【2026年最新】新NISAの利用率・投資額の実態は?金融庁データから見る注目点と初心者の始め方

【2026年最新】新NISAの利用率・投資額の実態は?金融庁データから見る注目点と初心者の始め方

新NISA(敬称略・少額投資非課税制度)は、従来の資産形成の概念を大きく覆し、日本の家計における「貯蓄から投資へ」のシフトを力強く推進しています。金融庁から公表されている最新の「NISA口座の利用状況調査」などの公的データをもとに、利用率や買い付け金額の実態、年代ごとの活用状況、そして投資初心者が注意すべきポイントまでを体系的にわかりやすく解説します。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

1. データで見る「新NISA」の利用率と買付額の実態

2024年に抜本的拡充がなされて以降、新NISAの普及ペースは市場の想定を超える広がりを見せています。

口座数と普及率の推移

  • 全国の口座数2025年12月末時点の速報値で、NISAの総口座数は約2,826万口座に達しています。

  • 成人人口における普及率:18歳以上の人口に対して25%超(約4人に1人)が口座を保有している計算になります。

  • 現役世代での普及18歳〜64歳の現役世代に限ると普及率は37%超まで上昇しており、かつての「高齢層中心の制度」から「働く世代が将来のために活用する制度」へと一変しました。

累計買付額と政府目標の達成状況

金融庁の調査によると、NISA制度開始からの累計買付額は70兆円を突入する水準へ到達しています。

政府が掲げていた「資産所得倍増プラン(2027年末までに買付額56兆円)」という高い目標値は、2025年前半の段階で前倒し達成される形となりました。

【NISA累計買付額のイメージ】
2022年3月末: 27.6兆円 ───┐
2025年初頭 : 56.0兆円 ───┼─ 政府の倍増目標を早々に突破!
2025年末速報: 70兆円以上 ──┘

 

年代別の利用実態:若年層の参入と投資枠の使い方

年代別に見ると、非常に明確な特徴が現れています。

  • 20代〜40代(現役世代)

    • 「つみたて投資枠」を中心に活用。

    • 月額1万〜5万円程度の少額からコツコツと長期積立を行う層がボリュームゾーン。

  • 50代〜60代以上(プレシニア・シニア世代)

    • 預貯金などの退職金やまとまった手元資金を背景に「成長投資枠」を活用した一括購入や高配当株投資の比率が高い。

2. 統計データから読み解く「3つの注目ポイント」

金融庁や各種関係機関の調査データを深く分析すると、単に「ブームである」という事実以上に重要な実体が見えてきます。

注目ポイント①:「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二極化

新NISAでは、年間120万円の「つみたて投資枠」と、年間240万円の「成長投資枠」の併用が可能です。

  • つみたて投資枠:市場の短期的な変動にかかわらず、毎月定額で購入されるため買付額が毎四半期着実に積み上がっています。

  • 成長投資枠:年初の一括投資ニーズや、相場の上下動に影響を受けやすい性質があります。株価上昇期には買付が跳ね上がり、市場の調整局面(トランプショック等の世界的な株価下落)では一時的に勢いが鈍化するなど、相場連動性が明確に出ています。

注目ポイント②:「未稼働口座(買付未利用)」が約3大〜4割存在する

「口座を作ったものの、実際には1円も買付をしていない」という未稼働口座が全体の約30〜38%程度存在します。

「口座を開設したけれど、何を買えばいいかわからない」「暴落が怖くて注文を出せない」という初心者層が一定数足踏みしている現状が浮かび上がっています。

注目ポイント③:月額投資額は「現実的な範囲」が主流

「非課税枠が年間360万円(生涯1,800万円)に広がった」と聞くと、巨額の資金が必要に思えますが、実態は異なります。

日本証券業協会等のデータによると、月額の買付額は「1万円〜5万円」が最も多く、無理のない家計の余剰資金から投資をスタートしている人が大半です。

注目ポイント④:年代別で見る「利用率」と「買い付け金額」の大きなギャップ

金融庁の調査データを年代別に分解すると、「口座の普及率が高い世代」「実際に動いている投資金額が大きい世代」の間で、極めて対照的な実態が見えてきます。

【年代別の利用実態イメージ】
20〜30代:普及率は急上昇中 | 平均投資額は「小額からの積立」主体
50〜60代:普及率は安定水準 | 平均投資額は「大きな余剰資金」を活用

