米国株の新テーマ!防衛・原子力を支える注目企業4選

防衛・航空宇宙・原子力を支える米国上場企業に注目

世界的な安全保障環境の変化やAI・データセンターの普及による電力需要の増加を背景に、米国では防衛産業と原子力産業への関心が高まっています。こうした大きな潮流のなかで存在感を高めているのが、航空宇宙・防衛、原子力、核燃料などの分野で高度な技術を持つ企業です。今回は、カーティス・ライト、ジェネラル・ダイナミクス、センタス・エナジー、オクロの4社を取り上げ、それぞれの事業内容や成長分野を紹介します。原子力潜水艦や防衛装備を手掛ける企業から、核燃料や次世代原子炉に取り組む企業まで、その事業領域はさまざまです。米国の安全保障政策やエネルギー政策、次世代原子力の普及などが企業業績にどのようにつながるのかを知ることで、米国株市場に広がる「防衛・原子力」というテーマをより立体的に捉えることができます。

企業名ティッカー上場市場主な分野
カーティス・ライトCWNYSE航空宇宙・防衛・原子力
ジェネラル・ダイナミクスGDNYSE防衛・造船・航空宇宙
センタス・エナジーLEUNYSE American原子力燃料・ウラン濃縮
オクロOKLONYSE先進原子炉・核燃料
ニュースケール・パワーSMRNYSE小型モジュール炉(SMR)
アトキンスレアリスATRLNasdaqエンジニアリング・原子力

ジェネラル・ダイナミクス――原子力潜水艦から戦車、ビジネスジェットまで手掛ける米国防衛大手

米国の防衛産業を代表する企業の一つが、ジェネラル・ダイナミクス(General Dynamics、NYSE:GD)です。戦車や装甲車、原子力潜水艦、軍用艦艇などの防衛装備から、世界の富裕層や企業経営者が利用するビジネスジェットまで、幅広い事業を展開しています。日本では自動車やIT企業と比べると知名度は高くありませんが、米国政府を主要顧客とする巨大企業であり、安全保障政策や国防予算の動向を受けやすい銘柄です。特に近年は、米国による防衛力強化に加え、原子力潜水艦の長期的な建造計画などが同社の事業を支える重要な要素となっています。

ジェネラル・ダイナミクスの現在の事業は、大きく「Aerospace」「Marine Systems」「Combat Systems」「Technologies」の4部門に分かれています。Aerospaceでは、傘下のガルフストリームを通じて大型ビジネスジェットを開発・製造しています。Marine Systemsは米海軍向けの原子力潜水艦などを手掛ける部門で、同社を象徴する存在です。Combat Systemsでは主力戦車「M1エイブラムス」や装甲車などを、Technologiesでは情報システム、サイバーセキュリティ、通信などを提供しています。一社の中に「航空」「海軍」「陸軍」「IT」という異なる事業が存在することが、ジェネラル・ダイナミクスの大きな特徴です。

2025年12月期の売上高は約526億ドルとなり、前年から10.1%増加しました。純利益は約42億ドルで、前年から11.3%増加し、希薄化後1株利益も15.45ドルへ増加しています。さらに、2025年末の受注残高は約1180億ドルに達しました。防衛関連の大型案件では契約から売上計上まで数年単位となることも珍しくないため、受注残高は今後の売上を考えるうえで重要な指標です。同社では受注残高に加え、将来のオプションなどを含めた契約価値も大きく、長期的な事業基盤を構築しています。

なかでも注目されるのがMarine Systemsです。ジェネラル・ダイナミクス傘下のElectric Boatは、米海軍の原子力潜水艦建造において中心的な役割を担っています。米国の原子力潜水艦は、通常の艦艇と比べて建造・維持に高度な技術が必要で、参入障壁の高い市場です。米国では中国などを念頭に海軍力の強化が進められており、原子力潜水艦は安全保障上の重要性が高い装備と位置付けられています。そのため、潜水艦の長期的な建造計画はジェネラル・ダイナミクスの重要な収益基盤となっています。

