
脱炭素社会の実現へ!日本の再生可能エネルギー市場と成長企業に注目
世界的に脱炭素化の動きが加速するなか、再生可能エネルギーは各国のエネルギー政策や産業戦略を左右する重要なテーマとなっている。日本でも2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、太陽光や風力、バイオマスなどの導入拡大が進められており、2040年度には電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とする目標が掲げられている。一方、発電設備の設置場所や送電網の整備、蓄電池の普及、発電コストなど、解決すべき課題も多い。こうした市場環境の変化は、発電事業者だけでなく、設備メーカーや燃料供給会社など幅広い企業に成長機会をもたらす。今回は、日本の再生可能エネルギー政策や海外との比較を踏まえ、再エネ発電事業を展開するレノバ、イーレックス、エフオンの3社を取り上げる。それぞれ異なる電源や事業モデルを持つ企業の特徴を比較し、エネルギー転換の進展が企業の成長にどのようにつながるのかを考えてみたい。
| 証券コード | 企業名 | 主な関連分野 | 事業内容・特徴 |
|---|---|---|---|
| 9519 | レノバ | 太陽光・風力・バイオマス | 再生可能エネルギー発電所の開発・運営 |
| 9517 | イーレックス | バイオマス | バイオマス発電、電力小売りなど |
| 9514 | エフオン | バイオマス | 木質バイオマス発電、省エネルギー支援 |
| 1407 | ウエストホールディングス | 太陽光・蓄電池 | 太陽光発電設備の設計・施工、再エネ関連事業 |
| 1436 | グリーンエナジー&カンパニー | 太陽光・蓄電池 | 太陽光発電設備や再エネ関連施設の開発 |
| 5074 | テスホールディングス | 太陽光・バイオマス | 再エネ発電、エネルギー関連設備の設計・施工 |
| 9513 | 電源開発(J-POWER) | 水力・風力・地熱など | 国内外で発電事業を展開する電力会社 |
| 1605 | INPEX | 地熱など | 石油・天然ガス開発を主力とし、再エネ分野にも取り組む |
| 8591 | オリックス | 太陽光・風力など | 金融事業に加え、再エネ発電や環境エネルギー事業を展開 |
| 3289 | 東急不動産ホールディングス | 太陽光・風力 | 不動産事業に加え、再エネ発電事業を展開 |
日本の再生可能エネルギーはどこまで進んだのか?法整備の現状と世界各国との比較から見るエネルギー転換の課題
再生可能エネルギーは、脱炭素社会の実現やエネルギー安全保障の強化に向けて、世界各国が導入を進めている重要なエネルギー源である。太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界に存在するエネルギーを利用することで、化石燃料への依存を減らし、温室効果ガスの排出削減につなげることができる。日本でも東日本大震災以降、エネルギー政策の見直しが進み、再生可能エネルギーの導入量は拡大してきた。
しかし、日本の再生可能エネルギー政策は、導入量を増やす段階から、発電した電力を安定的かつ効率的に活用する段階へと移りつつある。太陽光発電の適地不足、洋上風力発電の事業化の難しさ、送電網の容量不足、蓄電池の普及、発電コストなど、解決すべき課題は少なくない。さらに、再生可能エネルギーの導入を促進するための法律や支援制度も、時代に合わせて変化している。
日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現を掲げ、2030年度の温室効果ガス削減目標や2040年度に向けたエネルギー政策を打ち出している。再生可能エネルギーを主力電源として位置付ける方針は明確になっているものの、諸外国と比較すると、電源構成に占める割合や導入スピードには違いがある。
日本の再生可能エネルギー政策を理解するうえでは、発電量の推移だけでなく、行政による制度設計、法整備、国際的な競争環境を総合的に捉える必要がある。今後のエネルギー市場の変化は、発電事業者だけでなく、太陽光パネル、蓄電池、送配電設備、電力制御システムなどを手がける企業にも大きな影響を与えるだろう。
日本の再生可能エネルギーは、普及拡大から本格的な社会実装へと進む転換点にある。世界各国の取り組みと比較しながら、その現在地と今後の成長可能性を考えてみたい。
