新NISAの制度が開始して半年が経過しました。金融庁が公表している資料によると、NISA口座開設数は2024年3月末時点で2322万7848口座で、新NISAスタート前の昨年末から186万口座増えていることになります。
そこで今回は、新NISAの利用実態を探るべく、投資を学んでいる1218名にアンケート調査を行いました。
調査の結果、NISA口座を開設している人の割合は9割超と非常に高いことがわかりました。
1,100人以上の新NISA利用者に利用実態を詳しく調査した結果をまとめていますので、これから新NISAを始める方、NISAで思うような結果が出ていない方など、ぜひこの記事を参考にしていただけると幸いです。
この記事でわかること
新NISA利用者の投資金額
新NISAで投資している商品の内訳
新NISA利用者の現時点での投資利益、利用者の声
<調査概要>
調査内容:新NISA利用実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年6月23日〜6月26日
有効回答:1,218名
回答者属性:投資を学んでいる10代~70代の男女※
※GFS無料特別講座を受けたことがある人への調査
目次
NISA口座を開設している人は91%
冒頭で紹介したとおり、新NISAの追い風もありNISAの口座開設数は増え続けています。では、NISA口座を開設している人たちの利用実態はどうなのでしょうか?
お金の学校GFS(グローバルファイナンシャルスクール)の無料講座を受けたことのあるユーザー1,218人に聞いた、新NISA利用実態調査の結果をまとめました。
1,218人のうち、「NISA口座を開設している」と回答した人は91%。「今後開設する予定」と回答した人は5%で、「開設していない」人はわずか4%という結果に。
それでは、NISA口座の開設時期や開設していないと回答した人の理由について、紹介していきましょう。
NISA口座の開設時期は、新NISA前が8割を超える
金融庁の公表資料では、新NISA開始後からNISA口座開設数が伸びているという結果でしたが、投資に関心のあるユーザー層ではどうなのでしょうか。
「NISA口座を開設している」と回答した1,108人に口座開設時期をお聞きしたところ、「新NISAがスタートする前」と回答した人が83.9%、「新NISAがスタートしてから」と回答した人は16.1%でした。
お金の学校の無料講座で投資の学習をしたことのあるユーザーへのアンケート調査のため、新NISAスタート以前から口座を開設している人の割合がかなり高い結果になっているといえます。
NISA口座を開設していない人の理由TOP3
一方で、投資に関心があるにも関わらず「NISA口座を開設していない」と回答した人も110人いました。
どのような理由でNISA口座を開設していないのか聞いてみたところ、「何に投資したらよいか決められないから(50.0%)」「制度の内容をよく知らないから(31.8%)」「投資資金がないから(20.0%)」「NISA以外で投資しているから(20.0%)」という回答が多く見られました。
「何に投資したらよいか決められない」の回答者が多い背景には、旧NISAに比べて新NISAでは選択肢が増えたことが関係しているのかもしれません。
また、「その他」と回答した人の理由では、「どこの証券会社で開設するか迷っている」など、金融機関に関する悩みが複数見られました。
新NISAの投資金額や、投資先TOP5
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられています。
これらの枠は、旧NISA制度のつみたてNISA、一般NISAと似ていますが、新旧での大きな違いは新NISAでは2つを併用できるようになったことです。
「つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを利用していますか?」と聞いたところ、「両方の枠を併用している」と回答した人が59.2%、「つみたて投資枠のみ」が25.3%、「成長投資枠のみ」8.6%、「未定」が6.9% という結果でした。
やはり、新NISAの「2つの枠を併用」というメリットを活用している人が多いようです。
つみたて投資枠の積立金額は、月10万円が最多
新NISAでは、年間の非課税枠は360万円で、そのうち「つみたて投資枠」は120万円、「成長投資枠」は240万円という内訳で設定されています。
今回の調査では、先ほどの回答で「両方の枠を併用している」「つみたて投資枠のみ」と回答した936人に対して、毎月の積立投資金額をお聞きしました。
毎月の積立金額が「10万円」と回答した人が20.6%と最も割合が高く、つづいて「5万円~10万円未満」が16.9%、「3万円~4万円未満」が15.0%とつづく結果になりました。
毎月の積立金額が10万円ということは、つみたて投資枠の年間120万円の投資枠を残すことなく使うということで、非課税枠が拡充された恩恵をフル活用している人が多いという結果になります。
また、回答者を世帯年収別で見ると、月10万円積み立てている人の70%以上が700万以上の世帯年収であり、年収が平均より高い世帯または共働きなどで家計に余裕のある世帯が多いと推察されます。
新NISAで投資している商品TOP5
2024年6月時点で、つみたて投資枠の対象商品だけでも293本あり、成長投資枠も合わせると投資できる対象は膨大に増えます。
では実際、新NISA利用者はどのような商品を選んでいるのでしょうか。
NISA口座開設者の1,108人に調査しました。
