「働くストレスから解放された自由な生活が送りたい」
「早期リタイアできる資金を作ることは自分にもできるの?」
「お金の不安のない将来を迎えたい」
“早期リタイア”(アーリーリタイヤ)は憧れる過ごし方ではありますが、具体的にいくらの資金で実現できるのかは気になるところですよね。
必要な資金はリタイア後の過ごし方やタイミング、世帯人数など個々のライフスタイルで異なりますが、総務省統計局のデータなどによって算出された一般家庭の水準を加味すると、目安は以下のとおりになります。
早期リタイアに必要な資金 | |
---|---|
単身世帯の場合 | 2人以上世帯の場合 |
35歳で早期リタイアする場合は約1億1,364万円 45歳で早期リタイアする場合は約8,134万円 55歳で早期リタイアする場合は約5,129万円 | 35歳で早期リタイアする場合は約1億4,364万円 45歳で早期リタイアする場合は約1億253万円 55歳で早期リタイアする場合は約6,366万円 |
早期リタイアを実現するには今後仕事をしなくても生活ができる資金を作ることが必要不可欠なため、年齢が若いほど多くの資金準備が必要です。
しかし、上記のように用意するべき資金額が大きいと、どのように資金づくりをしていけばいいかイメージがわきませんよね。
そこで、本記事では早期リタイアを目指す人に知ってほしいポイントをまとめました。
この記事を読んで分かること |
|
早期リタイアに必要な資金額が分かると共に、資金を作る方法についても解説しています。
また、早期リタイアの失敗や後悔する要因についてもまとめたので、押さえるべき注意点についても分かるはずです。
早期リタイアを検討している人は最後まで本記事を読み、早期リタイアが実現可能か判断材料の参考にしてください。
監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
目次
1.【30代・40代・50代】早期リタイアに必要な資金は約1億円
早期リタイアに必要な資金は、一般的な生活水準を参考にしてシミュレーションをすると、以下のとおりと算出できます。
早期リタイアに必要な資金 | |
---|---|
単身世帯の場合 | 2人以上世帯の場合 |
35歳で早期リタイアする場合は約1億1,364万円 45歳で早期リタイアする場合は約8,134万円 55歳で早期リタイアする場合は約5,129万円 | 35歳で早期リタイアする場合は約1億4,364万円 45歳で早期リタイアする場合は約1億253万円 55歳で早期リタイアする場合は約6,366万円 |
ここでは本記事で算出した金額の具体的な説明と、年代別で変わる資金について紹介します。
1-1.早期リタイアに必要な資金の目安指標
早期リタイアに必要な資金は趣味や住む場所、世帯人数など個々で異なるライフスタイルによって変わりますが、本記事では一般的な家計の支出や収入で算出し、目安として提示しています。
まずは本記事で紹介している資金の算出条件について解説します。
1-1-1.リタイア後の支出
リタイア後の支出は総務省統計局「家計調査報告(2022年1~3月期)」を参考にして算出しています。
- 単身世帯の支出平均:210,829円
- 2人以上世帯の支出平均:284,316円
家計調査は、一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約9千世帯の方々を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査したものです。
1-1-2.算出は90歳まで
シミュレーションでは90歳まで生きると仮定し、算出しました。
参考にした資料は厚生労働省が発表した「簡易生命表」です。
2022年度の平均寿命
男性:79.64歳
女性:86.39歳
1-1-3.年金収入額は「公的年金シミュレーター」で算出
年金収入額は“厚生年金に加入している会社員”と想定し、厚生労働省の公的年金シミュレーターを活用して算出しました。
- 35歳 年間の年金収入102万円
- 45歳 年間の年金収入130万円
- 55歳 年間の年金収入149万円
- 扶養配偶者 年間の年金収入74万円
1-2.早期リタイアの資金を年代別で紹介
リタイア後に必要な資金は、リタイアする年齢によって異なります。
上記の目安指標を基にリタイアする年齢別で資金額を紹介します。
1-2-1.35歳で早期リタイア!いくらあればできる?
