「投資信託の99%は買ってはダメ」と言われる裏事情|本物の1%を見抜く「資産運用の教科書」

「投資信託の99%は買ってはダメ」と言われる裏事情|本物の1%を見抜く「資産運用の教科書」

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

序章:なぜ「投資信託の99%は買う価値がない」と言われるのか

日本の個人金融資産が約2,100兆円を超え、「貯蓄から投資へ」という国を挙げたスローガンのもと、新NISAやiDeCoの普及とともに投資を始める人が爆発的に増えています。金融庁のバックアップもあり、証券会社の口座開設数は過去最高を更新し続けています。

しかし、この空前の投資ブームの陰で、数多くの個人投資家が「投資信託を買ったのに思ったように資産が増えない」「むしろ元本割れをして損をした」という壁にぶち当たっています。

経済評論家の故・山崎元氏をはじめとする多くの金融理論家や良心的な投資家は、常々次のような冷酷な真実を指摘し続けてきました。

「世の中に存在する約6,000本以上の公募投資信託のうち、個人投資家が購入するに値するものは1%未満に過ぎない。残りの99%は、個人投資家の資産を削り、金融機関を潤すためだけに作られた粗悪な商品である」

「プロが運用してくれるから安心」「多くの銘柄に分散されているから安全」といった営業トークを信じ、銀行の窓口や対面証券会社でおすすめされるがまま商品を購入した結果、本来得られるはずだったリターンを運用会社や販売会社に吸い上げられている個人投資家が後を絶ちません。

なぜ、これほどまでに粗悪な金融商品が市場にあふれかえっているのでしょうか。そして、個人投資家はいかにしてそのトラップを回避し、正解である「残り1%」にたどり着けばよいのでしょうか。

本記事では、金融業界の裏側に潜むインセンティブ構造を徹底的に解剖するとともに、「残り1%」の優良ファンドの選び方、さらには投資初心者でも今日から実践できる体系的な金融リテラシーまでを網羅して詳しく解説します。

第1章:投信の99%がダメな「5つの構造的理由」

投資信託の99%が個人投資家にとって害悪となる理由は、運用担当者(ファンドマネージャー)の能力不足や努力不足ではありません。「金融機関のビジネスモデルと顧客の利益が根本的に対立している」という構造的欠陥に最大の原因があります。

【金融機関と個人投資家の構造的対立】
・金融機関のゴール  : 手数料(販売手数料・信託報酬)を最大化すること
・個人投資家のゴール: 手数料を極小化し、長期的な運用リターンを最大化すること
  ⇒ 利益が相反しているため、営業担当者の「おすすめ」は投資家にとっての「NG商品」になる

 

具体的に5つの理由に分けて深掘りしていきます。

理由1:高額なコスト(販売手数料と信託報酬)という「確実なマイナス」

投資信託のリターンを決定づける要素は、概念的に以下のシンプルな計算式で表すことができます。

投資家の実質リターン = 市場全体の成長率 ± 運用の巧拙(α) – 各種手数料(コスト)

この計算式において最も重要なのは、「将来の市場成長率」も「運用の巧拙」も事前には誰一人として予測できない不確実な数値であるのに対し、「手数料」だけは購入した瞬間に100%確定するマイナスリターンであるという点です。

コストの種類内容と特徴具体例と資産へのダメージ
販売手数料購入時に販売会社(銀行・証券会社)へ支払う手数料(0%〜3.3%程度)。1,000万円で販売手数料3.3%のファンドを買うと、購入した瞬間に33万円が差し引かれ、資産は967万円からスタートする。スタート時点で3.3%の負けを背負うことになる。
信託報酬ファンドを保有している期間中、毎日資産残高から自動的に差し引かれる管理費用(年0.05%〜2.2%程度)。信託報酬2.0%のファンドに1,000万円を預けた場合、何もしていなくても毎年約20万円が運用会社・販売会社・信託銀行に抜き取られる。
信託財産留保額解約して途中売却する際に支払うペナルティ費用(0%〜0.5%程度)。流動性を損なわせる要因となる。

【具体例】年率2%の信託報酬が奪い去る「複利の未来」

例えば、1,000万円を年利5%で30年間運用できたと仮定します。

  • コストゼロ(信託報酬0%)の場合: 30年後の資産額 = 約4,322万円(運用益:3,322万円)