 

1. 20代〜30代(若年層):高い利用率と「長期・積立型」の徹底

  • 利用率の実態:新NISA開始以降、最も口座数が急増したのが20代・30代の若年層です。スマホ完結型のネット証券普及やSNSでの情報拡散により、20代の普及率は3割近く、30代では4割前後に達しています。

  • 買い付け金額:月平均の投資額は1万円〜3万円程度が中心です。給与からの拠出がメインとなるため1回あたりの投資額は控えめですが、「つみたて投資枠」を100%近く活用し、全世界株式(オール・カントリー)やS&P500などのインデックスファンドに毎月コツコツ投資する「堅実な長期運用スタイル」が定着しています。

2. 40代〜50代(ミドル世代):家計のゆとりと「投資枠の併用」

  • 利用率の実態:住宅ローンや教育費などの支出ピークと重なる世代ですが、将来の老後資金準備に対する意識の高さから、全年代の中でもトップクラスの口座保有率(40%超)を維持しています。

  • 買い付け金額:月額投資額は3万円〜10万円へと一気に跳ね上がります。一定の貯蓄や役職手当などの余剰資金を背景に、「つみたて投資枠」だけでなく「成長投資枠」を併用し、個別株や高配当ETFの買い付けを開始する層が増加するのもこの世代の特徴です。

3. 60代以上(シニア層):保有額は圧倒的トップ、「成長投資枠」の活用

・60代以上の口座保有率

  • 60代(60〜69歳):同年代人口の約25〜30%程度(およそ3.5〜4人に1人)

  • 70代以上:同年代人口の約20%前後(およそ5人に1人)

・シニア世代の利用状況における3つの特徴

  1. 若年層の追い上げにより普及率トップの座が交代 旧NISA時代は60代・70代の保有率が全世代で最も高い水準でした。しかし、新NISA開始以降は20代〜30代の口座開設ペースが急急増したため、現在の普及率トップは30代・40代(約35〜40%超)へ移行しています。

  2. 投資金額(買付総額)では依然として圧倒的首位 保有率の勢いでは若年層が上回るものの、口座あたりの買付金額や運用残高では60代以上が全世代の中で圧倒的に大きな割合を占めています。退職金や預貯金など手元の余剰資金を活用し、年間240万円の「成長投資枠」を中心に活用している層が多いのが特徴です。

  3. 「つみたて投資枠」より「成長投資枠」の利用割合が高い 20〜30代が「つみたて投資枠」で毎月定額運用を行う割合が高いのに対し、60代以上は配当金や分配金(インカムゲイン)を重視して「成長投資枠」で高配当株や高配当投資信託を一括・分散購入する傾向が顕著に出ています。

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3. 初心者が新NISAを利用する際に「注意すべきこと」

新NISAは投資の利益が非課税になる素晴らしい制度ですが、「絶対にお金が増える魔法の箱」ではありません。失敗を避けるために以下の注意点を押さえておきましょう。

① 損切りの罠(暴落時の狼狽売り)

株式や投資信託は、経済情勢によって一時的に20%〜30%ほど値下がりすることがあります。

初心者が陥りがちな最大の失敗は、「損が出るのが怖くなって、値下がりしたタイミングで売却してしまうこと(狼狽売り)」です。積立投資の強みは、値下がりした時に「安く多くの量を仕込める」点にあります。長期視点を持ち、短期の下落で慌てて売らない覚悟が必要です。

② 非課税枠の「再利用ルール」の誤解

新NISAでは、商品を売却するとその「簿価(購入時の金額)」分の非課税枠が翌年以降に復活します。

しかし、これは「売買を繰り返すデイトレードに向いている」という意味ではありません。頻繁に売買を繰り返すと非課税枠の計算が複雑化し、長期投資による複利効果も薄れてしまいます。

