
学資保険をおすすめしない5つの決定的な理由|新NISAとどっちが正解?18年後の受取額を徹底比較
「学資保険はやめておけ」という声をネットやSNSで目にすることが増えました。かつては「子供が生まれたら学資保険」というのが当たり前の方程式でしたが、超低金利時代が続く現代において、その常識は大きく揺らいでいます。
本記事では、「なぜ学資保険はおすすめしないと言われるのか」という理由を徹底解剖し、インフレリスクや元本割れの罠、そして学資保険に代わる「令和時代の教育資金づくり」の最適解を詳しく解説します。
監修者:市川雄一郎
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)
公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長
1. 学資保険を「おすすめしない」と言い切れる5つの決定的理由
「学資保険をおすすめしない」という主張の裏側には、単なる感情論ではなく、冷徹なまでの**「経済的合理性」**の欠如があります。なぜ多くの専門家が否定的な見解を示すのか、5つの理由を具体的な数字とシミュレーションを用いて解説します。
① 利回りの限界:18年間の「拘束」に対する対価が低すぎる
学資保険を検討する際、最も目につきやすいのが「返戻率」という言葉です。多くの商品は103%〜106%程度を提示していますが、これを年利(複利)に換算すると、その非効率性が浮き彫りになります。
具体的な数字で見る利回り
例えば、ある大手生命保険会社の学資保険を例に挙げます。
条件: 0歳から加入、10歳で払込完了、18歳で300万円受取
月額保険料: 約24,000円(総払込額:約288万円)
受取総額: 300万円
返戻率: 104.1%
18年間の利益: 12万円
この「18年で12万円のプラス」を年利換算(IRR:内部収益率)すると、わずか年0.3〜0.4%程度です。 もし、新NISA等で全世界株式(オルカン)に投資し、過去の平均的な期待リターンである年5%で運用できた場合、同じ月2.4万円を10年間積み立て、その後8年間放置すると、受取額は約540万円に達します。
「12万円の利益」と「252万円の利益(期待値)」。この圧倒的な機会損失こそが、おすすめしない最大の理由です。
② インフレリスク:18年後の「300万円」は今の価値ではない
日本でも近年、物価上昇(インフレ)が現実味を帯びてきました。学資保険は契約時に受取額が固定される「定額制」の商品です。これが長期契約において致命的なリスクとなります。
大学授業料の推移という現実
文部科学省のデータを見れば明らかですが、国立大学の授業料は昭和50年から現在にかけて約15倍に跳ね上がっています。
シミュレーション:年間2%のインフレが続いた場合 現在の300万円の価値は、18年後には約210万円相当まで目減りします。
もし、18年後に大学の入学金や授業料が今の1.2倍になっていたとしたら、学資保険でコツコツ貯めた300万円では、当初予定していた教育費を賄いきれない「資金不足」が発生します。学資保険は「円の数字」は守ってくれますが、「お金の価値」は守ってくれないのです。
③ 資金の流動性:人生の「予期せぬ事態」に極めて弱い
学資保険は「解約すれば損をする」という仕組みで成り立っています。これが家計にとって大きな足かせとなります。
「元本割れ」というペナルティ
契約から5年〜10年程度で解約した場合、多くのケースで返戻率は70%〜90%程度になります。
事例: 月2万円を5年間支払い(計120万円)、急な失業や病気で解約。
戻ってくるお金: 約100万円(20万円の損失)
子供の成長過程では、中学受験への進路変更、住宅ローンの借り換え、親の転職など、家計の優先順位が変わる局面が多々あります。その際、「引き出すと損をするから動かせないお金」を数百万円単位で抱えることは、家計のレジリエンス(回復力)を著しく低下させます。
④ 保障のコスト:貯蓄を阻害する「特約」の罠
学資保険には「育英年金」や「医療特約」などのオプションを付帯できるものが多いですが、これが貯蓄効率をさらに悪化させます。
抱き合わせ販売の非効率性
学資保険に医療特約をつけると、支払った保険料の一部が「掛け捨て」として消えていきます。その結果、返戻率が100%を切り、「貯めているつもりが、実は元本割れしている」という状態に陥ります。