日本の再生可能エネルギーの導入を大きく後押ししたのが、2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT)である。これは、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスなどで発電した電力を、一定期間、国が定めた価格で電力会社が買い取る仕組みだ。発電事業者にとって長期的な収益見通しを立てやすくなり、特に太陽光発電を中心に新規参入や設備投資が進んだ。
その後、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う国民負担や、発電コストの低下などを背景に、制度は段階的に見直されてきた。2017年には改正FIT法が施行され、事業計画の認定や設備の適切な管理を重視する仕組みへと移行した。さらに2022年4月には、固定価格での買い取りに代わり、市場価格に一定のプレミアムを上乗せするFIP制度が導入された。これにより、発電事業者が市場価格を意識しながら電力を販売する仕組みが整備され、蓄電池の活用や需要に応じた発電など、市場と連動した事業運営が求められるようになった。
行政面では、経済産業省がエネルギー政策や電力制度を所管し、資源エネルギー庁が再生可能エネルギーの導入促進や制度設計を担っている。また、環境省は地域脱炭素や環境保全、再エネ導入支援などを進め、国土交通省や農林水産省も洋上風力、港湾、農地利用などの分野で関係する。再生可能エネルギーの普及は、一つの省庁だけで完結する政策ではなく、土地利用、環境保護、産業振興、電力インフラを横断する行政課題となっている。
法制度では、2012年に施行された再生可能エネルギー特別措置法が重要な役割を果たしている。加えて、2023年にはGX推進法が成立し、脱炭素と経済成長を両立させるための政策的な枠組みが整えられた。2024年には改正再エネ特措法が施行され、地域との共生や事業の適正性を重視する規制が強化された。FIT・FIP認定事業者に対する地域住民への説明会などの要件が設けられ、違反時の交付金の一時停止など、事業規律を確保する措置も導入されている。再エネの普及だけでなく、地域の理解や自然環境との調和を重視する方向へと政策が変化している。
さらに、2025年2月には第7次エネルギー基本計画が閣議決定された。2040年度の電源構成において、再生可能エネルギーを4~5割程度とする見通しが示されている。原子力を2割程度、火力を3~4割程度とする構成であり、再生可能エネルギーを最大の電源として活用する方向性が打ち出された。2030年度の再エネ比率目標である36~38%から、さらに導入を拡大する必要がある。政府は太陽光や風力だけでなく、洋上風力、地熱、次世代型太陽電池などの技術開発や普及にも力を入れている。
一方、日本の再生可能エネルギー導入には地理的な制約がある。平地が少なく、人口や産業が集中する地域では、大規模な太陽光発電所の建設用地を確保しにくい。山林開発に伴う土砂災害や景観への影響、地域住民との合意形成も課題となっている。風力発電についても、陸上では適地が限られ、洋上風力発電の拡大が期待されているものの、建設費の上昇や資材価格、金利、サプライチェーンの制約などが事業採算を圧迫する場合がある。加えて、太陽光や風力は天候によって発電量が変動するため、送電網の増強、蓄電池、揚水発電、需給調整システムの整備が欠かせない。
諸外国と比較すると、日本の特徴はより明確になる。欧州では、再生可能エネルギーの導入を政策の中心に据える国が多い。ドイツは再生可能エネルギーの普及を長年進めており、2023年には電力消費に占める再生可能エネルギーの割合が過半となった。風力や太陽光の導入に加え、送電網の整備や周辺国との電力取引も活用している。デンマークは風力発電の先進国として知られ、電力供給に占める風力の割合が高い。国境を越えた電力融通や地域熱供給などを組み合わせ、再エネの変動を吸収する仕組みを構築している。
中国は太陽光パネルや蓄電池、風力発電設備の製造において世界有数の産業基盤を持つ。国内の再エネ導入量も大きく、政府主導の大規模投資によって発電設備の拡大を進めている。再生可能エネルギーは環境政策であると同時に、製造業や輸出産業を育成する産業政策としても位置付けられている。米国ではインフレ抑制法(IRA)などを通じて、再エネ設備や蓄電池、国内製造への税制優遇が導入され、民間投資を促してきた。ただし、政策の変更や政権交代によって支援の方向性が変わる可能性があり、事業者は制度面の不確実性にも注意する必要がある。