35歳で早期リタイアをするのであれば、単身世帯の場合は1億1,364万、2人以上世帯の場合は1億4,364万円の資金額を用意する必要があります。
それぞれのシミュレーション内容は以下のとおりです。
35歳で早期リタイアする場合に必要な資金 | |
---|---|
単身世帯の場合 | 2人以上世帯の場合 |
65歳までの生活費 月210,829円×30年=7,589万8,440円 65歳以降の生活費 (必要生活費252万9,948円 ‐ 年金収入102万円)×25年=3,774万8,700円 | 65歳までの生活費 月284,316円×30年=1億235万3,760円 65歳以降の生活費 (必要生活費341万1,792円 ‐ 年金収入176万円)×25年=4,129万4,800円 |
1億1,364万7,140円 | 1億4,364万8,560円 |
35歳で早期リタイアするとなると、35歳以降に必要になる生活資金を35歳までに用意しなければならないということになります。
会社員の給与収入の貯蓄だけでここまでの資金を作ることは非現実的ですが、株や不動産投資などの資産形成、もしくは事業で大きな収益を上げるなど、大きく資産を増やすことができれば可能です。
ただし、これまでの大きな額を短期間で準備することは誰にでもできるようなことではありません。
35歳までにどのように資金を作っていくかを若いうちから計画し、投資などの資産形成も採用しながら資産づくりに積極的に着手する必要があるでしょう。
1-2-2.45歳で早期リタイア!いくらあればできる?
45歳で早期リタイアを目指す場合、単身世帯は約8,134万円、2人以上世帯は約1億253万円の資金が必要になります。
それぞれのシミュレーションは以下のとおりです。
45歳で早期リタイアする場合に必要な資金 | |
---|---|
単身世帯の場合 | 2人以上世帯の場合 |
65歳までの生活費 月210,829円×20年=5,059万8,960円 65歳以降の生活費 (必要生活費252万9,948円 ‐ 年金収入130万円)×25年=3,074万8,700円 | 65歳までの生活費 月284,316円×20年=6,823万5,840円 65歳以降の生活費 (必要生活費341万1,792円 ‐ 年金収入204万円)×25年=3,429万4,800円 |
8,134万7,660円 | 1億253万640円 |
35歳でリタイアする場合と比べると必要な資金は少なくなりますが、会社員の給与収入だけでの貯蓄では難しい資金額です。
早期リタイアを目指して収入の多くを貯蓄に回していたり、20代から高い利回りで資産づくりをしていくなどの方法で現実的になる資金額です。
給与収入の貯蓄だけでなく、投資などの方法で資産づくりをすることが早期リタイアの条件であると言えます。
30代、40代で早期リタイアを考えている方は、「貯金1億円は普通の会社員でも実現できる?年代別達成シミュレーション」の記事で1億円の資金を貯めるためのノウハウを詳しく解説していますので参考にしてみましょう。
1-2-3.55歳で早期リタイア!いくらあればできる?
