『ファイナンシャルプランナーとは、資産運用のみならず、税制や保険商品に関する知識も豊富であり、言わばお金のプロである』恐らく多くの方がそう認識していると思います。しかし、知識こそあれどファイナンシャルプランナーは「運用のプロ」ではありません。
一体何が言いたいのか? というと、つまり「ファイナンシャルプランナーは投資のプロではない為、必ずしも投資実績が備わっている訳ではない」ということです。ファイナンシャルプランナーは、お金にまつわる多くの知識を有し、それにまつわるありとあらゆる相談に答える仕事です。とは言え、良い銘柄を紹介したり、具体的な運用方法についてアドバイスしてくれる訳ではありません。
そこで以下では、ファイナンシャルプランナーに資産運用の相談をする際に知っておくべきことや、ファイナンシャルプランナーの種類や本来の役割などについて深掘って紹介していきます。
資産運用の相談をするならファイナンシャルプランナー一択と言えない理由
当然のことながら、ファイナンシャルプランナーの仕事は「お金の相談を受け、適切な答えを提供すること」です。しかし、冒頭で説明したように、ファイナンシャルプランナーは投資のプロではありません。さらに答えられる範囲も決まっており、具体的な銘柄を勧めたり、具体的な手法に対するアドバイスをすることもできないのです。
では一体、資産運用についてファイナンシャルプランナーに相談する際、どんなことを聞けば良いのか? さらになぜ相談先がファイナンシャルプランナー一択と言えないのでしょうか? その理由を簡潔にまとめると・・・
⚫︎ファイナンシャルプランナーは必ずしも投資で成功しているとは限らない
⚫︎ファイナンシャルプランナーによってもらえるアドバイスが異なる
⚫︎ファイナンシャルプランナー以外にも相談できる先は様々ある
以上になります。では、個々にその理由について詳しく解説していきましょう。
ファイナンシャルプランナーは必ずしも投資で成功しているとは限らない
言わずもがなですが、ファイナンシャルプランナーはお金のプロであり、投資の知識にも長けています。とは言え、多くのファイナンシャルプランナーが確固たる投資実績を持っているとは言い難く、そもそも実際に投資をしているかどうかもわかりません。
そう言ってしまうと”そんな人にアドバイスなどできるのか?”といった疑問を持つ方もいるでしょう。しかし、ファイナンシャルプランナーが顧客に対してアドバイスできるのはあくまで「公式」であり「方法論」のみ。
生活設計において有効な手段の一つとして資産運用を提案することはあれど、具体的な手法までアドバイスすることはありません。何より、ファイナンシャルプランナーは規定において具体的な銘柄を出しておすすめすることや、運用方法の指示・操作といった行動はNGとされているのです。
ファイナンシャルプランナーによってもらえるアドバイスが異なる
もらえるアドバイスが異なる理由は、個々のファイナンシャルプランナーが皆均等に全ての対応可能ジャンルに携わっているとは言い難いためです。例えば、保険会社に勤めているファイナンシャルプランナーと証券会社に勤めているファイナンシャルプランナーのどちらかに資産運用の相談ができるとしたら、当然後者を選びますよね。
企業に属するファイナンシャルプランナーには多い傾向と言えますが、資格こそ取得したものの、特定の分野しか経験していないというファイナンシャルプランナーは数多くおり、相談する前は必ずファイナンシャルプランナーの特徴・特性を調べておくことを強くおすすめします。
ファイナンシャルプランナー以外にも相談できる先は様々ある
資産運用についてはもちろん、家計管理や保険加入にまつわる悩みを解消したいと考えた場合、相談先の筆頭候補としてファイナンシャルプランナーを挙げる方はそこまで多くないのでは? と考えます。なぜなら、昨今では銀行や税務署などでも無料相談会を実施しているケースが多く、より専門的な回答が欲しいと思ったら、こちらを選ぶ方が得策なのではないか? と考えても不思議ではありません。
もちろん、特定のジャンルに限定せず、広く生活設計について相談したという場合はファイナンシャルプランナーの方が適している場合もあるでしょう。まずはご自身が抱えているお金の問題や不安が、どのカテゴリに属すのか? を把握し、その次に相談先を探すべきだと考えます。
