
【初心者必見】株式相続の税金と手続きを完全解説!評価額の計算方法や5つの落とし穴、過去の失敗事例まで徹底網羅
「親が株を持っているけれど、亡くなったら税金はどうなるの?」
「投資信託や株式の相続手続きって、何から始めればいいの?」
新NISAの普及なども相まって、個人が「株式」を保有するケースは爆発的に増えています。しかし、いざ相続が発生したとき、株式の相続は「現金」の相続よりもはるかに複雑で、落とし穴が多いのをご存知でしょうか。
株価は毎日変動するため「いつの時点でいくらと評価するのか」という独特のルール(評価方法)があります。また、名義変更の手続きや、売却時の税金(譲渡所得税)など、初心者にとって難解なハードルがいくつも存在します。
本記事では、株式相続における「税金の仕組み」「評価額の計算方法」「具体的な手続きステップ」「絶対に気をつけるべき注意点」まで、過去のトラブル事例を交えながら、初心者の方にもわかりやすく体系的に徹底解説します。
この記事を最後まで読めば、株式相続で損をしないための知識がすべて身につきます。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
1. 株式の相続税対策・基本概要:現金とは何が違うのか?
株式の相続を正しく理解するための第一歩は、「現金」と「株式」の最大の違いを理解することです。
現金の相続であれば、「銀行口座にある金額 = 相続財産の価値」となるため、計算に迷うことはありません。1,000万円はどこまでいっても1,000万円です。
しかし、株式はそうはいきません。
株式相続の3つの大きな特徴
価値が毎日変動する: 亡くなった日の株価がいくらだったのか、さらに「救済措置」としての特例計算をどう適用するかで税額が大きく変わります。
「上場株式」と「非上場株式」でルールが激変する: 証券会社で買う普通の株(上場株式)と、親が経営している会社の株(非上場株式)では、評価の難易度がまったく異なります。
手続きを怠ると「売却も配当金の受け取りもできない」: 亡くなった人の名義のままでは、株を売って現金化することができません。
相続税がかかるかどうかの境界線「基礎控除」
そもそも、株式を含めたすべての遺産に対して、必ず相続税がかかるわけではありません。相続税には「基礎控除(きそこうじょ)」という非課税の枠があります。
遺産の総額がこの基礎控除の範囲内であれば、相続税の申告も納税も一切不要です。
【例:家族構成が「配偶者と子供2人(計3人)」の場合】
3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
つまり、株式や不動産、現金をすべて合わせて「4,800万円」以下であれば、相続税は1円もかかりません。
まずは、亡くなった方の財産(株式+その他財産)がこの枠を超えるかどうかを把握することが、すべてのスタートラインになります。
2. 【種類別】株式の「相続税評価額」はどうやって決まる?
株式の相続税を計算するには、その株式が「いくらの価値があるか(評価額)」を算出しなければなりません。株式は大きく分けて「上場株式」と「非上場株式(取引相場のない株式)」の2種類があり、それぞれ評価方法が異なります。
特に上場株式には、納税者が不利にならないよう「4つの価格の中で最も低いものを選んでよい」という非常に有利なルールが存在します。
① 上場株式の評価方法(もっとも低い価格を選択可能)
上場株式(日経平均株価に載っているような一般的な株)は、以下の4つの価格のうち、「最も低い金額」を1株当たりの評価額として採用することができます。
被相続人(亡くなった人)が亡くなった日の「終値(おわりね)」
亡くなった月の「毎日の終値の平均値」
亡くなった月の「前月の毎日の終値の平均値」
亡くなった月の「前々月の毎日の終値の平均値」
なぜこのようなルールがあるかというと、「たまたま亡くなった日だけ株価がバブル的に暴騰していた」という場合、その高い株価で税金を計算されると、相続人が莫大な税金を払えず破産してしまうリスクがあるからです。
【具体例で見る評価額の決定】
父親がA社株を10,000株持っていて、10月に亡くなったとします。
① 亡くなった日の終値:1,500円
② 10月の月平均終値:1,400円
③ 9月(前月)の月平均終値:1,300円
④ 8月(前々月)の月平均終値:1,350円
この場合、最も低いのは③の1,300円です。
したがって、相続税評価額は 1,300円 × 10,000株 = 1,300万円 となり、亡くなった日の価格(1,500万円)で計算するよりも200万円分も評価を圧縮することができます。