  • 低コスト(信託報酬0.1%)の場合: 実質利回り4.9% = 30年後の資産額 = 約4,202万円(運用益:3,202万円/コスト影響:約120万円

  • 高コスト(信託報酬2.0%)の場合: 実質利回り3.0% = 30年後の資産額 = 約2,427万円(運用益:1,427万円/コスト影響:約1,895万円

たかが「2%」と思うかもしれませんが、30年間という長期で比較すると、高コストファンドは本来得られるはずだった利益の半分以上(約1,895万円)を奪い去る計算になります。市場で年5%のリターンを出し続けることがどれほど困難かを考えれば、確定で2%を奪っていく高コストファンドがどれほど致命的かが理解できます。

理由2:アクティブファンドの9割がインデックスに勝てない

投資信託は運用手法によって大きく2つに分かれます。

  1. インデックスファンド: 日経平均株価やS&P500などの市場指数(ベンチマーク)と連動する成果を目指すファンド。

  2. アクティブファンド: 専門家(ファンドマネージャー)が企業取材や分析を行い、市場平均を上回る成果を目指すファンド。

一見すると、「優秀なプロが夜遅くまで調査して厳選したアクティブファンドのほうが、機械的に全体を買うインデックスファンドより高い成果を出せる」と思われがちです。しかし、半世紀以上にわたる世界中の金融研究によって、その直感は完全に否定されています。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が毎年公表しているパフォーマンス調査(SPIVAレポート)などのデータによると、10年〜15年以上の長期スパンで見ると、80%〜90%以上のアクティブファンドが市場平均(インデックス)の成績を下回ることが立証されています。

なぜプロが機械的な指数に負けるのか?

  • ハイコストの壁: アクティブファンドはアナリストの人件費や銘柄調査費がかかるため、信託報酬が1.0%〜2.0%超と高額になります。インデックスに勝つためには、市場平均に勝つだけでなく、「高額な信託報酬分のハンデ」を上回る超絶的なパフォーマンスを出し続けなければなりません。

  • 市場の効率性: 現代の株式市場には世界中のプロが膨大なデータを駆使して参加しているため、割安な銘柄(お宝銘柄)は瞬時に買われて適正価格になります。プロであっても「市場の先回り」をし続けることは不可能です。

  • 再現性のなさ: 過去3年間で素晴らしい成績を残したアクティブファンドを選んだとしても、次の5年間でそのファンドが上位に残り続けられる確率はランダム(サイコロを振るのと同じ)以下であることが分かっています。

高額なコストを取りながら市場平均に負け続けるアクティブファンドが数千本単位で放置されていることこそが、「99%がクズ」と呼ばれる最大の理由の一つです。

理由3:金融機関の手数料稼ぎ「回転売買」の存在

銀行や対面証券会社の営業担当者には、厳しい営業ノルマが課されています。彼らの最大のミッションは「顧客の資産を増やすこと」ではなく、「自社の今期の売上(手数料収入)を増やすこと」です。

ここに構造的な「利益相反」が生じます。顧客が信託報酬0.09%の低コストインデックスファンドを購入し、それを30年間じっくり持ち続け(放置し)たらどうなるでしょうか。顧客の資産は順調に増えますが、金融機関側に入ってくる手数料は年間わずか数千円程度であり、営業担当者の給料も店舗の賃料も支払えません。

そこで行われるのが「回転売買の誘導」です。

【回転売買の典型的なパターン】
1. 顧客に販売手数料3%の「〇〇AI関連ファンド」を1,000万円で買わせる(手数料30万円GET)。
2. 1年後、少し値上がりしたタイミングで「一度利益確定して、今大注目の〇〇インド成長株ファンドに乗り換えましょう!」と提案する。
3. 解約させて、新しいファンドを買わせる(再び販売手数料30万円GET)。
4. 逆に値下がりした場合でも「このファンドはもうダメです。損切りして、こちらの防御型ファンドに乗り換えて挽回しましょう」と提案する。

 

