
地方から首都圏へ資金が流れる現状分析から、相続対策、家族で今から準備すべきことまで包括的に整理する
はじめに
「銀行預金が首都圏に5割超集中している」。
このニュースを見て、単に「東京にお金が集まっているのだな」と感じた人も多いと思います。
けれど、投資や相続の視点で見ると、これは単なる地域格差の話ではありません。
むしろ、日本の家計金融資産が、相続を通じてどう移動しているか、そして地方の家族が何も準備しないまま相続を迎えると何が起こるかを考えるうえで、かなり重要なニュースです。
時事通信の配信を載せたYahoo!ファイナンス記事では、日銀統計をもとに、銀行預金の大都市圏への集中が鮮明になっており、首都圏への集中度が5割を超えたと報じています。背景には、地方に住む高齢者が亡くなったあと、相続人が首都圏に居住していることで、預金が地方から都市部へ移る構図があるとされています。つまり、この現象の中心にあるのは「企業活動」だけではなく、相続です。
この見方は、民間の分析とも整合的です。
大和総研は、地方圏から首都圏への預金流出の主な経路として、相続人が首都圏に住んでいることによる資金移転、都銀・ネット系への預金シフト、地域金融機関のデジタル競争力の相対的な弱さなどを挙げています。つまり、今起きていることは、単に地方銀行の問題ではなく、人口移動・高齢化・金融行動の変化が重なった結果だと考えるほうが自然です。
また、日本総研は、地銀を取り巻く環境として、首都圏等への人口流出、首都圏等への預金(顧客)の流出、デジタル化による競争相手の多様化を挙げています。
つまり、相続で預金が動くというのは、一家庭の問題であると同時に、地域経済や地域金融にも影響する構造問題でもあります。
ただし、このニュースを受けて必要以上に不安になる必要もありません。
大事なのは、「首都圏に預金が集まっている」という現象そのものより、自分の家庭でも同じようなことが起こり得るのか、そしてそのときに何を準備しておくべきかを考えることです。
相続は、亡くなってから考えるテーマではありません。
多くの問題は、亡くなる前の準備不足から起こります。
口座がどこにあるか家族が知らない。
遺言がない。
不動産の名義や評価が整理されていない。
生前贈与の方針が曖昧。
こうしたことが重なると、相続人は手続きにも税金にも、かなり苦労しやすくなります。
国税庁の説明では、相続税がかかるかどうかは、正味の遺産額が基礎控除額を超えるかで決まります。基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
たとえば配偶者と子2人なら、基礎控除額は4,800万円です。
「うちはそんなに資産がないから関係ない」と思っている家庭でも、預金・不動産・有価証券・保険などを合算すると、想像より基礎控除に近いことは珍しくありません。
しかも、税金がかかるかどうか以前に、相続の実務負担は資産額に関係なく発生します。
この記事では、
なぜ地方から首都圏へ預金が流れるのか
この現象を家族の相続問題としてどう読むべきか
何を準備していないと相続で困るのか
生前に何を整理し、家族と何を話し合うべきか
相続税・贈与・口座・遺言・不動産まで含めて、今からできる現実的な対策は何か
を、かなり丁寧に整理していきます。
結論を先に言えば、今回のニュースが示しているのは、
相続は“家の中だけの出来事”ではなく、資金の移動を通じて地域や金融にも影響を与えるほど大きな現象である
ということです。
そして個人にとって本当に大切なのは、
相続税がかかるかどうかだけでなく、財産の見える化、家族間の共有、生前贈与の考え方、遺言、不動産整理まで含めて、亡くなる前に準備を始めること
です。
ここを順番に見ていきます。
第1章 なぜ銀行預金は首都圏に集まりやすいのかをわかりやすく解説
まず、今回の現象の構造を整理します。
時事通信の配信では、銀行預金の大都市圏集中、とくに首都圏への集中が5割を超えている背景として、相続で地方から資金が流出していることが指摘されています。
これは感覚的にもわかりやすい話です。
親世代は地方に住み、地元の銀行や信用金庫に預金を持っている。
一方で子世代は、進学や就職で首都圏に移り住み、そのまま生活基盤を東京圏に置いている。
親が亡くなると、その預金は相続人である子どもたちに移ります。