また、多くの人が魅力に感じる「払込免除特約(親が死んだらその後の保険料が無料になる)」も、実はタダではありません。その保障分のコストが運用益から差し引かれています。 これに対し、「格安のネット型収入保障保険」に加入し、浮いたお金を投資に回した方が、保障額も大きく、貯まるお金も多くなるという逆転現象がほぼ確実に起こります。
⑤ 課税と手取りの現実:他制度との比較
学資保険の利益は「一時所得」として課税対象になります。もっとも、50万円の特別控除があるため、学資保険の微々たる利益で課税されるケースは稀ですが、問題は「新NISAとの比較」です。
制度の優位性の差
学資保険: 利益が少ないため非課税枠内に収まるが、そもそも増えない。
新NISA: どれだけ利益が出ても(例:300万が600万になっても)完全非課税。
現在の税制において、国は「自分で運用する人」に最大限の優遇(NISA)を与えています。あえてその優遇枠を使わずに、生命保険会社の「利益」や「人件費」が差し引かれた後の残りカスのような利回り(学資保険)を取りに行く選択は、現代のマネーリテラシーとしては合理的とは言えません。
結論:学資保険は「昭和の遺物」になりつつある
学資保険が輝いていたのは、予定利率が4%〜6%もあった1990年代前半までです。当時は銀行に預けるよりも効率よく、自動的に「倍」近くまで増える魔法の杖でした。
しかし、現在のような「超低金利」×「物価上昇」×「強力な非課税投資制度(NISA)」という環境下では、学資保険のメリットはほぼ消滅しました。
増えない(低利回り)
価値が下がる(インフレ)
動かせない(低流動性)
保障が割高(コスト)
税優遇が相対的に弱い(NISAの存在)
これら5つの事実は、大切なお子さんの教育資金を「守る」つもりが、実は「機会損失というリスク」に晒していることを示唆しています。
現代の教育資金戦略: 「教育費=学資保険」という固定観念を捨て、「現金による貯蓄(流動性)」と「NISAによる運用(収益性)」を組み合わせること。これが、18年後に後悔しないための最も賢明な防衛策です。
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2. 学資保険が「向いている人」と「向いていない人」
「学資保険に入るべきか、やめるべきか」という論争において、最も重要なのは「その人の家計管理能力とリスク許容度」です。
どれだけ学資保険の利回りが低くても、特定の条件下にある人にとっては「最善の選択」になることもあれば、逆にどれだけ新NISAが効率的でも、向いていない人が手を出せば教育資金を失うリスクもあります。
ここでは、両者の特徴をさらに深く、実例を交えて深掘りします。
1. 学資保険が「向いている人」:超保守的・家計管理が苦手な層
学資保険の最大の価値は、収益性ではなく「強制力」と「確実性(数字上の)」にあります。
① 貯金があるとつい使ってしまう「浪費傾向」がある人
「銀行口座にお金が入っていると、旅行や趣味に使ってしまう」というタイプの人にとって、学資保険は強力な盾になります。
深掘り: 学資保険は解約に手間がかかり、しかも元本割れのリスクがあるため、「心理的な引き出し障壁」が非常に高いです。この「不便さ」こそが、貯金が苦手な人にとっては「確実に18年後にお金を残す仕組み」として機能します。
② 投資の変動(マイナス)に耐えられない「極度のリスク回避型」
「1円でも減るのが耐えられない」という性格の人に、新NISAを勧めるのは酷です。
深掘り: 投資信託は、20年スパンで見ればプラスになる可能性が高いですが、その過程で「資産が30%減る」といった暴落を経験することがあります。そこでパニックになり売却してしまうくらいなら、利回りは0.3%と低くても、契約時に「18年後に受け取れる金額が1円単位で確定している」学資保険の方が、精神衛生上、遥かに優れています。
③ クレジットカードのポイント還元をフル活用したい人
一部の保険会社では、保険料の支払いにクレジットカードが利用できます。
深掘り: 学資保険自体の利回りが0.4%程度でも、1.0%還元のカードで支払えば、トータルの実質利回りを底上げできます。投資の手間をかけず、ポイ活の延長線上で「着実に教育費を積み上げたい」という堅実派には、選択肢の一つになり得ます。
