
定年退職という人生の大きな転換期において、手元にある「退職金」をどう守り、どう増やすかは、その後の30年以上にわたる「老後生活」の質を決定づけます。
2026年、私たちは「インフレの定着」と「制度の激変」という新しい局面に立っています。かつてのような「銀行に預けておけば安心」という時代は終わり、自らの知性で資産をコントロールするスキルが不可欠となりました。
本記事では、退職金の受け取り方、税金の仕組み、新NISAの戦略的活用、そしてリスクを抑えた債券運用の極意まで、徹底解説します。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
定年後の資産運用完全ガイド|退職金の受取・税金から新NISA・債券活用の最適解まで
【目次】
序章:2026年、定年後の資産運用を取り巻く「3つの新常識」
第1章:出口戦略の第一歩「退職金」の受け取り方と税金の罠
第2章:やってはいけない!定年直後の「NG運用」ワースト3
第3章:2026年版・新NISAをフル活用した「取り崩し型」運用
第4章:資産の守り神「債券投資」の重要性と具体的な選び方
第5章:インフレに勝つ!実物資産と株式の絶妙なバランス
第6章:毎月分配金の「代替」を作る――ETFと高配当株の戦略
第7章:iDeCoの出口戦略:一時金か年金か、端境期の判断基準
第8章:介護・相続を見据えた「資産の仕分け」と終活投資
第9章:【実践】資産寿命を延ばす「4%ルール」の2026年解釈
第10章:暴落局面の処方箋――リバランスと心の安定法
第11章:学習と相談:誰を信じ、何を学ぶべきか
終章:資産運用は「幸せな自由時間」を創り出すための道具
序章:2026年、定年後の資産運用を取り巻く「3つの新常識」
定年を迎える皆様、まずはお疲れ様でした。しかし、休む間もなく「お金の管理」という新しい仕事が始まります。2026年現在、私たちが直面している状況は、親の世代とは全く異なります。
インフレの定着: 物価が上がり続ける今、現金のまま持っておくことは「目減り」を容認することと同義です。
新NISAの普及: 非課税枠の拡大により、国は「自助努力」を強力にバックアップしています。これを使わない手はありません。
長寿化の深化: 「人生100年」が現実味を帯びる中、60歳、65歳からの運用期間は「あと30年以上」あります。これは立派な「長期投資」の期間です。
第1章:出口戦略の第一歩「退職金」の受け取り方と税金の罠
退職金は、一生に一度の大きな入金です。ここで「受け取り方」を間違えると、数十万、数百万単位の差が出ます。
1.1 一時金か、年金か、それとも併用か
一時金(一括受取): 「退職所得控除」が適用され、税負担を大幅に軽減できるケースが多いのが特徴です。まとまった負債の返済や、NISAへの一括投資に向いています。
年金(分割受取): 雑所得として扱われ、公的年金等控除の枠を超えると、所得税・住民税に加え、翌年の社会保険料(国民健康保険料など)が跳ね上がるリスクがあります。
併用: 2026年の税制でも、一時金で控除枠を使い切り、残りを年金で受け取る「ハイブリッド型」が、手残りを最大化する黄金律とされています。
第2章:やってはいけない!定年直後の「NG運用」ワースト3
定年退職を迎えると、銀行や証券会社のマイページ、あるいは店頭で「退職金受取口座」としての手厚いサービスを提示されます。しかし、そこで提案される「特別感のある商品」の多くは、金融機関側の収益を最大化するためのものであり、あなたの資産寿命を延ばすためのものではありません。
ここでは、特に2026年現在、多くのシニアが陥りやすい3つの罠を具体的に解説します。
NG① 銀行窓口の「退職金専用・特別定期預金セットプラン」
定年退職者が最も遭遇しやすいのが、「退職金受取者限定!3ヶ月間・特別金利年利5.0%」といった破格のキャンペーンです。
具体的な罠: このプランの多くは「定期預金と投資信託(または保険)をセットで申し込むこと」が条件です。 例えば、2,000万円の退職金のうち1,000万円を「金利5.0%の定期預金」に入れ、残りの1,000万円で「銀行が推奨する投資信託」を購入するケースを考えてみましょう。