そして、より資産運用について具体的なアドバイスや明確な結果が欲しいと考えるなら、ファイナンシャルプランナーではなくIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するべきでしょう。IFAはファイナンシャルプランナーがアドバイスできない「投資すべき金融商品の仲介」ができるため、資産運用についてのみ相談したい、有益な情報が欲しいなどの場合はIFAの方が適していると考えます。
しかし懸念点は「手数料が高い」点です。IFAによって金額や基準は大きく異なりますが、資産運用のサポートを依頼した場合、報酬は相談者から直接もらうのではなく、売買手数料の一部を証券会社から受け取る仕組みになっているケースが一般的で、かかる項目は、資産運用に伴い発生する「信託報酬」と金融商品を購入する際にかかる「購入時手数料」の2つ。つまり、その分利益を差し引いた分のリターンを受けるという流れになります。さらに依頼先によっては、別途相談料を請求してくるところもあり、選定が難しいという点も懸念点として携えておくべきでしょう。
ファイナンシャルプランナーを徹底解説
ファイナンシャルプランナーとは、貯蓄や投資、さらには保険などを使って資産設計を企画し、その実行を支援する仕事。大まかに言えばそんなところですが、より細かい仕事内容について熟知している方はあまり多くないのでは? そこで同章では、ファイナンシャルプランナーの役割や働き方、さらには資格の種類など、ファイナンシャルプランナーについて総合的に紹介していきます。
ファイナンシャルプランナーの役割について
広く知られているファイナンシャルプランナーの役割と言えば「お金に関する専門知識を活かし、個人の資産運用に関する相談・アドバイスを行う」ことだと思います。そのため、ファイナンシャルプランナーの多くは、年金や保険、投資、税制などに造詣が深く、相談者の状況にマッチした企画を提供できるのです。では、ファイナンシャルプランナーがアドバイスできることは何なのかというと・・・
⚫︎キャッシュフローの見直しについて
⚫︎ライフプランニング形成のサポート
⚫︎住宅ローンの準備や見直し
⚫︎教育資金の準備について
⚫︎老後資金の準備について
⚫︎相続対策について
以上がファイナンシャルプランナーに相談できる基本事項となります。
ファイナンシャルプランナーになるために必要な知識について
当然のことながら、ファイナンシャルプランナーが持つべき知識は幅広く、投資についてはもちろん、保険商品や税制、教育資金、さらに住宅やカーローンについてなど多岐に渡ります。つまり、ファイナンシャルプランナーの資格を獲得するためにはもちろん、顧客のニーズに広く応えるためにも、お金に関するあらゆる知識を蓄える必要があるのです。
では、ファイナンシャルプランナーになるために学ぶことは何か? というと、基本的には以下の6分野にまとめられます。
⚫︎ライフプランニングと資産計画
⚫︎リスク管理
⚫︎金融資産運用
⚫︎タックスプランニング
⚫︎不動産
⚫︎相続・事業承継
見ていただくとわかる様に、上記した6分野はどれも生活していくために欠かせない知識です。全ての分野を満遍なく学習し、マスターするのは容易ではありませんが、参考書や問題集などを使って独学で学ぶか、スクールに通って専門の講師から学ぶなどの手段を講じるのが一般的の様です。
ちなみに、取得するファイナンシャルプランナー資格の種類や級によって、多少学ぶ内容が異なります。詳細は以降の項目で解説していくので、そちらも合わせてご確認下さい。
ファイナンシャルプランナーの働き方について
ファイナンシャルプランナーの資格を取得すると、就職先の候補が広がります。もちろん、独立することも可能ですが、企業に属して資格を活かすこともでき、親和性の高い様々な業界での就業が可能です。主に就職できる業界は以下の通りです。
⚫︎金融・保険業界
⚫︎税理・公認会計事務所
⚫︎不動産業界
⚫︎企業の事務・総務
賃金については業界のみならず企業ごとに大きく異なりますが、基本的にファイナンシャルプランナーの資格を所有している方は手当が支給されるため、資格が無い方よりもベースが高いと言うメリットがあります。さらに、経験のない業界でも、資格があれば有利です。
ファイナンシャルプランナーの収入事情について
そもそも、ファイナンシャルプランナーの平均年収は約580万円と言われています。しかし、経験年数によってその数字は大きく前後し、15年を超える経験者の平均年収は900万円を超えているものの、5〜10年未満程度になると平均350〜500万円程度まで下がっています。また、平均年収にばらつきがあるもう一つの理由は、副業にしている方が多い点もあるでしょう。