すると資金の管理先も、相続人が普段使っている首都圏の金融機関へ移りやすくなります。
これが、相続を通じた預金の都市部流入です。
大和総研は、この預金流出のメカニズムをもう少し具体的に説明しています。
まず、地方の高齢者が亡くなり、相続人が首都圏に住んでいると、相続した預金を首都圏のメガバンクや日常利用口座へ移すことが起こりやすい。
次に、ネット銀行や都市銀行の利便性・デジタル機能が強いほど、地方金融機関の口座をそのまま維持する動機は弱くなる。
さらに、コロナ禍以降に預金全体は増えても、その受け皿として都銀の存在感が相対的に高まったとしています。
つまり、「相続で移る」だけでなく、「移ったあとにどこへ置かれるか」でも都市部優位が起きているわけです。
日本総研も、地銀を取り巻く環境として、人口減少や首都圏等への人口流出に加え、デジタル化による競争相手の多様化を挙げています。
以前なら、親の取引銀行をそのまま使い続けることも多かったでしょう。
しかし今は、相続人がスマホで完結する金融サービスや、勤務先に近いメガバンク、証券口座連携がしやすいネット銀行などへ資金を移しやすい環境があります。
つまり預金の首都圏集中は、相続 × 人口移動 × 金融のデジタル化が重なった結果と見るべきです。
投資家目線で言えば、これは地方経済や地域金融にとっても重いテーマです。
預金は貸出原資であり、地域金融機関にとっては顧客接点でもあります。
相続を通じて預金と顧客接点が首都圏へ流れるなら、地方金融機関はますます地元経済への資金循環を作りにくくなります。
つまりこのニュースは、単なる「お金持ちが東京に多い」という話ではなく、日本の高齢化と人口移動が、相続を通じて資金の地理を変えている話だと理解したほうが正確です。
第2章 この現象を「相続問題」として見ると何がわかるのかをわかりやすく解説
ここで大事なのは、このニュースを地域金融のニュースとして読むだけで終わらせないことです。
むしろ、家庭ごとの相続問題として見ると、かなり多くのことが見えてきます。
まずわかるのは、相続では**「どこに財産があるか」より「誰が管理できるか」**が重要だということです。
親が地方で預金を持っていても、相続人がその存在を把握していなければ、手続きは非常に煩雑になります。
預金口座は、相続が発生すると原則として凍結・相続手続きが必要になります。
その際、どの金融機関にいくらあるのか、定期預金か普通預金か、貸金庫はあるのか、ネット口座はあるのか、家族が知らないと相当手間がかかります。
相続で起きる実務上の混乱のかなり多くは、ここから始まります。
次にわかるのは、相続は「税金の問題」より前に、情報共有の問題だということです。
国税庁の相続税の計算では、相続財産だけでなく、債務、葬式費用、一定期間内の贈与財産なども関係してきます。
そのため、家族が財産全体像を知らないと、税額計算以前に、そもそも「何を申告対象にするのか」を整理しにくいです。
特に、地方に不動産があり、預金が複数の金融機関にあり、さらに証券や保険もある家庭では、親が元気なうちに一覧化しておかないと、残された家族はかなり困りやすいです。
さらに、相続を通じて首都圏へ資金が移るという現象は、逆に言えば、相続人の多くが「地元に戻らない」ことを前提にしているとも言えます。
だからこそ、地方の実家・不動産・預金・墓・仏壇・親族関係などを、誰がどこまで引き継ぐのかが曖昧なままだと、相続後に揉めやすくなります。
預金の移動は一見シンプルですが、その背後には、
実家をどうするか
地方不動産を売るのか残すのか
親の介護費用と残余財産をどう考えるか
相続人間で公平感をどう作るか
といった問題が必ずあります。
つまり、今回のニュースの本質は、
相続が起きると、資金は自然に“生活拠点のある場所”へ動きやすい
ということです。
ならば、相続対策で本当に必要なのは、節税テクニックを知ることだけではなく、相続後の生活実態に合わせて、どう財産を渡すかを前もって設計することなのです。
第3章 相続税がかかるかどうかの基準を、まず正確に押さえる
相続対策というと、多くの人がまず「うちは相続税がかかるのか」と考えます。
これは当然です。
ただし、ここで大切なのは、税金がかかるかどうかと、準備が必要かどうかは別だということです。