数字のからくり: 定期預金の5.0%は「年利」です。3ヶ月で満期となるため、実際に得られる利息は(税引前で)わずか12.5万円程度です。一方で、セットで購入させられる投資信託には「購入時手数料(3.3%など)」や「高い信託報酬(年1.5%〜)」がかかっています。1,000万円の購入で、その瞬間に33万円の手数料を支払うことになり、定期預金の利息など一瞬で吹き飛んでしまいます。
結論: 短期的な高金利に釣られて、長期的に「コストを払い続ける商品」を抱え込まされるのは、典型的な負け戦です。
NG② 「仕組み債」や「複雑な外貨建て保険」への一括投入
「年利4%確定で、元本もほぼ守られます」という説明。2026年、米ドル金利が高止まりしている状況下で、非常に魅力的に聞こえる提案です。
具体的な失敗事例: Aさん(65歳)は、大手証券会社から「日経平均株価が一定以下にならない限り、年利5%の利息がドルで入る」という仕組み債(EB債など)を勧められ、退職金から1,500万円を投じました。しかし、想定外の世界的な金融ショックにより、日経平均がわずかに設定ライン(ノックイン価格)を下回った瞬間、元本が大きく毀損。償還時には「現金の代わりに、暴落した株式」が割り当てられ、資産が4割減少してしまいました。
なぜ危険なのか: 仕組み債や外貨建て保険は、中身がブラックボックス化されており、複雑なオプション取引が組み込まれています。好調な時は良いですが、ひとたび「境界線」を超えると損失が加速度的に膨らむ設計になっています。定年後の大切な資金を、**「自分ですら仕組みを説明できない商品」**に預けるのは、資産運用の自殺行為です。
NG③ 退職金での「全額・一括投資」
どんなに優れた投資先(例えばS&P500連動のインデックスファンドなど)であっても、手元のキャッシュを一度にすべて投じるのは、定年後にはリスクが大きすぎます。
具体的なシミュレーション: 退職金3,000万円を、2026年1月にすべて米国株ファンドに投じたとします。その直後、歴史的な円高や米国のリセッション(景気後退)が重なり、20%の暴落が起きた場合、資産は一気に2,400万円まで減ります。現役世代なら「回復を待つ時間」がありますが、定年後はここから生活費を取り崩さなければなりません。
「順序のリスク」の恐怖: 資産運用において、運用初期に大きな下落を経験しながら取り崩しを始めると、資産の回復が追いつかなくなり、急速に底をつく確率が高まります(これを収益率配列のリスクと呼びます)。
対策: 投資に回す資金が決まっていても、それを24ヶ月〜60ヶ月(2年〜5年)かけて分割投入すること。これにより、相場の高値掴みを防ぎ、暴落時にも「まだ投入する資金がある」という心の余裕を持つことができます。
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第3章:新NISAを活用した具体的な「取り崩しシミュレーション」
2026年現在、新NISAは導入から2年が経過し、多くのシニア層が「特定口座からNISAへの資産移管」を完了させつつあります。ここでは、退職金の一部をNISAで運用しながら、毎月一定額を受け取る「自分年金」のモデルを構築します。
3.1 シミュレーションの前提条件
運用原資: 1,800万円(新NISAの生涯投資枠をフル活用)
運用商品: 全世界株式(オール・カントリー)や米国株、債券を組み合わせたバランス運用
期待リターン: 年利 3.0%(定年後を想定した保守的な設定)
取り崩し額: 毎月 10万円(年間120万円)
比較対象: 1. 銀行預金(金利0.1%)で取り崩した場合
2. 新NISA(運用益非課税)で3.0%運用しながら取り崩した場合
3.2 衝撃の結果:資産寿命の「11年」の差
以下の表は、65歳から取り崩しを開始した際の資産残高の推移です。
| 経過年数(年齢) | 預金のみ(金利0.1%) | 新NISA運用(3.0%) |
| 開始時(65歳) | 1,800万円 | 1,800万円 |
| 5年後(70歳) | 1,209万円 | 1,365万円 |
| 10年後(75歳) | 617万円 | 860万円 |
| 15年後(80歳) | 24万円(枯渇寸前) | 276万円 |
| 17年後(82歳) | 0円(完全に底をつく) | 28万円 |
| 28年後(93歳) | – | 0円(ようやく枯渇) |
【解説】
