日本とはここまで違う!米国保険市場を支える3社「Globe Life・Aflac・Unum Group」

日本とは異なる米国の保険市場、その特徴に迫る

米国の保険市場には、日本とは異なる独特の構造があります。日本では国民皆保険制度を基盤として、公的医療保険が医療保障の中心を担っています。一方、米国ではMedicareやMedicaidなどの公的制度に加え、勤務先を通じた民間医療保険や個人向け保険など、複数の仕組みが組み合わさっています。そのため、民間保険会社が担う役割は日本よりも大きく、生命保険だけでなく、医療、障害、所得保障など幅広い分野にビジネスが広がっています。今回は、Globe Life、Aflac、Unum Groupという特徴の異なる米国保険会社を取り上げ、それぞれの事業内容や収益構造を見ていきます。米国の保険制度を知ることは、各社のビジネスモデルを理解するとともに、米国保険株を比較するうえでも重要なポイントとなります。

企業名ティッカー主な事業
Globe LifeGL生命保険、医療保険、メディケア補完保険
AflacAFL医療保険、生命保険、傷害保険
Unum GroupUNM障害保険、生命保険、医療関連保険
CNO Financial GroupCNO生命保険、年金、医療保険
PrimericaPRI定期生命保険、投資・金融サービス

アメリカの公的保険と民間保険は何が違う?日本の医療保険制度と比較して分かる「保険大国」の仕組み

アメリカの保険会社には、グローブ・ライフ(GL)やAflac(AFL)、ユナム・グループ(UNM)など、生命保険や医療保険を手掛ける企業が数多くあります。一方、日本では国民皆保険制度が整備されており、会社員なら健康保険、自営業者などなら国民健康保険、高齢者なら後期高齢者医療制度など、基本的に公的医療保険を通じて医療を受ける仕組みです。両国を比較すると、「保険」という同じ言葉でも、その役割や民間保険会社の位置付けには大きな違いがあります。

アメリカの医療保険制度を理解するうえで重要なのは、「公的保険か民間保険か」の二択ではないという点です。アメリカには、政府が運営するMedicare(メディケア)やMedicaid(メディケイド)などの公的制度が存在する一方、現役世代の多くは民間の医療保険を利用しています。CMS(米国メディケア・メディケイドサービスセンター)によれば、医療保険には勤務先を通じた民間保険、個人で購入する保険、MedicareやMedicaidなど政府のプログラムがあります。

特にアメリカで重要なのが、勤務先を通じた民間医療保険です。企業が従業員向けの団体医療保険を用意し、従業員やその家族が加入する仕組みが広く普及しています。つまり、アメリカでは「どの会社で働いているか」が医療保険の選択や保障内容に影響するケースがあります。CMSも、民間企業の従業員について、勤務先が団体医療保険を提供するケースを一般的な保険形態の一つとして説明しています。

これに対して、日本は公的医療保険を基本とする仕組みです。厚生労働省によると、国民健康保険は、他の医療保険制度に加入していない住民を対象とする制度で、被用者保険や後期高齢者医療制度などとともに日本の医療保険制度を構成しています。

この違いを考えると、アメリカの「公的保険」は、国民全員を一つの制度でカバーするものではなく、年齢、所得、障害の有無などによって対象者が分かれる制度と考えると分かりやすいでしょう。

代表的なのがMedicareです。Medicareは原則として65歳以上の人を対象とし、65歳未満でも一定の障害がある人や末期腎疾患の患者などが対象となります。Part Aは入院など、Part Bは医師の診療や外来医療などをカバーし、Part Dでは処方薬を対象とします。

一方のMedicaidは、低所得者を中心に、子ども、妊婦、高齢者、障害者などを対象とする公的医療保障制度です。ただし、Medicaidは連邦政府と州政府が共同で運営するため、加入資格や給付内容には州による違いがあります。(CMS)

さらに興味深いのが、公的制度の中にも民間保険会社が関わる仕組みがあることです。代表例がMedicare Advantageです。これはMedicare Part Cとも呼ばれ、Medicareの承認を受けた民間保険会社などが提供する医療保険プランです。Original Medicareとは異なり、民間保険会社が運営するプランを利用する形になります。CMSによれば、Medicare AdvantageにはHMOやPPOなどさまざまなタイプがあり、Original Medicareの給付に加えて追加サービスを提供するプランもあります。

