
時代の変化を追い風に成長する4つのビジネスモデル
企業の成長を見極めるうえで重要なのは、現在の業績だけではなく、その企業がどのような社会の変化を取り込み、未来の需要を生み出そうとしているかを見ることである。今回取り上げる4社は、それぞれ異なる分野で事業を展開しながら、共通して「時代の変化に対応する力」を持つ企業である。
海外旅行やグローバルビジネスに欠かせない通信インフラを提供するビジョン(9416)は、人々が世界中でスマートフォンを使う時代において「つながる価値」を提供している。インターネットによる情報流通を活用し、仕事探しや住まい探しなど人生の選択肢を広げるじげん(3679)は、生活サービスのデジタル化を支えるプラットフォーム企業である。
また、不動産業界のDXに挑むrobot home(1435)は、IoTやクラウド技術を活用し、住宅管理の効率化という社会課題の解決を目指している。そして、日本が世界に誇る特撮IP「ウルトラマン」を軸に、コンテンツビジネスの可能性を広げる円谷フィールズホールディングス(2767)は、キャラクターやブランドという無形資産を活用した成長戦略を進めている。
通信、不動産、情報プラットフォーム、エンターテインメント。分野は異なるものの、4社に共通するキーワードは「デジタル化」「グローバル化」「資産の価値最大化」である。それぞれの企業が持つ強みや成長余地、そして今後の注目ポイントを探っていく。
ビジョン(9416)――海外旅行の常識を変えた「通信×旅行×ビジネスサービス」企業の成長戦略
海外旅行に欠かせないものといえば、パスポート、航空券、宿泊予約、そして近年では「インターネット環境」が挙げられる。現地で地図を確認する、翻訳アプリを使う、SNSへ写真を投稿する、キャッシュレス決済を利用する――スマートフォンが旅の中心となった現在、通信環境の確保は旅行者にとって重要なインフラとなった。その市場で存在感を高めている企業が、東証プライム市場に上場するビジョン(証券コード:9416)である。
ビジョンは「グローバルWiFi」を中心とした海外渡航者向け通信サービスで成長してきた企業である。単なるWi-Fiレンタル会社ではなく、海外旅行者や海外ビジネスを展開する企業に対して、通信環境、ITサービス、ビジネス支援を提供する「グローバルインフラ企業」として事業領域を広げている。コロナ禍によって大きな打撃を受けた旅行関連企業が多い中で、海外旅行需要の回復とともに再成長への期待が高まっている。
ビジョンの代表的なサービスである「グローバルWiFi」は、海外渡航時に利用できるモバイルWi-Fiルーターのレンタルサービスである。海外では日本国内のスマートフォン契約のまま通信を利用すると、高額なローミング料金が発生するケースがある。その課題を解決する存在として、空港などで手軽に借りられるグローバルWiFiは多くの旅行者に利用されてきた。
特に日本人の海外旅行市場では、「現地で通信できない不安」を解消するニーズが根強い。以前は海外旅行といえばホテルや空港の無料Wi-Fiを利用する人も多かったが、現在ではスマートフォンが旅行中のナビゲーション、決済、翻訳、情報収集の中心となっている。通信環境の重要性が高まるほど、ビジョンのサービス価値も高まる構造となっている。
また、ビジョンの強みは単なるレンタル事業にとどまらない点にある。世界各国の通信会社と連携し、多数の国・地域で利用できる通信サービス網を構築している。海外旅行先ごとに通信事情は異なるため、利用者が安心して使えるサービスを提供するには、現地通信事業者とのネットワークや運用ノウハウが不可欠である。長年にわたり海外通信市場で積み上げてきた経験は、後発企業が簡単には追随できない競争力となっている。
さらにビジョンは法人向けサービスにも力を入れている。海外出張や海外拠点を持つ企業向けに、通信環境の提供やIT関連サービスを展開している。グローバル化が進む中で、日本企業にとって海外現地で安定した通信環境を確保することは重要な経営課題となっている。個人旅行者だけでなく、法人需要を取り込むことで収益基盤の安定化を図っている。