国税庁の「相続税がかかる場合」によると、相続税は、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に課税対象になります。
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
たとえば、配偶者と子ども2人なら法定相続人は3人ですから、基礎控除額は4,800万円です。
正味の遺産額がこれを超えなければ、相続税は原則としてかかりません。
ここで注意したいのは、「正味の遺産額」が思っているより広いことです。
現預金だけでなく、土地・建物、有価証券、保険金の一部、相続時精算課税財産、加算対象となる贈与財産なども関係します。
国税庁は、相続税の計算にあたり、相続時精算課税適用財産や、加算対象となる一定期間内の暦年課税贈与財産も課税価格に算入すると説明しています。
つまり、「現金はそんなにないから大丈夫」と思っていても、実家不動産や保険、過去の贈与を含めると、基礎控除を超えることは十分あり得ます。
また、税額が出るかどうか以前に、申告が必要かどうかという論点もあります。
たとえば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを使えば、最終的な納税額がゼロになるケースでも、申告自体は必要になることがあります。
国税庁のチェックシートやパンフレットは、こうした誤りやすい点を事前に確認するよう促しています。
つまり、「納税ゼロ=何もしなくていい」ではないのです。
投資家や資産形成層にとって、この点は特に重要です。
資産が預金だけではなく、投資信託、株式、保険、不動産、非上場株、事業用資産などに分散しているほど、相続税と手続きの難易度は上がります。
だから、相続税がかかる家だけが準備するのではなく、“自分の家の財産はどう構成されているか”を把握すること自体が相続対策の第一歩になります。
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第4章 今から準備すべきことの第一歩は「財産の見える化」である
相続対策で最初にやるべきことは何か。
私は、節税策でも保険でもなく、財産の見える化だと思います。
なぜなら、財産の見える化ができていないと、どんな対策も打てないからです。
銀行口座がいくつあるのか。
どの銀行・信金・ネット銀行にあるのか。
証券口座はあるのか。
保険はどこに入っているのか。
不動産はどこにあるのか。
借入はあるのか。
この一覧がなければ、相続発生後に家族は「探すところ」から始めなければなりません。
国税庁の相続税申告チェックシートは、誤りやすい事項を事前に確認するよう求めていますが、その前提にあるのは、当然ながら財産の全体像が把握できていることです。
財産の種類がわからないままでは、申告も遺産分割も進みません。
とくに今は、通帳のない口座、ネット証券、ポイント資産、暗号資産など、家族が気づきにくい資産も増えています。
「通帳が見当たらないから存在しない」とは限らない時代です。
だから、最初の準備としては、
金融機関名
口座種別
おおよその残高
連絡先・支店情報
ログイン管理方法
保険証券の所在
不動産の所在地と名義
借入・保証の有無
などを一覧化しておくのが非常に有効です。
ここでポイントなのは、完璧な評価額表を作る必要はないということです。
まずは家族が「何があるか」を知ることが先です。
相続トラブルの多くは、相続財産の価値そのものより、「そんな口座があると聞いていない」「この土地の存在を知らなかった」といった情報ギャップから始まります。
見える化は、節税のためでもありますが、それ以上に家族の手続きを円滑にするための対策です。
第5章 相続で特に揉めやすいのは「預金より不動産」である
今回のニュースは預金流出の話ですが、実務上、相続で揉めやすいのはむしろ不動産です。
預金は金額が分かりやすく、基本的に分けやすい。
一方で不動産は、評価が難しく、分けにくく、地方にあるほど扱いに困りやすいです。
国税庁の相続税パンフレットでも、正味の遺産額を把握する際には不動産が重要な構成要素として扱われています。
しかも不動産は、税務評価と実勢価格が違うことも多いです。
地方の実家や遊休地は、相続税評価上は一定の価値があっても、売ろうとすると買い手がつきにくいことがあります。
