Suica新キャラ騒動!「ペンギンの後継」は誰になる?ネットで賛否を呼ぶ3候補

「かわいい」だけではない、Suica新キャラクター騒動

交通系ICカード「Suica」の新キャラクター候補3案が9月8日に発表され、ネット上で大きな話題になっている。候補はリス、ウサギ、そしてモグラをポシェットに入れた不思議な生き物。2027年春に卒業する「Suicaのペンギン」の後継を、一般投票で決めるという異例の企画だ。

しかし、発表直後からネット上では「ペンギンのままでいい」「なぜこのデザインなのか」「3案とも個性的すぎる」といった戸惑いや辛辣な反応も目立った。一方で「見慣れればかわいくなる」「むしろC案が気になる」「新キャラを育てていくのも面白い」といった肯定的な声もある。海外メディアでも、ペンギンへの強い愛着と新キャラクターへの厳しい反応が紹介されるなど、単なる企業マスコットの交代を超えた話題になっている。

なぜここまで注目されるのか。それは、Suicaのペンギンが単なる広告キャラクターではなく、2001年のSuica誕生以来、25年にわたって利用者の日常に入り込んできた存在だからだ。駅で毎日のように目にし、カードやグッズ、広告などを通して親しんできたキャラクターが交代するとなれば、「新しいキャラがかわいいかどうか」だけではなく、「自分たちの知っているSuicaが変わってしまう」という感覚につながる。今回の騒動は、長年育てられたキャラクターブランドを刷新する難しさを象徴している。

キャラクター主体決定方法公募・投票の規模ポイント
ミャクミャク2025年大阪・関西万博デザイン公募+愛称公募デザイン約2,000件、愛称33,197件デザインは公募作品から選考、名前は一般公募で決定
ひこにゃん彦根市デザイン公募ゆるキャラブームの先駆け
くまモン熊本県デザイン制作+人気投票ゆるキャラGP優勝で全国区に
ぐんまちゃん群馬県デザイン公募公募→長年の人気キャラへ
ふじキュン♡藤沢市デザイン公募+市民投票市民参加型
エドリバー江戸川区デザイン公募+区民投票3,696作品2026年決定
Suica新キャラクターJR東日本候補3案+一般投票2026年投票中現在進行形の企業事例

Suica新キャラクターはどう決まる?25年続いたペンギンから次の“顔”へ

交通系ICカード「Suica」の象徴として、長年親しまれてきた「Suicaのペンギン」。駅のポスターや広告、グッズなどでおなじみの存在だが、2026年度末をもって卒業し、2027年春から新しいイメージキャラクターへバトンタッチすることが決まった。しかも今回の新キャラクターは、企業側だけで決めるのではなく、JR東日本グループ社員、若手クリエイター、そして利用者が段階的に参加して決めていくという、これまでとは一味違ったプロセスが採用されている。

そもそも今回のキャラクター刷新は、単なるマスコット交代ではない。JR東日本は現在、Suicaを「移動と少額決済のデバイス」から、地域や日々の暮らしまで幅広くつなぐ「生活のデバイス」へ進化させる「Suica Renaissance」を掲げている。鉄道に乗るためのカードという従来のイメージを超え、買い物、地域サービス、金融、デジタルサービスなど、生活のさまざまな場面に広げていく。その新しいSuicaの世界観を象徴する存在として、新キャラクターが位置づけられている。

新キャラクター誕生への第一歩は、2026年2月以降に始まった。JR東日本グループの社員から「新しいキャラクターにどんな活躍をしてほしいか」「どのような存在になってほしいか」といった意見を集めたのである。つまり、最初から絵を描いて人気投票をするのではなく、まずSuicaを日々支える社員たちの思いを集め、それをキャラクターのコンセプトにつなげていく方式だ。

