新時代の覇権はどこが取るか?2026年現時点のGAFAMを徹底解説③〜Amazon編〜

ECの王者、AWSの稼ぎ頭、広告の成長企業、そしてAIインフラの巨大投資家――Amazonを投資家目線で徹底解説する

前回のGoogle編に続いて、今回はAmazonに絞って徹底的に見ていきます。
GAFAMの中でAmazonは、見方を間違えると非常に評価しづらい企業です。
なぜなら、Amazonは一言で言えば「何の会社か」が一番複雑だからです。

多くの人にとってAmazonは通販会社です。
一方で投資家にとってのAmazonは、通販会社であると同時に、AWSという世界最大級のクラウド企業であり、巨大な広告企業であり、物流ネットワーク企業であり、AIインフラへの超大型投資企業でもあります。
しかも、これらがバラバラに存在しているのではなく、相互に利益を支え合っています。
そのためAmazon株は、単純に「ネット通販は強いのか」「AWSは伸びるのか」だけでは評価できません。
むしろ、
EC、クラウド、広告、物流、AI投資、規制リスクがどのように組み合わさっているか
を見ないと、本当の姿が見えません。

足元の数字を見ると、Amazonは依然として非常に強いです。
Amazonの2026年1Q決算によると、売上高は1,555億ドルから1,815億ドルへ増加し、営業利益は184億ドルから239億ドルへ増加しました。
セグメント別では、北米の営業利益が58億ドルから83億ドル、国際部門が9億ドルから17億ドル、AWSが94億ドルから139億ドルへ伸びています。
特にAWS売上は376億ドルで前年比17%増でした。 

つまり、Amazonは単なる「売上は大きいが利益が薄い小売会社」ではもうありません。
今のAmazonは、EC本体の収益性も改善しつつあり、そのうえでAWSが巨大な利益を生み、広告や物流開放が追加の成長余地になっている企業です。
その一方で、AI投資額は非常に大きく、Reutersは2026年2月、Amazonが2026年の設備投資を2000億ドルへ引き上げる見通しだと報じました。
これは前年から約50%増の水準で、株式市場では「将来成長への投資」と「自由キャッシュフローの圧迫」の両面で見られています。 

結論を先に言うと、現時点のAmazonは、GAFAMの中でもかなり魅力的です。
ただしその魅力は、「AWSが強いから買い」といった単純なものではありません。
本質は、
利益を生むAWS・広告と、成長を生むEC・物流・AI投資が一つの企業の中で循環していること
にあります。
同時に、
巨額CapEx、AI投資の回収不確実性、FTC訴訟を含む規制リスク
という重い論点も抱えています。
つまりAmazon株は、かなり強いが、相応に深く理解しないと危ない銘柄です。

この記事では、
Amazonの現在地、
EC事業の本当の強さ、
AWSの意味、
広告事業の価値、
AI投資とAnthropic提携の重要性、
Alexaの位置づけ、
物流ネットワーク開放の意味、
そして規制リスクまで、投資家向けにかなり細かく整理します。


第1章 いまのAmazonを一言で表すなら何か

「EC企業」ではなく、利益源泉が複層化した総合AI・インフラ企業である

Amazonを昔ながらの感覚で見ると、「世界最大のネット通販会社」です。
もちろん、それは今でも正しいです。
しかし投資家が2026年のAmazonを評価するなら、その理解はかなり足りません。
今のAmazonは、EC企業というより、消費者接点、物流、クラウド、広告、AIインフラを一体で持つ巨大複合企業です。

2026年1QのAmazon決算を見ると、この多層構造がはっきり出ています。
北米売上は927億ドル、国際売上は340億ドル、AWS売上は376億ドルでした。
売上規模だけを見ると北米ECが最大ですが、利益構造はまったく違います。
AWS営業利益は139億ドルで、北米の83億ドル、国際の17億ドルを大きく上回ります。
つまりAmazon全体の稼ぎ頭は依然としてAWSです。
しかも1Q全体営業利益239億ドルに対し、AWSが139億ドルということは、全社利益の大半をAWSが支えているという構図が続いています。 

この数字が意味するのは、Amazon株を「通販株」とだけ見るのが危険だということです。
もしECだけの会社なら、低マージン・物流負担・競争激化の会社として評価されやすい。
しかし実際のAmazonは、AWSが利益を生み、その利益を物流やAIや新サービスへ再投資できる会社です。
さらに、そのECの巨大流通基盤の上で広告事業が伸びる。
つまりAmazonは、