数ある投資商品の中で、全19種に分類して聞いてみたところ
・投資信託(米国株)63.9%
・投資信託(全世界株)50.8%
・個別株(日本株)32.2%
・投資信託(日本株)24.3%
・投資信託(新興国株)18.4%
以上の5つを選択している人が多い結果になりました。
米国株式S&P500や、全世界株式(オール・カントリー)の人気の高さがうかがえます。
現時点でNISAの投資結果に満足している人は6割
最後に、現時点でのNISAの投資結果についての満足度やその理由について聞いてみました。前提としてNISAは長期的に保有して利益を最大化するのがおすすめですが、今の段階での投資利益はどうなのでしょうか。
「現時点での投資結果に満足していますか?」の質問に対して、「満足している」59.4%、「満足していない」32.2%、「まだわからない」8.4%という結果で、満足している人が約6割となりました。
それぞれ理由を具体的に紹介していきます。
NISAの投資結果に満足している人の声
「満足している」と回答した658人の中から、投資利益や投資銘柄などが具体的に書かれていた声をいくつか紹介します。
銀行に預けているよりも増えるから。投資利益は2年で50万くらい(50代女性)
月づきの投資を日付設定で行っているので、手間がかからず忘れることもありません。今年1月から運用していますが、7万3000円の利益が出ています(50代男性)
月々夫婦で20万円ずつ積み立てている。投資利益は円安の効果があり、 15〜20%程度。含み益は大きいが、円高リスクで長期的に見て20%くらいの下落は見込んでいるが、現在としては恩恵を受けているので満足(30代男性)
新NISA、旧積み立てNISA共に含み益を出しており、額としては70~80万位です(50代男性)
約120万円の積立に対して約30万円の利益が出ているため(50代女性)
全ての投資信託で含み益が出ているため。
【成長投資枠】日経平均:+4.3万、NASDAQ100:+15万、インド:+18万、【つみたて投資枠】オルカン:+4万(30代男性)
三井物産、ENEOSを6年ぐらい前から投資しているので500万以上の利益です。+配当もあります(40代男性)
新NISAで始めた商品はまだプラスになったりマイナスになったりだが、数年続けているものは利益が出ている。
旧NISAからの国内株式の商品は約4年で170万円ほど積み立てて現在236万円になっている(30代女性)
去年から始めた積み立てNISAが既に利益+13万円、今年の分だけでも9万円増えていて、ここからまたさらに複利の効果で増え続けていくと考えると、ワクワクします!(20代女性)
傾向を見てみると、主に積立投資で新NISAを利用している人からの「手間がかからない割に増えている」「新・旧ともに利益が出ている」といった声が多く見受けられました。
NISAの投資結果に満足できていない人の声
つづいて、「満足していない」と回答した357人の回答理由をいくつか紹介します。
個別株でのリターンが少ない(30代男性)
つみたて投資は10%ほどプラスなのでとても満足しているが、優待目当てで買ってみた個別株3つがほぼマイナスで、新NISAのトータルがマイナスのため(40代女性)
インデックス運用は文句なしでそのまま続けられるが、個別株がまだまだ。勉強しながらなんとか上手くやっていきたいです(20代男性)
個別株は有名な銘柄しか買えていない。日々増えたり減ったりでいつまで持っていればいいのかも悩み中。
もう少し勉強して、利益の大きいものを見つけられるようになりたい。アメリカ株も買ってみたいけど、まだ何を買うか悩んでためらっている状態(40代女性)
個別株に関しては分散投資していて、思うように伸びず含み損になっている銘柄が半分。そのため、含み益のある半分を考えても、トータルで少しのプラス。
まだ個別株を始めて半年なので、練習を兼ねて少額から分散投資しているが、今年の目標含み益にはこのままでは届かないので、日々ニュースを読んだり動画学習してメンタル維持に努めている(40代女性)
出来れば積み立て額を増やしたいが、懐事情で今は出来ないのでもどかしい(40代男性)
現在のリターンに対してではなく、もっと早く始めていれば良かったという自分への不満(50代男性)
成長投資枠で個別株投資をしている人の回答も多く「個別株で結果出せていない」という声が多数ありました。
また、「捻出できる投資金額が少ないのでリターンも少ない」、「もっと早く始めていれば…」という、投資利益そのものより新NISAを上手く活用しきれていない人の声もありました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の調査では、
・NISA口座を開設している人は91%
・NISA口座の開設時期は、新NISA前が83.9%
・つみたて投資枠と成長投資枠の利用状況は「2つを併用」が最も多く59.2%
・つみたて投資枠の積立金額は、月10万円が最多
・現時点で投資結果に満足している人は59.4%
という結果がわかりました。
すでに投資を学んでいる人へのアンケート調査だったため、一般的なデータよりも新NISAへの積極的な姿勢が明らかになりました。
これから新NISAを始める方、NISAで思うような結果が出ていない方は、この記事の情報も参考にして投資金額や投資商品を選んでみるのもよいかもしれません。
NISA最大のメリットは、
株や投資信託などの運用益が非課税になること。
ですが、実は注意点を知っておかないと
失敗する可能性もあります。
プロの投資家がわかりやすく解説します。
コメント