この点は、アメリカの保険株を見るうえでも重要です。グローブ・ライフのような生命保険会社と、医療保険を中心とする大手保険会社では事業構造が異なります。また、民間保険会社は企業向け団体保険、個人向け医療保険、生命保険、年金など、さまざまな市場に進出しています。

実際、米国の医療費全体に占める民間医療保険の存在感は大きく、CMSの2024年データでは、米国の国民医療支出は5.3兆ドル。そのうち民間医療保険による支出は1.64兆ドルで、全体の31%を占めました。一方、Medicareは1.12兆ドル、Medicaidは9320億ドルでした。

日本との違いを整理すると、アメリカでは公的保険と民間保険が複雑に組み合わさっているのに対し、日本では公的医療保険を土台として民間保険が補完的な役割を担う、という違いがあります。

日本でも生命保険会社は、医療保険、がん保険、死亡保険、介護保険などを販売しています。しかし、病気やけがをした際の医療費そのものについては、まず公的医療保険が中心になります。そのうえで、入院時の差額ベッド代や先進医療、収入減少への備えなど、公的保障だけではカバーしにくい部分を民間保険で補うという考え方が一般的です。

一方、アメリカでは民間医療保険そのものが医療保障の中心的な役割を担っています。そのため、保険会社の業績や加入者数、医療費の増加、政府の制度変更などが企業業績に影響しやすい構造があります。

また、アメリカの医療保険を考える際には、保険料だけでなく自己負担やネットワークも重要です。加入している保険によって、利用できる医療機関、自己負担額、保険会社による事前承認などの条件が異なる場合があります。つまり、同じ「医療保険」に加入していても、契約内容によって実際の負担や使い勝手が変わります。

日本では、原則として全国的な公的医療保険制度の枠組みの中で医療を受けられるため、こうした違いはアメリカほど大きくありません。もっとも、日本も医療費や保険料負担、制度の持続可能性をめぐる改革が続いています。2026年にも医療保険制度改革法が成立しており、給付と負担の見直しが進められています。

このように見ると、アメリカの保険業界は「公的保険がない国」なのではなく、公的保険が対象者を限定して存在し、その周囲を巨大な民間保険市場が取り囲んでいる国と表現する方が実態に近いでしょう。

投資の観点では、この制度の違いが米国保険株の事業モデルを理解するポイントになります。グローブ・ライフのような生命・医療保険会社を見る際には、単純に「保険会社」という括りで見るのではなく、生命保険、補完的医療保険、企業向け医療保険、Medicare関連事業など、どの市場から保険料収入を得ているのかを確認することが重要です。アメリカと日本では同じ「保険」という言葉でも、その市場構造は大きく異なります。

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Globe Lifeとは?米国の「保障型保険」に強みを持つ生命保険会社の特徴と成長力

米国の保険株を調べていると、AflacやMetLife、Prudential Financialなどの大手企業と並んで名前が挙がるのがGlobe Life(グローブ・ライフ)です。NYSEに上場するGlobe Life Inc.(ティッカー:GL)は、1900年をルーツとする米国の保険会社で、生命保険と医療保険を中心に事業を展開しています。会社によれば、Globe Lifeは1900年に始まった歴史を持ち、現在は複数の子会社・ブランドを通じて保険商品を提供しています。

Globe Lifeの特徴を理解するうえで重要なのが、巨大な総合保険グループとは異なり、**「基本的な保障を提供する生命保険」と「補完的な医療保険」**に重点を置いていることです。2025年の年間保険料収入は約48.9億ドルで、このうち生命保険が約33.6億ドル、健康保険が約15.3億ドルとなっています。生命保険が中心でありながら、健康保険も一定の規模を持つことが分かります。

生命保険事業では、American Income、Liberty National、Direct to Consumerなど複数の販売チャネルを展開しています。2025年の生命保険部門では、保険料収入の増加などを背景に引受利益が拡大しました。年間の生命保険引受マージンは約15.1億ドルで、前年の約13.5億ドルから12%増加しています。健康保険の引受マージンも約3.9億ドルとなり、前年から5%増加しました。

Globe Lifeのビジネスモデルを考えるうえで興味深いのが、販売チャネルの多様性です。一般的な大手金融グループでは、代理店、銀行、企業向け販売、オンラインなど幅広い販路を持つケースがありますが、Globe Lifeでは自社ブランド・部門を通じて特定の顧客層に生命保険や補完的医療保険を販売しています。