  • ECがトラフィックを生む
  • そのトラフィックが広告を育てる
  • AWSが利益を稼ぐ
  • その利益がAIと物流に再投資される
    という循環構造を持っています。

投資家として重要なのは、Amazonをセグメントごとに切って見るだけでは不十分なことです。
本当に価値があるのは、この相互補完です。
たとえば、AWSだけ強くても消費者接点がなければ広告は育ちにくい。
ECだけ強くてもAWSがなければAI投資の原資が細る。
物流だけあっても外販できなければ資産効率は悪い。
Amazonの本当の強さは、これらが一つの企業体の中でつながっていることにあります。

だから、今のAmazonを一言で言うなら、
「ECを入り口に、クラウドと広告で利益を取り、物流とAIで次の成長を作る会社」
です。
これが一番実態に近いです。


第2章 EC事業は本当に成熟しているのか

実は“低成長の通販事業”ではなく、利益改善余地をまだ持っている

Amazonを評価する時、投資家がしばしば誤るのは、EC事業を「もう成熟した、利益の薄い土台」と決めつけることです。
確かにECはAWSほど高収益ではありません。
しかし、Amazonの北米・国際セグメントの利益改善を見ると、ECはまだ十分に評価余地があります。

2026年1Q決算では、北米セグメントの営業利益は58億ドルから83億ドルへ増加しました。
国際セグメントも9億ドルから17億ドルへ伸びています。
売上増だけでなく、利益の伸びがかなり大きい。
これはAmazonのEC本体が、単なる売上至上主義から、収益性重視の運営へかなり進んでいることを示しています。 

この背景にはいくつかの要素があります。
一つは、配送効率の改善です。
Reutersは以前から、Amazonの同日配送・翌日配送の強化が、顧客維持だけでなくマージン改善にも効くと報じてきました。
速い配送はコストが高そうに見えますが、配送拠点や在庫配置の最適化が進めば、顧客満足と回転率の改善が同時に起こりやすい。
つまり速い配送は、単なるサービス競争ではなく、売上維持と利益改善の両方に効く戦略になっています。 

もう一つは、広告収入の存在です。
AmazonのECは単に商品を売るだけでなく、プラットフォーム上の検索結果や商品ページに広告を載せることで収益性を高めています。
ReutersのFTC関連報道では、Amazonの広告戦略が、出品者にとって「必要経費」に近いほど重要になっていると指摘されていました。
これは規制面では論点になりますが、収益面ではAmazonのECをただの小売ではなく、広告付き高収益プラットフォームへ変えている要素です。 

さらに、Amazonは物流網そのものを新たな収益源へ変え始めています。
Reutersは2026年5月、Amazonが自社物流ネットワークを外部企業に開放すると報じました。
これは、これまで自社ECのために整備してきた配送・在庫・予測システムを、他社にもサービスとして売る動きです。
もしこれが広がれば、Amazonの物流網はコストセンターではなく、外販可能なインフラ事業として評価されやすくなります。 

つまり、AmazonのECは「成熟して終わった事業」ではありません。
むしろ、

  • 配送効率
  • 広告単価
  • 外部物流売上
  • Prime会員基盤
    を通じて、まだ利益改善の余地を持っています。
    投資家にとって重要なのは、AmazonのECを「低マージン小売」と雑に見るのではなく、プラットフォーム化と物流収益化が進む複合事業として見ることです。

第3章 AWSは依然としてAmazonの心臓部

売上成長以上に重要なのは、圧倒的な利益貢献である

Amazon株を語るうえで、AWSを避けることはできません。
AWSは今もAmazonの利益の中心であり、株価評価の土台です。

Amazonの2026年1Q決算では、AWS売上は376億ドルで前年比17%増でした。
一見すると、以前の超高成長期に比べれば地味に見えるかもしれません。
しかし本当に重要なのは利益です。
AWS営業利益は94億ドルから139億ドルへ増えました。
この増益幅は非常に大きく、全社利益の大半をAWSが支えている構図がさらに明確になっています。 

AWSの意味を投資家が理解するには、二つの視点が必要です。
一つは、AWSがAmazon全体のキャッシュエンジンであること。
もう一つは、AWSがAI競争の主戦場そのものでもあることです。

まず前者。
ECや物流やAlexaや新サービスは、Amazonにとって重要ですが、利益率はAWSほど高くありません。
だからAWSが強い限り、Amazonは巨額投資を続けやすい。
これはGoogleにとっての検索広告、MicrosoftにとってのOffice/Cloudに近い役割です。