2026年には、Electric Boatに対してコロンビア級5隻とバージニア級9隻、合計14隻の原子力潜水艦に関する大型契約が発表されました。契約総額は約766億ドルに達します。コロンビア級は米国の戦略原子力潜水艦として、バージニア級は攻撃型原子力潜水艦として位置付けられています。こうした長期大型案件は、短期的な景気変動の影響を受けにくい防衛企業ならではの特徴を示しています。一方で、潜水艦は極めて複雑な製品であるため、建造能力や部品調達、人材不足などが事業上の課題になる可能性があります。

もう一つの柱がCombat Systemsです。同部門では、米軍を代表する主力戦車「M1エイブラムス」などの陸上戦闘システムを手掛けています。戦車だけでなく、装甲車や弾薬関連製品なども扱っており、米国だけでなく同盟国への防衛装備供給も事業機会となります。ロシアによるウクライナ侵攻などを契機として欧州各国が防衛支出を増やすなか、米国の同盟国による装備更新も防衛関連企業にとって重要な需要となっています。

一方、ジェネラル・ダイナミクスは純粋な防衛企業ではありません。Aerospace部門のガルフストリームは、世界的なビジネスジェットメーカーとして高いブランド力を持っています。大型ビジネスジェットは一機当たりの販売価格が非常に高く、富裕層や企業、政府関係者などを顧客としています。防衛事業が米国政府の予算や安全保障政策に左右されるのに対し、ビジネスジェットは企業業績や富裕層の設備投資、航空機需要などの影響を受けます。この異なる性格の事業を組み合わせることで、同社は防衛需要だけに依存しない収益構造を構築しています。

2026年に入っても業績は堅調です。第2四半期の売上高は約141億ドルとなり、前年同期比8.1%増加しました。営業利益は約15億ドル、1株利益は4.24ドルとなり、いずれも前年同期から増加しています。4事業部門すべてで売上高が前年同期を上回り、特にAerospaceとMarine Systemsの成長が目立ちました。第2四半期の受注高は約200億ドル、受注残高は約1365億ドルに拡大しており、長期的な需要を示す数字となっています。

ただし、ジェネラル・ダイナミクスを見る際には、防衛産業特有のリスクにも目を向ける必要があります。第一に、米国政府の国防予算です。防衛予算の方向性が変われば、装備調達の優先順位や契約時期にも影響が及びます。第二に、巨大な防衛プロジェクトを予定通り進めるための生産能力です。特に原子力潜水艦では、高度な技能を持つ人材や特殊部品を必要とするため、サプライチェーンの確保が重要になります。大型案件を獲得できても、生産能力の制約によって納入が遅れれば、業績やキャッシュフローに影響する可能性があります。

また、Aerospace部門には防衛とは異なる景気循環リスクがあります。ビジネスジェットは企業や富裕層による高額な設備投資であるため、景気が悪化した場合には新規購入が減少する可能性があります。防衛部門が比較的長期的な受注を確保できる一方、航空機部門は民間需要の変化を受けやすいという違いを理解することが重要です。

ジェネラル・ダイナミクスは、米国の安全保障と航空産業という二つの巨大市場を一社でカバーする企業です。原子力潜水艦という極めて参入障壁の高い分野から、戦車・装甲車、情報システム、ビジネスジェットまで事業領域は広く、そのなかでも長期契約の多い防衛事業が安定した事業基盤を形成しています。特に原子力潜水艦については、米国の海軍力強化という長期的な政策テーマと結びついており、今後も同社を考えるうえで重要なポイントになるでしょう。

米国の防衛関連株というと、戦闘機やミサイルなど目立つ製品を製造する企業に目が向きがちですが、ジェネラル・ダイナミクスは「陸・海・空・情報」を幅広くカバーしています。防衛予算、原子力潜水艦計画、戦車・装甲車の更新、ビジネスジェット需要という複数の要素を追うことで、同社の業績がどのように形成されているのかが見えてきます。今後は大型受注を実際の売上・利益へ着実につなげられるか、生産能力やサプライチェーンの課題をどこまで解消できるかが、同社の成長を考えるうえで重要なポイントとなります。