このように、顧客のお金を数年ごとにぐるぐると商品間で移動させることで、購入時の手数料(2%〜3%)を何度も徴収する手法が横行してきました。顧客は売買のたびに大量の手数料を削られ、資産を徐々に減らしていくことになります。

理由4:顧客の利益を無視した「テーマ型」と「毎月分配型」の罠

金融機関が「今一番売りやすい(マーケティングしやすい)」という理由だけで組成し、大量に売れ残っている代表的な2つの罠商品があります。

① テーマ型ファンド(例:「ロボティクス」「メタバース」「AI」「宇宙開発」など)

テーマ型ファンドとは、その時々のトレンドや流行語を冠したファンドです。

  • 罠の理由: 金融機関がテーマ型ファンドを作るのは、そのテーマが世間で話題になり、株価がすでにピーク(高値圏)を迎えているタイミングです。ニュースで連日報道され、一般人が「すごそうだ」と思った時には、組み込まれている関連銘柄の株価は既に上がりきっています。

  • 結果: 投資家が購入した直後からブームが去って高値掴みとなり、二度と元の基準価額に戻らないケースが相次ぎます。過去の「IT革命ファンド」や「バイオ関連ファンド」の多くが悲惨な下落をたどった歴史がそれを物語っています。

② 毎月分配型ファンド

「毎月お小遣いのように5万円が振り込まれます」といった売り文句で、退職金を持つ高齢者をターゲットに爆発的に売れた商品です。

  • 罠の理由: 毎月分配型の正体は、運用利益から分配金を払うのではなく、運用成果が出ていなくても自分自身が預けた元本を取り崩して払い戻している「特別分配金(タコ足分配)」です。

  • 結果: 自分の財布からお金を出して、自分のポケットに戻されているだけに過ぎません。それどころか、分配金を払い出すたびに課税の機会が生じ(※普通分配金の場合)、投資の最大の武器である「複利効果(得た利益を再投資して雪だるま式に増やす効果)」を完全に破壊します。

理由5:複雑な仕組債やオプションを組み込んだ「ブラックボックス商品」

金融知識が乏しい個人投資家に高手数料商品を売るための最終兵器が、「複雑な仕組みを持つファンド」です。

  • カバードコール戦略付きファンド

  • 下落リスク限定(プロテクション機能付き)ファンド

  • デリバティブ(金融派生商品)組み込み型ファンド

これらは一見すると「値下がりリスクを抑えながら、高い利回りが狙える夢のような商品」に見えます。しかし、金融工学の裏側を紐解くと、「上昇時のリターン上限は極めて低いのに、暴落時の下落リスクはしっかりと引き受ける」という、投資家にとって著しく不利(非対称)なリスク・リターン構造になっています。

パンフレットや目論見書を読んでも一般人が構造を理解できない複雑なファンドは、金融機関が「高い隠れコスト」を滑り込ませるためのブラックボックスに過ぎません。

第2章:本物の「1%の優良商品」を見抜く3つの絶対条件

99%のクズ商品を排除した後に残る「残り1%の優良な投資信託」とはどのようなものでしょうか。その条件は驚くほどシンプルで、以下の3つの条件をすべて満たすものだけです。

【1%の優良ファンドの3大条件】
  条件①:コストが極小である(ノーロード + 信託報酬0.2%以下)
  条件②:広く分散された伝統的インデックスファンドである(全世界株・全米株)
  条件③:分配金「再投資型」であり、純資産総額が大きい(100億円以上)

 

条件1:超低コストであること(ノーロード&信託報酬0.2%以下)

  • 購入時手数料(販売手数料): 0円(ノーロード)であること。1円たりとも購入時に払ってはいけません。

  • 信託報酬: 年0.05%〜0.2%程度の極小コストであること。

現在、ネット証券(SBI証券や楽天証券など)で購入できる主要な優良インデックスファンドの信託報酬は、年0.0575%〜0.1%程度まで下落しています。1,000万円を預けても年間の管理費用は5,000円〜1万円程度で済む時代です。

条件2:広く分散された「伝統的インデックスファンド」であること

特定の国(例:ブラジル、インドなど)や特定の業界(例:半導体、不動産など)に偏らず、世界中の株式全体に広く投資するインデックス(市場指数)に連動するファンドを選びます。

