
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
いまからでも見るべき“第2波銘柄”を、素材・部材・電力・冷却・データセンター周辺まで広げてわかりやすく整理する
AI関連株というと、多くの人はまずエヌビディアやメタ、マイクロソフトのような王道銘柄を思い浮かべます。実際、2026年の市場でもAIは依然として最重要テーマで、企業のAI投資とデータセンター建設は続いています。ただ、ここまで株価が大きく上がると、「もう本命株は遅いのでは」と感じる人が増えるのも自然です。Reutersは2026年5月、半導体株の上昇が非常に大きくなった一方で、投資家の間に「過熱感」への警戒が出ていると報じています。
ただし、ここで「AI相場は終わった」と考えるのは早いです。むしろ今は、相場の主役が“AIそのもの”から、“AIを支える周辺インフラ”へ少しずつ広がっている局面と見る方が近いです。AIを動かすにはGPUだけでは足りません。先端パッケージ、光配線、電源設備、冷却設備、データセンター建設、送配電、素材、ケーブル、コネクターまで含めて初めてAIインフラが成立します。Reutersや各社の公式資料でも、いまのAI投資がサーバーやチップだけでなく、高速度接続、冷却、エネルギー効率、電力インフラへ広がっていることが確認できます。
結論を先に言うと、いまからAI関連を考えるなら、王道のGPU株を追いかけるだけでなく、第2波として
素材・先端パッケージ
光通信・接続部材
電力・冷却設備
データセンターの建設・運用周辺
に目を向ける方が、テーマの広がりをつかみやすいです。もちろん、どの銘柄も上がり続けるわけではありませんし、すでにかなり期待を織り込んでいるものもあります。けれど、AIインフラ投資の重心が「計算能力」から「計算を回す物理基盤」へ広がっていること自体は、かなり重要な変化です。
まず、「第2波」とは何か
本命株が上がったあとに、周辺の必需品へ資金が向かう流れである
相場では、最初に一番わかりやすい本命が買われ、そのあとで周辺銘柄へ資金が広がることがあります。AIでいえば、第1波はエヌビディアのようなGPUや、メタ・マイクロソフトのようなAIを直接使う巨大企業でした。第2波は、そのAI需要が本当に続くなら必要になる“裏方”です。サーバーラック、高速配線、ABFのような基板材料、コネクター、冷却、UPS、変圧器、スイッチギア、光通信、電源制御、データセンター用不動産や建設設備まで含まれます。Reutersは、AIインフラ需要がサーバーだけでなく、高速度インターコネクト、冷却、電力効率にまで広がっていると報じています。
この第2波が起きる理由は単純です。AIモデルを大きくするほど、GPUだけでは解決できないボトルネックが増えるからです。データセンターはAIによって電力消費と水使用量が大きく増える見通しで、国連大学の研究をもとにReutersは、2030年までにデータセンターの電力消費が945TWhへ倍増し、AIがそのうち**40%**を占める可能性があると伝えています。つまり、AIテーマは今後「半導体の話」だけではなく、電力と冷却と接続の話になっていくわけです。
第2波の本命1 素材・先端パッケージ
“GPUの外側”で強い会社は、想像以上に重要である
AIサーバーが高性能になるほど、チップを載せる基板やパッケージ材料の重要性が増します。その象徴が、味の素のABF(Ajinomoto Build-up Film)です。Reuters Breakingviewsは2026年4月、アクティビストファンドが味の素株を評価する理由として、ABFがAIチップのサプライチェーンで圧倒的な地位を持っている点を挙げました。味の素の公式技術紹介でも、ABFは高性能半導体向け絶縁フィルム市場で95%超のシェアを持つと説明されています。これはGPUやCPUが売れるほど、その外側の高付加価値材料にも追い風が吹く典型例です。
このタイプの銘柄の魅力は、AI本命株ほど派手ではなくても、代替しにくいニッチを握っていることです。チップ性能が上がるほど、熱、配線密度、信号品質、実装難度は上がります。すると、素材や先端パッケージの重要度はむしろ上がりやすい。AI相場の第2波を考えるなら、「チップが勝てば必ず必要になる部材」はかなり注目しやすい領域です。
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第2波の本命2 光通信・配線・コネクター
AIデータセンターは“つなぐ技術”がなければ回らない