一方、ビジョンのもう一つの柱となっているのが、情報通信サービス事業である。中小企業向けにホームページ制作、法人向け通信サービス、OA機器などを提供し、企業のデジタル化を支援している。近年では企業規模を問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が求められており、ITに詳しくない企業を支援するビジネスには一定の需要がある。
ビジョンの事業モデルを見ると、「旅行需要」と「デジタル化需要」という2つの成長テーマを取り込んでいる点が特徴である。旅行関連事業は景気や感染症など外部環境の影響を受けやすい一方、企業向けITサービスは比較的安定した需要が期待できる。この異なる性質の事業を組み合わせることで、収益のバランスを取っている。
株式市場でビジョンを見る際、最大のポイントとなるのはインバウンド・アウトバウンド双方の回復である。新型コロナウイルス感染拡大によって国際移動が制限された時期には、海外旅行関連企業の多くが大きな影響を受けた。ビジョンも例外ではなく、海外渡航者の減少によって主力事業が苦戦した。しかし、感染症対策の緩和以降、海外旅行需要は回復傾向となり、グローバルWiFiの利用需要も戻りつつある。
今後の成長余地として注目されるのが、訪日外国人向けサービスである。日本を訪れる外国人旅行者が増加する中、訪日客にとっても通信環境は重要な課題である。ビジョンはこれまで培った通信ノウハウを活用し、日本を訪れる外国人向けの通信サービスにも展開可能性を持つ。インバウンド市場の拡大は、新たな成長機会となる可能性がある。
また、世界的にはeSIM(組み込み型SIM)の普及も大きな変化である。従来のモバイルWi-Fiルーターのレンタルに加え、スマートフォンへ直接通信プランを設定できるeSIMサービスが拡大している。これは利便性向上につながる一方、従来型レンタルサービスにとっては競争環境の変化を意味する。ビジョンにとっては、Wi-Fiレンタルだけに依存せず、時代に合わせた通信サービスへの進化が重要になる。
投資対象として見た場合、ビジョンの魅力は「海外旅行回復」という分かりやすい成長テーマを持ちながら、法人向けITサービスという別の収益源も持っている点にある。一方で、旅行需要の変動、通信サービスの価格競争、eSIMなど新技術への対応力は今後の注目ポイントとなる。
海外旅行が特別なイベントから、より日常的なグローバル移動へ変化する時代。スマートフォンが旅の必需品となった今、通信環境を支える企業の重要性はますます高まっている。ビジョンは「海外でつながる」という当たり前を支える企業として成長してきた。そして今後は、単なるWi-Fiレンタル企業から、世界を移動する人と企業を支えるグローバルサービス企業へ進化できるかが、さらなる成長の鍵となるだろう。
じげん(3679)――人生の選択肢を広げる「ライフサービスプラットフォーム」企業の成長力
インターネットの普及によって、私たちの生活における情報収集の方法は大きく変化した。かつては求人情報誌、不動産情報誌、旅行雑誌など、目的ごとに異なる媒体を探す必要があった。しかし現在では、スマートフォン一つで仕事探し、住まい探し、結婚相手探し、旅行予約、生活サービスの比較まで完結できる時代になっている。その情報流通の変化をビジネスチャンスとして成長してきた企業が、東証プライム市場に上場するじげん(証券コード:3679)である。
じげんは「生活機会(ライフサービス)を増やす」を掲げ、求人、不動産、リフォーム、自動車、旅行など、人々の人生に関わるさまざまな選択肢を提供するプラットフォーム企業である。自社で商品やサービスを直接販売するのではなく、ユーザーと企業をつなぐ「マーケットプレイス型」のビジネスモデルを展開している点が大きな特徴だ。