次の段階では、選考委員会が指名した若手クリエイターが原案を制作した。集められた社員の意見や「Suica Renaissance」の考え方を踏まえ、さまざまなキャラクター案を制作。その中から選考委員会が最終候補を3案に絞り込んだ。2026年7月には若手クリエイターによる原案制作、8月には選考委員会によるデザイン選出という工程が進み、現在の3候補へとたどり着いた。

その3候補は、それぞれ明確に異なる個性を持っている。

A案はリスのキャラクターだ。身体には頭から尻尾まで一本のラインが走っており、これは「RAILWAY」をイメージしたもの。日本をつなぎ、人々の生活をつなぐJR東日本から発想を得たデザインで、柔らかな曲線によって親しみやすさを表現している。選考委員からも「生活に寄り添う」というコンセプトを体現し、表情豊かで物語が生まれそうなキャラクターとして評価されている。

B案はうさぎ。移動手段を超えて、人と街、未来をつなぐ存在として「うさぎ」が選ばれた。周囲の声に耳を傾け、未来へ跳び進むイメージが込められている。特徴的なのは紫色のカラーで、Suicaを象徴する青と赤が混ざり合って生まれる色として設定されている。「これからの時代に挑戦する人の背中をそっと押す」という役割も託されており、3案のなかでも未来志向を強く打ち出したデザインといえる。

C案は、一見すると何の動物なのか分からないオレンジ色のキャラクターと、小さなモグラの組み合わせだ。オレンジのキャラクターがポシェットにモグラを入れ、さまざまな場所へ連れて行くという物語が設定されている。「土の中しか見たことのないモグラに、いろいろな世界を見せてあげたい」という発想から生まれた。選考委員からは、かわいらしさだけでなく「頼れる強さ」や「不思議な魅力」があると評価され、これからのSuicaが目指す「お客さまに寄り添う相棒」という考え方を表現している。

そして現在、最も注目されているのが「お客さま投票」である。2026年9月8日から9月23日23時59分まで、A・B・Cの3案を対象とした投票が実施されている。年齢、性別、職業、国籍などに関係なく誰でも参加でき、1人1票。最終的には選考委員会が集計し、最も投票数の多かったキャラクターが「Suica新キャラクター」に決定する。結果は11月18日のキャラクターお披露目式で発表される予定だ。

ここが、今回の新キャラクター選考で特に興味深いところだ。ミャクミャクやひこにゃんなど、これまでの人気キャラクターにも公募や一般の意見が関わった例はある。しかし今回のSuicaでは、「社員の思いを集める→若手クリエイターが形にする→選考委員会が3案に絞る→利用者が最終的に選ぶ」という役割分担が明確になっている。

しかも選考委員会には、座長を務める小山薫堂氏をはじめ、市川紗椰氏、きはらようすけ氏、篠原ともえ氏、しまぐちニケ氏、津田健次郎氏、水野学氏ら、キャラクター、デザイン、芸能、クリエーティブなど幅広い分野の人物が参加している。単なる鉄道会社のマスコット制作ではなく、これからのブランドをどう見せるかという観点からキャラクターを考えていることが分かる。

一方で、今回の交代には「Suicaのペンギン」という非常に大きな存在を引き継ぐという難しさもある。Suicaのペンギンは25年間にわたって親しまれてきただけに、新キャラクターには単に「かわいい」だけではなく、Suicaそのものと結びつく強いブランド力が求められる。JR東日本は2026年度を「Penguin Years」として、これまでのペンギンへの感謝を伝える企画も展開しており、新旧キャラクターの交代を一つのブランドイベントとして演出している。

今後は11月18日に新キャラクターのデザインが正式決定し、その後、愛称の募集が始まる予定だ。2027年1月には選考委員会による愛称審査、3月には愛称発表と「バトンタッチ式」が予定されている。そして2027年4月、新キャラクターが本格的にデビューする。つまり、現在の投票はゴールではなく、新しいSuicaの「顔」が生まれるまでの中間地点なのである。

Suicaは、単なる交通系ICカードから、スマートフォンを使ったモバイルSuica、決済サービス、地域との連携などへと役割を広げつつある。そうした変化を考えれば、キャラクターも「電車に乗るための存在」から「暮らしに寄り添う存在」へ変わる必要がある。