預金のみの場合: 運用をしないと、毎月10万円の取り崩しにより、わずか15年前後で資産は底をつきます。82歳の時点で手元にお金がなくなる恐怖は、人生100年時代においてあまりに過酷です。
新NISAで運用した場合: 年利3%という控えめな運用であっても、資産寿命は約28年まで延びます。93歳まで資産が持ちこたえる計算になり、公的年金と合わせれば、一生涯の安心を手に入れることが現実味を帯びてきます。
3.3 2026年税制における「非課税メリット」の威力
通常の特定口座(課税口座)で運用しながら取り崩す場合、利益に対して約20%の税金がかかります。
特定口座の場合: 3%の運用益が出ても、税引き後の実質リターンは約2.4%に低下します。
新NISAの場合: 運用益に対して税金が一切かからないため、3.0%のリターンをそのまま取り崩し原資に回せます。
この「年0.6%の差」は、20年、30年という長期スパンで見ると、数百万円単位の「手残りの差」となって現れます。2026年の定年世代にとって、新NISAは「単なるお得な制度」ではなく、「資産寿命を死守するための必須インフラ」なのです。
3.4 成功させるための「定率・定額ハイブリッド」戦術
シミュレーションは「毎年一定」で計算されますが、実際の相場は上下します。資産を長持ちさせるための2026年版・最新ルールがこちらです。
好況期(資産が増えている時): 「定額(10万円)」で取り崩し、余った運用益はNISA口座内に残して複利で育てます。
不況期(暴落した時): 「定率」に切り替え、取り崩し額を一時的に減らします(例:10万円を7万円に減額)。不足分は、第2章で解説した「現金バッファ(預金)」から補填します。
このように、NISA口座の資産を「相場が悪い時に無理やり売らない」仕組みを作ることが、シミュレーション通りの資産寿命を実現するための極意です。
第4章:資産の守り神『債券投資』――金利のある世界での新戦略
長らく続いたゼロ金利時代が終わり、2026年現在は「金利のある世界」が定着しています。これにより、株式に全振りしなくても、債券をうまく組み合わせることで「守りながら増やす」ことが容易になりました。
定年後の運用において、債券の役割は「利益の爆発力」ではなく、「資産のクッション」と「計算できる現金収入」です。2026年、日本国債の利回りも上昇し、米国債も魅力的な水準にあります。これらをどう選ぶべきか、具体的に掘り下げます。
4.1 債券投資が「守り神」と呼ばれる理由
債券は、国や企業にお金を貸し、その見返りに「利息」をもらう仕組みです。株式との決定的な違いは以下の2点です。
償還がある: 満期になれば、発行体が破綻しない限り額面金額が戻ってきます。
逆相関の動き: 一般的に、景気が悪化して株価が下がる局面では、金利が低下(債券価格は上昇)するため、資産全体の大幅な下落を防いでくれます。
4.2 2026年、シニアが注目すべき3つの債券
2026年の金利水準を踏まえた、具体的で現実的な選択肢は以下の通りです。
① 個人向け国債「変動10年」
「元本割れを絶対に避けたい」という資金の預け先として、2026年現在も最強の選択肢の一つです。
メリット: 日本の金利が上がれば受け取れる利息も増えます。最低でも0.05%の金利が保証されており、1年経てば国が額面で買い取ってくれるため、流動性も高いのが特徴です。
役割: 「すぐには使わないが、数年内に使う可能性がある現金」の置き場として最適です。
② 米国債(生債券またはETF)
2026年、米国のインフレが落ち着きを見せつつも金利が一定水準を維持している現在、米国債は魅力的なインカムゲイン(利息収入)源です。
具体例: 残存期間が5年〜10年程度の「生債券」をドル建てで購入する。あるいは、**AGG(iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF)**のような、優良債券に幅広く分散されたETFを活用します。
注意点: 為替リスクがあるため、資産のすべてを投じるのではなく、ポートフォリオの20〜30%程度に留めるのが2026年のスタンダードな守りの姿勢です。
③ 国内外の「格付けの高い」社債
銀行窓口などで紹介される「劣後債」などは避け、トヨタ自動車のような超優良企業の「普通社債」を選びます。2026年は日本企業の社債利回りも1%前後〜狙えるようになっており、銀行預金の代替として機能します。