つまり、税金の計算上は“資産”でも、生活実感としては“負担”になることがあり得ます。
特に、相続人が首都圏に住んでいる場合、地方不動産は管理の負担が大きいです。
誰も住まない。
固定資産税はかかる。
草刈りや管理が必要。
売却も簡単ではない。
このとき、「預金は首都圏へ動くが、不動産だけ地方に残る」という形になりやすい。
これが家族の不公平感や押し付け合いを生みやすいです。
だから今から準備すべきことには、不動産を持ち続けるのか、売るのか、誰が引き継ぐのかを考えることも含まれます。
実家に住む予定の相続人がいないなら、なおさらです。
預金の移動だけを見ていても、相続問題の本質はつかめません。
むしろ、預金は流動性があるからこそ動くのであって、動かしにくい不動産ほど、事前の整理が重要になります。
第6章 生前贈与は有効だが、制度を理解しないと逆効果になり得る
相続対策と聞くと、生前贈与を思い浮かべる人は多いです。
実際、生前贈与は有効な手段になり得ます。
ただし、制度を理解せずに始めると、期待した効果が出ないことがあります。
国税庁によると、相続税の計算では、一定期間内に被相続人から暦年課税で受けた贈与財産は、相続税の課税価格に加算されます。
また、相続時精算課税を使った財産も、相続税計算の際に持ち戻しの対象になります。
つまり、「贈与したからもう相続と無関係」というわけではありません。
特に最近の制度改正では、暦年贈与の持ち戻し期間が延びる方向もあり、昔より単純ではなくなっています。
一方で、相続時精算課税には新たに年間110万円の基礎控除が設けられています。
国税庁は、相続時精算課税適用財産について、贈与を受けた年ごとに110万円の基礎控除を超える部分を相続税課税価格へ算入すると説明しています。
つまり、暦年課税と相続時精算課税は、どちらが得かを一律には言えません。
家族構成、資産額、誰に何を渡したいか、将来売却する予定があるかで最適解は変わります。
ここで大事なのは、生前贈与の目的を明確にすることです。
節税なのか。
相続人の生活支援なのか。
教育資金や住宅資金の援助なのか。
相続時の分割をしやすくするためなのか。
目的によって、使う制度も、渡す金額も、タイミングも変わります。
投資家や資産家ほど、生前贈与を「税率のテクニック」で考えがちです。
しかし実務では、誰に、何を、いつ、どうやって渡すかのほうが重要です。
現預金は贈与しやすい。
一方で不動産や非上場株は扱いが難しい。
だからこそ、元気なうちに家族と方向性を共有し、税理士や司法書士を含めて整理していくことが重要になります。
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第7章 遺言は“資産家だけのもの”ではない
相続対策というと、遺言はハードルが高いと感じる人が多いです。
しかし、実際には、遺言は富裕層だけのものではありません。
むしろ、家族が複数いて、分け方に迷う要素があるなら、早めに考えたほうがよいものです。
たとえば、
長男が地方の実家近くに住んでいる。
長女は東京にいる。
預金は多くないが、実家不動産がある。
こうしたケースでは、「法定相続分どおりで自然におさまる」とは限りません。
誰が実家を引き継ぐのか。
その代わり預金をどう調整するのか。
介護負担をどう考えるのか。
こうした点を、生前に方針化しておかないと、残された家族は感情も含めてかなり判断に困ります。
国税庁のパンフレットでも、相続税の計算は法定相続分を前提にしたあと、実際の取得割合に応じて配分する仕組みです。
つまり、法律上の標準形はありますが、最終的には遺産分割や遺言の内容が非常に大きい。
だから遺言は、「大金持ちが税金を減らすための道具」ではなく、家族の判断負担を減らすための設計図として理解したほうがよいです。
とくに今回のニュースのように、相続人が地方に住んでいない場合、遺言の価値は高まります。
なぜなら、日常的に現地を知らない相続人同士では、不動産や口座の扱いを話し合うハードルが高いからです。
だからこそ、今からできる準備として、
遺言を作るかどうかを検討する
最低限、財産の分け方の意向を家族へ言葉で共有する
この二つだけでも、相続後の混乱はかなり減ります。
第8章 今から家族で話しておくべきことは何かをわかりやすく解説
