FANG+は自分で個別株を買うよりお得?10銘柄自作との比較・新NISA成長投資枠の活用法まで徹底解説

FANG+は自分で個別株を買うよりお得?10銘柄自作との比較・新NISA成長投資枠の活用法まで徹底解説

はじめに:米国株投資で誰もが直面する「究極の選択」

資産形成の手段として「米国株投資」が広く浸透した現代において、投資家の間で頻繁に議論されるテーマがあります。それが「FANG+のような集中型インデックスを買うべきか、それとも自分で個別株を買い揃えるべきか」という疑問です。

米国メガテック企業をはじめとする世界的成長企業への投資は、過去数年〜数十年にわたり驚異的なパフォーマンスを叩き出してきました。新NISA(敬称略・少額投資非課税制度)の開始に伴い、「成長投資枠」や「つみたて投資枠」を活用してこれらの企業に投資する手段が大幅に拡充されました。

しかし、選択肢が増えたからこそ、以下のような悩みを抱える投資家が増加しています。

  • 「たった10銘柄で構成されているFANG+なら、自分で証券会社から10社を直接買えば信託報酬(運用管理費用)がかからずお得なのではないか?」

  • 「新NISAの成長投資枠で米国個別株を買うメリットとデメリットは何があるのか?」

  • 「初心者が失敗せずに米国株の個別取引を始めるには、具体的にどのような手順を踏めばよいのか?」

本記事では、これまでに解説したすべての視点とデータを一堂に網羅し、「FANG+の本質」「構成企業の強み」「自作ポートフォリオとの徹底比較」「初心者のための個別株取引ステップ」「新NISA成長投資枠での税制と戦略」を体系的かつ包括的に解き明かします。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
GFS校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

第1章:FANG+(NYSE FANG+ Index)の概要と投資の問い

1. FANG+指数とは何か?

「NYSE FANG+ Index」は、時代の最先端をひた走るテクノロジー・次世代型成長企業10銘柄に厳選し、均等な割合で集中的に投資を行う株価指数です。

元々は「Facebook(現Meta)」「Amazon」「Netflix」「Google(Alphabet)」の頭文字をとった「FANG」からスタートしましたが、現在の指数構成は時代の変化に合わせてアップデートされており、世界のIT・ハイテク産業を牽引するトップランナーたちで構成されています。

代表的な公募投資信託である「iFreeNEXT FANG+インデックス」をはじめ、多くのファンドやETFを通じて、世界中および日本の個人投資家から絶大な人気を集めています。

2. なぜ「自分で買えば良いのでは?」という疑問が生まれるのか?

全世界株式(ACWI)が約3,000銘柄、S&P500が約500銘柄で構成されているのに対し、FANG+の構成銘柄数はわずか10銘柄です。

広範な分散投資を行うファンドであれば「500社や3,000社を個人で買い集めるのは物理的に不可能」と納得できます。しかし、構成数がたったの10社となると、ある程度投資の知識がついた投資家からは当然のように次のような声が上がります。

  1. コスト面での疑問: 「年0.7%〜0.8%程度の信託報酬を払い続けるくらいなら、自分で直接10社の株を買って保有すれば手数料ゼロで運用できるのではないか?」

  2. 選定面での不満: 「10銘柄の中に、将来性に少し疑問を感じる銘柄が1〜2社含まれている。自分の好きな8銘柄だけに厳選して投資したい」

  3. 配分への疑問: 「全社均等ではなく、最も期待している特定の1社に大きく傾斜配分したい」

一見すると、個別株の直接買い付けは「手数料の節約」と「カスタマイズ性の高さ」を両立できる魅力的な選択肢に見えます。しかし、金融工学や税制、運用実務の観点から深く掘り下げていくと、個人が手動で10銘柄のポートフォリオを維持管理することには、目に見えにくい巨大なコストと障害が存在することがわかります。