AIサーバーが増えるほど重要になるのが、サーバー間やラック間を高速でつなぐ光通信・配線です。Reutersは2026年4月、AmphenolがAIデータセンター需要を背景に、コネクターやセンサーの需要増を見込んで強い業績見通しを出したと報じました。AmphenolはCommScopeの接続・ケーブル事業買収も通じて、データセンター向けの光・接続製品をさらに強化しています。GPUが増えるほど、結局は「つなぐ部品」も大量に必要になるということです。
光通信側では、CienaやCoherentのような企業も見逃しにくいです。Barron’sは2026年6月、Cienaの売上が前年同期比40%増で、AI主導のハイパースケーラー需要が長期の追い風だと伝えました。Coherentも2026年3月の公式リリースで、AIデータセンターと通信ネットワーク向けの光技術を前面に押し出しています。AIの計算量が増えるほど、データセンター内外の光ネットワーク需要も増えやすく、ここは第2波の中でもかなり本筋に近い領域です。
日本株で見るなら、フジクラがこの文脈でかなり分かりやすい存在です。Reutersは2025年10月、フジクラがAIデータセンターブームを背景に日経平均の勝ち組になっていると報じました。さらにフジクラの2026年中期経営計画では、AIインフラ需要の急拡大を確実に取り込むため、成長投資を加速すると明記されています。公式イベント案内でも、生成AI普及を背景にデータセンター向け光配線ソリューションを前面に出しています。つまり、日本株の第2波候補としては、光配線・光ファイバーのフジクラはかなり教科書的です。
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第2波の本命3 電力・冷却設備
AIのボトルネックは、チップ不足だけでなく“電気と熱”でもある
AI関連株の第2波で、今かなり重要なのが電力設備と冷却設備です。AIサーバーは高密度・高発熱で、従来型データセンターよりずっと電気を食い、冷却も難しくなります。Reutersは2026年6月、AI拡大に伴ってデータセンターの電力・水消費が2030年までに倍増する可能性を報じました。EUも6月、データセンター向けのエネルギー効率基準を提案しており、AIが“物理インフラ問題”を深刻化させていることが分かります。
この流れで注目されるのが、VertivやSchneider Electricのような企業です。Vertivの2026年1Q決算では、Americasで44%の有機売上成長を達成し、強いデータセンター需要を背景に通期見通しを引き上げました。2月の決算リリースでも「データセンター市場の勢いは非常に強い」と説明しています。Schneider ElectricについてもReutersは2026年5月、インドのデータセンター事業が本業を上回る成長になる見通しだと報じ、同社がUPS、スイッチギア、電源分配、精密冷却、エネルギー管理ソフトを幅広く供給していると伝えました。AI相場の次のボトルネックが電力と冷却なら、これらの企業はかなり有力です。
また、電力系の制約は今後さらに重くなる可能性があります。Reutersは2026年4月、FERCがデータセンターの急増する電力需要に対応する新ルール作りを進めていると報じました。つまり、AIデータセンターは単に建てればよいのではなく、電力をどう引き込むかが大きな論点になっています。この流れは、変圧器、スイッチギア、UPS、電力制御、液冷設備など、かなり広い周辺企業にとって追い風になり得ます。
第2波の本命4 エネルギー・資源・電源周辺
AIは“電気を食うテーマ”でもある
AI相場を半導体だけで考えると見落としやすいのが、エネルギー供給です。Reutersは2026年5月、三井物産がデータセンター電力需要の拡大に対応するため、LNG投資を検討していると報じました。これは象徴的です。AIはクラウドやチップの話である一方、同時に「その膨大な電気をどこから持ってくるか」という問題でもあります。電力が足りなければ、GPUを並べてもデータセンターは完成しません。
資源では、銅もよく注目されます。Reutersは2026年6月、AIデータセンターが銅需要を押し上げるのは確かだが、市場の期待ほど単純ではないと報じました。S&P Globalの予測として、データセンターと関連インフラ向け銅需要は2025年の110万トンから2040年に250万トンへ増える見通しが示される一方、実際には電力接続や労働力、装置不足がボトルネックになる可能性も指摘されています。つまり、「AI=銅株全部上がる」と短絡するのは危険ですが、電線・送配電・高圧機器のような実装に近い領域は引き続き要注目です。
第2波の本命5 データセンター建設・運用周辺
AIは“箱もの”需要も生む