代表的なサービスとして知られるのが、求人領域の「求人ボックス」や「アルバイトEX」、不動産領域の「賃貸スモッカ」、リフォーム領域の比較サービスなどである。これらのサービスは、複数の情報を集約し、利用者が効率的に比較・検索できる環境を提供している。
じげんのビジネスモデルを理解する上で重要なのは、「情報の集約」と「送客」で収益を生み出している点である。例えば、仕事を探している人が求人情報を検索し、企業への応募や問い合わせにつながることで、掲載企業や提携先から収益を得る仕組みとなっている。多くのユーザーが利用するほど価値が高まり、企業側にとっても広告効果が高まるというネットワーク効果が働く。
特に注目されるのが、人材領域である。日本では少子高齢化による労働人口減少が進み、多くの業界で人手不足が深刻化している。企業にとって優秀な人材を確保することは重要な経営課題となっており、求人市場は今後も一定の需要が期待される分野である。
従来型の求人広告では、企業が掲載料を支払って求人情報を掲載する形式が一般的だった。一方、インターネット時代では、求職者の検索行動を分析し、より効率的に応募につなげるデジタルマーケティングが重要になっている。じげんのような求人プラットフォーム企業は、膨大なデータを活用しながら、求職者と企業双方の利便性を高める役割を担っている。
また、じげんはM&A(企業買収)を成長戦略の柱としてきた企業でもある。自社でゼロから新規サービスを立ち上げるだけでなく、成長可能性のある企業やサービスを取り込み、じげんのマーケティング力や技術力を活用して成長させる手法を採用している。
このM&A戦略は、インターネット業界との相性が良い。ニッチな市場で高い専門性を持つサービスでも、じげんのプラットフォームや集客ノウハウを組み合わせることで、より大きな事業へ成長させる余地があるからだ。多様な生活領域へ展開することで、特定市場への依存を低減し、収益機会を広げている。
不動産領域も、じげんにとって重要な成長分野である。住宅探しは人生における大きな意思決定の一つであり、消費者は家賃、立地、設備、初期費用など多くの条件を比較する必要がある。インターネット上で複数の情報を効率的に比較できるサービスへの需要は高く、不動産情報プラットフォーム市場は今後もデジタル化が進むと考えられる。
さらに、中古車、リフォーム、旅行など、消費者が「比較して選ぶ」場面は数多く存在する。じげんは、こうした選択の場面に入り込むことで、ユーザーの意思決定を支援し、企業側には顧客獲得の機会を提供している。
投資対象として見た場合、じげんの魅力は、ストック型のメディア企業ではなく、成長市場に合わせて事業領域を拡大できる柔軟性にある。インターネットサービスは、一度利用者基盤を築くと、追加コストを抑えながら利用拡大を図れるという特徴がある。ユーザー数や取引数が増えることで、利益率向上につながる可能性がある。
一方で、競争環境は厳しい。求人、不動産、旅行などの分野には、大手IT企業や専門サービス企業が多数参入している。また、検索エンジンやSNS広告の環境変化によって、集客コストが変動するリスクもある。今後は、単純に情報を集めるだけではなく、AIを活用した検索精度向上や、ユーザーごとに最適な情報を提供するサービス進化が求められる。
生成AIの普及も、じげんのような情報プラットフォーム企業にとって大きな転換点となる可能性がある。ユーザーが検索サイトを訪れて情報を探す従来型の行動から、AIに希望条件を伝えて最適な選択肢を提示してもらう時代へ変化すれば、情報仲介企業には新たな価値提供が必要になる。その一方で、大量のデータを保有し、ユーザーの行動を理解している企業には、AI時代における成長余地もある。
じげんという社名には、「次元を超える」という意味が込められている。単なる求人サイト、不動産サイトの運営会社ではなく、人々の人生におけるさまざまな選択を支援する「生活インフラ企業」を目指している点が同社の本質である。
仕事、住まい、移動、暮らし。人生の節目には必ず選択が存在する。その選択肢をより多く、より便利に提供することが、じげんの存在意義である。今後もデジタル化が進み、人々がオンラインで意思決定する機会が増える中で、じげんがどのように生活領域のプラットフォームとして進化していくのか、その成長戦略に注目が集まる。
