【2026年11月】株式分割予定の銘柄一覧!キーエンスなど注目株を徹底解説

【2026年11月】株式分割予定の銘柄一覧!キーエンスなど注目株を徹底解説

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

第1章 株式分割の基礎知識と全体像

1-1. 株式分割とは何か?(ピザの例えで理解する基本原理)

株式分割とは、すでに発行されている1株を複数に細かく切り分けるコーポレートアクション(企業の財務行動)です。

投資初心者の方が株式分割を理解する上で最も分かりやすいのが「ピザのカット」の例えです。 ここに1枚の大きなピザ(企業の総価値・時価総額)があるとします。このピザが丸ごと1枚(1株)の状態で10,000円で売られているとします。このピザを4等分(1対4の株式分割)に切り分けた場合、何が起きるでしょうか。

  • ピザのピース数:1個から4個に増える

  • 1ピースあたりの大きさ(価格):10,000円から2,500円(4分の1)になる

  • ピザ全体の重さ・味(企業の本質的価値):一切変わらない

株式分割の基本原則はまさにこれと同じです。 企業が1株を複数に分割しても、「発行済株式総数が増え、1株あたりの株価が同じ比率で下がる」だけであり、企業の保有資産、売上高、純利益、そして「株価 × 発行済株式数」で計算される時価総額(企業価値)は1円たりとも変わりません。

また、既存の株主にとっても、保有する株数は分割比率に応じて増えますが、1株あたりの理論価値が同じ比率で下がるため、保有している株式の資産総額は分割の前後で全く同じです。

1-2. 株式分割は事前に分かるのか?(開示ルールと情報の見つけ方)

結論から言うと、株式分割は事前に100%確実に把握することができます。

上場企業が株式分割を実施する場合、取締役会で決議された直後に、金融商品取引法および東京証券取引所の適時開示ルールに基づいて公式発表を行わなければならないと定められているためです。

事前開示のタイムラインと法的ルール

  • 開示の時期: 原則として、株主を確定する「基準日」の約1〜2か月前(多くは四半期決算の発表と同時)に適時開示されます。

  • 会社法上の義務: 会社法第184条等の定めにより、企業は基準日の2週間前までに基準日設定の公告を行わなければなりません。したがって、突然ある朝目覚めたら知らないうちに分割されていたということは制度上あり得ません。

事前に確認できる具体的な情報源

  1. TDnet(適時開示情報閲覧サービス): 日本取引所グループ(JPX)が運営する情報プラットフォームです。全上場企業のプレスリリース(「株式分割および定款の一部変更に関するお知らせ」など)を誰でもリアルタイムで閲覧できます。

  2. 証券会社の取引ツール・WEBサイト: SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの大手証券会社では、「株式分割・権利落ちカレンダー」「コーポレートアクション一覧」といったページが常設されており、今後予定されている分割銘柄、分割比率、権利確定スケジュールが一目で分かります。

  3. 金融情報ポータル(株探、Yahoo!ファイナンス等): 「株式分割予定銘柄一覧」コーナーがあり、直近数か月先の分割予定が一覧表で更新されています。

正式発表前の「予測」は可能か?

インサイダー情報を除き、正確な発表日を事前に知ることはできませんが、東証の「望ましい投資単位(5万円以上50万円未満)」というルールを手がかりにある程度予測することができます。最低投資金額が100万円や数百万円を超えている「値がさ株」は、東証から定期的に投資単位の引き下げ(株式分割)の検討を要請されるため、決算発表などのタイミングで分割を発表する可能性が構造的に高くなります。

1-3. 株式分割取引で必須となる「4つの重要日程」

株式分割を理解・売買する上で、絶対に混同してはならない4つの期日があります。

[適時開示日] ───> [権利付最終売買日] ───> [権利落ち日] ───> [基準日] ───> [効力発生日]
  (決議発表)           (大引けまで保有)        (株価が調整)       (名簿確定)       (株数増加反映)

 

