場を上手に渡っていきましょう!

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

1章 窓埋めとは何か?

「窓埋め」とは、株価チャート上に現れた「窓」と言われる、空白を埋めることを言います。

「窓」とは、連続したローソク足などのチャート(ヒゲ含む)が重ならない空白(箇所)のことで、この「窓」ができることを「窓開け」と呼びます。

株の「窓」とは

皆さんも株をやっていると「窓埋め」をよく見かけることでしょう。

次章ではこの「窓埋め」という現象をどのように捉えれば良いのかを説明していこうと思います。

2章 窓埋めの捉え方

「窓埋め」をいったいどのように捉えれば良いのでしょうか?

結論から言うと、「窓埋め」は「窓」を開けた方向に動いた相場がひと段落、または終了したことを示唆していると考えられます。

「窓」は相場で何か材料が発表された時や、一方向に勢いがついている時に出やすい傾向にあります。

「窓」を開けた勢い(材料)が無くなると、株は元の値段に戻っていきますので、結果的に「窓埋め」という現象が起こるのです。

時には、開けた「窓」をその日のうちに窓埋めすることもあります。

「埋めない窓はない」という相場格言があるくらい、相場の世界で「窓埋め」はよく見かける現象です。

ただ、「埋めない窓はない」は、必ずしもそうとは限らないので鵜呑みにしない様にしましょう。

特に金融相場で実力以上に買われ続けてきた株などは、高値圏で下方向に窓を開けて、窓埋めすることなく見向きもされなくなることもあるので、注意が必要です。

株の窓埋めの捉え方

このように「窓埋め」は必ずしもするものではありませんが、「窓埋め」をした時は、相場の流れを確認する手段として参考にすることはできるので、注目しておいて良いでしょう。

次の章では、「窓」ができるきっかけを、「窓埋め」のしやすさ、しにくさも踏まえながら解説していきたいと思います。

ここまで「窓埋め」が何を表しているのかを解説してきました。

私たちの運営する投資スクールGFSの生徒さんに株の知識を勉強した体験談を聞きしたインタビュー記事もあるので、気になる方はこちらも参考にしてみてください。

株の基礎知識を身につけて、FXから個別株売買にシフトしたTさん(40代・男性)
10年間にわたって個別株、FXの取引を行ってきたものの、負け続きだったというTさん

「今まではFXが中心だったのですが、FXをやめて個別株売買にシフトできました。

テクニカル分析しか行っていなかったので、経済指標が株価等にどのような影響を及ぼすか分かっていなかったのですが、GFSに入校したことで投資に必要な知識を得ることができました。

今までは丸腰で戦場に向かっていたのが、ちゃんとした武器と防具を装備して戦場に向かえるようになった感じでした」

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投資歴10年、GFSに入校後投資スタイルを変えて自信がもてた40代男性

3章「窓」を開ける8つのきっかけ

株式相場で「窓」が開くときは、「想定外の材料が発表された」、「需給が一方的に傾いた」など、何かしらきっかけがあるのが普通です。(ものです。)

 

ここでは、株式相場で「窓」を開ける「きっかけ」について具体例を挙げながら解説していきたいと思います。

株式相場で「窓」を開ける代表的な「きっかけ」は以下のものがあります。

①金融政策の大幅な変更
②企業業績の上方(下方)修正(予想も含む)
③有力企業との資本・業務提携
④不祥事
⑤公募増資などのファイナンス
⑥自社株買い
⑦市場変更
⑧損失確定の投げ(踏み) 

簡単に説明していきます。

①金融政策の大幅な変更

金融政策の大幅な変更があると、「窓」を開けやすくなります。

金融政策の変更は景気に影響を与えるものであり、相場にとっても非常にインパクトが大きい材料です。

金融政策は長期にわたり続くので、この材料で開いた「窓」は長期間「窓埋め」しない、もしくは「窓埋め」しない可能性が高くなります。

金融政策の変更によって「窓」ができた場合は、「窓」が開いた方向にポジションをとったほうが、株式相場の恩恵を受けることができると思われます。

②企業業績(予想含む)の上方(下方)修正

企業業績の修正が発表されるときも、「窓」を開けることが多く見うけられます。

業績の修正幅が大きければ大きいほど「窓」も大きく開きますし、長期に渡って「窓埋め」しないこともあります。

反対に業績修正が一時的だった場合は、業績修正発表後すぐに「窓埋め」してしまうでしょう。

業績修正後に開いた「窓」は業績の内容を精査した上で、相場変化の「きっかけ」として捉えるのか、失速して「窓埋め」する可能性が高いのかの判断をするようにしましょう。

③有力企業との資本・業務提携

有力企業との資本・業務提携も「窓」を開けやすくなります。

資本・業務提携の内容にもよりますが、長期間に渡って企業の業績に影響を与える内容であったり、提携効果により今までの企業内容から様変わりするような場合でもない限り、徐々に「窓埋め」をすることが考えられます。