4.3 債券投資でやってはいけない「NG行動」
「高利回り」すぎる債券に飛びつく: 年利7%や10%を超えるような債券(ハイイールド債や新興国債)は、実質的には株式と同等かそれ以上のリスクがあります。定年後の債券枠はあくまで「守り」であり、格付けが**「A以上」**の投資適格債に絞るべきです。
金利上昇局面での長期債一括購入: 金利が上がると、すでに発行されている債券の価格は下がります。2026年も金利が変動する可能性があるため、一度に買わず、償還時期が異なる債券を組み合わせる**「ラダー型運用(はしご型)」**を行い、リスクを分散させることが肝要です。
第4章のまとめ:債券を組み入れた「黄金比率」
2026年の定年後運用における理想的な配分の一例は以下の通りです。
株式(新NISA等): 40%(成長とインフレ対策)
債券(国債・格付の高い社債): 40%(安定した利息とクッション)
現金(預金): 20%(急な出費と暴落時の買い増し用)
このように債券を4割組み込むことで、市場が荒れた際も夜ぐっすり眠れる、精神的に安定した「完熟の運用」が可能になります。
第5章:インフレに勝つ!実物資産と株式の絶妙なバランス
2026年現在、私たちの生活実感として「モノの値段が下がらない」ことが当たり前になりました。これを投資の観点で見ると、「現金の価値が相対的に下がり続けている」ことを意味します。定年後の30年間、資産を守り抜くためには、インフレに連動して価値が上がる「インフレ耐性資産」をポートフォリオに組み込む必要があります。
5.1 なぜ「株式」はインフレに強いのか
意外に思われるかもしれませんが、株式は有力なインフレ対策資産です。
価格転嫁のメカニズム: インフレで原材料費が上がっても、優秀な企業は製品やサービスの価格を値上げすることで利益を維持します。企業の利益が増えれば、中長期的には株価も上昇します。
2026年の注目: 特に生産性を高めるAI技術を導入し、コストを抑えつつ売価を維持できる「高収益企業」の株式は、インフレ下での資産防衛の要となります。
5.2 実物資産の代表格「金(ゴールド)」の役割
2026年の不透明な国際情勢下で、金は「無国籍通貨」としての輝きを増しています。
インフレとの相関: 通貨(円やドル)の価値が下がるとき、形ある「金」の価値は相対的に上がります。金そのものは利息を生みませんが、資産全体の「守りの盾」として機能します。
推奨される割合: 定年後のポートフォリオにおいては、資産全体の10%〜15%程度を金(ETFや純金積立)で持つのが、2026年の推奨バランスです。これ以上増やすと、配当や利息が得られないデメリットが大きくなるため注意が必要です。
5.3 不動産(REIT)で「家賃」というインフレヘッジを
自分で物件を管理する不動産投資は定年後には負担が重いですが、**J-REIT(不動産投資信託)**なら手軽に不動産の恩恵を受けられます。
賃料のインフレ連動: 物価が上がれば、中長期的にはオフィスや住居の賃料も上がります。REITは家賃収入を分配金として出すため、物価高にスライドした「自分年金」になり得ます。
2026年の視点: 2026年は物流施設やデータセンターなど、デジタル社会を支える不動産に特化したREITが、安定した分配金源としてシニア層に支持されています。
5.4 インフレ対策の「黄金比率」シミュレーション
2026年の物価上昇率を2〜3%と想定した場合の、攻めと守りの理想的なバランスは以下の通りです。
| 資産クラス | 配分目安 | 役割 |
| 株式(世界株・高配当株) | 40% | 攻め: 物価上昇を上回る成長と配当 |
| 債券(日本国債・米国債) | 30% | 守り: 資産の安定と確実な利息収入 |
| 金(ゴールド) | 10% | 保険: 通貨安・有事の際の価値保全 |
| 不動産(REIT) | 10% | 収益: インフレに強い毎月の分配金 |
| 現金(預金) | 10% | 流動性: 急な出費への備え |
【まとめ】
インフレ対策で最も重要なのは、「資産を一点に集中させない」ことです。株式で成長を取り、金で守りを固め、REITで現金流出を補う。この「チーム戦」の視点を持つことで、2026年以降の物価高時代を、ゆとりを持って歩むことができます。
第6章:毎月分配金の「代替」を作る――ETFと高配当株の戦略