  1. 権利付最終売買日(けんりつき さいしゅうばいばいび)株式分割の権利を得るために、「この日の取引終了(大引け 15:30)時点で株式を保有していなければならない最終日」です。日本株の受渡日は売買が成立した日(約定日)の「2営業日後」であるため、基準日の2営業日前に設定されます。

  2. 権利落ち日(けんりおちび) 権利付最終売買日の「翌営業日」のことです。この日の朝から、取引所における基準株価が分割比率に応じて割り下げられた状態(例:1→5分割なら5分の1)で取引が始まります。この日以降に株式を売却しても、分割を受ける権利はすでに確定しているため消滅しません。逆に、この日に新しく買いつけても今回の分割権利は得られません。

  3. 基準日(きじゅんび)株式分割によって新株を割り当てる株主を確定するための日です。この日の株主名簿に記載されている株主が、正式な分割対象者となります。

  4. 効力発生日(こうりょくはっせいび)法的に株式分割の効力が生じる日です。通常は基準日の翌日、または翌月1日などに設定されます。証券会社の口座残高に増加した株数が正式に反映されるタイミングとなります。

第2章 2026年11月 株式分割予定銘柄の完全網羅と詳細解説

2026年11月に権利落ち・効力発生を迎える主な株式分割予定銘柄の一覧です。値がさハイテク株の代表格であるキーエンスをはじめ、バラエティに富んだ銘柄が投資単元の引き下げを実施します。

2-1. 2026年11月 株式分割予定銘柄一覧

銘柄コード銘柄名市場分割比率権利付最終売買日権利落ち日基準日効力発生日
1546NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ連動型ETF東証ETF1 → 400株11月2日(月)11月4日(水)11月5日(木)11月6日(金)
6861キーエンスプライム1 → 5株11月18日(水)11月19日(木)11月20日(金)11月21日(土)
138A光フードサービス名証M・東証G1 → 2株11月26日(木)11月27日(金)11月30日(月)12月1日(火)
3374内外テックスタンダード1 → 2株11月26日(木)11月27日(金)11月30日(月)12月1日(火)
4616川上塗料スタンダード1 → 3株11月26日(木)11月27日(金)11月30日(月)12月1日(火)
6474不二越プライム1 → 5株11月26日(木)11月27日(金)11月30日(月)12月1日(火)
7921TAKARA & COMPANYプライム1 → 3株11月26日(木)11月27日(金)11月30日(月)12月1日(火)
8976大和証券オフィス投資法人東証REIT1 → 4口11月26日(木)11月27日(金)11月30日(月)12月1日(火)

2-2. 目玉銘柄:キーエンス(6861)の5分割を徹底解剖

2026年11月の株式分割で最も市場の注目を集めているのが、FA(ファクトリーオートメーション)用センサーや測定機器の世界的大手であるキーエンスの「1株につき5株」の大型分割です。

① キーエンスの分割スケジュール

  • 取締役会決議・発表日: 2026年10月29日(木)

  • 権利付最終売買日: 2026年11月18日(水)

  • 権利落ち日: 2026年11月19日(木)

  • 基準日: 2026年11月20日(金)

  • 効力発生日: 2026年11月21日(土)

② 最低投資金額・株価シミュレーション

キーエンスは日本を代表する超値がさ株(株価水準が極めて高い銘柄)として知られてきました。1株あたりの株価を約78,000円〜79,000円と仮定した場合、投資環境は以下のように劇的に変化します。

項目分割前(現状)分割後(理論値)変化のポイント
1株あたりの株価約78,500円約15,700円理論上5分の1の水準に低下
1単元の株数100株100株単元制度自体に変更はなし
100株の最低投資金額約7,850,000円約1,570,000円一気に150万円台まで引き下げ
既存株主の資産総額(100株保有時)7,850,000円7,850,000円(500株保有)保有資産総額は完全にイコール