Aのリス、Bのうさぎ、Cの不思議なオレンジ色のキャラクターとモグラ。どのキャラクターが選ばれるかは、2026年9月11日時点ではまだ決まっていない。しかし、今回の選考プロセスそのものが、Suicaというブランドが次の25年に向けて変わろうとしていることを象徴している。

25年間、多くの人の移動を支えてきたペンギンから、次の時代のSuicaを象徴するキャラクターへ。利用者自身が最後の一票を投じて新しい「顔」を決める今回の企画は、企業キャラクターの作り方が変化していることを示す興味深い事例でもある。果たして新しいSuicaの顔になるのは、リスか、うさぎか、それとも不思議なオレンジ色のキャラクターか。11月18日の発表に向け、いままさに「次のSuica」が選ばれようとしている。

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政府が「空飛ぶクルマ」を商用運航するゴリ押しに《事故が起きる予感しかない》拭えない大阪・関西万博での機体破損・落下事故の連鎖(3ページ目) | 週刊女性PRIME

 

1,898作品から誕生した「ミャクミャク」――大阪・関西万博の顔はどう決まったのか

2025年大阪・関西万博の公式キャラクターとして、今やすっかり定着した「ミャクミャク」。赤と青を基調に、無数の目玉のようなパーツを持つ独特のデザインは、発表当初から大きなインパクトを与えた。一見すると奇抜なキャラクターだが、実はその誕生には、一般公募、選考、一般からの意見募集、そして愛称公募という、多くの人を巻き込むプロセスがあった。

ミャクミャクの物語は、2021年11月に始まる。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、大阪・関西万博の公式キャラクターデザインを一般から募集した。応募期間は2021年11月1日から12月1日まで。全国から寄せられた作品は、実に1,898作品に上った。つまり、ミャクミャクは最初から一人のデザイナーが自由に作って採用されたキャラクターではなく、全国から集まった大量のアイデアを起点として生まれたのである。

その後、専門家らによる選考が進められ、2022年3月2日には最終候補として3作品が発表された。ここで特徴的なのが、最終決定を完全に選考委員だけに委ねなかったことだ。3月2日から10日まで、最終候補3作品について一般から意見を募ったところ、40,704件もの意見が寄せられた。これは厳密には「国民投票」ではないものの、一般の声を最終選考に反映させる参加型の仕組みだった。

そして2022年3月22日、最終選考委員会によって最優秀作品が決定した。それが現在のミャクミャクである。最終候補Cとして選ばれたデザインは、大阪・関西万博の公式ロゴマークをキャラクター化するという発想から生まれたものだった。ロゴマークの赤い部分を「細胞」、青い部分を「水」として捉え、赤い部分は分裂・増殖し、青い部分は自在に形を変えるという設定が与えられた。

このデザインの面白さは、「完成した形がない」という点にもある。公式設定では、赤い部分は細胞、青い部分は清い水。姿を変え続ける不思議な生き物とされている。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」とも結び付けられ、単なるかわいいマスコットではなく、「変化」「生命」「つながり」といったテーマをキャラクターに込めた。

ところが、ここではまだ「ミャクミャク」という名前は付いていなかった。キャラクターのデザインが決まった後、今度は愛称を一般公募することになった。2022年4月26日から5月16日まで募集したところ、応募総数は33,197作品。デザインの1,898作品を大きく上回る応募が集まったことからも、このキャラクターに対する世間の関心の高さがうかがえる。

愛称選考も単純な人気投票ではなかった。応募作品はまず形式要件などを確認したうえで一次審査が行われ、日本語だけでなく海外の言語における意味のチェック、商標調査などを経て、愛称選考委員会が最終的に決定するという手順が取られた。つまり、「面白い名前だから採用」というだけではなく、世界的なイベントの公式キャラクターとして使えるかどうかまで確認されたのである。