例えばAmerican Income Lifeは生命保険を中心とした販売チャネルの一つで、Liberty Nationalも生命保険を扱っています。また、Direct to Consumerでは消費者へ直接販売する仕組みを展開しています。2025年第4四半期には、Direct to Consumerの生命保険新契約が前年同期比24%増加しました。

健康保険についても注目する必要があります。Globe LifeはMedicare Supplement(メディケア・サプリメント)などを扱っており、高齢者向け医療保障の補完市場に参入しています。米国では65歳以上などを対象とするMedicareが存在しますが、公的制度だけですべての医療費をカバーするわけではありません。そのため、民間保険会社が提供する補完的な保険商品には一定の市場があります。Globe Lifeでは、United AmericanやFamily Heritageなどが健康保険分野を担っています。

業績を見ると、Globe Lifeは2025年に増収増益を確保しました。2025年の総保険料収入は約48.9億ドルと、2024年の約46.7億ドルから増加。純利益は約11.6億ドル、前年の約10.7億ドルから8%増加しました。また、会社が業績管理上重視する純営業利益も約12.0億ドルとなり、前年から8%増加しています。

保険会社を見る際には、一般企業とは少し違った指標にも注目する必要があります。例えばGlobe Lifeが開示している「insurance underwriting margin(保険引受マージン)」は、保険料から保険金などの契約上の費用、手数料、取得関連費用などを差し引いた、保険事業そのものの収益性を見るための指標です。2025年の生命保険引受マージンは約15.1億ドル、健康保険は約3.9億ドルでした。

さらに、保険会社の場合、顧客から受け取った保険料を運用する「運用収益」も重要です。Globe Lifeの2025年の純投資収益は約11.3億ドルでした。一方、超過投資収益は約1.38億ドルで、前年の約1.64億ドルから減少しています。保険会社では集めた保険料を長期間にわたって運用するため、金利や債券市場などの金融環境も収益に影響します。

株主還元もGlobe Lifeを見るポイントです。2025年には約540万株を総額約6.85億ドルで買い戻しており、平均買い戻し価格は1株当たり126.41ドルでした。2025年第4四半期だけでも約130万株を1億7000万ドルで取得しています。保険事業から生み出されるキャッシュフローを自社株買いなどの株主還元につなげる姿勢が見られます。

一方で、Globe Lifeを「保険会社だから安定している」とだけ考えるのは注意が必要です。保険会社には、死亡率や疾病率などの保険リスク、契約者数の変化、保険金支払い、金利や投資環境、規制変更など、さまざまなリスクがあります。特に生命保険では長期間にわたって契約が継続するため、将来の保険金支払いを見据えた資産運用と保険引受の管理が重要になります。

また、Globe Lifeは2026年の業績見通しとして、希薄化後1株当たり純営業利益を14.95~15.65ドルと予想しています。これは2025年の実績を踏まえた会社側の見通しであり、実際の業績は今後の販売動向や保険金支払い、運用環境などによって変動する可能性があります。

米国の保険業界を考える場合、Globe Lifeは非常に興味深い位置にあります。MetLifeやPrudential Financialのような巨大総合保険グループと比較すると事業領域は絞られていますが、その分、生命保険や補完的健康保険という「保障」に重点を置いた事業構造を把握しやすい企業です。

日本の投資家がGlobe Lifeを見る場合には、単純な生命保険会社としてではなく、米国の民間保険市場を支える企業の一つとして捉えると理解しやすくなります。米国では公的医療制度と民間保険が複雑に組み合わさっており、Medicare Supplementなど民間保険が担う領域も存在します。そうした市場構造を背景に、Globe Lifeは生命保険と補完的健康保険を組み合わせながら事業を展開しています。

保険株を比較する際には、売上高や利益だけでなく、保険料の伸び、引受マージン、投資収益、契約者数、販売チャネル、資本政策などを確認することが重要です。Globe Lifeは、こうした指標を通じて米国の生命・健康保険市場の特徴を読み解くことができる企業であり、AflacやUnum Group、CNO Financial Groupなどの米国保険株と比較することで、それぞれのビジネスモデルの違いも見えてきます。

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Aflacとは?日本でも身近な「アフラック」を支える米国上場保険会社のビジネスモデル

「アフラック」という名前は、日本ではがん保険や医療保険のブランドとして広く知られています。一方、米国株投資の世界では、Aflac Incorporated(NYSE:AFL)は、生命保険・医療保険を手掛ける米国の大手保険会社として位置付けられます。特徴的なのは、米国企業でありながら日本事業の存在感が非常に大きいことです。Aflacは現在、日本と米国を主要市場として、生命保険と「補完的保険(Supplemental Insurance)」を中心に事業を展開しています。