第6章では、定年後の生活を最も支える「安定したキャッシュフロー」の作り方を解説します。
かつての「毎月分配型投資信託」は、元本を切り崩して分配金を出す仕組みが多く、資産寿命を縮める原因となっていました。しかし2026年、賢い投資家は「健全な高配当株・ETF」をパズルのように組み合わせることで、元本を維持しながら「月々10万円」の自分年金を生み出しています。
「月々10万円(年間120万円)」の配当金を得るためには、どれくらいの資金が必要で、どの銘柄を選べばよいのか。2026年の最新データを基に、具体的なポートフォリオ案をシミュレーションします。
6.1 月10万円(年120万円)達成に必要な資金額
まず、目標とする「手取り10万円」を達成するために必要な元本を、利回り別に算出します。
| 利回り(税引前) | 必要資金額(新NISA活用時※) | 特徴 |
| 3.0% | 約4,300万円 | 非常に堅実。減配リスクが低い。 |
| 4.0% | 約3,200万円 | 2026年の標準的目標。バランスが良い。 |
| 5.0% | 約2,600万円 | 攻めの姿勢。一部の個別銘柄を含む。 |
※生涯投資枠1,800万円を非課税(NISA)で運用し、残りを特定口座(課税20%)で運用すると仮定した概算です。
6.2 2026年版:黄金の「毎月配当」ポートフォリオ案
米国株と日本株には、それぞれ「配当月」のクセがあります。これらを組み合わせることで、銀行の振り込みのように毎月現金を受け取ることが可能です。
【1・4・7・10月】受取:米国高配当ETFの王道
VYM(バンガード・米国高配当株ETF): 約400銘柄に分散。2026年も高い増配率を維持。
1489(NF・日経高配当50指数ETF): 日本を代表する高配当企業50社。円安・インフレに強い。
【2・5・8・11月】受取:安定性と利回りのミックス
HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF): 財務の健全性が高い企業を厳選。
2564(グローバルX・MSCIスーパーディビィデンド-日本株式ETF): 利回りの高さを重視。
【3・6・9・12月】受取:メガテックと増配の融合
SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF): 利回り重視。株価の下落耐性には注意が必要。
日本の個別大型株(商社・銀行・通信): 三菱商事、三菱UFJ、NTTなど、株主還元に積極的な「累進配当」銘柄。
6.3 2026年注目:日本株「毎月分配型ETF」の台頭
2026年現在、これまで米国株にしかなかった「健全な毎月分配」の仕組みが日本株ETFでも拡充されています。
iFreeETF 日本株配当ローテーション(252Aなど): 銘柄を入れ替えながら、日本株の配当を毎月分配するタイプが登場。
利点: 為替リスク(円高・円安)を気にせず、日本円でそのまま生活費として使えるため、シニア層の強い味方となっています。
6.4 月10万円を生む「資産配分」シミュレーション
退職金3,000万円を保有している場合の構成例です。
新NISA枠(1,800万円): * VYM(米国株)に900万円:年配当 約27万円
日本の高配当株に900万円:年配当 約36万円
計:63万円(すべて非課税)
特定口座(1,200万円):
国内債券・J-REITに1,200万円(利回り3.5%):年配当 42万円
計:約34万円(税引後)
合計:約97万円(月額 約8.1万円)
あと一歩「月10万円」に届かせるには、利回りを4%以上に上げるか、少しずつ元本を取り崩す「定率取り崩し」を併用するのが2026年の最も合理的な解です。
・まずは少額から試したい YES or NO
・リスクはできるだけ抑えたい YES or NO
・投資先の見極め方を知りたい YES or NO
・成功している投資家と接点が欲しい YES or NO
・投資の知識をつけて利益を最大化したい YES or NO
第7章:iDeCoの出口戦略:一時金か年金か、端境期の判断基準
iDeCoは積立時の節税効果ばかりが注目されがちですが、実は定年後の「受け取り方」一つで、数十万円から数百万円単位の手残りが変わる非常にシビアな制度です。
