
【2026年最新】何が変わる?個人向け国債プラスとは?変更点や税制優遇の議論を徹底解説
近年、日本銀行(日銀)による政策金利の引き上げに伴い、長らく続いた「超低金利時代」が終わりを告げ、「金利のある世界」が本格的に到来しました。かつては「銀行に預けておけば安心」「金利はゼロに等しいからどこに置いても同じ」と考えられていましたが、今や預貯金や国債といった安全資産の金利上昇に伴い、お金の置き場所によって受け取れる利息に大きな差がつく時代となっています。
そうした中、財務省は長年個人投資家に親しまれてきた「個人向け国債」の名称を「個人向け国債プラス」に変更し、販売対象を拡大することを発表しました。
さらに、金融庁と財務省が令和9年度(2027年度)税制改正要望に向けて「国債に関する税制の検討」を掲げるなど、国債をめぐる環境は大きな節目を迎えています。
「名前が変わると何かデメリットがあるの?」「法人も買えるようになると個人が買えなくなる?」「税制優遇がつくとどうお得になるの?」といった不安や疑問を持つ方も多いでしょう。
本稿では、制度変更の背景から具体的な計算例、新NISAとの違い、税制優遇をめぐる議論の深掘りまで、金融初心者の方にも分かりやすく体系的に肉付けして解説します。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
本記事の構成案(目次)
- 要約・概要(エグゼクティブサマリー)
- 基礎知識:そもそも「国債」「個人向け国債」とは?
- 国債の仕組みと「国が元本・利息を保証する」意味
- 「個人向け国債」の3つのラインナップ(変動10年・固定5年・固定3年)
- 【シミュレーション例】金利上昇局面で「変動10年」の利息はどう変わる?
- 「個人向け国債プラス」への名称変更と見直しの全貌
- 変更時期:令和8年(2026年)12月募集分(令和9年1月発行分)から
- 変更の目的:一部の「法人等」への販売対象拡大(安定保有層の確保)
- なぜ「プラス」なのか?名称に込められた財務省の意図
- 個人投資家への具体的な影響と注意点
- 結論:個人にとって商品性や手続き、利便性は一切変わらない
- 元本保証・最低金利保証(0.05%)・中途換金ルールの維持
- 【具体例】途中で現金が必要になったら?1年後の「中途換金」計算例
- 【最新動向】国債に対する税制優遇(令和9年度税制改正要望)の議論
- 背景:日銀の国債買い入れ減額と2,200兆円の「個人金融資産」への期待
- 検討されている税制優遇の具体像(利子非課税、NISA枠の活用、相続税評価)
- 【シミュレーション例】利子非課税になると手取り額はいくら増える?
- 主な課題と懸念点:富裕層優遇の批判、NISAとの整合性、地方銀行等からの預金流出
- 【徹底比較】預貯金・個人向け国債・新NISA(株式・投信)の最適な使い分け
- 【具体例】1,000万円の資産がある場合の理想的なポートフォリオ例
- まとめ:金利のある世界で生き抜く「金融・投資知識」の重要性
- 「インフレ」×「放置」=資産の実質減少という恐怖
- 金融リテラシーが「人生の選択肢」と「安心感」をもたらす理由
1. 要約・概要(エグゼクティブサマリー)
まず、今回の動向のポイントを簡潔に整理します。
- 名称変更:令和8年(2026年)12月募集分(令和9年1月発行分)より、「個人向け国債」は「個人向け国債プラス」へ名称が変更されます。
- 変更理由:これまで「個人」に限定されていた販売対象を、中小企業や各種団体などの一部「法人等」にも広げ、国債を長期保有してくれる買い手を増やすためです。
- 個人への影響:個人投資家にとっては、商品ラインナップ(変動10年・固定5年・固定3年)、最低1万円からの購入単位、年0.05%の最低金利保証、1年経過後の換金ルールなどに変更はなく、デメリットはありません。
- 税制改正の動き:金融庁と財務省は、令和9年度税制改正要望に「国債に関する税制の検討」を盛り込みました。利子の非課税化などが議論されていますが、「富裕層への優遇」「地方銀行からの資金流出」といった懸念から慎重な議論が続けられています。
2. 基礎知識:そもそも「国債」「個人向け国債」とは?