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カーティス・ライト――防衛・航空宇宙・原子力を支える米国の「縁の下の力持ち」

米国株のなかには、一般消費者にはあまり知られていないものの、航空機や艦船、原子力発電所などの重要な産業インフラを支える企業があります。その代表格の一つが、カーティス・ライト(Curtiss-Wright、NYSE:CW)です。同社のルーツは航空機産業にありますが、現在では航空宇宙・防衛、原子力、産業機器など幅広い分野に事業を展開しています。特に注目されるのが、米国の防衛力強化と原子力発電の再評価という2つの大きなテーマです。戦闘機やミサイルそのものを製造する企業とは異なり、さまざまな装備に組み込まれる電子機器や制御システム、航空機関連機器、原子力関連設備などを供給している点がカーティス・ライトの特徴です。

同社の歴史は、航空機産業の黎明期までさかのぼります。航空機メーカーとして知られたカーチス・エアロプレーンとライト兄弟の会社が1930年に合併して誕生したカーティス・ライトは、その後、航空機製造から部品・制御技術などへ事業領域を広げてきました。現在の事業は大きく「Aerospace & Industrial」「Defense Electronics」「Naval & Power」の3セグメントで構成されています。つまり、航空宇宙関連の技術、防衛用電子機器、海軍・原子力関連技術を組み合わせた企業です。一見すると異なる分野に見えますが、共通しているのは高い信頼性や耐久性が求められる「ミッションクリティカル」な市場であることです。

2025年12月期の売上高は34億9837万ドルとなり、前年から12%増加しました。営業利益は6億3350万ドル、純利益は4億8420万ドルで、調整後営業利益は6億5100万ドルまで増加しています。調整後の希薄化後1株利益は13.23ドルと前年比21%増となり、フリーキャッシュフローも5億5400万ドルに達しました。また、新規受注は約41億ドル、期末の受注残高は約41億ドルと過去最高水準を記録しています。足元の業績だけでなく、今後の売上につながる受注残高が積み上がっていることも、同社を理解するうえで重要なポイントです。

なかでも大きな柱となっているのが防衛関連です。2025年の航空宇宙・防衛市場向け売上高は約24億5100万ドルで、全社売上高の7割近くを占めました。航空防衛、地上防衛、海軍防衛、民間航空宇宙という幅広い市場に製品を供給しており、2025年は航空防衛が約6億7300万ドル、地上防衛が約4億700万ドル、海軍防衛が約9億4200万ドル、民間航空宇宙が約4億3000万ドルとなっています。特に海軍防衛では、米海軍の原子力潜水艦関連プログラムが重要な需要源となっています。コロンビア級やバージニア級潜水艦などの大型プログラムに関連した製品・システムが、同社の成長を支えています。

防衛分野でカーティス・ライトが注目される理由は、国防予算の増加が必ずしも「兵器そのもの」だけに恩恵をもたらすわけではないからです。高度な兵器や軍用機、艦船には、センサー、電子機器、制御装置、電源関連機器など数多くの部品が必要になります。こうした部品は最終製品に比べて目立ちにくい一方、一度採用されれば長期間にわたって供給や保守が続く可能性があります。カーティス・ライトはこうしたサプライチェーンの中間・上流部分で存在感を持つ企業といえます。

さらに、同社を特徴づけるもう一つのテーマが原子力です。カーティス・ライトは原子力発電所向けのバルブ、ポンプ、制御関連機器などを手掛けており、既存原発の設備更新や保守に加えて、次世代原子炉やSMR(小型モジュール炉)関連の需要も視野に入れています。2025年のPower & Process市場の売上高は約6億3500万ドルで、前年比17%増となりました。同社はこの成長の背景として、商用原子力市場におけるSMR、政府関連原子力プロジェクト、既存設備向けのアフターマーケット需要などを挙げています。

原子力分野への注目が高まっている背景には、AIやデータセンターの普及による電力需要の増加があります。大量の電力を安定的に必要とするデータセンターでは、天候に左右されにくい安定電源が重要になります。そのため米国では、既存の原子力発電所を長期運転する動きに加えて、SMRなど次世代原子炉の開発も進められています。カーティス・ライトは原子炉そのものを開発する企業ではありませんが、原子力設備を構成する重要部品やシステムを供給する立場から、この市場拡大の恩恵を受ける可能性があります。