そして2022年7月18日、大阪・関西万博の開幕1,000日前という節目の日に、公式キャラクターの愛称が「ミャクミャク」に決定した。実はこの名前は2人の応募者から同じ名称で応募されており、2人とも最優秀賞受賞者となっている。名前の由来には、これまで人類が受け継いできたDNA、知恵、技術、歴史、文化を未来へ「脈々」と受け継ぐという意味が込められた。また「脈」は生命そのものを連想させ、「ミャクミャク」という音の繰り返しにも生命が続いていくイメージが込められている。

こうして振り返ると、ミャクミャクは「公募で選ばれたキャラクター」というだけではない。デザイン公募→最終候補3作品→一般からの意見募集→最終決定→愛称公募→審査・商標調査→愛称決定という、何段階もの参加型プロセスを経て誕生したキャラクターなのである。

さらに興味深いのは、最終決定後の展開だ。大阪・関西万博協会は、ミャクミャクを公式ロゴマークに続く万博のシンボルとして広く活用する方針を示した。2022年8月には二次創作についてのルールも公開し、SNSなどでミャクミャクを描いたり制作したりすることについて一定のルールを設けた。つまり、運営側が一方的にキャラクターを発信するだけでなく、一般の人々がキャラクターを使い、話題にし、育てていくことも意識されていた。

これは、近年のキャラクタービジネスの大きな変化を象徴している。かつて企業や自治体のマスコットは、組織側がデザインを決め、完成したキャラクターをPRに利用するという一方向型が一般的だった。しかし、ひこにゃん、くまモンなどの「ゆるキャラ」人気を経て、現在はキャラクターそのものがコミュニケーションの媒体になっている。

ミャクミャクの場合、そのスタート地点から一般の人々を巻き込んだ。1,898作品の応募、40,704件の一般意見、33,197件の愛称応募という数字は、単なるキャラクター制作の規模を超えている。キャラクターが決定するまでの過程そのものがニュースとなり、SNSで話題になり、キャラクターへの認知を高めるマーケティングになったともいえる。

そして結果的に、赤と青の特徴的な姿は大阪・関西万博を象徴する存在となった。公式サイトでも、ミャクミャクは「細胞と水がひとつになったことで生まれた、ふしぎな生き物」と設定され、姿を変えながら人間をまねた姿になったというストーリーが与えられている。単なる「顔」ではなく、世界観や物語まで含めてキャラクターとして設計されている点も重要だ。)

ミャクミャクの成功事例から見えてくるのは、キャラクターは「作って終わり」ではなく、「参加してもらい、名前を付けてもらい、話題にしてもらい、育ててもらう」ことで強いブランドになり得るということだろう。特にSNS時代には、万人受けする無難なデザインよりも、一度見たら忘れられない強烈な個性が話題を生むこともある。

1,898作品の中から選ばれ、4万件を超える一般意見を受け、3万3,000件を超える愛称応募を経て誕生したミャクミャク。そのユニークな姿だけでなく、「みんなで決め、みんなで育てる」という誕生プロセスそのものが、現代のキャラクタービジネスを象徴する存在になったといえそうだ。

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「ひこにゃん」はこうして生まれた!公募から誕生、全国区の人気キャラクターへ

今や滋賀県彦根市を代表する存在となった「ひこにゃん」。白い猫のような愛らしい姿に、赤い兜、胸元の鈴というシンプルなデザインは、一度見れば忘れにくい。2000年代後半に巻き起こった「ゆるキャラ」ブームの先駆けとしても知られ、自治体がキャラクターを使って地域をPRする現在のスタイルに大きな影響を与えた存在だ。

そんなひこにゃんが生まれたきっかけは、**2007年に開催された「国宝・彦根城築城400年祭」**だった。彦根城は1607年の完成から400年という節目を迎えることになり、彦根市では記念事業を盛り上げるため、ロゴマークやPRキャラクターを制作することになった。