  • 全世界株式(ACWI / オール・カントリー): 「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」などに連動するファンド。これ1本で日本を含む先進国・新興国約47カ国、約3,000社以上の企業に時価総額比率で丸ごと分散投資ができます。

  • 全米株式(S&P500 / CRSP US Total Market): 米国を代表する主要500社(S&P500)や、米国株式市場のほぼ100%をカバーする指数に連動するファンド。世界経済の牽引車である米国に集中投資する選択肢です。

条件3:分配金「再投資型」で資産規模が大きいこと

  • 分配金方針: 運用内で発生した企業の配当金などを外に払い出さず、ファンド内部でそのまま自動的に再投資してくれるタイプ(非分配型・再投資型)を選びます。分配金を出さないことで税金の発生を繰り延べ、複利効果を最大化できます。

  • 純資産総額: 少なくとも100億円以上(できれば数千億円〜数兆円規模)あり、順調に資金が流入して成長しているファンドを選びます。純資産が小さすぎると、途中で運用が打ち切られる「繰上償還」のリスクが生じます。

【具体例】代表的な「1%」の優良ファンド一覧

日本の個人投資家が選ぶべき「正解のファンド」の代表例は、以下のシリーズに集約されます。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)

  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

  • SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

  • 楽天・オールカントリー・株式インデックス・ファンド

これらのファンドは、「ノーロード」「業界最安水準の信託報酬」「分配金自動再投資」「巨額の純資産」という条件を完璧に満たしています。

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第3章:初心者のための「体系的金融・投資の基礎知識」

99%の粗悪品を完全に回避し、1%の本物を正しく活用して資産を形成していくためには、根幹となる金融知識を体系的に整理しておく必要があります。ここからは、投資初心者でも迷わないよう、ステップバイステップで解説します。

【体系的な資産形成の5ステップ】
 Step 1:家計の可視化と「生活防衛資金」の確保
 Step 2:リスクとリターンの正しい理解
 Step 3:アセットアロケーション(資産配分)の決定
 Step 4:非課税制度(新NISA・iDeCo)のフル活用
 Step 5:「長期・積立・分散」の原則を死守する

 

ステップ1:家計の可視化と「生活防衛資金」の確保

投資を始める前に、絶対にやらなければならないのが「生活防衛資金」の確保です。

手元にある現金をすべて投資に回してはいけません。株式市場は急暴落することがあり、人生には病気やケガ、失業などの不測の事態が起こり得ます。暴落時に生活費が足りなくなって投資信託を損切りする事態を避けるため、「絶対に手をつけてはいけない現金」を確保します。

  • 生活防衛資金の目安: 月々の生活費の3ヶ月〜1年分(会社員なら3〜6ヶ月分、自営業者や子供がいる家庭なら1年分程度)。

  • 保管場所: 銀行の普通預金など、いつでも引き出せる流動性の高い場所。

この生活防衛資金を除いた「当面使う予定のない余裕資金」だけを投資に回すのが鉄則です。

ステップ2:リスクとリターンの正しく本質的な意味

金融の世界において「リスク」という言葉は、日常会話の「危険」や「損をする確率」という意味とは異なります。

  • リスク(Risk): リターンの振れ幅(標準偏差)のこと。

  • リターン(Return): 投資によって得られる成果(収益・損失)のこと。

「リスクが高い」とは、「めちゃくちゃ儲かるかもしれないし、めちゃくちゃ損するかもしれない(振れ幅が大きい)」という意味であり、「絶対に損をする」という意味ではありません。

【リスクとリターンの振れ幅のイメージ】
ローリスク・ローリターン    : [ +2%  〜  −1% ] (預金・国債など)
ミドルリスク・ミドルリターン: [ +15% 〜 −10% ] (バランス型など)
ハイリスク・ハイリターン    : [ +40% 〜 −30% ] (株式型インデックスなど)

 

金融理論上、「ローリスク・ハイリターン(安全に大儲けできる)」という商品は地球上に存在しません。もしそのような商品を勧められたら、100%詐欺か劣悪な商品です。「高いリターンを得るためには、相応の振れ幅(一時的な含み損)を受け入れなければならない」のが金融の基本原理です。