第2章:FANG+を構成する主要10銘柄とその強力なビジネスモデル

FANG+の本質を理解するためには、指数に組み込まれている代表的な企業(10銘柄)がどのような市場優位性(経済的堀=Economic Moat)を持っているのかを正しく把握しておく必要があります。

銘柄名(ティッカー)主な事業領域と世界シェア・強み主な成長の原動力・将来性

Meta Platforms


(META)

SNS(Facebook, Instagram, WhatsApp)。世界30億人以上の月間アクティブユーザー基盤を保有。生成AIを活用した高精度なデジタル広告配信、メタバース領域への先行投資、オープンソースAI開発。

Amazon.com


(AMZN)

グローバルECモール、クラウドインフラ(AWS:Amazon Web Services)。クラウド市場における世界シェア首位の収益力と、高度に自動化された物流インフラ・広告事業。

Netflix


(NFLX)

有料動画配信サービス(SVOD)の絶対王者。独占オリジナルコンテンツ制作力。世界的なサブスクリプション会員基盤、広告付き廉価プランの導入、アカウント共有対策による収益性改善。

Alphabet


(GOOGL)

検索エンジン(Google Search)、動画プラットフォーム(YouTube)、クラウド(Google Cloud)。世界のWeb検索市場で圧倒的シェアを維持。独自AIモデル「Gemini」の検索・ビジネスツールへの統合。

Apple


(AAPL)

プレミアムハードウェア(iPhone, Mac, iPad)およびサービス事業(App Store, Apple Pay等)。唯一無二のブランド価値とエコシステムによる顧客の強力な囲い込み。高利益率なサービス部門の成長。

Microsoft


(MSFT)

企業向けOS(Windows)、クラウド(Azure)、オフィスツール(Microsoft 365)。生成AIのパイオニアであるOpenAIとの強力な連携による、法人向けAIツールの実用化とクラウドの拡大。

NVIDIA


(NVDA)

画像処理ユニット(GPU)およびAI学習・推論用アクセラレータ、ソフトウェア基盤(CUDA)。生成AIブームにおけるAI半導体市場の圧倒的独占。ハードウェアだけでなくエコシステム全体での参入障壁。

Broadcom


(AVGO)

通信機器・データセンター向けカスタム半導体、エンタープライズ向けソフトウェア。AIデータセンターに必要な高速ネットワーク用半導体や、大口顧客向け専用AIアセットの受託開発。

Palantir Technologies


(PLTR)

政府機関および大企業向けのビッグデータ統合・AI解析プラットフォーム。米国軍・政府機関での導入実績を背景とした高度なセキュリティ技術と、民間企業向け「AIP」の爆発的普及。

CrowdStrike


(CRWDなど)

クラウドネイティブなサイバーセキュリティプラットフォーム(Falcon)。エンドポイント(端末)保護の市場リーダー。AIを活用した脅威のリアルタイム検知と拡大するセキュリティ需要。

※注: FANG+の構成銘柄は、定期的な見直し(リバランスおよび構成銘柄リプレイス)により時代に即して一部入れ替わります。

これらの銘柄群に共通しているのは、単に「現在売上が大きい」というだけでなく、それぞれの分野において参入障壁を構築し、プラットフォームとして社会インフラ化している点です。

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第3章:「FANG+(投資信託)」 vs 「個別株自作ポートフォリオ」徹底比較

ここから、本論の核心である「投資信託経由でのFANG+保有」と「自力での個別株10銘柄買い付け」の比較を行います。

一見すると「自分で買えば信託報酬(年約0.7755%)が浮く」と思われがちですが、実務上はそれ以上のリターン相殺要因が発生します。

1. 均等加重(リバランス)と「税金摩擦」の問題

FANG+の運用における最大の特徴は、「10銘柄を均等(各約10%)の比率で保持し、四半期ごとに均等に戻す(リバランスする)」というルールです。

自力で再現する場合の罠:

株式市場では、銘柄によって上昇率が大きく異なります。例えば、NVIDIAが100%上昇する一方で、Appleがほぼ横ばいだった場合、ポートフォリオ内のNVIDIAの比率は20%以上に膨らみ、Appleの比率は5%近くに低下します。