2026年に入ってからも業績は堅調です。2026年第2四半期の売上高は約9億2400万ドルで、前年同期比5%増となりました。上期累計では売上高が約18億3800万ドルとなり、前年同期比9%増。航空宇宙・防衛市場は上期に10%増、Power & Process市場も11%増となっています。会社側は2026年通期の業績見通しを引き上げており、防衛と原子力という複数の市場から需要を取り込む展開が続いています。

一方で、注意すべきリスクもあります。まず、防衛関連事業は米国政府の予算や軍事政策の影響を受けます。大型プログラムは長期的な需要につながる一方、予算変更や契約スケジュールの変化によって売上計上の時期がずれる可能性があります。また、原子力市場も原子炉の建設計画や規制承認、プロジェクトの進捗に左右されます。SMRなど次世代原子力の普及が想定より遅れれば、関連製品の需要が本格化する時期も後ずれする可能性があります。

さらに、カーティス・ライトは航空宇宙、防衛、原子力という複数の成長市場にまたがっている一方、それぞれの市場で高い品質や信頼性が求められます。製造能力の拡大、サプライチェーンの確保、人材確保なども今後の成長における重要な課題です。特に防衛・原子力関連では、一度の品質問題が顧客や規制当局からの信頼に影響する可能性があるため、単純な売上成長だけで企業価値を判断することはできません。

カーティス・ライトは、一般消費者が直接目にする製品を販売する企業ではありません。しかし、米国の航空機、艦船、防衛装備、原子力設備などを支える技術を提供していることから、米国の安全保障やエネルギー政策の変化を映し出しやすい企業でもあります。特に「防衛力強化」「航空需要の回復」「原子力復権」「SMRの普及」という複数のテーマを一社でカバーできる点は大きな特徴です。今後は、防衛関連の受注がどこまで拡大するのか、原子力・SMR市場がどの程度のスピードで成長するのか、そして高い収益性とフリーキャッシュフローを維持できるのかが重要なポイントになります。派手な最終製品ではなく、その裏側で不可欠な技術を提供する「縁の下の力持ち」。それがカーティス・ライトという企業を理解するうえでのキーワードといえるでしょう。

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センタス・エナジー――原子力復権のカギを握る「核燃料」の米国企業

原子力発電への関心が世界的に高まるなか、米国株市場で存在感を強めている企業の一つが、センタス・エナジー(Centrus Energy、NYSE:LEU)です。原子炉そのものを製造する企業ではなく、原子力発電に欠かせないウラン濃縮や核燃料関連サービスを手掛けていることが最大の特徴です。特に注目されているのが、次世代原子炉で利用が期待される「HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)」です。AI向けデータセンターなどによる電力需要の拡大を背景に、米国では原子力発電を新たな電力源として活用しようとする動きが強まっています。そのなかで、原子炉を建設する企業だけでなく、原子炉を動かすための燃料を供給する企業にも投資家の視線が集まっています。

センタス・エナジーは、もともと米国の核燃料サイクルに関わってきた企業で、現在は「Low-Enriched Uranium(LEU)」と「Technical Solutions」の2つの主要事業を展開しています。LEU事業では、原子力発電所向けの低濃縮ウランや濃縮サービスを提供し、Technical Solutionsでは核燃料関連の技術サービスや先進的な濃縮技術などを手掛けています。2025年12月期の売上高は約4億4870万ドル、純利益は約7780万ドルでした。原子力発電所を保有して電力を販売する電力会社とは異なり、原子力産業のサプライチェーン上流に位置する企業と考えると分かりやすいでしょう。

