
【初心者向け】給料から引かれるもの一覧!税金・保険料と手取りを増やすテクニック
「給料日を楽しみに給与明細を開いたのに、額面金額と実際に入金されている振込額(手取り)の違いを見てため息が出た……」という経験は、多くの会社員や公務員が一度は通る道です。
毎月の給与から差し引かれている「税金」や「社会保険料」は、どのような基準で計算され、一体どこへ消えているのでしょうか。
この記事では、「給料から引かれるもの(控除)」の全貌を初心者にも分かりやすく体系的に解き明かすとともに、「引かれっぱなし」から脱却して手取りや資産を守り・増やすための「金融・投資の知識」を徹底的に解説します。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
序章:なぜ「額面」と「手取り」に大きな差があるのか?
会社から提示される給与(基本給+各種手当)を「額面(総支給額)」と呼び、実際に銀行口座に振り込まれる金額を「手取り(差引支給額)」と呼びます。
一般的に、会社員の手取り額は額面給与の約75%〜80%程度になると言われています。つまり、給与の約2割〜2.5割は手元に入る前にあらかじめ控除(天引き)されています。
【給料の基本的な構造】
総支給額(額面) = 基本給 + 役職手当 + 残業手当 + 通勤手当 など
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▼ 【天引き(控除)されるもの】
├─ ① 社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)
└─ ② 税金(所得税・住民税)
│
▼
差引支給額(手取り) = 実際に銀行口座へ振り込まれる金額
このように、給料からあらかじめ税金や保険料を差し引いて徴収する仕組みを「天引き(源泉徴収・特別徴収)」と呼びます。
なぜ天引きの仕組みが存在するのか?
天引きの最大の理由は、国や自治体、社会保険組合が確実かつ効率的に徴収するためです。もし全国民が自分自身で一から税金や保険料を計算して納付する仕組みにすると、未納や滞納、計算ミスが頻発し、国の徴収コストも膨大になります。
会社が個人の代わりに毎月正確に計算し、給与から引き落として納付してくれるため、私たちは手間なく社会保障サービスを受けられています。しかしその反面、「何にいくら払っているのか」という金銭感覚が麻痺しやすいという大きなデメリットも生じています。
第1章:給料から引かれるもの【社会保険料編】
給料から引き落とされるものは、大きく分けて「社会保険料」と「税金」の2カテゴリーです。その中でも、実は税金よりも社会保険料の方が大きな割合を占めていることが一般的です。
社会保険料には、以下の4種類(40歳以上は5種類)が存在します。
【社会保険料の5つの柱】
1. 健康保険料 ── 医療費負担を軽減する(原則3割負担)
2. 介護保険料 ── 40歳以上が加入。介護が必要な状態を支える
3. 厚生年金保険料 ── 老後や障害・死亡時に年金を給付する
4. 雇用保険料 ── 失業時や育児休業時の手当を給付する
5. 労災保険料 ── 業務中・通勤中の怪我等を補償する(※全額会社負担)
それぞれの仕組みと負担額の考え方を順番に見ていきましょう。
1. 健康保険料
病気や怪我で病院にかかった際、自己負担額を原則3割(年齢や所得により1〜3割)に抑えるための保険制度です。高額な医療費がかかった際に自己負担額の上限を定める「高額療養費制度」なども、この健康保険のおかげで利用できます。
保険料率の目安: 額面金額の約10%前後(加入する健康保険組合や都道府県によって異なります。例:協会けんぽ等)
負担の仕組み: 労使折半(会社と本人が半々で負担)
そのため、個人の給与明細から引かれているのは実質約5%前後となります。
2. 介護保険料(40歳以上が対象)
加齢に伴って介護が必要になった方を社会全体で支えるための制度です。40歳に達した月から徴収が始まります。
保険料率の目安: 額面金額の約1.6%〜1.8%程度(年によって微変動)
負担の仕組み: 労使折半
給与明細から引かれるのは実質約0.8%〜0.9%です。
3. 厚生年金保険料
将来受け取る「老齢年金」のほか、現役世代で障害を負った場合の「障害年金」、一家の働き手が亡くなった場合の「遺族年金」の原資となる保険です。
保険料率: 一律 18.3%(全国共通)
負担の仕組み: 労使折半
したがって、個人の給与明細から引かれるのは一律9.15%となります。
社会保険料の中で最も負担割合が大きいのが、この厚生年金保険料です。
補足:標準報酬月額とは?