日本と欧州、中国、米国では、再エネの導入条件や政策手法が異なる。日本は国土の制約や電力系統の地域間連系の弱さなどを抱えている一方、蓄電池や電力制御技術、次世代型太陽電池などに成長機会がある。特にペロブスカイト太陽電池は、軽量で曲げられる特性を持ち、建物の壁面や耐荷重に制約のある屋根など、従来のシリコン型太陽電池では設置が難しかった場所への導入が期待されている。また、洋上風力発電についても、浮体式技術の実用化が進めば、遠浅の海域が限られる日本にとって新たな可能性が広がる。
再生可能エネルギーの普及は、単に発電設備を増やせば実現するものではない。発電した電力を必要な場所へ届ける送電網、余剰電力を蓄える蓄電池、需要に合わせて電力を調整するシステム、そして安定した投資環境を整える制度が必要となる。今後は発電事業者だけでなく、電力設備メーカー、蓄電池メーカー、建設会社、商社、電力小売り事業者など、幅広い企業にビジネス機会が生まれるだろう。
日本の再生可能エネルギー政策は、FITによる導入促進から、FIPによる市場統合、地域との共生、電力系統の強化へと重点を移している。2040年度に再エネ比率4~5割程度という目標を実現するには、技術革新と制度改革、民間投資の拡大が不可欠だ。諸外国との競争が激しくなるなか、日本が発電設備の導入だけでなく、関連技術や産業の競争力を高められるかが重要になる。再生可能エネルギーは、環境対策にとどまらず、今後の日本の産業構造や企業価値を左右する成長分野として注目していきたい。
レノバ(9519)とは?再生可能エネルギーの普及を担う発電事業者の成長戦略と今後の展望
再生可能エネルギーの普及が世界的に進むなか、日本国内でも太陽光や風力、バイオマスなどを活用した発電事業への期待が高まっている。政府は2050年のカーボンニュートラル実現を掲げ、2040年度には電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とする方針を示した。こうした政策の恩恵を受ける企業として注目したいのが、再生可能エネルギー事業を専門的に手がけるレノバ(9519)だ。
レノバは、再生可能エネルギー発電所の開発から建設、保有、運営まで幅広く取り組む企業である。太陽光発電だけでなく、バイオマス発電や風力発電、地熱発電、水力発電など、複数の電源を組み合わせた事業展開を特徴としている。発電所を開発して売却するだけでなく、長期にわたって保有・運営し、売電収入を得るビジネスモデルを構築している点も特徴だ。
同社の事業を理解するうえで重要なのは、再生可能エネルギーの普及が単なる環境対策ではなく、電力供給の構造そのものを変える産業転換であるという点だ。発電設備の開発には多額の資金と長い期間が必要となる一方、運転開始後は長期的な売電収入が期待できる。レノバは、この開発力と運営力を組み合わせることで、再生可能エネルギー市場の拡大を企業成長につなげようとしている。
同社は2000年に設立され、当初は環境・エネルギー分野の事業開発などを手がけてきた。その後、再生可能エネルギー発電事業へと事業領域を拡大し、2017年2月に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場した。現在は東証プライム市場に上場しており、再生可能エネルギーを主力事業とする企業として国内外で事業を展開している。
レノバの事業の柱は、再生可能エネルギー発電等事業と開発・運営事業である。発電等事業では、自社グループが関与する発電所から電力を供給し、売電収入を獲得する。太陽光発電では、国内各地の大規模発電所を運営し、バイオマス発電では木質燃料などを活用して、天候に左右されにくい電力供給を目指している。風力や地熱などにも取り組み、特定の電源に依存しないポートフォリオの形成を進めている。
特にバイオマス発電は、同社の事業を理解するうえで重要な分野だ。太陽光や風力は天候によって発電量が変動するが、バイオマスは燃料を確保できれば、比較的安定した発電が可能となる。再生可能エネルギーの導入が進むほど、電力の需給調整や安定供給が重要になるため、異なる特性を持つ電源を組み合わせることには意味がある。ただし、燃料の調達価格や輸送コスト、為替変動、設備の稼働状況などが収益を左右する点には注意が必要だ。
一方、開発・運営事業では、発電所の候補地選定、許認可取得、資金調達、建設、運転開始までのプロジェクト管理などを担う。発電所の開発には地域住民との合意形成や環境影響への配慮、電力会社との系統接続など、多くのハードルが存在する。こうした課題を乗り越えて事業化するノウハウは、同社の競争力を支える重要な資産といえる。