同社を理解するうえで最も重要なキーワードがHALEUです。通常の商用原子炉で使われる燃料よりもウラン235の濃度を高めた燃料で、次世代の小型モジュール炉(SMR)や高速炉、マイクロリアクターなどへの利用が想定されています。次世代原子炉は、従来の大型原子炉と比べて小型化や高効率化を目指すものが多く、設計によってはHALEUが燃料として必要になります。しかし、米国ではこれまでHALEUを商業規模で安定供給する体制が整っておらず、燃料サプライチェーンの構築が先進原子炉の普及に向けた課題となっていました。センタスはこの分野で米国内の生産能力を整備し、将来の需要を取り込もうとしています。

大きな転機となったのが、米エネルギー省(DOE)との大型契約です。センタスは2025年にDOEから最大9億ドル規模のHALEU関連契約を獲得し、米国内でのHALEU生産能力の確立に向けた取り組みを進めています。これは単なる一企業の事業拡大にとどまらず、米国が海外への依存を抑え、国内で核燃料を確保する「エネルギー安全保障」という政策テーマとも結びついています。原子力発電所の建設を進めても、燃料を安定的に調達できなければ運転はできません。そのため、原子炉開発と並行して核燃料供給網を構築することが重要になっています。

さらに2026年には、次世代原子炉を開発する企業との契約も相次いでいます。センタスはX-energyとの間でLEUおよびHALEUの供給契約を締結しました。X-energyは高温ガス炉「Xe-100」を開発しており、その商業化には専用燃料の安定供給が不可欠です。また、マイクロリアクターを開発するRadiantとも複数年のHALEU供給契約を締結しています。こうした契約が進めば、センタスにとってHALEUは単なる研究開発分野ではなく、将来の商業事業へ成長する可能性があります。

足元の業績にも原子力需要の拡大が表れています。2026年第2四半期の売上高は約1億7610万ドルで、前年同期比14%増となりました。さらに6月末時点の受注残高は約45億ドルに達しています。特にLEU事業の受注残高は約37億ドルに上り、将来のLEU・HALEU販売に関する契約やコミットメントが含まれています。ただし、この数字をそのまま「確定した将来売上」と捉えることには注意が必要です。契約のなかには一定の条件を満たすことを前提とするものもあり、設備投資や生産能力の拡大が計画通り進むことが重要になります。

センタス・エナジーへの期待が高まる背景には、原子力を取り巻く世界的な環境変化があります。脱炭素化を進めながら安定した電力を確保する必要性が高まる一方、AIやデータセンターの普及によって電力需要そのものも増えています。大量の電力を24時間安定的に必要とするデータセンターにとって、原子力は重要な電源候補の一つです。米国では既存原発の活用に加え、SMRや先進炉の開発も進められており、原子力のサプライチェーン全体に新たな投資機会が生まれています。

その一方で、投資家が注意すべきリスクもあります。第一に、HALEU市場そのものがまだ立ち上がり段階であることです。次世代原子炉の開発・認可・建設が予定通り進まなければ、燃料需要の本格的な拡大も遅れる可能性があります。第二に、ウラン濃縮施設の建設や設備増強には多額の資金と高度な技術が必要です。生産能力を拡大するための投資負担や、プロジェクトの進捗が業績に影響する可能性があります。第三に、政府政策への依存度です。センタスは米国政府との大型契約を事業拡大の重要な柱としているため、政府予算や原子力政策の変更には注意する必要があります。

また、ウラン価格や核燃料市場の需給環境も重要です。原子力発電所の新設だけでなく、既存原発の長期運転が進めば燃料需要の下支えになりますが、世界のウラン供給量や濃縮能力、各国のエネルギー政策によって市場環境は変化します。センタスを見る場合には、単純に「原子力関連企業」というだけでなく、ウラン採掘、濃縮、燃料製造、原子炉開発というサプライチェーン全体のどこに位置しているのかを確認することが大切です。

センタス・エナジーの最大の特徴は、「原子力発電所を作る会社」ではなく、「原子力発電を動かすための燃料を供給する会社」であることです。さらに、既存原発向けのLEUと、次世代原子炉向けのHALEUという二つの市場を視野に入れている点も特徴的です。既存原発の需要を取り込みながら、SMRやマイクロリアクターが普及すれば新たな燃料市場にも参入できるという構図です。