ここで重要なのは、ひこにゃんは「自治体職員が考えたキャラクター」ではなかったという点だ。キャラクターについてはコンペ形式で募集され、複数のデザイン会社などに声がかけられた。ひこにゃんの生みの親であるイラストレーターのもへろん氏も、そのコンペに参加した一人だったと本人が振り返っている。もへろん氏によれば、彦根にまつわるさまざまな逸話を調べる中で、招き猫にまつわる伝説に着目し、そこから「赤い兜をかぶった白猫」というデザインを考案したという。最終的にこの案が採用された。

そのデザインのモチーフとなったのが、彦根藩主・井伊直孝を雷雨から救ったと伝えられる招き猫と、井伊軍団を象徴する「赤備え」の兜である。つまり、単に「かわいい猫」を作ったのではない。彦根の歴史的資産を、誰でも親しめるキャラクターへ変換したのである。彦根市も現在、ひこにゃんについて「招き猫」と「赤備えの兜」を組み合わせて生まれたキャラクターと説明している。

この発想が絶妙だった。猫は全国的に親しみやすい一方、赤い兜によって「彦根らしさ」が一目で伝わる。さらに、複雑な甲冑をそのまま描くのではなく、丸みを帯びた白猫にシンプルな兜を組み合わせたことで、着ぐるみ、ぬいぐるみ、キーホルダー、菓子など、さまざまな商品へ展開しやすいデザインになった。

そして、キャラクターのデザインが決まった後に待っていたのが「名前」だった。ここで初めて、全国の一般市民が直接参加する公募が行われる。全国から集まった応募は1,167点。その中から選ばれた名前が「ひこにゃん」だった。彦根市によると、「ひこ」は彦根、「にゃん」は猫の鳴き声をイメージした名前である。つまり、ひこにゃん誕生のプロセスを整理すると、

①彦根城築城400年という地域イベントが企画される
②PRキャラクターのデザインをコンペで募集
③もへろん氏の「赤い兜をかぶった白猫」が採用
④キャラクターの愛称を全国から公募
⑤1,167点の応募から「ひこにゃん」に決定
⑥2006年4月13日に誕生

という流れになる。

ここで一つ注意したいのは、「ひこにゃんのデザインが1,167作品から選ばれた」という説明は正確ではないことだ。1,167点という数字は、あくまで愛称の応募数である。デザインについては、もへろん氏がコンペに応募して採用されたというのが基本的な経緯だ。彦根市の現在の公式プロフィールも「愛称の『ひこにゃん』は全国より寄せられた1,167点から決定」と明記している。

そして、2006年4月13日に誕生したひこにゃんは、翌2007年の「国宝・彦根城築城400年祭」に向けてPR活動を開始する。当初の役割は、あくまで記念イベントを盛り上げるためのPRキャラクターだった。しかし、実際に登場してみると、その存在感はイベントの枠を大きく超えていく。

特に注目されたのが、その「ゆるさ」だった。動きは機敏というよりゆっくりで、表情もどこかぼんやりしている。戦国武将・井伊家の兜をかぶっているのに、怖さはなく、むしろ愛らしい。このギャップが子どもから大人まで幅広い層を引きつけた。彦根市の2026年の20周年特集でも、かわいらしい容姿と「のんびりとした動き」が人気につながったと振り返っている。

2007年の400年祭では、ひこにゃん関連商品やイベントへの関心が急速に高まり、キャラクターそのものが彦根観光の大きな目玉になった。さらに2008年には彦根で「ゆるキャラまつり in 彦根」が開催され、全国のご当地キャラクターが集結。彦根は、後の「ご当地キャラ」「ゆるキャラ」文化を象徴する場所になっていった。

興味深いのは、当初は期間限定のイベントキャラクターだったひこにゃんが、イベント終了後も存続することになった点だ。キャラクター人気があまりにも大きくなったため、彦根市のPRキャラクターとして活動を続けることになった。現在では彦根城周辺に登場するだけでなく、全国のイベントなどにも出演している。