※もし、亡くなった日が土日祝日で市場が閉まっていた場合は、「その日に最も近い前後の中間の日の終値」や「直近の終値」を採用するなどの細かいルールがあります。
② 非上場株式(同族会社・中小企業の株)の評価方法
親が経営している同族会社や、知人の会社の株など、証券取引所に上場していない株式を「非上場株式(取引相場のない株式)」と呼びます。
これは上場株式のように明確な市場価格がないため、計算が極めて複雑です。会社の規模や、誰がその株を引き継ぐかによって、以下の3つの手法を組み合わせて評価します。
| 評価の手法 | 概要と特徴 |
| 類似業種比準方式 | 自分の会社と似た業種の上場企業の「株価」「配当」「利益」「純資産」と比較して決める方法。中〜大企業向け。 |
| 純資産価額方式 | いま会社を解散したと仮定して、会社の全資産から全負債を引いた「実際の残り価値」をベースに決める方法。小企業向け。 |
| 配当還元方式 | 会社の経営権を持たない「少数株主(雇われ役員や親戚など)」が相続する場合にのみ許される、配当金をベースにした非常に低い評価方法。 |
中小企業の経営者が亡くなった場合、会社の業績が良いと、経営者本人が思っている数倍〜数十倍の「おそろしい相続税評価額」になっていることが多々あります。これを知らずに放置すると、会社の株を引き継いだ子供が、株という「現金化しにくい財産」のために数千万円の相続税を現金でむしり取られるという大悲劇(黒字倒産の原因にもなる)が起こります。
3. 株式相続の手続き:完全ステップガイド
株式の相続が発生した場合、現金のようにつまんで分けることはできません。証券会社に対して、厳格なステップを踏んで手続きを行う必要があります。
順番を間違えると、手続きが何ヶ月もストップしてしまうため、以下の手順をしっかりと頭に入れておきましょう。
4. 株式相続で「絶対に気をつけるべき」5つの落とし穴
株式の相続には、不動産や現金にはない特有の罠が潜んでいます。知らずに放置すると、国税局からペナルティを受けたり、身内同士で骨肉の争いに発展したりします。
落とし穴①:名義変更しないと「売ることも配当を貰うことも」できない
「手続きが面倒だから、亡くなった親の名義のまま配当だけ貰い続けよう」と考える人がいますが、これは厳禁です。
証券会社が口座名義人の死亡を検知した瞬間、口座は完全に凍結されます。凍結されると、株価がどれだけ大暴落しても売却して損切りすることができなくなります。市場が暴落しているのを指をくわえて見ているだけ、という最悪の事態を防ぐためにも、早期の名義変更が必要です。
落とし穴②:相続した株を売ると「さらなる税金(譲渡所得税)」が降ってくる
相続税を無事に払い終えて安心したのも束の間、引き継いだ株を売却して現金化するときに、もう一度税金がかかります。これを「譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)」(一律約20.315%)と呼びます。
ここで初心者が大混乱するのが、「利益の計算のベース(取得費)は、親がその株を大昔に買ったときの価格を引き継ぐ」というルールです。
【恐怖の取得費不明トラブル】
亡くなった父親が、昭和のバブル期に「1株100円」で買った株が、現在「1株1,000円」になっていたとします。あなたがそれを相続し、1,000円で売却しました。
あなたから見れば「1,000円で相続したものを1,000円で売ったから利益はゼロ」に見えますが、税法上は「親が買った100円から、あなたが売った1,000円までの差額(900円)」がすべてあなたの利益(譲渡益)とみなされます。
そのため、売却額の約20%ではなく、その膨大な差額に対して約20%の税金が課されます。もし親がいくらで買ったか証明する書類(当時の顧客控除元帳など)を紛失している場合、強制的に「売却額の5%の価格で買った」とみなされてしまうため、売却額のほぼ全体に課税されるという地獄のようなペナルティが待っています。
落とし穴③:ネット証券の「パスワードがわからない」問題
現代ならではのトラブルです。SBI証券や楽天証券などのネット証券は、紙の通知書が一切届かない「完全ペーパーレス」の設定にしている人が多いため、親が亡くなった後に「どこのネット証券に、いくら株があるのか遺族が全く気づかない」という事件が多発しています。
スマホのロックが解除できず、メール履歴も追えない場合、前述の「ほふり(証券保管振替機構)」への開示請求が唯一の命綱になります。