AI相場の第2波は、チップや部材だけではありません。データセンターそのものの建設、運用、モジュール化も大きなテーマです。Reutersは2026年5月、Hut 8がテキサスのAIデータセンターで98億ドル規模の15年リース契約を結んだと報じました。Vertivも2026年2月、Hut 8向けに高密度データセンターを高速展開するデジタルツイン型モジュールインフラを発表しています。つまり、AIはサーバーの中身だけでなく、データセンターを早く建てて、早く動かす企業にもお金が流れる構造です。
ここで重要なのは、AIデータセンターは通常のデータセンターよりも、電力・冷却・配線・工期管理が難しいことです。Reutersや業界報道でも、AI向けデータセンター建設では変圧器やスイッチギア調達が制約になるとされています。したがって第2波を見るなら、単なるREITや箱ものではなく、AI対応の高密度設備を扱える企業かどうかが見極めポイントになります。
じゃあ、いまから見るべき“第2波銘柄”は何か
わかりやすく整理すると、こう考えると見やすい
いまからAI関連の第2波を整理するなら、私は次のように見るのが分かりやすいと思います。
まず日本株では、
味の素は先端パッケージ材料の本命、
フジクラは光配線・光ファイバーの本命、
古河電工は光・電力・樹脂部材など広い周辺需要の候補、
という整理がしやすいです。古河電工の公式サイトやData Center Japanの展示情報を見ると、同社は光ソリューションやデータセンター向け樹脂部材を前面に出しており、AIインフラ周辺でのテーマ性があります。
海外株では、
Vertivは冷却・電力設備の代表格、
Schneider Electricは電源・冷却・エネルギー管理の総合力が強い代表、
Amphenolはコネクター・接続部品の本命、
CienaやCoherentは光通信・光部材の本命、
という見方がしやすいです。これらはエヌビディアのように“AIそのもの”を象徴する株ではありませんが、AIデータセンター建設が続く限り、需要が波及しやすい企業群です。
ただし、注意点もある
第2波銘柄は“本命より割安”とは限らない
ここで気をつけたいのは、「第2波だからまだ安い」とは限らないことです。例えばフジクラはすでにAIインフラ連想で大きく買われた実績がありますし、Vertivも業績期待でかなり評価されてきました。Cienaのように、良い決算でも市場期待が高すぎて株価が急落するケースもあります。つまり第2波銘柄は、まだ見つかっていないお宝というより、市場が次に評価し始めた領域と考えた方が正確です。
また、AIインフラには現実の制約もあります。電力供給、地域の反発、設備不足、工期、規制です。ReutersやFTは2026年6月、AIデータセンターに対する電力・水資源・地域社会からの反発が強まっていると報じています。したがって、第2波銘柄を見る時は「AI投資が増えるから全部伸びる」と考えるより、どこがボトルネックで、どこが必需品かを見た方が失敗しにくいです。
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まとめ
AI関連株がもう遅いのではなく、“見る場所が変わってきた”と考える方がいい
AI関連株はもう遅いのか。
この問いに対する私の答えは、王道の一部はかなり織り込まれているが、AI相場そのものはまだ終わっていないです。
むしろ今は、相場の視点がGPUや巨大IT企業から、素材、部材、光配線、電力、冷却、データセンター建設といった第2波へ広がっていると考える方が自然です。AIの本当の拡大は、モデル性能の競争だけではなく、それを支える物理インフラの巨大化として現れるからです。
一言でまとめるなら、こうです。
AI関連株がもう遅いのではなく、 “エヌビディアの次に何が要るのか”を考える段階に入った。
その意味で、いまから見るべき第2波銘柄は、
先端パッケージ材料、
光通信・配線、
電力・冷却設備、
データセンター周辺インフラ
です。
王道本命を追いかけるだけでは見えにくい部分ですが、AI相場が続くほど、この周辺領域の重要度はむしろ増していく可能性があります。
【重要】免責事項
投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。
情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。
損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
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