これを元の「10%ずつ」の均等に戻すためには、値上がりしたNVIDIAを売却し、その資金でAppleを買い増すという作業が必要です。

しかし、個人が課税口座(あるいは成長投資枠の残容量がない状態)で売却を行うと、売却益に対して約20.315%の譲渡益税がその都度課税されます

  • 投資信託のファンド内部: 投資信託の内部で銘柄の再調整を行う場合、日本の個人投資家に対する譲渡益税は発生しません。税金を支払うことなく複利効果を維持したまま全額を再投資に回せます。

  • 自分で売買する場合: 売却のたびに税金という「摩擦コスト」が発生し、長期的なパフォーマンスを大きく削ることになります。この譲渡益税の繰延効果(課税を後回しにすることによる複利効果)は、年0.7%程度の信託報酬コストを容易に上回ります。

2. 少額投資・資金効率と配当金再投資

  • 買い付けの最小単位: 米国株は1株単位で購入しますが、株価(株価水準)は銘柄によって数千円から数万円までバラバラです。全10銘柄をきれいに「10%ずつ」の金額配分で買い揃えるには、少なくとも数千ドル(数十万円〜百万円単位)のまとまった資金が必要となります。投資信託であれば、日本円で100円から1円単位で購入・積立が可能です。

  • 配当金の非課税再投資: 構成企業から出される配当金(分配金)について、投資信託(ファンド内部留保型)であれば現地税が引き去られた後の資金が自動かつ満額再投資されます。個人の手元に配当金が入ると、日本国内の所得税・住民税が差し引かれる上、手動で再投資する際に買い付け手数料や為替コストが再度発生します。

3. 銘柄選定とルールに基づく「感情の排除」

ハイテク業界の主役は、5年・10年単位で刻一刻と変化します。かつて市場を席巻した企業が、技術革新に乗り遅れて衰退することは珍しくありません。

  • FANG+の自動選定: 指数のルールに従い、業績や時価総額、モメンタムが低下した銘柄は定期見直しで自動的に除外され、新しく頭角を現した成長企業(例: 近年のBroadcomやCrowdStrike、Palantir等)が自動的に組み入れられます。

  • 自作ポートフォリオ: 投資家自身が「どの企業を売り、どの企業を新しく組み入れるか」を判断しなければなりません。ここには「損切りができない」「愛着のある銘柄を持ち続けてしまう」といった個人の感情(バイアス)が介入し、結果としてパフォーマンスを落とすリスクが高まります。

4. まとめ比較表

比較項目FANG+(投資信託)自分で個別株10社を購入
運用コスト(信託報酬等)年0.7755%程度が発生直接の保有手数料は0円
最低投資金額100円から(1円単位で積立可能)数十万円〜(1株単価に依存)
リバランス(比率調整)ファンド内で自動実行(非課税)手動で売買(売却時に課税発生
銘柄の入れ替え指数ルールに基づき自動実行自分で分析・判断・売買・税金計算
配当金の再投資ファンド内部で自動・非課税再投資手元に入金後、自分で手動再投資
NISA枠の活用つみたて投資枠・成長投資枠の両方可成長投資枠のみ利用可能
自由度・カスタマイズ性不可(固定の10銘柄)自由(好きな銘柄だけ選べる)
運用にかかる手間完全自動化(放置可能)常に決算や適時開示のチェックが必要

第4章:初心者が米国個別株取引を始めるための実践5ステップ

比較検討の結果、「それでも特定の企業に絞って投資したい」「自分の手でポートフォリオを構築したい」という投資家のために、初心者が失敗なく米国個別株取引を始めるための具現的な5つのステップを解説します。

米国株投資のロードマップ

【Step 1】証券会社を選び・口座開設する
   │
【Step 2】資金を入金し、為替(米ドル)を用意する
   │
【Step 3】銘柄を選び、決算データを分析する
   │
【Step 4】買い注文を出す(「指値注文」の活用)
   │
【Step 5】購入後の管理と定期的な「決算チェック」