ステップ3:アセットアロケーション(資産配分)の決定

投資成果の約8割〜9割は、「どの銘柄を買うか」ではなく「資産をどのような割合(アセットアロケーション)で配分するか」によって決まると言われています。

主な資産(アセット)の特徴は以下の通りです。

  1. 無リスク資産(現金・個人向け国債): 元本が保証されており、価格変動がない。

  2. 株式(国内・外国): リスク(振れ幅)は大きいが、長期的に最も高い成長・利回りが期待できる。

  3. 債券(国内・外国): 株式と逆の動き(マイルドな動き)をしやすく、クッションの役割を果たす。

自分の年齢、リスク許容度(どれくらいの含み損に耐えられるか)に合わせて配分を決めます。

  • リスクをしっかり取って資産を増やしたい20代〜40代: 「現金(生活防衛資金) + 株式100%(オルカンやS&P500)」

  • 暴落のストレスを減らし、安定運用したい50代〜60代: 「現金・国債 50% + 株式 50%」

ステップ4:非課税制度(新NISA・iDeCo)のフル活用

本来、株式や投資信託で得た運用利益(売却益や配当金)には、20.315%の税金がかかります(100万円の利益が出たら、約20万円が税金として徴収される)。

しかし、日本にはこの税金をゼロにできる非常に強力な制度が存在します。投資を行う際は、必ずこれらの非課税制度の「枠」から優先して使い切るのが鉄則です。

┌─────────────────────────┐
│                        日本の二大非課税制度                             │
├──────────┬─────────────┤
│            新NISA             │                 iDeCo                  │
├─────────────┼──────────────────┤
│ ・年間投資枠:最大360万円      │ ・毎月の拠出額に上限あり(属性による)  │
│ ・生涯非課税保上限:1,800万円 │ ・非課税+「掛金が全額所得控除」になる │
│ ・非課税期間:無期限           │ ・受取時も退職所得控除等の優遇あり     │
│ ・いつでも売却・現金化が可能   │ ・原則60歳まで引き出し不可             │
└──────────────┴────────────────┘

 

新NISA運用の最適解

つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を使い、前述した「1%の優良インデックスファンド(例:eMAXIS Slim 全世界株式)」を淡々と積み立てていくのが、個人の資産形成における最適解です。

ステップ5:「長期・積立・分散」と複利の力

資産形成を成功に導く絶対のゴールデントライアングルが「長期」「積立」「分散」です。

1. 長期投資(Time in the market)

株式市場は短期的(1日〜数年単位)にはランダムに上下し、暴落することもあります。しかし、15年〜20年以上の長期スパンで見ると、世界経済の人口増加とテクノロジーの進化に伴い、右肩上がりの成長に収斂していきます。

過去の統計データ上、全世界株式やS&P500に20年以上分散投資を継続した場合、どの時期にスタートしたとしても元本割れをしたケースは過去に一度もありません

2. 積立投資(ドル・コスト平均法)

毎月決まった日に、一定額(例:毎月3万円)を機械的に買い続ける手法です。

  • 株価が高い時 = 少ない数量を買う

  • 株価が暴落した時 = 多くの数量を買う

これにより、感情を排除して平均購入単価を自動的に引き下げることができます。暴落が起きた時こそ「安くたくさん買えるチャンス」に変えることができる、初心者にとって最強の防御手法です。

3. 複利(Compound Interest)の絶大な効果

単利(増えた利益を受け取ること)ではなく、複利(得た利益をそのまま元本に組み入れて再び運用すること)を活用することで、資産は後半になればなるほど爆発的に増えていきます。

【1,000万円を年利5%で運用した場合の資産推移】
 10年後 : 約1,629万円 (利益:+ 629万円)
 20年後 : 約2,653万円 (利益:+1,653万円)
 30年後 : 約4,322万円 (利益:+3,322万円) ← 30年で資産は4.3倍以上に!