③ 損益通算・繰越控除ができない

通常の課税口座(特定口座など)では、ある取引で損が出た場合に他の利益と相殺して税金を減らす「損益通算」ができます。しかし、NISA口座内で生じた損失は「ないもの」として扱われるため、他の口座の利益と相殺することはできません。リスクの大きすぎる商品への集中投資は避けるべきです。

④ 生活資金まで投資に回してしまう

「非課税枠を早く使い切りたい」と焦るあまり、生活費や近い将来(3〜5年以内)に使う予定のあるお金(結婚資金・住宅頭金・教育費など)まで投資に回すのは危険です。

投資はあくまで「当面使う予定のない余剰資金」で行うのが鉄則です。

4. なぜ今「金融・投資の知識(マネーリテラシー)」が不可欠なのか

新NISAという非常に優れた制度が用意されたからこそ、私たちが向き合うべき重要な課題があります。それが「金融知識(マネーリテラシー)の向上」です。

「貯金だけ」では資産が目減りするインフレ時代

日本は長年続いたデフレ期を脱却し、物価が上昇するインフレ局面にあります。

銀行にお金を預けておくだけでは、金利よりも物価上昇率の方が高くなり、実質的な「お金の価値」が目減りしていってしまいます。自らの購買力を守るためには、資産の一部を「価値を生み出す事業(株式や投資信託)」へ投資することが必要不可欠です。

制度は「器」であり、中身を決めるのは「知識」

新NISAという制度は、非課税という優遇措置を提供する「器」に過ぎません。

その器の中に、何を、どのような割合で、いつまで投資し続けるかという「意思決定」は、口座を開設したあなた自身に委ねられています。

  • 知識がない場合:「SNSで流行っているから」「ランキング1位だから」という理由だけで商品を選び、相場が下がった途端に不安になって損切りしてしまう。

  • 知識がある場合:「世界経済の成長に投資する」「分散投資でリスクを抑える」という根拠を持って選択できるため、相場の暴落時でも落ち着いて買い続けることができる。

人生100年時代と言われる現代において、自分の資産を守り、育てていくための知識は、読み書きやパソコンスキルと同じレベルの「一生モノの生きていくスキル」です。

5. 初心者が今日から始めるためのステップ

最後に、これから新NISAを始める方、または口座を作ったものの未稼働になっている方向けのステップを整理しました。

1.生活防衛資金を確保する:

まず、病気や急な失業に備えて「月々の生活費の3〜6ヶ月分」を銀行口座に確保します。このお金は絶対に投資に回さない現金として残します。

2.ネット証券で口座を開設する:

店舗型の金融機関よりも、手数料が極めて安く取扱商品数が豊富な大手ネット証券(SBI証券や楽天証券など)でNISA口座を開設します。

3.「つみたて投資枠」でインデックスファンドを選ぶ:

初心者は、世界中の株式に広範に分散投資ができる「全世界株式(オール・カントリー)」や「全米株式(S&P500など)」に連動する低コストなインデックスファンドを1つ選びましょう。

4.少額から自動積立を設定する:

最初は「月5,000円」や「月1万円」など、万が一減っても生活に支障が出ない金額からスタートします。一度設定すれば、あとは毎月自動で買い付けが行われます。

5.株価を見すぎず「放置」する:

積立設定をした後は、毎日の株価チェックに一喜一憂する必要はありません。年に数回資産状況を確認する程度にし、長期的(10年〜20年)に育てていく意識を持ちましょう。

結局何を買う?