業績面では、2026年3月期の売上収益は876億2,200万円となり、前期比24.7%増加した。営業利益は82億8,300万円で、前期比103.7%増と大幅な増益を達成している。親会社の所有者に帰属する当期利益も33億800万円となり、前期比23.1%増だった。発電所の運転開始や連結化などによって発電事業の収益基盤が拡大したことが、業績を押し上げた要因の一つとなっている。
2027年3月期については、会社側が売上収益957億円、営業利益113億円、親会社の所有者に帰属する当期利益34億円を見込んでいる。前期実績と比較すると、売上収益は約9%増、営業利益は約36%増となる計画だ。再生可能エネルギー発電所の運転開始や既存設備の稼働によって、収益規模の拡大を目指す。ただし、これらは会社計画であり、燃料価格や発電量、出力制御、為替、金利などの変化によって実績が変動する可能性がある。
2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の売上収益は193億3,000万円で、前年同期比5.8%減、営業利益は10億4,300万円で同68.4%減となった。前年同期に比べて利益が大きく減少しており、四半期ごとの業績には発電所の稼働状況や収益計上のタイミングなどによる変動がある。通期では増収増益を見込んでいるものの、今後の四半期決算で計画に対する進捗を確認する必要がある。
レノバの成長を考えるうえで、今後の重要なテーマとなるのが蓄電池事業だ。太陽光や風力による発電量は天候や時間帯によって変動するため、電力需要が少ない時間帯に発電した電力を蓄え、需要が高まる時間帯に供給する仕組みが重要になる。蓄電池は再生可能エネルギーの導入拡大を支えるだけでなく、電力市場の価格変動を活用した収益機会にもつながる。同社は蓄電事業への取り組みを進めており、2026年3月には同事業に関する融資関連契約の締結を公表した。発電事業に加えて蓄電分野を育成できれば、収益源の多様化が期待できる。
また、海外市場への展開も成長戦略の一つである。国によって再生可能エネルギーの導入制度や電力市場の仕組みは異なるが、脱炭素化の流れは世界共通のテーマとなっている。海外での事業開発は市場規模の拡大につながる可能性がある一方、現地の規制や許認可、為替変動、政治・経済情勢などのリスクも伴う。国内で培った開発・運営のノウハウをどこまで海外で生かせるかが、中長期的な成長を左右するだろう。
投資家が注意したいのは、再生可能エネルギー発電事業には大規模な初期投資が必要となる点だ。発電所の建設資金を借入金などで調達するケースも多く、金利上昇は資金調達コストの増加につながる。また、燃料価格の高騰、建設資材の値上がり、工期の遅延、設備トラブルなども採算性を悪化させる要因となる。バイオマス発電では燃料の安定調達が重要であり、太陽光や風力では出力制御によって売電量が減少する可能性もある。再生可能エネルギーという成長テーマだけで企業の将来性を判断せず、財務状況やプロジェクトごとの採算性を確認することが大切だ。
さらに、同社は発電所の開発段階から運転開始後まで長期間にわたって資金と人材を投入するビジネスモデルである。そのため、売上高や営業利益だけでなく、EBITDA、営業キャッシュフロー、有利子負債、自己資本比率などを併せて確認したい。特に発電事業では減価償却費の負担が大きくなりやすいため、EBITDAは事業の収益力を把握するうえで参考になる。ただし、EBITDAだけで投資判断を行うのではなく、借入金の返済や設備更新に必要な資金も考慮する必要がある。
レノバは、再生可能エネルギーの普及という長期的な成長テーマに直接関わる企業である。太陽光やバイオマスなどの発電事業を基盤としながら、蓄電池や海外展開など新たな収益機会の開拓にも取り組んでいる。2026年3月期には増収増益を達成し、2027年3月期も増収増益を計画している点は注目材料だ。一方で、設備投資負担や金利、燃料価格、発電量の変動など、事業特有のリスクも小さくない。日本政府が掲げる2040年度の再生可能エネルギー比率4~5割という目標に向けて、今後も市場の拡大が期待されるなか、レノバが開発力と運営力を生かして安定した収益基盤を構築できるかが焦点となる。再生可能エネルギー市場の成長性と、個別プロジェクトの採算性や財務健全性の両面から、継続的に動向を追いたい企業である。
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イーレックス(9517)とは?バイオマス発電を軸に電力ビジネスを展開する再生可能エネルギー企業の成長戦略