次に後者。
今のAWSは、単なるクラウド事業ではなく、AI基盤の勝負をしています。
モデル開発、Bedrock、カスタム半導体、推論コスト最適化、企業向けAI環境。
これらが全部AWSに乗ってきます。
つまりAWSは、過去のような「サーバーを貸すクラウド」ではなく、AI時代の企業向け基盤になりつつあります。

ここで重要なのがAnthropicとの関係です。
AnthropicはAmazonの重要パートナーであり、Reutersは2023年にAmazonがAnthropicへ最大40億ドルを投資したと報じていました。
その後2026年4月、Anthropic公式はAmazonとの提携をさらに深め、Claudeの学習と推論に向けて最大5GWの計算能力を確保する新契約を発表しました。
そこではTrainium2とTrainium3の利用拡大も示されています。
これはAWSにとって、単なる出資リターンではなく、自社クラウド・自社チップの利用拡大そのものです。 

つまりAWSは、今でもAmazonの利益の心臓部であるだけでなく、AI競争においてもAmazonが前へ出るための武器です。
投資家としては、Amazonを見る時にECニュースにばかり目が行きがちですが、実際にはAWSの利益率と成長が崩れない限り、Amazonの投資ストーリーはかなり強いです。

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第4章 AmazonのAI戦略は何が特徴なのか

OpenAIを持たない代わりに、Anthropicと自社チップで“基盤側”を握ろうとしている

AmazonのAI戦略は、GoogleやMicrosoft、Metaと少し違います。
GoogleはGeminiを自社サービス全体へ埋め込み、MicrosoftはOpenAIと深く結び、MetaはLlamaを軸にオープン戦略を取っています。
ではAmazonは何をしているのか。
一言で言えば、
“勝つモデルを一社で独占する”より、“AIの土台を握る”戦略
です。

その中心にあるのがAnthropicとの提携です。
AmazonはAnthropicへ大きく出資しつつ、ClaudeをAWS上で提供し、AnthropicにはAmazonのTrainium/Inferentia系チップを使わせています。
これは非常にAmazonらしいです。
なぜなら、AmazonはAIそのものより、AIが動くクラウド・チップ・運用基盤で取り分を持つ方が得意だからです。 

Reutersは2026年2月、Amazonが2026年の設備投資を2000億ドルへ引き上げると報じました。
記事では、Andy Jassy CEOがその背景としてAI需要の拡大を説明し、市場はその巨額投資にやや慎重な反応を示したとされています。
つまりAmazonは、AI競争で大きく勝つために、まず設備とインフラへ大金を入れる戦略を取っているわけです。 

この戦略の利点は、特定のモデルが勝つか負けるかに依存しすぎないことです。
もしOpenAIが強くても、Anthropicが伸びても、企業が独自モデルを作っても、基盤をAWSが握ればAmazonは収益機会を得られます。
つまりAmazonのAI戦略は、
モデル競争の勝者になるより、モデル競争で必要なインフラの勝者を目指す戦略
と理解した方が正しいです。

ただし弱点もあります。
モデルそのもののブランドで消費者に強く訴求しにくいことです。
OpenAIやGoogleのように「このAIを使いたい」と直接言われる構図とは少し違う。
だからAmazonのAI戦略は、消費者向け話題性では地味に見えやすい。
しかし投資家目線では、地味な方がむしろ本質的なことがあります。
AIは最終的に、巨大な計算資源と企業導入を必要とするからです。
Amazonはまさにそこを取りにいっています。


第5章 AlexaはAmazonのAI戦略の弱点なのか、それとも再評価余地なのか

消費者向けAIでは出遅れ感があるが、成功すればAmazonエコシステムの接点になる

AmazonのAIを語る時、Alexaは外せません。
ただしAlexaは、AWSやAnthropicほどわかりやすい成功物語ではありません。
むしろ長い間、Amazonの弱点として見られてきました。

Reutersは2025年5月、生成AI対応の**Alexa+**がリリースされた後も、実際にどれだけ使われているのか不透明だと報じました。
記事では、Alexaは長年収益化に苦しみ、音声ショッピングの理想も実現していないと説明されています。
つまりAmazonにとってAlexaは、長く巨額投資の割に成果が見えにくい領域でした。 

ただ、2026年に入ってAlexaまわりの動きは少し変わっています。
AmazonはAlexa Plusで生成AI機能を強化し、最近ではAI生成ポッドキャスト機能まで追加しました。
また、消費者向けには「Alexa for Shopping」のように、価格比較、過去購入履歴の活用、価格下落追跡、自動購入設定など、AmazonのECと密接に連動したAIアシスタント機能を強めています。 