 

Step 1: 証券会社を選び・外国株口座を開設する

まずは、米国株の取り扱いが豊富な証券会社で「総合口座」および「外国株取引口座」を開設します。

  • 主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券): 取扱銘柄数が数千銘柄と圧倒的で、NISA成長投資枠での個別株買い付けにも完全対応。各種情報レポートも充実。

  • 次世代型・スマホ証券(moomoo証券、サクソバンク証券等): リアルタイムの高度なビジュアル分析ツールや、板情報・機関投資家の売買動向が無料で確認できる。

  • 少額投資特化(PayPay証券等): 1株単位ではなく「1,000円単位」など金額指定で日米の主要個別株が買えるため、超少額からお試しで始めたい人に最適。

Step 2: 口座に資金を入金し、為替(米ドル)を用意する

証券口座に日本円を入金した後、注文方法に合わせて決済手段を選択・準備します。

  • 円貨決済: 注文時に、証券会社が自動で円からドルへ換算して株を購入する方式。手間がかからない反面、為替手数料がやや割高になる場合がある。

  • 外貨決済: 事前に自分で「円→ドル」に為替両替(為替取引)を行ってから、米ドルで株を購入する方式。為替手数料を抑えやすく、売却後のドルをそのまま次の投資に回せるメリットがある。

Step 3: 銘柄の選定と決算データの確認

初心者の第一歩としては、ビジネスモデルが明確で財務基盤が盤石な「大型青色申告(ブルーチップ)企業」から選ぶのが基本です。

購入前に必ずチェックすべき3つの財務指標:

  1. 売上高・EPS(1株あたり純利益)の継続成長: 過去3〜5年間にわたり、右肩上がりで伸びているか。

  2. 高い営業利益率: 競合他社に対して優位性を持っているか(IT・ソフトウェア系であれば20%以上が一つの目安)。

  3. ガイダンス(会社見通し)の達成度: 四半期ごとの決算発表において、市場予想(アナリストコンセンサス)を上回り続けているか。

Step 4: 買い注文を出す(注文種類の適切な選択)

銘柄のティッカーシンボル(例: AppleならAAPL、MicrosoftならMSFT)を検索し、購入手続きを行います。

  • 成行(なりゆき)注文: 価格を指定せず、その時の市場価格で即座に買いつける方法。

  • 指値(さしね)注文: 「1株◯◯ドル以下になったら買う」と上限価格を指定する方法。

  • 初心者は指値注文が鉄則: 米国株の市場が開く時間帯(夜間)は、寄り付き直後に株価が乱上下することがあります。思わぬ高値で掴まされるのを防ぐため、指値注文を活用するのが安全です。

Step 5: 購入後の運用管理と「決算チェック」

個別株はインデックスファンドのような「完全放置(買ったら売り注文まで見ない)」が禁物です。

米国企業は年に4回(3か月ごと)決算発表を行います。この決算で「売上高」「EPS」「来期の業績見通し(ガイダンス)」の3つが市場予想を下回った場合、株価が急落することがあります。自分の保有している企業が健やかに成長しているかを定期的に観察する習慣を身につけましょう。

第5章:米国個別株投資で絶対に抑えるべき5つの注意点

個別株投資は高いリターンが狙える反面、インデックス投資にはない固有のリスクが存在します。

1. 為替リスク(ドル建てと円建ての違い)

米国株は「ドル建て」で取引されます。そのため、株価自体が上昇していても、購入時より大幅な「円高・ドル安」が進むと、日本円に換算した際の評価額がマイナスになるケースがあります。資産を円ベースで管理している場合は、株価の変動だけでなく為替の動向も常に意識する必要があります。

2. 税制と「二重課税」の仕組み

米国株の配当金には、まず米国現地で10%の源泉徴収税が引かれます。その後、差し引かれた残額に対して日本国内で20.315%の所得税・住民税が課税されます(二重課税状態)。

