
神奈川県は、鎌倉幕府が誕生した武家政治発祥の地であると同時に、横浜港の開港によって日本の近代化をけん引してきた「挑戦と革新」の県でもある。古都・鎌倉や箱根、湘南といった全国屈指の観光地を有する一方、横浜や川崎には世界最先端の技術を生み出す企業や研究開発拠点が集積し、日本経済を支える重要な役割を担っている。そんな神奈川県の魅力を歴史や観光、トリビアを交えて紹介するとともに、世界の半導体産業を支えるレーザーテック、エネルギーインフラを築く日揮ホールディングス、そして「無添加」という新たな価値観を生み出したファンケルの3社を取り上げ、それぞれが世界で存在感を発揮する理由に迫る。
| 企業名 | 本社所在地 | 証券コード |
|---|---|---|
| 日産自動車 | 横浜市西区 | 7201 |
| レーザーテック | 横浜市港北区 | 6920 |
| コーエーテクモホールディングス | 横浜市港北区 | 3635 |
| 日揮ホールディングス | 横浜市西区 | 1963 |
| アルバック | 茅ヶ崎市 | 6728 |
| ファンケル | 横浜市中区 | 4921 |
開港が変えた神奈川の未来――歴史・文化・観光から読み解く港町の魅力
神奈川県は、日本でも有数の人口を誇る県であり、政治・経済・文化・観光のあらゆる分野で存在感を放つ地域である。しかし、その発展の背景には「港」がある。現在の横浜をはじめとする神奈川県の姿は、1859年の横浜港開港を抜きにして語ることはできない。異国文化をいち早く受け入れ、日本の近代化をけん引してきた神奈川県には、歴史を知るほど興味深いエピソードや、日本有数の観光地ならではの魅力が数多く詰まっている。
神奈川県の歴史は古く、縄文時代にはすでに人々が生活を営んでいたことが各地の遺跡から明らかになっている。古代には相模国と武蔵国の一部に分かれ、中世には武士の時代を象徴する土地となった。特に鎌倉は1192年に源頼朝が幕府を開いたことで、日本初の本格的な武家政権の中心地となる。約150年続いた鎌倉幕府は、日本の政治体制を大きく変え、現在でも鎌倉市内には鶴岡八幡宮や建長寺、高徳院の鎌倉大仏など、多くの歴史遺産が残されている。世界中から観光客が訪れるこれらの名所は、神奈川県の歴史を肌で感じられる場所である。
神奈川県最大の転機となったのが、江戸時代末期の開国である。1859年、横浜港が開港すると、外国人居留地が整備され、西洋文化や新しい産業が次々と日本へ流入した。当時は人口わずか数百人ほどの小さな漁村だった横浜は、わずか数十年で世界とつながる国際都市へと変貌を遂げる。現在でも山下公園や横浜赤レンガ倉庫、横浜中華街などには、その歴史の名残が色濃く残っており、港町ならではの景観を楽しめる。
横浜中華街は日本最大級の中華街として知られるが、その始まりは開港後に来日した中国人居住者のコミュニティである。現在では600店以上の店舗が軒を連ねる一大観光地となり、本格中華料理だけでなく食べ歩きグルメや春節祭などのイベントも人気を集めている。日本にいながら異国情緒を味わえるスポットとして、年間を通して多くの人々が訪れる。
神奈川県には「日本初」が数多く存在することも興味深い。日本初のガス灯、近代的な新聞、アイスクリーム、ホテル、西洋式公園など、その多くが横浜から全国へ広がった。例えば、現在でも親しまれているアイスクリームは1869年に横浜で販売された「あいすくりん」がルーツとされている。また、日本最初の鉄道は1872年に新橋と横浜を結び、人や物の流れを劇的に変化させた。神奈川県はまさに「日本の近代化の玄関口」と呼ぶにふさわしい存在なのである。
一方で、神奈川県は海だけでなく山の魅力にもあふれている。箱根は古くから温泉地として栄え、江戸時代には東海道五十三次の宿場町として旅人を迎えた。現在では温泉、美術館、芦ノ湖、大涌谷、ロープウェイなどが楽しめる国内屈指の観光地である。晴れた日には富士山を望める絶景スポットも多く、日本人だけでなく海外からの旅行者にも高い人気を誇る。
湘南エリアも神奈川県を代表する観光地である。江の島や鎌倉、藤沢、茅ヶ崎に広がる海岸線は、マリンスポーツやドライブコースとして知られ、夏には多くの海水浴客でにぎわう。特に江の島は島全体が観光スポットとなっており、江島神社や展望灯台「シーキャンドル」、名物のしらす料理など見どころが豊富だ。また、アニメや映画、ドラマのロケ地としても数多く登場しており、その景色を目当てに訪れるファンも少なくない。