55歳でリタイアするのであれば以下のような資金が必要になります。
55歳で早期リタイアする場合に必要な資金 | |
---|---|
単身世帯の場合 | 2人以上世帯の場合 |
65歳までの生活費 月210,829円×10年=2,529万9,480円 65歳以降の生活費 (必要生活費252万9,948円 ‐ 年金収入149万円)×25年=2,599万8,700円 | 65歳までの生活費 月284,316円×10年=3,411万7,920円 65歳以降の生活費 (必要生活費341万1,792円 ‐ 年金収入223万円)×25年=2,954万4,800円 |
5,129万8,180円 | 6,366万2,720円 |
55歳で単身世帯でリタイアする場合は23歳から月11万8,000円ほど貯蓄ができていれば到達できる金額です。
また、早いうちから積み立て投資や不動産投資などで資産づくりをしていれば、22歳から貯蓄をしていなくても達成できるかもしれません。
50代の早期リタイアでも投資などの方法を取り入れることが必須ですが、あらゆる年齢の中でも特に早期リタイアを現実的に考えられる年代と言えます。
2.自分の早期リタイアに必要な金額の計算手順
1章では一般的な生活水準を参考にして目安としての資金額を算出しましたが、自分が早期リタイアするなら実際いくらの資金が必要なのか気になりますよね。
自身の必要な資金を知りたい場合は以下のステップで算出してみてください。
早期リタイアに必要な資金の計算手順 |
---|
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早期リタイアに必要な資金額の出し方について解説します。
2-1.STEP1.必要な生活費をリストアップして年額の支出を出す
自身の理想としているリタイア後の過ごし方をイメージしながら必要な生活費をリストアップしてみてください。
毎月の食費や住居費だけでなく交際費、年金保険、健康保険や、年数回の旅費や医療費、理美容費などの費用もリストアップして、リタイア後に予想される支出を年額で算出しましょう。
例)
月額の生活費 | 住居費 | 50,000円 | 185,000円×12ヶ月 |
食費 | 70,000円 | ||
水道・光熱費 | 20,000円 | ||
被服費 | 10,000円 | ||
通信費 | 10,000円 | ||
保険医療費 | 15,000円 | ||
趣味娯楽・交際費 | 10,000円 | ||
年数回の費用 | レジャー・旅費 | 50,000円×2回 | 100,000円 |
理美容費 | 10,000円×6回 | 60,000円 | |
年間の予想支出額 | 2,380,000円 |
2-2.STEP2.年間の見込み収入額を確認する
続いてリタイア後の収入を確認します。
早期リタイア後の収入は大きく分けて2つの収入が考えられます。
2-2-1.年金
老齢年金は原則65歳から受け取ることが可能な収入です。
年金には『老齢基礎年金』と『老齢厚生年金』の2種類があり、受給額は厚生年金加入の有無や加入期間、年収によって異なります。
老齢基礎年金 | 20歳から60歳までの日本国民全員が加入対象の年金です。 10年以上加入し、保険料を納付していれば受給できます。 厚生年金に加入している会社員も被保険者です。 |
老齢厚生年金 | 会社に勤めている人が対象の年金です。 給与や賞与額、加入期間によって年金額が計算されます。 |
【老齢基礎年金の受給額を計算する方法】
77万7,792円×保険納付月数÷480ヶ月(40年)
例)20歳から60歳の40年間保険料を納付した支給額
77万7,792円×480ヶ月(40年)÷480ヶ月(40年)=77万7,792円
※2023年度の老齢基礎年金の満額は77万7,792円です。
満額の年金額は毎年改定になるため、日本年金機構のホームページにて確認してください。
【老齢厚生年金の受給額を計算する方法】
報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額
※報酬比例年金額とは:厚生年金の保険料を支払った期間の給与や賞与額に基づいて計算される
※経過的加算とは:65歳以上の老齢厚生年金に加入している人を対象に加算される
※加給年金額とは:厚生年金に20年以上加入した人が65歳のときに扶養者がいる場合に加算される
報酬額や、加算対象の年金額などは個々によって異なるため、郵送で送られてくる『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』を活用して自身の年金額を調べてみてください。
2-2-2.運用資産
資産運用をしている場合は、リタイア後も運用による収入が見込めます。
個々によって資産運用の有無や利回りは異なるため、持っている資産を確認して見込み収入額をシミュレーションしてみましょう。
Tips!