iDeCoの出口戦略を考える上で、避けて通れないのが「退職所得控除」と「公的年金等控除」という2つの非課税枠の使い分けです。2026年現在、受取開始年齢の選択肢が75歳まで拡大したことで、より戦略的な「端境期(はざかいき)」の活用が可能になっています。
7.1 「一時金(一括受取)」を選ぶべきケース
一括で受け取る最大のメリットは「退職所得控除」が使えることです。
計算式: 勤続(加入)年数20年以下の部分は40万円/年、20年を超える部分は70万円/年が控除されます。
2026年の戦略: 会社の退職金が少ない方、あるいは自営業の方で「退職所得控除の枠が余っている」場合は、一時金として受け取るのが最も節税効率が高くなります。
注意点(重複の罠): 会社の退職金と同じ年に受け取ると、控除枠が合算されてしまい、税金が跳ね上がるリスクがあります。
7.2 「年金(分割受取)」を選ぶべきケース
毎月(または数ヶ月おき)に受け取る方法です。これは「公的年金等控除」の対象になります。
メリット: 65歳までの「無年金期間」の生活費を補填するのに最適です。
2026年の戦略: 65歳から受給が始まる「国民年金・厚生年金」の額が少ない方、あるいは繰り下げ受給を選択して65歳〜70歳の間の収入が空白になる方は、その期間にiDeCoを年金形式で受け取ることで、所得税・住民税を最小限に抑えられます。
7.3 2026年版:最強の「ハイブリッド受取」と5年・20年ルール
2026年現在の税制をフル活用した、最も賢い受け取り順序がこちらです。
先にiDeCoを「一時金」で受け取る: iDeCoを先に一括で受け取り、その5年以上後に会社の退職金を受け取ると、退職所得控除が「再利用(リセット)」できる場合があります。
先に会社の退職金を「一時金」で受け取る: この場合は、iDeCoの受取を20年以上後(※2026年現在の調整ルール)に遅らせる必要があります。
現実的な解: 多くの定年退職者は、会社の退職金を「一時金」で受け取り、iDeCoを「65歳からの年金形式(5〜10年分割)」で受け取ることで、公的年金等控除の枠を使い切るのが、最も税務署に持っていかれるお金を減らす方法です。
7.4 75歳までの「運用継続」という新機軸
2026年、iDeCoは受取開始を75歳まで遅らせることが可能です。
非課税運用の継続: 60歳で積立が終わっても、その後15年間、非課税で運用だけを続けることができます。
2026年の視点: 60代で十分な資産がある場合、あえてiDeCoには手をつけず、世界株などで運用を継続。70歳や75歳の「本当に医療や介護でお金が必要になる時期」に、大きく育った資産を一括で受け取るという「長生きリスク対策」としての活用がシニア層で急増しています。
第8章:介護・相続を見据えた「資産の仕分け」と終活投資
資産運用は「自分が使い切る」ためだけのものではありません。2026年、相続税の増税や認知症マネーの凍結が社会問題となる中、資産をどう「整理」しておくかは、運用そのものと同じくらい重要です。
8.1 資産の「色分け」と「見える化」
定年直後にまず行うべきは、資産の「目的別仕分け」です。
使う資産(流動性): 5年以内の生活費。現金・普通預金。
守る資産(安全性): 医療・介護予備費。個人向け国債・短期債券。
増やす資産(収益性): 10年後以降の資金。新NISA(世界株・高配当株)。
遺す資産(相続): 子供や孫へ。生命保険や生前贈与、ジュニアNISAから移行した新NISA枠。
8.2 2026年の終活投資:認知症への備え
「自分が管理できなくなった時」の対策は、投資家としての責任です。
代理人指名の徹底: ネット証券の「家族代理人制度」を必ず設定してください。本人が認知症と判断されると、口座が凍結され、新NISAの売却すら困難になります。
投資先の集約: 2026年は「管理の断捨離」がキーワードです。バラバラに持っていた多くの個別株を、1〜2本の投資信託やETFに集約し、家族がパッと見て中身が分かる状態にしておくことが、最大の思いやりです。
第9章:【実践】資産寿命を延ばす「4%ルール」の2026年解釈
投資先進国の米国で生まれた「4%ルール」は、もともと「資産の4%を毎年取り崩せば、30年後も資産が残っている確率が95%以上である」という研究(トリニティ・スタディ)に基づいています。しかし、2026年の日本でこれをそのまま実行するには、**「物価上昇(インフレ)」と「円安」**という2つの変数を組み込む必要があります。