 

第4章:シミュレーションで見る「正解の投資」の実感

具体例として、「1%の優良ファンド(年率0.1%のコスト、想定利回り年5%)」を使い、「毎月5万円」をコツコツと積立運用した場合のシミュレーションを確認してみましょう。

金融庁積立シミュレーター  https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/

毎月5万円(年間60万円)の積立を20年間続けた場合、投資した元本は1,200万円となりますが、年率5%の複利効果によって最終的な資産総額は約2,055万円(運用益:約855万円)に達することが視覚的に理解できます。

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第5章:初心者が絶対にハマる「5つの落とし穴」とその回避策

最後に、初心者投資家が途中で挫折してしまう典型的なパターン(落とし穴)と、その具体的回避策をまとめます。

落とし穴1:暴落に耐えかねて狼狽売り(ろうばいうり)してしまう

  • 現象: リーマンショックやコロナショックのような〇〇ショックが起き、自分の資産が「1,000万円⇒600万円」に急減した際、恐怖に耐えきれず売却(損切り)してしまう。

  • 回避策: 暴落は投資の過程で必ず(数年に一度は)訪れる「バーゲンセール」だと正しく認識すること。「株価を見ない(放置する)」「売却せず淡々と積立注文を続ける」のが解です。過去のあらゆる暴落も、保有し続けた投資家は数年で元以上の高値に回復しています。

落とし穴2:メディアやSNSの「煽り情報」に振り回される

  • 現象: 「新NISAは罠!今すぐ売れ」「これからは〇〇の時代!」といったYouTubeやSNSの極端な情報に影響を受け、コロコロとファンドを変えてしまう。

  • 回避策: 一度「全世界株式」などの優良インデックスを選んだら、外部の情報(ノイズ)を遮断すること。投資において「何もしないこと(放置)」こそが最高の手法です。

落とし穴3:生活費まで投資に回してしまう

  • 現象: 「銀行に預けておいても増えないから」と、来月の生活費や賃貸の更新料、子供の学費まで投資信託に変えてしまう。

  • 回避策: 必ずステップ1で解説した「生活防衛資金」を別口座に確保し、最悪の暴落が起きても生活に何の影響も出ない範囲で運用すること。

落とし穴4:対面窓口や電話で「相談」してしまう

  • 現象: 「よく分からないからプロに相談しよう」と、銀行や大手証券会社の窓口に行く。

  • 回避策: 窓口の担当者は「あなたの資産を増やすプロ」ではなく「自社の商品を売る営業のプロ」です。相談した時点で高手数料商品を勧められるカモになります。ネット証券(SBI証券、楽天証券など)を開設し、ネットで完結させることが唯一の防衛策です。

落とし穴5:隣の芝生(個別株や暗号資産で爆益を出した人)を羨む

  • 現象: 「友人が〇〇株で資金を10倍にした」「暗号資産で一獲千金した」という話を聞き、自分の地味なインデックス投資がバカバカしくなってハイリスク商品に手を出す。

  • 回避策: インデックス投資は「つまらないが、勝率が極めて高い手法」です。一獲千金を狙うギャンブルと資産形成を明確に区別し、「自分は確実に世界平均の豊かさを享受する」という軸をブレさせないようにしましょう。

終章:金融リテラシーこそが人生を守る最強の防具

「投資信託の99%はクズである」という事実は、一見すると絶望的な業界の闇に見えるかもしれません。しかし、考え方を転換してみてください。

「金融業界の罠と構造を正しく理解し、不要な99%を無視して、残り1%の正解(超低コストな全世界・全米株インデックス)を新NISAで購入して放置するだけで、プロやお金持ちと同じ投資成果を誰でも享受できる」

これほど個人投資家にとって有利で恵まれた時代は、歴史上かつて存在しませんでした。

金融の世界では、「無知」であること自体が最大のコストとなり、無知な人から知識のある人へと富が移動するようにできています。

個人投資家が今日から実践すべき「行動リスト」

  1. 対面店舗(銀行・対面証券)の窓口には絶対に行かない。

  2. ネット証券(SBI証券や楽天証券等)で口座を開設する。

  3. 生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)を現金で確保する。

  4. 新NISAで「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などのノーロード&超低コストインデックスファンドを毎月積立設定する。

  5. 設定した後は日々の株価を気にせず、本業や人生の楽しみに時間を使う(ほったらかす)。

正しい知識(金融リテラシー)を身につけ、自らの手で資産を守り育てる一歩を踏み出しましょう。

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【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

  • 情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。

  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

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