③ 投資家と市場にもたらす実質的な影響

  1. NISA成長投資枠で単元買い(100株)が可能に これまでのキーエンスは1単元買うのに約800万円が必要であり、NISA成長投資枠の年間上限額(240万円)を遥かに超えていました。そのため、NISA口座で買うには単元未満株取引(ミニ株)を使うしかありませんでした。分割後は約150万円台になるため、年間枠240万円の中にすっぽりと収まり、NISA口座で100株を直接一括購入できるようになります。

  2. 既存保有者の「柔軟な利確・ポジション管理」が可能に これまで100株持っていた既存株主は、ポジションを落とそうとすると800万円分を全売却するしかありませんでした。5分割によって手元の株数が500株になるため、「100株だけ利益確定して残りの400株は長期保有を続ける」といったきめ細かいポートフォリオ管理が可能になります。

  3. 市場流動性の向上 これまで個人投資家にとって高嶺の花だった銘柄に資金が入りやすくなり、日々の出来高(売買高)が増加して、より適正な価格形成が進みやすくなります。

  4. 東証の要請(50万円未満)との距離 東証は「望ましい投資単位」として50万円未満を掲げています。キーエンスは今回の5分割でハードルを大幅に下げたものの、依然として単元150万円台であり、東証の基準から見れば約3倍の高さです。一般の個人投資家が片手間で買える水準ではないため、「誰でも買えるようになったわけではない」という冷静な視点も必要です。

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第3章 株式分割に伴う重要ポイントとメカニズム

3-1. 発表から権利落ち日にかけての株価推移(値動きのアノマリー)

株式市場には、株式分割を発表した銘柄が権利落ち日にかけて特有の値動きを示しやすいという経験則(アノマリー)が存在します。そのメカニズムを4つのステージに分けて理解しておくことが大切です。

【フェーズ①:発表直後】
「好材料」として好感買いが殺到。ストップ高や急騰を見せることが多い。
   ↓
【フェーズ②:発表後〜権利付最終日】
個人投資家の先回り買いや需給逼迫により、高値を維持または緩やかな上昇基調が続く。
   ↓
【フェーズ③:権利落ち日】
理論株価へ切り下がる当日。権利取り目的の短期資金による利益確定売りで軟調になりやすい。
   ↓
【フェーズ④:権利落ち後〜数か月】
「買いやすくなった単元価格」によって新規買いが定着するか、業績の本質へ評価が回帰する。

 

なぜ発表直後に株価が上がりやすいのか?

  • 買い手増加の思惑: 「単元価格が下がることで、権利落ち後に個人投資家や優待族が買って株価を押し上げるはずだ」と見込んだ短期・中期の投資家が先回りして買いを入れるためです。

  • 企業の成長シグナル: 株式分割は、事業が順調で株価が高値圏にある優良企業が行うケースが大半です。そのため、市場は「会社側が今後の業績拡大に強い自信を持っているシグナル」と受け止めます。

権利落ち日前後の「落とし穴」

最も注意しなければならないのが、「権利落ち日当日の材料出尽くし売り」です。発表から権利確定日にかけて株価が過熱して急上昇していた場合、短期筋は「権利付最終日の大引け」や「権利落ち日の寄り付き」を最大の売り場と捉えています。権利落ち日を迎えた途端にまとまった利益確定売りを浴びせられ、大きく下落してスタートすることが珍しくありません。

3-2. 配当金への影響:受取総額の計算と実質増配のカラクリ

株式分割が行われた際、配当金がどうなるのか不安に思う初心者は多いですが、基本ルールはシンプルです。

基本原則:受取配当総額は変わらない

企業が「年間配当総額」を変えない場合、1株あたりの配当金は分割比率に応じて割り下げられます。

  • 1株を2株に分割する事例:

    • 分割前:100株保有 × 1株あたり年間配当 100円 = 受取額 10,000円

    • 分割後:200株保有 × 1株あたり年間配当 50円 = 受取額 10,000円

「実質増配」が発生するケース

企業が株式分割と同時に「株主還元方針の強化」を打ち出す場合があります。 例えば、1株を2株に分割した際、理論上の配当金は50円になるはずのところを、会社側が「分割後の1株あたり配当金を55円とします」と発表した場合です。