(1) 国債の仕組みと高い安全性
「国債(こくさい)」とは、国が道路や学校の建設、社会保障費などの資金を調達するために発行する「国の借金証書(債券)」です。
私たちが国債を買うということは、日本国政府にお金を貸し出すことを意味します。その見返りとして、国から定期的に「利子」が支払われ、満期(償還日)を迎えると貸したお金(元本)が100%全額戻ってきます。
民間の銀行が万が一破綻した場合、預金保険制度(ペイオフ)によって保護されるのは「1人あたり元本1,000万円までとその利息」ですが、国債は日本国政府が破綻しない限り元本と利息の支払いが保証されているため、金融商品の中で極めて高い安全性を誇ります。
(2) 「個人向け国債」の3つのラインナップ
個人向け国債は、個人投資家が1万円という少額から安心して購入できるように設計された商品で、以下の3種類があります。
商品名 | 金利タイプ | 満期(期間) | 利率(金利)の決まり方・特徴
|
|---|---|---|---|
変動10年 | 変動金利 | 10年 | 半年ごとに適用金利が見直される。「基準金利×0.66」で算出。市場金利が上がると受け取る利子も増えるため、インフレ対策として一番人気。 |
固定5年 | 固定金利 | 5年 | 購入時の金利が満期まで変わらない。今後の金利推移を見極めつつ、5年後の使い道が決まっている資金向け。 |
固定3年 | 固定金利 | 3年 | 購入時の金利が満期まで変わらない。比較的短期でお金を確保したい方向け。 |
いずれの商品も「年0.05%」の最低金利保証がついており、どれだけ世の中の金利が下がっても年0.05%を下回ることはありません。
(3) 【シミュレーション例】金利上昇局面での「変動10年」の強み
「変動10年」の最大の魅力は、世の中の金利が上がった際に受け取る利子も一緒に増える点です。
【例:100万円分の「変動10年」を購入した場合】
- 購入時の適用金利が年0.5%だった場合:1年間の利息は100万円×0.5%=5,000円(税引前)
- 3年後に世の中の金利が上がり、適用金利が年1.2%に上昇した場合:1年間の利息は100万円×1.2%=12,000円(税引前)へ自動的にアップします。
このように、固定金利の預金や債券と違い、「買ったあとに金利が上がって損をした」という後悔が少ないのが変動10年の大きなメリットです。
・投資で収入を得たい、資産を増やしたい YES or NO
・リスクはできるだけ抑えたい YES or NO
・投資先の見極め方を知りたい YES or NO
・成功している投資家と接点が欲しい YES or NO
・物価上昇への対策には投資が必要と考えている YES or NO
3. 「個人向け国債プラス」への名称変更と見直しの全貌
(1) 変更時期とスケジュール
財務省の発表によると、「個人向け国債」から「個人向け国債プラス」への名称変更は、令和8年(2026年)12月募集分(令和9年1月発行分)から実施されます。令和8年11月募集分までは、従来どおり「個人向け国債」の名称で販売されます。
(2) 変更の理由:一部「法人等」への販売対象拡大
なぜ長年定着した名称を変更するのでしょうか。
その理由は、これまで個人限定だった販売対象を一部の法人や団体等にも拡大するためです。
これまで中小企業やNPO法人、自治会などの団体が国債を購入する場合、金融市場で売買される一般的な「公募利付国債」を購入するしかありませんでした。しかし、一般的な国債は市場の金利変動によって価格が上下するため、満期前に売却すると元本割れするリスクがあります。
そこで財務省は、安全性が高く、一定期間を過ぎれば元本保証で中途換金できる「個人向け国債」の仕組みを法人等にも提供し、国債を長期的に保有してくれる主体(安定保有層)を広げることにしたのです。
(3) なぜ「プラス」なのか?