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robot home(1435)――不動産×IoTで挑む「賃貸経営のDX企業」の現在地
日本の不動産市場は、大きな転換期を迎えている。人口減少や単身世帯の増加、空き家問題、人手不足など、従来型の不動産ビジネスにはさまざまな課題が浮上している。一方で、スマートフォンやIoT技術、クラウドサービスの普及によって、不動産管理のあり方も大きく変わろうとしている。こうした時代の変化を背景に成長を目指している企業が、東証スタンダード市場に上場するrobot home(証券コード:1435)である。
robot homeは、かつて「TATERU」のブランドで知られた不動産テック企業であり、現在は不動産とテクノロジーを融合した「不動産DX企業」への転換を進めている。賃貸住宅の企画・管理から、IoTを活用したスマートホームサービス、AI・クラウドによる不動産管理支援まで、テクノロジーによって不動産業界の効率化を目指している点が大きな特徴である。
不動産業界は、巨大な市場規模を持つ一方で、長年にわたりアナログな業務が多く残されてきた業界でもある。物件情報の管理、入居者対応、契約手続き、建物管理など、多くの業務が人手に依存しているケースも少なくない。robot homeは、こうした不動産業界の非効率をITによって改善することを事業の中心に据えている。
同社の代表的な事業の一つが、賃貸住宅の管理・運営支援である。賃貸経営では、入居者募集、家賃管理、修繕対応、契約更新など、多くの業務が発生する。特に物件を複数所有するオーナーにとって、管理業務の効率化は重要な課題となる。robot homeは、クラウド型の管理システムを活用し、物件管理をデジタル化することで、オーナーや管理会社の負担軽減を目指している。
また、同社が注力する分野としてIoTを活用したスマートホーム事業がある。スマートフォンによる鍵の開閉、遠隔操作できる設備管理、入居者向けアプリなど、住宅にテクノロジーを組み込むことで、入居者の利便性向上と物件価値向上を図っている。
住宅市場では、新築物件の供給だけでなく、既存住宅の価値向上が重要なテーマとなっている。人口減少によって住宅需要が変化する中、単純に物件数を増やすだけではなく、「選ばれる物件」を作ることが求められている。その意味で、IoTやデジタル管理によって住宅の魅力を高める取り組みは、今後さらに重要性を増す可能性がある。
robot homeのビジネスモデルで注目されるのは、単なる不動産販売会社ではなく、不動産運営を支援するプラットフォーム企業を目指している点である。不動産業界では、物件を所有するオーナー、管理会社、入居者など、多くの関係者が存在する。それぞれが抱える課題をデジタル技術で解決することで、新たな価値提供を目指している。
一方で、同社は過去に大きな事業転換を経験している。以前のTATERU時代には、アパート投資関連事業を急速に拡大したが、不祥事を受けて事業モデルの見直しを迫られた。その後、社名をrobot homeへ変更し、従来型の不動産投資会社から、不動産テクノロジー企業への転換を進めている。
この転換は、同社にとって信頼回復と成長基盤の再構築という二つの意味を持つ。不動産という大きな資産を扱う業界では、企業への信頼性が極めて重要である。そのため、透明性の高いサービス運営や、テクノロジーによる業務改善を通じて、企業価値を高めていくことが求められている。
投資対象として見た場合、robot homeの魅力は、不動産市場とDX市場という二つの成長テーマを持っている点である。不動産業界は巨大な市場でありながら、デジタル化の余地が大きい。金融、物流、小売など多くの業界でDXが進んだように、不動産分野でも今後さらなるIT活用が進むと考えられる。