早期リタイアには「4%ルール」という資産運用に関する研究から導かれた考え方があります。
4%ルールとは、25年分の生活費を作って資産運用し、4%の運用益を出せば運用益だけで生活していくことができるという理論です。
資産が長持ちする資産運用は早期リタイアを計画している人に適した資産形成であると言えるため、まだ資産運用を始めていない人は投資を検討することをおすすめします。
▼資産運用について知りたい人はこちらの記事もおすすめ▼
【投資の勉強】初心者はこれだけでOK!何からどんな方法でするべきかを完全理解
2-3.STEP3.リタイアする年齢から想定寿命年齢までの必要な資産を算出する
ステップ1と2で支出と収入の目安額を導き出したら、リタイアする年齢から想定する寿命年齢までに必要な生活費を算出しましょう。
65歳以降は年金の収入があるため、65歳以前と65歳以降に分けて計算すると算出しやすいです。
例)45歳でリタイア、90歳を寿命年齢として計算する場合
45歳から65歳までの費用 | 予想支出額 | 2,380,000円×20年 =47,600,000円 | 47,600,000円 |
予想収入額 | 0 | ||
65歳から90歳までの費用 | 予想支出額 | 2,380,000円×25年 =59,500,000円 | 59,500,000-32,500,000 =27,000,000円 |
予想収入額 | 1,300,000円×25年 =32,500,000円 (年金による収入) | ||
リタイアに必要な金額 | 74,600,000円 |
・まずは少額から試したい YES or NO
・リスクはできるだけ抑えたい YES or NO
・投資先の見極め方を知りたい YES or NO
・海外投資にも興味がある YES or NO
・投資の知識をつけて利益を最大化したい YES or NO
3.早期リタイアの資金を『セミリタイア』と比較
早期リタイアとよく比較される生き方が『セミリタイア』です。
セミリタイアは自分の時間を優先しながらも働いて収入を得るため、早期リタイアほど多くの資金を要しません。
そのため、準備する資金が少なくて済むという特徴があります。
『セミリタイア』と『早期リタイア』の必要な資金を比較して解説します。
3-1.そもそも『早期リタイア』と『セミリタイア』の違いとは?
そもそも早期リタイアとセミリタイアはどのように異なるのでしょうか?
早期リタイアとセミリタイアの特徴を見ていきましょう。
早期リタイア | セミリタイア | |
---|---|---|
特徴 | 定年を迎える前にリタイアして収入を得ることなく生活すること | アルバイトやフリーランスといった働き方や、投資をして資産運用をするなど、自由な時間を優先にしながら収入も得ること |
収入の有無 | 無 | 有 |
収入源 | 無 |
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メリット |
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|
デメリット |
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|
早期リタイアは完全に退職して自由な時間を得る過ごし方であることに対し、セミリタイアは労働時間を減らして自分の時間を優先する過ごし方を指します。
次の章ではそれぞれの資金を具体的な金額で比較します。
3-2.『早期リタイア』と『セミリタイア』の資金
ここからは早期リタイアとセミリタイアの資金を比較して解説します。
セミリタイアに必要な資金は収入によって異なりますが、今回は65歳まで月収8万円があるケースと月収15万円があるケースで算出しました。
それぞれの収入が見込める場合の必要資金額は以下のようになります。
65歳まで月平均8万円の収入がある場合
早期リタイア | セミリタイア 月平均8万円の収入 | |||
単身世帯 | 2人以上世帯 | 単身世帯 | 2人以上世帯 | |
35歳 | 1億1,364万7,140円 | 1億4,364万8,560円 | 8,484万7,140円 | 1億1,484万8,560円 |
45歳 | 8,134万7,660円 | 1億253万640円 | 6,214万7,660円 | 8,333万640円 |