通常の「特定口座(源泉徴収あり)」で運用している場合は、確定申告時に「外国税額控除」を申請することで、米国で引かれた10%分の一部または全額を取り戻すことができます。

3. 単一銘柄への「一括集中投資」を避ける

どれほど財務が優良に見える企業であっても、不祥事や規制強化、代替技術の登場によって一夜にして企業価値が失われるリスク(個別銘柄リスク)があります。

最初から手持ちの全資金を1社に投じるような投資は避け、まずは資産全体の5〜10%程度からスタートするか、複数の業種(セクター)に分散することを徹底してください。

4. 取取引時間の違い(夜間取引)

米国市場の取引時間は日本時間の夜間〜深夜にかけてです。

  • 通常期(標準時間): 日本時間 23:30 〜 翌6:00

  • サマータイム期(夏時間): 日本時間 22:30 〜 翌5:00

夜間に株価が気になって睡眠不足に陥っては本末転倒です。あらかじめ指値注文や逆指値注文(ストップロス)を設定し、システム的にリスクをコントロールする環境を整えましょう。

5. 話題の「テーマ株・過熱株」への飛びつき注意

SNSやメディアで「短期間で10倍になった」と話題になる中小型のミーム株やイノベーション株は、投機的な資金が入っていることが多く、話題が過ぎると株価が80〜90%下落することも珍しくありません。初心者ほど、まずは確固たる収益基盤を持つ「大型株」から入るのが無難です。

第6章:新NISA「成長投資枠」で米国個別株を買うメリット・デメリット

2024年にスタートした新NISA制度において、年間240万円、生涯で最大1,200万円まで利用できる「成長投資枠」では、日本の個別株だけでなく米国の個別株も購入可能です。

非課税制度を最大限に活用するために、成長投資枠で米国個別株を買う際のメリットと特有のデメリットを正しく把握しておきましょう。

新NISA「成長投資枠」における比較

項目メリットデメリット・注意点
値上がり益(キャピタル)日本国内の約20%が完全非課税損益通算・繰越控除ができない
購入単位1株単位で非課税枠を無駄なく使い切れる暴落時の急変動(ストップ安なし)の影響をダイレクトに受ける
配当金(インカム)日本国内の約20%は非課税米国現地税10%は非課税にならない(外国税額控除も不可)

成長投資枠で米国個別株を買うメリット

  1. 大きな売却益(キャピタルゲイン)を丸ごと非課税にできる

    成長投資枠の最大の魅力は、株価が2倍、5倍、10倍へと跳ね上がった際の売却益に対して、通常かかる約20.315%の国内税金が一切かからない点です。ハイテク株や成長株のように大きなキャピタルゲインが期待できる銘柄ほど、NISA非課税のインパクトは巨大になります。

  2. 1株から買えるため、非課税枠(240万円/年)をきれいに埋められる

    単元株制度(100株単位)がある日本株では、「あと数万円枠が残っているが単元に届かず買えない」という現象が起きます。しかし、1株から買える米国株であれば、年末にNISA枠の残額に合わせて数千円〜数万円単位で調整して使い切ることが可能です。

成長投資枠で米国個別株を買うデメリットと罠

  1. 【重要】配当金の「米国現地税10%」は非課税にならず、取り戻せない

    NISA口座で受け取る米国株の配当金は、日本国内の所得税・住民税(約20%)は非課税になります。しかし、米国現地で差し引かれる10%の源泉税は非課税になりません

    さらに、通常口座であれば確定申告で「外国税額控除」を使ってこの10%を取り戻せますが、NISA口座は「最初から日本の税金がゼロ」という扱いになるため、構造上、外国税額控除が適用できません。「NISA口座で買った米国株の配当金には、どうしても10%の税金がかかり続ける」という点には十分注意してください。