特に日本では、不動産管理会社の人手不足が深刻化している。少子高齢化によって労働力確保が難しくなる中、業務効率化を実現するシステムへの需要は高まっている。クラウド管理や自動化ツールを提供する企業にとって、この流れは追い風となる可能性がある。
また、AI技術の発展も不動産業界を変える可能性がある。物件価格の分析、入居需要の予測、問い合わせ対応の自動化など、AIを活用できる領域は広い。robot homeが保有する不動産データや管理ノウハウを活用し、より高度なサービスへ発展できるかが今後のポイントとなる。
一方で、不動産市場は景気や金利動向の影響を受けやすい。住宅ローン金利の上昇や投資家心理の変化は、不動産関連企業にとってリスク要因となる。また、不動産テック分野では競争も激しく、大手IT企業や既存不動産会社もデジタル化への取り組みを進めている。継続的な技術投資と独自性の確立が重要になる。
robot homeという社名には、「ロボットのように賢く、効率的に動く住宅」という未来像が込められている。不動産は人々の生活に欠かせない社会インフラであり、その運営方法を変えることは、暮らしそのものを変える可能性を持つ。
これからの不動産業界では、単に建物を提供するだけではなく、データやテクノロジーを活用して快適な住環境を提供することが求められる。robot homeは、過去の事業モデルから大きく方向転換し、不動産DXという新たな領域で成長を目指している企業である。今後、テクノロジーによって賃貸経営や住宅管理の常識をどこまで変革できるのか、その挑戦に注目が集まる。
円谷フィールズホールディングス(2767)――「ウルトラマン」が世界へ挑む、日本発IPビジネスの成長戦略
日本のコンテンツ産業が世界から注目される中、キャラクターや映像作品などの「IP(知的財産)」を活用したビジネスの重要性が高まっている。かつては映画やテレビ放送が中心だったエンターテインメント市場は、現在ではゲーム、玩具、動画配信、イベント、海外ライセンスなど、多方面へ広がっている。日本が誇る特撮文化の象徴である「ウルトラマン」を世界的ブランドへ育てようとしている企業が、東証プライム市場に上場する円谷フィールズホールディングス(証券コード:2767)である。
同社は、映像制作会社として長い歴史を持つ円谷プロダクションと、遊技機関連事業を祖業とするフィールズが一体となった企業グループである。現在では「IP価値の最大化」を成長戦略の中心に掲げ、ウルトラマンをはじめとした有力コンテンツを活用したエンターテインメント事業を展開している。
円谷フィールズホールディングスを理解するうえで欠かせない存在が、「ウルトラマン」という世界的キャラクターである。1966年に誕生したウルトラマンは、日本の特撮ヒーロー文化を代表する存在として長年愛されてきた。怪獣との戦い、人類を守るヒーローという普遍的なテーマは世代を超えて支持され、現在では日本国内だけでなくアジアを中心に海外にも多くのファンを持つ。
近年、世界のエンターテインメント業界では、IPビジネスへの注目が急速に高まっている。強力なキャラクターや物語を保有する企業は、映像作品だけでなく、玩具、ゲーム、アパレル、テーマイベント、ライセンス収入など、複数の収益源を構築できるからだ。
代表例として、海外ではディズニーがミッキーマウスやマーベル、スター・ウォーズなどのIPを活用し、映画、配信、テーマパーク、商品販売へと展開している。日本でも、キャラクターを中心としたビジネスモデルへの転換が進んでおり、円谷フィールズホールディングスはその流れを象徴する企業の一つといえる。
同社の強みは、長年培ってきたウルトラマンブランドを活用できる点にある。新たなキャラクターをゼロから育てるには、多額の投資と長い時間が必要となる。一方、すでに世界中に認知されたIPを持つ企業は、そのブランド力を活用して新しい事業を展開できる可能性がある。