脱炭素社会の実現に向けて、太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーが世界的に注目されている。日本でも政府が2040年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とする目標を掲げ、発電設備の導入や電力インフラの整備を進めている。こうしたエネルギー転換のなかで、バイオマス発電を中心に事業を展開しているのがイーレックス(9517)だ。
イーレックスは、電力小売り、バイオマス発電、燃料調達、海外エネルギー事業などを手がける企業である。再生可能エネルギーの発電事業だけでなく、発電に必要な燃料の調達から電力の販売まで、エネルギー供給の幅広い領域に関与している点が特徴だ。発電設備を保有するだけでなく、電力の調達・販売や需給管理などを組み合わせることで、エネルギー市場全体の変化を収益機会につなげようとしている。
同社の歴史は1999年に設立された株式会社日短エナジーにさかのぼる。2000年代には電力小売り事業に参入し、電力自由化の進展とともに事業を拡大してきた。2012年には東京証券取引所マザーズ市場に上場し、その後、東証一部への市場変更を経て、現在は東証プライム市場に上場している。電力小売りを基盤として成長してきた同社は、再生可能エネルギーの普及を背景に、バイオマス発電や海外事業へと領域を広げている。
イーレックスの主力事業の一つがバイオマス発電である。バイオマス発電は、木質チップや木質ペレットなどの生物由来の資源を燃料として発電する仕組みだ。太陽光や風力とは異なり、燃料を安定的に確保できれば、天候に左右されにくい電力供給が可能となる。再生可能エネルギーの導入が進むほど、発電量の変動を補う調整力や安定電源の重要性が高まるため、バイオマス発電は電力システムを支える電源の一つとして期待されている。
同社は国内で複数のバイオマス発電所を展開しており、燃料の調達や発電所の運営に関するノウハウを蓄積してきた。特に重要なのが、燃料の安定調達である。バイオマス発電では、発電設備を建設するだけでは事業は成立しない。木質ペレットなどを長期的かつ適切な価格で調達し、安定して発電所を稼働させる必要がある。燃料価格の上昇や為替変動、輸送費の増加は採算性を悪化させる可能性があり、調達網の構築が競争力を左右する。
また、イーレックスは電力小売り・トレーディング事業も展開している。電力小売りでは、企業や一般需要家などに電力を販売し、電力市場からの調達や自社電源の活用によって供給を行う。電力価格は季節や天候、燃料価格、需給バランスなどによって変動するため、調達価格と販売価格の管理が重要になる。発電事業と小売り事業を組み合わせることで、電力市場の価格変動に対応しながら収益機会を広げられる点は、同社の特徴といえる。
さらに、同社が成長戦略として力を入れているのが海外事業である。東南アジアでは電力需要の増加が見込まれる一方、石炭火力への依存や環境負荷の低減が課題となっている。イーレックスはベトナムなどでバイオマス燃料の活用や発電事業に取り組み、現地企業との協業を進めている。2026年にはベトナムの石炭火力発電所において、バイオマス混焼試験を進めたことも公表している。既存の石炭火力設備にバイオマス燃料を混ぜて利用する取り組みは、発電設備を全面的に置き換えることなく、温室効果ガス排出の削減を目指す手法として注目される。
2026年2月に公表した中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)では、国内事業の収益力強化に加え、海外発電事業や燃料事業の拡大を掲げている。燃料調達から発電、電力小売り、トレーディングまでをつなぐバリューチェーンの構築を目指しており、単なる発電会社から総合的なエネルギー事業会社への進化を図っている。特に東南アジアでは、発電事業とバイオマス燃料製造を組み合わせることで、上流から下流まで一貫した事業基盤を整える方針だ。
もう一つ注目したいのが、蓄電池事業である。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電量が天候や時間帯によって変動するという課題を抱えている。蓄電池を活用すれば、電力需要が少ない時間帯に電気を蓄え、需要が高まる時間帯に放電することができる。イーレックスは2026年8月に系統用蓄電池を活用した需給調整市場での取引開始を公表し、9月には蓄電池の運用を受託するアグリゲーションサービスを開始した。発電や電力小売りに加えて、蓄電池の運用・制御に関する事業を育成できれば、新たな収益源となる可能性がある。
業績面では、2027年3月期第1四半期の売上収益は485億4,000万円となり、前年同期比31.0%増加した。一方、営業利益は6億3,100万円で、前年同期比では減益となっている。売上規模の拡大が必ずしも利益の増加に直結するわけではなく、電力調達価格や販売価格、燃料コスト、発電所の稼働状況などが収益性を左右することが分かる。通期の業績予想については、会社側の修正の有無や今後の決算での進捗を確認することが重要だ。