投資家にとってここが面白いのは、Alexaが単独で儲かる必要は必ずしもないことです。
もしAlexaが

  • EC購入頻度を上げる
  • 広告・販促を強化する
  • Prime会員の維持率を高める
  • Echoデバイスを入り口にAmazon接点を増やす
    なら、それで十分に意味があります。

つまりAlexaの評価は、OpenAIのChatGPTと同じ基準では測りにくいです。
AmazonにとってのAlexaは、単独アプリの勝負というより、Amazon経済圏への入り口をAI化する装置だからです。
まだ成功したとは言えない。
しかしもしここが立ち上がれば、AmazonのEC・広告・会員価値を一段高める可能性があります。
その意味で、Alexaは弱点であると同時に、まだオプション価値が残っている領域です。


第6章 広告事業はAmazonの“第3の柱”になりうるのか

ECトラフィックを直接マネタイズできる点で、かなり強い

Amazonを分析する時に、意外と軽視されやすいのが広告です。
しかし投資家目線では、Amazon広告は非常に重要です。
なぜなら、広告はECやAWSに比べて資本効率が高く、利益率も高くなりやすいからです。

Amazon広告の特徴は、検索広告やディスプレイ広告でありながら、購買行動に極めて近い場所にあることです。
Google検索広告は「情報探索」、Meta広告は「興味喚起」ですが、Amazon広告は「買う直前の比較」の場に出ます。
この違いは大きいです。
出品者にとっては、Amazon内広告は単なる認知ではなく、販売そのものに近い。
だから費用対効果が可視化しやすく、広告支出が固定化しやすい。

ReutersのFTC訴訟関連では、出品者がAmazonの高い手数料や広告依存を不満に思いながらも、Amazon上で売るには広告がほぼ必須になっている構図が描かれていました。
これは規制面ではリスクですが、収益面では非常に強いです。
つまりAmazon広告は、ECの上に乗る追加収益ではなく、ECの競争構造そのものに組み込まれた収益源になっています。 

投資家にとってこの広告事業が重要なのは、AWSほど景気変動に左右されず、ECの利益率を底上げするからです。
Amazon株を長期で見るなら、

  • AWSが利益の主砲
  • ECが売上の土台
  • 広告が高マージンの追加エンジン
    という三層構造で理解した方が良いです。

もし今後Amazonの広告がさらに伸びれば、EC本体の利益率に対する市場の見方も変わります。
単なる小売ではなく、小売+広告プラットフォームとしての倍率がつきやすくなるからです。
この点で、Amazon広告はまだ十分に面白いテーマです。

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第7章 物流ネットワーク開放は何がすごいのか

物流を“コスト”から“売れる商品”へ変える可能性がある

Amazonの物流は長い間、市場から重い固定費として見られてきました。
広大な倉庫網、配送拠点、ラストワンマイル、人件費。
これらはAmazonの強みであると同時に、大きな負担でもあります。

しかしReutersは2026年5月、Amazonがこの物流ネットワークを外部企業へ開放すると報じました。
これにより、Amazon外の企業も、2〜5日配送や在庫予測などを含むAmazon物流を利用できるようになります。
これは極めて重要です。
なぜなら、これまで自社販売のために抱えていた巨大物流資産が、外販できるサービスへ変わるからです。 

この動きの意味は三つあります。
第一に、物流網の稼働率を上げられること。
第二に、配送コストの一部を外部売上で吸収できること。
第三に、FedExやUPSのような配送会社の領域に踏み込めることです。
Reutersでも、Evercore ISIのアナリストがこの動きを「UPSやFedExに対する直接的な競争」と表現していました。 

投資家としては、この物流開放をかなり前向きに見てよいと思います。
なぜなら、Amazonの最大の“重さ”であった物流固定費が、徐々に外販可能なインフラ資産へ転換されるからです。
もしこれが軌道に乗れば、Amazonの評価はさらに複雑で面白くなります。
EC会社ではなく、
EC、広告、クラウドに加えて、物流インフラも売る会社
として見られるようになるからです。

もちろん、すぐに利益貢献が大きくなるとは限りません。
しかし、投資家がAmazonを長期で見るなら、この物流外販はかなり重要な布石です。
重い資産を持つ企業が、その重さを逆に参入障壁へ変えていく典型例だからです。