健康保険料や厚生年金保険料は、毎月の給料そのままに対して計算されるのではなく、毎年4月・5月・6月の給与(基本給+残業代+交通費など)の平均値を基に設定される「標準報酬月額」という区切り(等級)を用いて計算されます。そのため、春先(4〜6月)に大量の残業をして給料が増えると、その年の10月からの社会保険料が高くなる仕組みになっています。
4. 雇用保険料
働く人が失業した際の失業手当(基本手当)や、育児休業給付金、各種職業訓練を受ける際の手当などを給付するための保険です。
保険料率(一般事業の場合): 約1.55%(事業の種類により異なる)
負担の仕組み: 労働者負担と会社負担の割合が異なります。
労働者本人の負担割合は0.6%(※制度改正等により微変動あり)程度と、他の保険料に比べて比較的低めに設定されています。
第2章:給料から引かれるもの【税金編】
続いて、給料から控除される「税金」について解説します。給料から引かれる税金は「所得税」と「住民税」の2種類です。
【給料から引かれる2大税金】
┌─ 所得税 ── 国に納める税金(国税)。その年の所得に対してリアルタイムで課税。
└─ 住民税 ── お住まいの自治体に納める税金(地方税)。前年の所得に対して翌年課税。
1. 所得税(国税)
個人の1年間の「所得(収入から経費等を差し引いた儲け)」に対して課される国の税金です。
課税の仕組み: 日本の所得税は「累進課税制度」を採用しています。所得が高ければ高いほど、適用される税率段階(5%〜45%)が上がります。
徴収方法(源泉徴収): 毎月の給与から概算金額があらかじめ天引きされます。これを「源泉徴収」と呼びます。
精算の仕組み(年末調整): 毎月天引きされている所得税はあくまで概算値です。年末に「生命保険料控除」や「配偶者控除」、「扶養控除」などを反映し、正しく再計算して過不足分を調整します。これが毎年末に行われる「年末調整」です(多く引き落とされていた場合は12月〜1月の給与で還付金が戻ってきます)。
2. 住民税(地方税)
自分が住んでいる市区町村や都道府県に納める税金です。
課税の仕組み: 住民税の税率は、前年の所得に対して一律約10%(市区町村民税6% + 都道府県民税4%)です。これに「均等割(定額負担)」が加算されます。
最大のポイント:「1年遅れて請求される」
住民税は、前年1月1日〜12月31日の所得を元に計算され、翌年の6月〜翌々年5月にかけて給与から天引き(特別徴収)されます。
新社会人の注意点: 社会人1年目の毎月の給与からは住民税が引かれません(前年の所得がないため)。しかし、2年目の6月になると前年分の住民税の引き落としが突如始まるため、「2年目になって基本給が増えたのに手取りが減った」と感じる原因になります。
・投資で収入を得たい、資産を増やしたい YES or NO
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・物価上昇への対策には投資が必要と考えている YES or NO
第3章:【実例比較】年収別の手取り額・控除額シミュレーション
ここでは、一般的な会社員(単身・扶養なし)をモデルケースに、年収300万円・500万円・800万円の「引かれる額」と「手取り額」のイメージを比較してみましょう。
※以下の金額は、標準的な社会保険料率(協会けんぽ東京都など)および税制控除を用いた試算目安です(額面賞与なし・毎月等額支給として計算)。
| 年収(額面) | 月額給与(目安) | 社会保険料(月額) | 税金(所得税+住民税・月額) | 手取り月額(目安) | 手取り率(割合) |
| 年収 300万円 | 約25.0万円 | 約3.8万円 | 約1.3万円 | 約 19.9万円 | 約 80% |
| 年収 500万円 | 約41.7万円 | 約6.2万円 | 約3.8万円 | 約 31.7万円 | 約 76% |
| 年収 800万円 | 約66.7万円 | 約9.2万円 | 約10.2万円 | 約 47.3万円 | 約 71% |
ここから読み取れる重要ポイント
高年収ほど「手取り率」が下がる
年収300万円の人は給与の約80%が手元に残りますが、年収800万円になると所得税の累進課税制度等の影響により、手取り率は約71%まで減少します。
額面が上がっても手取りは「比例して増えない」
年収が500万円から800万円へと1.6倍に増えても、手取り月額は約31.7万円から約47.3万円(約1.5倍)にしかなりません。税率が上がることにより、増えた分に対する税金のインパクトが大きくなるためです。
第4章:なぜ社会保険料や税金は上がっているのか?