AI時代の電力需要拡大、脱炭素化、米国のエネルギー安全保障、次世代原子炉という複数のテーマが重なるなかで、センタス・エナジーは「核燃料」という原子力産業の基盤部分を担う企業として注目されています。今後は、DOEとの契約に基づくHALEU生産能力の拡大、X-energyやRadiantなど顧客企業の原子炉開発の進展、実際の燃料供給開始、そして設備投資を吸収しながら利益とキャッシュフローを拡大できるかが重要なチェックポイントとなります。原子力復権という大きなテーマを見るとき、原子炉メーカーだけでなく、その燃料を供給するセンタス・エナジーにも目を向けることで、原子力産業の新たな一面が見えてきます。

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オクロ――AI時代の電力需要を狙う「次世代原子力」の米国企業

原子力発電への関心が世界的に高まるなか、米国株市場で存在感を高めているのがオクロ(Oklo Inc.、NYSE:OKLO)です。同社は従来型の大型原子力発電所を建設・運営する企業ではなく、小型の高速炉「Aurora(オーロラ)」を開発する先進原子力企業です。さらに、核燃料のリサイクルや放射性同位体の生産にも事業領域を広げており、「原子炉」「核燃料」「同位体」という複数の原子力関連ビジネスを一体的に展開しようとしています。2026年に入ってからは、米エネルギー省(DOE)による認可手続きが進展し、実証炉の建設・運転に向けた重要なマイルストーンを相次いで通過しています。

オクロの最大の特徴は、次世代の小型原子炉を「電力を必要とする場所の近く」に設置するという発想です。同社が開発するAuroraは高速中性子を利用する原子炉で、従来型の大型原発とは異なる設計思想を持っています。オクロは、このような発電設備をデータセンター、軍事・政府施設、工場、遠隔地、電力会社などに供給することを想定しています。特に注目されるのがデータセンターです。AIの普及によってデータセンターの電力消費量が増加するなか、安定した大容量電源を確保することは、テクノロジー企業にとって重要な課題になっています。オクロは、こうした電力需要を原子力で取り込むことを目指しています。

同社の事業を理解するうえで重要なのが、単純な「原子炉メーカー」とは異なる点です。オクロは原子力発電設備の開発だけでなく、使用済み核燃料から利用可能な核物質を回収し、再び燃料として利用する「燃料リサイクル」にも取り組んでいます。2026年の第2四半期時点では、米国エネルギー省や国立研究所と協力し、燃料リサイクル工程の一連の実証を完了したとしています。さらに、Aurora向けの燃料製造施設についてもDOEのプログラムに選定されており、原子炉だけでなく燃料供給まで垂直統合する構想を進めています。

こうした取り組みのなかで、2026年6月に大きな進展がありました。アイダホ国立研究所(INL)に建設するAuroraについて、DOEが「Preliminary Documented Safety Analysis(PDSA)」を承認したのです。PDSAは、事故分析や安全対策、設計上の安全要件などをまとめた重要な安全審査資料です。承認によってAurora-INLは、DOEのReactor Pilot Program(RPP)のもとで建設・運転に向けたプロセスをさらに前進させることになりました。

さらに、オクロは原子炉開発以外の事業として「Groves」という低出力の試験炉にも取り組んでいます。2026年7月にはDOEからスタートアップ認可を取得し、燃料装荷や起動試験、初臨界に向けた作業を進められる段階に入りました。Grovesは商業規模の同位体生産を支えるための試験炉として位置付けられており、オクロにとって原子炉の建設・運転経験を蓄積する意味も持っています。

そして8月には、Grovesの原子炉が初臨界を達成したとオクロが発表しました。これは、同社が構想段階だけではなく、実際の原子炉を建設し、運転段階へ進めていることを示す出来事です。次世代原子力企業にとって、設計・規制対応と実際の建設・運転は大きく異なるため、実証設備で経験を積めることは今後の商業展開を考えるうえで重要な意味を持ちます。