新NISAで特に高い人気を誇る2大ファンド「全世界株式(通称:オルカン)」と「S&P500」は、どちらも手数料が非常に安く、初心者におすすめの投資信託です。

「どちらが自分に合っているか」を判断できるよう、両者の違いや選ぶ際の基準をわかりやすく解説します。

1. 「オルカン」と「S&P500」の基本スペック比較

一言で表すと、「世界中に広く丸ごと投資する」のがオルカンで、「アメリカの主要な強い企業500社に集中投資する」のがS&P500です。

比較項目全世界株式(オール・カントリー)米国株式(S&P500)
主な投資先先進国 + 新興国(約47カ国・地域)米国のみ(アメリカ100%)
投資銘柄数約2,800銘柄約500銘柄
アメリカ企業の割合約60%(実は半分以上が米国株)100%
強み1つの国がダメになっても他でカバーできる過去の実績(リターン)が高く成長力が強い
主なリスクアメリカ一強が続いた場合に伸びが控えめになるアメリカ経済が冷え込むと大きな直撃を受ける

知っておきたいポイント:

「オルカン」という名前ですが、実は中身の6割近くはアメリカの株式で占められています。世界全体を見渡したときに、アメリカ企業の規模があまりにも大きいためです。そのため、どちらを選んでも「アメリカ経済の影響を受ける」という点では共通しています。

2. 初心者が選ぶための「3つの判断基準」

どちらを選ぶべきかは、あなたの「未来の考え方」や「リスクのとり方」によって決まります。

基準①:将来「どの国が勝つか」への考え方

  • 「どの国が成長するか分からないから、世界全体に賭けたい」 オルカン

    今後10年・20年の間にアメリカが衰退し、インドや他の国が台頭してきたとしても、オルカンは各国の経済力に合わせて自動で投資割合を入れ替えてくれます。

  • 「今後も当面はアメリカが世界経済をリードし続けるはずだ」S&P500

    アップル、マイクロソフト、ヌビディア、アマゾンなど、世界を牽引する巨大イノベーション企業の大半はアメリカに集まっています。アメリカの力強い成長力をダイレクトに享受したい場合に向いています。

基準②:求める「リターン」と受け入れられる「値動き」

  • 「少しリターンが落ちても、安全性を高めたい」 オルカン

    日本や欧州、新興国などへ広く分散されているため、単一国への依存度が下がります。

  • 「一時的に値動きが大きくなっても、高い成長(増え幅)を狙いたい」 S&P500

    過去10年~20年のデータでは、分散しているオルカンよりも、アメリカに絞ったS&P500の方が高いリターンを出してきました。

基準③:夜ぐっすり眠れるかどうか(精神的ストレス)

投資で最も重要なのは「暴落が来ても売らずに続けられること」です。 もしアメリカで深刻な不景気が起きた際、「アメリカだけに集中投資していて大丈夫だろうか…」と不安になって手放してしまうそうなら、最初から広く分散されているオルカンを選ぶのが無難です。

3. よくある質問

Q. 「両方半分ずつ買う」のはアリ?

A. あまり意味はありません(どちらか1つで十分です)。

オルカンの約6割はすでにS&P500と同じアメリカ企業で構成されています。両方買っても「アメリカの割合が6割から8割に少し増えるだけ」になり、本質的なリスク分散にはなりません。自分の考えに合った方を1つ絞ってシンプルに積み立てるのがおすすめです。

Q. 途中で変更することはできる?

A. いつでも変更可能です。

新NISAでは、売却するとその枠(購入時の金額分)が翌年に復活するルールがあります。積立設定の変更もマイページから簡単にできるため、最初はどちらか片方でスタートし、知識がついてから見直しても問題ありません。

まとめ:どっちを選べばいい?

  • 迷ったらこれ: 「全世界株式(オルカン)」

    究極の分散投資であり、ほったらかしで長期投資をするのに最も隙がない王道商品です。

  • 米国を信じるなら: 「S&P500」

    「世界最強のアメリカ経済に投資する」という明確な信念があり、少し高いリターンを目指したい人向けです。

どちらを選んだとしても、投資の世界ではトップクラスに優秀で手数料の安い優良ファンドです。過剰に悩みすぎてスタートが遅れるよりは、どちらか納得できた方で少額から積立を始めるのが一番の近道です。

 

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