特に成長余地が大きいのが海外市場である。日本のアニメや特撮作品は、近年世界的な人気を獲得している。動画配信サービスの普及によって、日本国内で放送された作品がリアルタイムに近い形で海外へ届けられる環境が整ったことも追い風となっている。
ウルトラマンはアジア圏で特に高い知名度を持つ。中国をはじめとする海外市場では、日本のヒーローコンテンツへの関心が高く、映像作品の展開だけでなく、玩具販売やイベント開催など、多面的なビジネス展開が期待される。
また、円谷フィールズホールディングスのもう一つの特徴は、遊技機分野との関わりである。フィールズは長年、パチンコ・パチスロ機の企画・販売を手掛けてきた企業であり、人気コンテンツを遊技機に活用するビジネスモデルで成長してきた。エンターテインメントIPと遊技機市場を結びつけるノウハウは、同社独自の強みとなっている。
ただし、遊技機市場は規制や景気動向の影響を受けやすい側面がある。そのため、同社が今後さらに企業価値を高めるためには、遊技機依存から脱却し、IPを軸とした幅広い収益モデルを確立することが重要になる。
その意味で、映像、商品化、海外展開、デジタルコンテンツなどへの取り組みは大きな意味を持つ。特に近年は、ゲームやスマートフォン向けサービス、動画配信など、消費者との接点が多様化している。優れたIPを持つ企業ほど、時代に合わせて収益化の方法を増やすことができる。
投資対象として見た場合、円谷フィールズホールディングスの魅力は、希少性の高い「日本発の大型IP」を保有している点にある。世界的に見ても、長期間にわたって支持されるキャラクターは限られており、ブランドそのものが大きな資産となる。
一方で、IPビジネスにはリスクも存在する。人気コンテンツは時代の変化に合わせて進化し続けなければならない。過去の成功だけに依存すると、若年層から支持を失う可能性もある。また、海外展開では各国の文化や市場環境への対応も必要になる。
ウルトラマンというブランドも、単なる懐かしいヒーローではなく、新しい世代に向けた価値提供が求められている。映像技術の進化、デジタルコンテンツとの融合、海外クリエイターとの連携など、時代に合わせた進化が今後の成長を左右するだろう。
日本には、アニメ、漫画、ゲーム、特撮など、世界に誇れるコンテンツ資産が数多く存在する。しかし、その価値を最大限に引き出すためには、単に作品を作るだけではなく、世界規模でビジネス展開する力が必要になる。
円谷フィールズホールディングスは、「ウルトラマン」という半世紀以上の歴史を持つIPを武器に、日本発コンテンツの可能性を広げようとしている企業である。昭和から続くヒーローが、令和の時代に世界市場でどこまで成長できるのか。同社の挑戦は、日本のIPビジネスの未来を占う存在としても注目される。
まとめ:変化する時代に価値を提供できる企業に注目
今回取り上げた4社は、いずれも既存の市場にテクノロジーや新しい発想を組み合わせることで成長を目指している企業である。
ビジョンは、海外旅行需要の回復やグローバル化を背景に、通信という社会インフラを支える存在として成長を続けている。じげんは、仕事や住まいなど人生の重要な選択をデジタルで支援し、情報を価値へ変えるビジネスモデルを展開している。robot homeは、不動産業界の課題解決に向けてDXを推進し、住宅とテクノロジーの融合に挑戦している。そして円谷フィールズホールディングスは、長年愛されてきたIPを世界市場へ展開し、日本発コンテンツの可能性を広げている。
もちろん、成長企業への投資には競争環境の変化や市場リスクも存在する。しかし、社会の変化によって新たな需要が生まれる分野で独自の強みを持つ企業は、中長期的な成長ストーリーを描ける可能性がある。
「人と世界をつなぐ」「選択肢を増やす」「暮らしを進化させる」「夢や物語を届ける」。4社が目指す方向性は異なるが、いずれも時代のニーズに応えながら新たな価値を創造しようとしている。変化の激しい時代だからこそ、こうした企業の挑戦と成長力に注目したい。
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