一方で、投資家が注意したいのが「現在の収益」と「将来への期待」を分けて考える必要があることです。オクロは現時点で、巨大な商用原発を多数運営して安定的な電力収入を得ている企業ではありません。2026年8月に公表された第2四半期決算でも、同社は開発投資を続ける段階にあります。したがって、株式市場で評価される際には、現在の利益水準だけでなく、Auroraの商業化、顧客との契約、燃料供給網の構築、規制承認など、将来の事業展開が大きな意味を持ちます。

そのなかでも重要なのが、顧客との関係です。オクロはデータセンターなど電力需要の大きな顧客への供給を想定しており、将来的には原子炉を販売するだけでなく、発電した電力を長期契約などによって供給するビジネスモデルを目指しています。これは従来の原子炉メーカーとは異なるアプローチです。AI関連の電力需要が長期的に拡大すれば、安定した電源を確保できる先進原子力技術への関心が高まる可能性があります。

もっとも、次世代原子力には大きなリスクもあります。最大のポイントは、商業化までの道のりです。原子力施設は高度な安全性が求められるため、設計が完成しただけでは事業化できません。規制当局による審査、燃料の確保、建設、試運転、運転認可など、複数の段階をクリアする必要があります。Aurora-INLについてもDOEの認可プロセスが進んでいる一方、今後の建設・運転にはさらなる手続きが必要です。オクロ自身も、将来の商業展開では米原子力規制委員会(NRC)との取り組みを継続するとしています。

また、次世代原子炉市場そのものがまだ発展途上である点も重要です。SMRや高速炉、マイクロリアクターなど複数の技術が開発されており、どの方式が大規模な商業市場を形成するかは現時点で確定していません。オクロの技術が実証段階から商業段階へ進むことができるか、そして建設コストや発電コストをどこまで抑えられるかは、今後の企業価値を左右する重要なポイントとなります。

それでも、オクロが注目される背景には、原子力を取り巻く環境の変化があります。脱炭素化に加え、AIやデータセンターの急速な普及によって、安定的かつ大量の電力を確保する必要性が高まっています。太陽光や風力だけでは電力需要をすべて安定的に満たすことが難しい場面もあるため、原子力を新たな電源として捉え直す動きが広がっています。

オクロは、こうした変化の中で「小型・先進型原子炉」「燃料リサイクル」「同位体生産」という複数のテーマを組み合わせようとしています。2026年にはAurora-INLの安全審査が進み、Grovesではスタートアップ認可を取得して初臨界まで到達するなど、実証に向けた進展が見られました。

オクロは、すでに完成された原子力企業というより、これから商業化を目指す「次世代原子力の成長企業」と見るほうが実態に近いでしょう。そのため、投資家が見るべきなのは短期的な利益だけではなく、Auroraの建設・認可、燃料調達、顧客契約、Grovesでの運転実績、そして原子力発電所を実際に収益化するまでの進捗です。AI時代の電力不足という新たなテーマと、原子力の再評価が交差するなかで、オクロは米国の次世代エネルギー市場を考えるうえで注目される企業の一つといえるでしょう。

まとめ:防衛と原子力のサプライチェーンを幅広くカバーする4社

今回紹介した4社は、いずれも米国の防衛・航空宇宙・原子力産業と深く関わっていますが、その立ち位置は大きく異なります。カーティス・ライトは航空宇宙・防衛機器に加えて原子力関連設備を手掛け、ジェネラル・ダイナミクスは原子力潜水艦や戦車、ビジネスジェットまで幅広い事業を展開しています。一方、センタス・エナジーは原子力発電に不可欠な核燃料やHALEUに強みを持ち、オクロは次世代原子炉の商業化を目指しています。つまり、4社を並べて見ることで、防衛装備、原子力設備、核燃料、次世代原子炉という産業の異なる層が見えてきます。今後は米国の国防予算や防衛装備の更新に加え、原子力発電の再評価、SMRなどの次世代炉開発、AIによる電力需要の拡大などが各社の事業環境を左右する可能性があります。ただし、政府予算や規制、生産能力、サプライチェーン、技術開発の進捗など、それぞれ固有のリスクも存在します。企業ごとの事業内容と市場環境を確認しながら、こうした大型テーマが実際の業績や受注につながっているのかを見極めることが重要です。

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