2. 学資保険が「向いていない人」:効率と柔軟性を重視する層
現代の金融リテラシーを持ち、主体的に資産を動かしたい人にとって、学資保険は「制約の塊」でしかありません。
① 新NISAなど、自分で資産運用ができる人
投資の基本(長期・積立・分散)を理解している人にとって、学資保険の利回りはあまりに低すぎます。
深掘り: 教育資金は「使う時期」が決まっているため、出口戦略は必要ですが、15年〜18年という期間があれば、株式中心の運用で資産を1.5倍〜2倍にできる可能性が十分にあります。学資保険を選ぶことは、その「増える可能性」を自ら放棄することに等しいと考えます。
② 家計の柔軟性を確保したい「ライフスタイル変化」が多い人
今の時代、18年先まで同じ収入、同じ家族構成、同じ支出計画でいられる保証はありません。
深掘り: 学資保険は「固定費」です。転職による一時的な収入減や、急な住宅購入、あるいは子供が「中学から私立に行きたい」と言い出した際、学資保険は柔軟に対応できません。自分で貯蓄・運用していれば、「今、必要だから引き出す」という判断がノーペナルティで可能ですが、学資保険はそれができません。
③ すでに十分な死亡保障(生命保険)を確保している人
「親に万が一のことがあった時のための保険料免除」に魅力を感じている場合、すでに加入している生命保険と重複している可能性があります。
深掘り: 多くの現役世代は、会社での団体保険や、個人で加入している収入保障保険で、数千万単位の保障を持っています。さらに学資保険で数百万程度の保障(免除)を追加する必要性は薄く、「保障の重複」によるコストの無駄が発生しています。
【判定表】あなたはどっち派?
| 項目 | 学資保険が向いている人 | 学資保険が向いていない人 |
| 性格 | 心配性、石橋を叩いて渡る | 合理的、数字で判断する |
| 貯金習慣 | あれば使ってしまう | 計画的に天引き貯金ができる |
| 投資経験 | 未経験、または恐怖感がある | 新NISA等で既に運用している |
| 最優先事項 | 「減らないこと」の安心感 | 「増やすこと」と「自由度」 |
| 家計管理 | 通帳を分けるのが面倒 | 自分で資産配分を管理できる |
結論:判断の基準は「教育資金をどう捉えるか」
学資保険を選ぶべきは:
「利回りは手数料(安心料)として割り切り、18年後の現金を100%確実に、強制的に確保したい人」です。
学資保険を避けるべきは:
「インフレや機会損失のリスクを理解し、家計の状況に合わせて柔軟に、かつ効率的にお金を育てたい人」です。
結局のところ、学資保険は「貯金ができる仕組みを外注している」状態です。その外注費(低い利回り)を払ってでも強制力が欲しいのか、それとも自分で管理してリターンを得るのか。この「管理能力の差」が、向いているかどうかの決定的な境界線となります。
学資保険を検討する前に、一度「自分は月々3万円を、18年間一度も欠かさず新NISAの口座に入れ続ける意志があるか?」を自問自答してみてください。YESであれば、学資保険は不要です。
3. 【令和の新常識】学資保険に代わる教育資金づくりの最適解
「教育資金=学資保険」という昭和・平成の常識が崩壊した今、令和の親たちが実践しているのは「貯蓄」と「運用」と「保障」を完全に切り分けるハイブリッド戦略です。
学資保険という「一つにまとまった不自由なパッケージ」を解体し、それぞれの役割に最適なツールを割り振ることで、収益性と柔軟性を最大化する具体策を深掘りします。
1. 【運用の主役】新NISA(つみたて投資枠)の最大活用
令和の教育資金づくりの核となるのが新NISAです。学資保険の「増えない」という欠点を劇的に改善します。
期待リターンの圧倒的な差
学資保険の利回りが年0.3%程度なのに対し、新NISAで「全世界株式(オルカン)」や「全米株式(S&P500)」などのインデックスファンドに投資した場合、過去のデータに基づくと年利3〜5%程度のリターンが現実的な目標となります。
18年間のシミュレーション(月3万円積立)
タンス預金: 648万円
学資保険(返戻率104%): 674万円(+26万円)
新NISA(年利3%運用): 864万円(+216万円)
新NISA(年利5%運用): 1,047万円(+399万円)
この「数百万円の差」が、私立大学への進学や留学といった選択肢の広がりを生みます。