「昔に比べて手取りが減っている」という噂を聞いたことがあるかもしれません。これは単なる都市伝説ではなく、構造的な事実です。
【手取りが減りやすくなっている社会的背景】
少子高齢化の進展
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▼
現役世代(支え手)の減少 + 高齢者(給付を受ける側)の増加
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社会保険料率の段階的な引き上げ・税制見直し
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「額面給与が増えても手取りが増えにくい」構造へ
過去数十年間にわたり、厚生年金保険料率や健康保険料率は上昇傾向をたどってきました。また、物価上昇(インフレ)が続く局面では、給料が上がってもそれ以上に税金や生活費の負担が増し、「実質賃金(生活のゆとり)」が低下するリスクに直面します。
会社から支払われる額面給料にのみ依存し、天引きされる金額をただ眺めているだけでは、自分の資産や生活のゆとりを守ることは容易ではありません。
だからこそ、制度を理解して自分の意思で「節税」し、「資産運用」を行うマネーリテラシーが不可欠になります。
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第5章:初心者から始める!手取りを守り・増やすための「金融・投資知識」
給与天引きの仕組みや社会保険料・税金の背景を学んだところで、ここからは「手取りや資産を守り、増やすために今日からできる具体的なアクション」について体系的に解説します。
初心者でも取り入れやすいステップは以下の3つです。
【手取り・資産最大化の3ステップ】
Step 1: 控除制度を活用して「納める税金」を減らす(節税)
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Step 2: 非課税制度(NISA・iDeCo)を活用して資産を育てる(運用)
│
Step 3: 長期・積立・分散投資でリスクを抑えながら増やす(実践)
Step 1: 使える制度を活用して「税金を軽減(節税)」する
日本の税制には、特定の条件を満たすと課税対象となる所得を小さくできる「所得控除」という仕組みが用意されています。代表的な制度を活用することで、所得税や住民税を合法的に節約することができます。
1. ふるさと納税(実質2,000円で特産品をもらい、住民税を前払いする制度)
仕組み:
自分が選んだ自治体に寄付を行うと、寄付額から2,000円を引いた金額が、翌年の住民税や所得税から控除(控除分だけ安くなる)されます。 メリット: 実質負担2,000円で、各地のお肉、米、日用品などの返礼品を受け取ることができます。手取りを直接増やすわけではありませんが、生活費(食費・日用品費)の節約になるため実質的な節約効果は抜群です。
2. iDeCo(個人型確定拠出年金)
仕組み:
自分で毎月決めた金額を積み立てて運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。 節税メリット: 拠出した掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。
例:毎月2万円(年間24万円)をiDeCoで積み立てた場合、年収500万円の人なら所得税・住民税が年間約4.8万円節税できます。手取りを直接ガードする非常に強力な手段です。
3. その他の控除(医療費控除、生命保険料控除、住宅ローン控除など)
医療費控除:
1年間で支払った世帯の医療費が原則10万円(または総所得の5%)を超えた場合、確定申告をすることで税金の還付を受けられます。 生命保険料控除: 加入している民間保険の支払額に応じて、年末調整で税負担が軽くなります。
Step 2: 税制優遇制度(NISA)で資産形成を加速させる
節税で守りを固めたら、次は「新NISA(少額投資非課税制度)」を活用して資産を増やすフェーズに移ります。
なぜNISAが必要なのか?
通常、株式や投資信託などに投資して得た利益(運用益や配当金)には、約20.315%の税金が課されます。
例えば、投資で100万円の利益が出た場合、約20万円が税金として引かれ、手元には約80万円しか残りません。
しかし、NISA制度を利用して購入した投資信託や株式の利益は、期間無期限で非課税(税金が0円)になります。100万円の利益が出たら、100万円そのままが手元に残ります。
【通常口座 vs NISA口座の比較】
投資利益:100万円が出た場合
[通常口座] ── 利益100万円 - 税金約20万円 = 手元に残る額:約80万円
[NISA口座] ── 利益100万円 - 税金 0円 = 手元に残る額:100万円!
新NISAの主な特徴(基本概要)
非課税保有期間: 無期限(一生涯非課税で保有可能)
年間投資枠: つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円=年間最大360万円
生涯非課税限度額: 最高1,800万円まで
国がこれほど手厚い制度を用意している背景には、「国からの年金や社会保障だけに頼るのではなく、一人ひとりが自分の手で資産を作ってほしい」というメッセージが込められています。
Step 3: 初心者が失敗しない「投資の3大原則」
「投資=ギャンブル、元本割れが怖い」というイメージを持つ初心者の方も少なくありません。しかし、正しい原則を守って運用を行うことで、長期的なリスクを大幅に下げることが可能です。
1. 「長期」で運用する
投資期間を5年、10年、20年と長く取ることで、「複利効果(利益が利益を生む効果)」が働き、資産が雪だるま式に成長しやすくなります。また、短期的な価格変動の波を平準化し、元本割れのリスクを時間とともに低減させる効果もあります。
2. 「積立」で定額購入する(ドル・コスト平均法)
毎月一定額(例:毎月1万円)を自動で買い続ける手法を「ドル・コスト平均法」と呼びます。
価格が高いとき:少ない数量を購入
価格が安いとき:多くの数量を購入
このルールを機械的に続けることで、購入単価が自動的に平滑化され、高値掴みのリスクを防ぐことができます。
3. 「分散」でリスクを散らす
1つの企業の株式だけに集中して投資すると、その会社が倒産した際に資産が暴落します。
しかし、全世界や主要国の何千社もの企業にまるごと投資する「インデックスファンド(例:全世界株式、S&P500など)」を利用すれば、地球全体の経済成長の波に乗りながら、個別企業のリスクを最小限に抑えることができます。
結論:給料の「天引き」を理解し、自分の意思で資産を作ろう
今回の内容を整理しましょう。
給与明細の構造を知る: 額面と手取りの差は「社会保険料(健康保険・厚生年金等)」と「税金(所得税・住民税)」の天引きによるもの。
社会保障の現実を把握する: 少子高齢化に伴い、今後も負担増の圧力が続くため、額面給与だけに頼るのはリスクがある。
手取りを守る「節税」を実行する: ふるさと納税やiDeCoなどを活用し、払う税金を賢くコントロールする。
非課税制度「NISA」で投資を始める: 長期・積立・分散投資を徹底し、時間を味方につけて着実に資産を増やす。
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投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
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