55歳 | 5,129万8,180円 | 6,366万2,720円 | 4,169万8,180円 | 5,406万2,720円 |
65歳まで月平均15万円の収入がある場合
早期リタイア | セミリタイア 月平均15万円の収入 | |||
単身世帯 | 2人以上世帯 | 単身世帯 | 2人以上世帯 | |
35歳 | 1億1,364万7,140円 | 1億4,364万8,560円 | 5,964万7,140円 | 8,964万8,560円 |
45歳 | 8,134万7,660円 | 1億253万640円 | 4,534万7,660円 | 6,653万640円 |
55歳 | 5,129万8,180円 | 6,366万2,720円 | 3,329万8,180円 | 4,566万2,720円 |
早期リタイアは年金収入を除くとまったくの収入源を持たないことに対し、セミリタイアは収入があるため、早期リタイアよりも少ない資金額で実行に移すことが可能です。
4.早期リタイアの資金を作る2つの方法とできる人の特徴
早期リタイアを実現するためには多くの資金が必要です。
資金を準備する方法としては財産を引き継いだり、事業を起こして大きな資産を作るなどの方法もありますが、本記事では一般的な資産づくりの方法についてご紹介します。
4-1.貯蓄
資金を作る1つ目の方法が貯蓄です。
22歳の就職時から貯蓄だけで早期リタイアの資金を作ろうとすると、具体的には毎年以下のような額を貯金し続ける必要があります。
リタイアする年齢 | 35歳 | 45歳 | 55歳 |
必要な資金額 (一般的な生活水準による算出額) | 単身:1億1,364万7,140円 2人以上世帯:1億4,364万8,560円 | 単身:8,134万7,660円 2人以上世帯:1億253万640円 | 単身:5,129万8,180円 2人以上世帯:6,366万2,720円 |
貯蓄期間 | 13年 | 23年 | 33年 |
年間貯金額 | 約875万~1,105万円 | 約354万~445万円 | 約155万~193万円 |
30代や40代で早期リタイアを目指す場合は年間貯金額が大きく、会社員の給与だけでは非現実的な金額と言えます。
一方、50代で早期リタイアを目指す場合の年間貯金額は現実とかけ離れているわけではありますが、結婚や子育て、マイホームの購入などライフイベントに伴う出費をまかないながら毎年安定して150万を超える貯金をすることは簡単なことではありません。
副業や徹底した節約をするなど堅実に貯金をし続ける姿勢が大切です。
よって、貯蓄で資産形成ができる人は以下のような特徴を持っている人であると言えるでしょう。
【貯蓄で資産形成ができる人の特徴】
- 平均年収を上回る高い給与を得ている
- 必要資金相当の遺産を引継ぐ
- 事業を起こして大きな収入を得ている
- 副業などで給与以外の収入がある
- 節約をするなどして堅実に貯金ができる
4-2.資産運用
早期リタイアの資産づくりの2つ目の方法が資産運用です。資金運用は貯蓄よりも着実に資金づくりができる方法と言えます。
なぜなら、超低金利時代と言われる現代は預金だけでお金を増やすことができないからです。
資産運用はリスクもありますが、ギャンブルではありません。
投資の仕組みや金融商品の選び方など、基礎からしっかり学べば効率的にお金を増やしていくことが可能です。
資産運用には株式投資や投資信託、積立投資など様々な種類がありますが、会社員として勤めながら資産運用をするなら手間のかからない以下の3つの方法がおすすめです。
投資信託 | 投資家から集めた資金を専門家が投資・運用する仕組みです。自分で運用する必要がないため、運用の知識や時間がなくても資産形成することができます。 |
積立投資 | 株式や投資信託などの金融商品を定期的に購入していく仕組みの投資です。 ただし、長期的に投資を継続することで資産が大きくなる特徴を持っているため、短期間で資産が大きくなることはありません。 |
REIT(不動産投資信託) | 投資家から集めた資金を不動産に投資し、投資先の物件で得た利益が投資家に分配される仕組みの投資です。 REITは3~5%と比較的高めな利回りが期待できます。 |
それぞれ元本保証はなく元本割れリスクがありますが、投資は運用できる期間が長いほどリターンも大きくなる特性を持っています。
実際に運用することで学べることもあるため、まずはリスクが少ないものから始めてみることがおすすめです。
資産運用で資産づくりができる人は以下のような特徴を持っています。