その人気は数字にも表れている。彦根市によれば、ひこにゃん宛ての年賀状は2010年以降、14年連続で1万通を超えた。単なる自治体のマスコットを超え、全国にファンを持つキャラクターへ成長したことが分かる。

ひこにゃんの成功が後のキャラクター戦略に与えた影響は大きい。自治体にとってキャラクターは、観光ポスターに登場させるだけの存在ではない。グッズ、イベント、SNS、地域産品、観光施設などをつなぐ「地域ブランドの顔」になり得るからだ。

実際、ひこにゃんの後には、くまモン、バリィさん、さのまる、ぐんまちゃんなど、多くのご当地キャラクターが登場した。そして現在では、キャラクターそのものを一般公募したり、名前を投票で決めたり、人気投票によってファンを増やしたりする仕組みが一般化している。

2025年大阪・関西万博の「ミャクミャク」や、2026年に一般投票が行われているJR東日本のSuica新キャラクターなどを考えると、現在の「参加型キャラクター」の源流の一つに、ひこにゃんの成功を見ることができる。

ひこにゃんは、最初から「国民的キャラクター」を目指して作られたわけではない。彦根城築城400年という一つの地域イベントを盛り上げるために生まれたキャラクターが、歴史的モチーフと親しみやすいデザインを武器に、住民や観光客、全国のファンに受け入れられ、結果としてイベントの枠を超えてしまった。

その意味でひこにゃんは、「キャラクターで地域を売る」という現在の地方創生・観光PRの先駆けだったといえるだろう。2026年には誕生20周年を迎えたひこにゃん。20年たっても彦根城を訪れる人を迎え続ける姿は、一時的なキャンペーンキャラクターを、長期的な地域ブランドへ育てることができることを示す好例となっている。

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Yuru Kyara: The Adorable, and the Absurd Ambassadors of Japanese Regional Tourism | Travel Japan | JNTO

 

「くまモン」はこうして生まれた!新幹線PRの“おまけ”から熊本を代表するキャラクターへ

いまや熊本県を象徴する存在となった「くまモン」。黒くて丸い体に赤いほっぺ、どこかユーモラスな表情。一度見たら忘れにくい強烈な個性を持ち、全国各地のイベントや商品、観光施設などで目にする機会も多い。現在では熊本県の「営業部長兼しあわせ部長」として活動するほどの知名度を誇るが、実はその誕生時点では、ここまで大きな人気キャラクターになることは想定されていなかった。

くまモンの誕生を語るうえで欠かせないのが、2011年3月12日に予定されていた九州新幹線鹿児島ルートの全線開業だった。博多から熊本、鹿児島中央までがつながることで、熊本と関西方面のアクセスが大きく改善する。熊本県にとっては観光客を呼び込む絶好の機会だった。

そこで熊本県が展開したのが「くまもとサプライズ」というPR戦略だった。単に熊本の観光地や特産品を宣伝するのではなく、県民自身が身近にある熊本の魅力を発見し、それを県外へ発信していくという考え方である。熊本県は後に、くまモンを「九州新幹線全線開業をきっかけに、県民自らが身近にある資源を再発見し、新たな価値を創造する『くまもとサプライズPRキャラクター』として誕生した」と説明している。

このプロジェクトに関わったのが、熊本県出身の放送作家・脚本家などとして知られる小山薫堂氏だった。小山氏の発想をもとに、クリエイティブディレクターの水野学氏がキャラクターデザインを手掛けた。水野氏は熊本県のロゴやPR全体のデザインにも関わり、後にくまモンのデザイン展開にも携わることになる。熊本県の資料でも、小山氏と水野氏がくまモンの企画・デザインに関わったことが確認できる。

ここで興味深いのが、くまモンは一般公募や県民投票で選ばれたキャラクターではないという点だ。

前回紹介した「ひこにゃん」や「ミャクミャク」とは誕生プロセスが異なる。くまモンの場合は、地域PRの戦略を実現するために、専門家がコンセプトとデザインを作り上げ、それを熊本県の公式キャラクターとして採用した。