「必要な時に、必要な分だけ」の柔軟性
学資保険は満期まで引き出せませんが、新NISAはいつでも売却可能です。
中学受験の塾代が予想外にかさんだ
高校での海外短期留学が決まった
こうした際、運用益が出ている部分から一部だけを現金化して充てることができます。この「流動性の高さ」こそが、不透明な時代における最強の武器です。
2. 【守りの要】ネット銀行のハイブリッド預金
すべてを投資に回すのはリスクがあります。「絶対に減らしてはいけない入学金」などは、金利の高いネット銀行で確実に貯めます。
目的別口座で「見える化」
あおぞら銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行などは、大手メガバンクの10倍〜100倍近い普通預金金利(年0.1%〜0.2%程度)を設定していることがあります。
仕組み: 「教育資金専用」の目的別口座を作り、児童手当をそこに自動入金する。
メリット: 学資保険と同等以上の利回りを確保しつつ、「元本保証」と「即時引き出し」の両立が可能です。
3. 【保障の代用】格安の「収入保障保険」
学資保険のメリットとされる「親に万が一があった時の保険料免除」は、掛け捨ての収入保障保険でより手厚く、安く代用できます。
コストを抑えて保障を最大化
学資保険の保障: 親が死亡しても「満期金(例:300万円)」が将来もらえるだけ。
収入保障保険: 親が死亡した瞬間から、子供が独立するまで「毎月10万円」などが支払われる。
月々1,000円〜2,000円程度の掛け捨て保険に加入しておけば、学資保険よりも遥かに大きな安心(数千万円規模の保障)を確保できます。「貯める」と「備える」を分けることで、効率は劇的に上がります。
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4. 令和流・教育資金づくりの「黄金比ポートフォリオ」
具体的にどう配分すべきか、おすすめのバランスを紹介します。
| 資産の種類 | 割合 | 役割 | 具体的なツール |
| 現金(預金) | 30%〜50% | 入学金、塾代、急な出費 | ネット銀行(自動入金) |
| 投資(NISA) | 50%〜70% | 大学授業料、将来のゆとり | 全世界株式インデックス |
| 保障(掛け捨て) | — | 親の死亡・高度障害リスク | 収入保障保険 |
5. 【注意点】「出口戦略」だけは忘れずに
新NISAを教育資金に使う場合、一つだけ注意すべきは「使う時期の暴落」です。
大学入学の直前にリーマンショック級の暴落が来ると、資産が一時的に減ってしまいます。
対策: 子供が15歳(中学3年生)くらいになったら、NISAで増えた分を少しずつ売却し、「現金」へ移していく(利益確定)。
この「出口の管理」さえ自分で行えば、学資保険に頼る必要性はほぼゼロになります。
まとめ:自分の頭で「組み合わせる」のが一番の近道
令和の教育資金づくりは、保険会社に丸投げするのではなく、「NISAの収益性」「銀行の流動性」「掛け捨て保険の保障」を自分たちで組み合わせるスタイルが最適解です。
「難しそう」と感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは自動引き落としで進みます。18年後に「学資保険のたった10万円の利息」で満足するか、「運用の恩恵で数百万円の余裕」を持つか。その差は、今この瞬間の選択にかかっています。
賢い親は「仕組み」を使い分ける
学資保険は「思考停止していてもお金が貯まる」という点では優れた仕組みでした。しかし、低金利とインフレが続く今の日本においては、「お金を増やす力」が弱すぎます。
【結論】
まずは新NISAで少額から積立を検討する。
「絶対に減らしたくない分」だけを現金(貯金)で確保する。
親の死亡保障は、学資保険ではなく掛け捨ての保険で安く備える。
このように、目的別にツールを分けるのが、18年後に「あの時、学資保険にしなくて良かった」と思える近道です。
※本記事は2026年現在の金融状況に基づいた一般的な情報提供を目的としています。具体的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
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