「個人向け国債」という名称は広く浸透しているため、まったく新しい名前に変えると混乱を招きます。そのため、「個人向け」というコアのブランドを残しつつ、個人に加えて法人等も購入対象として「プラス(追加)」されたことを表現するために「個人向け国債プラス」という名称に決定しました。
4. 個人投資家への具体的な影響と注意点
「販売対象に法人が加わると、個人が買いにくくなったり条件が悪くなったりするのでは?」と心配されるかもしれませんが、結論として個人投資家へのデメリットや影響は一切ありません。
(1) 商品性・購入ルールの維持
財務省は「商品のラインナップ及び基本的な商品性等に変更はありません」と発表しています。
- ラインナップ:変動10年・固定5年・固定3年の3種類そのまま。
- 購入単位:最低1万円から1万円単位で購入可能。
- 最低保証金利:年0.05%を維持。
- 購入窓口:メガバンク、地方銀行、証券会社、郵便局(ゆうちょ銀行)等で従来通り購入可能。
(2) 【具体例】途中で急にお金が必要になったら?「中途換金」の計算例
個人向け国債は、購入後1年間は原則として換金できませんが、1年が経過すればいつでも1万円単位で中途換金(解約)が可能です。この際、国が額面(100%)で買い取るため、元本割れはしません。
ただし、ペナルティとして「直近2回分(1年分)の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差引額として差し引かれます。
【中途換金の具体例】
100万円で購入し、適用金利(年0.5%)で2年間保有した後に中途換金する場合:
- これまでに受け取った利息:2年間で約10,000円(税引前)
- 中途換金時に引かれる金額(直近1年分の利息相当):約5,000円×0.79685 = 約3,984円
- 手元に戻る金額:元本100万円 +(過去の利息 - 中途換金調整額)
このように、過去に受け取った利息の一部を返す形になるだけで*最初に入金した元本(100万円)自体が削られることは絶対にありません。この「元本割れしない柔軟性」も個人向け国債の大きな強みです。
5. 【最新動向】国債に対する税制優遇(令和9年度税制改正要望)の議論
現在、関係者の間で非常に大きな関心を集めているのが、「国債に対する税制優遇」の議論です。
(1) 背景:日銀の買い入れ減額と2,200兆円の「個人金融資産」
日本銀行はこれまで金融緩和政策により大量の国債を買い続けてきましたが、政策の正常化に伴い買い入れ額を徐々に減らしています。日銀の代わりに国債を買って保持してくれる「新しい買い手」を探す必要があります。
そこで注目されたのが、日本の個人投資家が保有する約2,200兆円もの個人金融資産です。このうち半分以上(約1,100兆円)は現金や預貯金として眠っています。この個人マネーを国債に呼び込むため、税制上の優遇措置を与えてはどうかという案が浮上しました。
(2) 検討されている税制優遇の具体像
金融庁と財務省が「令和9年度(2027年度)税制改正要望」に盛り込んだ「国債に関する税制の検討」では、以下のような優遇策が想定・議論されています。
- 利子の非課税措置:現在、国債の利子には20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税金がかかりますが、これを非課税または軽減する。
- NISA枠の活用・国債版NISAの創設:新NISAの成長投資枠等で国債を買えるようにする、あるいは国債専用の非課税投資枠を作る。
- 相続税の評価優遇:生前に国債を購入しておくと、相続時の税負担が軽くなる仕組みを作る。
(3) 【シミュレーション例】利子非課税でいくら得をする?
もし国債の利息が「非課税」になった場合、投資家の手取り額はどれくらい変わるでしょうか。
【例:500万円の「変動10年」を適用金利1.0%で1年間保有した場合】
- 【現行の課税(20.315%)】
- 1年間の発生利息:500万円 × 1.0% = 50,000円
- 差し引かれる税金:50,000円 × 20.315% = 10,157円
- 手取り額:39,843円
- 【非課税措置が導入された場合】
- 差し引かれる税金:0円
- 手取り額:50,000円(手取りが約1万円アップ!)