9.1 2026年版:インフレ調整後の「実質4%ルール」
かつての日本はデフレだったため、10万円の価値は10年後もほぼ同じでした。しかし2026年現在、消費者物価指数(CPI)は2%程度で推移しています。
従来のルール: 3,000万円の4% = 120万円を毎年定額で受け取る。
2026年版の解釈: 1年目に120万円受け取ったなら、2年目は**「120万円 + インフレ分」**を受け取る。
具体例: インフレ率が2%なら、2年目は122.4万円、3年目は約125万円と、受け取り額を増やしていく必要があります。これを考慮しても資産を枯渇させないためには、運用利回りが「インフレ率 + 取り崩し率」を上回る設計が求められます。
9.2 「いくら持って、どう売れば」死ぬまでお金が続くのか
① 必要な資産額(25倍の法則)
あなたが年間で「年金以外に必要とする金額」の25倍が、目指すべき資産額の目安です。
月10万円(年120万円)不足なら: 120万円 × 25 = 3,000万円
月15万円(年180万円)不足なら: 180万円 × 25 = 4,500万円
② 売り方の極意:定率と定額の「いいとこ取り」
2026年の賢いシニアは、機械的な売却ではなく、以下の**「ガードレール戦略」**を取り入れています。
基本は「定率4%」: 資産残高の4%を売る。これなら資産が減ってもゼロにはなりにくい。
下限の設定: 暴落して4%が生活費を下回る場合は、あらかじめ用意した「現金バッファ」から補填し、NISA口座の資産は売らずに回復を待ちます。
上限の設定: 爆発的に資産が増えた年は、4%以上引き出さず、余剰分を将来の暴落への備えとしてストックします。
9.3 2026年最新シミュレーション:3,000万円を30年持たせる
インフレ率2%、運用利回り5%(世界株・債券混合)、取り崩し開始額4%とした場合:
| 経過年数 | 資産残高(予測) | 年間受取額(インフレ調整後) |
| 開始時(65歳) | 3,000万円 | 120.0万円 |
| 10年後(75歳) | 3,040万円 | 146.3万円 |
| 20年後(85歳) | 2,750万円 | 178.4万円 |
| 30年後(95歳) | 1,980万円 | 217.5万円 |
【驚きの結論】
2026年のインフレ環境下でも、新NISAをフル活用して非課税で運用し、インフレ率に合わせて受取額を微増させても、95歳時点でまだ約2,000万円もの資産が残る計算になります。
9.4 成功を阻む最大の敵「順序のリスク」
このシミュレーションを壊す唯一の要因は、「運用開始直後の大暴落」です。
対策: 定年後の最初の5年間は、リスク資産(株式)の割合をあえて低くし、徐々に高めていく手法がベターです。
第10章:暴落局面の処方箋――リバランスと心の安定法
「定年後に暴落が来たら終わりだ」という恐怖心が、適切な運用を妨げます。しかし、備えがあれば暴落は怖くありません。
10.1 「現金クッション」の魔力
ポートフォリオの30%〜50%を現金や短期債券で持っていれば、株式が50%暴落しても、資産全体の下落は15%〜25%程度に抑えられます。 「少なくとも5年分の生活費は現金で持っている」という確信があれば、相場の回復を待つ余裕が生まれます。暴落時に「安く買えるリバランス(債券を売って株を買う)」までできれば、数年後の資産は驚くほど回復します。
終章:資産運用は「幸せな自由時間」を創り出すための道具
最後にお伝えしたいのは、資産運用は「目的」ではなく、あなたの人生を豊かにするための「手段」であるということです。
2026年の日本において、正しい知識を持って資産を守り、育てることは、将来の不安を安心に変える唯一の道です。しかし、お金を増やすことに没頭するあまり、今しかできない体験や健康への投資を疎かにしてはいけません。
退職金という「守り」の基盤。
新NISAと債券という「攻めと守り」のハイブリッド。
そして、インフレに屈しない「知性」。
これらを武器に、第2の人生を最高に自由で、豊かなものにしていきましょう。あなたの積み重ねてきた努力が、これからの30年を黄金色に輝かせることを心より願っております。
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