第8章 最大の懸念点は何か

AI投資の巨額さと、FTC訴訟を中心とする規制リスクである

ここまでAmazonの強みを見てきましたが、もちろん懸念も大きいです。
一番重いのは、AI投資の規模があまりにも大きいことです。

Reutersは2026年2月、Amazonの2026年設備投資が2000億ドルに達する見通しだと報じました。
市場はこの数字にかなり驚き、株価は一時的に弱含みました。
理由は単純です。AI投資が必要なのはわかるが、その回収がどこまで確実かはまだ見えにくいからです。
AmazonはAWS、Trainium、Anthropic提携、物流、Alexaなど複数のAI関連テーマを抱えており、どれも資金を食います。
もし成長が想定より鈍れば、このCapExは重荷になります。 

もう一つの大きな懸念が規制です。
Amazonに対するFTCの反トラスト訴訟は、2026年10月に裁判開始予定です。
Reutersは2024年2月にその日程を報じ、2024年10月には訴訟の主要部分が前進することも伝えました。
FTCは、Amazonが出品者に対して価格や広告面で過度な影響力を持ち、競争を阻害していると主張しています。 

この訴訟の怖さは、今すぐAmazonが分割されるかどうかではありません。
本質は、Amazonの

  • 出品者手数料
  • 広告の優遇表示
  • Buy Boxの仕組み
  • 物流優遇
    といった、ECの強みそのものが問題視されていることです。
    つまり、Amazonの利益率改善に効いてきた施策が、規制上の論点になる可能性がある。

投資家としては、AI投資の巨額さと規制リスクの両方を見る必要があります。
Amazonは強い。
しかし、その強さを維持するための再投資負担も、規制上の摩擦もかなり大きい。
これがAmazon株を単純な「成長株」と言い切れない理由です。


第9章 では、投資家はAmazon株をどう考えるべきか

「AWS株」でも「通販株」でもなく、複合エンジン株として見るのが正しい

ここまで整理すると、Amazon株の見方はかなりはっきりしてきます。
私はAmazon株を、
AWS株でも、通販株でもなく、“複数の利益エンジンが連動する巨大複合エンジン株”
として見るのが一番正しいと思います。

まず、AWSが利益の核です。
これは間違いありません。
AWSが崩れれば、Amazonの投資ストーリーはかなり弱くなります。
一方で、ECは売上基盤と接点を提供し、広告が利益率を押し上げ、物流外販が将来のオプションになり、AI投資が次の成長の芽を作る。
この多層性があるから、Amazonは単一事業の会社より強いです。

ただし、この強さは非常に資本集約的です。
Googleのように広告が太い企業とも違い、Amazonは物流もデータセンターも抱えます。
つまり、勝つために必要な投資額が大きい。
この点では、AmazonはGAFAMの中でもかなり“重い”会社です。

そのため、Amazon株を高成長株としてだけ見るのは少し危険です。
むしろ、
利益源泉が分散し、長期では非常に強いが、短中期ではCapExと規制で評価が揺れやすい株
として見る方が自然です。

投資家としての実務的な整理はこうです。

  • AWSの成長と利益率が維持できるか
  • 広告とECの利益改善が続くか
  • 物流外販が新しい収益源になるか
  • AI投資が過剰にならず回収へ向かうか
  • FTC訴訟がどこまでビジネスモデルへ影響するか

この5点を追うなら、Amazon株はかなり面白いです。
逆に「AWSが強いから買い」「AIをやっているから買い」とだけ考えると浅くなります。


まとめ

Amazonは、GAFAMの中でも最も“複数の勝ち筋”を持つが、同時に最も“重い投資判断”を要する企業の一つである

いま改めてAmazonをどう見るべきか。
結論はかなり明確です。

Amazonは、もはや単なる通販会社ではありません。
1Q決算が示す通り、AWSは巨額の利益を生み、EC本体も利益改善し、広告と物流外販が次の収益源になりつつあり、AI投資ではAnthropicと自社チップを軸に基盤側を押さえようとしています。
この複層構造は、GAFAMの中でもかなり強いです。 

一方で、AI投資の規模は極めて大きく、2026年CapEx見通しは2000億ドル。
FTC訴訟も2026年10月に控えています。
つまりAmazonは、
勝ち筋が多いが、必要な投資も大きく、規制でも狙われやすい
企業です。 

投資家としての最終的な見方を一言で言えば、こうなります。

Amazonは、AWS・EC・広告・物流・AIの複数エンジンを持つ非常に強い企業であり、長期では依然有望である。ただし、その魅力は単純な高成長ではなく、巨額投資と規制リスクを飲み込みながら前進できるかどうかにかかっている。

だからAmazon株は魅力的です。
しかし、その魅力は“簡単な魅力”ではありません。
理解が深い投資家ほど、長く持ちやすい株だと思います。

【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

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  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

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