ファイナンシャルプランナーの資格(種類)について
ご存知の方も多いと思いますが、ファイナンシャルプランナーの資格には、いくつか種類があります。大まかに言うと国家資格である「FP技能士」と民間資格である「CFP」と「AFP」の2種に大別できます。詳細は以下の通りです。
国家資格:FP技能士
国家資格であるFP技能士には1〜3級までのレベルがあり、3級から順に資格のレベルが高くなっていきます。大きな特徴は2つあり、まず「資格の有効期限が設けられていない点」。さらに、試験を実施しているのが、日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の2団体である点です。無論、どちらで受験しても得られる資格に違いはありません。
民間資格:CFP・AFP
CFPとAFPは民間資格であり、難易度で言うとCFPの方が難しく、上位資格となっています。そして、国家資格であるFP技能士との大きな違いは、「資格に有効期限が設けられている点」で、資格を更新するためには、資格認定後に定められている継続教育期間中に決められた数の単位を取得しなければなりません。尚、具体的な数字はAFPで15単位以上、CFPで30単位以上となっています。
ちなみに、CFPは上位資格として認識されており、大きなメリットとしては、試験に合格した後に研修を受講し、かつ実務経験を3年以上重ねることで、海外でもファイナンシャルプランナーとして働くことができる様になるのです。
ちなみに、ファイナンシャルプランナーは「名称独占資格」であり、つまり前記したような確固たる資格を持っていなくても、ファイナンシャルプランナーとしての業務に従事することができます。無論、資格の有無によって顧客からの信頼度が大きく異なるあたりは言うまでもないでしょう。
独立系ファイナンシャルプランナーと企業系ファイナンシャルプランナーの違い
前章で少し話しましたが、ファイナンシャルプランナーは企業に属して働くこともできますし、独立して個人で活動することもできます。それぞれ会社員・事業主と立場が異なるため、業務範囲に差異があることはご承知の通りです。では一体、資格を持っている方はどちらの立場を選ぶべきなのでしょうか? そして、両者の具体的な差異とは何なのかというと・・・
⚫︎立場が異なる
⚫︎相談を受けるスタンスが異なる
⚫︎特定商品の知識量が異なる
⚫︎相談料が異なる
⚫︎付き合いの濃さ・深さが異なる
立場が異なる
両者の違いはズバリ「立場」であり、独立系が事業主となることに対し、企業系は会社員となります。収入面でのメリット・デメリットはお察しの通りで、依頼がなければ収入を得ることができない独立系に対し、企業系は極端ですがやることがなくても毎月給与がもらえるため、安定的です。
年金や福利厚生について考慮すると、やはり企業系の方が有利か? と思われるかもしれませんが、自営業にする場合も節税という面では大きなメリットがあると言えます。
相談を受けるスタンスが異なる
安定した生活を重視するなら企業系ファイナンシャルプランナー一択と考えるかもしれませんが、独立系にも「業務面」で大きなメリットがあります。それは「アドバイスできる範囲が広い」という点です。
どういうことか? というと、例えば企業に属しているファイナンシャルプランナーが資産運用について顧客にアドバイスする際、自社の商品を率先して説明する義務が生じます。つまり、他社の商品やサービスの詳細やメリットを語ることはタブーとなります。
しかしながら、個人で独立開業しているファイナンシャルプランナーは、どの企業のどの商品・サービスも中立な立場で語ることができ、個々の優位性についてはもちろん、広い範囲から顧客の状況に合う商品やサービスを卓上に並べてアドバイスすることができるのです。自由に動ける独立系か、はたまた安定性が魅力な企業系のどちらを選ぶかは中々難しいところだと思います。
特定商品の知識量が異なる
前項までは有資格者側の話をしてきましたが、ここからは相談する顧客側のお話です。まずは、ファイナンシャルプランナーに相談する必要がある場合、どんな基準で相談者を決めれば良いか? についてです。個人のファイナンシャルプランナーを選ぶ場合は、相手の実績や相談料などが選択基準になると思います。では、企業系を選ぶ基準やメリットとは何でしょうか?