④企業の不祥事

企業の不祥事も「窓」を開ける要因になります。

このきっかけも②③と同様に、内容の大きさによって程度の差はありますが、基本的に内容が長期的影響がない場合は比較的早く「窓埋め」するでしょう。

ただ、不祥事が会社の存続に関わる内容であった場合は「窓埋め」しないことも考えられるので、注意が必要です。

⑤公募増資などのファイナンス

公募増資などの、ファイナンスが発表された時も、「窓」が開くことがあります。

この場合もいずれ「窓埋め」するでしょうが、公募増資の規模が大きすぎると、思いのほか「窓埋め」に時間がかかることがあるので注意が必要です。

⑥自社株買い

自社株買いを発表すると、特にその規模が大きい場合は顕著に「窓」を開けます。

ただし、自社株買いは期間及び買取株数・金額が決まっていますので、自社株買いが終わってしまえば、いずれ「窓埋め」することが考えられます。

⑦市場変更

現在上場しているしている市場から、大きい市場への市場変更が発表された場合も、「窓」を開けることがあります。

大きい市場への変更をすると、その企業の株がTOPIXなどの指数に組み入れられる場合があります。

TOPIXなどの指数は、インデックスファンドなどの運用指標になっていますので、市場変更をした企業がTOPIXなどの指数に採用されると一時的に需要が発生するのですが、この一時的な需要を見越して「窓」を開けることがあるのです。

ただ、市場変更に伴う一時的な特殊需要の発生日を過ぎてしまうと、他に買われ続ける理由もないので、「窓埋め」することになるでしょう。

⑧損失確定の投げ(踏み)

損失確定の投げ(踏み)が出ると「窓」を開けることがあります。

 

損失確定の投げ(踏み)とは、ある投資主体が一定のルールにのっとり損失を確定して投資ポジションを解消することです。
ちなみに「投げ」は買ったポジションの、「踏み」は空売ったポジションの、損失を確定させることを言います。

この場合にできる「窓」は、一時的に需給が極端に傾くことによってできるため、速やかに「窓埋め」をすることでしょう。

以上、「窓」ができる「きっかけ」を、「窓埋め」する可能性・時間も絡めながら説明してきました。

このほかにも「窓」が開く「きっかけ」はいろいろありますが、上記のように、「窓埋め」するか、するならどれくらいの期間で「窓埋め」するのかを考えながら「窓」の考察をしていけば、投資の経験値を上げることができると思いますので、試してみるのもいいと思います。

4章 窓埋めを利用した3つの売買戦略

ここまで「窓埋め」について見てきました。

皆さんの中には「窓埋め」を利用して株の売買を行うことはできないだろうかと、思われた方もいると思います。

この章では、昔からよく知られている「窓埋め」を利用した、3つの売買手法を紹介しておきます。

①三空
②ウップス
③アウトサイド・デイ

①三空

「三空」とはチャート上で陽線または陰線が4日連続で続き、かつそれぞれのチャートに「窓」が開いた状態のことです。

 

「三空」は目先の相場反転を示唆するチャート形状と言われており、早晩「窓埋め」すると考えられるので、これを利用して売買することもあります。

陽線時の「三空」には、「三空踏み上げに売り向かえ」、陰線時の「三空」には、「三空叩き込みには買い向かえ」という相場格言もあり、「三空」は逆張りのサインと捉えられています。

窓埋めを利用した売買戦略「三空」

ただ、「三空」は滅多に見かけることがありませんし、金融相場下のように資金が有り余っているような相場では、「三空」以上に「窓」を開けて上昇する場合もありますので、注意が必要です。

②ウップス

「ウップス」は、株の短期売買戦略の一つで、「窓埋め」を利用する投資手法です。

 

当日の始値が、前日の安値よりも安く始まった場合、前日の安値に到達したら(「窓埋め」したら)買い。反対に、始値が、前日の高値よりも高く始まり、前日の高値に到達したら空売りするという投資戦略です。

ウップス戦略は相場にトレンドが出ている時に、出ているトレンドと逆方向に「窓」が出た時にポジションをとると、勝率が上がる投資戦略と言われています。

 

窓埋めを利用した売買戦略「ウップス」

③アウトサイド・デイ

「アウトサイド・デイ」戦略も短期売買戦略で、こちらは窓埋めを当て込んだ投資手法です。

 