神奈川県は産業面でも日本を代表する地域である。京浜工業地帯の中心として製造業が発展し、自動車、半導体、精密機器、ゲーム、医療、食品など多様な企業が集積している。横浜市や川崎市には研究施設や開発拠点も多く、世界市場を相手に事業を展開する企業が数多く誕生してきた。歴史ある港町でありながら、最先端技術の発信地でもあるという二つの顔を持つことが、神奈川県ならではの特徴である。
さらに、神奈川県民ならではのトレビアもある。県の面積は全国43位と決して広くないが、人口は東京都に次ぐ全国2位であり、人口密度は全国でもトップクラスである。その一方で、丹沢山地や相模湖など豊かな自然も残されており、「都市」と「自然」がコンパクトに共存している。また、横浜市だけでも人口は370万人を超え、多くの県よりも人口規模が大きい自治体となっている。
神奈川県は、鎌倉幕府による武家政治の始まりを伝える歴史の舞台であり、開港によって日本の近代化を切り開いた国際都市でもある。さらに、箱根や湘南など全国屈指の観光地を擁し、世界最先端の産業が集まる経済拠点としても発展を続けている。古都の静けさと港町の活気、豊かな自然と先端技術が一つの県の中に共存していることこそ、神奈川県最大の魅力である。歴史を知り、街を歩き、文化に触れるほど、この県が日本の歩みそのものを映し出していることに気付かされるだろう。
世界最先端の半導体を支える「見えない王者」――レーザーテックが切り開く検査技術の未来
スマートフォンやパソコン、AI、自動運転車、データセンター――現代社会を支えるこれらの製品に共通するのが半導体である。近年は生成AIの急速な普及によって半導体需要が世界的に高まり、「半導体を制する者が未来を制する」とまで言われる時代になった。しかし、その半導体を製造するためには、シリコンウエハーだけでなく、露光装置や成膜装置、検査装置など数百種類もの製造装置が必要となる。その中でも世界トップクラスの存在感を放つ企業が、神奈川県横浜市に本社を置くレーザーテックである。
レーザーテックは1960年に設立された光応用計測機器メーカーである。当初はレーザー顕微鏡や各種計測機器の開発を手掛けていたが、長年培った光学技術と精密測定技術を武器に半導体検査装置分野へ本格参入した。そして現在では、世界中の半導体メーカーが注目する企業へと成長している。
同社最大の特徴は、「EUVマスク欠陥検査装置」で世界をリードしていることである。EUVとは「極端紫外線(Extreme Ultraviolet)」の略称で、波長13.5ナノメートルという極めて短い光を利用して半導体回路を描く最先端の露光技術である。この技術によって数ナノメートル単位の超微細回路を形成できるため、高性能CPUやGPU、AI向け半導体の製造には欠かせない存在となっている。
しかし、EUV露光には大きな課題がある。それはマスクと呼ばれる原版に、ほんのわずかな欠陥があるだけで膨大な数の半導体チップが不良品となってしまうことである。髪の毛の太さがおよそ8万〜10万ナノメートルであることを考えると、EUV技術が扱う世界はその何万分の一という超微細な領域である。肉眼はもちろん、高性能な顕微鏡でも簡単には見つけられない欠陥を発見する高度な検査技術が求められる。
そこで活躍するのがレーザーテックの検査装置である。同社は独自の光学技術や画像解析技術を駆使し、EUVマスク上の極めて小さな異常を高精度に検出することに成功した。この技術は世界でも参入障壁が極めて高く、長年にわたる研究開発の積み重ねによって築かれたものである。その結果、レーザーテックはEUVマスク検査装置市場において圧倒的な競争力を持つ企業として知られるようになった。
半導体業界では、「主役」は露光装置メーカーだと思われがちである。実際、オランダのASMLは世界唯一のEUV露光装置メーカーとして有名であり、その装置価格は一台数百億円に達するとも言われる。しかし、その露光装置だけでは高性能半導体は作れない。マスクが正しく製造され、欠陥がないことを保証する検査装置があって初めて、安定した量産が可能になる。レーザーテックは、まさに半導体製造を陰から支える「縁の下の力持ち」なのである。
同社がここまで高い競争力を維持できている背景には、「ニッチトップ戦略」がある。売上規模だけを追うのではなく、他社が簡単には参入できない専門分野へ経営資源を集中してきた。半導体市場は景気変動の影響を受けやすい業界として知られるが、一度採用された検査技術は簡単には切り替えられない。そのため、高い技術力を持つ企業は長期にわたり優位性を維持しやすい特徴がある。