Aflacの歴史を語るうえで欠かせないのが、日本市場への進出です。現在のAflac Incorporatedは1973年に米ジョージア州で設立された会社ですが、保険事業そのものは1950年代から続いています。日本では1970年代に営業を開始し、特にがん保険を中心として契約者を増やしてきました。現在ではAflac Japanが日本国内で大規模な保険事業を展開しており、2025年末時点で個人保険の保有契約件数は2200万件を超え、そのうちがん保険は約1400万件に達しています。

Aflacの最大の特徴は、一般的な死亡保障型の生命保険だけを主力としているわけではないことです。同社が中心に据えているのは、病気やけがなどに備える「補完的な保険」です。例えば、がんや疾病、入院などによって公的医療保険だけではカバーしきれない経済的負担が発生した場合に、契約内容に応じて現金給付を受け取れるタイプの商品があります。Aflac自身も、日本と米国で補完的な健康保険・生命保険を主要事業としていると説明しています。

このビジネスモデルは、日本の医療保険制度との関係を考えると分かりやすくなります。日本には公的医療保険制度があり、病院で診察や治療を受けた場合、一定の自己負担で医療サービスを受けられます。しかし、差額ベッド代や一部の先進的な治療、収入減少など、公的医療保険だけでは必ずしもすべての経済的リスクをカバーできるわけではありません。そこで民間保険が「公的保障を補う役割」を担います。Aflacは、その補完市場で長年にわたって事業基盤を築いてきた企業といえます。

一方、米国では民間医療保険そのものが医療保障の重要な役割を担っています。Aflacは米国でも補完的医療保険を販売しており、企業の福利厚生を通じた保険なども展開しています。現在のAflac U.S.には、個人向けだけでなく団体向けの保険や、歯科・視力関連のサービスなども含まれています。つまり、日本では「公的医療保険を補完する民間保険」、米国では「民間医療保険をさらに補完する保険」という異なる市場環境の中で事業を展開している点が興味深いところです。

2025年の業績を見ると、Aflacは日本と米国の両市場を柱として収益を上げています。Aflac Japanの2025年の正味収入保険料は約1兆90億円。一方、Aflac U.S.では正味収入保険料が約60億ドルとなりました。Aflac Japanでは既存契約の規模が非常に大きく、2025年末時点の年換算保険料は約1.18兆円でした。

特に注目されるのが、新商品の販売です。Aflac Japanでは2025年、新しいがん保険商品「ミライト」などが販売を伸ばし、新契約年換算保険料ベースの販売額が前年比16%増加しました。保険会社にとっては、既存契約から得られる保険料だけでなく、新規契約をどれだけ積み上げられるかも中長期的な成長を考えるうえで重要な要素です。

ただし、Aflacを見る際には「保険料が増えれば利益も増える」と単純に考えないことも重要です。保険会社は契約者から保険料を受け取る一方、将来の保険金支払いに備えて資産を運用します。そのため、保険金・給付金の支払い状況だけでなく、金利、債券価格、為替、株式市場などの影響も受けます。

Aflacは大量の保険料を運用する投資家でもあります。2025年末のAflac Global Investmentsの運用資産の帳簿価額は約958億ドルに達しました。ポートフォリオには公社債など複数の資産が含まれており、保険会社として集めた資金を長期的に運用することで投資収益を得る構造になっています。

さらにAflacは、株主還元にも積極的です。2025年には35億ドルの自社株買いを実施したほか、普通株式の配当を43年連続で増やした実績があります。2025年末には、2026年第1四半期の1株当たり配当を0.61ドルとすることも発表しました。保険事業から生み出されるキャッシュフローを、配当や自社株買いを通じて株主に還元する姿勢が特徴の一つです。

もっとも、Aflacには固有のリスクもあります。最大のポイントの一つが、日本事業の存在感です。日本で非常に大きな保険契約基盤を持つ一方、決算は米ドルで行われるため、円とドルの為替レートによって業績の見え方が変わります。会社側も、円高になるとAflac Japanが保有する米ドル建て投資収益を円換算した際の金額が押し下げられ、逆に円安になると押し上げられると説明しています。