  • 実質増配の計算:

    • 200株保有 × 55円 = 受取額 11,000円(従来の10,000円から1,000円の増配)

さらに、端数処理の都合上、従来の配当予想をそのまま維持する(理論上50円のところ据え置きで100円出す)ようなケースでは、実質的に配当が2倍になる「超大型増配」となります。分割の適時開示を見る際は、必ず「配当予想の修正に関するお知らせ」がセットで出ていないかを確認する必要があります。

3-3. 株主優待への影響:3つの分岐パターン

配当金と異なり、株主優待は企業の裁量によって対応が完全に分かれます。適時開示資料にある「株式分割に伴う株主優待制度の変更に関するお知らせ」の文面を精読しなければなりません。

パターン分割後の付与基準(例:1→2分割)既存株主への影響新規投資家への影響

① 条件据え置き


(実質拡充)

分割後も変わらず**「100株以上」**で同じ優待を進呈既存の100株は200株になるため、そのまま持っていれば上位ランクの優待がもらえる場合がある。最大の好材料。 従来の半額の投資金で優待権利が手に入るため、優待利回りが2倍に跳ね上がる。

② 比率スライド


(変更なし)

従来の100株基準が、分割に合わせて**「200株以上」**に変更される株数が増えた分基準も上がったため、受け取る優待内容に全く変化はない。最低投資金額に対する優待利回りは分割前と変わらない。ニュートラル。

③ 優待縮小・廃止


(実質改悪)

基準株数が300株などに引き上げられたり、内容がグレードダウン保有株数が増えても以前と同じ優待がもらえなくなるリスクがある。優待利回りが低下し、個人投資家の失望売りを招く原因になる。

3-4. 実質拡充で急騰した過去の代表事例3選

優待条件を据え置く「実質拡充」を発表したことで、個人投資家の買いが殺到して株価が急伸した代表的な3つの事例です。

事例1:スノーピーク(7816 / 当時東証1部)

  • 実施内容: 2021年に1株を2株に分割。

  • 優待の扱い: 従来「100株以上で自社直営店・オンラインで使える15%割引電子クーポン」だった条件を、2分割後も「100株以上」のまま据え置き。

  • 市場の反応: 最低投資額が半分になったことで実質的な優待利回りが倍増。当時流行していたキャンプブーム・業績絶頂期とも重なり、発表翌営業日はストップ高買い気配となり、連日で年初来高値を更新しました。

事例2:オリエンタルランド(4661 / 東証プライム)

  • 実施内容: 2022年12月に1株を5株に分割することを発表(効力発生は2023年4月)。

  • 優待の扱い: 東京ディズニーリゾートの「1デーパスポート」がもらえる基準は基本的にスライド(100株→500株〜)とされましたが、「100株以上を3年以上継続保有した株主にパスポート1枚を進呈する長期保有優遇」が新設されました。

  • 市場の反応: 当時、単元400万円超の超高額銘柄だった同社株が約80万円で買えるようになり、さらに3年持てばパスポートがもらえる道が開かれたため、個人投資家やディズニーファンからの買いが殺到。発表翌日に一時前日比+5%前後の急伸を見せました。

事例3:物語コーポレーション(3097 / 東証プライム)

  • 実施内容: 2022年12月に1株を2株に分割(効力発生は2023年3月)。

  • 優待の扱い: 「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」等で使える食事食事優待券(100株で年7,000円分)。分割後も「100株以上で年7,000円分」の基準を完全据え置きとしました。

  • 市場の反応: 既存株主は持っているだけで200株となり、年間受取額が14,000円分(実質2倍)に跳ね上がりました。既存株主の売り圧力が消滅した上、新規の個人マネーが流入し、権利落ち日にかけて高値ブレイクアウトの力強い上昇トレンドを記録しました。

3-5. 優待拡充の罠:数年で「優待改悪・廃止」に転落する危険シグナル

株式分割と優待実質拡充のセットは短期的には株価を急騰させますが、そこには大きな落とし穴が存在します。数年後に企業が耐えきれなくなり、「優待改悪」「優待廃止」を発表して株価が暴落するケースが後を絶ちません。

なぜ優待が維持できなくなるのか?