  2. 損益通算・繰越控除ができない

    万が一、NISA口座で買った個別株が暴落し、損切り(売却)をした場合、その損失は税務上「なかったもの」とみなされます。特定口座で出た他の利益と相殺して節税したり、損失を翌年以降に繰り越すことができません。個別株のリスクがダイレクトに裏目に出る可能性があります。

NISA成長投資枠の戦略的アプローチ:「コア・サテライト戦略」

これらのメリット・デメリットを踏まえた最も合理的かつ再現性の高い運用手法が「コア・サテライト戦略」です。

  • コア(中核:資産の70〜80%):

    新NISAの「つみたて投資枠」や「成長投資枠」の一部を使い、S&P500や全世界株式(オール・カントリー)、あるいは本記事の題材であるFANG+などのインデックス投資信託で盤石な土台を作ります。

  • サテライト(衛星:資産の10〜30%):

    成長投資枠の余力を使って、自分が最も高い確信を持つ米国個別株(無配〜低配当の成長株)に投資します。

配当狙いの高配当株はあえて日本の個別株(NISAなら国内配当も完全非課税)に任せ、米国株の成長投資枠では「配当をあまり出さず、株価の上昇で報いるグローバル成長株」に絞ることで、外国税10%のデメリットを最小化しつつ非課税メリットを最大化できます。

第7章:結論 — あなたが選ぶべき最適ルート

ここまでのすべての分析を総括し、「FANG+(投資信託)」を選ぶべき人と、「自作・個別株投資」を選ぶべき人の判断基準を整理します。

「FANG+(投資信託)」を選ぶべき人

  • 運用の自動化と効率性を重視する人: 毎月のリバランスや銘柄の入れ替え、配当金再投資をすべてファンド内で非課税かつ全自動で行い、本業やプライベートに集中したい人。

  • 少額から毎月コツコツ積立したい人: 月々数千円〜数万円など、定額で均等な分散投資を継続したい人。

  • つみたて投資枠もフル活用したい人: 新NISA制度の「つみたて投資枠」の枠を使ってメガテックに投資したい人。

「個別株の直接買い付け」を選ぶべき人

  • 特定の企業に対して強烈な確信と愛着がある人: 「10社全体に均等投資するのではなく、NVIDIAとMicrosoftの2社に絞って集中投資したい」といった明確な意志がある人。

  • 企業の財務分析や決算追跡そのものを楽しめる人: 3か月ごとの決算発表(10-Q/10-K)を読み解き、自らの手でポートフォリオを構築・維持するプロセスに知的好奇心や満足感を感じられる人。

  • 自由にポートフォリオを細かくカスタマイズしたい人: 10銘柄という枠に捉われず、自分の判断でいつでも銘柄の入れ替えを行いたい中上級者。

おわりに:知識は暴落時における「最高の盾」となる

「FANG+を買うか、個別株を買うか」という議論に、唯一絶対の万能な正解は存在しません。ある人にとっては投資信託経由の全自動運用が最適解であり、別の人にとっては自らの手で銘柄を厳選する個別株投資が最適解となります。

最も避けるべきなのは、「仕組みや税制、運用コストの違いを理解しないまま、なんとなく話題になっているから買う」という姿勢です。

投資の世界では、数年に一度、必ず大きな市場暴落やボラティリティの波が訪れます。そのとき、自分が投資している商品の仕組み、税制上の取り扱い、構成銘柄のビジネスモデルを正しく理解していれば、パニックになって安値で投げ売りする「狼狽売り」を防ぐことができます。

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【重要】免責事項

  • 投資判断の最終責任: 本記事で紹介している銘柄やセクター、分析内容は、情報提供および学習の啓発のみを目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

  • 成果の非保証: 過去のデータや予測は、将来の投資成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、資産が減少するリスクがあります。

  • 情報の正確性: 2026年時点の情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新の業績やニュースは、必ず各企業のIRサイトや一次資料でご確認ください。

  • 損失の補償: 本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害(直接的・間接的を問わず)についても、筆者は一切の責任を負いません。

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