クリスピー・クリーム・ドーナツから読み解くマスターフランチャイズビジネス

行列は、ブランドの力を示す最もわかりやすい光景だ。
2006年、東京・新宿にオープンしたKrispy Kreme(クリスピー・クリーム・ドーナツ)の日本1号店には、数時間待ちの長蛇の列ができた。人々はただのドーナツを買うために並んでいたわけではない。そこには「アメリカ発の人気ブランドを体験する」という価値があった。

しかし、ここで一つの疑問が生まれる。
なぜアメリカのドーナツブランドが、日本でこれほど大きなブームを生み出すことができたのか。そして、そのビジネスは誰が実際に運営しているのか。

多くの人は、海外ブランドの店舗は本社が直接経営していると思いがちだ。しかし現実には、その多くが「マスターフランチャイズ」という仕組みによって成り立っている。ブランドは本国にありながら、実際の店舗展開や経営は現地企業が担う。この独特のビジネスモデルこそが、グローバルブランドを世界中へ広げるエンジンになっている。

クリスピー・クリーム・ドーナツの日本展開は、その典型的な事例の一つだ。ブームの誕生、店舗拡大、そして経営体制の変化。その背後には、ブランドと現地企業の関係性を軸としたマスターフランチャイズビジネスのダイナミズムが存在している。

本記事では、クリスピー・クリーム・ドーナツの日本展開を手がかりに、グローバルブランドがどのように世界市場を拡大していくのか、そしてマスターフランチャイズというビジネスモデルの本質を読み解いていく。

 

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2026年3月5日午後4時時点

Krispy Kreme(クリスピー・クリーム)の歴史

1️⃣ 創業(1937年)

  • 1937年、アメリカの Winston-Salem(ノースカロライナ州) でVernon Rudolph が創業しました。

  • 彼はフランス系シェフからイーストドーナツのレシピを購入し、最初は地元の食料品店へ卸すビジネスとしてスタートしました。

  • 焼きたてドーナツの香りに惹かれた通行人が「直接売ってほしい」と頼んだため、壁に穴を開けて工場直結で販売を始めた。


2️⃣ 人気商品「オリジナル・グレーズド」

  • Krispy Kremeの代表商品は Original Glazed Doughnut
     →ふわふわのイースト生地に砂糖グレーズをかけたシンプルなドーナツで、
      温かい状態で食べると特に美味しいことで有名。

  • 店頭の “Hot Now” サインが点灯すると「今揚げたて」という意味。

 

マスターフランチャイズとは何か

フランチャイズビジネスでは、本部企業(フランチャイザー)がブランドやノウハウを提供し、加盟企業(フランチャイジー)が店舗運営を行う。しかし海外展開の場合、単純なフランチャイズでは管理が難しくなるため、「マスターフランチャイズ」という仕組みが採用されることが多い。

マスターフランチャイズとは、本部が特定の国や地域の事業権を一つの企業に与え、その企業が地域内の店舗展開を統括するモデルである。構造としては以下のようになる。

本部(ブランド所有者)

マスターフランチャイジー(地域運営会社)

個別店舗・サブフランチャイジー

この仕組みにより、本部は直接すべての国を管理する必要がなくなり、現地企業のネットワークや市場理解を活用できる。

クリスピー・クリームの日本展開

クリスピー・クリーム・ドーナツは1937年にアメリカで創業し、現在は世界各国に店舗を持つブランドである。日本市場への進出は2006年で、東京・新宿に1号店がオープンした。当時は数時間待ちの行列ができるほどの人気を集め、日本における「海外スイーツブーム」を象徴する存在となった。

しかし、ブームが落ち着くと店舗整理や経営体制の見直しが進み、日本市場に合わせた運営体制が模索されるようになる。こうした過程の中で、日本事業は投資会社などが関与する形で再編され、結果として現在は日本企業が地域運営を担うマスターフランチャイズ構造へと移行していった。

この事例は、海外ブランドが現地市場に適応するために、運営主体を現地企業へ移していく典型的なパターンを示している。

2025年度のクリスピー・クリーム・システム全体の売上高の約75%は直営店舗によるものである。フランチャイズ再展開の取り組みにより、クリスピー・クリームは2027年度以降、システム全体の売上高の約50%がフランチャイズ加盟店によってもたらされると予想している。

日本でのマスターフランチャイジー

ユニゾン・キャピタル6号投資事業有限責任組合は、2025年12月19日付で締結された株式譲渡契約に基づき、Krispy Kreme Doughnut Corporation(以下「KKDC」)よりクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社(以下「同社」)の株式を取得した。

同社は、日本国内において「クリスピー・クリーム・ドーナツ」ブランドを独占的に展開するマスターフランチャイジー。「クリスピー・クリーム・ドーナツ」は、80年以上にわたり世界中で愛され続けているブランドで、現在は世界40カ国以上で展開されている。日本でも2006年に東京・新宿で1号店をオープンし、2026年に日本上陸20周年という節目を迎えた。現在では、東京・大阪をはじめとする全国主要都市において、展開している。

マスターフランチャイズのメリット

マスターフランチャイズには、ブランド本部と現地企業の双方にメリットがある。

本部のメリット
・海外投資を抑えながら市場拡大が可能
・現地市場の知識を活用できる
・ブランド管理に集中できる

現地企業のメリット
・有名ブランドの地域独占権を得られる
・店舗ネットワークを拡大できる
・ローカル戦略を柔軟に実行できる

特に飲食業では、味覚や消費習慣が地域によって大きく異なるため、現地企業の知識が重要になる。

成功の鍵は「ローカライズ」

クリスピー・クリームの日本展開でも、ローカライズは重要な要素となった。期間限定フレーバーや季節商品、地域限定メニューなど、日本市場に合わせた商品開発が行われている。

マスターフランチャイズでは、ブランドの世界観を維持しながらも、地域文化に合わせた調整を行う必要がある。このバランスこそが成功の鍵となる。

世界で広がるマスターフランチャイズ

現在、世界的な飲食チェーンの多くがマスターフランチャイズを採用している。マクドナルド、KFC、ドミノ・ピザなども、国ごとに地域運営企業を持ちながらグローバル展開を進めている。

このモデルは、グローバルブランドとローカル企業の協力関係によって成り立つ「ハイブリッド型ビジネス」と言える。

結論

クリスピー・クリーム・ドーナツの日本展開は、マスターフランチャイズビジネスの特徴をよく表している。ブランドの力と現地企業の経営力が組み合わさることで、海外市場での成長が可能になる。

グローバル化が進む中で、企業が単独で世界市場を攻略することは難しい。マスターフランチャイズは、ブランドと地域企業のパートナーシップによって市場を広げる現実的な戦略として、今後も重要な役割を果たしていくと考えられる。

 

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