投資家が注意したいのは、バイオマス発電事業特有のコスト構造である。木質ペレットなどの燃料を海外から調達する場合、為替変動や国際的な燃料価格、海上輸送費の影響を受ける。また、発電所の建設には多額の設備投資が必要であり、金利上昇は資金調達コストの増加につながる。さらに、電力小売り事業では市場価格の急変によって調達コストが膨らむ可能性もある。再生可能エネルギーという成長テーマだけでなく、こうした事業リスクを踏まえた収益構造の分析が欠かせない。
財務面を分析する際には、売上高や営業利益だけでなく、営業利益率、EBITDA、有利子負債、自己資本比率、営業キャッシュフローなどを確認したい。特に発電事業は設備投資負担が大きく、減価償却費や借入金の返済が長期にわたって発生する。事業規模を拡大しながらも、安定したキャッシュフローを確保できるかが中長期的な企業価値を左右する。
イーレックスは、バイオマス発電を中心に、電力小売り、燃料調達、海外事業、蓄電池といった幅広い領域に事業を展開する企業である。再生可能エネルギーの普及に加え、東南アジアの電力需要拡大や電力市場の高度化など、複数の成長テーマを取り込める可能性がある。一方で、燃料価格や為替、金利、電力市場の変動など、業績に影響を与える要因も多い。今後はバイオマス発電の安定稼働に加え、海外事業の収益化や蓄電池アグリゲーション事業の拡大が重要な焦点となる。日本のエネルギー転換を支える企業として、事業の成長性と財務の健全性の両面から継続的に注目したい銘柄だ。
エフオン(9514)とは?木質バイオマス発電で脱炭素社会を支えるエネルギー企業の強みと成長戦略
脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が世界的に進んでいる。日本でも太陽光や風力に加え、安定的な電力供給が期待できるバイオマス発電への関心が高まっている。こうした市場環境のなかで、木質バイオマス発電を中心に事業を展開している企業がエフオン(9514)だ。同社は発電事業だけでなく、燃料となる木材の調達や加工、省エネルギー支援、電力小売りなどにも取り組んでいる。再生可能エネルギーの普及と森林資源の有効活用という二つのテーマに関わる企業として注目したい。
エフオンは1997年に設立された企業で、旧社名はファーストエスコである。省エネルギー支援事業を出発点として、企業のエネルギーコスト削減や発電設備の運営などに取り組んできた。その後、木質バイオマス発電事業を本格化させ、現在は発電事業を収益の柱としている。2005年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、現在は東証スタンダード市場に上場している。
同社の中核となるのが、木質バイオマスを利用した発電事業だ。バイオマス発電とは、木材や農業廃棄物など、生物由来の資源を燃料として電気を生み出す仕組みである。エフオンは国内の山林資源や未利用材などを活用し、燃料の調達から発電所の運営までを手がけている。太陽光や風力は天候によって発電量が変動するが、バイオマス発電は燃料を確保できれば継続的な発電が可能であり、電力供給の安定化に貢献できる。
木質バイオマス発電の特徴は、森林資源をエネルギーとして活用できる点にもある。適切な森林管理のもとで発生する間伐材や林地残材などを燃料として利用すれば、未利用資源の有効活用や林業の活性化につながる可能性がある。エフオンは発電所の運営に加えて、燃料となる木材の集荷や加工にも関与しており、燃料供給網を自社で構築することによって安定的な発電を目指している。燃料調達から発電までを一貫して管理する体制は、同社の事業上の強みといえる。
また、同社は電力小売事業にも取り組んでいる。自社グループの発電所で生み出した電力を、非化石証書と組み合わせてグリーン電力として企業などに販売する事業である。脱炭素経営を進める企業では、使用電力に由来する温室効果ガス排出量の削減が重要な課題となっている。再生可能エネルギー由来の電力を求める需要家に対して、発電所を持つ企業ならではの電力供給を行える点は、エフオンの競争力につながる。
一方、省エネルギー支援事業も同社の事業基盤を構成する。企業や工場などに対して、エネルギー使用量の削減や設備の効率化を支援するものである。再生可能エネルギーの導入だけでなく、エネルギーを無駄なく使うことも脱炭素社会の実現には欠かせない。発電と省エネルギーの両面から企業のエネルギー課題に対応できる点は、同社の事業領域の特徴だ。