落とし穴④:「名義株(めいぎかぶ)」とみなされるリスク
親が良かれと思って、子供であるあなたの名前で口座を作り、こっそりお金を入れて株を運用していたとします。「これは私の名義の口座だから、私の財産だ」と主張したくなりますが、税務署は許してくれません。
口座の資金を出したのが親である
ハンコや通帳、パスワードを管理していたのが親である
子供本人がその口座での取引を知らなかった
これらの条件に当てはまる場合、名前が子供であっても「実質的には親の財産(名義株)」とみなされ、きっちり相続税の対象にカウントされます。税務調査で最も突っ込まれやすいポイントの一つです。
落とし穴⑤:投資信託の「含み益」に潜む二重課税感
投資信託も株式と同様に相続されますが、投資信託には「分配金」や「解約時の元本払い戻し」の仕組みがあります。特に、個別元本(購入時の価格)が遺族には分かりにくいため、相続税の申告書を作る段階で計算ミスが多発し、税務署からの指摘を受けやすい財産と言えます。
5. 【過去の事例・判例から学ぶ】株式相続のリアルな失敗談
法律や数字だけを見ていても、実際のイメージは湧きにくいものです。ここでは、過去に実際に起きた株式相続を巡るトラブル事例を2つ、分かりやすく噛み砕いて紹介します。
事例①:株価の「大暴落」に巻き込まれ、納税資金が破綻したAさん
状況: 父親が有名ハイテク企業の株式を「3億円分」保有した状態で急逝。
失敗の引き金: 父親が亡くなった時点(課税時期)の株価をベースに相続税を計算したところ、他の財産と合わせて「約8,000万円」の相続税が確定した。相続人である長男のAさんは、「四十九日が明けてからゆっくり株を売って税金を払おう」と考え、口座を数ヶ月放置した。
結果: その後、世界的な金融ショックが発生。A社株はなんと3分の1(1億円)にまで大暴落してしまった。
悲劇: 税務署から要求される相続税は、あくまで「亡くなった時点の価値(3億円)」をベースにした8,000万円のまま。手元の株をすべて売却しても1億円にしかならず、そこから8,000万円の税金を払うと、手元には2,000万円しか残らない。当初「2億2,000万円が手に入る」と信じていたAさんは、精神的に大打撃を受け、遺産分割で親族とも揉める結果となった。
この事例からの教訓:
株式は値動きがあるリスク資産です。相続税の納税を株式の売却資金で賄う予定がある場合は、「遺産分割協議を最速で終わらせ、名義変更が完了した瞬間に売却する」か、生前にあらかじめ一部を現金化しておくべきです。
事例②:認知症の父親の口座を勝手に動かし、親族間で大揉めしたB家
状況: 父親が認知症になり、施設に入所。長男のBさんは「父親の認知症が進行して口座が凍結される前に、今のうちに株を売って家族のために使おう」と、父親のパスワードを使ってネット証券で勝手に全株を売却し、現金化した。
失敗の引き金: その1年後に父親が死亡。相続の段階になって、次男が「親父の口座から不自然に株が消えて現金になっている。兄貴が勝手に使い込んだのではないか!」と激怒。
結果: 税務署の調査により、亡くなる前の売却行為は「本人の意思によるものとは認められない(または生前贈与に該当する)」と指摘され、過去に遡って贈与税のペナルティが課された上、兄弟間での裁判にまで発展。数年にわたり家族の絆が引き裂かれることになった。
この事例からの教訓:
どんなに良かれと思っても、本人の生前に「意思確認ができない状態」で口座を操作するのは絶対にNGです。認知症対策であれば、元気なうちに「家族信託」を結ぶか、証券会社が用意している「代理人指名制度」を正しく利用しなければなりません。
・投資で収入を得たい、資産を増やしたい YES or NO
・リスクはできるだけ抑えたい YES or NO
・投資先の見極め方を知りたい YES or NO
・成功している投資家と接点が欲しい YES or NO
・物価上昇への対策には投資が必要と考えている YES or NO
6. 知って得する!株式相続の税金を抑える「最強の節税テクニック」
相続税は、何もしなければ額面通りに取られますが、法律に則った正しい「対策」を生前に行っておくことで、驚くほど税額を抑えることができます。株式ならではの賢い節税手法を3つ紹介します。
① 暦年贈与(れきねんぞうよ)と「株価の下落タイミング」の融合
年間110万円までの贈与が非課税になる仕組み(暦年贈与)を使って、生前に子供へ株を移していく方法です。
これの最大の裏技は、「株価が一時的に暴落しているタイミングを狙って贈与する」ことです。
【暴落時贈与のシミュレーション】