また、レーザーテックは研究開発への投資を惜しまない企業としても知られる。半導体の微細化は年々進み、数ナノメートルからさらに小さな世界へ挑戦が続いている。検査技術もそれに合わせて進化し続けなければならない。常に次世代技術を見据えながら開発を続ける姿勢こそが、世界市場で評価される理由の一つである。
近年では生成AIブームが追い風となっている。大規模言語モデルの学習や推論には膨大な演算能力が必要であり、その中核を担うGPUやAIアクセラレーターには最先端半導体が採用される。半導体メーカー各社は設備投資を拡大しており、それに伴って検査装置への需要も高まっている。レーザーテックの業績や株価が世界中の投資家から注目されるようになった背景には、このAI革命がある。
さらに興味深いのは、レーザーテックがBtoB企業でありながら、日本国内でも知名度を急速に高めたことである。一般消費者が同社製品を目にする機会はほとんどないが、東京証券取引所では半導体関連株を代表する銘柄の一つとして知られ、多くの個人投資家からも注目されている。「世界シェアは高いのに一般にはあまり知られていない」という、日本の製造業らしい特徴を持つ企業でもある。
本社を構える神奈川県横浜市は、日本有数の研究開発拠点でもある。港町として海外との交流を続けてきた歴史に加え、多くの大学や研究機関、製造業が集積する環境が、高度な技術開発を支えてきた。レーザーテックもその恵まれた環境の中で独自技術を磨き続け、世界市場へ挑戦してきた企業の一つである。
派手な完成品を作る企業ではない。しかし、世界最先端の半導体が正常に動作するためには、誰にも気付かれないほど小さな欠陥を見逃さない技術が不可欠である。その「見えない品質」を守ることこそ、レーザーテックの使命である。AI、5G、自動運転、量子コンピューターなど、未来を支える技術が発展するほど、同社の果たす役割はますます重要になるだろう。世界最先端のものづくりを陰で支える技術力こそが、レーザーテックという企業の最大の価値なのである。
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世界のエネルギーインフラを築く技術者集団――日揮ホールディングスが挑む次世代プラントの未来
私たちが日常生活で当たり前のように使う電気やガス、ガソリン、化学製品。その多くは巨大な工場やプラントで生産されている。しかし、そのプラントを建設する企業について知る人は決して多くないだろう。日本には世界中で石油精製所や液化天然ガス(LNG)プラント、化学工場、医薬品工場などを建設してきたエンジニアリング企業が存在する。その代表格が、神奈川県横浜市に本社を置く日揮ホールディングスである。同社は単なる建設会社ではない。世界各国で国家規模のエネルギーインフラを手掛ける、日本を代表する総合エンジニアリング企業なのである。
日揮の歴史は1928年にさかのぼる。当時の日本では近代化が進み、石油や化学工業の重要性が高まっていた。同社は石油精製設備の設計からスタートし、その後、海外市場へ積極的に進出することで技術力を磨いてきた。特に1960年代以降、中東地域を中心に大型石油プラントの建設を数多く受注し、日本企業でありながら世界を舞台に事業を展開する企業へと成長した。
日揮の最大の特徴は、「EPC」と呼ばれる事業モデルにある。EPCとはEngineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取ったものである。つまり、工場やプラントを建設する際の設計から資材調達、建設工事、試運転までを一括して請け負う方式である。発注する企業は一社に任せるだけで巨大プロジェクト全体を進められるため、世界中で採用されている。
例えばLNGプラントを建設する場合、数万点から数十万点にも及ぶ機器や配管、制御システムを世界中から調達し、それらを数年かけて組み上げなければならない。工事に参加する人数は数万人規模となることも珍しくなく、一つの国家プロジェクトとも言えるほど巨大な事業になる。その全体を統括するのが日揮のようなエンジニアリング会社である。