2010年2月26日、熊本県は「くまもとサプライズ」のスローガン、ロゴ、そしてキャラクター「くまモン」を決定した。県の「県政タイムトラベル」にも、この日が明確に記録されている。

そして、ここから「くまモン」という名前とキャラクターの存在が広がっていく。

当初のくまモンの役割は、あくまで九州新幹線全線開業を盛り上げるためのPRだった。小山氏自身も2012年末、くまモンについて「九州新幹線開業のキャンペーンキャラクター、正確に言うとキャンペーンのおまけとして誕生した」と振り返っている。つまり、最初から熊本県を代表する巨大ブランドとして設計されたわけではなかった。ところが、くまモンは活動を始めると予想以上の反響を集める。

特に大きかったのが、関西を舞台にしたPR活動だ。九州新幹線の全線開業によって熊本と関西の移動が便利になることから、熊本県は関西圏を重要なターゲットとしてPRを展開。くまモンが大阪などに出向き、熊本の魅力を発信する活動を積極的に行った。

そして2011年3月12日、いよいよ九州新幹線が全線開業する。くまモンにとっても大きな転機となった。

ところが、ここで東日本大震災が発生する。九州新幹線の全線開業当日は、予定されていた大規模な祝賀イベントの多くが中止となった。華々しいデビューを飾るはずだったくまモンにとっては、厳しいスタートだった。

しかし、ここからくまモンは別の方向で注目されるようになる。

熊本県はくまモンを単なる「観光PRキャラクター」にとどめず、熊本の魅力を全国へ伝える存在として活動させていった。そして2011年9月30日には、熊本県の営業部長に就任。自治体のマスコットとしては異例ともいえる肩書きが話題となった。

さらに重要だったのが、キャラクターの利用を積極的に広げたことだ。

2011年1月の熊本県知事会見では、すでにくまモンの商品化について30件以上の申請が出ていたことが明らかにされ、知事も事業者がなるべく自由に使える方向性を示していた。

これはキャラクタービジネスを考えるうえで非常に重要なポイントだ。自治体キャラクターは、行政が厳しく管理して露出を限定することもできる。しかし熊本県は、くまモンをできるだけ多くの場所に登場させることで、「熊本」という地名とキャラクターを一体化させる戦略を取った。

お菓子、食品、飲料、文房具、衣料品、観光グッズなど、さまざまな商品にくまモンが登場。街中でくまモンを見かける機会が増えるほど、「くまモン=熊本」というイメージも強くなっていった。

さらに2013年には、熊本市内に「くまモンスクエア」がオープン。現在もくまモンの活動拠点として、ステージやグッズ販売、熊本県産品を使ったメニューなどを展開している。熊本市観光サイトでも、くまモンは熊本県の「営業部長兼しあわせ部長」として、国内外で観光・物産情報を発信していると紹介されている。

こうした活動によって、くまモンは単なる「ゆるキャラ」から、熊本県のブランド戦略そのものへと成長していった。

その象徴となったのが、**2011年の「ゆるキャラグランプリ」**である。くまモンはこの大会で優勝し、一気に全国的な知名度を獲得した。地方自治体のキャラクターが全国から投票を集め、人気を競う仕組みと、くまモンの積極的なPR活動がうまくかみ合ったのである。

つまり、くまモンの場合は、

九州新幹線全線開業

「くまもとサプライズ」構想

小山薫堂氏らによる企画

水野学氏によるキャラクターデザイン

2010年2月に「くまモン」決定

新幹線開業PRで活動

大阪などで積極的にPR

熊本県営業部長に就任

商品化・イベント・メディア展開

2011年「ゆるキャラグランプリ」優勝

全国的キャラクターへ

という流れになる。

そして、くまモンの成功は、後の自治体キャラクター戦略にも大きな影響を与えた。

ひこにゃんの場合は「彦根城築城400年」というイベントから生まれ、ミャクミャクの場合は大阪・関西万博という国際イベントから生まれた。一方、くまモンは**「地域そのものを売るためのPR戦略」から生まれたキャラクター**だった。