前項で紹介した様に、企業系は自社の商品やサービスを前に出す傾向があり、顧客側からすると相談というより営業という側面の方が強いのではないか? という懸念を持っている方もいると思います。
しかし、例えば決まった保険商品や金融商品などを購入したいという前提で相談したいと考えているなら、それらを提供している企業のファイナンシャルプランナーに直接相談すべきでしょう。なぜなら、自社の商品である以上詳しく紹介できるのは当然であり、個人の場合だと様々な企業の商品について広く知っているものの、個々についてさほど深い知識を持っている訳ではないケースもあるからです。
相談料が異なる
相談するファイナンシャルプランナーを選ぶにあたり、高い実績や豊富な知識を持っていることを基準にするのは当然ですが、もう一つ考慮すべき点は「料金」でしょう。相談料はファイナンシャルプランナーごとに異なり、前記した実績や有資格などによって上下します。
とは言え、昨今では「相談料無料」を謳ってPRしているケースも多く、特に企業系の場合は、商品のPR込みのサービスとして無料相談を提供しているところが目立ちます。
付き合いの濃さ・深さが異なる
企業系の場合は、自社の商品やサービスありきで顧客と接するため、例えば顧客が何らかの事情によってその商品を手放し、別会社の商品に乗り換えてしまうと、当然お互いの関係はそこで途切れてしまうでしょう。
しかし、独立系にはそういった垣根がなく、単純に顧客が必要な情報を提供するため、例えば顧客が結婚・出産などを経て、ライフプランを見直したいという場合も当然対応してくれます。
さらに、企業系の場合は退職・転勤などによって担当が交代してしまう可能性があることもあり、言わば期間限定のパートナーでしかないことに対し、独立系は廃業しない限り、はたまた相談することがなくなるまで関係が切れることはないでしょう。
まとめ
資産運用の相談をするならファイナンシャルプランナー一択と言えない理由
⚫︎ファイナンシャルプランナーは必ずしも投資で成功しているとは限らない
⚫︎もらえるアドバイスがファイナンシャルプランなごとに大きく異なる
⚫︎ファイナンシャルプランナー以外にも相談できる先は様々ある
ファイナンシャルプランナーの役割(相談できること)
⚫︎キャッシュフローの見直しについて
⚫︎ライフプランニング形成のサポート
⚫︎住宅ローンの準備や見直し
⚫︎教育資金の準備について
⚫︎老後資金の準備について
⚫︎相続対策について
ファイナンシャルプランナーになるために必要な知識
⚫︎ライフプランニングと資産計画
⚫︎リスク管理
⚫︎金融資産運用
⚫︎タックスプランニング
⚫︎不動産
⚫︎相続・事業承継
ファイナンシャルプランナーが就ける業界
⚫︎金融・保険業界
⚫︎税理・公認会計事務所
⚫︎不動産業界
⚫︎企業の事務・総務
ファイナンシャルプランナーの平均収入
⚫️(15年以上の経験者)約900万円
⚫︎(15年未満の経験者)約350〜500万円
ファイナンシャルプランナーの資格の種類
⚫︎FP技能士(国家資格)
⚫︎CFP・AFP(民間資格)
独立系ファイナンシャルプランナーと企業系ファイナンシャルプランナーの違い
⚫︎立場が異なる
⚫︎相談を受けるスタンスが異なる
⚫︎特定商品の知識量が異なる
⚫︎相談料が異なる
⚫︎付き合いの濃さ・深さが異なる
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