日本ではあまり知られていないが、世界のエネルギー供給を支えるLNGプラント建設では、日本企業が高い存在感を持ってきた。LNGとは天然ガスを約マイナス162度まで冷却して液体化した燃料である。液体にすることで体積は約600分の1となり、船で大量輸送できるようになる。日本はエネルギー資源に乏しいため、海外からLNGを大量に輸入しており、火力発電や都市ガスを支える重要なエネルギー源となっている。その供給網を支えてきた企業の一つが日揮なのである。
同社のプロジェクトは中東だけではない。オーストラリア、アメリカ、東南アジア、アフリカなど世界80カ国以上でプラント建設の実績を積み重ねてきた。砂漠、熱帯雨林、極寒地帯など、厳しい自然環境でも工事を遂行する技術力は世界でも高く評価されている。巨大プラントは数十年にわたり稼働するため、安全性や品質への要求は極めて高い。だからこそ長年の経験を持つ企業が信頼されるのである。
近年、日揮が力を入れているのがエネルギー転換への対応である。世界では脱炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーや水素、アンモニア、二酸化炭素回収・貯留(CCS)といった新しい技術への投資が急速に進んでいる。これまで石油・ガス関連設備を数多く手掛けてきた日揮も、その技術を生かして次世代エネルギー分野へ事業領域を広げている。
特に注目されているのが水素エネルギーである。水素は燃焼しても二酸化炭素を排出しないことから、「未来のエネルギー」として世界中で研究開発が進められている。しかし、水素は製造・輸送・貯蔵が難しく、大規模な設備が必要となる。日揮はこれまで培ったプラント建設技術を応用し、水素サプライチェーンの構築にも積極的に取り組んでいる。
さらに、医薬品やライフサイエンス分野も重要な事業の一つである。製薬工場やバイオ医薬品工場では極めて高度な品質管理が求められる。クリーンルームや無菌環境を実現する設備設計には、高度なエンジニアリング技術が欠かせない。エネルギーだけでなく医療分野にも技術を展開していることは、日揮の事業の幅広さを物語っている。
本社を構える横浜市は、日本有数の国際都市として知られる。1859年の開港以来、海外との交流を通じて新しい技術や文化を取り入れてきた土地であり、多くのグローバル企業が本社や研究開発拠点を置いている。日揮もこうした環境を生かし、世界各国の企業や技術者と協力しながら国際プロジェクトを推進してきた。社員の活躍の場は日本国内にとどまらず、世界中へ広がっている。
プラントは完成すると何十年も稼働し、人々の暮らしや産業を支え続ける。完成した施設がニュースになることは少ないが、その裏側には膨大な設計図を描き、安全性を検証し、数万人の作業員をまとめ上げる技術者たちの努力がある。日揮ホールディングスは、まさにそうした「見えないインフラ」を築く企業である。
脱炭素化やエネルギー安全保障が世界共通の課題となる中、プラント建設会社の役割はますます重要になっている。石油・天然ガスから水素、アンモニア、再生可能エネルギー、さらには医薬品製造設備まで、日揮ホールディングスが培ってきた総合エンジニアリング技術は、新しい時代の産業基盤を支える力となるだろう。世界のエネルギーと産業を陰で支える技術者集団として、同社はこれからも日本を代表するグローバル企業であり続けるに違いない。
「無添加」という価値を育てた挑戦者――ファンケルが変えた化粧品と健康食品の常識
日本の化粧品市場は世界有数の規模を誇り、高品質な製品が国内外で高い評価を受けている。その中で、「無添加」という言葉を広く浸透させ、化粧品選びの新たな価値観を築いた企業がある。神奈川県横浜市に本社を置くファンケルである。同社は敏感肌に悩む人々の声に耳を傾け、従来の業界の常識に挑戦することで独自のブランドを築き上げてきた。現在では化粧品だけでなく健康食品やエイジングケア、生活習慣改善支援へと事業を広げ、「美」と「健康」の両面から人々の暮らしを支える企業として知られている。
ファンケルの創業は1980年。当時の化粧品業界では、防腐剤や香料、着色料などの添加物を使用することが一般的だった。これらは品質を長期間維持するために重要な役割を果たしていたが、一方で肌への刺激を気にする消費者も少なくなかった。そうした中、創業者の池森賢二氏は「肌に悩みを抱える人でも安心して使える化粧品を届けたい」という思いから会社を立ち上げた。社名の「ファンケル」は、「FINE(優れた)」と「CHEMICAL(化学)」を組み合わせた造語とされ、科学の力を生かしながらも人にやさしい製品づくりを目指す理念が込められている。