【資産運用で資産形成ができる人の特徴】
- 投資に関する情報を積極的に収集できる
- 長い目で見た利益に注目できる
- 投資にかけられる余剰金を作れる
早期リタイアの資金を準備するなら貯蓄だけでなく、資産運用も取り入れて資産を増やしていきましょう。
5.早期リタイアを実現する人は投資で資産形成する人がほとんど
資産を作っていくためには貯蓄と資産運用の2通りがあると紹介しましたが、実際に早期リタイアを実現した人は“投資”をして資産形成をするパターンがほとんどです。
早期リタイアを実現した人の事例を交えながら資金づくりの現状について紹介します。
5-1.貯蓄だけで早期リタイアに必要な資産形成できる人は稀
貯蓄だけで早期リタイア後の生活費をまかなえる人はほとんどいません。
その理由は一般的な所得の現状と早期リタイアに必要な貯蓄額を比較すると分かります。
▼世帯主の年齢階級別の所得状況
参考)厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」
▼必要な年間貯蓄額
リタイアする年齢 | 35歳 | 45歳 | 55歳 |
必要な資金額 (一般的な生活水準による算出額) | 単身:1億1,364万7,140円 2人以上世帯:1億4,364万8,560円 | 単身:8,134万7,660円 2人以上世帯:1億253万640円 | 単身:5,129万8,180円 2人以上世帯:6,366万2,720円 |
貯蓄期間 | 13年 | 23年 | 33年 |
年間貯金額 | 約875万~1,105万円 | 約354万~445万円 | 約155万~193万円 |
35歳で早期リタイアをする場合は22歳から毎年約875万~1,105万円の貯金が必要であることに対し、貯金が必要な年代の1世帯あたりの平均所得額は362.6万円~614.8万円と、貯金額に届かない所得額が一般的です。
55歳で早期リタイアを目指す場合では世帯所得額が貯金額を上回っていますが、実際の1世帯当たりの貯金額を確認すると早期リタイアに必要な額の貯金ができていないことが現状であると分かります。
▼世帯主の年齢階級別の平均貯蓄額と借入額
参考)厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」
1世帯当たりの貯蓄額が多くない理由には結婚費用、マイホームの購入、子どもの教育費、旅行費用など、ライフイベントによる多額の支出が1つの要因であると言えるでしょう。
貯蓄だけで早期リタイアを目指すのであれば、徹底した節約をしながら堅実に貯金していく姿勢が不可欠です。
5-2.投資で早期リタイアしている人の事例3選
実際に早期リタイアをした人は貯蓄と共に投資も行って資産形成するパターンがほとんどです。
投資で早期リタイアに成功した3名の事例を紹介します。
5-2-1.10年で資産を1億円に増やし30代で早期リタイア
グミさん夫婦は幼い子どもを抱えながら800万円の資産を10年で1億円に増やし、30代で早期リタイアを実現しました。
投資は図書館の本や個人投資家の体験談を参考にして知識を増やし、再現性の高い株式投資に絞って投資を始めたそうです。
現在は自由な時間を優先しつつも新しい事業を始めたそうで、「サイドFIRE」と呼ばれる生活を送っています。
参考:マネクリ「30代子持ちファミリー「グミ家」が10年で1億超え、サイドFIRE達成の秘訣とは【前編】」
5-2-2.株式投資で生涯賃金資産をつくり40代で早期リタイア
大手日系企業に勤めていたろくすけさんは仕事を楽しめなくなっていることや、すでに株式投資で作っていた資金が生涯賃金相当に値するに気づいたことをきっかけに早期リタイアを決意。
現在の運用資産額は3億円を超えているそうです。
リタイア後は月に1~2回は旅行へ行くなど、「やりたくないことはやらない」という穏やかな毎日を送っているそうです。
参考:Liiga「「“もう一つの人生”を送れる」。アーリーリタイアした40代が眺める、会社員時代には見えなかった景色」
5-2-3.12年の投資と徹底した節約で41歳ママが早期リタイア
なみへいさんは約12年の投資で総資産4,800万円を達成し、節約をして早期リタイアを実現した1児の母です。
投資を始めたばかりの頃は利益が思ったように出ず苦戦したこともあったようですが、出産や育児で忙しいときに放置した株式に複利効果(利益が利益を発生させること)が生まれ、雪だるま式に資産が増えたそうです。