「アウトサイド・デイ」とは、前日のチャートを当日のチャートがすっぽり包み込んだ形状で「抱き線・包み足」のことです。

「アウトサイド・デイ」の翌日、前日の安値(高値)より安く(高く)株価が始まる場合、寄り付きから買う(売る)という戦略で、「窓埋め」を当て込んでポジションを取ります。

「アウトサイド・デイ」戦略もウップス戦略同様、相場にトレンドが出ている時に、出ているトレンドと逆方向に「窓」が出た時にポジションをとると、勝率が上がる投資戦略と言われています。

窓埋めを利用した売買戦略「アウトサイド・デイ」

ここで紹介した投資手法以外にも、「窓埋め」を利用した投資手法はいろいろありますので、ご興味がある方は調べてみると面白いと思います。

5章 株の窓埋めに関するQ&A

ここでは、株の窓埋めに関するよくある質問についてまとめてみました。
今回取り上げる質問は以下の3つです。

  • 株の窓埋めにかかる期間は?
  • 株で窓埋めされる確率は?
  • 株で窓を埋めるとどうなる?

それぞれ、順番に見ていきましょう。

株の窓埋めにかかる期間は?

株の窓埋めにかかる期間を一概に言い切ることはできない、というのがご質問への回答になります。

窓埋めの期間は、一般的には数日から数ヶ月以内に埋まる傾向にあると言われています。

また、早い場合は1日で埋まることもありますし、その一方で開いた窓が埋まらないケースや、長期間トレンドが継続することも珍しくありません。

このように、窓が埋まる期間がバラバラなのは、窓が開いたきっかけや、窓の大小、さらには銘柄ごとの値動きの特徴など、様々な要因が絡み合って前後するためです。

残念ながら、窓埋めにかかる期間を正確に予測する方法はないので、目の前の値動きに臨機応変に対応していくように心がけましょう。

株で窓埋めされる確率は?

窓埋めにかかる期間を予測することと同じく、窓埋めの確率も算出することはかなり難しいでしょう。
そのため、あくまで個人的な経験則に基づいてお答えすると、窓埋めする確率は50:50といったところだと思います。

なお、これは、「窓埋めにかかる期間を考慮しないのであれば」という話です。
窓埋めしてから1日、あるいは数日のうちに窓が埋まる確率、となるとさらに確率的に低い印象です。

また、窓が大きく開けばそれだけ埋まるまでの期間は長くなる傾向にありますし、他にも、当然銘柄ごとの値動きの特徴も考慮しなければなりません。

窓埋めだけを根拠にトレードをするのは、あまり優位性が高いとは言えないため、避けた方が無難です。

もし、窓埋めをきっかけにトレードを検討する際は、他の根拠も加味して行うようにしてください。

株で窓を埋めるとどうなる?

これも結論としては、ケースバイケースです。

開いた窓が埋まったのを見て「窓を作った材料が終わった」と捉える投資家による新規注文が入ってくることが予想されます。

しかし、そういった注文が入ってくることを見越して、さらに売り、買いを仕掛ける投資家も存在するため、窓埋めの後の値動きを「こうなる」と決めつけてしまうのはリスクが高いです。

よって、短期的な売買を行うのであれば、窓埋め後の値動きをどうなるのか予想するのではなく、その時の値動きに応じた適切な判断が求められます。

中長期的な投資を行うのであれば、窓を開けた原因を検証した上で、大局的な判断をすることとなるでしょう。

窓埋めを売買シグナルとした手法は存在しますが、当然のことながら100%の勝率はあり得ません。
正解を求めるよりも、「優位性」を高めることに注力することをおすすめします。

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なお、株式投資で成功するための心得は以下の記事でも紹介していますので、株初心者の方はこちらも合わせてお読みください。
初心者でもできる!株式投資で成果をだせるようになるための王道の方法

まとめ

窓埋めとは何か?

「窓埋め」とは、株価チャート上に現れた「窓」と言われる、空白を埋めること

株の窓埋め

窓埋めの捉え方

「窓埋め」は「窓」を開けた方向に動いた相場がひと段落、または終了したことを示唆している

 

「窓」を開ける8つのきっかけ

  • 金融政策の大幅な変更
  • 企業業績(予想含む)の上方(下方)修正
  • 有力企業との資本・業務提携
  • 企業の不祥事
  • 公募増資などのファイナンス
  • 自社株買い
  • 市場変更
  • 損失確定の投げ(踏み)

 

窓埋めを利用した3つの売買戦略

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