金利が高くなればなるほど、20%分の税金の差は大きくなるため、非課税措置が実現すれば個人投資家にとって強烈な追い風となります。
(4) 主な課題と難解な懸念点
一方で、制度化にはクリアすべき高いハードルが存在します。
- 「富裕層優遇」という批判:
国債を千万円・億円単位で買えるのは金融資産に余裕がある富裕層が中心です。「お金持ちの税金を減らすための制度だ」という世論の反発が予想されます。 - 新NISA(貯蓄から投資へ)との理念の食い違い:
新NISAは「日本企業の株式や投資信託にお金を流し、経済成長を促す」ことを目的に作られました。国の借金である国債を優遇することは、「企業の成長支援」というNISA本来の目的と矛盾するという指摘があります。 - 地域金融機関(地方銀行・信用金庫)からの資金流出(クラウディング・アウト):
地方の銀行や信金に預けられている普通預金や定期預金が「国債の方がお得だから」と一斉に解約されて国債に流れ込むと、地銀の資金力が低下します。その結果、地元の中小企業や個人商店へ貸し出す資金が不足し、地域経済が冷え込むのではないかという強い懸念が金融界から示されています。
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6. 【徹底比較】預貯金・個人向け国債・新NISAの最適な使い分け
金融資産を安全かつ効率的に運用するためには、「どれか一つを選ぶ」のではなく、それぞれの特徴を理解して「役割分担(ポートフォリオ)」させることが重要です。
比較項目 | 銀行預貯金(普通・定期) | 個人向け国債(変動10年) | 新NISA(全世界株式・投信等)
|
|---|---|---|---|
安全性・元本保証 | 極めて高い(ペイオフで1,000万まで保護) | 極めて高い(国が元本・利息を保証) | 元本保証なし(暴落リスクあり) |
期待利回り(収益性) | 低い(年0.1〜0.3%程度) | 中程度(年0.5〜1.5%程度、金利追随) | 高い(年3〜7%程度を目指すが下振れも) |
引き出しやすさ | いつでも即時引き出し可能 | 1年間不可、その後は1万円単位で可 | 売却手続き後、数日〜1週間程度 |
役割・向き不向き | 日々の生活費・非常時の備え資金 | 3〜10年使わない安全資産・守りの資金 | 10年以上の長期形成・攻めの資産 |
【ポートフォリオの具体例】手元に1,000万円の資金がある場合
資産1,000万円を運用する場合、以下のように3分割して配分するのが理想的な一例です。
- ① 日常生活費・非常用資金(預貯金):200万円
病気や突然の出費、半年の生活費として、いつでも引き出せる普通預金・定期預金に置いておきます。 - ② 守りの安全資産(個人向け国債プラス):400万円
「元本を絶対に減らしたくないが、預金より高い金利を得たい」お金です。教育資金や数年後の住宅リフォーム資金、老後資金の土台として変動10年で運用します。 - ③ 攻めの成長資産(新NISA):400万円
10年以上の長期視点で、全世界株式インデックスファンドなどに積立・分散投資し、インフレ率に勝つ高いリターンを目指します。
7. まとめ:金利のある世界で生き抜く「金融・投資知識」の重要性
「個人向け国債」から「個人向け国債プラス」への名称変更、そして税制優遇をめぐる活発な議論は、私たちが生きる日本のマネー環境が大きく変化したことの証明です。
最後に、なぜこれからの時代において「金融知識(マネーリテラシー)」がこれまで以上に重要になるのか、その理由を解説します。
(1) インフレ下で「何もしない」ことは実質的な損失
物価が毎年2%ずつ上がっていくインフレの時代において、金利がほぼゼロの預金にお金を眠らせておくことは、見た目の金額(額面)が変わっていなくても、「買えるモノの量が減る」=「実質的にお金が減っている」ことと同じです。
例えば、1本100円のジュースが10年後にインフレで120円になった時、100円の現金はそのままではジュース1本すら買えなくなります。自分の大切な資産の価値をインフレから守るためには、国債の変動金利のように「世の中の金利や物価の上昇についていける金融商品」を正しく選択する知識が必要です。
(2) 正しい金融知識が「自分と家族を守る盾」になる
世の中には数多くの金融商品が存在しますが、中には「元本保証」と偽った詐欺的な投資話や、高額な手数料が引かれる複雑な金融商品も存在します。
「国が元本を保証する国債」や「手数料が安い新NISAのインデックス投資」といった基礎的な仕組みを正しく知っていれば、そうした不適切なリスクを避け、自分に合った最適な資産運用を選択できるようになります。
国や会社に頼るだけでなく、「自分の資産は正しい知識をもって自ら守り、育てる」という意識を持つことが、不確実な未来に対する最大の安心につながります。「個人向け国債プラス」のような安全資産の選択肢も上手に活用しながら、ぜひ今日からマネーリテラシーを高める一歩を踏み出してみてください。
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投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
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