さらに、生活費を徹底的に見直したことで固定費を約半分に抑えることにも成功し、早期リタイアを実現しました。
現在は子どもとの時間や家庭菜園、趣味のヨットで旅行に行くなど和やかな生活を送っているそうです。
参考:CHANTO「41歳ママが総資産4800万円貯め、早期リタイアするまでの話」
6.早期リタイヤは慎重に考えないと後悔することも
早期リタイアは労働することのストレスから離れることができたり、自由な時間を持てるようになったりと、魅力ある過ごし方ではあります。
ただし、早期リタイアはメリットばかりではありません。
見落としがちな早期リタイアの注意点についてご紹介します。
6-1.孤独感がある退屈な日々になる
早期リタイアは孤独や退屈さを感じやすい特徴を持っています。
なぜなら、リタイアして社会的な関わりを断ち切ることで、仕事を通して出会う人との関わりが全くなくなるからです。
趣味などを通した人との関わりがなければ、リタイア後は家族や友人など、ごくプライベートな人との交流のみに限られてしまうでしょう。
経済的に不安を感じていなくても、孤独や退屈さを感じてしまうと、リタイア後の生活はつまらないものになってしまいます。
早期リタイアをした後は趣味ややりたいことに積極的に取り組んだり、趣味などを通して人と関わるようにしたりなど、経済面だけではない豊かな環境をいかに作れるかがポイントになります。
6-2.計画性がないと資金が足りなくなる
早期リタイアは計画的にリタイア後の資金を作り、リタイア後も計画通りの支出に抑えなければ資金が足りなくなる恐れがあります。
というのも、早期リタイアは年金以外の収入がない暮らし方です。
もしも目標とする額の資産を作れたとしても、蓄えよりも支出が多ければいつか資金は底をついてしまうでしょう。
早期リタイアのために作る資産は『1か月に必要な生活費』をベースにして作り、リタイア後は計画内の生活費に収めるようにすることが基本です。
資産づくりのときから計画を立て、リタイア後も忠実に計画を守りながら暮らしていくようにしてください。
6-3.再就職が難しくなる
リタイアした後に「つまらなくなったから」「資金が足りなくなったから」などという理由で再就職を希望しても、なかなか再就職ができないという恐れがあります。
なぜなら、早期リタイアをしたことで空いてしまった職歴・経歴のブランクが就職活動では不利に働いてしまうからです。
よほど企業が求めるスキルや豊富な経験を持っていなければ、理想とするポジションや年収で就職できないでしょう。
再就職がスムーズにできるようにするためには、早期リタイアではなくセミリタイアという方法でスキルやサービスの提供を続け、経歴にブランクを空けないことが有効であると言えます。
6-4.年金受給額は少なくなる
早期リタイアをした場合は、定年まで働いた場合と比べると受給できる年金額が減る傾向にあるので注意が必要です。
会社員が加入する厚生年金は加入期間・給与の平均額によって支給される年金額が決まる仕組みになっているからです。
つまり、働いた期間が短ければ受給できる年金額も少なくなるということになります。
年金受給額は勤務期間、平均報酬額、リタイアするタイミングによって異なるため、以下のサイトで受給額をシミュレーションしてみてください。
早期リタイアの資金を作るときは、受給できる金額を把握して少なくなる年金をカバーできる資金も準備をするようにしましょう。
6-5.福利厚生が受けられなくなる
リタイアした後は、会社の制度として利用してできていた福利厚生が受けられなくなります。
福利厚生には例えば以下のようなものがあります。
- 住宅手当や家賃補助
- 健康保険、介護保険
- 健康診断の補助
- 旅行やレジャーの優待 など
賃金や報酬ではない形で、豊かな暮らしや健康をサポートしてくれるものが福利厚生です。
社員であれば受けられるサービスであるため、リタイアしてしまうと受けることはできなくなります。
健康保険や住宅のための費用など、リタイア後には自力で全額支払わなければいけなくなるため、負担額は増えてしまうでしょう。
福利厚生が受けられないことで生じる負担額の増加も加味して資産形成をしていくことがポイントです。
7.早期リタイアを検討し始めたときにすべきこと
早期リタイアは自分のお金の使い方に沿った資産を作ることが欠かせません。
そこで、早期リタイアを検討し始めたら以下4つのことから始めていきましょう。