将来的に確実に値上がりが期待できる企業の株を親が持っているとします。普段は1株2,000円ですが、一時的な業績悪化や市場全体の冷え込みで「1株1,000円」に半減したとします。
この瞬間に子供に贈与を行えば、同じ110万円の非課税枠であっても、普段の2倍の数量の株(1,100株)を無税で子供に渡すことができます。その後、親が亡くなる前に株価が2,000円に戻れば、子供の手元で資産が勝手に増えているため、結果として未来の相続税を莫大に圧縮したことになります。
※ただし、2024年の税制改正以降、「亡くなる前7年以内」に行われた暦年贈与は、亡くなった時に相続財産に連戻し(カウントバック)されて相続税の対象になるというルールに変更されています。そのため、この対策は「親が元気なうちから、10年以上の長期スパンで計画的に行う」ことが絶対条件です。
② 新NISA口座の活用と相続時の注意点
2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)。「NISA口座で運用している株は、相続時も非課税になるの?」という質問が非常に多いですが、結論から言うと「相続税は普通にかかる(非課税にならない)」ので注意してください。NISAの非課税メリットは、あくまで「生前の運用益や配当金」に対してだけです。
また、親のNISA口座にある株を子供が相続する場合、子供のNISA口座に直接「株のまま」移すことはできません。 親のNISA口座の株は、相続が発生した時点で一度「課税口座(特定口座または一般口座)」に強制移管されます。
NISAの裏技的対策:
もし親の体調が優れず、近い将来に相続が発生しそうで、かつ基礎控除を大きく超える資産がある場合、あえて親のNISA口座内の株を元気なうちに一度売却(現金化)し、それを前述の「年間110万円の生前贈与」や「教育資金の一括贈与」などの別ルートで子供に回したほうが、トータルの税金が安くなるケースがあります。
③ 「相続時精算課税制度」の令和改正版を使い倒す
2024年の法改正で神アップデートされたのが「相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)」です。これは、原則2,500万円までの贈与がその場では非課税になり、親が亡くなった時に初めて相続税としてまとめて精算するシステムです。
新ルールの最大のメリットは、「この制度を選んだ後も、新設された年間110万円の基礎控除枠は、将来の相続税に一切加算(連戻し)されなくていい」という点です。
株式投資が好きな親であれば、この制度を使って早めに子供に資金や株式を移し、子供名義の口座で若いうちから運用を開始させることで、親の財産そのものが膨らむ(=将来の相続税が高くなる)のを未然に防ぐことができます。
7. まとめ & チェックリスト
株式の相続は、「価格が動く」「証券会社ごとにルールが違う」「売却時の税金まで見据える必要がある」という点で、現金よりも圧倒的に難易度が高いです。
最後に、あなたが今やるべきアクションをチェックリストにまとめました。
株式相続の準備・実行チェックリスト
[ ] 【生前】 親が「どこの証券会社」に口座を持っているか、一覧をメモしているか?
[ ] 【生前】 ネット証券の場合、ログインIDや登録メールアドレスの存在を遺族が知っているか?
[ ] 【死亡後】 亡くなった日時点の「残高証明書」を証券会社に請求したか?
[ ] 【死亡後】 過去4つの株価(当日、当月平均、前月平均、前々月平均)の中で、最も低いものを選択して評価額を計算したか?
[ ] 【手続き】 株を引き継ぐ相続人自身が、同じ証券会社に口座を開設したか?
[ ] 【売却時】 親がその株をいくらで買ったかを示す「取得費の証明書(古い取引報告書など)」が家にあるか?
株式の相続税申告は、1円の計算ミスや特例の使い忘れで、数十万〜数百万円の損をしてしまうことが日常茶飯事です。もし遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えそう、あるいは非上場の会社の株がある場合は、自分で無理にやろうとせず、相続専門の税理士に相談することを強くお勧めします。
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【重要】免責事項
投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。
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