さらに、キャラクターを商品や観光、イベント、SNSなどへ横断的に展開することで、「キャラクターを見れば熊本を思い出す」という状態を作り出した。

2014年には水野氏による42種類の新たなくまモンデザインも作られ、利用許諾の仕組みを通じてさらなる商品展開が進められた。

くまモンの最大の特徴は、「キャラクターを売る」のではなく、「キャラクターを通して地域を売った」ことにある。

黒い熊のキャラクターそのものが熊本県の観光資源になっただけでなく、熊本の食、温泉、自然、歴史、農産物などへ興味を持ってもらう入口になった。キャラクターをきっかけに地域全体の認知度を高めるという手法は、現在の地方創生や観光マーケティングにも通じる。

しかも、その始まりは「九州新幹線の開業をPRするためのキャンペーンキャラクター」という比較的小さな役割だった。「おまけ」として生まれたキャラクターが、地域ブランドの中心になったという点こそ、くまモン最大の成功物語なのかもしれない。

ひこにゃん、くまモン、ミャクミャクと並べてみると、キャラクターの作り方にも時代の変化が見えてくる。公募型、専門家による制作型、一般投票型など方法はさまざまだが、共通しているのは、キャラクターが単なる「マスコット」ではなく、地域やイベント、企業の魅力を伝えるブランド資産になっていることだ。

くまモンはその先駆けとして、今なお熊本の「顔」であり続けている。

まとめ――新キャラは「選ばれる」だけでなく「育てられる」のか

今回のSuica新キャラクター選びで興味深いのは、最終候補のデザインそのものだけではない。JR東日本は、社員から新キャラクターへの期待や役割について意見を集め、それを踏まえて若手クリエイターが原案を制作。その後、選考委員会が3案に絞り、最後は利用者による一般投票に委ねるというプロセスを採用した。つまり、企業が一方的に新しい「顔」を決めるのではなく、社員、クリエイター、選考委員、そして利用者が段階的に関わる仕組みになっている。

そして現在、ネット上で起きている賛否両論も、ある意味ではキャラクターが「誕生する瞬間」の一部なのだろう。新キャラクターは発表された瞬間から愛されるとは限らない。むしろ、最初は違和感を持たれながら、広告やグッズ、駅、SNSなどで何度も目にするうちに少しずつ親しみが生まれ、「気づいたら好きになっていた」というケースも少なくない。

特に今回の3案は、ペンギンの後継として考えるとかなり大胆だ。だからこそネット上で比較され、「ペンギン派」と「新キャラ派」が生まれ、さらには「どれに投票するか」という参加型の話題へと発展している。海外でも新キャラクターへの批判と擁護が入り交じるなど、すでにキャラクターそのものがニュースになっている。

投票は9月23日まで行われ、最も票を集めた案が新キャラクターに決まる。そして2027年には愛称も決定され、4月から本格的に活動する予定だ。つまり、いまネット上で「微妙」「かわいい」「変わっている」と騒がれている段階は、長いブランドストーリーのスタート地点にすぎない。

25年間親しまれたペンギンを超えるのは簡単ではない。しかし、キャラクターは完成品を与えられて終わるものではなく、利用者との接触を重ねながらブランドとして育っていくものでもある。今回のSuica新キャラクター選挙は、単なる人気投票ではなく、「次の25年のSuicaの顔を、利用者と一緒につくる」試みと見ることもできる。

果たして、リス、ウサギ、そしてモグラを連れた謎の生き物のどれが選ばれるのか。そして数年後、いま「ペンギンのほうがいい」と言っている人たちが、その新キャラクターを当たり前のようにSuicaの顔として受け入れているのか。今回のネット上の騒動も含め、新キャラクターがどのように「国民的キャラクター」へ育っていくのかに注目したい。

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