また、日本では少子高齢化や人口構造の変化、医療制度改革などが保険市場に影響を与える可能性があります。既存契約が大量にあることは安定的な収益基盤につながる一方、新規契約をどのように積み上げるか、商品の魅力をどう維持するかという課題もあります。実際、Aflac Japanでは限定払の商品が保険料払込満了を迎えることなどが、年換算保険料の減少要因となっています。

2026年に入ってからも、Aflacは日本と米国の両事業を展開しています。2026年第2四半期のAflac Japanの正味収入保険料は2450億円、Aflac U.S.は約15億ドルでした。Aflac Japanでは新商品の販売動向、Aflac U.S.では企業向けを含む補完的保険市場の成長が今後のポイントになります。

Aflacを投資対象として見る場合、単純に「日本でも有名な保険会社」という視点だけでは不十分です。日本と米国という2つの巨大市場で、医療費や公的保障を補完する保険を提供し、その保険料を長期運用する企業という側面を押さえる必要があります。生命保険株の中でも、MetLifeやPrudential Financialのような総合保険会社とは事業構成が異なり、Globe Lifeと比較すると補完的医療保険という共通点が見えてきます。

日本の消費者にとって身近な「アフラック」というブランドと、ニューヨーク証券取引所に上場する「AFL」という企業。この二つを結び付けて考えると、米国保険業界だけでなく、日本の民間医療保険市場が米国企業にとってどれほど大きな事業領域になっているのかも見えてきます。保険料収入、契約者数、新契約、保険金支払い、運用収益、為替、そして株主還元――こうした複数の要素を確認することが、Aflacという保険株を理解するポイントになりそうです。

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Unum Groupとは?「働けないリスク」を保障する米国保険会社のビジネスモデル

米国の保険株を調べると、Globe LifeやAflacと並んで注目される企業の一つがUnum Group(ユナム・グループ、NYSE:UNM)です。Unum Groupの大きな特徴は、生命保険だけを中心に展開する会社ではなく、障害保険(Disability Insurance)を中核に据えていることです。病気やけがによって働けなくなった場合の所得減少を保障する保険を、企業の福利厚生などを通じて提供しています。米国では医療費そのものだけでなく、「働けなくなったことで収入が減る」というリスクも重要な社会的課題であり、Unum Groupはその部分を保険でカバーする企業といえます。

Unum Groupの事業は、大きくUnum US、Unum International、Colonial Life、Closed Block、Corporateに分かれています。2025年の連結保険料収入に占める割合を見ると、Unum USが65.4%、Colonial Lifeが17.0%、Unum Internationalが10.0%、Closed Blockが7.6%となっています。最大のUnum USでは、団体障害保険、団体生命保険、傷害・補完的保険などを展開しています。

なかでもUnum Groupを理解するうえで重要なのが「障害保険」です。日本では生命保険というと死亡保障や医療保険をイメージすることが多いですが、Unum Groupでは「働けなくなることで発生する経済的リスク」が重要な保険対象になっています。長期障害保険では、病気やけがなどによって長期間仕事ができなくなった場合に、契約内容に応じて所得を補う給付を受ける仕組みです。短期障害保険も含め、企業の従業員向け福利厚生として提供される商品が大きな役割を担っています。

2025年のUnum USの団体障害保険では、長期障害保険の保険料収入が約20.11億ドル、短期障害保険が約11.38億ドルとなり、合計で約31.50億ドルに達しました。団体障害保険だけで同社の主要事業の一角を形成していることが分かります。

また、団体生命保険も重要な事業です。2025年のUnum USでは、Group Lifeの保険料収入が約18.71億ドル、Accidental Death & Dismemberment(事故死亡・身体切断保障)が約1.96億ドルでした。障害保険だけではなく、死亡や事故に対する保障も組み合わせることで、企業が従業員向けに提供する福利厚生を幅広くカバーしています。

さらにUnum Groupでは、個人向けの障害保険や任意加入型の福利厚生、歯科・視力保険なども展開しています。2025年のUnum USにおけるSupplemental and Voluntary部門では、Voluntary Benefitsの保険料収入が約9.27億ドル、Individual Disabilityが約6.15億ドル、Dental and Visionが約3.25億ドルでした。これらを合計すると約18.67億ドルとなり、企業向け団体保険を補完する事業群として存在感を持っています。