相続対策で本当に難しいのは、制度そのものより、家族で話し合うことです。
しかし、ここを避けると、結局あとで負担が大きくなります。
今から家族で話しておくべきことは、大きく5つあります。
一つ目は、財産の所在です。
預金口座、証券口座、保険、不動産、借入。
何がどこにあるかを共有しておく。
金額を細かく言いたくなければ、おおよその構成だけでもよいです。
二つ目は、実家や地方不動産をどうするかです。
残すのか。
売るのか。
誰が管理するのか。
これが曖昧だと、相続後にかなり揉めやすいです。
三つ目は、介護費用と生活費をどう考えるかです。
親が元気なうちの相続対策は、介護や医療の現実と切り離せません。
生前贈与をしすぎて、親の手元資金が足りなくなれば本末転倒です。
四つ目は、誰に何を多めに渡したいのかです。
介護負担が大きい人がいるのか。
家業や不動産を引き継ぐ人がいるのか。
そうした事情があるなら、早めに言葉にしておいたほうがよいです。
五つ目は、専門家にいつ相談するかです。
相続税がかかる可能性がある。
不動産が多い。
非上場株がある。
家族構成が複雑。
こうした場合は、早めに税理士や司法書士へ相談したほうがよいです。
投資家や資産形成層ほど、数字や制度には関心を持ちやすいですが、実際の相続では家族の納得感が非常に重要です。
「節税できたが揉めた」では意味がありません。
だから、今からできる最も大きな対策は、財産を隠したままにしないこと、そして家族が最低限の前提を共有しておくことです。
第9章 包括的に見ると、相続対策は“節税”より“設計”である
ここまでの話をまとめると、相続対策は節税テクニックよりも、家族と財産の設計に近いものだとわかります。
もちろん税金は重要です。
基礎控除を超えるなら、税率も含めて考えなければいけません。
国税庁の速算表では、法定相続分に応ずる取得金額に応じて税率は10%から55%まで段階的に上がります。
資産額が大きい家では、税金のインパクトは無視できません。
しかし、ほとんどの家庭にとって、相続対策の中心はそれだけではありません。
むしろ、
預金がどこにあるか
不動産をどうするか
家族の生活拠点がどこか
誰が何を引き継ぐのか
を整理することのほうが、実務的には重要です。
今回の「首都圏に預金が5割超集中」というニュースは、そのことを逆から教えてくれています。
つまり、何も準備しなければ、相続後の資金は自然に“相続人のいる場所”へ動きます。
そしてその移動は、地方の家、地方の銀行、地方の人間関係とは必ずしも整合しません。
だからこそ、相続対策とは、単に税額を減らすことではなく、相続後にどんな生活・管理・関係が残るかまで考えておくことなのです。
おわりに
「銀行預金、首都圏に5割超集中 相続で地方から流出 日銀統計」というニュースは、表面上は金融統計の話です。
しかし、本質はもっと身近です。
それは、親世代の財産が、相続を通じて、子世代の生活拠点へ動く時代になっているということです。
そしてその背景には、人口移動、高齢化、金融のデジタル化、地域間格差が重なっています。
だから、相続対策を考えるときも、単に「税金がかかるかどうか」だけで終わらせるべきではありません。
本当に大切なのは、
財産を見える化すること
家族と共有すること
不動産や預金の扱いを考えること
生前贈与や遺言を必要に応じて使うこと
です。
特に、相続人が地元に住んでいない家庭では、相続後の資金移動と不動産管理のギャップが大きくなりやすいので、早めの準備が重要です。
今回の結論を一言でまとめると、
首都圏への預金集中というニュースは、相続が“起きた後の現象”を示しているにすぎず、本当に大切なのは、相続が起きる前に、家族と財産の流れを設計しておくこと
です。
そして、その準備は、資産家だけでなく、地方に親がいて、首都圏に子どもが住む多くの家庭にとって、すでに現実的な課題になっています。
【重要】免責事項
投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。
情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。
損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長