分割によって投資単元が下がると、優待だけを目当てにした「100株保有の個人株主」が何万人も急増します。 その結果、企業側には以下の莫大なコスト負担がのしかかります。

  1. 優待品自体の調達コスト

  2. 数万件規模の個別郵送費・物流費(近年の郵便料金値上げも直撃)

  3. 株主名簿の管理手数料(信託銀行へ支払う費用)

  4. 株主総会招集通知の印刷・発送費

1単元の株主が増えても、企業が集められる自己資本はわずかです。そのわずかな出資に対して毎年数千円のコストを払い続けると、「優待費用が営業利益の大部分を食いつぶす」という本末転倒な事態に陥ります。

警戒すべき「4大危険シグナル」

  • シグナル1:QUOカードやギフト券など「汎用性の高い金券」を出している 自社サービスの割引券なら原価率は低く、店舗への来店促進につながります。しかし、QUOカードやAmazonギフト券、プレミアム優待倶楽部のポイントなどは、企業にとって「100%現金の垂れ流し」です。株主急増に最も耐えられない優待の筆頭です。

  • シグナル2:本業の利益が減益・頭打ちになっている 業績が好調なうちは優待コストを吸収できますが、本業の営業利益が減益トレンドに入ると、取締役会で真っ先に削減のメスが入るのが優待費用です。

  • シグナル3:東証の上場維持基準のクリアが目的だった形跡がある 流通株式比率や株主数の基準を満たすためだけに優待で釣って株主数を水増しした企業は、基準達成の審査を通過した途端に優待を廃止する傾向があります。

  • シグナル4:決算説明資料で「公平な利益還元」という文言が目立ち始める 機関投資家や海外投資家は「優待をもらえないため不公平だ。優待をやめて配当に回せ」と常に企業に圧力をかけています。企業が「すべての株主への公平な利益配分の観点から…」とIR資料に書き始めたら、優待廃止・配当一本化への秒読みサインです。

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第4章 金融・投資知識を体系的に学ぶ重要性

ここまで、株式分割のルール、特定銘柄の動向、配当や優待の裏側にある企業の思惑とリスクについて解説してきました。 最後に、なぜこうした「金融や投資の仕組み」を表面的なテクニックではなく、体系的に学ぶ必要があるのかについて解説します。

4-1. なぜ「断片的な情報」だけでは投資で負けるのか?

インターネットやSNSの普及により、現代は情報であふれています。 「〇〇が株式分割を発表!買いだ!」「優待利回り〇%の神銘柄!」といった威勢のいいフレーズが日々タイムラインに流れてきます。

しかし、断片的な情報だけを頼りに飛びつく投資家は、ほぼ例外なく市場の養分(敗者)になってしまいます。 なぜなら、「物事の表面(株価が急騰している事実)」だけを見て、「その裏側にある力学(なぜ上がっているのか、誰が売り抜けようとしているのか、制度的に何が起きているのか)」を理解していないからです。

  • 株式分割で株価が安く見えるようになったからといって、企業価値が1円も上がっていないことを知らなければ、権利落ち日の急落で慌てて狼狽売りしてしまいます。

  • 優待利回りが異常に高い銘柄に飛びついても、企業のキャッシュフローや株主急増リスクを分析できなければ、数年後の優待廃止による株価暴落をまともに食らってしまいます。

投資とは、運任せのギャンブルではありません。「制度・ルール」「企業財務(ファンダメンタルズ)」「市場心理(需給)」という3つの歯車がどう噛み合って価格が動いているのかを読み解く知的作業です。体系的な知識という「地図とコンパス」を持たずに相場という樹海に踏み込むのは、目隠しをして車を運転するのと同じくらい危険な行為です。