ファンケル最大の特徴は、「無添加化粧品」のパイオニアであることだ。同社が掲げる「無添加」とは、防腐剤や香料、合成色素などをできる限り使用せず、肌への負担を抑えた設計を目指す考え方を指す。品質を保つために添加物へ依存するのではなく、製造工程や容器の工夫によって鮮度を維持するという発想が、他社との差別化につながった。
象徴的なのが、小容量で使い切りやすい容器の採用である。防腐剤をできるだけ使わないためには、開封後に長期間保管されることを前提とした商品設計では品質管理が難しい。そのためファンケルは、必要な量だけを使い切るというスタイルを提案し、容器の密閉性や製造技術を高めることで鮮度を維持してきた。この発想は現在では多くのメーカーにも影響を与え、化粧品業界に新たな価値観をもたらした。
また、ファンケルは通信販売を成長の原動力とした企業でもある。創業当時は現在のようなインターネット通販は存在せず、電話やカタログを通じて商品を販売するスタイルが主流だった。同社は全国の顧客と直接つながる販売体制を築き、商品を届けるだけでなく、肌の悩みや使用感などの声を積極的に集めた。こうした双方向のコミュニケーションは、製品改良や新商品の開発に生かされ、顧客との信頼関係を築く重要な基盤となった。
その後、事業の柱となったのが健康食品である。日本では高齢化の進展とともに、「治療」だけでなく「予防」への関心が高まり、日々の食生活を補うサプリメント市場が拡大した。ファンケルはビタミンやミネラルをはじめ、年齢や生活習慣に合わせたさまざまなサプリメントを展開し、「毎日の健康を支える」という新たなブランドイメージを確立した。健康食品と化粧品を組み合わせ、「体の内側と外側の両方から美しさを支える」という考え方は、多くの消費者から支持を集めている。
近年では、加齢に伴う健康課題への対応も重要なテーマとなっている。健康寿命の延伸が社会全体の課題となる中、ファンケルは機能性表示食品や栄養補助食品の開発にも力を入れている。科学的な知見を基に研究を重ね、日常生活に取り入れやすい製品づくりを進めていることも、同社の強みである。
さらに、ファンケルは環境や社会への配慮にも積極的だ。容器の軽量化やリサイクルへの取り組み、食品ロス削減、環境負荷を抑えた製造など、持続可能な社会の実現を意識した活動を進めている。また、誰もが働きやすい職場づくりや地域社会との連携にも力を入れ、企業としての社会的責任を果たそうとしている。
本社を置く神奈川県横浜市は、日本の近代化を象徴する港町として発展してきた。1859年の開港以来、新しい文化や技術、価値観を積極的に取り入れてきた土地であり、多くの革新的な企業が生まれている。ファンケルもまた、既存の常識にとらわれず、新しい発想で市場を切り開いてきた企業の一つである。「無添加」という概念が広く受け入れられた背景には、横浜という進取の気風を持つ土地柄も少なからず影響しているのかもしれない。
近年、ファンケルはキリンホールディングスグループの一員となり、食品やヘルスサイエンス分野での連携をさらに強化している。両社が持つ研究開発力や販売網を生かすことで、新たな価値の創出が期待されており、健康寿命の延伸やウェルビーイングへの貢献という共通の目標に向けた取り組みが進められている。
華やかな広告や流行だけでブランドを築くのではなく、「肌に悩む人の役に立ちたい」「健康な毎日を支えたい」という創業時の理念を大切にしながら成長を続けてきたことこそ、ファンケル最大の強みである。時代とともに美容や健康への価値観は変化しても、人々が安心して使える製品を届けたいという姿勢は変わらない。化粧品メーカーの枠を超え、人々の豊かな生活を支える企業として、ファンケルはこれからも新たな挑戦を続けていくだろう。
まとめ
神奈川県の魅力は、歴史ある観光地や美しい景観だけではない。鎌倉時代から続く文化を受け継ぎながら、開港によって世界へ扉を開き、現在では最先端技術や新たな価値を生み出す企業が数多く集まる、日本有数のイノベーション拠点へと発展してきた。レーザーテック、日揮ホールディングス、ファンケルはいずれも異なる分野で活躍しているが、独自の技術や発想で世界市場を切り開いてきた点は共通している。神奈川県は、豊かな歴史と文化、そして未来を創る産業が共存する地域として、これからも国内外から大きな注目を集め続けるだろう。
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