業績面では、2026年6月期の売上高は207億3,700万円となり、前期比17.8%増加した。一方、営業利益は4億1,900万円で、前期比68.2%減となった。経常利益は16億7,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は11億9,800万円となり、それぞれ増益を確保している。ただし、経常利益には電力先物差益やデリバティブ評価益などの営業外収益が寄与しているため、営業利益との違いを理解する必要がある。発電事業や電力小売りの本業の収益力を判断する際には、営業利益の推移を重視したい。
2027年6月期の会社予想では、売上高220億円、営業利益18億円、経常利益18億円、親会社株主に帰属する当期純利益13億円を見込んでいる。前期と比較すると、売上高は約6%増、営業利益は約329%増となる計画だ。前期に大きく落ち込んだ営業利益の回復を目指しており、発電事業の収益性改善や電力小売事業の動向が重要になる。なお、2026年11月4日時点では、2027年6月期第1四半期決算の発表前であり、翌5日に公表が予定されている。
ef-on.co.jp+2
エフオンの今後の成長を考えるうえで、注目したいのが国内の森林資源の活用である。日本は国土の約3分の2を森林が占める森林国だが、林業の担い手不足や採算性の問題などから、十分に利用されていない森林資源も存在する。木質バイオマス発電は、こうした資源をエネルギーとして活用する仕組みであり、地域経済の活性化や林業の再生にも貢献する可能性がある。政府が進める地域脱炭素や再生可能エネルギーの導入拡大とも方向性が一致している。
ただし、バイオマス発電には課題もある。最も重要なのが燃料の安定調達とコスト管理だ。木材の収集、加工、運搬には費用がかかり、燃料価格や人件費、輸送費の上昇は発電事業の採算を圧迫する。また、森林資源を燃料として利用する場合には、持続可能な森林管理や環境への配慮も欠かせない。発電量を増やすだけでなく、地域の森林資源を長期的に活用できる調達体制を構築できるかが、同社の競争力を左右する。
投資家が確認したいポイントは、営業利益の回復とキャッシュフローの安定性である。2026年6月期は経常利益や最終利益が増加した一方、営業利益は大きく減少している。営業外収益に含まれる電力先物取引やデリバティブ評価益の影響を考慮し、本業の収益力を見極める必要がある。また、発電設備の維持更新には継続的な設備投資が必要となるため、営業キャッシュフローや有利子負債、自己資本比率なども確認したい。売上高の拡大だけでなく、利益率と資金繰りを改善できるかが中長期的な評価につながる。
エフオンは、木質バイオマス発電を中心に、燃料調達、電力小売り、省エネルギー支援を組み合わせたエネルギー企業である。太陽光や風力とは異なる特性を持つバイオマス発電は、再生可能エネルギーの安定供給を支える選択肢として重要性が高まる可能性がある。一方で、燃料価格や調達コスト、発電設備の稼働状況、電力市場の変動など、事業特有のリスクも抱えている。今後は、発電事業の収益性改善と燃料供給網の強化を通じて、安定した利益を確保できるかが焦点となる。脱炭素と森林資源の有効活用という二つのテーマを持つ企業として、業績の回復状況と事業基盤の強化に注目したい。
まとめ:再生可能エネルギーの普及が生む成長機会、企業ごとの強みと課題を見極める
再生可能エネルギーは、環境問題への対応にとどまらず、日本のエネルギー安全保障や産業競争力にも関わる重要な成長分野である。政府による法整備や導入支援制度の見直しが進み、今後は発電設備の拡大だけでなく、蓄電池や電力制御、燃料調達、送電網の強化など、エネルギー供給全体の高度化が求められる。今回取り上げた3社も、それぞれ異なる強みを持っている。レノバは太陽光やバイオマスなど複数の電源を組み合わせた発電所の開発・運営、イーレックスはバイオマス発電に加え、燃料調達や電力小売り、海外事業への展開、エフオンは木質バイオマス発電を軸とした燃料供給網や省エネルギー事業に特徴がある。一方で、いずれの企業も設備投資負担や金利、燃料価格、為替、電力市場の変動などに影響を受ける。再生可能エネルギー市場の拡大が、そのまま企業利益の増加につながるとは限らない。投資先を検討する際には、事業の成長性だけでなく、営業利益率やキャッシュフロー、有利子負債、設備投資計画なども確認することが重要だ。日本のエネルギー転換が本格化するなか、各社が独自の競争力を発揮し、持続的な収益基盤を構築できるか。再生可能エネルギー関連企業の今後の動向に注目したい。