Unum Groupの2025年の業績を見ると、Core Operationsの保険料は前年比4.4%増加しました。また、調整後営業利益は18.88億ドル、調整後営業利益ベースの1株利益は8.13ドルでした。会社側は2026年について、Core Premium Growthを4~7%、調整後営業利益ベースのEPS成長率を8~12%とする見通しを示しています。もっとも、これは会社側の予想であり、実際の業績は保険金支払い、契約者動向、金利、運用環境などによって変動します。

2026年に入ってからの動きも確認しておきたいところです。2026年第2四半期までの累計では、Unum USの団体生命・事故保障の保険料収入は約11.02億ドルとなり、前年同期の約10.34億ドルから増加しました。一方、Supplemental and Voluntary部門の保険料収入は約9.60億ドルで、前年同期の約9.66億ドルからやや減少しています。事業によって成長率が異なる点は、Unum Groupを見る際のポイントです。

保険会社であるUnum Groupにとって、保険料収入だけでなく運用収益も重要です。顧客から受け取った保険料の一部は、将来の保険金・給付金支払いに備えて運用されます。そのため、米国金利や債券市場などの金融環境は、同社の収益に影響を与える要素になります。2025年のUnum USでは、団体障害保険から約2.96億ドル、団体生命・事故保障から約8160万ドル、Supplemental and Voluntaryから約2.27億ドルの純投資収益が計上されています。

一方で、Unum Groupには保険会社特有のリスクもあります。障害保険では、契約者が実際にどの程度の頻度で給付を受けるのか、給付期間がどの程度になるのかが収益性に影響します。2025年第4四半期のUnum US団体障害保険では、Benefit Ratioが64.2%となり、前年同期の60.4%から上昇しました。会社によると、団体長期・短期障害商品の請求額などが影響しました。

また、Unum Groupには「Closed Block」という過去に販売した保険契約を管理する事業領域があります。これは新規販売を中心とした事業とは異なり、既存契約の保険金支払いなどを長期的に管理していく部分です。同社はこのClosed Blockについて、長期介護保険(LTC)などのリスク削減にも取り組んでおり、2025年には法定ベースのLTC準備金を50億ドル超削減する戦略的措置を実施したと説明しています。

株主還元もUnum Groupの特徴の一つです。2025年には配当を10%増加させ、年間で約10億ドルの自社株買いを実施しました。2026年についても、会社は約10億ドルの自社株買いと継続的な増配を計画しています。もちろん、こうした株主還元は将来も同じ規模で実施されることが保証されているわけではなく、資本余力や保険事業の状況によって変化する可能性があります。

Globe LifeやAflacと比較すると、Unum Groupの個性はよりはっきりします。Globe Lifeは生命保険や補完的医療保険、Aflacはがん保険などの補完的保険で知名度があります。一方、Unum Groupは**「病気やけがで働けなくなったときの所得保障」**という領域に強みを持っています。同じ米国保険株でも、どのようなリスクを保険でカバーしているかによって、ビジネスモデルは大きく異なるのです。

日本の投資家にとってUnum Groupを研究する面白さは、米国の福利厚生市場を知るきっかけにもなることです。企業が従業員向けにどのような保険を用意するのか、障害保険や生命保険がどのように組み込まれているのかを見ることで、日本とは異なる米国の雇用・福利厚生制度の一面が見えてきます。

Unum Groupを投資対象として調べる際には、売上高や利益だけでなく、団体障害保険の保険料、Benefit Ratio、契約の継続率、新規販売、投資収益、資本余力、そしてClosed Blockのリスク削減状況などを確認することが重要です。**「生命保険会社」という一括りではなく、「働けなくなるリスクを保障する保険会社」**という視点から見ることで、Unum Groupの事業内容や米国保険市場における位置付けがより分かりやすくなります。

まとめ|「保険会社」でも事業モデルは大きく異なる

Globe Life、Aflac、Unum Groupはいずれも米国を代表する上場保険会社ですが、その事業内容には明確な違いがあります。Globe Lifeは生命保険や補完的医療保険、Aflacはがん保険をはじめとする補完的保険、Unum Groupは障害保険や所得保障を主要な収益源としています。同じ保険株でも、対象となる顧客や保障するリスク、販売チャネル、保険金の支払い構造は大きく異なります。また、保険会社は受け取った保険料を運用する金融機関としての側面も持つため、金利や債券市場、為替なども業績を左右します。米国保険株を見る際には、単純な売上高や利益だけで判断するのではなく、「何のリスクを保障し、どこから保険料を得て、その資金をどう運用しているのか」という視点で各社を比較することが重要です。

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