4-2. 資本主義社会における「資本家側」への参加チケット

私たちが生きている資本主義経済には、残酷ですが厳然たる基本構造があります。 それは、経済学者トマ・ピケティが『21世紀の資本』で提示した有名な不等式に集約されます。

$$r > g$$
  • $r$(資本収益率): 株式や不動産などの資産運用から得られるリターン(年平均 4〜5%程度)

  • $g$(経済成長率・賃金上昇率): 労働によって得られる給与や所得の伸び率(年平均 1〜2%程度)

この不等式が意味する真実はシンプルです。「汗水垂らして働く労働者の給料の伸びよりも、資産家が株や不動産を保有して得られる富の増殖スピードの方が、歴史上一貫して常に速い」ということです。

資本主義社会において、労働者としての立場(給与所得)だけに依存していると、インフレや増税の波に押し流され、実質的な豊かさを手に入れることは極めて困難になります。

しかし、株式投資を学ぶことは、私たち一般市民が「労働者」でありながら「資本家」の側にも身を置くことができる唯一の手段です。 例えば、世界屈指の利益率と技術力を誇るキーエンスの社員になることは極めて難関ですが、株式分割によって150万円台になったキーエンスの株式を買い、株主になることは誰にでもできます。 株主になるということは、「キーエンスの極めて優秀な頭脳と社員たちが、24時間365日、自分のために利益を稼ぎ出して配当を運んでくれる」立場に回ることを意味します。

金融知識(ファイナンシャル・リテラシー)を身につけることは、単に「小遣いを増やすテクニック」を覚えることではありません。資本主義のゲームのルールを理解し、自分の人生と家族の生活を防衛するための「必須のサバイバルスキル」なのです。

4-3. 初心者が継続的に資産を築くためのステップ

投資の世界で長期にわたって生き残り、確固たる資産を築くためのロードマップをまとめます。

【ステップ1:基盤構築】
生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)を普通預金で確保。借金の完済と無駄な固定費削減。
   ↓
【ステップ2:制度の徹底活用】
新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)やiDeCoなど、国の税制優遇制度を満額活用する。
   ↓
【ステップ3:コア・サテライト戦略の実践】
資産の7〜8割をインデックス投信(コア)に置き、残りの2〜3割で個別株や分割銘柄(サテライト)を狙う。
   ↓
【ステップ4:財務・ルールの継続学習】
決算短信、適時開示、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)の基礎を学び、騙されない目を養う。

 

  1. 「制度の枠組み」を最大限に使い倒す 新NISAの成長投資枠(年240万円、生涯1,200万円)のような非課税制度は、個人投資家に与えられた最大の武器です。今回のキーエンスのように、分割によってNISAの年間投資枠に収まるようになった銘柄を見極め、運用益が非課税になるメリットを最大限に享受しましょう。

  2. 表面的な利回りに惑わされない「本質を見る目」を持つ 株式分割、配当金、株主優待のニュースを見るときは、常に「その原資はどこから出ているのか?」「企業の長期的なキャッシュ創出能力は健全か?」を問いかける癖をつけてください。利益の裏付けがない見せかけの優待拡充や高配当は、いつか必ず破綻します。

  3. 時間を味方につけた長期目線を持つ 権利落ち日の短期的な値動きやノイズに一喜一憂して売買を繰り返すのではなく、社会に不可欠な高収益ビジネスを展開している企業の株式を、分割などの好機を通じて適正な価格で拾い、数年〜10年単位でじっくりと保有し続けること。これこそが、個人投資家が機関投資家というプロに勝てる最大の戦略です。

投資の知識は、一度体系的に学んで身につけてしまえば、時代が変わっても一生涯にわたって自分を守り、富を育ててくれる最高の無形資産になります。目先の話題や流行銘柄に振り回されることなく、正しい仕組みと論理を土台に据えた資産形成を着実に歩んでいきましょう。

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【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

  • 情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。

  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

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