- 早期リタイア後の過ごし方を具体的にする
- 節約をする
- 家族や周りの人の理解を得る
- 投資知識を身につける
1つずつ解説いたします。
7-1.早期リタイア後の過ごし方を具体的にする
早期リタイアを検討し始めたら、まずはリタイア後の過ごし方を具体的にイメージしていきましょう。
なぜなら、過ごし方によって必要になる資金額は異なるからです。
例えば、「単身世帯、海外旅行を年に2回、週1回は外食」の場合と「夫婦と子どもの3人家族、基本的に自炊、車を7年置きに買い替える」という場合では、用意するべき資金額が異なります。
さらに、子どもがいる場合は、通わせる学校が公立か私立かによっても大きく違いが出るでしょう。
毎月の生活費だけを決めるのではなく、旅行や車の購入などのイベントも具体的にイメージして資金計画を立てると、理想の生活を送れる早期リタイアが実現しやすいです。
7-2.節約をする
早期リタイアを考え始めたら節約を心がけましょう。
そもそも早期リタイアは多額の資産を積み上げていく必要があるからです。
節約には例えば以下のような方法があります。
- スマホを格安SIMに切り替える
- 自炊の回数を増やす
- マイボトルを持ち歩いてコンビニや自動販売機を使わない
- 買い物はポイントが貯まる特定のお店に限定する
節約は小さな出費を抑える程度のものに見えますが、長い期間小さな出費を抑え続けることができれば大きなお金になります。
もし22歳から節約を始めて1日500円の節約ができたとしたら、45歳時点で414万円もの貯蓄ができていることになります。
さらに、節約したお金を投資に回して4%の年利で運用できると10年後には600万円を超える資産額になっている可能性もあるのです。
節約は資金づくりに役立つだけでなく、リタイアした後の資金不足を防ぐ有効な方法なので、準備段階から節約術を身につけておくことをおすすめします。
7-3 家族や周りの人の理解を得る
家族と一緒に暮らしている人は、早期リタイアに向けて家族の理解を得ておくことも重要です。
あまりいないとは思いますが、中にはいきなり早期リタイアを始めて家族を驚かせよう、というタイプの考えの人もいるようです。
ただ、早期リタイアすることは、家族の人生にも少なからぬ影響を与える重大な決断です。
あまり自分本位に決めてしまうことのないように注意した方がいいでしょう。
家族との関係性にもよると思いますが、できれば早期リタイアをしたい時期の1年かそれ以上前くらいから、早期リタイアを考えていることを少しずつ話始めて、家族の理解をとっておいた方がいいと思います。
7-4.投資知識を身につける
早期リタイアを検討し始めたら投資知識を身につけましょう。
投資で不労所得を得られるようになれば、大きく資産を増やすことも可能であり、将来は運用益で生活費をまかなうこともできるようになるからです。
不労所得があれば予定外の出費が必要になっても対応ができますし、「資金がいつか底をついてしまうのでは…」という不安を感じずに済みます。
投資は早期リタイアの資金形成ができるだけでなく、リタイア後の後悔や失敗を防ぐ手段でもあるため、まずは投資情報を多く取り入れて知識を身につけていくことをおすすめします。
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8.まとめ
早期リタイアに必要な資金は年齢やリタイアするタイミングによって異なりますが、決して簡単には用意できない額の資金が必要です。
早期リタイアに必要な資金 | |
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単身世帯の場合 | 2人以上世帯の場合 |
35歳で早期リタイアする場合は約1億1,364万円 45歳で早期リタイアする場合は約8,134万円 55歳で早期リタイアする場合は約5,129万円 | 35歳で早期リタイアする場合は約1億4,364万円 45歳で早期リタイアする場合は約1億253万円 55歳で早期リタイアする場合は約6,366万円 |
若いうちからコツコツと貯蓄することも方法ではありますが、超低金利時代と言われる今、貯蓄だけでは難しいことが現状です。
貯蓄を大きく増やしていくためにも投資という方法を取り入れ、早期リタイアの実現を現実のものにしていきましょう。
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